PRESSEBÜRO ウィーン国立歌劇場 プレス向け一般情報 1.

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ウィーン国立歌劇場
プレス向け一般情報
1.沿革
ウィーンでは初期バロックの時代からオペラが盛んでした。とくに宮廷では、
17 世紀からすでにオペラが上演されていました。1857 年 12 月に皇帝フラン
ツ・ヨーゼフ 1 世が出した勅令により、現在のウィーン 1 区にあたる旧市街を
囲んでいた市壁と堡塁を解体して、その跡地に芸術と政治の発展に向けた壮大
な建造物の並ぶ大通り「リング通り」を建設する計画が決まると、宮廷の劇場
と歌劇場も新しいリング通りに移転されることになりました。
新歌劇場の設計者はアウグスト・シカート・フォン・シカーズブルク、内装
デザインを手がけたのはエドゥアルト・ファン・デア・ニュルでした。いずれ
もウィーン出身の建築家です。そのほかにも著名な芸術家らが建設に携わりま
した。たとえば、歌劇場ラウンジのフレスコ画と、オペラ『魔笛』をモチーフ
にしたロッジアの有名なフレスコ画シリーズを描いたモーリッツ・フォン・
シュウィンドなどです。
新歌劇場は 1869 年 5 月 25 日に皇帝フランツ・ヨーゼフ 1 世と皇妃エリザ
ベートの臨席のもと、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』で盛大にこけら
落としが行われました。初代総裁フランツ・フォン・ディンゲルシュテット、
その後を継いだヨハン・ヘルベック、フランツ・ヤウナー、ヴィルヘルム・
ヤーンらのもとで、歌劇場はその高い芸術性で注目を集め、当初評判の悪かっ
た建物自体の人気も高まっていきました。そしてグスタフ・マーラーが総裁に
就任すると(1897 年〜1907 年)、歌劇場は最初の全盛期を迎えます。マーラー
は前時代的な公演のシステムを抜本的に改革し、芸術面での緻密さとアンサン
ブルの連帯感を高め、新しい舞台美術の創作に向けて著名な造形芸術家ら(ア
ルフレート・ロラーなど)にも協力を求めました。
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ウィーン国立歌劇場には暗い過去もあります。ナチス体制下の 1938 年から
1945 年までの間には、多くの歌劇場関係者が迫害・追放・殺害され、数々の作
品の上演が禁止されました。
第二次世界大戦中、歌劇場は大規模な爆撃で壊滅的な被害を受け、その存続
が危ぶまれたほどでした。戦時中も文化的な生活を守り続けていたウィーン市
民は、オーストリアの音楽の伝統を象徴する施設の変わり果てた姿に大きな衝
撃を受けました。
ところが、歌劇場の魂は生き続けていました。1945 年 5 月 1 日にはモーツァ
ルトの『フィガロの結婚』で「フォルクスオーパーでの国立歌劇場公演」がス
タートし、同年 10 月 6 日には急ピッチで修復工事が進められていたアン・デ
ア・ウィーン劇場が、ベートーベンの『フィデリオ』で再開しました。その後
10 年間は、この 2 カ所の劇場を利用して公演が続けられました。その間、リン
グ通りの歌劇場では大規模な復旧作業が行われていました。
すでに 1945 年 5 月 24 日の時点で、公共建築物担当政務次官ユリウス・ラー
プはウィーン国立歌劇場の再建を布告し、オーストリアの建築家エーリッヒ・
ボルテンシュテルンとオットー・プロッシンガーにその作業を委託するとしま
した。建物のうち戦火を免れた部分は、正面のファサードと中央階段ホール、
ティーサロン、シュウィンドがフレスコ画を手がけたラウンジだけでした。や
がて新しい観客席と近代的な技術を駆使した設備が整えられ、ウィーン国立歌
劇場は 1955 年 11 月 5 日、カール・ベームの指揮によるベートーベンの『フィ
デリオ』で華やかに再開します。オーストリアのテレビ局がオープニングセレ
モニーの様子を中継し、それがちょうど戦後新たに誕生したオーストリア共和
国の存在を世界にアピールする形となりました。ウィーン国立歌劇場の再開を
記念する一連の公演では、同年 11 月 6 日に『ドン・ジョヴァンニ』、同 9 日に
『影のない女』、同 11 日に『アイーダ』、同 14 日に『ニュルンベルクのマイス
タージンガー』、同 16 日に『ばらの騎士』が上演されました。
ウィーン国立歌劇場では、その歴史において著名な歌手や演奏家らが活躍し、
また数々の優れた作品が初演されました。たとえば、ジュール・マスネの
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『ウェルテル』、リヒャルト・シュトラウスのウィーン改訂版『ナクソス島の
アリアドネ』と『影のない女』、アルフレート・シュニトケの『ジェズアルド』、
アリベルト・ライマンの『メデア』などです。また、グスタフ・マーラーのほ
かにリヒャルト・シュトラウス、クレメンス・クラウス、カール・ベーム、ヘ
ルベルト・フォン・カラヤン(オペラの原語上演を実施)、ロリン・マゼール
なども総裁として活躍しました。過去 20 年にわたって総裁を務めたイオア
ン・ホレンダーは、子ども向けオペラの会場となる歌劇場屋上テントの設置
(1999 年)、子どものためのオペラ学校の創設(2001 年)、客席字幕モニター
の設置(2001 年)、国立歌劇場博物館の創設(2005 年)、ヘルベルト・フォ
ン・カラヤン広場で公演のライブ映像を上映するプロジェクト「Oper live am
Platz(オペラのライブビューイング)
」(2009 年)など、数々の功績を残しまし
た。
2.現在のウィーン国立歌劇場
今日、ウィーン国立歌劇場は世界有数のオペラハウスとして、とくにそのレ
パートリーの広さで知られています。毎年 9 月から翌年 6 月までに 300 回以上
の公演が行われ、60 を超えるオペラ・バレエ作品が上演されています。芸術面
で本歌劇場を支えるのは、専属声楽アンサンブル(ソリスト約 45 名)、バレエ
団(ウィーン国立バレエ団のダンサー約 80 名)、ウィーン・フィルハーモニー
管弦楽団の選抜メンバーで構成されるオーケストラ、合唱団、舞台オーケスト
ラ、そして世界中からの招かれる歌手・ダンサー・指揮者たちです。
本歌劇場には、10 歳から 18 歳までの子どもたちがステージダンスの理論と
実践を徹底的に学ぶことのできるバレエ学校と、子どものためのオペラ学校が
併設されています。オペラ学校は歌の才能を持つ子どもたちにオペラの世界へ
足を踏み入れるチャンスを与える場であり、子どもたちは同校合唱隊の一員と
して各種オペラの舞台に出演します。
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2010 年 9 月 1 日より、ドミニク・マイヤーが本歌劇場の総裁を、フランツ・
ウェルザー=メストが音楽総監督を、マニュエル・ルグリがウィーン国立バレ
エ団の監督を務めています。
この新しい首脳陣が最も力を入れているのは、レパートリーを維持し、見直
していくこと、そしてプレミエ公演によってレパートリーを系統的に広げてい
くことです。2010/2011 年シーズンには、ヘンデルの『アルチーナ』の上演で
約 50 年ぶりにバロックオペラが本歌劇場に返り咲き、ドニゼッティの『アン
ナ・ボレーナ』がレパートリーに加わりました。続いて 2011/2012 年シーズン
にはヤナーチェクの『死者の家から』とヴァイルの『マハゴニー市の興亡』が
ウィーン初演となり、翌 2012/2013 年シーズンにはヘンツェの『ポリチーノ』
が本歌劇場で初めて上演されました。2013/2014 年シーズンはチレアの『アド
リアーナ・ルクヴルール』とヤナーチェクの『利口な女狐の物語』のほか、屋
上特設テントでの子ども向けオペラではナスケの『ぐるぐるっと町』が初演さ
れます。
3.2013/2014 年シーズンについて
2013/2014 年シーズンは、6 作品のプレミエ公演が予定されています。ジャコ
モ・プッチーニの『西部の娘』、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
の『魔笛』、アントニン・ドヴォルザークの『ルサルカ』、フランチェスコ・チ
レアの『アドリアーナ・ルクヴルール』、リヒャルト・ワーグナーの『ローエ
ングリン』、レオシュ・ヤナーチェクの『利口な女狐の物語』です。子ども向
けオペラの会場「A1 子どもオペラテント」では、エリザベート・ナスケとヨ
ハンナ・フォン・デア・デーケンの『ぐるぐるっと町』(委嘱作品)が初演さ
れます。また、ガエタノ・ドニゼッティの『アンナ・ボレーナ』、ベンジャミ
ン・ブリテンの『ピーター・グライムズ』、ジャック・オッフェンバックの
『ホフマン物語』の再演も見逃せません。
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ウィーン国立バレエ団監督のマニュエル・ルグリも、本歌劇場で 3 作品のプ
レミア公演を企画しています。振付家ウィリアム・フォーサイス、ナタリア・
ホレツナ、ハラルド・ランダーによる 3 部構成の『バレエ・オマージュ』、ル
ドルフ・ヌレエフの『白鳥の湖』と『ヌレエフ・ガラ 2014』です。
A1 子どもオペラテントでは、ワーグナーの『子どものためのニーベルング
の指環』が再び上演されます。
国外では、2013 年 9 月にハンブルクで演奏会形式の『フィガロの結婚』を、
同年 11 月にはオマーンの首都マスカットのロイヤルオペラハウスで『フィガ
ロの結婚』をオペラ形式で 3 回上演する予定です。また、2014 年 2 月〜3 月に
は「ウィーン・フェスティバル」の一環として、ニューヨーク・カーネギー
ホールでウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と演奏会形式の『ヴォツェッ
ク』と『サロメ』、ベートーベンの『交響曲第 4 番』を、2014 年 6 月にはリュ
ブリャナで演奏会形式の『コジ・ファン・トゥッテ』を演奏します。ウィーン
国立バレエ団も、2014 年 1 月にオマーン・マスカットのロイヤルオペラハウス
で『20 世紀の名作』を上演します。
オペラ 53 作品とバレエ 9 作品を含む多彩なシーズンプログラムには、下記
の恒例イベントも盛り込まれています。
–
マチネーシリーズ『アンサンブル紹介』:10 回シリーズ。声楽アンサンブ
ルの若手メンバーらが、通常の公演とは別枠で歌声を披露します。
–
リサイタル:世界屈指の歌手による魅力的なプログラムを 6 夜にわたって
お届けします。
–
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 室内楽シリーズ:10 回シリーズの
マチネー。ウィーン・フィルのメンバーが交代でアンサンブルを組み、毎
回異なるプログラムで室内楽作品を演奏します。
–
『ナビゲーションライト』— フランツ・ヴェルザー=メストが司会進行役
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を務める昼間の座談会:音楽総監督ヴェルザー=メストが世界で注目され
ている人物を厳選して招き、2 回にわたって座談会を開催します。新制作
や音楽一般などについて意見を交わします。
以上のバラエティーに富んだ公演プログラムに加え、『ヴェルディ・ガラ』
や各種マチネーのほか、シーズン開始時には好評のオープンハウスも開催され
ます。
2014 年 2 月 27 日にはウィーン・オペラ座舞踏会が開かれ、会場となる
ウィーン国立歌劇場は広いボールルームに早変わりします。本歌劇場の歴史が
始まって以来、今回で 58 回目の開催となります。その翌日には、同じ会場で
『子どものための魔笛』が 2 回上演されます。
「Oper live am Platz(オペラのライブビューイング)」では、厳選されたオペ
ラ・バレエ公演のライブ映像が 9 月と 4 月〜6 月に各月 20 回ずつ、ヘルベル
ト・フォン・カラヤン広場で上映されます。さらに、12 月 27 日〜翌年 1 月 1
日には歌劇場での公演がすべてライブ中継され、12 月 31 日には『こうもり』
の上映でウィーンの大晦日を盛り上げます。
2013/2014 年シーズンはライブストリーミングプロジェクト「ウィーン国立
歌劇場ライブ」がスタートし、プレミエ公演やレパートリー公演を高画質・高
音質で世界中にお届けできるようになります。
2013/2014 年シーズンのプログラムの詳細や出演者が記載されたプレス向け
資 料 は 、 本 歌 劇 場 公 式 ホ ー ム ペ ー ジ の プ レ ス セ ン タ ー ( www.wienerstaatsoper.at/presse)で PDF 文書としてダウンロードできます。
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4.数字で見るウィーン国立歌劇場
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本歌劇場の客席数は、座席数 1709 席、立ち見席 567 席。車椅子席・同伴
者用座席は 1 階一等席・1 階席に 4 席、およびギャラリーにも数席ご用意
しています。
–
2013/2014 年シーズンの公演回数は 350 回を超えます。その内訳は、オペ
ラ公演が 233 回、バレエ公演が 51 回、リサイタルが 6 回、声楽マチネー
が 10 回、室内音楽マチネーが 10 回、その他のマチネーまたはコンサート
が 10 回、子どものためのオペラ公演が 40 回以上となっています。また、
バレエ学校による数々の発表会も A1 子どもオペラテントで開かれます。
–
本歌劇場では、約 950 名の専属スタッフが技術・舞台進行・経営・管理な
どの業務に携わっています(技術スタッフ数は約 360 名)。
–
ウィーン国立歌劇場管弦楽団には 148 名、舞台オーケストラには 41 名、
ウィーン国立歌劇場合唱団には 92 名が所属しています。
–
2013/2014 年シーズンの公演には 214 名のソリスト(オペラ部門)が出演
し、34 名の客員指揮者がタクトを振ります。
–
ウィーン国立バレエ団の団員数は 103 名を数え、そのうち 79 名がウィー
ン国立歌劇場に、24 名がフォルクスオーパーに所属しています。
–
バレエ・オペラ公演のチケットの最低料金は 3 ユーロまたは 4 ユーロです
(ギャラリーとバルコニーの立ち見席の料金)
。
(2013 年 3 月 18 日現在)
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