Keysight Technologies InfiniiumオシロスコープによるUSB 2.0

Keysight Technologies
Infiniiumオシロスコープによる
USB 2.0コンプライアンス・テスト
Application Note
はじめに
USB(Universal Serial Bus)は、パーソナル・コンピュータとデバイ
スを接続する革新的な方法として1995年に登場しました。ホットプ
ラグ機能を実現することによって、PCデバイスは非常に使いやすく
なります。キーボードやマウスからプリンタ、スキャナ、PCカメラ
などのさまざまなコンピュータ・デバイスをPCに簡単に接続でき
ます。
USBは、現在ではデバイス・メーカとエンド・ユーザの両方にとっ
て最善の接続方法として、旧来のシリアル・ポートやパラレル・ポ
ートに置き換わるようになりました。旧来のシリアル接続とパラレ
ル接続ではケーブル長と増やせるデバイス数に制約がありましたが、
USBの場合は問題がありません。USBを使用すると、デバイスをホ
ストから最長30メートル離れた場所に配置できます。また、一連の
USBハブを介して1つのホストのポートに一度に最大127のデバイス
を接続することができます。デバイスと直接またはハブ経由で通信
できることにより、従来にない拡張機能に対応することができます。
USB 1.1は、Low Speedで1.5 Mb/s、Full Speedで12 Mb/sの転送速度
を実現し、マウス、キーボードなどの低速のデバイスには適してい
ましたが、高速デバイスの場合、こうした比較的遅いデータ転送速
度が大きな制約となっていました。このため、USB-Implementers
Forum(USB-IF)では、2000年5月にこれまでの製品との完全な互
換性を備えたUSB 2.0を導入しました。その結果、Hi-Speedのデー
タ・スループットはFull Speedの40倍になっています。USB 2.0は
動作速度480 Mb/sで、ビデオ会議用カメラや高解像度プリンタなど
のデバイスに適しています。詳細については、公式USB-IF
(USB相
互運用性フォーラム)
Webサイトwww.usb.org をご覧ください。
本アプリケーション・ノートの
対象者
本書は、USB 2.0コンプライアンスの
開発担当者を対象としています。
目次
はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2
基本仕様 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3
Full/Low Speed テスト・スイート . . . . . . . 4
Full/Low Speed テスト・フィクスチャ . . . . 4
信号品質テスト . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
突入電流チェック . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7
ドループ/ドロップ・テスト . . . . . . . . . . . . 8
バックドライブ電圧テスト . . . . . . . . . . . . . . 9
Hi-Speed 電気特性テスト・スイート. . . . . . 9
Hi-Speed Electrical Test Tool . . . . . . . . . . . 9
Hi-Speed テスト・フィクスチャ . . . . . . . . 10
Hi-Speed 信号品質テスト . . . . . . . . . . . . . 11
モノトニシティ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11
パケット・パラメータ・テスト . . . . . . . . . 12
受信感度 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12
CHIRP(チャープ)タイミング・テスト . . . . 13
インピーダンス測定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14
基本仕様
前に示したように、USB 2.0は、3つの異なるデータ伝送速度、Low Speed、Full
Speed、Hi-Speedから成ります。
ケーブルは、4本のワイヤ、V BUS、D+、D−、グランドから構成されています。デバイス
には、最大500 mAの電流をバスから供給できます。またデバイスに電源が装備されてい
る場合、デバイス自体から電力を供給できます。D−とD+は、ホスト、ハブ、デバイス
間の1次情報キャリアとして働く差動信号ペアです。USB 2.0では、3種類のデータ転送
タイプ、割り込み、バルク、アイソクロナスをサポートしています。ホストからコマン
ドや問合せパラメータを含む制御パケットを送信することもできます。
USBの適応性は、上記の仕様、およびUSB-IFによるきびしい規制と必須コンプライアン
ス・テストによって保証されています。コンプライアンス・テストには、フレームワー
ク・テスト、相互運用性テスト、電気テストの3種類があります。本書では、Infiniiumの
電気テスト・ソリューションについてのみ説明します。
Low Speed USB、Full Speed USB、Hi-Speed USBは、信号品質、突入電流チェック、
ドループ/ドロップ、バック・ドライブ電圧の各電気テストに適合する必要があります。
Hi-Speedの場合、追加の電気テスト・スイート(高速信号品質、受信感度、CHIRPタイ
ミング、パケット・パラメータ)にも適合する必要があります。旧コンプライアンス・テ
ストでは、まずオシロスコープで信号を捕捉してから、データをPCに転送して、最終的
にMATLABィで解析していました。Keysight Infiniium USBテスト・オプションは、公式
USB-IF MATLABスクリプトを利用する業界初のオシロスコープ・ソリューションです。
このオプションにより、信頼性の高いワンボックス・コンプライアンス・ソリューショ
ンが得られます。
データ・レート
立ち上がり時間
Low Speed(LS)
1.5 Mb/s
75 ns∼300 ns
Full speed(FS)
12 Mb/s
4 ns∼20 ns
Hi-Speed(HS)
480 Mb/s
500 ps
表1. USB 2.0の速度仕様
USBテスト
テストの種類
レポート出力
シグナル・
インテグリティ
FSFE、LSFE、LSNE、HSFE、HSNE
全体の結果、信号アイ、EOP幅測定、シグナリング・レート測定
クロスオーバ電圧測定、ジッタ測定、信号データ・ダイアグラム、
アイ・ダイアグラム、立ち上がり/立ち下がり時間、非単調テスト
突入電流
Hot Plug、Keysight Config、Keysight Resume、
LP Config、LP Resume
全体の結果、突入電流測定、突入電流グラフ
ドロップ/
ドループ
System、Self Powered Hub、Bus Powered Hub
全体の結果、電圧無負荷測定、電圧負荷測定、ドロップ測定、
ドループ測定
表2. Keysight USBテスト・オプションN5416Aに付属のテスト(USBテスト・オプションE2645A、N2854A、N2855A、E2683Aの販売は完了しました)
3
Full/Low Speedテスト・スイート
Keysightテスト機器は、USB-IFの承認を受けています。
図1. 公式USB-IFのPlugfestでのKeysight Infiniium
Full/Low Speedテスト・フィクスチャ
基本USB 2.0 電気テスト・スイートには、信号品質テスト、突入電流チェック、ドルー
プ/ドロップ・テストが含まれています。これらのテストには、SQiDD
(Signal Quality
inrush Droop Drop)フィクスチャを使用する必要があります。キーサイトではSQiDDボ
ードを用意しています。これはE2646Aとして別途ご注文いただけます。USB-IFでは、
Keysight SQiDDボードだけを公式コンプライアンス試験に使用しています。
"B"ソケット
"A"ソケット
"A"ソケット
ワイヤ・ループ
ワイヤ・ループ
スイッチ
スイッチ
"A"ソケット
"B"ソケット
"B"ソケット
図2. Keysight SQiDDボード
4
信号品質テスト
オシロスコープを使用してトランシーバを測定するときには、信号品質テストで次を確
認します。
●
信号アイ
●
EOP(End of Packet)幅
●
●
●
●
●
●
シグナリング・レート
立ち上がり時間/立ち下がり時間
クロスオーバ電圧レンジ
連続ジッタ
ペアードJKジッタ
ペアードKJジッタ
信号品質テストは、アップストリーム・データまたはダウンストリーム・データのいず
れかに対して行います。アップストリーム・テストの場合は、デバイスからホストへ流
れる信号が捕捉され解析されます。ダウンストリーム・テストはその逆で、ホストから
デバイスまたは終端ハブへ流れる信号が捕捉されます。図3は、USBテスト・オプション
を使用してInfiniiumで捕捉されたダウンストリーム・パケットです。
図3. 捕捉されたダウンストリーム・パケット
5
信号品質テスト(続き)
USB Full Speedテストを起動したら、ソフトウェアでその他の条件も設定する必要があ
ります。信号品質テストの場合の追加の条件には、Tierと近端/遠端が含まれます。Tier
は、デバイスとホスト・コンピュータとの距離を表します。デバイスをホスト・コンピ
ュータに直接接続した場合、Tierは1です。デバイスがホスト・コンピュータから3つの
ハブだけ離れている場合、Tierは4になります。コンプライアンス・テストでは、テスト
を6以上のTierで実施するよう求められます。このためキーサイトでは、常にTierを6にし
てテストを実施することを推奨します。テスト結果は、InfiniiumのC:ドライブのデータ・
ファイル、またはUSBフラッシュ・ドライブに記憶できます。
Infiniiumは、アイ・ダイアグラムを含めすべてのテスト結果をHTML形式で表示します。
図4. InfiniiumのUSBテスト・メニュー
図5. Infiniiumの信号品質テストの結果
図6. USBテスト用にInfiniiumが生成したアイ・ダイアグラム
6
突入電流チェック
電気デバイスの特性により、電源をデバイスに加えたときに、より少ない定常電流レベ
ルになる前に電流のサージが生じます。USBはホットプラグが可能な性質を持っている
ので、全突入サージ電流がデバイスの限界内に維持されるかどうかを確認するためこの
電流レベルをテストすることが必要です。突入電流がその限界(100 mA)内に維持されな
い場合、デバイスの損傷の原因となるだけでなく、同じポートに接続されているデバイ
スから電力を奪ってしまうこともあります。
USB 2.0仕様では、全突入サージ電流限界を50 μCとしています。ウェーバは、150 μC
で許可されます。
図7. 突入電流スパイク
7
ドループ/ドロップ・テスト
ドループ/ドロップ・テスト手順は、テスト対象自体が電源を備えているセルフパワー
か、バスパワーかによって変わってきます。
ホストとセルフパワード・ハブ
ドロップ・テストでは、SQiDDボードに接続されている各負荷ボード両端のDC電圧降下
を測定します。電圧降下を正確に測定するために、2つの条件下でテストが行われます。
すなわち無負荷と負荷です。無負荷テストでは、すべてのダウンストリーム・ポートが
オープンのまま、SQiDDボード上のV BUS電圧テスト・ポイントにプロービングします。
負荷テストでは、500 mAの負荷を各ダウンストリーム・ポートに加えてV BUS電圧テス
ト・ポイントをテストします。測定した最小負荷値をドループ・テストに使用します。
ドループ・テストでは、ドループ、すなわち1つのポートに100 mA負荷(ドループボー
ド)が加えられたときに、500 mA負荷が接続された他のポートに発生するV BUSのAC電
圧降下を計算します。瞬時AC電圧降下がディスプレイ上に捕捉されると、マーカにより
V BUSの最低ポイントと安定状態電圧ポイント間の領域を囲みます。次に、囲まれたデー
タを使用してInfiniiumによりドループ・テストが実行されます。
バスパワード・ハブ
バスパワード・ハブのドロップ・テストでは、セルフパワード・ハブの手順で用いた
500 mA負荷ボードの代わりに、100 mA負荷ボードを使用します。この100 mAボード
は各ダウンストリーム・ポートに接続されテストされます。次にV BUS電圧をハブのアッ
プストリーム・ポートと各ダウンストリーム・ポートで測定します。
バスパワード・ハブのドループ・テストも100 mAドループ・ボードをバスパワード・デ
バイス上の1つのポートに接続しドループを測定します。1つ以外のポートにはあらかじ
め100 mA負荷を接続しておきます。この場合も、マーカを使用して、捕捉されたデータ
と定常状態電圧の間の領域を囲みます。次に、ドロップ・テスト結果と囲まれたデータ
を使用してInfiniiumによりドループ・テストが実行されます。
セルフパワード・ハブまたは
システム
SQiDDボード
USBポート1
10 cmケーブル
負荷
ドルーパ
SQiDDボード
USBポート2
10 cmケーブル
1m,22 Gaケーブル
負荷
負荷
1m,22 Gaケーブル
図8. ホストとセルフパワード・ハブのドループ・セットアップ
8
バックドライブ電圧テスト
バックドライブ電圧テストは、デバイスがV BUSからアップストリーム方向のポートで常
に電流の消費だけを行い、電流を供給していないことを確認するために行います。デバ
イスがこのポートで電流を供給している場合、ハブの認識障害、PCのブート障害、マザ
ーボード障害などが発生する可能性があります。このテストでは、デバイス認識の前後
にV BUS、D+およびD−が測定されます。これらの電圧が次にバックドライブ電圧フィク
スチャに記録されます。400 mVを超える電圧はFailと見なされます。
Hi-Speed電気特性テスト・スイート
USB 2.0コンプライアンス手順には、新しいHi-Speedモードに対応するために別のテス
トが追加されました。これらのテストには、Hi-Speed信号品質、受信感度、CHIRPタイ
ミングおよびパケット・パラメータがあります。
Hi-Speed Electrical Test Tool
Hi-Speed USBテスト・ベッド・コンピュータにはHi-Speed Electrical Test Toolが必要
です。
図9. USB-IF Hi-Speed Electrical Test Tool
9
Hi-Speedテスト・フィクスチャ
Hi-Speed信号品質テストでは、図10に示すようにHi-Speed信号品質テスト・フィクス
チャを使用します。
テスト・ポイントの名称の付け方は、Keysight Hi-Speedテスト・フィクスチャとIntel
テスト・フィクスチャでは異なっています。公式USBテスト手順書は、Intelのテスト・
フィクスチャを参照して書かれています。キーサイトのテスト・フィクスチャを用いる
場合は、表5の相互参照チャートを参照してください。
図10. Hi-Speed信号品質ボード(KeysightフィクスチャとIntelフィクスチャ、デバイス信号品質テスト)
Intelのフィクスチャ
テスト・ポイントの名称
Keysightフィクスチャ
J7
Test Point
TP2
J8
Power Port
J5
J10
Ground
TP5
J11
Ground
TP5
SMA1
D−line
SMA2
SMA2
D+line
SMA1
表5. 相互参照チャート
10
Hi-Speed信号品質テスト
電気特性テスト・ベッド・コンピュータ上でHigh Speed Electrical Test Toolソフト
ウェアを呼び出し、TEST_PACKETを選択して信号品質テストを実行します。図11は、
Infiniiumオシロスコープ上で捕捉されたHi-Speedパケットです。
デバイス・テストの場合、デバイスに固定ケーブルが着いているか、あるいは Bコネク
タがあるかどうかを確認する必要があります。固定ケーブル付きの場合、テストを遠端
で行う必要があります。Bコネクタの場合は、テストを近端で行う必要があります。ホス
ト、HUBは必ず近端でテストを行います。図12は、Infiniiumオシロスコープに表示され
た近端でテストされたHi-Speedアイ・パターンです。
図11. Hi-Speedテストのパケット
モノトニシティ
モノトニシティは、信号が時間と共に単調に動作するかどうか、言い換えれば転送され
た信号の振幅が、立ち上がり/立ち下がりの場合に反転することなく増減しなくてはな
らないということです。信号の特性のモノトニシティは、Hi-Speed信号品質アイ・ダイ
アグラム(図12)を目視にて確認します。USB-IFにより要求されている独立したモノトニ
シティのテストはありません。
図12. Hi-Speed信号品質アイ・ダイアグラム
11
パケット・パラメータ・テスト
Hi-Speed信号品質テスト・フィクスチャを使用した別のテス
トでは、デバイス・パケット・パラメータがテストされます。
Hi-Speed信号品質テスト・ボードを使用すれば、デバイスから
送られてくるパケットをより良く受信することができます。この
テストでは、フィールド長、EOP
(End of Packet)幅、パケット
間ギャップなどのパラメータが測定されます。
図13. デバイスのパケット間ギャップ
受信感度
受信感度テストでは、ノイズの多い環境においてアップストリ
ーム・データ・ポートでのデバイスの受信感度が検証されます。
Keysight 81130A/81134Aパルス/パターン・ジェネレータを使
用して、ポートからデバイス・アドレス1へのINコマンドをエミ
ュレートします。INコマンドは通常はコンピュータから被試験デ
バイスへ送信されますが、このデバイスはスケルチ・モードを持
っている必要があります。つまり、信号とノイズを切り分ける必
要があります。信号とノイズの違いは、信号振幅により分けられ
ます。そのためこのレベルを満たすまたは超える信号はINコマン
ドに対してNAKで応答する必要があります。データ・ジェネレー
タからのすべての信号パケットに対して、被試験ポートがNAKを
返さなければなりません。次に、データ・ジェネレータ・パケッ
トの振幅がテストの実行中に20mVずつ下げられます。これらの
パケットの振幅は、NAKパケットがまばらになるまで小さくされ
ます。次に、データ・ジェネレータが振幅が直ちにNAKパケット
が断続的でなくなるまで大きくされます。これが、スケルチ前の
最小受信感度のポイントを示します。
デ ー タ・ ジ ェ ネ レ ー タ・
パケット
図14. 受信感度テスト
信号の振幅が150 mVを超えるINパケットをデバイスが受信した
場合、すべてのパケットに対してNAKが返されなければなりませ
ん。信号の振幅が100 mV未満のINパケットをデバイスが受信し
た場合、すべてのパケットは、ノイズとして扱い、反応してはい
けません。各レベルで±50 mVの許容範囲がスケルチ・テストに
適用されています。
12
デバイス応答
ジェネレータ・パケット
CHIRP(チャープ)タイミング・テスト
CHIRPテストではHi-Speed信号品質テスト・フィクスチャを使用してアップストリー
ム・ポートとダウンストリーム・ポートにおけるタイミングと電圧を測定します。デ
バイスをポートにホットプラグすると、直ちに認識されてCHIRPハンドシェークが捕
捉されます。ハンドシェーク内で、CHIRP-Kが、2.5 μ s∼3 ms内の遅延時間を持ち、
1.0 msから7.0 msまでの持続時間があることを確認するためにCHIRP-K時間を測定しま
す。CHIRP K-J、K-J、K-Jシーケンスの後、デバイスがそのHi-Speed端末をオンにし
て応答します。800 mVから400 mVへの振幅の降下が生じます。CHIRP K-J、K-J、K-J
シーケンスの最後のJの始めから、デバイスのターン・オンによって高速端末が起動され
るまでの時間を測定して、これが500 μs以下であることを確認する必要があります。
CHIRPの最後のJと高速終端の起動間の時間測定の他に、CHIRPテストではデバイスの中
断/再開/リセットだけでなくKとJの振幅も測定されます。
デバイスのチップ・レイテンシ
(2.5 μs <-> 3 ms)
デバイスの
Hi-Speed終端をON
CHIRP K
(1 ms <-> 7 ms)
図15. CHIRPテスト
図16. CHIRPの最後のJとHi-speed端末の起動の間の時間
13
インピーダンス測定
このテストでは、被試験デバイスの高速信号伝送経路とアクティブ終端のインピーダン
スを測定するために差動タイム・ドメイン・リフレクトメトリ(TDR)測定が行われま
す。TDR測定値をUSB-IF仕様の要件と比較します。被試験デバイスの電源を入れ、SE0NAKモードにして、システムからアイソレートします。D+とD−の電位を測定して、
0 V±10 mVであることを確認します。次に、400 psのエッジをデバイスに送ります。得
られた波形により、終端インピーダンスとスルー・インピーダンスが要件を満たしてい
るかどうかが分かります。TDR測定は、適合試験では必要ありません。TDR測定の代わ
りに信号品質テストでPASSすることで十分とされています。
USBコネクタ
終端抵抗
図17. TDR測定
まとめ
キーサイトは、使いやすいUSBプリコンプライアンス試験用のソリューションをお客様
のニーズに合わせて幅広く提供しています。従来は、数日かかっていたプリコンプライ
アンス・テストが、今では数分でできます。個別のテスト・フィクスチャは、低価格で
柔軟性にも優れ、試験室で複数のUSB仕様を同時にテストすることができるようになり
ます。
このUSBソリューションは次のように評価されています。
「Keysight Infiniium USBテスト・オプションは、まさに「神の助け」という言葉で形容
できるほどの優れたソリューションです。このオシロスコープが登場する前は、USBテ
ストは避けたいものでした。多くの場合、テストの設定に半日かかり、その上に数値を
読み取り可能なMatLab形式のメッセージにするために30分必要でした。必要なテストの
うち、実際に行えるのはほんの少しだったことは言うまでもありません。
この製品はUSBの見方を一変させました。信頼性が高く使いやすくて速い専用のテスト・
システムです。端的に表現すれば、リアルタイム・フィードバックが可能になり、行う
テストの生産性は30倍以上です。行えるテストが増えたことで、将来的にさまざまな改
善を実現していくことができます。」
14
関連カタログ
カタログ・タイトル
カタログ・タイプ
カタログ番号
Infiniium USBテスト・オプションN5416A
Data sheet
5989-4044JAJP
キーサイトのオシロスコープ
20 MHz ∼ 90 GHz以上、さまざまなサイズ、業界最高レベルの仕様、強力なアプリケーション
15
16 | Keysight | InfiniiumオシロスコープによるUSB 2.0コンプライアンス・テスト Application Note
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Published in Japan, November 4, 2014
5988-6219JAJP
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