GaN on h-BN 剥離・転写技術 NTT物性科学基礎研究所

GaN on h-BN 剥離・転写技術
N01
ヒートシンクへの転写で放熱性向上
窒化物半導体は、高い絶縁破壊電界を有することから、高出力デバイス
への応用が期待されています。しかし、高電流動作させると自己発熱により
出力が低下してしまうという課題があります。基板自体を熱伝導率の高い
材料に変えて窒化物半導体を成長し、放熱性を向上させることで、デバイス
の発熱を抑えることはできますが、この方法では、結晶品質が低下し、膜厚
等が制限されます。そこで我々は、窒化物薄膜半導体デバイスを基板から
剥離し、ヒートシンクに転写するという新たな手法の開発に取り組んでいます。
Fig. 1
S
G
S
D
D
G
AlGaN
AlGaN
h-BN
AlN
転写後
剥離前
60
GaN
GaN
Fig. 3
我々は、六方晶窒化ホウ素(h-BN)上にGaNベースの窒化物半導体層
を成長(GaN on h-BN)し、h-BNが層間で劈開する性質を利用して、窒化物
半導体層を剥離・転写する技術の研究を進めています。今回、この技術を
利用して窒化物半導体高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)を、ヒート
シンクである銅板へ転写し、放熱性が向上することを確認しました。この
結果は、GaN on h-BN剥離・転写技術により、窒化物半導体デバイスの
高出力化を更に進められる可能性を示しています。
Probe
Probe
AlN
Probe
Probe
50
In
Sapphire sub.
40
Heat sink (Cu)
Sapphire sub.
0.8
Fig. 2
Vgs = +2V: -1V step
Id (A/mm)
0.6
30
2 mm
Before release
After transfer
2 mm
20C
0.4
Fig. 1. GaN on h-BN 剥離・転写の模式図。h-BN上に作製したAlGaN/GaN HEMTを
剥離した後、In熱圧着により銅のヒートシンクへ転写。
0.2
Fig. 2. 剥離前(青)、剥離・転写後(赤)のHEMTの電流電圧特性。自己発熱効果の影響
による飽和電流の減少が、銅板転写後には抑制されることを確認。
0.0
Fig. 3. 1 W/mm出力動作時の赤外線カメラによる剥離・転写前後の熱マッピング。
ヒートシンク転写後に発熱が抑制されていることを確認。
0
5
10
Vds (V)
15
20
NTT物性科学基礎研究所
廣木正伸 ([email protected])
熊倉一英 ([email protected])
西中淳一 ([email protected])