Sheet-like Photorechargeable Battery

シート状で光で充電できる蓄電池 (光蓄電池) 開発
−光蓄電の評価技術の確立−
Sheet-like Photorechargeable Battery
– Evaluation Method of Photorechargeablity–
研究代表者 鹿児島大学 理工学研究科 電気電子工学専攻 助教 野見山 輝明
Teruaki Nomiyama
Abstract: Photorechargeable battery using TiO2 -polyaniline(PANi) composite film was investigated
on cross-sectional distribution of TiO2 layer and TiO2 –PANi composite layer which respectively functioned as photovoltaic and storage region. The thickness `s of TiO2 –PANi storage layer was controlled
by time for electrochemical deposition of PANi to TiO2 porus electrode. Photorechargeable quantum
efficiency(=[electrons count on discharge]/[incident photon count]) had a peak value 7% at `s ∼ 15 µm.
By analysis of electrochemical impedance spectra, time constant τTP for charge transfer between TiO2
and PANi was about 10−1 s at `s ∼ 15 µm which was ten times or more as long as life time of excited
electrons in TiO2 .
更に効率を上げるには τTP を 1/10 以上短くすると
要 旨
ともに `s が増加しても τTP が長くならないように
光蓄電池とは,1 電極上の光電気化学反応で光発
TiO2 –PANi 接合面を形成する必要があることがわ
電と蓄電を行う新しい電池デバイスである.本報告
かった.
では TiO2 多孔膜と導電性高分子ポリアニリンの複
今回の電着制御法でより精密な構造制御が可能と
合膜を用いた光蓄電池の複合構造の制御と光蓄電効
なり,ソーラシミュレータ下で ηq = 0.2%,TiO2
率の関係を報告する.複合構造の制御は電着制御法
吸収域で換算した実効効率 ηquv = 7% を得た.こ
にて行い,ソーラシミュレータを充電光源として蓄
れは,従来の光エッチング法[9] による量子効率 ηquv
電層 (TiO2 –PANi 複合領域) の厚さ `s を変化させ
= 0.5% と比べて大きな向上である.また,EIS の解
た TiO2 –PANi 複合膜の光蓄電量子効率 ηq と電気
析により光蓄電効率を大きく左右する TiO2 –PANi
化学的インピーダンスの周波数応答 (EIS) を測定し
間の電荷移動の時定数を測定出来たことは,今後の
た.更に EIS を解析することで TiO2 –PANi 間の
光蓄電池の効率向上に非常に大きな意味を持つもの
電荷移動の時定数 τTP を導いた.
である.
その結果,量子効率 ηq は蓄電層厚 `s = 15 µm
1 はじめに
程度で極大となり,それ以上では減少していくこと
がわかった.これは,`s が厚くなるにつれて発電
我々の開発している光蓄電池は,発電と蓄電を行
層である TiO2 領域が減少することと τTP が `s が
う光蓄電極と対極からなる 1 セル 2 電極の構成で
厚くなるにつれて長くなることが原因と考えてい
ある.光蓄電極は発電と蓄電のために半導体材料と
る.また,τTP は ηq が極大となる `s = 15 µm 付
蓄電性の 2 つの物性を併せ持つ材料が必要である.
−1
近でも約 10
このような材料として層状化合物半導体[1]–[6] や一
s であり,これは酸化チタン内の励
部の導電性高分子[7] があげられる.しかし,光蓄電
起電子寿命と比較して 10 倍以上長かった.今後,
1
電極に要求される電解質中での光に対する安定性や
(a)
充電光
電池反応の可逆性が不足しているために,十分な効
TiO2層:受光・発電
電解質輸送
複合層:接合領域
蓄電層
率を持つ材料が得られていない.
そこで我々は光蓄電極として半導体と蓄電性を有
TiO2粒
する別々の材料をナノ複合体とした光蓄電極の開発
を進めてきた[8]–[15] .複合材料とすることで,単一
(b)
材料の場合よりも材料の選択や組合せの可能性が
1 µm
(c)
PANi
PANi
広がり,複合化する際にそれぞれの比率や両者の配
TiO2
拡大
置,接触状態を制御することで高効率な光蓄電池の
光
光触媒
半導体
開発ができると考えている.
陰イオン脱離
蓄電領域
これまでに種々の複合材料を試した結果,酸化チ
タンナノ微粒子と導電性高分子の複合材料が光蓄
電極として有望であると考えている
電解質
30 nm
[16]–[18]
図1
TiO2 –PANi (a) 複合膜光蓄電極の断面の
.酸化
模式図,(b) 複合領域の電子顕微鏡写真,(c) 光蓄
チタンは,光照射下で安定であり,結晶表面への他
電機構の模式図:(a) 上層の TiO2 (発電層) が受光
し光励起キャリアを生成し,下層の TiO2 –PANi
分子種の吸着能力が高いため,その半導体的性質を
複合領域 (蓄電層) の PANi 部分が蓄電する.(b)
生かして光触媒として広く利用されている材料で
ある.また,白色顔料として長年用いられてきた実
TiO2 粒の周りを菌糸のように取り巻いているも
のが PANi.(c) TiO2 と PANi の基本ユニット
績からナノ微粒子とする技術は確立されており,多
の模式図.
孔体として比表面積の大きさから色素増感太陽電
池[19] の色素担持体のように現在も精力的に研究さ
を受け取り,あらかじめ PANi 中に取り込まれて
れている.
いたアニオンを脱離させることで蓄電する.この
導電性高分子は,その名の通り導電性を有し柔軟
ような一連の光蓄電反応を効率良く進行させるに
性を持つ高分子材料であり,導電体としての利用だ
は,発電および蓄電それぞれの高効率化は勿論のこ
けでなく,他分子種やイオンをドープ・脱ドープで
と,TiO2 内部で光励起キャリアが再結合する前に
きるため蓄電材料に用いられている.また,ドープ
TiO2 –PANi 界面から PANi に電荷移動させるこ
状態により金属的から半導体 (絶縁体) のように物
とが重要となる.
性が変わるため,次世代の半導体材料として多方面
これまでに光化学エッチング法[17] により TiO2 –
で研究されている.このように酸化チタン,導電性
PANi 複合膜内に発電・蓄電層を形成し,光蓄電性
高分子ともそれぞれの物性や応用技術は確立もしく
を評価してきた.これまでの研究で光蓄電量子効
は精力的に研究されている.このため,これらを複
率 (放電電子数/入射光子数)= 0.5%,光蓄電エネ
合化した光蓄電極の研究開発では,先人の基礎技術
ルギー効率 (放電エネルギー/充電光エネルギー)=
の蓄積の上に立ち,複合化技術とその評価技術に注
10−4 程度と非常に低く,省電力の電子機器,例えば
力することで光蓄電池の開発が促進されると考えて
省電力センサー等を駆動することを想定しても 100
いる.
倍以上の効率向上が必要である.
酸化チタン (TiO2 ) 多孔体と導電性高分子ポリア
[20], [21]
ニリン (PANi )
現在,効率を向上させるために,以下の 4 つの研
の複合膜を光蓄電極とした電
究課題に取り組んでいる.
極の構造と光蓄電機構を図 1 に示す.この TiO2 –
1. 可視光応答化
PANi 複合膜は,1) 充電光で上層の TiO2 (発電層)
2. 電極構造の制御
が光励起キャリアを生成し,2) 下層の TiO2 –PANi
3. TiO2 –PANi 界面での電子授受の高効率化
複合領域 (蓄電層) の PANi 部分が光励起キャリア
4. 対極も含めた光蓄電反応系の構築
2
本報告では,2 の「電極構造の制御」について述べ
る.まず,光化学エッチング法に変わる構造形成
TiO2 –PANi 複合膜は,透明導電膜上に形成した
法として電着制御法による TiO2 層と TiO2 -PANi
TiO2 多孔膜を電極としてポリアニリンモノマーを
層の形成について述べ,層厚と光蓄電性の関係を議
陽極酸化により重合させることで作製した.電着液
論する.更に層厚に対する TiO2 –PANi 複合膜の電
としてアニリン濃度 0.51 mol dm− 3 の水溶液 4 ml
気化学インピーダンスの周波数応答 (EIS) を測定
と 1 mol dm− 3 の希硫酸 80 mL を混合したものを
することで TiO2 –PANi 間の電荷移動の時定数を
用いた.図 2 にセルに電着液に入れ,TiO2 多孔膜
導き,今後の効率向上の指針を明らかにする.最後
と電着用対極間に電流密度 jdp = 10 mA cm−2 一
に,従来の紫外光を充電光として用いた場合と今回
定で電着時間 tdp として PANi を電着した.ここで
のソーラシミュレータの場合の効率を比較し,電着
電着時間 tdp を変えることで TiO2 多孔膜中に成長
制御法による効率の向上について述べる.
した PANi の量を制御でき,発電層となる TiO2 の
みの領域と蓄電層になる TiO2 –PANi 複合領域の 2
2 実験
層構造を形成することができる.
2.1 実験セル
このように tdp を変えて作製した TiO2 –PANi 複
図 2 に実験に使用したセルの概略を示す.FTO
合膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察することで
上に形成した TiO2 多孔膜と充電光窓となるガラス
PANi の成長速度 vdp を求め,蓄電層厚 `s を tdp
(S-1112,松波硝子) を相対して設置し O-ring およ
×vdp として計算した.
びシリコンゴムにて電解質を封入してある.図 2(c)
2.3 光蓄電量子効率の測定
!"#$%
に示すように,側面のシリコンゴム部よりセル内に
光蓄電量子効率 ηq の測定は,光充放電用の電解
挿入された 3 本の白金線は,それぞれ,電位基準極
$%&!
質として過塩素酸 1 mol dm−3 を注入した図 2 の
'(#
RE,電着用対極&"#$%
CE1
,光蓄電量子効率測定用の対
(
セルを用い,表 1 の手順を 1 サイクルとして行っ
極 CE2 である.セルを分解せずに電着と量子効率
た.まず TiO2 –PANi 複合膜電極の状態を安定さ
図 8: 対極, 参照極ともに Pt を用いた. 電着時のダメージを考慮し, 電着時と測定時に用い
る対極は別々のものを用意した.
は側面のシリコンゴム部よりキャピラリを挿入して
充電光を図 2 のセルの充電光窓から電解質を介し
行った.
て TiO2 –PANi 複合膜に 600 s 照射した.充電光は
作製した作用極の TiO2 多孔膜の周りを再度粘着テープによりマスキングした後、対極/
参照極と図 9(a) のように組み合わせることで図 9(b) のような対向型セルとする。
ηq
対向型セル
極 CE1 および光蓄電量子効率測定用の対極 CE2
作製した作用極の TiO2 多孔膜の周りを再度粘着テープによりマスキングした後、対極/
の 3 本の Pt-wire が挿入してある.
参照極と図 9(a) のように組み合わせることで図 9(b) のような対向型セルとする。
3
'()
'*)
:!;).
%2&1789
!"#$%&
ムシートの横から差し込むことにより、図 8 の様に電着用対極 (CE:Pt1 )、光充放電測定
–
D-8-11
用対極 (CE:Pt2 )、参照極 (RE) とした.
子数 nph と ne の比として定義した.
2.1.2
!"#
2.1.3
質を封入する.(c) には電位基準極 RE,電着用対
10
流 jdis から求めた電子数 ne と充電光による入射光
図 2 セルの構成:(a) TiO2 硝子対向型セルの写
図 8: 対極, 参照極ともに Pt を用いた. 電着時のダメージを考慮し
, 電着時と測定時に用い
真.
FTO 上に形成した 5 × 5 mm2 の TiO2 多孔
D-8-12
る対極は別々のものを用意した.
膜 (b) とセルボディ (c) を対向させ,内部に電解
晩乾燥させる。ここで白金線 (株式会社ニラコ)2.5 cm を 3 本用意し、これをシリコンゴ
$%&!
'(#
&"#$%(
する。これをスライドガラス (松浪硝子工業株式会社,S-1112) 上にシリコンで接着し、一
CE2
!"#$%
厚さ 5 mm のシリコンゴムシート (十川ゴム株式会社,K-125) を直径 1.6 cm の円状にく
RE
り抜き、外径 2 cm、内径 1.6 cm の O–リング (益岡産業株式会社,P-16) を図 8 の様に接着
CE1
対極, 参照極の作製
!"#
(c)
図 9: 作用極と対極/参照極を (a) の様に組み合わせ
&"#$%,(b)
' のような対向型セルとする.
光蓄電量子効率 ηq は,式 1 に示すように放電電
200 ℃から室温
234/
561
,"#-.1
!$#
&'()*+&,-
jdis を 1800 s 測定した.
550 ℃から 200 ℃
5 5 mm2
!"#$%"!
極と定負荷 1kΩ を介して接続したときの放電電流
5
0"#-.
30
&+').
を用いた.その後,光蓄電量子効率測定用の白金対
出来る.
/01
,"#-./
TiO2多孔膜
3202(分光計器) および XES-151S(三永電気製作所)
550 ℃
%2&1789
!"#$%&
(b)
5
(a)
200 ℃から 550 ℃
:!;).
陽光であり,光源としてソーラシミュレータ KP-
表 1: 焼成条件.
'*)
図 7: ペースト作製の様子は (a) のようになり, 焼成を行うと (b) のような TiO2 多孔膜が
'()
スペクトル分布 AM1.5,100 mW cm−2 の疑似太
時間 (min)
対向型セル
せるために遮光下,開放状態で 60 s 放置した後に,
温度
2.1.3
測定を繰り返すために,電着液と電解質の入れ替え
室温から 200 ℃
!"#
&"#$%'
TiO2 –PANi 複合膜の形成と層構造の形成
2.2
1
ne
=
=
nph
nph
∫
1800
jdis dt
0
(1)
表1
光蓄電量子効率 ηq の測定手順
操作
時間 (s)
1. 遮光下にて電極安定化
2. 充電光照射
3. 遮光下にて電極安定化
測定量
60
開放
φ
600
開放
φ
60
開放
φ
†
4. 遮光下にて放電
1800
1kΩ を介し対極
jdis
5. すべて遮光下にて 1∼4 を繰り返し
2520
–
jdis
†
電極電位:電位基準極との電位差.
‡
放電電流密度:放電用対極と 1kΩ を介して放電させた際の電流密度.
††
‡
2
††
光充電後の放電と比較し光蓄電効果を確認するために測定した.
表2
電気化学的インピーダンスの周波数応答 (EIS) の測定手順
操作
制御パラメータ
1. 測定セルに電着液を注入†
2. 電着
3. 電着液から測定用電解質に入れ替え†
4. EIS 測定
5. 光蓄電効率測定
操作 1∼6 を繰り返し
測定量
–
–
tdp
φ
1
–
–
φprev
Zdp1 (ω)
表 1 参照
6. EIS 測定
†
TiO2 –PANi の接続
ηq 1 , Vph
φprev
tdp
(n)
1
Zprb1 (ω)
ηq
(n) ,
Vph
(n) ,
Zdp(n) , Zprb(n)
電着液および電解質入れ換え後は数時間放置しセルの状態を安定させた.
2.4 電気化学的インピーダンスの周波数応答 (EIS)
膜断面,電極表面であり,断面には稠密な TiO2 –
の測定
PANi 層と粒が見える TiO2 層が確認できる.電着
表 2 に示すように電着および量子効率 ηq の測
時間 tdp = 30 s では,稠密な TiO2 –PANi 複合領域
定の都度で電気化学的インピーダンスの周波数応
の厚さが約 8 µm,電着時間 tdp = 60 s では 16 µm
答 (EIS) を測定した.EIS は電気化学測定システム
となった.どちらの電着時間でも膜全体の厚さはほ
(Versa-STAT4,プリンストンリサーチ) を用いて
とんど変わらないため,PANi が TiO2 多孔膜の間
電着および効率測定の後に数十分開放放置したとき
隙中に成長していることがわかる.
の電極電位 φprev を保って測定した.測定周波数域
これより電着電流密度 jdp = 10 µA cm−2 で蓄
は 20 kHz∼0.1 Hz とし,重畳交流振幅は 5 mV で
電層厚 `s は FTO 基板側から約 2.7 µm/s で成長す
ある.
ることが明らかになった.以下の結果および議論で
は,ここで得られた成長速度 vdp = 2.7 µm/s と積
3 結果
算電着時間の積 (= vdp ×
3.1 蓄電層厚 `s の成長速度
∑n
k=1 tdp
した蓄電層厚さ `s を用いる.
図 3 に電着時間 tdp による蓄電層 (TiO2 –PANi
複合層) 厚の変化を示す.写真下方より FTO 基板,
4
(k)) から概算
3.2 量子効率 ηq の蓄電層厚 `s 依存性
層が存在する場合 `s に関係なく,ほぼ同じ大きさ
表 2 に示す手順で電着および量子効率測定を繰り
のつぶれた半円が見られる.半円の低周波側の立ち
返した際の効率 ηq の変化を図 4 に示す.この図で
上がりは `s につれて緩やかになる傾向が見られる.
は 3 つの異なる電極のデータをプロットしており,
4 考察
グラフ上部に `s から予想される膜の断面の模式図
を示している.いずれも `s = 15 µm 付近に極大値
4.1 蓄電層厚 `s と量子効率 ηq
を取り,3 サンプルの中で量子効率の最大値は ηq
光蓄電反応は TiO2 発電層で生成された光励起
= 0.2% であることがわかる.
3.3
キャリアが PANi 側に移動することで起こるため,
EIS の蓄電層厚 `s 依存性
TiO2 多孔膜と PANi 間の電荷移動の量は両者の接
図 5 に EIS で得られた Zdp のインピーダンスプ
触面積 STP が広くなれば,量子効率は高くなる.
ロットの蓄電層厚 `s による変化を示す.これは図
この接触面積 STP は蓄電層厚 `s が厚くなるにつれ
4 に示した電極 1 で得られたものである.いずれも
て増えるので,`s につれて光蓄電効率は上がってい
測定周波数域の全体を見るとキャパシタ的な挙動が
くと考えられる.しかし,実際は図 4 に示すように
支配的であるが,TiO2 と PANi が共存している `s
`s ∼ 15 µm で極大となり,それ以上では減少して
6= 0 では高周波域に曲がりがあることがわかる.図
が長くなる
5 の右欄に高周波部分を拡大したインピーダンスプ
■
電極断面のSEM像
となっていることがわかる。
16 16
µmµm
となっていることがわかる。
ロットを示した.蓄電層がない
`s = 0 では高周波
につれて発電層厚さ `T が短くなり光吸収量が減少
域でも直線的なキャパシタ成分のみであるが,蓄電
れる.これを検証するには,発電層厚さ `T に対す
いく.この一因として,蓄電層厚さ `
電着制御法による層厚の制御
域の厚さは、図
18(a)
を見ると、電着
s で約
8 µm
であり、図
18(b)
では電着
s で約
域の厚さは、図
18(a)
を見ると、電着
30 30
s で約
8 µm
であり、図
18(b)
では電着
60s 60
s で約
し光励起キャリアの生成効率が下がることが考えら
tdp = 30 s
電着時間: !"#!"#
t = 60 s
!$#!$# dp
る光蓄電効率
ηq を調べる必要がある.これは今後
の課題である.
!"#$
!"#$
!"#$
!"#$
4.2 TiO2 –PANi 光蓄電極の等価回路
よる層厚の制御
PANiの成長方向
(a)
8
ここで TiO2 –PANi 電極–電解質界面で形成され
8
発電層
ると種々の容量成分と電荷移動抵抗を区別するため
を見ると、電着
s で約
8 µm
であり、図
18(b)
では電着
s %$
で約
見ると、電着
30 30
s で約
8 µm
であり、図
18(b)
では電着
60 60
s で約
%$
像
とがわかる。
がわかる。
p
= 30 s
%$
%$
8 µm
%&'
%&'
!$#!$# dp =
t
に,容量成分を C ,抵抗分を R で示し,それらを
蓄電層
!"#$
!"#$
16 µm
!"#$
!"#$
形成する界面を T:TiO2 多孔膜,P:
PANi,E:
%&'
%&'
電解質,
F:FTO 基板として添え字で示す.例えば
TiO2 多孔膜と電解質の界面で形成される容量成分
idp = 10 mA cm -2
60 s
idp = 10 mA cm -2
(b)
電着時間の異なる
TiO
複合膜の断面図
は電着時間
s, (b)
は電着時間
図図
18:18:
電着時間の異なる
TiO
複合膜の断面図
.(a).(a)
は電着時間
30 30
s, (b)
は電着時間
2 /PANi
2 /PANi
PANiの成長方向
!"#$
!"#$
全体の膜厚:約30µmで変化なし
s である.
60 60
s である.
tdp0.2
蓄電層厚(TiO2-PANi層厚)は にほぼ比例して成長
電極1
発電層
%$%$
8 µm
= 10 mA cm -2
3.2 電着時間に対する光蓄電性能の変化
電着時間に対する光蓄電性能の変化
3.2
16 µm !"#$
!"#$
蓄電層
!"#$
!"#$
0.1
電極3
%&'
%&'
19(a)
に電着時間に対する放電電荷量
19
を見ると、
図図
19(a)
に電着時間に対する放電電荷量
QdQ、量子効率の変化を示した。図
19電極2
を見ると、
d 、量子効率の変化を示した。図
図3
電着時間 tdp による蓄電層
i = 10(TiO
mA2 –PANi
cm -2 複
dp
電着時間
60
s(a)
において放電電荷量
, 量子効率ともに極大値となっており、最大で放電
電着時間
60
s.(a)
において放電電荷量
Q
, d量子効率ともに極大値となっており、最大で放電
る
TiO
複合膜の断面図
は電着時間
s, (b)
は電着時間
合層) 厚の変化:
電着時間 30
tdp30
30
sは電着時間
,(b)
電
0.0応用物理学関係連合講演会(2010春)東海大学湘南キャンパス 17p-TQ-5
TiO
複合膜の断面図
.(a)
は電着時間
s,= (b)
dQ
2 /PANi
第57回
2 /PANi
0
10
20
30
40
着時間
tdp =
60
s.膜断面を露出させ,
45 ℃傾け
Wednesday,
March
2010
:約30µmで変化なし
2 2 、量子効率は
電荷量は
30
mC
/ cm
0.19
%となってるいる。また、図
19(b)
に光蓄電エ
電荷量は
3017,
mC
/ cm
、量子効率は
0.19
%となってるいる。また、図
19(b)
に光蓄電エ
た状態で記録したもの.写真下方より FTO 基板,
tdp
ネルギー効率を示した。これも電着
s において最大となっていることがわかる。
iO2-PANi層厚)は にほぼ比例して成長
図 4 量子効率 ηq の蓄電層厚 `s 依存性:異なる
膜断面,電極表面であり,断面には稠密な
TiO
ネルギー効率を示した。これも電着
60 60
s–において最大となっていることがわかる。
2
PANi
-". 層と多孔質の TiO2
-".
いる.
する光蓄電性能の変化
&! &!
する光蓄電性能の変化
-/.-/.3 電極のプロットを示している.グラフ上部に `s
層の 2 層構造になって
から予想される膜の状態の模式図を示している.
!'$ !'$
!"#$%&'(),
!"#$%&'(),
!"#$%&'()* !'#&!'#&
!"#$%&'()*
%! %!
!"#$%&'()+
に対する放電電荷量
、量子効率の変化を示した。図
を見ると、
!"#$%&'()+
対する放電電荷量
Q Q、量子効率の変化を示した。図
19 19
を見ると、
5
d
()*+*,-*.,/#
()*+*,-*.,/#
! 0!"!#
#! #!
! 0!"!#
d
!'# !'#
$! $!
放電電荷量
, 量子効率ともに極大値となっており、最大で放電
電電荷量
QdQ, d量子効率ともに極大値となっており、最大で放電
!'"&!'"&
第57回 応用物理学関係連合講演会(2010春)東海大学湘南キャンパス
17p-TQ-5
、量子効率は
0.19
%となってるいる。また、図
19(b)
に光蓄電エ
!'" !'"
量子効率は
0.19
%となってるいる。また、図
19(b)
に光蓄電エ
"! "!
!'!&!'!&
。これも電着
s において最大となっていることがわかる。
これも電着
60 60
s において最大となっていることがわかる。
!"#$%&'(),
!"#$%&'(),
!"#$%&'()*
!"#$%&'()*
!"#$%&'()+
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CTE
カーボンファイバー
白金線
32 µm
8 µm 文献情報
[opt2]
16 µm
Re{Zdp }/Ω −Im{Zdp }/Ω 0 µm
RTE
R
16 µm 0.5%
充電光全波長域に対する光蓄電効率 ηq32 µm
0.2%
8 dc
µm
Polym. Sci.
1443.dp }/Ω −Im{Zdp }/Ω 0 µm
Re{Z
CPE23 (1998)
C
32
µm
Rdc
16TEµm
uv
TiO2 吸収波長域に対する光蓄電効率
ηqPE V. Birss
7%††
[21] B.E. Conway,
and0.5%
J. Wojtowicz, J.
8Rµm
R
R
TE
dc
CTE
32 µm
Power Sources
16
µm1.
CTP 66 (1997)
C
CTE
†
−2
R
RPE
TE
dc
波長 365 nm,100 mW cm 。
[opt2] 文献情報
32
µm
R
R
R
TP
PE
TE
CPE
CTE
‡
波長域 AM1.5,100 mW cm−2 。
CPE
dc
C
PF
PE 0 µm C
Re{Zdp }/Ω
−Im{ZdpR
}/Ω
R
RTP
TE
††
C
R
TE
R
R
PF
波長 388 nm 以下を TiO2 –PANi
の吸収域として計算した。
TP
PE
CTP
CPE
8 µm
R
CTP
C
CTE
R
RPF
E
TP
16 µm
PE
50
50
0
0
C
R
R
R
PE
C
C
E
PF
TP
32 µm
PF
TP
40
0
0
R
C
R
R
PE
R
PF
PF
TP
dc
30
8
[opt2] 文献情報
5
5.105
5x10
}/Ω 0 µm
Re{Zdp }/Ω −Im{Z
dp20kHz
4.105
8 µm
(2000) 133.
3.105
16 µm
20
1.105
32 µm
10
0
00
0.1Hz
1.105
2.105
3.105
Re{Zdp }/Ω −Im{Zdp }/Ω 0 µm
CE
4.105
0
5.105
10
20
30
40
50
TE
C
RTP
PF
CPF
RTP
RPF
図PE6 TiO2Jpn.
–PANi 光蓄電極の等価回路.
CPF
C
Miyazaki,
RPF
1 30Phys. 43 (2004)307707. RPE
J. Appl.
となると考えられる.更に PANi は,TiO2 多孔膜
8 µm
8micron
8micron
1.0
150
CTP
および 2008-243573
FTO 基板との間にも接触界面を形成する.
[16]
野見山輝明,堀江雄二,特許公開
[opt2]
文献情報
16 µm
RTP
100
0.5
一般に液固界面で形成される
2 重層容量は固固界面
CPF
32 µm
[17]
野見山輝明,網中浩太,堀江雄二,特許公開
50
0
00
50
100
Re{Zdp }/Ω −Im{Zdp }/Ω 0 µm の容量と比べて非常に大きく,同じ固固界面の接触
RPF
0
8 µm2009-187760
では抵抗値の低い FTO 基板間の容量は小さくなる
150
18
19
60
1 60
[18]µm野見山輝明,堀江雄二,特許出願
2010-45477
16
ことから
[opt2]
文献情報
100
150
0.0
18.0
18.5
19.0
16micron
[20] N. Gospodinova
and L. Terlemezyan,
0
な容量成分は CProg.
TE となり,図 5 の低周波側で見ら
32 µm
8 µm
8
0.5
00 0
100
16micron
CPE164
>> CTP > CPE
(3)
[19]µmM. Gr¨atzel, J. Photoch. Photobio. A
32
Re{Zdp }/Ω −Im{Zdp }/Ω 0 µm
(2004) 3. 他
の関係が成り立つと考えられる.これより一番大き
8 µm
50
100
8
1.0
100
[opt2] 文献情報
Nomiyama, Y. Horie
and T.
Re{Z
50}/Ω 0 µm
5x105dp0}/Ω −Im{Zdp
0
150
Power Sources 66 (1997) 1.
CTE
[opt2]
[15]
X.文献情報
Zou, T. Nagao, O. Miyamoto,
T.
RE
R
2.105
16 µm
[21] B.E. Conway, V. Birss and J. Wojtowicz, J.
Polym. Sci. 23 (1998) 1443.
対極
16 µm
100
50
100
0.0
18.0
18
18.5
19.0
19
120 れるキャパシタ成分は CTE と推定される.
Polym.
Sci. 23 (1998) 1443.
1 120
32 µm
1.0
0.8
32micron
32micron
次に電荷移動抵抗分について議論する.TiO2 多
[21] B.E. Conway, V. Birss and J. Wojtowicz, J.
0.6
50
Power Sources 66 (1997) 1.
孔膜と電解質間の電荷移動抵抗 RTE は,CTE と並
0.4
[opt2] 文献情報
0
0.2
00 0
大きいため,インピーダンスプロット上の低周波部
0.0
50
100
16.25
100
16.25
16.75
列な成分となり,前述したように CTE 容量が一番
17.25
17.25
分の振る舞いを決めると考えられる.PANi によっ
Re{Zdp }/Ω −Im{Zdp }/Ω 0 µm
て形成される界面の R
PE ,RTP
および RPF はそれ
図 5 EIS で得られた
8 µm Zdp のインピーダンスプ
ぞれの並列な成分となる容量成分に式 3 の関係が
16 µm
Sample 1 で得られたもの.左欄は測定した全周
あることから,高周波部分の半円は CPF //RPF に
波数域を描いたもの,右欄は高周波域の拡大.図
32 µm
よるものと考えられる.また,図 5 において高周波
ロットの蓄電層厚 `s による変化:図 4 に示した
中の模式図は層厚 `s から予想される膜の模式図.
部の半円からの立ち上がりの角度の変化が見られる
が,これが RTP と CTP による寄与と考えられる.
は CTE となる.また,容量成分はすべて電極表面
ここまでの議論から,等価回路は図 6 となると考
の粗さ等の影響で一定角要素を持つ容量成分となる
えられる.各構成素子は,直流抵抗分 Rdc ,TiO2
が,一定角要素の影響は小さいので容量成分のみで
多孔膜および PANI が電解質と形成する 2 重層容
議論を進める.
量分 CTE ,CPE と電荷移動抵抗 RTE ,RPE の並列
4.2.1 構成素子の定性的議論
素子を CE //RE で示している.更に TiO2 と PANi
まず,各界面で生じる容量成分について,界面を
の界面の容量成分 CTP と電荷移動抵抗 RTP の並
形成する材料の性質からその大小を議論する.電解
列素子および PANi と FTO 基板界面の CPF と電
質と TiO2 多孔膜および PANi が形成する容量成
荷移動抵抗 RPF の並列素子から構成されると考え
分については,PANi が TiO2 多孔膜の間隙中に浸
られる.
透した電解質としか触れないのに対し,TiO2 多孔
4.2.2 実測値と等価回路の対応
8
蓄電層がない `s = 0 の場合,Rdc と CE //RE の
層部分はその広い比表面積で電解質と接触している
直列回路となり,CE (= CTE ) は非常に大きい.こ
ため
CTE > CPE
れは図 5(a) のキャパシタ的な振る舞いに対応して
(2)
6
8
8
増感太陽電池における報告[19] では 10−4 ∼ 10−2 s
いる.
PANi を電着し蓄電層が形成されると CPE が生
で再結合するとある.これより TiO2 内部の電子寿
じ,CTE と CPE の並列部分で式 2 の関係より CPE
命を 10−2 s としても,τTP = 10−1 s では 10 倍程
が支配的となり容量分が大きく減少する.これは,
度遅く,更に `s が大きくなるにつれてその時間差
図 5 の (a) から `s の増大に伴い (b),(c),(d) のよ
は広がっていく.図 4 に示した `s に対する ηq の
うにインピーダンス振幅が大きく減少していくこと
振る舞いは,`s ∼ 20 µm までは τTP が短いため,
に対応している.
`s の増大につれて蓄電量が増えて ηq が上昇してい
先の 5.2.1 節の定性的議論で高周波部分で見られ
くが,`s > 20 µm では τTP が長くなり効率が低下
るつぶれた半円は CPF と RPF によるものとした.
すると考えられる.よって,量子効率 ηq を上げる
これら CPF と RPF は,PANi が FTO 上に形成さ
には,まず τTP を現状の 1/10 以下に短くし,`s に
れたら蓄電層厚さ `s が増えても PANi と FTO 基
つれて τTP が減少しないようにすることが必要と
板の界面は変わらないので `s に依らないと考えら
なる.
れる.これは,図 5 の高周波部分に見られる半円の
このように電着制御法により蓄電層厚 `s を制御
振る舞いと合致している.
し,`s に対する EIS を解析することで TiO2 –PANi
このように図 6 の等価回路の振る舞いと実測値は
界面の電荷移動の時定数 τTP を導くことができた
きれいに対応しており,個々の素子値を実測値から
ことは,今回の大きな成果である.
導くことで界面で電荷移動等の情報が得られる.
4.4
4.3
TiO2 –PANi 間の電荷移動の時定数 τTP と量
TiO2 の吸収波長域を考慮した量子効率 ηquv
今回,量子効率 ηq の測定に用いた光源は AM1.5,
100 mW cm−2 のソーラシミュレータであり,近紫
子効率 ηq
TiO2 と PANi 間の電荷移動の時定数は,図 6 の
外から赤外までの幅広いスペクトルを有している.
等価回路より時定数 τTP = CTP RTP で与えられ
これに対し TiO2 –PANi 光蓄電極の光吸収は TiO2
る.そこで図 5 の実測値を図 6 の等価回路でフィッ
によるため,実際に光蓄電に寄与しているスペクト
ティングすることで各素子値を得て,時定数 τTP
ル領域は紫外光域に限られる.そこでソーラシミュ
を計算したものを図 7 に示す.時定数 τTP は,`s
レータ中の紫外光域のみのフォトン数から実効の量
−1
子効率 ηquv を求め,従来の TiO2 –PANi 光蓄電極に
= 20 µm 程度までは 10
s 程度であり,それ以降
は上昇している.
て得られていたトップデータと比較したものを表 3
TiO2 中の光励起キャリアは,Gr¨
atzel らの色素
に示す.
従来と比較して対極等の他の部分も少しずつ改善
されているため,効率の変化がすべて電着制御法に
101
よる発電・蓄電層の制御により達成されたものでは
ないが,実効量子効率 ηquv が 0.5% から 7% と大き
く向上していることがわかる.
1
5 まとめ
10–1
本報告では電着制御法にて電極構造を制御し,蓄
0
20
40
60
電層 (TiO2 –PANi 複合領域) の厚さ `s を変化さ
せた.この `s に対して光蓄電効率 ηq と電気化学
TiO2 –PANi 間の電荷移動の時定数 τTP の
的インピーダンスの周波数応答 (EIS) をソーラシ
蓄電層厚 `s 依存性:図中に `s に対する電極の模
ミュレータを光源として測定した.更に周波数応答
図7
式図を示している.
(EIS) を解析することで TiO2 –PANi 間の電荷移動
7
表3
電極作製法と量子効率の変化
従来
層厚制御法
光エッチング法
充電光
紫外光
対極
充電光全波長域に対する光蓄電効率 ηq
TiO2 吸収波長域に対する光蓄電効率
†
波長 365 nm,100 mW cm−2 .
‡
波長域 AM1.5,100 mW cm−2 .
††
今回
ηquv
†
電着制御法
ソーラシミュレータ‡
カーボンファイバー
白金線
0.5%
0.2%
0.5%
7%††
波長 388 nm 以下を TiO2 –PANi の吸収域として計算した.
の時定数 τTP を導いた.
ます.
その結果,光蓄電量子効率 ηq は蓄電層厚 `s =
発表論文
15 µm 程度で極大となり,それ以上では減少した.
これは,`s が厚くなるにつれて発電層 (TiO2 領域)
1) 野見山 輝明,笹部 賢一,高石 勝裕,上野 和
の厚さ `T が減少することと TiO2 –PANi 間の電荷
起,堀江 雄二:傾斜構造を有する TiO2 -ポリアニ
移動の時定数 τTP が `s が厚くなるにつれて長く
リン複合膜の光蓄電性,第 57 回応用物理学関係連
なるためと考えられる.また,時定数 τTP は量子
合講演会 講演予稿集 (2010 年,3 月).
効率が極大となる `s = 15 µm 付近でも約 10−1 s
2) 野見山 輝明,瀧川 賢太郎,網中 浩太,堀江 雄
であり,これは酸化チタン内の励起電子寿命と比
二:TiO2 -polyaniline 複合薄膜の光蓄電時のアニ
較して 10 倍以上長かった.これより,更に効率を
オンドープ量の変化,第 56 回応用物理学関係連合
上げるには時定数 τTP を 1/10 以上短くするとと
講演会 講演予稿集 (2009 年,3 月).
もに `s が増加しても τTP が長くならないように
TiO2 –PANi 接合面を形成する必要があることが明
参考文献
らかになった.
今回の電着制御法でより精密な構造制御が可能と
[1] H. Tributsch, Appl. Phys. 23 (1980) p.61.
なり,ソーラシミュレータ下で ηq = 0.2%,TiO2
吸収域で換算した実効効率
ηquv
[2] H. Tributsch, J. Electrochem. Soc. 128 (1981)
= 7% となり,従来
p.1261.
の光エッチング法による量子効率 0.5% から大きく
[3] H. Tributsch, Solid State Ionics 9&10 (1983)
向上させることが出来た.また,構造制御された電
p.41.
極の EIS を解析することで重要なパラメータであ
[4] G. Betz, S. Fiechter and H. Tributsch, J.
る TiO2 –PANi 間の電荷移動の時定数を測定できた
Appl. Phys. 62 (1987) p.4597.
ことは,今後の光蓄電池の効率向上に非常に大きな
[5] G. Betz and H. Tributsch, Solid State Ionics
意味を持つものである.
28 − 30 (1988) p.1197.
[6] T. Nomiyama, H. Kuriyaki and K. Hirakawa,
謝辞
Synth. Met. 71 (1995) p.2237.
本研究は,財団法人マツダ財団のご援助により行
[7] K. Kaneto, G. Ishii and K. Yoshino, Jpn. J.
われたものであり,関係各位に心より感謝いたし
Appl. Phys. 24 (1985) L320.
8
[8] H. Kuriyaki, T. Nomiyama and K. Hirakawa,
U. S. patent 5672444(1997).
[9] H. Kuriyaki, T. Nomiyama and K. Hirakawa,
U. S. patent 5807411(1998).
[10] T. Nomiyama, K. Yonemura, X. Zou, Y.
Horie and T. Miyazaki, Trans. Mater. Res.
Soc. Jpn. 26 (2001) p.1251.
[11] T. Nomiyama, H. Takeuchi, K. Kawazoe, Y.
Horie and T. Miyazaki, Jpn. J. Appl. Phys.
44 (2005) p.5219.
[12] H. Usui, O. Miyamoto, T. Nomiyama, Y.
Horie and T. Miyazaki, Trans. Mater. Res.
Soc. Jpn. 29 (2004) p.1463.
[13] H. Usui, O. Miyamoto, T. Nomiyama, Y.
Horie and T. Miyazaki, Sol. Energ. Mat. Sol.
C. 86 (2005) p.123.
[14] X. Zou, N. Maesako, T. Nomiyama, Y. Horie
and T. Miyazaki, Sol. Energ. Mat. Sol. C. 62
(2000) p.133.
[15] X. Zou, T. Nagao, O. Miyamoto, T.
Nomiyama, Y. Horie and T. Miyazaki, Jpn.
J. Appl. Phys. 43 (2004) p.7707.
[16] 野見山輝明,堀江雄二,特許公開 2008-243573
[17] 野見山輝明,網中浩太,堀江雄二,特許公開
2009-187760
[18] 野見山輝明,堀江雄二,特許出願 2010-45477
[19] M. Gr¨atzel, J. Photoch. Photobio. A 164
(2004) 3. 他
[20] N. Gospodinova and L. Terlemezyan, Prog.
Polym. Sci. 23 (1998) 1443.
[21] B.E. Conway, V. Birss and J. Wojtowicz, J.
Power Sources 66 (1997) 1.
9