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JSR 新中期経営計画
2015年3月期-2017年3月期
2014年4月公表
代表取締役社長 小柴 満信
JSR株式会社(4185 JP)
-INDEX-
①JSR20i3の結果と振り返り
②JSR20i6の概要
・石油化学系事業
エラストマー事業
・多角化事業
ファイン事業 (半導体材料事業・FPD材料事業)
戦略事業
・全社共通の施策
③サマリー
2
JSR20i6ミッション
2020年に向けた経営方針
環境変化に強い企業体質(収益コスト体質含む)構築
持続的成長が可能な競争力構築
石化・ファイン事業に続く第3の柱構築
JSR20i3
JSR20i6
結果を出す
ファイン事業の停滞と戦略
事業の立ち上げ遅れにより業績
目標は未達の結果となった。
但し、石化系事業は収益体質
強化が進捗した。
一方で「成長への始動」に
必要な戦略明確化と資源投入の
意思決定を行い、JSR20i6に
繋がる基盤は整備した。
1.



2.


3.

基盤事業のシェア拡大
S-SBR:タイ工場(JBE社)の収益化
ArF/多層:14nm以降シェア獲得
モバイルディスプレイ材料の拡充
事業・地域ポートフォリオの追加
戦略事業:ライフサイエンス、LICへの集中
欧米へのExposure拡大
ミドルラインコントロール
S-SBR引取権(欧州)売却、etc.
JSR 2020
3
①JSR20i3の結果と振り返り
4
JSR20i3の結果:収益は横ばい
多角化事業の停滞により当初目標は未達。収益は横ばい圏に留まる。
・石油化学系事業は当中計期間に最高益達成。想定以上の拡大を果たす。
・多角化事業は成長シナリオが実現せず収益停滞に陥った。
・ファイン事業の収益拡大シナリオの未達
・第三の柱の確立遅れ
売上高推移(億円)
3,500
3,407
Mar.11
石化
Mar.12
多角化
営業利益推移(億円)
3,715
Mar.13
JSR20i3
3,943
Mar.14
4,200
Mar.14
当初計画
(FY)
600
391
360
352
361
Mar.11
Mar.12
Mar.13
Mar. 14
石化
多角化
JSR20i3
Mar. 14
当初計画
(FY)
5
JSR20i3の結果:多角化事業の停滞
多角化事業の停滞は、挑戦的シナリオの未達が主因。
マーケットの過大評価、シェアダウンの影響を受けた。
市場要因
半導体材料
FPD材料
自社要因
世界シリコンウエハー
投入面積CAGR
・40nm~30nm世代での
ArFレジストのシェアダウン。
JSR20i3計画 6-7% vs 実績 –1%
・20nm採用獲得に向けた投資集中。
2013年度後半に立ち上がり開始。
世界LCDパネル市場
面積CAGR
・TV分野のコモディティ化の
進展により、着色レジストの
シェアダウン。
JSR20i3計画10-11% vs 実績 8%
戦略事業
-
・精密加工分野
(ITOフィルム、ARTON樹脂)
の立上げ不足
6
JSR20i3の結果:定性的テーマの進捗
当中計期間に「成長への始動」に資する戦略明確化と
大型投資の意思決定を行い、JSR20i6に向けての基盤を整備した。
主要課題
• S-SBRのグローバル展開
石化系事業
• 環境変化、Volatilityへの耐性、
対応力強化
JSR20i3の進捗
• タイ工場(JBE社)稼働
• 欧州新拠点設立決定
• 損益分岐点改善
• On-Purpose BD検討進展
ファイン事業
• 半導体材料:ArFシェアUp
FPD材料:最先端技術対応
• 韓台市場の競争力強化
• 既存周辺での製品群の追加
戦略事業
• 事業展開シナリオ構築
• 事業インフラ整備
• 次世代研究へ資源投入
(R&D要員10%)
• ArF/多層 20nm世代高シェア獲得
• 韓台に製、販、技体制を構築。
着色レジストシェアが回復開始。
• ファイン新事業領域の探索実施
•
•
•
•
戦略事業の輪郭明確化
JSRライフサイエンス社(JLS)設立
医学生物学研究所(MBL)出資
LIC量産工場建設決定
• Corporate Venture Capital活動の開始
7
②JSR20i6の概要
8
2017年3月期に向けた対面市場:石化市場
この先1~2年は厳しい事業環境が続く見通し
石化原料市況と共に合成ゴム市況も低迷。
■BR・ブタジエン価格の推移
5,000
$/M
4,000
ブタジエンSPOT価格
BD
Spot FOB SK
3,000
BRSpot
SPOT価格
BR
CFR AP
2,000
1,000
'99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14
(暦年)
Source:ICIS、Platts
9
2017年3月期に向けた対面市場:ファイン事業
当社にとって不透明な環境が続いている
・半導体市場:過去3年間成長は停滞。当面不確実な環境が継続する見通し。
・FPD市場: 大型:コモディティ化が加速、中小型:高成長のトレンド。
■2010 - 2013年の推移
半導体:シリコンウエハー出荷面積
FPD:パネル面積・金額
CAGR +8%(面積)
CAGR -1%
(面積内訳:大型+7%、中小型+16%)
MSI
百万㎡ 中小型比率
10,000
150
16%
億$
17%
18%
20%
200
150
100
7,500
100
50
50
0
0
5,000
2010
2011
2012 2013E
(暦年)
Source:Gartner
2010
面積(大型)
2011
2012
面積(中小型)
2013
(暦年)
金額(全体)
Source:ディスプレイサーチ
10
JSR20i6のテーマ
増収増益の結果を出す
基盤事業のシェア拡大
事業・地域ポートフォリオの追加
ミドルラインコントロール
11
JSR20i6の姿
売上高5000億円・営業利益500億円達成
達成のドライバーは、
「トップライン拡大」 + 「ミドルラインコントロール」
JSR20i6
石化系事業
ファイン
事業
営業利益
260億円
営業利益
240億円
*戦略事業はEBITDA
黒字化を目標とする。
戦略事業
トップライン拡大
ミドルラインコントロール
JBE社(S-SBR)の稼働最大化
・S-SBR引取権(欧州)売却
・損益分岐点の継続改善
(70%台)
半導体材料:20nm ArF/多層材料の
立ち上げ、14nm~採用獲得
・四日市拠点でのR&D
集中投資
FPD材料:
モバイル製品用材料の採用拡大
・研究、製造の東アジアへ
の更なるシフト
ライフサイエンス:MBL社との協業
による事業拡大
LIC:ダントツ性能と量産工場立ち
上げによる事業本格化
・ライフサイエンス、
LIC事業への集中投資
12
JSR20i6 営業利益:500億円
■JSR20i6 営業利益計画
(億円)
500
500
400
361
380
500
300
多角化
石化
200
100
0
MAR. 14
MAR. 15
MAR. 16
MAR. 17
売上高(億円)
3,943
4,100
-
5,000
石化系事業
多角化事業
2,612
1,331
2,700
1,400
(FY)
3,200
1,800
JSR20i6
13
②JSR20i6の概要
石油化学系事業
14
石油化学系事業の数値目標:過去最高益の更新
S-SBR市場におけるシェアNo.1を確立。
安定した収益を生み出すビジネスモデルにより過去最高益を更新する。
Point:
■石油化学系事業の営業利益推移
JBE社の
収益最大化
(億円)
300
260
230
212
220
160
90
20
(FY)
-50
JSR20i6
15
S-SBR事業:市場・当社事業共に拡大
石化市況のダウントレンド下においてもS-SBR市場は確実に拡大。
当社S-SBR販売も過去3年間拡大。15年3月期よりタイのJBE社が本格寄与。
■当社S-SBRの販売量と対面業界の推移(単位:%)
200%
JSR販売量Tons(年度)
JSR販売量Tons(FY)
S-SBR市場 CAGR
+8%
(2010年~2013年)
S-SBR市場Tons(暦年)
乗用車タイヤ需要本数(暦年)
100%
0%
Mar.08 Mar.09 Mar.10 Mar.11 Mar.12 Mar.13 Mar.14 Mar.15E (FY)
(Source:LMC2013などを基にJSRで策定)
16
S-SBR世界No.1
ボリュームゾーンとなるミドルエンド市場は、
日系各社の能増で14-15年の需給軟化が予想される。
当社は3つの強みでこれを乗り越え、世界NO.1を獲得する。
➣2018年3月期、20万T超の生産能力+ミドルエンド品の生産経験値
①規模の経済
300,000
(S-SBR生産能力の見通し:単位Ton)
Hungary
200,000
Thailand
100,000
Germany
Japan
0
Mar.10
Mar.12
Mar.14
Mar.16
Mar.18
(FY)
②顧客との関係強化
➣2012年3月期、四日市工場の先行投資で獲得した顧客を囲い込み。
➣顧客立地に対応するグローバル3拠点の供給体制確立。
③ハイエンド市場の
圧倒的シェア維持
➣品質差別化を継続することで、需要量が拡大するハイエンド市場の
圧倒的シェアを維持する。
17
②JSR20i6の概要
多角化事業
18
多角化事業の数値目標:着実な収益拡大
先端半導体材料やFPD材料のシェア伸長により、
着実に収益の拡大を目指す。
第3の柱としてLIC、ライフサイエンス事業を立ち上げる。
■売上高推移
(億円)
1,800
2,000
1,500
1,330
1,400
■営業利益推移
(億円)
300
200
240
148
160
Mar. 14
Mar. 15
1,000
100
500
0
Mar. 14
Mar. 15
Mar. 16
JSR20i6
Mar. 17 (FY)
0
Mar. 16
Mar. 17 (FY)
JSR20i6
19
半導体材料:成長のドライバー
当社先端材料が2014年3月期(下期)より本格的に立ち上がった。
・20nm~16nm 世代の材料で当社シェア拡大は確実。
・次の開発ターゲットは14nm以降に移行。
・四日市での一極集中開発~生産体制で最適化。
ArF液浸レジストの売上伸長率
(億円)
200
+50%
(FY Mar.13 → FY Mar.14)
■先端リソグラフィ材料の売上高推移
150
100
50
0
Mar. 2013下
Mar. 2014上
Topcoat
Mar. 2014下
下層他
Mar. 2015上
ArFドライ
Mar. 2017下
(FY)
ArF液浸
20
FPD材料:成長のドライバー
JSR技術をアジアで展開する体制は今後更に強化。
コモディティ/先端両分野でシェア拡大を果たす。
■FPD材料 売上高推移
(億円)
14年3月期中小型構成比:
JSR35%
vs 市場20%
大型向け材料
60%
東アジアに展開し
成長市場でシェア拡大
65%
中小型向け材料
35%
40%
超
製品ポートフォリオを
拡充し付加価値拡大
(FY)
※中小型には精密材料・加工、ARTONを含む。
21
ファイン事業の潮流
Point 1
Point 2
デジタル産業はInternet of Things(IoT)
が普及し、あらゆるヒト・モノがインター
ネットでつながる世界になる。
デジタル産業を支える技術キーワードは5つ。
当社では既存の製品ラインアップに加え、
センサー分野に注力していく。
・リソ材料
・プロセス材料
・先端実装材料
既存領域
での進化
記憶
ドメイン
の拡張
パワー
駆動
セン
シング
伝送
表示
出典:CISCO
・近赤外線カットフィルター
(NIR)
・機能性コート材料(OPSTAR)
・CMOSイメージセンサー材料
・バイオセンサー材料
・OFC材料
防水材
(OPSTAR)
・LCD材料
・OLED材料
・ARTON位相差フィルム
22
戦略事業:注力分野の明確化
注力分野をLIC事業およびライフサイエンス事業に特化。
JSR20i6の戦略事業
①LIC事業
②ライフサイエンス事業
*従来、戦略事業としていた事業について ⇒ 付加価値をつける機能としての役割へ
機能化学品事業
精密材料・加工事業
*石化系事業の新用途の開発に応用していく。
*組織横断的な機能として、各事業の製品に付加価値を加えていく。
23
LIC事業:採用実績の拡大
LICのフロントランナーとして採用実績を確実に積み重ねた。
販売
低電圧・据置型から高電圧・移動型へ採用拡大。本格拡販開始。
採用例
岡村製作所
AGV
コニカミノルタ
携行X線撮像
開発
住友建機
パワーショベル
Optare/ BLUWAYS
バス
ラミネートセル、大型角缶セルに加えて小型角缶セル上市。MDも高電圧対応へ。
セル製品
*MD:モジュール
JMエナジー
量産新工場
ラミネートセル
扁平角缶型セル
モジュール製品(MD)
標準MD
多連結高電圧MD
既存工場
水冷MD開発品
製造
2015/3月期
-竣工
2016/3月期
-商業生産開始
300万セル量産工場建設を決定
24
LIC事業:市場見通し
2020年に向け大容量キャパシタ市場は、自動車用途を含めて大きく拡大。
差別化技術と量産能力で当市場の覇権を獲得する。
(億円)
蓄電デバイスにおけるLICの位置付け
大容量キャパシタ市場規模
2500
2000
目標: 2020年
市場シェア20%超
1500
1000
大容量
キャパシタ
500
当社売上加速
0
2013
2014
2015
2016
2020
(CY)
*1. Market size of super capacitors(>300F) is estimated by JME.
(Reference data: HIEDGE, Fuji-Keizai, Navigant Research)
25
ライフサイエンス事業:事業拡大の加速
診断試薬、メディカルポリマー事業により長期に渡り実績を積み上げてきた。
MBL出資を契機に、ライフサイエンス事業としての展開を加速する。
(億円)
ライフサイエンス事業 JSRグループ販売計画
400
300
・バイオ/創薬分野への領域拡大
・グローバル展開の加速
・M&Aの活用
200
MBL出資
100
J&W(北京)設立
JLS設立
0
(FY)
JSR 20i6
(注:上記売上高は持分法適用会社も含めた数値)
26
ライフサイエンス事業:事業領域の拡大
バイオ医薬品の創薬プロセス市場が注力する事業領域。
原料から川下へ、研究試薬から創薬への領域拡大を協業で推進していく。
■バイオ医薬品の創薬プロセス
基礎研究
川上
原料
応用研究
審査・承認
臨床試験
製品
実用まで
10~20年
ビーズ
メディカルポリマー
バイオプロセス材料
プロセス部材
試薬
研究試薬・キット
細胞培養・キット
研究試薬から
診断薬等の創薬へ
検査診断薬
コンパニオン診断薬
器具
装置・デバイス
川下
分析・解析システム
受託サービス
受託
原料・試薬から
器具・装置デバイスへ
JSR
保有領域
MBL
保有領域
融合
領域
27
②JSR20i6の概要
全社共通の施策
28
資源投入
■各中計期間の設備投資(資産計上ベース)
1,000億円の投資を実行。
3年間合計で約
JSR20i6
主な投資案件
・2016/3月期:JBE第二期工場建設
JMエナジー量産工場建設
JSR20i3
0
人
7,000
5,250
石化系事業
ファイン事業
戦略事業他
1,000
(億円)
・2017/3月期:ハンガリー工場建設
■要員計画(グループ全体)
26%
17%
28%
海外展開の更なる拡大と共に
3,500
海外要員の構成比も増加する見込。
1,750
0
Mar.2011
Mar.2014
日本
Mar.2017
(FY)
海外
29
投下資本収益率の向上
当中計では先行投資の確実な収益貢献により
ROE12%、ROIC15%を目指す。
(億円)
3000
・事業投資採算管理(NPV,IRR等)
・全社活動 E-100PlusC(コストダウン+資産効率向上)
・株主還元
2500
2000
1500
15%
14%
11%
13%
13%
10%
10%
12%
10%
運転資本
8%
1000
固定資産
ROIC
ROE
500
0
Mar. 2011
Mar. 2012
Mar. 2013
Mar. 2014
-
Mar. 2017 (FY)
ROIC : 純利益÷(運転資本+固定資産)
30
③サマリー
31
サマリー:JSR20i6ミッション
事業環境は不透明な状態が続くが、JSR20i3での投資を
確実に収益化し、営業利益500億円を達成する。
時価総額1兆円へ
結果を出す
• 変化に強い企業体質
• 持続的成長可能な競争力
• 事業の第3の柱構築
• S-SBR/先端リソ材料のシェア拡大
• LIC/ライフサイエンス事業の本格立上げ
• ミドルラインコントロール
• 戦略の明確化
• 先行投資の実行
JSR20i3
PhaseⅠ
JSR20i6
Phase Ⅱ
JSR 2020
32
当資料に記載の業績予想、見通し及び事業計画につきましては、現時点で入手可能な情報からの判断に基づいて作成した
ものであり、様々な不確定要素が内在しております。今後、当社を取り巻く市場の経済情勢等により実際の業績は、当資料
記載のものと異なる可能性があります。