report

2011-AFC
6
平成 23 年度
タイにおける食のマーケット調査
2012 年 3 月
日本貿易振興機構(ジェトロ)
農林水産・食品部
バンコク事務所
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本報告書は信頼できると思われる各種情報に基づいて作成しておりますが、その正確性、
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料を発行している、または今後発行する可能性があります。
本報告書には、ジェトロの公式見解ではなく外部委託先の論考、意見が含まれます。こ
れらについてジェトロは一切の責任を負うものではありません。
目
次
Ⅰ.タイの食品市場の概況 ......................................... 1
1.食品製造業 ............................................................. 1
2.タイ国内の食品の流通と小売市場 ........................................ 24
3.外食市場 .............................................................. 28
Ⅱ.加工食品消費状況 .................................................. 38
1.食料消費の推移 ........................................................ 38
2.家計消費に占める食料品支出の推移 ...................................... 39
3.日本食に関する嗜好 .................................................... 41
4.食と健康に対する意識 .................................................. 50
5.原発事故以降の日本産食品の信頼性 ...................................... 51
Ⅰ.タイの食品市場の概況
1. 食品製造業
(1) 食品製造業の概況
タイでは、豊富な原材料と比較的安価で良質な労働力という好条件を活かして、食
品加工産業が大きな発展を遂げた。特に 1980 年代以降、日本市場での鶏肉製品、エ
ビ製品などに対する需要拡大を背景に、いわゆるアグロインダストリーを形成する食
品輸出企業が育った。また、加工技術向上の背景として、日本企業の進出や生産委託
による技術指導が大きく貢献したといえる。現在、日本市場のほか、米国、EU、アジ
ア諸国、中近東諸国等に幅広く加工食品を輸出しており、タイはアジアの食品加工セ
ンターの役割を担うようになっている。一方、タイ国内市場についてみると、乳製品
やパンなど食卓の洋風化が進むとともに、日本食レストラン、ファーストフードのよ
うな外食産業も急成長してきている。今後、所得向上、食生活の多様化により、加工
食品の国内市場も着実に拡大していくものと考えられる。
タイ食品産業の規模としては、
NESDB 発表の 2010 年の実質 GDP 付加価値額(暫定値)
をみると、食品および飲料産業は暫定値で 4,524 億バーツとなっており、製造業全体
の 17.6%を占めている(表 1-1)。
現在、タイには多数の日系食品企業が進出しており、冷凍食品、農産加工品、イン
スタントラーメン、菓子類、飲料、調味料、加工でん粉など多岐にわたる品目を製造
している。さらに、サポートインダストリーも充実しており、日本しょうゆ、みりん、
小麦粉、パン粉、日本の野菜などが現地で入手できるほか、冷凍倉庫、輸送システム
などのインフラが整っている。日系食品企業の事業活動としては、以前は日本市場ま
たはタイ国内市場への供給が中心であるが、最近は、日本市場向けから欧米向けやタ
イ国内市場へ生産がシフトする傾向にあり、タイを生産拠点として位置づけ、ASEAN
諸国、欧米諸国など第三国に販路を拡大している企業もある。2007 年 11 月には日タ
イ経済連携協定(JTEPA)が施行され、両国間の貿易投資拡大によるさらなる経済緊
密化に寄与することとなった。
一方、近年、経済発展に伴うコストアップから、中国、ベトナム等のアジア諸国、
单米諸国などに対する価格面での競争力の維持がタイ食品産業の大きな課題となっ
ている。1997 年のアジア通貨危機以後のバーツ安が輸出の追い風になった時期があっ
たが、北米市場では单米諸国と、日本市場では中国との競争が激化している。一方で、
近年の中国食品に対する世界的な不信感はタイの食品産業にとって商機となるとも
みられる。
タイの食品産業は一層の高品質化、高付加価値化を進めることで、さらに競争力を
強化することが求められている。また、世界的に消費者の安全に対する関心が高まる
なかで、2004 年を食品安全年とし、輸出先市場の要求に応じて食品の品質管理、衛生
管理の向上を官民一体となって熱心に進めた。輸出向け企業の多くは、工場において
HACCP、ISO 等の規格を取得しているが、タイ政府は食品の適正製造基準(GMP)を定
め、一定規模以上のすべての食品工場が、その基準に適合することを求めるなど、タ
イ食品産業全体のボトムアップを進めている。
最近の傾向としては、2008 年の中国産冷凍キョーザ事案などにより中国プラス 1
の調達先または中国に代わる調達先としてタイへの関心が高まったが、タイ側では中
国と同水準の価格での供給は難しい面があり、急速なシフトは生じてはいない状況で
ある。また、在タイ日系食品企業の新たな原料調達先、製品供給先として、ASEAN
のフロンティアであるカンボジア、ミャンマーなどに対する関心も高まりつつある。
1
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表 1-1 製造業全体に占める食品および飲料産業の GDP 推移(実質)
単位:億バーツ
年
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
3,074
3,323
3,733
3,732
3,839
4,205
4,380
4,475
4,363
4,524
15,225
16,568
18,251
19,612
20,438
21,585
23,145
23,662
22,970
25,668
20.2%
20.1%
20.5%
19.0%
18.8%
19.5%
18.9%
18.9%
19.0%
17.6%
食品および飲料
製造業
製造業全体
製造業全体に占
める食品および
飲料産業の割合
※2010 年は暫定値
出所: NESDB (Office of the National Economic and Social Development Board)
2
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(2)食品製造業の構造
① 食品産業の概要
2007 年のタイ国内の食品製造業者数は 116,146 業者であり、製造業全体の 25%を占
める。業種別にみると、農産物加工(肉類、魚介類、果実、野菜、油脂類の加工)が
12,262 業者、乳製品が 986 業者、穀類加工(製粉、でん粉、調製飼料の製造)が 77,078
業者、その他食品が 21,236 業者、飲料が 4,584 業者となっている。
従業員数別の製造業者数でみると、食品製造業全体では従業員 20 人未満の小規模
事業者が 97%を占めている。これは 2001 年に施行された中小企業振興法において重点
的に対策を講じる必要があるとされる 13 業種に食品加工業が含まれていることも無
関係ではないとみられる(表 1-2)。
業態別にみた場合、食品製造業者の 93%が個人事業、1%が企業組合、2%が法人、3%
が国営、協同組合、その他の割合となっている。個人事業を除いた食品製造業者数は
7,938 であり、2000 年の 3,089 業者の 2.5 倍となっている(表 1-3)。
表 1-2 従業員別の食品製造業者数(2006 年)
単位:製造業者数
区分
20 人以下
21 人以上
%
合計
%
%
製造業全体
450,989
98%
10,217
2%
461,206
100%
食品製造業計
112,495
97%
3,651
3%
116,146
100%
食品加工
11,005
90%
1,257
10%
12,262
100%
肉類加工
4,558
96%
203
4%
4,761
100%
水産加工
3,751
86%
613
14%
4,364
100%
果実または野菜加工
2,465
88%
341
12%
2,806
100%
231
70%
100
30%
331
100%
897
91%
89
9%
986
100%
897
91%
89
9%
986
100%
76,261
99%
817
1%
77,078
100%
76,046
99%
595
1%
76,641
100%
56
47%
63
53%
119
100%
油脂製品
乳製品
乳製品
穀類加工
穀類ミルまたは製粉
スターチ製造
調製飼料
その他食品
ベーカリー製品
ショ糖
159
50%
159
50%
318
100%
20,032
94%
1,204
6%
21,236
100%
5,047
96%
204
4%
5,251
100%
530
88%
70
12%
600
100%
ココア、チョコレート、菓子
1,068
92%
89
8%
1,157
100%
マカロニ、麺類および同等品
5,249
98%
109
2%
5,358
100%
その他食品
8,138
92%
732
8%
8,870
100%
飲料(アルコール飲料含む)
4,300
94%
284
6%
4,584
100%
アルコールの醸造、蒸留
1,500
96%
65
4%
1,565
100%
94
84%
18
16%
112
100%
9
53%
8
47%
17
100%
2,697
93%
193
7%
2,890
100%
ワイン
モルト酒類、モルト
ソフトドリンク、ミネラルウォーター
備考:製造品別製造業者数は 5 年に一度公表されるため、2012 年 3 月現在の最新のデータである。
出所:タイ国統計局「The 2007 Industrial Census (Basic Information) Whole Kingdom」をもとにジェトロが
作成
3
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表 1-3 業態別の食品製造業者数(2006 年)
単位:製造業者数
個人事業
区分
企業組合
%
製造業全体
食品製造業計
国営企業、協同組合
ほか
法人
%
%
合計
%
%
425,547
108,208
92%
93%
8,210
1,592
2%
1%
22,001
2,848
5%
2%
5,448
3,498
1%
3%
461,206
116,146
100%
100%
10,529
4,392
3,740
86%
92%
86%
148
25
61
1%
1%
1%
949
160
409
8%
3%
9%
636
184
154
5%
4%
4%
12,262
4,761
4,364
100%
100%
100%
2,203
194
864
79%
59%
88%
51
11
13
2%
3%
1%
267
113
87
10%
34%
9%
285
13
22
10%
4%
2%
2,806
331
986
100%
100%
100%
乳製品
864
74,989
88%
97%
13
421
1%
1%
87
540
9%
1%
22
1,128
2%
1%
986
77,078
100%
100%
穀類ミルまたは製粉
スターチ製造
調製飼料
74,860
45
84
98%
38%
26%
390
15
16
1%
13%
5%
275
57
208
0%
48%
65%
1,116
2
10
1%
2%
3%
76,641
119
318
100%
100%
100%
ベーカリー製品
ショ糖
18,642
4,777
519
88%
91%
87%
344
24
10
2%
0%
2%
953
197
68
4%
4%
11%
1,297
253
3
6%
5%
1%
21,236
5,251
600
100%
100%
100%
933
5,155
81%
96%
16
32
1%
1%
47
70
4%
1%
161
101
14%
2%
1,157
5,358
100%
100%
7,258
3,184
777
82%
69%
50%
262
666
456
3%
15%
29%
571
319
38
6%
7%
2%
779
415
294
9%
9%
19%
8,870
4,584
1,565
100%
100%
100%
56
8
2,343
50%
47%
81%
17
193
15%
0%
7%
11
8
262
10%
47%
9%
28
1
92
25%
6%
3%
112
17
2,890
100%
100%
100%
食品加工
肉類加工
水産加工
果実または野菜加工
油脂製品
乳製品
穀類加工
その他食品
ココア、チョコレート、菓子
マカロニ、麺類および同等品
その他食品
飲料(アルコール飲料含む)
アルコールの醸造、蒸留
ワイン
モルト酒類、モルト
ソフトドリンク、ミネラルウォーター
備考:製造品別製造業者数は 5 年に一度公表されるため、2012 年 3 月現在の最新のデータである。
出所:タイ国統計局「The 2007 Industrial Census (Basic Information) Whole Kingdom」をもとにジェトロが作成
4
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②地域
地域別にみた場合、食品製造業者全体の 25%以上が東北部にあり、中部 20%と続く。業種では東部、中部、北部、東北部に穀類が最も多
く、都市部は製粉、单部は製氷が最も多い。東北地方は痩せた土地が多く水資源に乏しいため、干ばつに強いサトウキビ、キャッサバな
どの生産が主であり、東北地方の穀類業者は食品業者全体の 14%を占める(表 1-4)。
表 1-4 地域別の食品製造業者数(2006 年)
単位:製造業者数
食品製造業
乳製品
都市部 4 県
東部 8 県
%
中部 13 県
%
北部 17 県
%
東北部 19 県
%
383
南部 15 県
%
169
9%
90
5%
484
24%
19%
水産製品
1,183
16%
811
11%
2,793
38%
180
2%
肉類
2,061
20%
811
8%
2,275
22%
1,791
18%
氷
2,196
14%
1,802
11%
2,467
15%
2,545
16%
茶、コーヒー
1,858
34%
338
6%
721
13%
1,014
19%
香辛料
687
合計
%
%
35%
169
9%
1,982
100%
270
4%
2,196
2,512
25%
676
30%
7,434
100%
7%
10,126
100%
3,784
23%
1,002
19%
3,458
21%
16,253
100%
473
9%
5,406
100%
1,487
30%
1,014
21%
1,487
30%
293
6%
315
6%
315
6%
4,911
100%
アルコール飲料
180
19%
146
15%
315
33%
113
12%
180
19%
11
1%
946
100%
動植物からの油脂
496
15%
890
28%
473
15%
101
3%
191
6%
1,070
33%
3,221
100%
非アルコール飲料
991
27%
394
11%
788
21%
563
15%
563
15%
428
11%
3,728
100%
粉類
3,829
27%
1,138
8%
2,951
21%
1,825
13%
2,388
17%
1,949
14%
14,079
100%
砂糖
158
11%
259
18%
439
30%
214
15%
372
25%
23
2%
1,464
100%
穀類
1,363
4%
6,138
19%
3,920
12%
4,122
13%
16,129
50%
270
1%
31,942
100%
879
13%
845
12%
2,253
33%
1,678
25%
428
6%
710
10%
6,792
100%
1,295
16%
1,014
13%
2,793
36%
451
6%
1,002
13%
1,307
17%
7,862
100%
18,145
16%
15,690
14%
24,160
21%
15,273
13%
29,825
26%
13,054
11%
116,146
100%
野菜、果物
飼料
食品製造業計
備考:製造品別製造業者数は 5 年に一度公表されるため、2012 年 3 月現在の最新のデータである。
出所: タイ国工業局、タイ国統計局をもとにジェトロが作成
5
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③事業年数
食品製造業者の事業年数をみると 1980 年代後半から 90 年代前半に設立された事業年数 11~20 年が 33%を占め最も多く、31 年以上が 6%
と最も尐ない。業種別にみると乳製品、水産製品、肉類、アルコール飲料など近年消費を伸ばしてきた業者には新しい会社が多く、伝統
的なタイの食品産業である製粉、製糖、穀類の事業年数が比較的長い(表 1-5)。
表 1-5 事業年数別の食品製造業者数(2006 年)
単位:製造業者数
食品製造業
乳製品
1~5 年
6~10 年
%
11~20 年
%
21~30 年
%
31 年以上
%
合計
%
%
619
31%
496
25%
484
24%
225
11%
158
8%
1,982
100%
水産製品
2,602
35%
1,622
22%
2,455
33%
665
9%
90
1%
7,434
100%
肉類
5,361
53%
1,723
17%
2,298
23%
608
6%
135
1%
10,126
100%
氷
4,190
26%
2,658
16%
5,440
33%
2,343
14%
1,622
10%
16,253
100%
946
18%
856
16%
2,286
42%
991
18%
327
6%
5,406
100%
1,205
25%
676
14%
1,239
25%
1,295
26%
496
10%
4,911
100%
338
36%
180
19%
180
19%
180
19%
68
7%
946
100%
1,205
37%
586
18%
687
21%
518
16%
225
7%
3,221
100%
茶、コーヒー
香辛料
アルコール飲料
動植物からの油脂
非アルコール飲料
867
23%
946
25%
1,104
30%
698
19%
113
3%
3,728
100%
粉類
2,377
17%
2,027
14%
4,573
32%
4,179
30%
924
7%
14,079
100%
砂糖
248
17%
158
11%
563
38%
259
18%
237
16%
1,464
100%
穀類
2,748
9%
3,897
12%
12,705
40%
10,587
33%
2,005
6%
31,942
100%
野菜、果物
2,455
36%
1,183
17%
2,286
34%
710
10%
158
2%
6,792
100%
飼料
2,771
35%
1,171
15%
2,545
32%
946
12%
428
5%
7,862
100%
27,933
24%
18,179
16%
38,847
33%
24,205
21%
6,983
6%
116,146
100%
食品製造業
備考:製造品別製造業者数は 5 年に一度公表されるため、2012 年 3 月現在の最新のデータである。
出所: タイ国工業局、タイ国統計局をもとにジェトロが作成
6
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④資本金
食品製造業者における資本金登録業者の割合は 95%で、そのうち 1,000 万バーツ未満の業者が全体の 69%を占めている。一方、1 億バー
ツ以上は 5%となっている。業種別にみると、アルコール飲料、製糖業者がほかの業種に比較して資本金が大きい。一方、茶、コーヒー、
製粉は 7 割以上、穀類は 9 割以上が資本金 1,000 万バーツ未満である(表 1-6)。
表 1-6 資本金別の食品製造業者数(2006 年)
単位:製造業者数、100 万バーツ
食品製造業
乳製品
水産製品
肉類
<10
10-100
%
>100
%
登録なし
%
合計
%
%
867
44%
721
36%
237
12%
158
8%
1,982
100%
4,021
54%
2,298
31%
687
9%
428
6%
7,434
100%
6,792
67%
2,117
21%
687
7%
529
5%
10,126
100%
10,261
63%
4,978
31%
135
1%
879
5%
16,253
100%
茶、コーヒー
3,886
72%
946
18%
158
3%
417
8%
5,406
100%
香辛料
3,176
65%
1,047
21%
259
5%
428
9%
4,911
100%
101
11%
282
30%
496
52%
68
7%
946
100%
1,678
52%
867
27%
462
14%
214
7%
3,221
100%
氷
アルコール飲料
動植物からの油脂
非アルコール飲料
2,286
61%
867
23%
349
9%
225
6%
3,728
100%
粉類
10,081
72%
2,072
15%
372
3%
1,554
11%
14,079
100%
砂糖
394
27%
293
20%
619
42%
158
11%
1,464
100%
穀類
29,251
92%
2,027
6%
642
2%
23
0%
31,942
100%
野菜、果物
3,570
53%
2,196
32%
653
10%
372
5%
6,792
100%
飼料
4,303
55%
2,602
33%
586
7%
372
5%
7,862
100%
80,667
69%
23,315
20%
6,341
5%
5,823
5%
116,146
100%
食品製造業
備考:製造品別製造業者数は 5 年に一度公表されるため、2012 年 3 月現在の最新のデータである。
出所: タイ国工業局、タイ国統計局をもとにジェトロが作成
7
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⑤外国からの投資状況
外国からの投資を有する製造業は 5,938 業者であり 2000 年の 2,488 業者に比べ 2.4 倍と増加している。一方、食品製造業者数は 2000
年の 203 業者から 168 業者と減尐している。また、食品製造業者における国別の投資状況については、日本が 41%を占め最も多く、次いで、
台湾、EU、中国の順となっている。業種別でみた場合、水産加工、果実または野菜加工、その他食品で外国投資を受け入れている業者数
が多い。日本からの投資の受け入れが外国投資全体の半数を超えている業種は、水産加工、製粉、スターチ製造、ショ糖である。その他
の国の状況としては EU の乳製品、調製飼料、米国のソフトドリンク、ミネラルウォーター業種への投資が目立つ(表 1-7)。
表 1-7 食品製造業者における国別投資状況(2006 年)
単位:製造業者数
区分
日本
韓国
%
製造業全体
シンガポー
ル
台湾
%
%
中国
%
米国
%
EU
%
その他
%
合計
%
%
2,133
36%
213
4%
465
8%
286
5%
202
3%
607
10%
1,106
19%
926
16%
5,938
100%
食品製造業計
69
41%
3
2%
23
14%
1
1%
9
5%
17
10%
23
14%
23
14%
168
100%
食品加工
25
42%
2
3%
13
22%
0
0%
5
8%
3
5%
5
8%
6
10%
59
100%
肉類加工
6
43%
0
0%
1
7%
0
0%
3
21%
2
14%
2
14%
0
0%
14
100%
水産加工
13
52%
2
8%
3
12%
0
0%
1
4%
1
4%
1
4%
4
16%
25
100%
果実または野菜加工
6
35%
0
0%
7
41%
0
0%
1
6%
0
0%
1
6%
2
12%
17
100%
油脂製品
0
0%
0
0%
2
67%
0
0%
0
0%
0
0%
1
33%
0
0%
3
100%
2
33%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
1
17%
3
50%
0
0%
6
100%
乳製品
乳製品
2
33%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
1
17%
3
50%
0
0%
6
100%
11
48%
0
0%
2
9%
0
0%
1
4%
4
17%
4
17%
1
4%
23
100%
穀類ミルまたは製粉
6
67%
0
0%
1
11%
0
0%
0
0%
2
22%
0
0%
0
0%
9
100%
スターチ製造
3
60%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
1
20%
0
0%
1
20%
5
100%
調製飼料
2
22%
0
0%
1
11%
0
0%
1
11%
1
11%
4
44%
0
0%
9
100%
穀類加工
8
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単位:製造業者数
区分
日本
韓国
%
その他食品
29
シンガポー
ル
台湾
%
%
中国
%
米国
%
EU
%
その他
%
合計
%
%
41%
1
1%
7
10%
1
1%
3
4%
6
9%
9
13%
14
20%
70
100%
ベーカリー製品
5
36%
0
0%
1
7%
1
7%
1
7%
1
7%
3
21%
2
14%
14
100%
ショ糖
1
100%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
1
100%
ココア、チョコレート、菓子
2
25%
0
0%
2
25%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
4
50%
8
100%
マカロニ、麺類および同等品
2
40%
0
0%
1
20%
0
0%
0
0%
0
0%
1
20%
1
20%
5
100%
19
45%
1
2%
3
7%
0
0%
2
5%
5
12%
5
12%
7
17%
42
100%
2
20%
0
0%
1
10%
0
0%
0
0%
3
30%
2
20%
2
20%
10
100%
アルコールの醸造、蒸留
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
100%
ワイン
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
100%
モルト酒類、モルト
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
0%
0
100%
ソフトドリンク、ミネラルウォーター
2
20%
0
0%
1
10%
0
0%
0
0%
3
30%
2
20%
2
20%
10
100%
その他食品
飲料(アルコール飲料含む)
備考:製造品別製造業者数は 5 年に一度公表されるため、2012 年 3 月現在の最新のデータである。
出所:タイ国統計局をもとにジェトロが作成
9
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⑥外国への投資状況
2010 年のタイから外国への株式投資純額は 1,739 億バーツであり、製造業による投資は
988 億バーツと 57%を占める。食品、砂糖製造業は 143 億バーツであり、製造業の 14%を占
める(表 1-8)。
表 1-8 タイから外国への株式投資純額 業種別(2000~2010 年)
単位:億バーツ
年
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
468
1,091
828
1,085
1,561
1,248
1,349
1,501
1,996
1,412
988
食品、砂糖
38
68
11
102
69
-6
30
88
49
70
143
繊維
14
31
18
18
18
33
-8
21
11
9
16
金属、非金属
55
136
100
141
141
85
123
195
-6
28
24
電気製品
92
231
137
202
426
371
367
116
421
54
114
製造業
機械、輸送機器
121
282
271
283
536
498
446
493
496
814
172
化学
28
149
169
134
166
165
60
91
117
117
119
石油化学
29
3
-29
39
50
-23
131
109
-149
67
66
建材
20
2
3
-5
18
8
3
11
2
4
3
その他
71
189
147
171
136
118
198
378
1,057
249
332
金融
53
-81
30
-10
152
621
853
522
8
-216
69
商業
214
374
65
79
127
164
233
403
45
144
186
建設
1
3
7
20
20
15
-40
17
34
2
-77
鉱業
7
141
112
120
71
-14
77
223
-23
196
119
農業
0
-3
1
4
7
5
0
1
0
1
2
サービス業
197
43
142
194
126
148
128
240
113
27
97
投資
-20
-10
-256
109
-52
-1
830
111
2
0
2
不動産
31
34
44
3
-131
11
32
398
383
246
218
その他
188
121
212
313
309
-2
-29
137
0
0
136
1,139
1,713
1,185
1,918
2,190
2,195
3,432
3,552
2,559
1,813
1,739
合計
備考:・2009 年、2010 年は暫定値
・表中の数値は銀行への投資を含まない。
出所:タイ中央銀行 Net Flow of Foreign Equity Investment Classified by Sector
10
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ASEAN FTA、ACMECS など貿易促進策により、周辺国に原材料供給、製造の拠点を拡大す
る動きがある。飲食品製造業者の近年の主な周辺国への投資動向は以下のとおりである(表
1-9)。
表 1-9 食品製造業各社の近年の周辺諸国への投資動向
社名
投資国
投資額
内容
出所
アグリバンクが CP グループ
4 兆ベトナムド
CP グループ
ベトナム
ン
CP グループ
カンボジア
5 億バーツ
CP グループ
ロシア
5 億バーツ
CP グループ
マレーシア
コカ・ホールディ
英国、日本、香港、イ
2 億 5 千万バー
ツ
2010 年 11 月 17 日
のベトナムにおける農業開発
に協力合意
「VietBiz24」
養豚・養鶏農場、食品工場の 2011 年 1 月 26 日
建設
飼料工場、養豚場の建設
エビ養殖場の建設
[CPF Worldnews]
2011 年 1 月 26 日
[CPF Worldnews]
2011 年 1 月 27 日
[CPF Worldnews]
タイレストランの海外出展計 2011 年 7 月 21 日
ング・インターナ ンドネシア、フィリピ 1 億バーツ
画
ショナル社
プレジデントフ
ーズ社
ミットポンシュ
「Bangkok Post」
ンなど
ベトナム
オーストラリア
ガー社
10 億バーツ
ベトナムにおける即席麺工場 2011 年 10 月 10 日
建設に意欲
「Bangkok Post」
3 億 1300 万ド
オーストラリア製糖老舗 MSF
2011 年 11 月 9 日
ル
シュガー社を取得
「Businessweek」
8 億台湾元(約
台湾現地法人の飼料工場と食 2011 年 12 月 26 日
CP フーズ社
台湾
20 億 6,000 万
品加工工場の新設
「newsclip」
円)
2011 年 11 月香港法人の株式
2012 年 1 月 31 日
CP フーズ社
香港
21 億ドル
74%を取得し、中国、ベトナム
「Businessweek」
進出への足がかりとする
11
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⑦輸出状況
2003 年より政府が推進する官民一体となったプロジェクト「世界の台所(キッチン・オ
ブ・ザ・ワールド)」計画がある。この目的の一つにタイ食品の輸出促進があげられる。食
品の品質管理、
衛生管理の向上をめざし、輸出向け食品製造の多くは、工場において HACCP、
ISO 等の規格を取得しているが、タイ国保健省の一部門である食品医薬局(FDA:Food and
Drug Administration)が 2000 年に発布した「第 193 号保健省令(Notification of Ministry
of Public Health No.193/2543)」において、GMP (Good Manufacturer Practice) 基準へ
の適合が求められるようになっている。
食品生産に占める国内消費/輸出の割合をみると、輸出の割合が多い食品として、水産冷
凍食品、野菜果物冷凍食品、ドライフルーツ、ツナなど水産物缶詰、コーンなど缶詰野菜、
パイナップルなど缶詰果実、粗糖、精製糖があげられる。国内販売が 8 割を占める畜肉鶏
肉冷凍食品のほとんどは鶏肉である。2004 年の鳥インフルエンザ発生により、生鮮・冷凍
鶏肉を輸入していた各国では、タイ産生鮮・冷凍鶏肉の禁輸措置が講じられたが、「フラ
イドチキン」や「焼き鳥」などの鶏肉の加熱加工品(鶏肉調製品)については一定の基準
を満たしたものの輸出が可能であり、現在は日本向けなど主要国向けの輸出は鶏肉調製品
に切り替わった。
表 1-10 食品生産に占める国内消費/輸出の割合(2007~2011 年)
単位:千トン
2007 年
国内販売
水産冷凍食品
輸出
計
国内販売
野菜果物冷凍食品
輸出
計
2008 年
2009 年
2010 年
2011 年
19
10.4%
16
9.0%
16
8.7%
19
9.3%
23
11.3%
164
89.6%
162
91.0%
168
91.3%
186
90.7%
180
88.7%
183 100.0%
178 100.0%
184 100.0%
205 100.0%
203 100.0%
2
14.7%
1
47.4%
3
16.7%
2
10.5%
2
10.0%
13
85.3%
1
52.6%
15
83.3%
17
89.5%
18
90.0%
16 100.0%
2 100.0%
18 100.0%
19 100.0%
20 100.0%
国内販売
414
80.3%
401
79.9%
430
81.9%
453
80.9%
452
80.4%
輸出
101
19.7%
101
20.1%
95
18.1%
107
19.1%
110
19.6%
畜肉鶏肉冷蔵冷凍食
品
計
国内販売
乳・乳製品
輸出
計
国内販売
アイスクリーム
輸出
計
国内販売
フルーツジュース
輸出
計
ドライフルーツ
515 100.0%
502 100.0%
525 100.0%
560 100.0%
562 100.0%
141
71.3%
136
76.4%
137
77.0%
156
77.6%
190
79.2%
57
28.7%
42
23.6%
41
23.0%
45
22.4%
50
20.8%
198 100.0%
178 100.0%
178 100.0%
201 100.0%
240 100.0%
52
91.8%
58
90.6%
60
92.3%
67
87.0%
72
91.1%
5
8.2%
6
9.4%
5
7.7%
10
13.0%
7
8.9%
57 100.0%
64 100.0%
65 100.0%
77 100.0%
20
12.8%
16
11.9%
13
10.8%
21
16.3%
154
55.2%
135
87.2%
119
88.1%
107
89.2%
108
83.7%
125
44.8%
155 100.0%
135 100.0%
120 100.0%
129 100.0%
79 100.0%
279 100.0%
国内販売
2
8.5%
2
8.0%
2
8.0%
3
11.1%
2
8.7%
輸出
2
8.5%
23
92.0%
23
92.0%
24
88.9%
21
91.3%
28
17.1%
計
25 100.0%
25 100.0%
27 100.0%
12
Copyright(C) 2012 JETRO. All rights reserved.
23 100.0%
国内販売
ソーセージ
輸出
0
計
国内販売
ツナ缶詰
輸出
計
イワシ缶詰
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
18 100.0%
17 100.0%
14 100.0%
15 100.0%
19 100.0%
14
4.0%
18
4.6%
23
5.4%
23
5.1%
32
7.5%
341
96.0%
371
95.4%
406
94.6%
425
94.9%
392
92.5%
356 100.0%
389 100.0%
429 100.0%
448 100.0%
424 100.0%
42.9%
20
48.8%
12
31.6%
7
12.7%
輸出
19
57.5%
12
57.1%
21
51.2%
26
68.4%
48
87.3%
33 100.0%
21 100.0%
41 100.0%
38 100.0%
55 100.0%
国内販売
0
4.5%
0
7.4%
1
23.1%
0
9.1%
0
4.8%
輸出
0
4.5%
5
92.6%
2
76.9%
2
90.9%
2
95.2%
7
9.0%
5 100.0%
3 100.0%
2 100.0%
2 100.0%
1
1.5%
1
1.6%
2
3.5%
2
3.1%
2
3.3%
90
98.5%
62
98.4%
55
96.5%
62
96.9%
58
96.7%
輸出
92 100.0%
63 100.0%
57 100.0%
64 100.0%
60 100.0%
国内販売
1
33.9%
1
33.3%
1
23.1%
1
66.7%
-
-
輸出
2
66.1%
2
66.7%
2
76.9%
1
33.3%
-
-
計
3 100.0%
3 100.0%
3 100.0%
2 100.0%
-
-
国内販売
2
23.7%
1
16.7%
2
40.0%
2
33.3%
2
40.0%
輸出
5
76.3%
5
83.3%
3
60.0%
4
66.7%
3
60.0%
計
その他野菜缶詰
0
19 100.0%
9
計
野菜漬物缶詰
0.0%
15 100.0%
42.5%
国内販売
たけのこ缶詰
0
14 100.0%
14
計
コーン缶詰
0.0%
17 100.0%
国内販売
計
ベビーコーン缶詰
18 100.0%
7 100.0%
6 100.0%
5 100.0%
6 100.0%
5 100.0%
国内販売
0
8.5%
0
11.8%
0
37.5%
1
45.5%
-
-
輸出
5
91.5%
3
88.2%
1
62.5%
1
54.5%
-
-
1 100.0%
-
-
計
6 100.0%
3 100.0%
1 100.0%
単位:千トン
2007 年
国内販売
パイナップル缶詰
輸出
計
ロンガン缶詰
2009 年
2010 年
1
0.4%
1
0.3%
0
0.2%
261
99.6%
312
99.7%
251
99.8%
246 99.8%
302 99.8%
251 100.0%
247 100.0%
303 100.0%
262 100.0%
313 100.0%
1
2011 年
0.2%
1
0.2%
国内販売
0
40.3%
0
33.3%
0
66.7%
0 80.0%
-
-
輸出
0
59.7%
0
66.7%
0
33.3%
0 20.0%
-
-
計
ランブータン缶詰
2008 年
0 100.0%
1 100.0%
0 100.0%
1 100.0%
-
-
国内販売
0
3.3%
0
3.6%
-
-
-
-
-
-
輸出
0
96.7%
0
96.4%
-
-
-
-
-
-
0 100.0%
-
-
-
-
-
-
計
1 100.0%
13
Copyright(C) 2012 JETRO. All rights reserved.
国内販売
その他果実缶詰
輸出
計
国内販売
大豆油
輸出
計
国内販売
ココナツ油
輸出
1
3.7%
0
2.4%
15
96.6%
13
96.3%
12
97.6%
9 94.7%
10 96.2%
1
5.3%
10 100.0%
16 100.0%
14 100.0%
12 100.0%
10 100.0%
80
96.8%
64
94.1%
74
97.4%
89 98.9%
3
3.2%
4
5.9%
2
2.6%
1
0
3.8%
-
-
1.1%
-
-
82 100.0%
68 100.0%
76 100.0%
90 100.0%
-
11 100.0%
19
99.0%
21 100.0%
13 100.0%
9 100.0%
0
1.0%
0.0%
11 100.0%
19 100.0%
0
0.0%
21 100.0%
国内販売
89
87.4%
118
92.9%
120
94.5%
輸出
13
12.6%
9
7.1%
7
5.5%
計
タピオカスターチ
3.4%
0
計
米ぬか原油
1
0
0.0%
0
0.0%
13 100.0%
9 100.0%
118 95.9%
131 99.2%
5
4.1%
1
0.8%
102 100.0%
127 100.0%
127 100.0%
123 100.0%
132 100.0%
国内販売
406
53.2%
361
54.0%
487
59.4%
527 61.8%
491 52.6%
輸出
357
46.8%
308
46.0%
333
40.6%
326 38.2%
442 47.4%
820 100.0%
853 100.0%
933 100.0%
計
763 100.0%
669 100.0%
国内販売
26
68.6%
25
69.4%
21
65.6%
26 66.7%
35 71.4%
輸出
12
31.4%
11
30.6%
11
34.4%
13 33.3%
14 28.6%
32 100.0%
39 100.0%
49 100.0%
クラッカー、ビスケ
ット
計
国内販売
ウエハース
輸出
計
クッキー
13
98.4%
10
94.3%
9
92.8%
11 84.6%
13 86.7%
0
1.6%
1
5.7%
1
7.2%
2 15.4%
2 13.3%
11 100.0%
10 100.0%
13 100.0%
15 100.0%
国内販売
5 100.0%
4 100.0%
4 100.0%
4 100.0%
4 100.0%
輸出
0
0
0
0
0
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
5 100.0%
4 100.0%
4 100.0%
4 100.0%
4 100.0%
国内販売
3 100.0%
2 100.0%
2 100.0%
3 100.0%
3 100.0%
輸出
0
0
0
0
0
計
粗糖
36 100.0%
13 100.0%
計
ケーキ
38 100.0%
0.0%
3 100.0%
0.0%
2 100.0%
国内販売
238
19.4%
224
輸出
992
80.6% 1,624
12.1%
0.0%
2 100.0%
418
87.9% 1,197
25.9%
0.0%
0.0%
3 100.0%
3 100.0%
342 24.1%
283 11.8%
74.1% 1,076 75.9% 2,107 88.2%
計 1,230 100.0% 1,848 100.0% 1,615 100.0% 1,418 100.0% 2,390 100.0%
白砂糖
国内販売
992
74.1% 1,068
81.9% 1,029
68.0%
961 73.8% 1,069 76.6%
輸出
347
25.9%
18.1%
32.0%
341 26.2%
236
485
327 23.4%
計 1,340 100.0% 1,304 100.0% 1,514 100.0% 1,302 100.0% 1,396 100.0%
国内販売
精製糖
輸出
341
1,236
21.6%
484
78.4% 1,071
31.1%
556
34.6%
671 40.5%
642 41.6%
68.9% 1,052
65.4%
985 59.5%
902 58.4%
計 1,577 100.0% 1,555 100.0% 1,608 100.0% 1,656 100.0% 1,544 100.0%
14
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単位:千トン
2007 年
国内販売
黒糖
輸出
1,884
29
2008 年
98.5% 2,183 95.4%
1.50%
105
4.6%
計 1,913 100.0% 2,288 100.0%
国内販売
インスタント麺
輸出
計
国内販売
125
2009 年
1,951
164
2010 年
92.2% 2,052
7.8%
2011 年
97.9% 2,885
44
2.1%
132
95.6%
4.4%
2,115 100.0% 2,096 100.0% 3,017 100.0%
84.0%
114 80.9%
123
80.9%
138
83.1%
156
83.9%
24 16.00%
27 19.1%
29
19.1%
28
16.9%
30
16.1%
149 100.0%
141 100.0%
2,128 100.0% 1,988 100.0%
152 100.0%
166 100.0%
186 100.0%
-
-
-
-
-
-
0.0%
-
-
-
-
-
-
計 2,128 100.0% 1,988 100.0%
-
-
-
-
-
-
しょうゆ、大豆調味
料
輸出
0
0.00%
0
※表中の数値は、以下出所が独自に各製造業者にアンケートを実施し集計したものである。
出所:The Office of Industrial Economics
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⑧日系食品製造業の概況
タイの主な日系食品製造業は以下のとおりである(表 1-11)。
工業団地に入居するほとんどの企業がタイ投資委員会(BOI)の奨励恩典を取得している(表
1-12)。
表 1-11 主な日系食品製造業
社名
製造品
設立
資本金
(千バーツ)
THAILAND FISHERY COLDSTORAGE PUBLIC CO., 冷凍養殖エビ(ブラックタイガー、
1994 年 3 月
LTD.
バナメイ)
2,150,000
SEA VALUE PUBLIC CO., LTD.
冷凍魚介類の製造輸出
2,000,000
THAI LOTTE CO., LTD.
チューインガム・キャンディーの製
1988 年 10 月
造およびロッテ製品の輸出入
1,570,000
THAI FOODS INTERNATIONAL CO., LTD.
調味料製造・販売
1988 年 9 月
1,410,585
KT MSG CO., LTD.
うまみ調味料
1993 年 2 月
1,000,000
THAI PINEAPPLE CANNING INDUSTRY CO.,
LTD.
パイナップル缶詰
1962 年 9 月
800,000
AJINOMOTO CO., (THAILAND) LTD.
調味料など製造
1960 年 4 月
796,363
AJINOMOTO BETAGRO FROZEN FOODS
(THAILAND) CO., LTD.
冷凍食品の製造・販売
1995 年 5 月
764,000
MC-TOWA INTERNATIONAL SWEETENERS CO.,
LTD.
ガム・チョコレートなどの菓子原料
となる糖アルコール(マルチトー 2003 年 8 月
ル)の製造・販売
741,500
NAKORNPHET SUGAR LTD.
砂糖
1988 年 1 月
740,904
FUJI OIL (THAILAND) CO., LTD.
油脂や製菓・製パン素材の製造
2010 年 2 月
730,000
AJINOMOTO CALPIS BEVERAGE (THAILAND)
CO., LTD.
コーヒー飲料、乳酸飲料などの製造 1997 年 1 月
660,000
TIPCO F&B CO., LTD.
清涼飲料水、ジュース
1989 年 10 月
600,000
THE KUMPHAWAPI SUGAR CO., LTD.
砂糖
1963 年 9 月
538,230
NISSHIN STC FLOUR MILLING CO., LTD.
小麦粉の製造・販売
1991 年 8 月
530,000
TOYO PACK INTERNATIONAL CO., LTD.
飲料用 PET ボトルの製造販売、受託
2006 年 8 月
充填業務
510,000
KASET PHOL SUGAR CO., LTD.
砂糖
1946 年 6 月
500,000
CP-MEIJI CO., LTD.
チルド乳製品(牛乳・加工乳・乳飲
1989 年 2 月
料)、ドリンクヨーグルト
500,000
THAI NIPPON FOODS CO., LTD.
鶏肉加工品
1989 年 10 月
438,400
T. N. SUGAR INDUSTRY CO., LTD.
砂糖
1987 年 8 月
400,000
DUTCHMILL CO., LTD.
乳製品
1984 年 1 月
400,000
KEY INTERNATIONAL FOOD LTD.
2008 年 8 月
冷凍ヨーグルト、アイスクリーム 1995 年 3 月
400,000
AJINOMOTO BETAGRO SPECIALTY FOODS CO., SPF 技術による豚肉加工冷凍食品
2004 年 2 月
LTD.
(とんかつ、焼き豚、角煮)の生産
390,000
SIAM QUALITY STARCH CO., LTD.
タピオカ粉
1992 年 12 月
380,000
SONGKLA CANNING PUBLIC CO., LTD.
冷凍魚介類
1993 年 7 月
360,000
SIAMCHAI INTERNATIONAL FOOD CO., LTD.
魚すり身
1986 年 11 月
350,000
KIBUN (THAILAND) CO., LTD.
魚肉加工品の製造・加工・販売、農
1987 年 5 月
水産物の加工・販売
320,000
NISSIN FOODS (THAILAND) CO., LTD.
即席麺を中心とする即席食品の製
1994 年 1 月
造
310,000
16
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B FOODS PRODUCTS INTERNATIONAL CO., LTD. 鶏肉食肉処理
1990 年 7 月
300,000
KEWPIE (THAILAND) CO., LTD.
調味ソース・粉末調味料、瓶缶詰の
1994 年 4 月
製造販売。
260,000
AQY SAUCE CO., LTD.
しょうゆ、調味料の製造および販売 2004 年 4 月
240,000
MIZKAN (THAILAND) CO., LTD.
調味料、食品の製造
1994 年 12 月
240,000
THAI PRESIDENT FOODS PUBLIC CO., LTD.
「ママー」など即席麺の製造
1994 年 5 月
240,000
CHOLBURI SUGAR & TRADING CO., LTD.
砂糖
1959 年 5 月
230,600
SEA WEALTH FROZEN FOOD CO., LTD.
冷凍魚介類の製造、輸出
2003 年 7 月
210,000
CENTRAL POULTRY PROCESSING CO., LTD.
冷凍鶏肉
1978 年 6 月
200,000
T. M. FOODS CO., LTD.
インスタント麺
1988 年 6 月
200,000
CHOKCHAI MODIFIED STARCH CO., LTD.
タピオカ粉
2006 年 2 月
200,000
KERRY FLOUR MILLS LTD.
小麦粉
1989 年 12 月
200,000
NIPPN (THAILAND) CO., LTD.
プレミックス類等の製造、販売
2006 年 3 月
200,000
NISSUI (THAILAND) CO., LTD.
鮭加工品
2005 年 2 月
200,000
ITO HAM BETAGRO FOODS CO., LTD.
食肉加工品の製造、および食肉と食
2009 年 3 月
肉加工品の輸入、販売
172,000
SIAM MODIFIED STARCH CO., LTD.
タピオカ粉
1985 年 7 月
170,000
SIAM ALGAE CO., LTD.
食用藻類スピルリナの製造販売
1977 年 8 月
167,600
SIAM ARROWNY (SA) CO., LTD.
米粉
2001 年 11 月
150,062
SIAM DELMONTE CO., LTD.
野菜・果物等を用いたレトルト食品 2005 年 1 月
150,000
THAI YOKOREI CO., LTD.
冷蔵・冷凍倉庫業および凍結サービ
1989 年 12 月
ス、食品の輸出入・販売
139,000
SHRUFF INTERNATIONAL CO., LTD.
食品加工・冷凍食品・水産加工・冷
凍倉庫・貿易(すっぽん・羽毛・缶 1979 年 3 月
詰・食品添加物・飲料・アミノ酸等)
131,404
SIAM YAMAMORI CO., LTD.
レトルト食品の製造・販売・輸出 2004 年 2 月
130,000
SIAM FOOD SUPPLY CO., LTD.
冷凍魚介類
1972 年 11 月
120,000
THAICHUROS CO., LTD.
グルタミン酸ナトリウム
1958 年 3 月
120,000
K & U ENTERPRISE CO., LTD.
日本向けすし種(エビ、イカ、サー
モン)の生産・輸出および冷凍食品 2005 年 5 月
の米国、EU向け生産・販売
120,000
KINGFISHER HOLDINGS LTD.
冷凍イカ・エビ・エビフライ・サバ
1972 年 2 月
竜田揚げ
119,912
SMTC CO., LTD.
米菓の製造
1990 年 1 月
113,640
UENO FINE CHEMICALS INDUSTRY (THAILAND) ソルビトールなど糖アルコールの
1988 年 2 月
LTD.
製造
110,000
THAI NIPPON VEGETABLE CO., LTD.
2000 年 6 月
108,000
AJINOMOTO FROZEN FOODS (THAILAND) CO., 鶏肉・野菜等を原料とした調理冷凍
1990 年 9 月
LTD.
食品の製造・輸出・タイ国内販売
105,000
TRANG SURE CO., LTD.
冷凍魚介類
1989 年 1 月
100,000
SAHACHOL FOOD SUPPLIES CO., LTD.
漬物、こんにゃく製品
1979 年 6 月
100,000
CEREBOS (THAILAND) CO., LTD.
ツバメの巣入り健康食品など
1974 年 2 月
100,000
FUSO (THAILAND) CO., LTD.
食品メーカー向け配合製剤、調味
2008 年 8 月
料、食品添加物、食品素材の製造
100,000
SIAM KIRIN BEVERAGE CO., LTD.
清涼飲料水の製造販売
100,000
冷凍野菜、冷凍果物
2005 年 5 月
17
Copyright(C) 2012 JETRO. All rights reserved.
TEP KINSHO FOODS CO., LTD.
冷凍加工食品(えびフライ等のえび
製品・たこ焼き・お好み焼き)製造 1988 年 6 月
並びに輸出、国内販売
100,000
SURAPON NICHIREI FOODS CO., LTD.
冷凍食品(から揚げ、エビフライ、
1988 年 3 月
てんぷら)
100,000
SOUTHEAST ASIAN PACKAGING AND CANNING
LTD.
健康補助食品
1985 年 11 月
90,000
SIAM ALOEVERA (2005) CO., LTD.
アロエベラ缶ジュース
2005 年 4 月
90,000
PROSPER FOODS INDUSTRY LTD.
フルーツ缶詰、その他缶詰
1990 年 2 月
87,500
PRESERVED FOOD SPECIALTY CO., LTD.
ドライフルーツ他
1994 年 5 月
85,900
THAI-TAI-CO-AGRICULTURE CO., LTD.
生姜漬物製造
1981 年 5 月
83,000
HESCO FOOD INDUSTRY CO., LTD.
米菓(あられ、せんべい)
1986 年 6 月
81,000
THAI TOYO GLUCOSE CO., LTD.
小麦粉
1993 年 5 月
80,000
BETAGRO SAFETY MEAT PACKING CO., LTD.
豚肉処理
2002 年 1 月
80,000
THAI DELMAR CO., LTD.
水産加工および輸出販売 旧社名
1989 年 11 月
CO-OP FOODS (THAILAND) CO., LTD.
72,000
HIC (THAILAND) CO., LTD.
冷凍魚介類、冷凍野菜
2004 年 6 月
70,000
THAI COSMOS FOODS CO., LTD.
水産物、畜肉、野菜果物などフリー
1989 年 2 月
ズドライ食品、冷凍食品
70,000
BETAGRO-DAINIPPON TECHNO-EX CO., LTD.
畜産エキス・スープ
70,000
THAI NIKKEN FOODS CO., LTD.
発酵食品、香料、魚介類、野菜の乾
2011 年 3 月
物
70,000
THAI NISSHIN SEIFUN CO., LTD.
パスタソース缶詰、冷凍調理食品の
1988 年 3 月
製造・販売
67,000
THAI REFINED SALT CO., LTD.
食塩、調理塩、精製塩
1988 年 3 月
66,000
LANNA PRODUCTS CO., LTD.
冷凍野菜、冷凍果実
1989 年 2 月
66,000
THAI YAMAZAKI CO., LTD.
パン、生菓子
1984 年 7 月
64,000
PRINCESS FOODS CO., LTD.
冷凍果物
1997 年 6 月
60,500
UNION FROST CO., LTD.
冷凍野菜(ベビーコーン、えだ豆、
1989 年 11 月
えんどう豆)
60,000
WAN THAI FOODS INDUSTRY CO., LTD.
インスタントラーメン「ヤムヤ
ム」・レトルト食品製造
60,000
THAI Q.P. CO., LTD.
サハ・パタナ社と共同設立。タイ国
にてキユーピーブランドのマヨネ
1987 年 2 月
ーズ、食酢、ケチャップ、その他食
品全般の製造販売。
60,000
HANAMI-TOHATO CO., LTD.
スナック菓子の製造・販売
1985 年 2 月
60,000
ASIA MODIFIED STARCH CO., LTD.
化工澱粉、クエン酸の製造
1987 年 9 月
56,000
SANTIPHAB TRADING CO., LTD.
漬物
1988 年 5 月
55,000
SHIN SHOWA TRADING CO., LTD.
水産加工、冷凍菓子
1979 年 1 月
50,561
CEO AGRIFOOD LTD.
健康補助食品
2005 年 10 月
50,000
TAPIOCA DEVELOPMENT CO., LTD.
タピオカ粉
1985 年 3 月
50,000
RS CANNERY CO., LTD.
ツナ缶
1980 年 11 月
50,000
PRANBURI HOTEI CO., LTD.
パイナップル缶詰・アロエ缶詰およ
1994 年 6 月
び濃縮ジュースの製造・販売
50,000
N & N FOODS CO., LTD.
冷凍食品の製造・輸出
1990 年 1 月
50,000
N.E. AGRO INDUSTRY CO., LTD.
砂糖
1992 年 11 月
40,000
SIAM UKF CO., LTD.
パン、パン粉、小麦粉ミックス
1996 年 3 月
40,000
2002 年 12 月
1971 年 10 月
18
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BETAGRO NOSAN CO., LTD.
ヨード卵光の日本農産とベタグロ
の合弁 タイではコールドチェー 2009 年 10 月
ン卵「S Pure」
40,000
NIC STARCH PRODUCTS CO., LTD.
加工澱粉の製造・販売
40,000
SUN FLOUR STARCH INDUSTRY CO., LTD.
うるち米、もち米、コーンスターチ 2002 年 11 月
37,200
PACIFIC KANEKA FOODS CO., LTD.
冷凍水産加工品(つみれ、カニツメ、
1990 年 1 月
カニかまぼこ、イカカマ)
37,000
SIAM STARCH (1966) CO., LTD.
タピオカ粉
1967 年 2 月
36,000
YAKULT (THAILAND) CO., LTD.
ヤクルト
1970 年 10 月
35,000
THAI-NICHI INDUSTRIES CO., LTD.
あられの生産
1989 年 7 月
34,600
J-GOURMET CO., LTD.
冷凍魚、すし種などの製造
2006 年 10 月
33,000
JP BIO SCIENCE CO., LTD.
健康補助食品
2004 年 4 月
32,000
KOBE-YA SHOKUHIN KOGYO CO., LTD.
生鮮・冷凍魚・一般日本食材・雑貨
品の専門卸問屋および一部食材の 1989 年 3 月
加工
32,000
TIM FOOD CO., LTD.
冷凍野菜・果物の加工、輸出
1988 年 12 月
32,000
S.C. SHOKUHIN CO., LTD.
冷凍魚介類、冷凍総菜
1987 年 8 月
2000 年 1 月
30,000
NATHON INTERNATIONAL FROZEN FOODS CO.,
冷凍野菜、冷凍果物
LTD.
2003 年 10 月
30,000
KENMIN FOODS (THAILAND) CO., LTD.
ビーフンの製造・販売
1987 年 12 月
30,000
SNB AGRI PRODUCTS LTD.
米油製造。米糠の搾油、米糠原油、
1988 年 1 月
脱脂糠の販売
30,000
THAI NISSHIN TECHNOMIC CO., LTD.
冷凍食品用およびベーカリー用プ
1991 年 3 月
レミックスの製造・販売
30,000
SENSO FOOD (THAILAND) CO., LTD.
その他食品
2011 年 3 月
30,000
KLORMAN (THAILAND) CO., LTD.
健康補助食品
1994 年 9 月
28,000
PET TREATS LTD.
犬用ささみジャーキー・クッキー等
2000 年 11 月
の製造工場、主に日本向け輸出
25,000
T. N. D. FOODS INDUSTRIES CO., LTD.
佃煮、総菜、レトルト食品、冷凍食
1990 年 10 月
品
25,000
DOUBLE FLOWERING CAMELLIA CO., LTD.
鶏肉、豚肉スープ
24,640
VANGUARD FOODS (THAILAND) CO., LTD.
冷凍食品・鶏肉食品・冷凍野菜およ
1993 年 12 月
び生鮮野菜の製造・販売・輸出
23,000
SNACKY THAI CO., LTD.
貿易業務
22,000
THAI CHIM LTD.
業務用冷凍食品製造・販売(油揚
げ・湯葉・生麸・その他精進料理用 1989 年 12 月
加工食品)
21,000
NISSIN INTERNATIONAL CO., LTD.
畜肉製品(ソーセージ・ベーコン・
1995 年 2 月
ハム・焼豚)の製造
21,000
FANG AGRI FOODS PRODUCTS CO., LTD.
フルーツ缶詰
1991 年 2 月
20,000
SIMIKAN FOODS CO., LTD.
冷凍魚介類
2001 年 12 月
20,000
THAI GLICO CO., LTD.
チョコレート・プレッツェル・ビス
1970 年 4 月
ケット等の菓子製品の製造・販売
20,000
OSOTSPA TAISHO CO., LTD.
栄養ドリンク(リポビタン D、M150、
1996 年 3 月
シャーク)
20,000
UNITED KYOEI FOODS CO., LTD.
生パン粉(冷凍・チルド)・バッター
1988 年 7 月
ミックスの製造・販売
20,000
CHIANGRAI AGRO-INDUSTRY CO., LTD.
野菜・果物製品製造
2009 年 6 月
20,000
CALBEE TANAWAT CO., LTD.
「かっぱえびせん」をはじめとした
1980 年 4 月
スナック菓子食品の製造・販売
18,000
1997 年 7 月
1989 年 1 月
19
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SUN FOODS CO., LTD.
酒類(米焼酎・本格みりん)製造・輸
1977 年 2 月
出
16,500
NEW ASIA FARMS (THAILAND) CO., LTD.
乾物
1981 年 7 月
16,000
PAITOON SAPLEE CO., LTD.
冷凍魚介類
1990 年 8 月
16,000
KAWASHO FOODS (THAILAND) CO., LTD.
缶詰・冷凍食品一般
1986 年 9 月
16,000
KANEJIN JAPAN (THAILAND) CO., LTD.
スターチ類の製造
2011 年 5 月
14,400
NAGAI PACKAGE (THAILAND) CO., LTD.
菓子調味料、インスタント麺調味料 1996 年 6 月
14,000
SIAM BICENT COMMERCIAL CO., LTD.
缶詰
1983 年 9 月
12,000
BIO PACKING CO., LTD.
タピオカ製粉
2011 年 6 月
11,750
ASIA FINEST CO., LTD.
イカ加工品、チーズたらなど珍味 2005 年 5 月
11,000
SIAM TUNA SUPPLY CO., LTD.
冷凍魚介類
1996 年 9 月
10,000
PIRAAB STARCH CO., LTD.
タピオカ粉
1983 年 11 月
10,000
THAI EIYOH CO., LTD.
イカ、エビフリーズドライ製品
2000 年 6 月
10,000
SUNFLOWER AND NAKANO FOOD CO., LTD.
インスタント米粉食品
2002 年 11 月
10,000
TANIO THAI CO., LTD.
うずら卵缶詰・あん製造
1988 年 11 月
10,000
UTAANDON (THAILAND) CO., LTD.
うどん、そば
1991 年 6 月
10,000
ASAN SERVICE CO., LTD.
しょうゆ、酒、食材
1986 年 8 月
10,000
THAI NIPPON RABJ CO., LTD.
魚コラーゲン(液体、粉末、グラニ
2003 年 11 月
ュー)
10,000
THAI-NICHI CHIANGRAI CO., LTD.
食材、ドライフルーツ、野菜
1995 年 7 月
10,000
DELICA FOODS CO., LTD.
冷凍総菜、冷凍すし種
2001 年 7 月
10,000
FIC-LACTO CO., LTD.
健康補助食品
1998 年 7 月
8,000
THAI OKABE PROMOTION CO., LTD.
イリコ・カワハギ・シマアジ・イト
1991 年 3 月
ヨリの加工製造・輸出
8,000
CONDIMENT FACTORY CO., LTD.
カクテルソース、スイートチリソー
2007 年 4 月
ス、魚介類ソースなど調味料
8,000
BIOFEED (THAILAND) CO., LTD.
健康補助食品
1996 年 10 月
7,000
KOMEYA CO., LTD.
日本米
1999 年 1 月
7,000
MY BAKERY CO., LTD.
パン、生菓子
1996 年 4 月
6,800
SUMMIT FOOD INDUSTRIES CO., LTD.
パン
1973 年 6 月
5,000
SUMMIT FROZEN FOOD CO., LTD.
冷凍魚介類
1980 年 12 月
5,000
CHAU CHYUN CO., LTD.
米ぬか脂
1988 年 8 月
5,000
THAI SANESU CHEMICAL CO., LTD.
キチン・キトサン・グルコサミン・
コラーゲン・セリシンの製造販売、
1987 年 7 月
上記産品活用の健康食品・飼料・肥
料の製販
5,000
SIAM HARVEST CO., LTD.
キャベツ・たまねぎなどの野菜加工 1995 年 6 月
5,000
OKK (THAILAND) CO., LTD.
すし用ガリ等の原料となる塩蔵生
1991 年 3 月
姜を生産し、日本やアメリカに輸出
5,000
SATSUKI (THAILAND) CO., LTD.
焼き魚、魚加工品
2001 年 5 月
5,000
RACHAMONGKOL RICE CO., LTD.
精米
1998 年 10 月
5,000
CRYSTAL FOOD CO., LTD.
豆腐の宅配サービス
2002 年 8 月
5,000
COMIC & BAKERY CO., LTD.
パン、ケーキ、クッキー
2007 年 9 月
4,500
AMINO CREATION CO., LTD.
貝類など水産加工品の製造
2010 年 6 月
4,500
20
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SOBA DOBO (THAILAND) CO., LTD.
そば
2001 年 6 月
4,000
KONG FUJI TRADING CO., LTD.
冷凍食品
1998 年 3 月
4,000
THAI GRANDEZA CO., LTD.
インスタント麺、レトルト食品
1996 年 9 月
4,000
WORLD TROPICAL FOOD CO., LTD.
生姜漬物、きゅうり漬物
1979 年 5 月
4,000
MIKI OJISAN (THAILAND) CO., LTD.
フレッシュチーズケーキ「MIKI お
2006 年 7 月
じさんの店」店舗展開
4,000
MIYASHITA SHOTEN CO., LTD.
豆腐、油揚げ、こんにゃく、豆乳 2002 年 7 月
4,000
NICHOW KIYO CO., LTD.
乾物
1987 年 4 月
3,000
SHIMAKYU CO., LTD.
プレミックス粉(から揚げ、てんぷ
2004 年 5 月
ら、バターミックス、餃子皮)
3,000
SIAM DAICHI CO., LTD.
魚すり身商品の製造輸出
2003 年 7 月
3,000
ICHIKYU FOOD (THAILAND) CO., LTD.
みそ
1991 年 7 月
3,000
I.T. CHEMICAL CO., LTD.
フルーツ缶詰
1997 年 11 月
2,000
DK FOOD CO., LTD.
健康補助食品
2007 年 8 月
2,000
SIAM ONODERA CO., LTD.
健康補助食品
1993 年 10 月
2,000
CHOI & TANAKA LTD., PART.
健康補助食品
2004 年 1 月
2,000
J T V CO., LTD.
アイスクリーム
2007 年 10 月
2,000
ITANISAN CO., LTD.
日本菓子(どら焼き、煎餅)
2004 年 12 月
2,000
BELL MARINE CO., LTD.
水産加工品
2007 年 7 月
2,000
SUN MARINE FROZEN PRODUCTS CO., LTD.
水産加工品
2006 年 8 月
2,000
G.M. ICHIHARA (THAILAND) CO., LTD.
タマリンド種粉
1986 年 3 月
2,000
KUBOTA SHOTEN CO., LTD.
うどん
2007 年 2 月
2,000
NSTC TRADING CO., LTD.
小麦粉
1999 年 1 月
2,000
MAPS WORLD CO., LTD.
うどん麺・ラーメン・たこ焼き等の
1994 年 8 月
冷凍食品
2,000
X-PART ENTERPRISE CO., LTD.
おにぎり・鍋焼うどん等の製造販
2001 年 1 月
売、弁当・食品の宅配業務
2,000
BANGKOK FINE WINE CO., LTD.
ワイン
1995 年 8 月
2,000
KOKUBO ROCK ICE (THAILAND) CO., LTD.
食用氷、かき氷、和菓子の製造販売 2004 年 6 月
2,000
SUK SIAM JAPAN CO., LTD.
農産物加工品
2007 年 8 月
2,000
SAAN (THAILAND) CO., LTD.
馬プラセンタ入り美容液、美容飲料
2009 年 4 月
水、サプリメントの製造販売
2,000
RYOSHI CO., LTD.
冷凍食品、加工品
2007 年 3 月
2,000
SAITO FOODS CO., LTD.
冷凍食品、水産加工品、農産加工品、
1997 年 9 月
日本米、調味料等
2,000
KYOTO FOOD SUPPLY LTD., PART.
缶詰
1984 年 11 月
1,000
FP ASIA CO., LTD.
飲料水、缶ジュース
2008 年 5 月
1,000
BANGKOK KOHEI CO., LTD.
イカ干物
1977 年 1 月
1,000
MR. COFFEE CO., LTD.
インスタントコーヒー
2002 年 4 月
1,000
KITAMI FOODS CO., LTD.
漬物
2005 年 6 月
1,000
MARY FOODS LTD., PART.
漬物
1990 年 8 月
1,000
CHIANGMAI PROPOLIS CO., LTD.
プロポリス、蜂製品
2000 年 8 月
1,000
EVERGREEN MANUFACTURING LTD.
スナック菓子
1996 年 2 月
1,000
21
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KIMURA NIPPON THAI CORP. CO., LTD.
飲料水の製造
2003 年 6 月
1,000
GFPT NICHIREI (THAILAND) CO., LTD.
生鳥の処理加工、鶏肉の販売、鶏肉
2008 年 11 月
加熱加工品の製造販売
1,000
FOODIES PLUS PHUKET CO., LTD.
その他食品
2011 年 11 月
1,000
SIAM AGROSTAR CO., LTD.
果物野菜など保存食品
2011 年 8 月
1,000
THAIHIRANO LTD., PART.
米菓、あられ
1987 年 2 月
360
FKI CO., LTD.
飼料
2011 年 3 月
300
注:資本金上位順
出所:タイ国商務省
表 1-12 工業団地に入居する日系食品製造業
地
域
県名
バンコク
バ
ン
コ
ク
周
辺
サムット
プラカー
ン
工業団地名
Bangchan
Bangpoo
Bankadi
パトゥム
タニ
Navanakorn
社名
製造品
WAN THAI FOODS INDUSTRY CO., LTD.
インスタントラーメン「ヤムヤム」・レ
トルト食品製造
HANAMI-TOHATO CO., LTD.
スナック菓子の製造・販売
KINGFISHER HOLDINGS LTD.
冷凍イカ・エビ・エビフライ・サバ竜田
揚げ
UENO FINE CHEMICALS INDUSTRY
(THAILAND) LTD.
ソルビトールなど糖アルコールの製造
SOUTHEAST ASIAN PACKAGING AND
CANNING LTD.
健康補助食品
THAI NISSHIN SEIFUN CO., LTD.
パスタソース缶詰、冷凍調理食品の製
造・販売
RS CANNERY CO., LTD.
ツナ缶詰
THAI NISSHIN TECHNOMIC CO., LTD.
冷凍食品用およびベーカリー用プレミッ
クスの製造・販売
CALBEE TANAWAT CO., LTD.
「かっぱえびせん」をはじめとしたスナ
ック菓子食品の製造・販売
TANIO THAI CO., LTD.
うずら卵缶詰・あん製造
THAI GLICO CO., LTD.
チョコレート・プレッツェル・ビスケッ
ト等の菓子製品の製造・販売
NIPPN (THAILAND) CO., LTD.
プレミックス類等の製造、販売
SNACKY THAI CO., LTD.
貿易業務
SUN FOODS CO., LTD.
酒類(米焼酎・本格みりん)製造・輸出
ASAN SERVICE CO., LTD.
しょうゆ、酒、食材
Rangsit Prosper
THAI YAMAZAKI CO., LTD.
Estate
Bangpa-In
KOKUBO ROCK ICE (THAILAND) CO.,
食用氷、かき氷、和菓子の製造販売
LTD.
Hi-Tech
AJINOMOTO FROZEN FOODS (THAILAND) 鶏肉・野菜等を原料とした調理冷凍食品
CO., LTD.
の製造・輸出・タイ国内販売
アユタヤ
Rojana
中
部
Saha Rattana
Nakorn
サムット
サコーン
パン、生菓子
Samutsakorn
THAI NIPPON FOODS CO., LTD.
鶏肉加工品
MIZKAN (THAILAND) CO., LTD.
調味料、食品の製造
AJINOMOTO CALPIS BEVERAGE
(THAILAND) CO., LTD.
コーヒー飲料、乳酸飲料などの製造
KEY INTERNATIONAL FOOD LTD.
冷凍ヨーグルト、アイスクリーム
HIC (THAILAND) CO., LTD.
冷凍魚介類、冷凍野菜
SIAM UKF CO., LTD.
パン、パン粉、小麦粉ミックス
22
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Amatanakorn
Laemchabang
FUSO (THAILAND) CO., LTD.
食品メーカー向け配合製剤、調味料、食
品添加物、食品素材の製造
CEREBOS (THAILAND) CO., LTD.
ツバメの巣入り健康食品など
T. N. D. FOODS INDUSTRIES CO., LTD. 佃煮、総菜、レトルト食品、冷凍食品
チョンブ
リ
THAI LOTTE CO., LTD.
Sriracha
チューインガム・キャンディーの製造お
よびロッテ製品の輸出入
NISSIN FOODS (THAILAND) CO., LTD. 即席麺を中心とする即席食品の製造
KENMIN FOODS (THAILAND) CO., LTD. ビーフンの製造・販売
東
部
Eastern
Seaboard
SIAM YAMAMORI CO., LTD.
Siam Eastern
ガム・チョコレートなどの菓子原料とな
MC-TOWA INTERNATIONAL SWEETENERS
る糖アルコール(マルチトール)の製造・
CO., LTD.
販売
チャチェ
ンサオ
GatewayCity
RACHAMONGKOL RICE CO., LTD.
精米
プラチン
ブリ
Kabinburi
SURAPON NICHIREI FOODS CO., LTD.
冷凍食品(から揚げ、エビフライ、てん
ぷら)
東
北
部
ナコンラ
チャシマ
Suranaree
VANGUARD FOODS (THAILAND) CO.,
LTD.
冷凍食品・鶏肉食品・冷凍野菜および生
鮮野菜の製造・販売・輸出
北
部
Northern Region
LANNA PRODUCTS CO., LTD.
冷凍野菜、冷凍果実
ランプン
ラヨーン
レトルト食品の製造・販売・輸出
THAI-NICHI INDUSTRIES CO., LTD. あられの生産
出所:タイ国商務省
23
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2.タイ国内の食品の流通と小売市場
国家経済社会開発委員会(NESDB)によると、タイの卸・小売部門は、2010 年の暫定値で
はタイの実質 GDP の 14%を占めており、同年の同部門の伸び率は 12.4%であった(同年の
GDP 伸び率は 7.5%)。このように、タイの経済において、流通の占める割合は決して小さ
くないといえる(表 1-13)。
表 1-13 GDP に占める卸・小売部門の推移(実質)
単位:億バーツ
年
卸・小売部門
GDP
GDP に占める卸、
小売部門の割合
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
8,444
8,582
9,023
9,458
9,600
10,098
10,814
10,751
10,179
11,446
54,237
57,594
61,727
65,629
68,369
71,745
75,652
76,897
76,036
81,762
15.56%
14.90%
14.61%
14.41%
14.04%
14.07%
14.29%
13.98%
13.38%
13.99%
※2010 年は暫定値
出所:NESDB (Office of the National Economic and Social Development Board)
タイの食品の流通は、主に製造者・生産者から卸などの中間流通業者を経由して流通す
ることは日本などと共通するが、以前は、伝統的市場における小売や、伝統的市場からさ
らに家族経営の小規模な小売店を通じて最終消費者の手に渡ることが多かった。しかし、
近年はタイでもスーパーマーケットやコンビニエンスストアのような近代的小売店の勢力
が強く、特にアジア経済危機から復活した 2003 年以降は、近代的小売店の占める割合が大
きく伸びる傾向にある。
近代的小売店が関与する食品の流通では、小売店自らが物流・配送センターを持ったり、
消費地の市場を通さず製造者や生産地市場から商品を仕入れたりする場合が多く、これら
効率的な物流の構築と大量仕入れの実施などにより商品価格を低く抑えることを可能とし
ている。このことにより、近代的小売店、特に低価格を売りにしているハイパーマーケッ
トは、価格の面でも伝統的市場に対して競争力を持つようになっている。ハイパーマーケ
ット、コンビニチェーンの出店は拡大傾向にあり、伝統市場における食品小売のシェアは
今後縮小していくとみられている。
2011 年 12 月現在、ハイパーマーケットの Big C は 104 店で 3 年前(2008 年)と比較し
て 44 店増加、コンビニチェーンのセブンイレブンは 6,300 店で同 2,021 店増加している。
ジャスコ(イオンタイランド)は、1984 年の設立であり、スーパーマーケット 13 店舗、
コンビニタイプの「タンジャイ」十数店舗を展開し、バンコク近郊のタイ人消費者を主な
対象として日本産農林水産物・食品を販売している。製造から販売までイオンが責任を負
うプライベートブランド(PB)の「トップバリュ」を、加工食品を中心に品揃えしている。
フジスーパーは、日本人が多く居住するバンコク市内スクンビット通りに 4 店舗を展開
し、日本人駐在員とタイ中間層・富裕層を対象に、通常消費される日本食品を販売してい
る。日本食品のシェアはかなり高い。日本人の生活に密着した品揃えであり、店内の雰囲
気も日本のスーパーマーケットと似ている。1 号店の営業開始は 1985 年 12 月、2 号店は
1996 年であり、2008 年には小規模なコンビニエンスストア的な 3 号店 UFM Fuji Super
Express をオープン、2011 年には 4 号店もオープンした。いずれの立地も飲食店、総菜店、
書店など日本人向けサービス店に隣接している。
現在、小売業界で圧倒的な存在感を誇るセントラルグループは、1956 年のセントラルデ
パート 1 号店オープンから始まった。華人財閥ジラティワット家による同グループの一部
門である小売業は、東单アジア最大級の売場面積 47 万平方メートルを有するセントラルワ
ールドプラザをはじめ、デパート(セントラル、ロビンソン、ゼン)、電化製品(パワー
バイ)、文具(オフィスデポ、B2S)スポーツ用品店(スーパースポーツ)、ホームセンタ
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ー(ホームワークス)、スーパーマーケット(トップス)と多岐にわたって展開している。
老舗のセントラルと双璧をなすザモールグループは、1981 年営業を開始した。中~中上
流層向け「ザモール」デパートのほか、富裕層をターゲットとした商業施設である「エン
ポリアム」、「サイアムパラゴン」を有する。1997 年にオープンした「エンポリアム」は
外国人が多く居住する BTS(スカイトレイン)プロンポン駅に隣接している。現在、「エ
ンポリアム」とスクンビット通りを隔てた反対側には商業施設「エンポリアム 2」の建設
も進められている(2014 年開業予定)。バンコクのランドマークの一つにもなっている「サ
イアムパラゴン」は、流行を追う若者が多く集まる BTS サイアム駅に隣接している。2005
年の開店当時から、アジア最大級の水族館やタイ発上陸のブランドブティック出店などで
注目を集めてきた。両店ともデパートメントゾーンと高級ブランドブティック、飲食店、
映画館などショッピングコンプレックスゾーンからなる。
バンコク伊勢丹は、セントラルワールドプラザ内にあり、1992 年から営業している。日
本人居住地域からは離れているが、周辺にショッピングセンターが林立する繁華街にあり、
BTS(スカイトレイン)駅から続く高架歩道からのアクセスが可能であるなど交通の便がよ
い。高級果物、鮮魚、野菜のほか有名店の洋菓子、和菓子など日本から空輸した食品は在
タイ日本人のほか、タイ人富裕層の注目も集めている。
表 1-14 タイの主要小売業者 食品売上総額
単位:百万バーツ
売上に占
食品売上
業態
小売業者(店舗名)
親会社国
年売上高
決算期
める食品
の割合
Tesco Lotus
英国
Big C
総額
137,350
2011 年 2 月
60%
82,410
フランス
72,822
2010 年 12 月
60%
43,693
Makro
オランダ
87,389
2010 年 12 月
80%
69,911
Tops/Market Place
オランダ
23,097
2010 年 12 月
20%
4,619
JUSCO
日本
2,891
2010 年 12 月
45%
1,301
FoodLand
タイ
4,174
2010 年 12 月
50%
2,087
Plus One (Tang Hua Seng)
タイ
1,861
2010 年 12 月
20%
372
Villa
タイ
3,149
2010 年 12 月
60%
1,889
Lotus Express, Kumka Shop
英国
137,350
2010 年 12 月
60%
82,410
Home Fresh Mart
タイ
18,724
2010 年 12 月
20%
3,745
7-11
タイ
131,656
2010 年 12 月
70%
92,159
コンビニ
Family Mart
日本
9,050
2010 年 12 月
27%
2,444
チェーン
Fresh Mart
タイ
7
2010 年 12 月
65%
5
V Shop
タイ
-
-
40%
-
ハイパー
マーケット
スーパー
マーケット
出所:タイ国商務省、および各店舗へのインタビューによりジェトロが作成
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表 1-15 タイの主要小売業者 地域別店舗数(2011 年 12 月時点)
業態
都市部
西部
中部
北部
東北部
南部
4県
4県
18 県
17 県
19 県
14 県
小売業者(店舗名)
計
Big C
46
8
13
13
14
10
104
Tesco Lotus
36
10
14
5
11
13
89
Makro
11
5
5
9
12
8
50
111
9
8
8
4
28
168
JUSCO
28
-
-
-
-
-
28
FoodLand
11
1
-
-
-
-
12
7
-
-
-
-
-
7
15
1
1
-
-
1
18
356
31
124
63
59
34
667
5
-
-
-
1
-
6
ハイパー
マーケット
Tops/Market Place
スーパー
Plus One(Tang Hua Seng)
マーケット
Villa
Lotus Express, Kumka Shop
Home Fresh Mart
7-11
地域別情報なし
6,300
コンビニ
Family Mart
地域別情報なし
662
チェーン
Fresh Mart
地域別情報なし
700
V Shop
130
64
124
107
127
83
635
出所:各店舗へのインタビューによりジェトロが作成
備考:
都市部 4 県 Bangkok, Nothaburi, Pathumtani, Samut Prakan
東部 4 県 Chonburi, Rayong, Chantaburi, Trad
中部 18 県 Singburi, Saraburi, Chainat, Angthong, Lopburi, Ayuthaya, Srakweo, Nakonnayok, Prachinburi,
Chachoengsao, Suphanburi, Kanchanaburi, Rachaburi, Nakonpathom, Samutsakon, Samutsongkham, Petchburi,
Prachuabkirikhan
北部 17 県 Chiang Mai, Chiang Rai, Kamphaengphet, Lampang, Lamphun, Mae Hong Son, Nakhon Sawan, Nan,
Phayao, Phetchabun, Phichit, Phitsanulok, Phrae, Sukhothai, Tak, Uthai Thani, Uttaradit
東北部 19 県 Amnat Charoen, Buri Ram, Chaiyaphum, Kalasin, Khon Kaen, Loei, Maha Sarakham, Mukdahan, Nakhon
Phanom, Nakhon Ratchasima, Nong Bua Lam Phu, Nong Khai, Roi Et, Sakon Nakhon, Si Sa Ket, Surin, Ubon Ratchathani,
Udon Thani, Yasothon
南部 14 県 Chumporn, Ranong, Surathani, Pangna, Nakonsithamarat, Krabi, Phuket, Pathalung, Trang, Songkha,
Satul, Pattani, Yala, Narathiwas
ハイパーマーケット、スーパーマーケットの多くがバンコク周辺の都市部で展開し、小
規模伝統的市場(タラート)や小規模個人商店に取って代わろうとしている。一方、都市
部以外では、生鮮食品や加工食品を多く扱うハイパーマーケットやスーパーマーケットは
それほど多くはなく、小規模個人商店やタラートが日常の食品購入場所として一般的であ
る。
タラート(市場)では、農家など生産者が直接販売、または店舗を持たない個人事業主
が生産者または別のタラートで仕入れた品物を販売している。村内に立つ小さな青空市か
ら、町の中央市場のように建物内に売場が設けられている大きいものまでさまざまである。
屋台の飲食店を併設したタラートは多く、地方都市ではいまだ社交場的な存在であり、周
辺住民で賑わっている。
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タラートで見かける食品には、生鮮食品、加工食品、総菜のほか、有名メーカーの菓子
類がある。通常、有名メーカーの菓子類は、メーカーもしくは代理店から、小売店に出荷
され消費者に届くといったルートが正規であるが、実際は、かなりの数が、非正規ルート
で消費者に届いているとみられ、看過することはできない。その多くが消費期限 1 カ月前
頃のものであり、一般小売店より安価に販売されている。小売店は消費期限が近づいた商
品をすべて返品するのではなく、人気商品では価格を下げて「セール品」とする場合や独
自に廃棄する場合もある(図 1-1)。
図 1-1 有名メーカー菓子類の正規ルートと非正規ルート
従業員へ格安で販売
条件:
・消費期限内に売ること
・返品不可
・現金払い
・ID カードまたは商務省
の許可証提示
メーカー、代理店
消費 期限が近 づい
てきたので返品
菓子卸業者または個人
小売店
タラート出店者
消費者
正規ルート
非正規ルート
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3.外食市場
2012 年 2 月にバンコク在住のタイ人 400 人を対象に、食のマーケット調査(アンケート
調査)を実施した。対象者等の概要は以下のとおりである。
回答者数:400 人(20 歳代、30 歳代、40 歳代、50 歳代の男女各 50 人)
対象エリア: バンコク
回答者の月収・職業の構成:
月収
10,000 バーツ以下
10,001~30,000 バーツ
30,001~50,000 バーツ
50,001~100,000 バーツ
100,001 バーツ以上
非回答
職業
18.0%
45.3%
18.5%
5.5%
1.5%
11.3%
学生
会社員
経営者
公務員
無職
非回答
13.0%
40.3%
15.0%
18.8%
11.0%
2.0%
(1)タイ人の外食の利用状況
本アンケート調査によるタイ人の外食の利用状況は、以下のとおりである(表 1-16)。
○外食の頻度
レストラン、大衆食堂、屋台での食事、または飲食店から料理を持ち帰り、家や職場で
食べる頻度は「毎日」と「2~3 日に 1 回」をあわせると、朝食では 6 割強、昼食では 8 割
強、夕食では 5 割強と各食事とも半数を超える。
○外食先での食事内容
朝食では「カオゲーン」(おかずをのせたごはん)が 1 位である。「パトンコー」は揚
げパンのようなもので、甘く温かい豆乳とともに食べるタイの朝食メニューである。サン
ドイッチはコンビニエンスストアであらかじめ作られたもののほか、屋台で好みの具を挟
むものもある。朝食セットはカフェイェン(練乳入アイスコーヒー)などを売るコーヒー
ショップで供される。
昼食では「カオゲーン」「麺(汁あり・汁なし)」が「よく食べる」ものの 5 割を超え、
「炒めた麺、炒飯」がこれに続いている。
夕食は昼食人気メニューに加え、ソムタム(青パパイヤサラダ)、ガイヤーン(鶏炙焼
き)などイサーン料理があがっている。
なお、14 年前の 1998 年にカシコーン・リサーチ・センターが行った調査(卖一選択方
式)では、三食ともカオゲーンが回答の 6 割以上を占め 1 位であった。
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表 1-16 タイ人の食生活に関する調査結果 <外食>
朝食
昼食
夕食
毎日
32.5%
52.5%
20.3%
2~3 日に 1 回
32.0%
29.8%
31.5%
週に 1 回
15.8%
9.3%
21.8%
月に 1 回
9.8%
5.0%
12.3%
外食しない
6.5%
2.0%
9.5%
食べない
1.8%
0.5%
3.5%
無回答
1.8%
1.0%
1.3%
カオゲーン(おかずのせごはん)
57.0%
62.3%
48.3%
サンドウィッチ
37.8%
11.0%
-
粥
34.8%
-
21.8%
カオニアオ&ムーピン(もち米、肉串)
29.0%
-
-
パトンコー(揚げパン)
24.5%
-
-
何をよく食べるか? 炒めた麺、炒飯
-
37.0%
37.3%
(複数回答)
麺(汁あり、汁なし)
-
70.3%
43.8%
イサーン(タイ東北地方)料理
-
28.3%
28.5%
カノムチーン(カレーかけ麺)
-
19.8%
12.3%
サラダ
-
-
18.0%
朝食セット(トースト、卵、ソーセージ)
16.8%
-
-
その他
13.0%
15.0%
25.0%
15 分未満
26.5%
11.0%
8.0%
15~30 分くらい
55.5%
57.5%
42.8%
30~45 分くらい
10.5%
22.3%
26.0%
45 分~1 時間くらい
6.0%
7.5%
17.8%
1 時間以上
1.3%
1.3%
4.5%
無回答
0.3%
0.5%
1.0%
外食する頻度は?
食事時間
29
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(2)中食の利用状況
本アンケート調査の結果による、タイ人の「中食」(外で購入し家庭で食べること)の
利用状況は以下のとおりである(表 1-17)。
○世帯構成
都市部の一世帯あたりの人数は「4~6 人」が 55.3%と最も多く、次いで「1~3 人」が 34.3%、
7 人以上の大家族は 10%となっている。
○自宅で料理する頻度
家で料理をする頻度は、「毎日」(36.3%)と「2~3 日に 1 回」(38.0%)がほぼ同程度で多
く、約 9 割が尐なくとも週に 1 度は料理をする一方、「まったくしない」は 4.8%となって
いる。
○中食の利用頻度
中食は「2~3 日に 1 回」44.8%が最も多く、86.4%が尐なくとも週に 1 回は利用している。
なお、2006 年に行われた民間調査会社 AC ニールセンの消費者調査では、タイは「頻繁に
食事を買って帰る」「時々買って帰る」割合が調査対象国 41 カ国中もっとも高く、中食率
世界一という結果であった。
○中食を利用する理由
「便利だから、料理する時間がないから」という回答が 70.3%と圧倒的多数を占め、二
番目の理由には「材料を買って家で料理するより安いから」があげられている。タイ(と
りわけバンコク)では、フルタイムの仕事を持つ女性が多いこと、渋滞が著しく通勤に時
間がかかることなどを背景として、料理に要する時間を節約できる中食が支持されている。
また、スーパーマーケットや屋台でおいしくて安い総菜が手軽に手に入るため、尐人数世
帯では自炊が必ずしも節約にはならないことや、中流以下のアパートではキッチンを備え
ていない部屋が多いことなどもタイで中食が支持されている背景にある。
表 1-17 タイ人の食生活に関する調査結果 <中食>
質問
選択肢
世帯(同居)人数は?
34.3%
4~6 人
55.3%
7 人以上
10.0%
無回答
家で料理をする頻度は?
0.5%
毎日
36.3%
2~3 日に 1 回
38.0%
週に 1 回
14.0%
月に 1 回
5.3%
まったくしない
4.8%
無回答
中食を利用する頻度は?
回答
1~3 人
1.8%
毎日
19.8%
2~3 日に 1 回
44.8%
週に 1 回
21.8%
月に 1 回
6.5%
まったくしない
6.3%
無回答
1.0%
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質問
中食をする理由
は?
選択肢
第一理由
第二理由
便利だから、料理する時間がないから
70.3%
47.8%
材料を買って家で料理するより安いから
11.0%
15.5%
自炊するよりおいしいから
2.0%
2.5%
自炊するのと同じくらいおいしいから
1.8%
6.8%
料理ができないから
理由はない
無回答
0.8%
3.3%
10.8%
19.3%
3.5%
5.0%
(3)外国料理
本アンケート調査の結果による、タイ人の外国料理の利用状況は以下のとおりである(表
1-18)。
○外国料理を食べる頻度
タイ料理以外の外国料理を食べる頻度は、「月に 1 回」が 31.0%、36.1%は「月に 2~3
回」以上食べている。
○好きな外国料理
複数回答では「好きな外国料理」として「日本料理」と回答したタイ人の割合が最も多い。
具体的には、半数近くが「好き」と答え、3分の1が「一番好きな外国料理」にあげている(第2
位)。「一番好きな外国料理」の1位は「アメリカ料理」であるが、これにはステーキハウスな
どレストランにおける食事だけでなく、ハンバーガー、フライドチキン、ピザなどファースト
フードチェーンにおける食事も含まれているとみられる。「日本料理」は半数近くが「好き」
と答え、3分の1が「一番好きな外国料理」にあげている(第2位)。「中国料理」と「韓国
料理」がこれに続く。「中国料理」が人気の背景としては、タイには中華系をルーツとす
るタイ人が多く存在し、食文化面で中国の影響を多く受けていることがあげられる。「韓
国料理」が人気の背景としては、韓国ドラマなどいわゆる「韓流ブーム」の影響があるも
のとみられるが、2年前(2010年)よりその影響は緩和されているようだ(注:2010年にジ
ェトロが実施した同様の調査では、
「韓国料理」人気は「日本料理」人気に肉薄していた)。
一方で、本格的なものではなく、ローカライズされた「タイ風外国料理」も人気である。
例えば、タイの料理店形式の一つである「ムーガタ」は、肉・魚貝・野菜の鉄板焼きとこ
れらを用いた鍋を一緒に食べる、いわば焼肉としゃぶしゃぶを一緒にしたような店で、韓
国料理の影響を受けたタイ料理レストランといえる。タイ風の韓国料理レストランとみる
人もいる。しかし、ムーガタ料理店はたいていキムチを置いていない。また、ファースト
フード店のケチャップの横にはタイの代表的な調味料の一つであるスイートチリソースが
置かれている場合もある。タイ人に人気の日本食レストランの一部においても、タイ人が
好む「甘味」(あま)、「辛味」(から)、「酸味」(さん)に配慮し、テーブルの上に
砂糖、唐辛子、酢が置かれている場合もある。
しかしながら、外国料理よりも「どちらかといえばタイ料理」が好きと 86.8%が回答し
ているように、多くのタイ人はやはり自国の料理が一番好きのようだ。
31
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○外国料理レストランでの 1 人分の食事代
1 人分の食事代は「200~300 バーツ」が 32.3%を占め最も多い。屋台や大衆食堂での 1
食は 20~30 バーツ程度であるが、「外国料理」には財布のヒモを緩める傾向があるといえ
る。
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表 1-18 タイ人の食生活に関する調査結果 <外国料理>
質問
選択肢
外国料理を食べる頻度は?
毎日
1.5%
週に 2~3 回
9.8%
週に 1 回
11.3%
月に 2~3 回
13.5%
月に 1 回
31.0%
ほとんど食べない
32.0%
無回答
好きな外国料理は?(複数回答)
51.5%
アメリカ料理
50.0%
中華料理
19.5%
韓国料理
14.3%
イタリア料理
13.0%
ベトナム料理
13.0%
タイ料理と外国料理はどちらが好
き?
6.0%
好きな外国料理はない
17.0%
アメリカ料理
32.3%
日本料理
32.0%
中華料理
5.3%
ベトナム料理
3.8%
その他
3.0%
韓国料理
2.5%
イタリア料理
1.5%
好きな外国料理はない
1 人分の食事代は?
1.0%
日本料理
その他
一番好きな外国料理は?
回答
17.8%
無回答
2.0%
100 バーツ以下
6.3%
101~200 バーツ
21.8%
201~300 バーツ
32.3%
301~500 バーツ
15.3%
501 バーツ以上
6.0%
非回答
18.5%
どちらかといえばタイ料理
86.8%
どちらかといえば外国料理
7.0%
無回答
6.3%
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(4)日本食レストラン
本アンケート調査の結果による、タイ人の日本食レストランの利用状況は以下のとおり
である(表 1-19)。
○日本食レストランの利用頻度
日本食レストランに「月に 1 回」程度行く人が 42.5%で最も多く、次いで「まったく行
かない」20.8%となっている。2009 年にジェトロが実施した同様の調査との比較では、「ま
ったく行かない」が 36.1%から 15.3 ポイント減尐する一方で、「週に 1 回」が 4.3%から
3.5 ポイント、「週に 2~3 回」が 1.3%から 10.7 ポイントそれぞれ増加するなど、タイ人
の日本食レストラン利用が一段と進んでいることがうかがえる結果となった。
○日本食を選ぶ理由
「健康によい」「味が気に入っている」「見た目がきれい」がそれぞれ約 4 割で、「おし
ゃれ、ブームだから」を上回っており、もはや日本食レストランはファッションだけのた
めではないといえる。
○日本食レストランでの 1 人分の食事代
昼食の食事代は「201~300 バーツ」が 38.0%、夕食の食事代は「201~300 バーツ」が 34.5%
と最も多く、他の外国料理の予算とほぼ同じである。
○利用したことのある日本食レストラン
行ったことのある日本食レストランでは「Fuji」(61.0%)、「Oishi」(53.3%)が群を抜い
ている。次いで、都市部だけでなく日本人居住のほとんどない地域にも手頃な価格でチェ
ーンを拡大する「8 番らーめん」(28.3%)となっている。
○食べたことのある/食べてみたい日本食のメニュー
回答者の 5 割以上が「すし」「ラーメン」「ぎょうざ」を「食べたことがある」と回答
している。「おいしいと思う」割合では、上記 3 メニュー以外に「刺身」「とんかつ、コ
ロッケ」で食べたことのある人の 6 割以上が「おいしい」と回答している。「とんかつ、
コロッケ」を食べたことがある人は 15.0%と多くはないが、食べたことのある人の 61.7%
が「おいしいと思う」と回答している。日本食レストランの人気メニューベスト 3 でも、
「とんかつ」やとんかつを材料に用いた「カツ丼」「カツカレー」の人気が高い(表 1-20)。
4 年前(2008 年)に、日系百貨店内に 1 号店をオープンしたとんかつ専門店が順調に店舗
数を拡大しているが、こうした専門店の展開もとんかつのおいしさをタイ人に伝えること
に寄与しているといえる。
「刺身」「すし」は、日本からの輸入品を扱う高級日本食レストラン以外の店では、旬
がなく一年中同じ種である。主にマグロ赤身、サーモン、イカ、タコ、エビ、ウナギ、シ
メサバ、カニかまぼこ、イクラ、トビッコなどである。タイ人は脂の乗った魚を好み、す
しではサーモンの人気が高い。
34
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表 1-19 タイ人の食生活に関する調査結果 <日本食>
質問
選択肢
毎日
0.3%
週に 2~3 回
12.0%
週に 1 回
日本食レストランに行く頻度
7.8%
月に 2~3 回
15.3%
月に 1 回
42.5%
まったく行かない
20.8%
無回答
日本食のよいところは?
(複数回答)
1.5%
見た目がきれい
42.8%
味が気に入っている
39.0%
健康によい
35.3%
おしゃれだから、ブームだから
27.3%
特にない
29.0%
質問
選択肢
日本食レストランで 1 人分の食事代は
(昼食)?
日本食レストランで 1 人分の食事代は
(夕食)?
回答
100 バーツ以下
4.3%
101~200 バーツ
23.8%
201~300 バーツ
38.0%
301~500 バーツ
17.5%
501 バーツ以上
4.0%
行ったことがない
9.8%
無回答
2.8%
100 バーツ以下
3.5%
101~200 バーツ
20.5%
201~300 バーツ
301~500 バーツ
501 バーツ以上
行ったことがない
34.5%
19.3%
6.5%
12.8%
無回答
行ったことのある日本食レストラン
(複数回答)
回答
3.0%
Fuji
61.0%
Oishi
53.3%
8 番らーめん
28.3%
Zen
25.8%
やよい軒
16.5%
大戸屋
モスバーガー
6.5%
5.8%
ラーメン屋
20.8%
カレー屋
10.3%
焼肉屋
16.8%
鉄板焼き
4.8%
ホテルの日本食レストラン
8.8%
一般的な日本食レストラン
17.0%
35
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食べたことがある、
食べてみておいしいと思
った日本食メニュー
(複数回答)
食べたことが
おいしいと
ある
思う
食べた人が
おいしいと
思う割合
すし
70.3%
54.5%
77.6%
ラーメン
64.8%
51.5%
79.5%
ぎょうざ
51.5%
32.5%
63.1%
たこやき
36.3%
19.5%
53.8%
やきそば
36.0%
18.8%
52.1%
てんぷら
32.3%
16.3%
50.4%
刺身
28.0%
18.0%
64.3%
焼き鳥
25.5%
14.3%
55.9%
日本カレー
23.3%
13.0%
55.9%
照り焼き
21.3%
12.0%
56.5%
うどん、そば
21.0%
10.0%
47.6%
うなぎ
20.5%
10.0%
48.8%
おでん
18.5%
9.0%
48.6%
焼肉
17.0%
8.8%
51.5%
とんかつ、コロッケ
15.0%
9.3%
61.7%
どんぶり
15.0%
8.3%
55.0%
9.8%
4.0%
41.0%
みそ汁
表 1-20 日本食レストランの人気メニューベスト 3
店名
1位
2位
3位
Fuji
フジ弁当(海老天、鶏から
揚、のり巻き)210 バーツ
サーモン照焼定食(サーモ
とんかつセット(とんかつ、
ン照焼、ご飯、みそ汁)220
ご飯、みそ汁)140 バーツ
バーツ
Oishi ラーメン
オイシラーメン 75 バーツ
てんぷら 4 種 79 バーツ
たこ焼き 69 バーツ
たこ焼き 90 バーツ
すし 210 バーツ
焼き魚定食(焼魚、ご飯、
みそ汁、サラダ、漬物)149
バーツ
天ぷら盛合わせ 149 バーツ
Zen
やよい軒
とんかつ(とんかつ、ソー
ス、サラダ)150 バーツ
サバ定食(サバ、ご飯、み
そ汁、サラダ、漬物)190 バ
ーツ
8 番らーめん
とんかつ 73 バーツ
ざるラーメン 73 バーツ
8 ちゃん麺 58 バーツ
らあめん亭
カレーラーメン 160 バーツ
カツどん 200 バーツ
かつカレー250 バーツ
かに鍋 800 バーツ
魚鍋 680 バーツ
フィッシュバーガーセット
(フライドポテト、コーラ)
129 バーツ
シーフードカレー170 バー
ツ
炭火焼アラスカ産天然紅鮭
定食(鮭、ご飯、大根おろ
し)280 バーツ
チーズホットドッグセット
(フライドポテト、コーラ)
99 バーツ
ぶたしゃぶカレー150 バー
ツ
日本亭
モスバーガー
神戸牛ステーキ 1,780 バー
ツ
鶏つくねライスバーガーセ
ット(フライドポテト、コ
ーラ)129 バーツ
CoCo 壱番屋
かつカレー160 バーツ
大戸屋
炭火焼きしまほっけ定食
(ご飯、みそ汁、大根おろ
し)290 バーツ
本格キムチ鍋定食(ご飯、
小鉢、漬物)260 バーツ
出所:各店舗へのインタビューによりジェトロが作成
36
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(5)ファーストフード
タイ人のファーストフードの利用状況は以下のとおりである(表 1-21)。
○よく利用するファーストフード
回答者の半数以上が、よく利用するファーストフードに「フライドチキン」と「ピザ」
をあげている。なお、価格面では、KFC のフライドチキン、マクドナルドのチーズバーガ
ーセット、ピザハットの 2~3 人前サイズのパンピザ(1 人当たり)で大きな差はない。
○ファーストフードの利用頻度
「月に 1 回」利用するとの回答が 37.0%と最も多いが、1997 年のカシコーン・リサーチ・
センターによる同様の調査では 1 位は「週に 1 回」の 46.1%であった。両者を卖純に比較
することは難しいが、この 15 年でファーストフードの利用頻度は減っている可能性がある。
背景には、健康志向から、「太る」「栄養が偏る」というイメージのファーストフードを
敬遠する傾向があると考えられる。
表 1-21 タイ人の食生活に関する調査結果 <ファーストフード>
質問
選択肢
よく利用するファーストフードは?
(複数回答)
フライドチキン
56.8%
ピザ
50.8%
ハンバーガー
35.3%
グリルドチキン
20.0%
毎日
ファーストフードを利用する頻度
は?
回答
4.5%
2~3 日に 1 回
23.0%
週に 1 回
26.3%
月に 1 回
37.0%
まったく食べない
6.8%
無回答
3.5%
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Ⅱ.加工食品消費状況
1.食料消費の推移
タイ人 1 人当たりの食料消費の推移をみると、1 日当たりの食料消費(摂取エネルギー)
は 1980 年の 9.5%増であり、動物性タンパクは 225%増、大豆製品など植物性タンパクは 41%
増となっている。食品も品目別にみると、麦、甘味料、植物油、牛乳、鶏卵、魚介類など
が顕著に増加し、食の多様化、欧米食の浸透がうかがえる。鶏卵の摂取量は最も伸びが大
きく、1980 年の 22 倍、2007 年の 10 倍となっている(表 2-1)。
表 2-1 タイの 1 人当たりの食料消費の推移
単位:kg/年
1980 年
人口 (千人)
1990 年
2001 年
2007 年
2011 年
46,015
54,736
63,584
65,694
63,878
2,293
2,181
2,486
2,362
2,510
動物性タンパク(g/日)
15.4
18.5
22.8
25.0
50.0
植物性タンパク(g/日)
35.5
30.4
32.7
32.1
50.0
動物性脂肪(g/日)
14.2
16.8
19.4
20.3
N/A
1 日当たりの食料消費 (kcal)
植物性脂肪(g/日)
18.4
27.7
29.5
31.5
N/A
153.4
120.5
127.3
189.2
N/A
米
144.5
108.9
108.9
156.0
110.0
麦
4.2
5.9
12.3
16.6
14.0
デンプン性塊茎
16.8
15.9
18.5
24.1
29.0
甘味料
11.7
19.4
30.4
39.0
36.4
植物油
2.5
4.8
5.8
12.4
13.2
野菜
53.8
37.4
37.2
39.8
果物
138.3
88.0
87.7
85.0
0.2
0.5
0.9
1.4
0.8
穀物
嗜好飲料(茶、コーヒー、ココア)
アルコール飲料
104.0
8.8
14.1
32.5
92.0
58.0
18.9
21.3
25.1
16.5
N/A
牛肉
6.0
5.8
3.6
2.8
2.7
豚肉
5.8
6.1
7.6
13.7
16.0
鶏肉
7.1
9.4
13.9
14.2
17.0
動物油脂
0.6
0.7
0.7
0.6
N/A
牛乳
7.8
13.6
21.9
14.4
20.0
鶏卵
7.2
10.4
9.6
16.0
160.0
18.3
20.3
28.3
32.0
33.0
肉類
魚介類
出所:タイ国統計局、国立食品研究所
38
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2.家計消費に占める食料品支出の推移
食料品支出は経済発展の度合と比例して都市部で最も多く、外食(家庭外で消費される
食品、アルコール)の食料品支出全体に占める割合は 35.1%にのぼる。また、都市部では
外食(家庭外で消費される調理済み食品)と中食(家庭で消費される調理済み食品)の支
出計は、食材(家庭で調理される食品)の支出を超えており、家庭で調理することの尐な
い都市部タイ人のライフスタイルを如実に表している(表 2-2)。
表 2-2 地域別世帯毎の月間平均支出
単位:バーツ
地方別
全国
家庭で調理される食品
北部
東北部
南部
3,056
2,993
2,922
2,724
3,081
3,751
917
2,030
957
523
689
736
調理済み食品(家庭で消費)
調理済み食品(家庭外で消費)
中部、
東部
都市部
1,248
2,895
1,325
699
782
1220
ノンアルコール飲料(家庭)
244
347
328
171
174
284
アルコール飲料(家庭で消費)
136
218
204
106
83
116
アルコール飲料(家庭外で消費)
104
131
99
90
98
114
5,705
8,614
5,835
4,313
4,907
6,221
23.7%
35.1%
24.4%
18.3%
17.9%
21.4%
世帯総支出計
16,819
28,055
16,894
12,818
13,422
18,173
エンゲル係数
33.9%
30.7%
34.5%
33.6%
36.6%
34.2%
食料品支出計
食料品支出に占める外食費の割合
出所:タイ国統計局
2011
職業別にみると、支出と外食の割合がともに高いのは、専門職、技術、総務、次いで事
務、営業、サービス業といったホワイトカラー会社員と農業以外の自営業である。農林水
産業従事者のうち土地所有者以外は、食料品支出に占める外食費の割合が全体平均よりも低い
傾向にある。(表 2-3)。
表 2-3 職業別世帯毎の月間平均支出
単位:バーツ
農林水産業従事者
農業以外の
全体
土地所有農
借地農業
業
家庭で調理される食品
漁業、林業、
自営業
農業関連業
3,056
3,084
3,186
2,513
3,146
917
386
408
361
1156
1,248
532
571
451
1,313
ノンアルコール飲料(家庭)
244
149
178
137
281
アルコール飲料(家庭で消費)
136
100
125
107
163
アルコール飲料(家庭外で消費)
104
57
71
70
88
5,425
5,705
4,539
3,639
6,147
食料品支出に占める外食費の割合
22.38%
23.69%
12.58%
12.39%
31.36%
世帯総支出計
16,205
16,819
12,484
7,976
18,878
エンゲル係数
33.48%
33.91%
36.36%
45.62%
32.56%
調理済み食品(家庭で消費)
調理済み食品(家庭外で消費)
食料品支出計
39
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被雇用者
専門職、
技術、
非労働
事務、
農作業員 一般作業員
総務
営業、
製造作業員
従事者
サービス業
家庭で調理される食品
3,560
3,048
2,938
2,863
2,796
2,413
調理済み食品(家庭で消費)
1,353
411
557
1065
768
638
調理済み食品(家庭外で消費)
2,802
690
1062
1,804
1,304
620
ノンアルコール飲料(家庭)
351
203
198
254
234
135
アルコール飲料(家庭で消費)
186
138
194
189
190
49
アルコール飲料(家庭外で消費)
194
63
82
128
84
27
8,446
4,553
5,031
6,303
5,376
3,882
食料品支出に占める外食費の割合
33.18%
15.15%
21.11%
28.62%
24.26%
15.97%
世帯総支出計
33,748
10,532
11,022
18,069
13,388
11,118
エンゲル係数
25.03%
43.23%
45.65%
34.88%
40.16%
34.92%
食料品支出計
出所:タイ国統計局
2009
40
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3.日本食に関する嗜好
日系デパート、日系スーパーマーケットはもちろんのこと、それ以外の食品小売店でも
売場の一部に、のり、インスタント麺、スナック菓子、しょうゆ、わさび、緑茶など日本
からの輸入品を中心とした日本食品を集めた棚がある。主に在留邦人を対象としているた
め都市部に集中しているが、2000 年前後の日本食ブーム以来、タイ人の間にも日本食が浸
透しつつあり、現在では、タイ人富裕層から中間層へと日本食品の普及が進んでいる(表
2-4)。
表 2-4 タイの主要小売業者における日本食コーナー設置店舗数
業態
ハイパー
マート
日本食コーナー設置店舗
店舗数
小売業者
2011 年
Big C
都市
計
部
西部
中部
北部
東北
部
南部
104
104
46
8
13
13
14
10
Tesco Lotus
89
89
36
10
14
5
11
13
Makro
50
Tops/Market Place
設置なし
168
94
66
7
5
5
4
7
JUSCO
28
28
28
-
-
-
-
-
スーパー
FoodLand
12
マーケット
Villa
18
18
15
1
1
-
-
1
Plus One
7
7
7
-
-
-
-
-
Home Fresh Mart
6
6
5
-
-
-
1
-
設置なし
出所:各店舗へのインタビューによりジェトロが作成
スーパーマーケットやハイパーマーケットの日本食コーナーのほか、デパート食品売場
や展示会などにおける「日本食フェア」で多種多様な日本食品が紹介され、一般客に販売
されている。本アンケートの調査結果では、「食べた(飲んだ)ことのある日本食品」に
占める「おいしいと思う日本食品」の割合を「タイ人の口に合う割合」とした。
本アンケート調査によるタイ人の日本の食品に関する嗜好に関する状況は、以下のとお
りである(表 2-5)。
41
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表 2-5 タイ人の日本の食品に関する嗜好
食べた(飲んだ) おいしいと思
ことがある日本
う日本食品
食品(複数回答) (複数回答)
タイ人の口に合
う割合
カニかまぼこ
73.5%
55.5%
75.5%
無糖緑茶
45.5%
27.8%
61.0%
豆腐
41.8%
26.0%
62.3%
中華わかめ
31.5%
20.8%
65.9%
梅干し、漬物
27.8%
17.8%
64.0%
ほたて串焼き
26.0%
18.0%
69.2%
抹茶ドリンク(生茶ラテ)
25.5%
16.8%
65.7%
和菓子(どらやき、大福など)
24.8%
14.5%
58.6%
日本のスナック菓子
23.0%
13.3%
57.6%
日本酒
22.3%
13.5%
60.7%
みそ
19.5%
11.8%
60.3%
しょうゆ
19.3%
10.8%
55.8%
焼酎
16.8%
10.3%
61.2%
納豆
15.8%
8.8%
55.6%
14.5%
10.0%
69.0%
日本の洋菓子(チョコレートクッキーな
ど)
(1) 飲料、アルコール
ノンアルコール飲料では、「無糖緑茶」を飲んだことのある人は 45.5%で、「タイ人の
口に合う割合」は 61.0%であった。また、「抹茶ドリンク(生茶ラテ)」を飲んだことの
ある人は 25.5%で、「タイ人の口に合う割合」は 65.7%であった。
タイでは、タイ系企業などの「砂糖入り緑茶」も多く販売されているが、近年、健康志
向から「無糖緑茶」や「抹茶ドリンク」にも注目が集まっている。緑茶飲料の製造では、
タイで「緑茶ブーム」を仕掛けた「オイシグループ」が大きなシェアを保っているほか、
日本食レストラングループがタイ系企業に委託生産しているものや、在タイ日系食品企業
が日系企業に委託生産しているものなどがある。
アルコール飲料では、「日本酒」を飲んだことのある人は 22.3%と多くはないが、「タ
イ人の口に合う割合」は 60.7%であった。また、「蒸留酒(焼酎)」を飲んだことのある
人は 16.8%で、「タイ人の口に合う割合」は 61.2%であった。
タイ政府による酒類の広告規制や販売規制により、タイでは小売店での POP 広告などが
禁止され、販売時間も制限されているが、試飲会や日本食レストランにおけるプロモーシ
ョンによりタイ人消費者が日本酒や焼酎に触れる機会を設けることで、日本酒・焼酎はさ
らに普及する可能性もある。なお、同アンケートにおける、飲酒に関する設問の回答結果
は表 2-6 のとおりである。「酒を飲まないこと」は、タイ国民の 9 割以上が信仰する上座
部仏教の五戒の一つであり、もともとタイ人はアルコール飲料をあまり飲まないとされて
いたことを裏付けるように、ほぼ 3 分の 1 が「まったく飲まない」と回答している。また、
よく飲むアルコール飲料の第 1 位は「ビール」の 52.3%、第 2 位は「タイウイスキー」の
25.8%であった。
42
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表 2-6 タイ人の食生活に関する調査結果 <飲酒>
質問
選択肢
毎日
週に 2~3 回
週に 1 回
飲酒の頻度は?
よく飲むアルコール飲料は?
(複数回答)
5.3%
13.5%
9.5%
月に 2~3 回
15.0%
月に 1 回
19.0%
まったく飲まない
35.0%
無回答
2.8%
ビール
52.3%
タイウイスキー
25.8%
ワイン
16.3%
輸入ウイスキー
14.8%
カクテル、ミックス RTD
11.8%
日本酒
3.3%
焼酎
1.8%
その他
飲酒する場所は?
(複数回答)
回答
9.0%
自宅、友人宅
47.0%
飲食店(屋台含む)
32.0%
バー、パブ
27.8%
行楽地(海、山、滝)
20.0%
その他
11.5%
(2) 菓子、パン
回答者の14.5%は「日本の洋菓子(チョコレートクッキーなど)」を食べたことがあり、
そのなかで「タイ人の口に合う」とした割合は69.0%であった。
食べたことのある菓子では、「和菓子(どらやき、大福など)」が24.8 %で、タイ人の
口に合う割合は58.6%であった。「日本のスナック菓子」は23.0%で、タイ人の口に合う割
合は57.6%であった。
タイではココナッツミルクやリョクトウの澱粉、米などを使った伝統的な菓子に加え、
都市住民のあいだでは洋菓子も定着している。タイの洋菓子としては、クッキーなどはそ
れほど欧米や日本のものとは変わらないが、ケーキはバタークリームを使用したものが主
流である。洋菓子は、在タイ日系食品企業や個人経営のパン屋によりタルトや各種ケーキ
などが製造されている。
和菓子については、タイ国内には本格的な専門企業は尐ないが、最近では日系企業のみ
ならず地場企業がまんじゅうをはじめとした和菓子を製造・販売するようになり、タイ人
消費者のあいだで尐しずつ広がりつつある。
スナック菓子については、欧米や日本にあるさまざまなタイプの菓子が在タイ日系食品
企業によりタイ国内で製造・販売されている。
米菓については、在タイ日系食品企業数社によりタイ産米を原料としたあられ、おかき
などの米菓が製造・販売されている。
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なお、「パン」については、タイの主食は米が主流であり、気候に合わない小麦はほと
んど生産されてこなかったことや、周辺国と違い西欧諸国に植民地化されなかったことな
どから、普及の歴史は比較的新しい。現在もそれほど消費量は多くはないが、日本と同様、
タイも小麦粉の消費量は経済発展とともに増加する傾向にあり、欧米に留学してパンの文
化に親しんだ中~高所得者層が消費のけん引役となって消費が伸びている。タイのパンは
欧米式のものが中心であるが、日本の大手食品企業が1980年代に進出しているほか、日本
の技術を取り入れた地場企業や、日本人の個人経営による日本風のパンを主力とするパン
屋も複数あり、バンコクでは日本のパンに近い製品が容易に購入できるようになっている。
(3) 調味料
「みそ」を食べたことのある人は 19.5%と多くはないが、
「タイ人の口に合う割合」は 60.3%
であった。また、「しょうゆ」を食べたことのある人は 19.3%で、「タイ人の口に合う割
合」は 55.8%であった。
みそについては、在タイ日系食品企業数社によりタイ国内で製造されており、地場企業
の製造は尐ない。タイで流通する日本食関係の調味料のなかでは、比較的日本産が占める
割合が高く、バンコクのデパートやスーパーマーケットでは日本からの輸入品がタイ製の
ものより多くの棚を占有している。しかし、業務用としては、安価なことから、タイ製の
シェアが比較的高いものと思われる。
「しょうゆ」についても、在タイ日系食品企業によってタイ国内で製造された商品があり、
業務用ではタイ製日系製品のシェアがかなり高くなっている。また、大手日系食品企業が
シンガポールで製造したしょうゆをタイに輸出しているが、輸入関税が低いことから日本
製と比べて低価格であり、タイではかなり普及している。さらに、大豆を原料とした中国
しょうゆを製造する地場企業も、近年、自社ブランドでの日本式のしょうゆの製造販売を
拡大しており、競争が激化している。
なお、タイでは小魚から作る魚醤(ナンプラー)、小エビから作るえびみそのガピ、中
華風しょうゆ、唐辛子を使用した各種ソースなど、多様な調味料が製造・消費されている。
(4) 加工食品
アンケートの結果、「タイ人の口に合う割合」の高かった日本食の加工食品では、「カ
ニかまぼこ」「ホタテ串焼き」「中華わかめ」などがある。
「カニかまぼこ」を食べたことのある人は 73.5%で、「タイ人の口に合う割合」は 75.5%
であった。地場系日本食レストランにおいて、カニかまぼこは刺身盛りの脇役、人気のす
し種として使用頻度が高い。タイで製造されるカニかまぼこのパッケージの多くは「日本
語表記」など日本を意識したデザインとなっている。
「ホタテ串焼き」を食べたことのある人は 26.0%で、「タイ人の口に合う割合」は 69.2%
であった。
「中華わかめ」を食べたことのある人は 31.5%で、「タイ人の口に合う割合」は 65.9%で
あった。日本語で「中華わかめ」とよばれるわかめの総菜は、タイでは「サライイープン
(日本の海藻)」とよばれており、定食や弁当の付け合せなどでの定番となっている。
44
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このほか、「梅干し、漬物」では食べたことのある人は 27.8%で、「タイ人の口に合う
割合」は 64.0%であった。「豆腐」では食べたことのある人は 41.8%で、「タイ人の口に合
う割合」は 62.3%であった。「納豆」では食べたことのある人は 15.8%で、「タイ人の口に
合う割合」は 55.6%であった。
(5)その他各種食品
① 米
カオスワイ(タイ産うるち白米)は、外食でよく食べられるカオゲーン(おかずのせご
はん)、カオパット(炒飯)、カオマンガイ(チキンライス)などに使われ、回答者の 87.0%
がよく食べる米の種類としてあげている。カオニアオ(タイ産もち米)はイサーン(タイ
東北部)料理の主食であるだけでなく、ムーピン(肉串)とともに朝食として食べられる
ことが多い。
本アンケート調査の結果によると、地場系日本食レストランでも日本品種米を使用して
いるため、日本品種米を食べたことのあるタイ人は多い。日本食レストランに行く頻度は
「月に 1 回」(42.5%)が最も多く、すしや定食などで日本品種米を食べる機会は多いとみ
られる(表 2-7)。
表 2-7 タイ人の食生活に関する調査結果 <米>
質問
選択肢
よく食べる米の種類は?
(複数回答)
日本品種米を食べる頻度は?
回答
カオスワイ(タイ産うるち白米)
87.0%
タイ産玄米
36.3%
カオニアオ(タイ産もち米)
32.0%
日本品種米
12.0%
毎日
1.0%
2~3 日に 1 回
5.8%
週に 1 回
12.8%
月に 1 回
26.3%
ほとんど食べないが、食べたことはある
38.3%
食べたことがない
15.5%
無回答
0.5%
② 果物
タイでは、バナナやみかんが道端で売られるほか、氷詰めのショーケースでパパイヤ、
すいか、パイナップルなどカットフルーツを売る屋台が至る所にあり、大抵の果物は食べ
たいときに食べられる状況で売られている。1997 年に、カシコーン・リサーチ・センター
が行った「最も好きな果物」に関する調査では第 1 位が「ドリアン」16.2%、第 2 位「ラン
ブータン」12.1%であった。本調査アンケートの結果では、好きな果物の第 1 位は「マンゴ
ー」(53.8%)、以下、「すいか」(47.8%)、「みかん」44.5%であった。
また、食べる頻度は、「毎日」が 51.0%と最も多く、次いで「2~3 日に 1 回」が 41.3%
であった。9 割以上の人が「2~3 日に 1 回」は果物を食べていることになる(表 2-8)。
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表 2-8 タイ人の食生活に関する調査結果 <果物>
質問
選択肢
好きな果物は?
(複数回答)
果物を食べる頻度は?
回答
マンゴー
53.8%
すいか
47.8%
みかん
44.5%
グアバ
42.8%
マンゴスチン
40.0%
リンゴ
38.3%
ドリアン
38.0%
パイナップル
34.0%
チョンプー
32.5%
ランブータン
32.3%
パパイヤ
31.8%
バナナ
31.5%
ナシ
17.3%
カキ
9.3%
メロン
8.5%
モモ
5.5%
毎日
51.0%
2~3 日に 1 回
41.3%
週に 1 回
6.3%
月に 1 回
0.8%
まったく食べない
0.0%
無回答
0.8%
③ 日本の果物
デパート食品売場や展示会などにおける「日本食フェア」、日タイ経済連携協定(JTEPA)
の施行などにより、近年、バンコク市内では日本産の果物が多く販売されている。
本アンケート調査の結果では、「食べたことのある日本の果物」に占める「好きな日本
の果物」の割合を「タイ人の口に合う割合」としたところ、第 1 位ブドウ、第 2 位リンゴ、
第 3 位イチゴであった。
また、食べたことのない人に日本の果物の写真を見せて「食べてみたいもの」を聞いた
ところ、第 1 位メロン、第 2 位カキ、第 3 位モモであった(表 2-9)。
表 2-9 タイ人の食生活に関する調査結果 <日本の果物>
食べたことが
選択肢
(食べたことが
(食べたことが
あるものは?
(複数回答)
ある人)
タイ人の口に合う
好きなものは?
割合
ない人)
食べてみたいもの
は?
(複数回答)
(複数回答)
ブドウ
72.8%
53.8%
73.9%
0.5%
リンゴ
66.0%
45.3%
68.6%
0.3%
イチゴ
60.5%
40.5%
66.9%
0.3%
ナシ
59.8%
35.3%
59.0%
0.8%
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カキ
40.5%
21.0%
51.9%
2.5%
メロン
30.8%
18.3%
59.3%
2.8%
モモ
22.5%
9.5%
42.2%
2.3%
④ 牛肉
鶏肉、豚肉、魚に比べて低いものの、約 4 割の回答者が「よく食べる肉の種類」に「牛
肉」と回答している(複数回答)。
牛肉を食べる頻度としては「まったく食べない」が 29.3%で最も多く、次いで「2~3 日
に 1 回」が 24.8%となっている。
好きな牛肉料理としては、「ステーキ」が 39.8%で最も多く、次いで「クイッティオヌ
ア(牛肉麺)」が 39.5%となっている(表 2-10)。
表 2-10 タイ人の食生活に関する調査結果 <牛肉>
質問
選択肢
回答
魚
72.8%
よく食べる肉の種類は?
豚肉
66.5%
(複数回答)
鶏肉
62.0%
牛肉
39.0%
毎日
5.3%
牛肉を食べる頻度は?
2~3 日に 1 回
24.8%
週に 1 回
14.8%
月に 1 回
22.8%
まったく食べない
29.3%
無回答
3.3%
ステーキ
39.8%
クイッティオヌア(牛肉麺)
39.5%
パガパオヌア(牛肉バジル炒め)
21.8%
すきやき
21.5%
ハンバーガー
21.0%
トムセーブヌア(牛肉内臓スープ)
19.8%
好きな牛肉料理は?
チムチュムヌア(牛肉鍋)
18.5%
(複数回答)
しゃぶしゃぶ
18.0%
スップヌア(牛肉スープ)
17.5%
パペットヌア(牛肉唐辛子炒め)
13.0%
ゲーンキアオワンヌア(牛肉グリーンカレー)
12.3%
ラープヌア(牛肉のラープ)
11.5%
カオパットヌア(牛肉チャーハン)
9.0%
ヤムヌア(牛肉和え物サラダ)
8.5%
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⑤ 冷凍食品
タイ人がよく利用する冷凍食品としては、「ぎょうざ」が 43.5%で最も多く、次いで「し
ゅうまい」が 42.8%、「ソーセージ」が 40.8%となっている。
冷凍食品を利用する頻度としては、「週に 1 回」が 33.8%で最も多く、次いで「2~3 日
に 1 回」が 30.8%となっている(表 2-11)。
表 2-11 タイ人の食生活に関する調査結果 <冷凍食品>
質問
選択肢
よく利用する冷凍食品は?
(複数回答)
回答
ぎょうざ
43.5%
しゅうまい
42.8%
ソーセージ
40.8%
肉まん
29.3%
カオパット/炒飯
24.8%
魚や肉の団子
23.8%
タイ料理のおかず&ご飯
20.8%
ワンタンスープ
20.0%
カレー&ご飯
19.8%
デザート
16.5%
スパゲティー
16.0%
おかゆ
12.8%
和食のおかず&ご飯
12.3%
毎日
冷凍食品を利用する頻度は?
3.0%
2~3 日に 1 回
30.8%
週に 1 回
33.8%
月に 1 回
25.5%
まったく食べない
5.3%
無回答
1.8%
⑥ 冷蔵食品
タイ人がよく利用する冷蔵食品としては、「しゅうまい」が 47.0%で最も多く、次いで
「ぎょうざ」が 41.0%、「ソーセージ」が 37.3%となっている。
冷蔵食品を利用する頻度としては、「2~3 日に 1 回」が 33.0%で最も多く、次いで「週
に 1 回」が 28.0%となっている(表 2-12)。
表 2-12 タイ人の食生活に関する調査結果 <冷蔵食品>
質問
選択肢
よく利用する冷蔵食品は?
(複数回答)
回答
しゅうまい
47.0%
ぎょうざ
41.0%
ソーセージ
37.3%
肉まん
31.0%
魚や肉の団子
24.0%
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カオパット/炒飯
23.3%
カレー&ご飯
22.0%
タイ料理のおかず&ご飯
20.3%
ワンタンスープ
17.8%
デザート
15.5%
スパゲティー
13.5%
おかゆ
11.8%
和食のおかず&ご飯
11.5%
毎日
冷蔵食品を利用する頻度は?
8.0%
2~3 日に 1 回
33.0%
週に 1 回
28.0%
月に 1 回
25.3%
まったく食べない
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5.8%
4.食と健康に対する意識
タイ人の食生活と健康に関する意識についての調査結果は、以下のとおりである。
健康のための食事に対する意識では、「とても気にしている」と「気にしている」を合
わせると 71.1%を占め、食生活と健康への関心の高さをうかがい知ることができる。なか
でも半数以上が、カロリーと脂肪分の摂り過ぎに気をつけている。砂糖の摂り過ぎについ
ても 40.0%の人が気をつけている。
食品に含まれる残留農薬については、「とても気になる」「気になる」を合わせて 71.5%
となっている。
食品購入時に確認する表示について、ほぼ全員が「消費期限」、約 6 割が「原料」、約
4 割が「食品添加物」としている(表 2-13)。
表 2-13 タイ人の食生活と健康に関する意識
質問
選択肢
回答
とても気にしている
36.8%
気にしている
34.3%
健康のために食事を気に
どちらともいえない
23.3%
している?
あまり気にしていない
4.0%
まったく気にしていない
1.5%
無回答
0.3%
カロリーの摂り過ぎ
53.8%
脂肪分の摂り過ぎ
52.5%
コレステロールの摂り過ぎ
41.0%
食事のときに気をつけて
糖分の摂り過ぎ
40.0%
いることは?
塩分の摂り過ぎ
21.8%
(複数回答)
野菜や果物(ビタミン、ミネラル)を多く摂ること
20.5%
気にしない
14.0%
栄養が偏らないようにすること
13.8%
食物繊維を多く摂ること
13.0%
とても気になる
30.0%
気になる
41.5%
食物に含まれる残留農薬
どちらともいえない
22.0%
は気になる?
あまり気にならない
5.0%
まったく気にならない
0.8%
無回答
0.8%
購入時、確認する表示は?
(複数回答)
消費期限
92.0%
原料
60.0%
食品添加物
39.8%
原産国(輸入品の場合)
30.8%
成分(脂肪、コレステロール、ナトリウムなど)
23.0%
カロリー
17.5%
何もチェックしない
50
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2.8%
5.原発事故以降の日本産食品の信頼性
2011 年 3 月 11 日の福島原発事故以降、日本食に対するあなたの行動や考え方は変わっ
たかとの問いに対し「変わらない」が約 7 割(69.8%)を占め、「変わった」(23.0%)を
大きく上回っている。「変わらない」理由としては、「信頼している(15 人)」「好きな
ので変わらない(13 人)」「心配していない(11 人)」など、日本産食品に対する信頼と
嗜好の強さがうかがえる結果となった(表 2-14)。
原発事故以前と比べて、原発事故直後に日本食を食べる頻度は減ったかとの問いに対し
ては、「減らなかった」が 45.0%、「減った」が 16.3%となっている(注:この問いに対す
る回答では、約 4 割(38.7%)が「無回答」となっている)。一方で、原発事故以前と比べ
て、現在(2012 年 2 月時点)、日本食を食べる頻度は減っているかとの問いに対しては、
「減らなかった」が約 7 割(67.7%)を占め、「減った」(23.3%)を大きく上回っている。
原発事故以前と比べて、原発事故直後に韓国や中国など日本料理以外の外国料理を食べ
る頻度は増えたかとの問いに対しては、「増えなかった」が 45.0%、「増えた」が 5.3%と
なっている(注:この問いに対する回答では、49.7%が「無回答」となっている)。同様に、
原発事故以前と比べて、現在(2012 年 2 月時点)、韓国や中国など日本以外の外国料理を
食べる頻度は増えたかとの問いに対しては、「増えていない」が約 8 割(79.3%)を占め、
「増えた」(12.0%)を大きく上回っている。「増えなかった」もしくは「増えていない」
理由としては、いずれも「気にならないのでふつうに食べている」「もともとあまり食べ
ない」が上位 2 位を占めており、原発事故により日本食を離れて韓国や中国など他の外国
料理に切り替えた人はほとんどいなかったという結果となっている。
原発事故にもかかわらず日本産食品に対する信頼が維持された背景には、「日本食品は
タイに到着後、FDA による安全のための検査が行われていることを聞いたことがあるか」
との問いに 85.5%のタイ人が「聞いたことがある」と回答し、さらに「日本食品のタイ国
内への輸入に際しての FDA(タイ保健省食品医薬品庁)による安全管理措置を信頼してい
ますか」との問いに対しては 85.0%のタイ人が「信頼している」と回答しているように、
タイの規制当局(FDA)の安全管理措置に対するタイ人消費者の強い信頼もあることがうか
がえる結果となっている。
表 2-14 原発事故以降の日本食に対する意識
質問
選択肢
2011 年 3 月 11 日の福島原発事故以降、日本食に対するあ
なたの行動や考え方は変わりましたか。
変わった理由
回答
変わった
23.0%
変わらない
69.8%
無回答
変わらない理由
・放射能汚染が心配になった (24)
・信頼している (15)
・安全性について不安になった (10)
・好きなので変わらない (13)
・心配になった (8)
・心配していない (11)
・あまり食べなくなった (7)
・検査済みなので大丈夫だ (8)
・化学物質が心配になった (3)
・影響がないと思う (7)
・食べたくなくなった (3)
・安全だと思う (6)
・怖くなった (3)
・もともと好きではない (4)
51
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7.2%
・食品の安全性について心配になった (2)
・あまり食べてない (4)
・怖いので食べたくなくなった (2)
・事故と食品は関係ないと思う (3)
・管理者を信頼している (3)
・もともと食べない (3)
・普通に食べている (2)
・怖くない (2)
・日本の基準を信頼している (2)
・検査されているので大丈夫だ(2)
・もともとあまり好きではない(2)
・おいしいので気にしていない(2)
・あまり心配していない(2)
括弧内は意見数。複数意見のみ記載
質問
選択肢
原発事故以前と比べて、原発事故直後に日本食を食べる頻
度は減りましたか。
減った理由
回答
減った
16.3%
減らなかった
45.0%
無回答
38.7%
減らなかった理由
・放射能汚染が心配になった (17)
・もともとあまり食べない (14)
・心配になった (7)
・安全性を信頼している (13)
・安全性について不安になった (5)
・信頼している (10)
・値段が高くなった (3)
・気にならないのでふつうに食べている (10)
・怖くなった (2)
・安全だと思う (9)
・品質について不安になった (2)
・心配していない (8)
・あまり食べなくなった (2)
・信頼しているのでふつうに食べている (6)
・検査結果を信頼している (6)
・検査されているので大丈夫だ (4)
・好きなので変わらない (3)
・影響がないと思う (3)
・おいしいので気にならない (3)
・輸入時の検査を信頼している (2)
・管理方法を信頼する (2)
・タイには影響ないと思う (2)
・以前と変わらずよく食べている (2)
・あまり心配していない (2)
括弧内は意見数。複数意見のみ記載
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質問
選択肢
原発事故以前と比べて、現在、日本食を食べる頻度は減り
ましたか。
回答
減った
23.3%
減っていない
67.7%
無回答
減っている理由
9.0%
減っていない理由
・放射能汚染が心配になった (22)
・気にならないのでふつうに食べている (29)
・安全性について不安になった (14)
・もともとあまり食べない (29)
・心配になった (7)
・安全性を信頼している (22)
・怖くなった (3)
・信頼している (12)
・もともとあまり食べない (2)
・心配していない (8)
・リスクがあると思う (2)
・輸入時の検査を信頼している (6)
・怖いので食べたくなくなった (2)
・おいしいので気にならない (5)
・影響がないと思う (4)
・問題ないと思う (3)
・食べたければ食べている (3)
・好きなので変わらない (3)
・検査されているので大丈夫だと思う (3)
・信頼しているのでふつうに食べている (2)
・検査結果を信頼している (2)
・もともと食べない (2)
括弧内は意見数。複数意見のみ記載
質問
選択肢
原発事故以前と比べて、原発事故直後に韓国や中国など日
本以外の外国料理を食べる頻度は増えましたか。
増えた理由
回答
増えた
5.3%
増えなかった
45.0%
無回答
49.7%
増えなかった理由
・心配がいらない (5)
・気にならないのでふつうに食べている (25)
・原発事故と関係ないから (3)
・もともとあまり食べない (16)
・より安全だと思う (2)
・心配していない (12)
・もともとあまり好きではない (12)
・日本食より高い (2)
・タイ料理のほうが好き (2)
括弧内は意見数。複数意見のみ記載
53
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質問
選択肢
原発事故以前と比べて、現在、韓国や中国など他の外国料
理を食べる頻度は増えましたか。
回答
増えた
12.0%
増えていない
79.3%
無回答
増えた理由
8.7%
増えていない理由
・心配がいらない (8)
・気にならないのでふつうに食べている (34)
・目新しいものが好きだから (5)
・もともとあまり食べない (32)
・日本食より安全だから (4)
・もともとあまり好きではない (25)
・日本食は安全性について不安 (3)
・心配していない (21)
・放射能汚染と関係ないから (2)
・日本食の方が好き (9)
・食べる機会が少し増えた (2)
・タイ料理のほうが好き (6)
・おいしいと思わない (3)
・もともとよく食べていた (2)
・食べたいと思わない (2)
括弧内は意見数
日本食品はタイに到着後、FDA による安全のための検査が
行われていることを聞いたことがありますか
日本食品のタイ国内への輸入に際しての FDA による安全管
理措置を信頼していますか
聞いたことがある
85.5%
聞いたことがない
14.0%
無回答
0.5%
信頼している
85.0%
信頼していない
14.0%
無回答
54
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1.0%
平成 23 年度
タイにおける食のマーケット調査
発行
2012 年 3 月
発行所
日本貿易振興機構(ジェトロ)
農林水産・食品部 農林水産・食品調査課
東京都港区赤坂 1-12-32
電話 03(3582)5186
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