稲毛将隆(PDF) - 応用数理工学科

管路系におけるエッジトーンの音源特性の散乱マトリックス法を用いた解析
鳥取大学 工学部 応用数理工学科
研究背景と目的
研究目的
測定部が開放型の音響風洞では,エッジトーンを
音源とした流力自励音が問題となることがある
エッジトーンのモデル化
自励振動を含んだダクトの解析が可能
エッジトーンと管路の共鳴音が連成した音
本研究ではエッジトーンのモデルを
もっとも簡単な一次元単極子音源と仮定する
【課題】 音源位置の特定
散乱マトリックス法
音源位置の求め方
管路内を伝播する一次元の平面波を管路要素の境界における
右向き進行波 f と左向き進行波 g に分け,要素毎に繋いでいく手法
①と②の各励振成分は,
散乱マトリックス法より
ˆ 


f
exp(

ika
)
0
 S
 f S  

・・・(2)

 
0
exp(
-ika
)


ˆ
g

 g S 
 S
1 p
1 p
f  (  u) g  (  u)
2 c
2 c
で表せるリーマン不変量
p : 音圧 u : 粒子速度
 : 密度 c : 音速
結べると考える.
(2)より
実験装置
f 
i 1 


 g i 
S 
i
 f  f 
i 
S

   ・・・(1)
 g i 1  g S 
1
4
ˆf  f S exp(ika)
S
S , S :直管部要素
2
3
S:ノズル縁部要素 S :開口部要素
gˆ S から fˆ S
式(1)を用いて要素毎の左右進行波 f , g を繋いでいく
をわると
エッジトーンの扱い方
①ノズル縁部で流れが剥離し,
渦が発生.
波の大きさが同じで同位相
①,②のループで増幅されて発生したエッジトーンを
式(3)左辺 
f S , g S で表す.
f S , g S の求め方
gˆ S  g S exp(ika)
ˆf f
S
S exp(2ika)
・・・(3)
gˆ S g S
実際の音源位置=単極子音源
②発生した渦がコレクタのエッジに
衝突し音波が発生.
ˆf
S
esp(0)  1
gˆ S
式(3)右辺 
fS
exp(i )exp( i 2ka )
gS
f S / g S  1 とすると
 exp(i )exp( i 2ka )
(  : f S からg S の位相を引いた値)
ノズル縁部要素にエッジトーンの仮の音源
があるとして f S , g S を付加する
(ノズル縁部要素は厚さのないものとする)
1  expi (  2ka )
f  f  f 
S 
i 1
i

 

 g S   g i  g i 1 
  2ka  0
ノズル縁部から実際の音源位置までの距離aは
a   / 2k
f i 1 , g i 1 は既知)
( f i , gi
k : 波数
ノズル縁部要素の拡大図
>0で実際の音源位置が空間部のどこにあるか評価可能
試験結果
X3で計測した音圧の周波数特性
音源位置aの導出結果
156Hz付近に顕著なピークが見られる
エッジトーンの周波数は約156Hzと考える
エッジトーンの周波数の f S
,g
S
大きさの比と位相差
大きさの比 ( f S / g S )
位相差 ( f S  g S )
50
55
60
21
32
35
45
L-a (mm) 19
18
20
15
a
(mm)
0.78
1.5
Δθ (rad)
1
Gain
%
L (mm) 40
0.5
0
40
45
50
55
L (mm)
f S / gS  1
60
0.39
0
40
45
50
L (mm)
Δθ>0
55
60
各Lによらず,L-aの値が,ほぼ一定
結言
一次元単極子音源とみなせる音源位置はエッジ間距離によらず,空間部のほぼ一定の位置に存在する
B10T8006B 稲毛 将隆