MMTを用いた 8Kスーパーハイビジョン衛星放送の メディアトランスポート;pdf

報告
MMTを用いた
8Kスーパーハイビジョン衛星放送の
メディアトランスポート方式
青木秀一
Development of Media Transport Protocol for 8K Super
Hi−Vision Satellite Broadcasting System Using MMT
Shuichi Aoki
要約
8Kスーパーハイビジョン(以下,8K)衛星放送システムの開発が進められている。8Kに対応
したディスプレーは極めて高精細であるため,放送と通信の両方の伝送路を同じように用いてコ
ンテンツを配信するハイブリッド配信により,効果的に情報を提示することができる。NHK
は,8K衛星放送のメディアトランスポート方式としてMMT(MPEG Media Transport)を用
いる方式を提案し,その方式が国内の標準規格に採用された。本稿では,ハイブリッド配信によ
り実現されるサービス例を紹介するとともに,MMTを用いる放送システムの構成,映像・音声
信号のMMTPパケット化の詳細,放送サービスを受信するために必要な制御情報について述べ
る。
ABSTRACT
An ultra­high definition display for 8K Super Hi­Vision is able to present much more information
at one time. A variety of services are enabled by presenting various information obtained from
broadband networks together with high­quality content delivered through satellite broadcasting
channels. In order to realize advanced hybrid services achieved by harmonization of broadband
networks with broadcast channels in terms of content delivery, an MMT ­ based transport
technology we have proposed is introduced in an 8K Super Hi­Vision satellite broadcasting
system under development in Japan. This report describes the general structure of MMT­based
broadcasting systems, carriage of audio / video signals in the MMT Protocol, and signaling
information required for broadcasting systems.
NHK技研 R&D/No.150/2015.3
23
報告
映像
放送
音声
映像
通信
タブレット端末
音声
(a)放送と通信で伝送するコンポーネントを同期して提示
放送
放送
放送
映像
映像
通信
映像
映像
放送
映像
通信
映像
(b)放送と通信で伝送するコンテンツを切り替えて提示
1図 ハイブリッド配信により実現されるサービスの例
1.はじめに
本稿では,当所が提案し,国内の標準規格に採用された
2016年の試験放送開始を目指し,8K衛星放送システム
MMTによる放送システムの構成や,映像・音声信号の伝
の開発が進められている。8Kに対応したディスプレーは
送方法,さらに,放送システムを実現するための制御情報
極めて高精細であるため,従来と比べてより多くの情報を
などについて述べる。
提示することができる。そこで,この8Kディスプレーを
用いて,衛星放送で伝送する高品質のコンテンツを提示す
るだけでなく,通信伝送路から取得した関連情報も併せて
提示するサービスの実現が期待される。
衛星放送は,多数の利用者に同時に安定して高品質のコ
当所では,こうしたハイブリッド配信によるサービスの
ンテンツを伝送できるという特徴がある。一方,通信伝送
実現を目的として,8K衛星放送システムにおける通信伝
路は双方向の伝送が可能であり,受信者の要求に応じたコ
送路の積極的な利用を検討してきた。この検討に基づき,
ンテンツを伝送できるという特徴がある。そこで,衛星放
わが国における8K衛星放送の標準化において,放送や通
送と通信伝送路を併せて用いるハイブリッド配信によ
信など多様な伝送路を用いることが可能なメディアトラン
り,1図に示すようなサービスを実現することができる。
1)
スポート方式であるMMT を用いた放送システムを提案
1図(a)は,放送と通信で伝送する映像や音声などの
した。情報通信審議会における審議の結果,当所の提案
コンポーネント(コンテンツを構成する要素)を同期して
は,2014年3月の一部答申に採用された。
提示するサービスの例である。多くの利用者が見込まれる
MMTは,ISO/IEC(International Organization for
コンポーネントは放送で伝送する一方,個別の要求に応じ
Standardization / International Electrotechnical Com-
たコンポーネントは通信伝送路で提供する。このとき,画
mission:国際標準化機構/国際電気標準会議)の標準規
面上の指定した位置に映像コンポーネントを提示すること
格として,さまざまなアプリケーションに対応できるよう
で,超高精細のディスプレーを効果的に活用することがで
に,伝送時のパケット形式,ペイロード形式,制御情報の
きる。さらに,近年普及しつつあるタブレット端末などを
形式などを規定しているが,それらの規格をどのように用
利用して,放送に関連するコンテンツを視聴することも可
いるかについて,アプリケーションに応じて検討する必要
能となる。
がある。そのため当所では,放送システムを実現するため
1図(b)は,利用者の性別や年齢などに応じて,提示
のMMTの 詳 細 仕 様 を 検 討 し,電 波 産 業 会(ARIB:
するコマーシャルを切り替えるなど,コンテンツを切り替
Association of Radio Industries and Businesses)の標
えて提示するサービスの例である。特定の時間だけ通信伝
準規格の策定において提案を行った。この提案は,MMT
送路から受信する,あるいは蓄積された映像・音声信号に
を用いる放送システムにおける映像・音声信号の伝送方法
切り替えることで,利用者ごとに適したコンテンツを提示
や,種々の制御情報の仕様を含んでおり,ARIBにおける
することが可能となる。
2)
審議の結果,標準規格 に採用された。
24
2.ハイブリッド配信により実現される
サービス
NHK技研 R&D/No.150/2015.3
このように,ハイブリッド配信により情報を活用するこ
音声
AAC※4,
HEVC※3
(NTP※2)
字幕
ALS※5
アプリ EPG※6
MMT-SI
TMCC※1
時刻情報
映像
字幕
符号化
コンテンツ
ダウンロード
HTML5※7
MMT
データ伝送方式
※8
UDP
/IP
TLV
放送
映像
時刻 情 報
HEVC
音声
字幕
AAC,
ALS
字幕
符号化
MMT-SI
(a)放送伝送路のレイヤーモデル
アプリ EPG
コンテンツ
ダウンロード
HTML5
(NTP)
MMT
データ
伝送方式
HTTP
UDP/IP,HTTP※9/TCP※10/IP
UDP/IP
TCP/IP
通信
※4
Advanced Audio Coding
※5
Audio Lossless Coding
※6
Electronic Program Guide
※7
Hyper Text Markup Language 5
※1 Transmission and Multiplexing Configuration Control
※8
User Datagram Protocol
※2 Network Time Protocol
※9
Hyper Text Transfer Protocol
※3 High Efficiency Video Coding
※10 Transmission Control Protocol
(b)通信伝送路のレイヤーモデル
2図 4K/8K放送システムの構成
とで,これまでのテレビの利用形態とは異なる新たなサー
3)∼6)
ビスの実現が期待できる
。
デルにおいては,符号化した映像・音声信号等をMMTP
(MMT Protocol)パケットに格納し,IP(Internet Protocol)
パケットで伝送する。IPパケットの伝送には,効率
3.MMTによる放送システムの概要
的な多重が可能なTLV(Type­Length­Value)多重化方
3.1 放送システムの構成
式9)*1を用いる。このような映像・音声信号等の伝送方法
MMTは,放送のような一方向伝送路を含む多様な伝送
と併せ,放送番組のための制 御 情 報 で あ るMMT­SI
路を用いたコンテンツ配信に適するメディアトランスポー
(MMT­Signaling Information)の仕様も規定されてい
7)8)
,
ISO/IEC JTC1/SC29/WG11(MPEG:
る。2図(b)の通信伝送路のレイヤーモデルは,2図
Moving Picture Experts Group)において,2014年3月
(a)の放送伝送路のレイヤーモデルと非常に類似してい
ト方式であり
に国際規格として承認された。
わが国では,情報通信審議会が2014年3月に一部答申
る。これは,MMTが放送伝送路と通信伝送路を同じよう
に扱うことができるという特徴によるものである。
した「超高精細度テレビジョン放送システムに関する技術
当所では,この放送システムの実装を行い,放送伝送路
的条件」のうち「衛星基幹放送及び衛星一般放送に関する
で伝送したコンポーネントと,通信伝送路で伝送したコン
技術的条件」において,放送と通信の両方の伝送路を同じ
ポーネントを,受信装置で同期させて提示するコンテンツ
ように用いることで可能となる高度な放送・通信連携サー
配信の機能検証実験を行い,MMTの有効性を示した。こ
ビスを実現するために,当所が提案したMMTを用いる方
の検証実験に用いたシステムを,2014年の当所の一般公
式が採用された。この一部答申を受け,ARIBにおい
開で展示した。
て,8K衛星放送システムを実現するための規格整備が行
3.2 MMTのパッケージと放送のサービスとの関係
われた。
MMTでは,コンテンツの単位をパッケージと称してい
ARIBの標準規格で規定される4K/8K放送システムの
構成を2図に示す。2図(a)の放送伝送路のレイヤーモ
*1 IPパケット等の可変長パケットを多重化するための枠組み。
NHK技研 R&D/No.150/2015.3
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報告
サービス
パッケージ
サービス
パッケージ
パッケージ
…
パッケージ
映像コンポーネント
…
音声コンポーネント
…
映像コンポーネント
データ
音 声 コンポーネント
映 像 コンポーネント
データ
音声コンポーネント
映像コンポーネント
イベント
(番組)
サービス
マルチ編成のサービス
…
…
…
…
IPデータフロー
(放送あるいは通信の伝送の単位)
TLVストリーム
(放送伝送路における伝送の単位)
TLVストリーム
物理チャンネル
3図 MMTのパッケージと放送のサービスとの関係
る。このパッケージと放送のサービスとの関係を3図に
TLVストリームID(Identification)で識別されるTLV
示す。放送のサービスとは,スケジュールに従って送出さ
パケットの系列であり,TLV­NIT(Network Informa-
れる連続した番組のことである。
tion Table)やAMT(Address Map Table)と い っ た
MMTによる放送システムにおいては,パッケージを
TLV多重化方式の制御情報(TLV­SI)もTLVパケット
サービスと一対一に対応付けることとした。これまでの放
として含んでいる。TLV­NITは,放送波の周波数など伝
*2
で規定されるプログラム
送路に関する制御情報である。また,AMTは放送サービ
(MPEG­2 Systemsにおけるコンテンツの単位)を,放送
スを構成するIPパケットのマルチキャストグループ*3の
のサービスと一対一に対応付けていたが,MMTによる放
一覧を示す制御情報である。このようなTLVパケットを
送システムでは,プログラムの代わりにパッケージを用い
格納した伝送スロットは,衛星放送のTMCC(Transmis-
る。1つのサービス(1つのパッケージ)において,開
sion and Multiplexing Configuration Control)信号に含
始時刻と終了時刻により区切られた番組をイベントと呼
まれるTLVストリームIDを用いて特定する。
送では,MPEG­2 Systems
ぶ。
次に,放送伝送路と通信伝送路の両方を用いる場合の
3図に示すように,複数のパッケージを同一のIPデー
サービスの構成を4図に示す。4図は,映像コンポーネ
タフローに多重して伝送することができる。ここでIP
ント1,音声コンポーネント1,データ1を放送伝送路
データフローとは,IPヘッダーおよびUDPヘッダーに含
で,映像コンポーネント2,音声コンポーネント2,
まれる送信元IPアドレス,宛先IPアドレス,IPヘッダー
データ2を通信伝送路で伝送する様子を示している。放
に含まれるプロトコル種別,送信元ポート番号(送信アプ
送伝送路では,伝送する3つのコンポーネントを同じIP
リケーションが指定する番号)
,宛先ポート番号(受信ア
データフローに多重し,同一のTLVストリームで伝送し
プリケーションを指定する番号)の5種類のフィールド
ている。これは,放送伝送路では,送信した情報がすべて
の値がすべて同じであるIPパケットの集合である。放送
の受信端末に伝送されるため,別々のIPデータフローと
伝送路には,パッケージを伝送するIPデータフローに加
する必要がないためである。一方,通信伝送路で伝送する
えて,ダウンロードサービスや拡張サービスのためのIP
コンポーネントは,受信端末ごとの個別の要求に応じて伝
データフローが存在することもある。
送するため,コンポネートごとに異なるIPデータフロー
このような複数のIPデータフローは,放送伝送路にお
で伝送する。
ける伝送の単位であるTLVストリームに多重される。こ
26
こでストリームとは,伝送路の種類や信号形式にかかわら
*2 1994年にMPEGで規格化され,現在のデジタル放送で用いられて
いるメディアトランスポート方式。
ず「データの流れ」を意味する。TLVストリームは,
*3 IPマルチキャストによる配信を行う際の宛先のIPアドレス。
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サービス
パッケージ
データ 1
音声コンポーネント 1
映像コンポーネント 1
映像コンポーネント 2
音声コンポーネント 2
データ 2
…
イベント
(番組)
IPデータフロー
(放送あるいは通信の伝送の単位)
TLVストリーム
(放送伝送路における伝送の単位)
通信伝送路で伝送する
IPデータフロー
物理チャンネル(放送伝送路)
4図 放送伝送路と通信伝送路の両方を用いる場合のサービスの構成
ロケーション
タイプ
8
パケット
識別子
ロケーション
タイプ=0x00
ロケーション
タイプ=0x01
ロケーション
タイプ=0x02
ロケーション
タイプ=0x03
ロケーション
タイプ=0x04
ロケーション
タイプ=0x05
16
送信元IPv4
アドレス
宛先IPv4
アドレス
宛先ポート
番号
パケット
識別子
32
32
16
16
送信元IPv6
アドレス
宛先IPv6
アドレス
宛先ポート
番号
パケット
識別子
128
128
16
16
ネットワーク
識別子
トランスポート
ストリーム識別子
将来
予約
MPEG-2パケット
識別子
16
16
3
13
送信元IPv6
アドレス
宛先IPv6
アドレス
宛先ポート
番号
将来
予約
MPEG-2パケット
識別子
128
128
16
3
13
URL長
URL
バイト
8
8xN
(数字はそれぞれのフィールドのビット数を示す)
5図 ロケーション情報によるコンポーネントの取得先
MMTには,MPテーブル(MMT Package Table)と
のロケーションタイプがある。ロケーション情報を用いる
呼ばれる制御情報がある。MPテーブルは,パッケージを
と,MPテーブルと同一のIPデータフローに多重されたコ
構成するコンポーネントの種類や,その詳細な情報と取得
ンポーネントの取得先(ロケーションタイプ=0x00)を
先を示す制御情報である。
指定できるだけでなく,任意のIPデータフローのMMTP
MPテーブルにおいて,コンポーネントの取得先は,
パケット(ロケーションタイプ=0x01または0x02)
,
5図に示す構造のロケーション情報(general_location_
MPEG­2 TS(Transport Stream)を用いた放送ネット
info)で指定される。ロケーション情報には,コンポーネ
ワーク(ロケ ー シ ョ ン タ イ プ=0x03)
,MPEG­2 TS
ントの取得先の指定方法に対応して,5図に示す6種類
over IPで伝送されるMPEG­2 TSパケット(ロケーショ
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報告
MPU
MPU
メタデータ
ムービーフラグ
メントメタデータ
サンプルデータ
MFU
…
…
ムービーフラグ
メントメタデータ
MFU
サンプルデータ
MFU
…
MFU
6図 MPUの一般的な構成
ンタイプ=0x04)で伝送するコンポーネントの取得先も
ことができる。
指 定 可 能 で あ る。さ ら に,URL(Uniform Resource
MFU,制御情報は,MMTPパケットを用いて伝送す
Locator)によりコンポーネントの取得先を指定すること
る。MMTPパケットはヘッダー部とペイロード部とから
も可能となっている(ロケーションタイプ=0x05)
。つ
構成される。伝送するMFUや制御情報の大きさが,伝送
まり,このロケーション情報を用いることで,コンテンツ
路ごとに定まる伝送可能な最大のパケットサイズである
を構成するコンポーネントの取得先を放送・通信横断的に
MTU(Maximum Transmission Unit)と比べ小さい場
指定することができる。
合は,同一種類の複数のMFUあるいは複数の制御情報を
このようにMMTでは,異なる伝送路で伝送するコン
まとめて1つのMMTPペイロードに格納することができ
ポーネントを1つのパッケージにまとめることができる
る。一方,伝送するMFUや制御情報がMTUより大きい
ため,放送と通信の両方を用いたサービスを容易に実現す
場合は,それらを分割して複数のMMTPペイロードに格
ることが可能になる。
納する(7図)
。
3.3 MMTの信号の単位
1つのMMTPペイロードは1つのMMTPパケットで
MMTにおける符号化された信号の単位としては,
送られる。1つのMMTPパケットが複数のMMTPペイ
MPU
(Media Processing Unit)
,MFU
(Media Fragment
ロードを送ることや,1つのMMTPペイロードが複数の
Unit)
,MMTPペイロード,MMTPパケットがある。
MMTPパケットにまたがって送られることはない。
MPUは,MMTにおけるデータの処理単位である。
MPUやMFUからMMTPペイロードを構成する方法に
MPUの一般的な構成を6図に示す。MPUは,MPU全体
は2通りが考えられる。1つ目の方法は,エンコーダー
の属性情報を記載するMPUメタデータ,アクセスユニッ
が出力する映像信号から6図に示す一般的なMPUを構成
*4
の属性情報などを記載するムービーフラグメントメ
した上で,そのMPUを分割し,MMTPペイロードを構成
タデータ,映像・音声等の信号を含むサンプルデータとか
する方法である。もう1つの方法は,6図に示す一般的
ら構成される。MPUは,1個以上のアクセスユニットを
なMPUを構成する処理を省略し,エンコーダーが出力す
含み,MPU単体で映像・音声等の復号処理が可能な単位
る映像・音声信号のNALユニットあるいはアクセスユ
である。フレーム間予測を用いて符号化する映像信号で
ニットをMFUとし,このMFUをMMTPペイロードに格
は,MPUはGOP(Group of Pictures)と同じ単位とする
納する方法である。放送では後者の方法を用いることで,
必要がある。MPUには,同一のコンポーネントに含まれ
送信時の遅延を抑制することができる。このとき,MPU
るMPUごとにシーケンス番号を付加する。コンポーネン
として必要な情報は,MMTPパケットのヘッダーにより
トを識別するアセットIDと,MPUごとのシーケンス番号
伝送される。
ト
を組み合わせることにより,MPUを他のMPUと区別する
ことができる。
MFUはMPUよりも小さな単位であり,サンプルデータ
を 分 割 し た も の がMFUと な る。映 像 信 号 で はNAL
*5
4.MMTを用いた放送システムにおける
映像・音声信号の伝送方法
4.1 MMTPによる映像信号の伝送方法
をMFUとし
HEVC(High Efficiency Video Coding)で符号化した
たり,音声信号ではアクセスユニットをMFUとしたりす
映像信号をMMTで伝送する場合,符号化した映像信号は
る。このように,MPUよりも小さな単位でMFUを構成し
NALユニットの形でMMTの処理に入力される。NAL
(Network Abstraction Layer)ユニット
伝送することで,パケットロス(パケットの消失)のよう
な伝送品質低下が発生したときにも,受信端末では復号し
た映像・音声信号における誤りの伝搬を可能な限り抑える
28
NHK技研 R&D/No.150/2015.3
*4 映像のフレームや音声の符号化単位など,同期が可能な最小単位。
*5 映像信号の動きベクトル,直交変換係数を算術符号化したデータ,
それらの付帯情報などを含むデータの単位。
GOP
映像・音声
NAL/AU
MPU
MPU
メタデータ
ムービーフラグメント
メタデータ
NAL/AU
NAL/AU
MFU
MFU
サンプルデータ
MFU
・
・
・
MFU
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
ヘッダー
ペイロー ド
MMTPパケット
・
・
・
NAL/AU
7図 1つのMFUが複数のMMTPペイロードに分割される例
1表 HEVC規格のNALユニットの例
(1)非VCL NALユニット
NALユニットの名称
説明
VPS(Video Parameter Set)
階層符号化においてレイヤー間の共通情報や関係情報を示す。
SPS(Sequence Parameter Set)
ビデオシーケンスで共通のパラメーターを示す。
PPS(Picture Parameter Set)
ビデオピクチャーで共通のパラメーターを示す。
Prefix­SEI(Supplemental Enhancement Information) VCL NALユニットの前に置かれる補足的な付加情報。
(2)VCL NALユニット
NALユニットの名称
説明
CRA(Clean Random Access)
IRAPの1つであり,表示順でこれより後となる映像フレームの
復号を可能とするデータを含む。
IDR(Instantaneous Decoding Refresh)
IRAPの1つであり,これより後に復号される映像フレームの復
号を可能とするデータを含む。
TRAIL
IRAPの映像フレームより後に復号され,次のIRAPの映像フ
レームより前に表示されるデータを含む。
MPU
・
・
・
VPS
SPS
ヘッダー
ペイロード
PPS
SEIs
ヘッダー
CRA
ペイロード
NAL
ユニット
・
・
・
・
・
・ ヘッダー
NAL
ユニット
・
・
・ ・
・
・
ペイロード
MMTPパケット
8図 MPUを構成するNALユニットとMMTPパケット化の概要
ユニットは,映像信号の動きベクトルや直交変換係数を算
するまでの概要を8図に示す。先に述べたように映像信
術符号化したデータであるVCL(Video Coding Layer)
号のMPUはGOPと同じ単位とする必要があるた め,
NALユニットと,それらの付帯情報である非VCL NAL
*6
の
MPUの先頭はIRAP(Intra Random Access Point)
ユニットとに分類される。HEVC規格のNALユニットの
アクセスユニットとする必要がある。そこで8図では
例を1表に示す。MMTでは,いずれのNALユニットも
MPUのVCL NALユニットの先頭を,IRAPのアクセスユ
MFUとして扱う。
MPUを構成するNALユニットを,MMTPパケット化
*6 即座に復号できるアクセスユニット。
NHK技研 R&D/No.150/2015.3
29
報告
Temporal ID
B
3
B
B
B
2
B
B
B
B
B
B
B
B
1
0
B
B
I
P
P
提示順
9図 時間方向階層符号化の例
MPUシーケンス番号
=(n−1)
120Pサブセット
B
B
B
B
B
B
B
B
MMTP
パケット
MMTP
パケット
…
MMTP
パケット
MMTP
パケット
アセット2
B
アセット1
P
パケットID =x
…
B
B
I
MMTP
パケット
B
B
B
60Pサブビット
ストリーム
パケットID =y
MPUシーケンス番号
=(n+1)
MPUシーケンス番号
=n
MMTP
パケット
…
…
P
MMTP
パケット
MPU
MMTP
パケット
10図 時間方向階層符号化HEVCビットストリームのMMTによる伝送の概要
ニットを構成するCRAのNALユニットとした。このCRA
時間方向階層符号化を行ったHEVCストリームの構造の
に先立ち,映像信号を復号するために必要な非VCLの
例を9図に示す。9図において,Iはフレーム間予測を行
NALユニットを配置している。
わないで符号化される映像フレームを,Pは前方向の予測
MPUの大きさは,放送のチャンネル切り替え時に映像
により符号化される映像フレームを,またBは双方向の予
が提示されるまでの遅延に影響する。MPUを大きくし複
測により符号化される映像フレームを表す。Temporal
数のGOPで構成すると,チャンネル切り替え時の遅延が
ID(映像フレームの時間方向の識別子)が0から2まで
大きくなる。そのため,映像信号のMPUは1つのGOP
のNALユ ニ ッ ト を60Pサ ブ ビ ッ ト ス ト リ ー ム と し,
から構成している。
Temporal IDが3のNALユニットを120Pサブセットとす
4.2 映像信号の時間方向階層符号化への対応
る。この時間方向階層符号化HEVCビットストリームの伝
*7
)の映像信号を送出した場
送の概要を10図に示す。パッケージを構成する際,60P
合においても,毎秒60フレーム(60P)の映像信号の復号
サブビットストリームと120Pサブセットは,別々のコン
に対応した受信端末では,60Pの映像として復号・提示で
ポーネントとする。10図では前者をアセット(映像や音
きることが望ましい。この要件に対応するためには,時間
声などのコンポーネント)1,後者をアセット2として
方向に階層符号化を行ったHEVCストリームの120Pサブ
示した。アセット1とアセット2は異なるコンポーネン
セット(部分集合)から60Pサブビットストリームを分離
トであるため,アセット1とアセット2に含まれるアク
できる信号構造とし,受信端末が両者を識別できるように
セスユニットは,それぞれ別のパケットIDを持つMMTP
伝送すればよい。サブビットストリームとは,サブセット
パケットで伝送される。
毎秒120フレーム(120P
中において特定の時間解像度の映像を復号するための情報
アセット2を復号するためには,アセット1のデータ
である。本節では,このような信号構造と伝送方法につい
て述べる。
30
NHK技研 R&D/No.150/2015.3
*7 フレーム周波数が120Hzで順次走査の映像信号。
60P対応受信端末
アセット1
HEVC
エンコーダー
MMT
送出装置
放送
アセット1 HEVCデコーダー
4K・8K/60P
映像
通信
120P対応受信端末
アセット1
アセット2 +アセット2
HEVCデコーダー
4K・8K/120P
映像
11図 ハイブリッド配信による120P対応
も必要となる。そのため,MPテーブルにおいて,アセッ
機能を提供する。LATM/LOASストリーム形式は,1つ
ト2の情報を記述する記述子領域(5.1節参照)に依存関
以上の音声フレームを含むAudioMuxElement*8が連
係記述子(4表参照)を挿入し,依存先としてアセット
なったストリームであり,MPEG­4 Audio規格10)で規定
1のアセットIDを記述する。
されている。
また,アセット間の時間的な関係を容易に識別するため
こうした音声信号の伝送では,1つのAudioMuxEle-
に,アセット2のMPUには,アセット1のMPUと同一
mentを1つのMFUとすることにより,MFUを最小の単
のMPUシーケンス番号を付加する。このように,時間的
位として音声信号の符号化データを処理することができ
に関連があるMPUに,同一のMPUシーケンス番号を付加
る。MPEG­4 AACあるいはALSは,映像信号と異なり,
することにより,アセット2のMPUを復号するために,
複数の音声フレームにまたがる圧縮符号化を行わないた
アセット1のどのMPUが必要となるかを,受信端末が容
め,いずれの音声フレームも,ランダムアクセスポイン
易に識別することが可能となる。
ト*9とすることができる。このため,1つの音声フレー
以上のように伝送することで,120Pに対応した受信端
ムからMPUを構成することも可能である。しかしこの場
末は120P対応のHEVCデコーダーを用いて120Pの復号・
合,音声信号の提示時間を指定するために,音声フレーム
提示を行い,60Pに対応した受信端末は60P対応のHEVC
ごとにMPテーブルを送出する必要があり,オーバーヘッ
デコーダーを用いて60Pの復号・提示を行うことが可能と
ド*10 が増加してしまう。そこで,複数の音声フレームを
なる。
まとめてMPUを構成することが考えられる。映像信号と
また,放送伝送路で120Pの映像を送る場合の他に,放
音声信号の両方を参照するMPテーブルの記述を容易とす
送伝送路では60Pのためのサブビットストリームを送り,
るためには,映像信号のIRAPの間隔に相当する時間の音
通信伝送路では120Pのためのサブセットを送る方法も考
声フレームからMPUを構成することが妥当と考えられる。
えられる。4図に示したように,MMTのパッケージは,
放送伝送路で送るコンポーネントと,通信伝送路で送るコ
5.MMTを用いる放送システムの制御情報
ンポーネントの両方を含むことができる。従って,アセッ
5.1 制御情報の種類と機能
ト1を放送伝送路で,アセット2を通信伝送路で送り,
制御情報は,放送番組の構成や,放送サービスに関連す
受信端末は必要に応じてアセット2を受信することによ
る情報を示す信号であり,メッセージ,テーブル,記述子
り,120Pへの対応を行うことができる(11図)
。
の3種類がある。メッセージは,テーブルや記述子を伝
4.3 MMTPによる音声信号の伝送方法
送時に格納するための制御情報である。テーブルは,特定
次世代の放送システムにおいては,音声符号化方式とし
の情報を示す要素や属性を記載した制御情報である。記述
て,MPEG­4 AAC(Advanced Audio Coding)あるい
子は,より詳細な情報を示す制御情報である。主なメッ
はMPEG­4 ALS(Audio Lossless Coding)が用いられ
セージ,テーブル,記述子と,それらの機能をそれぞれ
る見込みである。これらの方式の符号の形式は,LATM
2表,3表,4表に示す。
(Low Overhead MPEG­4 Audio Transport Multiplex)
/
LOAS(Low Overhead Audio Stream)ストリーム形式
である。LATMは,音声データのチャネルコンフィグ
5.2 提示ための制御情報
7,680×4,320個の画素を持つ8Kの超高精細ディスプ
*8
音声データや,デコーダーの初期化情報等を含むビットストリーム。
レーション情報(構成情報)や,音声データの順序や連結
*9
正しく復号を行うことができるデータの復号開始位置。
などの多重に関する情報を提供する。また,LOASは同期
*10 正味のデータ以外の,ヘッダーやテーブルなどの付加的なデータ。
NHK技研 R&D/No.150/2015.3
31
報告
2表 主なメッセージ
メッセージ名
機能
PA
(Package Access)
メッセージ
すべてのテーブルを含むことができるメッセージ。受信端末が最初に処理する制御情報である。
M2セクションメッセージ
現在のデジタル放送の番組配列情報を伝送するために,
MPEG­2 Systemsのセクション拡張形式を伝送する。
CA
(Conditional Access)
メッセージ 限定受信方式に関する情報を伝送する。
3表 主なテーブル
テーブル名
機能
MP(MMT Package)テーブル
コンポーネントの種類やその取得先など,パッケージを構成するための情報を与える。
パッケージリストテーブル
PAメッセージを伝送するIPデータフローおよびパケットID,IPサービスを伝送するIPデータフローの一覧を示す。
レイアウト設定テーブル
提示のためのレイアウト情報を,レイアウト番号に対応付ける。
CAテーブル
限定受信方式に関する記述子を伝送する。
4表 主な記述子
記述子名
機能
アセットグループ記述子
アセットのグループ関係とグループ内での優先度を示す。
MPU提示領域指定記述子
MPUの提示位置を示す。
MPUタイムスタンプ記述子
MPUの提示時刻を示す。
依存関係記述子
依存関係にあるコンポーネントのアセットIDを示す。
緊急情報記述子
緊急警報信号として必要な情報および機能を記述する。
8Kディスプレー
8Kディスプレー
8Kディスプレー
領域0
領域2
領域2
レイアウト番号:1
レイアウト番号:0
(デフォルトレイアウト)
8Kディスプレー
タブレット端末
領域0
領域1
領域1
領域1
領域0
領域0
レイアウト番号:2
(領域1と2は領域0の前面)
:音声が出力される領域
レイアウト番号:3
(タブレット端末などにも出力)
12図 映像の提示領域を指定するレイアウトの例
レーに複数の映像を提示する場合,それぞれの映像の提示
位置を指定することによって,効果的な情報表示を行うこ
とができる。この目的のために,MMTの制御情報では,
32
5.3 チャンネル選択時の制御情報の処理
受信端末におけるチャンネル選択時の制御情報の処理フ
ローを13図に示す。
映像の提示時刻に加え,レイアウト番号と領域番号によ
チャンネル選択は,希望するサービスのIDを指定する
り,映像の提示位置を指定することができるようになって
ことで行われる。利用者がサービスIDを指定すると,受
いる(12図)
。具体的な領域の割り当ては,制御情報の1
信端末はAMTを用いて,利用者が希望するサービスID
つであるレイアウト設定テーブルを用いて行う。このよう
とIPデータフローの情報を対応付ける。次に,TLV­NIT
な制御情報を用いることで,超高精細のディスプレーを効
を用いて,対応するサービスIDの物理チャンネルを特定
果的に活用するサービスが可能になる。
し,物理チャンネルの選局処理が行われる。この結果,所
NHK技研 R&D/No.150/2015.3
サービスIDを指定
フロントエンド部での選局処理
AMT受信
・IPデータフローとサービスIDを対応付け
周波数変更
周波数チューニング
no
TLV-NIT受信
・サービスリスト記述子を参照
当該サービスIDのTLV_stream_idを取得
・衛星分配システム記述子を参照
当該TLV_stream_idの搬送周波数を取得
yes
キャリヤー再生
TMCC受信
復調
フロントエンド部での選局処理
当該IPデータフローを受信
・パケットID=0x0001のパケットを受信しCAメッセージを取得
・CAメッセージ内のCAテーブルを取得
・アクセス制御記述子のCA_system_IDに対するパケットIDを
取得し,ワーク鍵などの個別情報を伝送するEMM※1を受信
・PAメッセージ内のパッケージリスト
テーブルを取得
・指定サービスIDのMPテーブルを伝送
するパケットIDを取得
当該IPデータフローを受信
・パケットID=0x0000のパケットを受信しPAメッセージを取得
・PAメッセージ内のMPテーブルを取得
no
MPテーブルのパッケージ
IDとサービスIDが一致?
・当該パケットIDのMMTパケットを受信
しPAメッセージを取得
・PAメッセージ内のMPテーブルを取得
yes
アクセス制御記述子 検索
有
・アクセス制御記述子のCA_system_IDに
対するパケットIDを取得し,限定受信に関
する共通情報を伝送するECM※2を受信
無
MMTデスクランブル
・MFUを伝送するIPデータフローのIPアドレスおよび
パケットIDを取得
・MPUタイムスタンプ記述子,MPU提示領域指定記述子
から,MPUの提示時刻およびレイアウト番号を取得
・特定したパケットIDのパケットを受信しMFUを取得
・MFUに含まれる映像・音声信号を復号
・映像信号・音声信号の提示・出力
※1 Entitlement Management Message
※2 Entitlement Control Message
13図 受信端末におけるチャンネル選択時の制御情報の処理フロー
望のIPデータフローが受信端末のフロントエンド部から
パッケージが多重される場合がある(3図)
。そこで,得
出力される。
られたMPテーブルのパッケージIDが,利用者により指定
出力されたIPパケットはMMTPパケットを格納してい
されたサービスIDと一致することを確認する。一致しな
る。ここからMMTPパケットヘッダーのパケ ッ トID
い場合,PAメッセージに含まれるパッケージリストテー
フィールドの値が0x0000であるMMTPパケットを選択
ブルを取得し,必要なサービスIDのMPテーブルを伝送す
し,PA(Package Access)メッセージを取得する。2表
るMMTPパケットのパケットIDを特定する。
に示した通り,PAメッセージはすべてのテーブルを含む
MPテーブルに記載されているロケーション情報から,
ことができるメッセージである。受信端末は,PAメッ
コンテンツを構成するコンポーネントを伝送するIPデー
セージ内のMPテーブルを取得する。
タフローおよびパケットIDを特定する。同時にMPUタイ
放送時間によっては,1つのIPデータフローに複数の
ムスタンプ記述子およびMPU提示領域指定記述子から,
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33
報告
MPUの提示時刻とレイアウト番号を特定する。
ARIBにおいて,MMTによる放送システムの標準化が
次に,コンポーネントを伝送するMMTPパケットを受
行われ,2015年3月現在,実運用に向けた運用規定の検
信し,必要なMFUを取得する。このMFUに含まれる映
討が行われている。今後は,MMTならではの放送・通信
像・音声信号を復号し,指定の提示時刻に,指定のレイア
連携サービスを実現するために,通信伝送路における伝送
ウト番号と領域番号の位置に提示・出力することで,映像
方式の開発と検証を行う予定である。
信号や音声信号の提示が行われる。
本稿は,IEEE Transactions on Broadcastingに掲載された
6.むすび
以下の論文を元に加筆・修正したものである。
本稿では,当所が8K衛星放送システムの標準化におい
Y. Lim,S. Aoki,I. Bouazizi and J. Song:“New MPEG
て提案し採用された,MMTによる放送システムの構成,
Transport Standard for Next Generation Hybrid Broadcast-
映像・音声信号の伝送方法,放送システムのための種々の
ing System with IP,
”IEEE Transactions on Broadcasting,
制御情報について述べた。
Vol.60,No.2,pp.160­169(2014)
参考文献
1) ISO/IEC 23008­1:2014,
“Information Technology ­ High Efficiency Coding and Media Delivery in
Heterogeneous Environments ­ Part 1:MPEG Media Transport(MMT)
”
2) 電波産業会:
“デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式,
”ARIB STD­B60(2014)
3) H.­J. Lee,P. Kim,T. Kim and D.­G. Oh:
“Broadband Systems Based on DVB­S2 and Mobile DVB­
RCS,and Their Future Applications to Broadband Mobiles,
”International Workshop on Satellite and
Space Communications,pp. 98­102(2006)
4) B. D. Lee:“Provisioning of Rich Media Experiences for Hybrid Mobile Broadcast Services,”IEEE
Transactions on Consumer Electronics,Vol.55,No.3,pp.1113­1120(2009)
5) P. Siebert :“ Hybrid Broadband / Broadcast Systems and Set ­ top Boxes ,” IEEE International
Symposium on Broadband Multimedia Systems and Broadcasting(2008)
6) A. Bria:“Future Hybrid Cellular­Broadcasting Systems for Multimedia Multicasting,”International
Conference on Wireless and Mobile Communications(2006)
7) Y.Lim:“IP­Friendly MPEG Media Delivery Standards for Next Generation Broadcasting,”IEEE
International Symposium on Broadband Multimedia Systems and Broadcasting(2012)
8) Y.Lim,K.Park,J.Lee,S.Aoki and G.Fernando:
“MMT:An Emerging MPEG Standard for Multimedia
Delivery over the Internet,
”IEEE Multimedia Mag.,Vol.20,No.1,pp.80­85(2013)
9) Rec. ITU­R BT.1869,“Multiplexing Scheme for Variable­length Packets in Digital Broadcasting
Systems”
(2010)
10)ISO/IEC 14496­3:2009,“Information Technology ­ Coding of Audio­visual Objects ­ Part 3:
Audio”
あ お き しゅういち
青木 秀一
2003年入局。同年から放送技術研究所におい
て,IP技術を用いる放送システムの研究に従
事。現在,放送技術研究所伝送システム研究
部に所属。博士(情報理工学)
。
34
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