1 経済学のための数学(後半梶井担当分)第 2 回宿題 京都大学経済学

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経済学のための数学 2014 年度 梶井
経済学のための数学(後半梶井担当分)第 2 回宿題
京都大学経済学研究科 2014 年度前期
〆切: 6 月 17 日 (火)
Due Date: Tuesday, June 17
• 日本語または英語で解答のこと。判読不能な提出物は評価しない。
• The answers must be written in English or in Japanese. If you choose to answer in English,
print carefully; illegible answers will not be graded.
• 解答は締切日の授業終了時に回収する。
1. 次の最適化問題を考える.
∞
∑
max
{ct ,kt :t=0,1,...}
δ t ln (ct )
t=0
α
subject to: ct = (kt ) − kt+1 ,
ct ≥ 0, kt ≥ 0,
t = 0, 1, ...
k0 = k¯0
¯0 > 0,δ ∈ (0, 1),α ∈ (0, 1] は与えられた定数とする.
ただし,k
(a) ある定数 M が存在して,経路 {(ct , kt ) : t = 0, 1, 2, ...} がすべての制約を満たすならば,ど
の t についても ln (ct ) ≤ M となることを示せ.
(b) 経路 {(ct , kt ) : t = 0, 1, 2, ...} がすべての制約を満たすならば,部分和
のときに,無限大に発散することはないことを示せ.
∑T
t=0
δ t ln (ct ) が T → ∞
α
(c) オイラー方程式と横断性条件から,φ (k) = αδ (k) が最適な政策関数(Policy function)で
あることを示せ.
(d) 価値関数(Value Function)を計算し、それがベルマン方程式 (Bellman equation) を満たす
ことを確認せよ
2. 次の最適化問題(線形効用の一般的ケーキ食べ問題)を考える.
∞
∑
max
{ct ,kt :t=0,1,...}
δ t ct
t=0
α
subject to: ct = (kt ) − kt+1 ,
ct ≥ 0,
kt ≥ 0,
t = 0, 1, ...
k0 = k¯0
¯0 > 0,δ ∈ (0, 1),α > 0 は与えられた定数とする.
ただし,k
(a) αδ < 1 のとき,最適政策関数を求めよ.
(あわてて微分せず,問題の意味を良く考えよ.見当
がつかない者は,まず α = 1 の場合を考えてみよ.
)
(b) αδ > 1 のとき,この問題には解がないことを示せ
3. 次の最適化問題を考える.
max
{xt ∈X:t=0,1,...}
∞
∑
δ t u (xt )
t=0
subject to: Γ (xt , xt+1 ) ≥ 0,
t = 0, 1, ...; x0 = x
¯0
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ただし,X = [0, 1],δ ∈ (0, 1) で,関数 u : [0, 1] → ℜ, と
Γ : [0, 1] × [0, 1] → ℜ は次のように与
えられている
u (x) = 1
if x = 1
= 0 otherwise.
Γ (x, y) = 0 if |x − y| ≤
1
and x ̸= 1, or (x, y) = (1, 0)
2
= −1 otherwise.
(a) この問題は、次のように解釈出来る:x を作物の大きさと考えると,1 期間あたり最大
1
2
成長
させることができ,x = 1 でないかぎり市場価値がない.また,x = 1 となると、次の期には
長さ 0 になってしまう.したがって,x < 1 のときは最大限成長させて,なるべく早く x = 1
に到達させるのがよいはずだと予想できる.そこで,
「x < 1 のときは最大限成長させて,な
るべく早く x = 1 に到達させるように次期の y を決定する」ような,関数 φ (x) を書き表せ.
(b) 上の φ (x) に基づいた,価値関数を計算せよ.それがベルマン方程式を満たすことを確認せ
よ.そのうえで,φ (x) は最適な政策であるかどうか調べよ.