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「制御工学」資料 (2014.8.8, rev.1)
8–1
課題 (2014.7.18) 解答例
8
□問題 1. 前向き伝達関数が,次式で表されるユニティフィードバック制御系について,以下の問いに答えな
さい.ただし,log10 2 = 0.301, log10 3 = 0.477 とする.(2011.8.5 実施,
「制御工学」期末試験問題より)
G(s) =
K
s(s2 + 2s + 1)
(K は定数)
1) 一巡伝達関数 (周波数伝達関数) の位相が,−180˚になる角周波数 ωp [rad/s] を求めなさい.
2) ゲイン余裕 gm [dB] を表す式を求めなさい.※ ω = ωp におけるゲインから求める.
3) K = 1, 2 の各値について,ゲイン余裕 gm [dB] を具体的に計算しなさい.
(解答例)
1) 与えられたユニティフィードバック制御系の一巡伝達関数は,
G(s) =
K
s(s2 + 2s + 1)
周波数伝達関数では,s → jω とおいて,
G(jω) =
jω [(jω)2
K
K
−2Kω 2
Kω(1 − ω 2 )
=
=
−j 4
2
2
4
2
2
2
+ 2jω + 1]
−2ω + jω(1 − ω )
4ω + ω (1 − ω )
4ω + ω 2 (1 − ω 2 )2
角周波数 ω = ωp において,ナイキスト線図は実軸と交わり,
ImG(jωp ) = 0
より,
ωp = ±1
ここで,ωp > 0 より,
ωp = 1 [rad/s]
···
(答)
2) ゲイン余裕を gm = 20 log10 a (a > 0) とおくと,右図
に示すように,ナイキスト線図が実軸と交わる点の座
F
標は,(−1/a, 0) と書ける.
B
1) の結果から,この交点の座標は,
1
−
a
=
−2Kω 2
4ω 4 + ω 2 (1 − ω 2 )2 ω=ωp =1
= −
@B .@BPQR 10
K
2
D
B
したがって,ゲイン余裕 gm は,
gm = 20 log10 a = 20 log10
3)
2
[dB]
K
• K=1
20 log10
···
(答)
@B
2
= 20 × 0.301 = 6.02 [dB]
1
• K=2
20 log10
2
= 0 [dB]
2
···
···
(答)
(答)
【解説】
ゲイン余裕を式を使って求める問題である.K = 2 における,ゲイン余裕 gm = 0 [dB] という状況は,ゲイン
余裕が全くない,すなわち,安定と不安定の境界状態 (限界安定) にあることを意味する.