紫外-蛍光スペクトル (pdf)

紫外可視分光法と蛍光分光法
1. 紫外-可視領域の吸収
分子に紫外(UV)-可視(Visible)領域の電磁波
を照射すると、分子は結合の電子エネルギー準
1.
2.
3.
4.
5.
紫外・可視領域の吸収.
スペクトルの記録および解釈.
モル吸光係数の決定 とデータの表記.
ベンゼン誘導体.
蛍光分光法の概要.
位間エネルギー差に等しいエネルギーを持つ光
子を吸収して遷移(電子遷移)を起こし、基底状
態から励起状態へと励起される.
高分子工学科/物質科学専攻
安藤慎治
測定溶媒とセル材質の選択
発色団とそれに関係する電子遷移
σ, π : 軌道の種類.
記号の意味: n : 非結合性軌道(孤立電子対).
* : 反結合性軌道(空軌道).
紫外領域には、ガラスセル・プラスチックセルは使えな
いが、>320nmの測定であれば、PMMAのディスポセル
(使い捨て、20~30円/個)も使用可能.
発色団 : 紫外~可視領域の光吸収の原因となる官能基.
通常の測定で強く観測されるのは、π →π* と 一部の n→π*
アセトアルデヒド/ベンズアルデヒドの電子遷移
LUMO
n → π*
(対称禁制)
338 nm f =0.0001
HOMO
(対称禁制)
298 nm f =0.0001
241 nm π→π*
f =0.248 (許容遷移)
HOMO
HOMO-1, HOMO-2
π→π*
Calculated Absorbance
LUMO
n → π*
アセトアルデヒド/ベンズアルデヒドの電子遷移
C6H5CHO
0.1
0.01
n→π*
0.001
200
参考: おもな発色団(紫外域に吸収)
CH3CHO
1
300
400
Wavelength (nm)
500
600
π共役による吸収波長の長波長シフト(1)
紫外-可視分光法が有効なのは,
遷移エネルギー:
σ→σ*>>n→σ*≧π→π*>n→π*
芳香族化合物や含ヘテロ原子芳香族化合物などの共役系.
エチレン→オリゴエンの分子軌道エネルギー
HOMOとLUMOのエネルギー (eV)
エチレン→ポリエンでの分子軌道の推移
LUMO
HOMO
エチレン
ブタジエン
ヘキサトリエン
オクタテトラエン
0
→ ~10でほぼ収束
HOMO=LUMOにはならない
-5
-10
0
1
2
3
4
5
二重結合の数
6
7
8
π共役による吸収波長の長波長シフト(2)
オクタテトラエンの分子軌道と結合交替
LUMO
• ベンゼン、アントラセン、ナフタセン
分子軌道エネルギー
HOMO
1.50
単結合
二重結合
結 合 長 (Å)
1.45
1.40
• ポリエン
A
B
1.35
C
1.30
0
1
2
3
4
5
二重結合の数
6
7
8
共役が伸びるに従い、最大吸収波長(λmax)が大きくなる
溶媒によるλmaxの移動(励起状態の安定化)
2. スペクトルの記録および解釈
スペクトルから得られる2つの情報
(1) 吸収位置(λmax): 吸収を示す発色団の情報
励起状態は基底状態よりも分極してい
るため、極性溶媒中で安定化される.
非極性溶媒中での
励起状態
極性溶媒中での
励起状態
基底状態
可視紫外分光器の仕組み
(2) モル吸光係数ε : 遷移の起こりやすさ
ε>103のもの:許容遷移, ε>102のもの:禁制遷移
ランベルト・ベールの法則
I 
log 0   cl
 I 
すべての分子が入射光の吸収に関与し,どの分子も別の分
子の影になっていないことが前提.
3. モル吸光係数の決定 とデータの表記
λmaxにおけるAbs.の値
• λmax=227nm, A=1.55
• λmax=375nm, A=1.75
分子量: 138,
モル濃度: 1.12×10-4 mol L-1

A
cl
ε227 = 13890
•
光源1: 重水素ランプ(200~330nm).
•
光源2: ハロゲンランプ(330 ~ 700nm).
•
回折格子(モノクロメータ).
•
ダブルビーム用石英セル.
ε375 = 15680
λmax(ε)エタノール中;227(ε13890), 375(ε15680)と表記.
4. ベンゼン誘導体(1) ベンゼン
環呼吸振動に
基づく微細構造
λmax(ε)シクロヘキサン中;
• β 吸収帯: 184 nm (ε=60000)
• p 吸収帯: 203.5 nm(ε=74000)
• α 吸収帯: 254 nm(ε=204)
ベンゼン誘導体(2) フェノールとアニリン
1. フェノールに塩基を加えると …
• 酸素の孤立電子対が芳香環との共役に関与.
→ レッドシフトと濃色効果.
2. アニリンに酸を加えると …
• プロトン化により窒素の孤立電子対が芳香環の共役から離脱.
→ ブルーシフトと淡色効果.
OH
NH2
ベンゼン(シクロヘキサン溶液)
ベンゼン誘導体 (3)
ベンゼン誘導体 (4)
電子供与性基(ドナー)と電子吸引性基(アクセプタ)の導入
~きわめて珍しいソルバトクロミズム~
1.ドナーとアクセプターがパラ位に導入されるとレッドシフトと濃色効果が顕著に現れる
N+
2.オルト位とメタ位にドナー/アクセプターが導入されてもレッドシフトはほとんどない
O
h
3.同種の置換基をパラ位に導入してもレッドシフトはほとんどない
N+
O-
UV-Visスペクトルの応用~光化学反応の追跡
まとめ: 紫外可視吸収分光法
1. 紫外・可視領域の吸収
22
• σ結合,単独のπ結合では吸収は観測されない.
• π共役,溶媒の吸収波長への影響
23
• 発色団、助色団
等吸収点
2. スペクトルの記録および解釈
等吸収点の出現は、
反応の均一性を示す.
(2成分の平衡系)
• 吸収位置から発色団の情報
• 吸収強度から遷移の起こりやすさ(許容,禁制).
23の
n→π*
3. モル吸光係数の決定 とデータの表記
• 例 :λmax(ε)エタノール中;227(ε13890),375(ε15680)
• 目安: ε>103ならば許容遷移,ε<100ならば禁制遷移.
4. ベンゼン誘導体
• 塩基および酸による吸収波長シフト,濃色・淡色効果
• ドナー,アクセプター基の導入による吸収波長,強度の変化
紫外可視吸収スペクトル
吸光度(Absorbance)
光吸収と蛍光発光現象
ポテンシャルエネルギー
励起状態
光吸収
内部転換
試料室
光吸収
蛍光
内部転換
蛍光
・・
300
400
500
・
600
波長(Wavelength) / nm
紫外・可視(UV-vis)分光光度計
400 nm
500 nm
基底状態
600 nm
700 nm
原子核間距離
試料
・
700
800
300
・
・・ ・
励起スペクトル
試料室
400
500
600
700
波長(Wavelength) / nm
800
300
400
500
600
700
波長(Wavelength) / nm
500 nm
蛍光
450 nm
400 nm
励起光
試料
500 nm
300 nm
550 nm
350 nm
600 nm
400 nm
650 nm
450 nm
800
2次元スペクトル
600
励起光
500
400
300
300
400
500
600
700
800
蛍光波長(Fluorescence Wavelength) / nm
1次元スペクトル
蛍光(FL)光度計
強度(Intensity)
蛍光強度(Intensity)
蛍光スペクトル
二次元励起蛍光スペクトルの見方
励起波長(Excitation Wavelength) / nm
・
・ ・
・・
蛍光強度(Intensity)
蛍光スペクトルと励起スペクトル
試料
励起スペクトル 蛍光スペクトル
波長(Wavelength) / nm
蛍光量子収率とストークスシフト
最低エネルギー遷移と蛍光特性の制御
OH
N
O
NHPI
O
N
O
HNHPI
OH
LUMO
Absorbance & Intensity
水酸基の導入
O
N
n –π*遷移
HOMO
π-π*遷移
O
無蛍光性
強い蛍光
(クロロホルム溶液)
(クロロホルム溶液)
OH
HNHPI
O
N
(- *)
(n - *)
(- *)
(n - *)
OH
O
DHNHPI
200
Absorbance & Intensity
O
200
λabs = 328 nm λem = 534 nm
300
400
500
Wavelength / nm
600
モル吸光係数 蛍光量子収率
3661
0.35
5091
0.51
700
λabs = 372 nm λem = 427 nm
300
400
500
Wavelength / nm
600
700
励起状態プロトン移動を用いた蛍光制御
Excited state Intramolecular
Proton Transfer (ESIPT)
Intramolecular
H
Hydrogen
bond
O
OH
O
O
H
O
N
e
O
*
O
HNHPI
Large Stokes shift
H
Enol
O
*
Keto
O
O
H
H
O
O
Ground state
300
400
500
Wavelength / nm
600
700
Position of atoms
Large structural change
in the Excited state
Strong fluorescence at longer
wavelength with little coloration
高蛍光性ポリイミド(これは安藤研の宣伝)
○ 高耐熱性
強い分子間相互作用
O
N
O
○ 機械的強度
O
N
○ 耐薬品性
O
O
酸二無水物部
ジアミン部
• フラットパネルディスプレィの光源
Excited state
Energy
Absorbance & Intensity
200
cm-1
• シリコン系太陽電池
Proton transfer
O
11394
蛍光性を利用した波長変換材料
n
蛍光特性
Illumination
equipment
Strong emission
under UV irradiation