No.16 - トヨタ財団

FOR THE SAKE OF GREATER HUMAN HAPPINESS
トヨタ財団
広報誌
[ジョイント]
October 2014
16
No.
【特集】
新しいコミュニティの創造
本年度国内助成プログラムは、地域に開かれた仕事づくり
を行う活動への助成を実施します。そこで特集では、広井
良典氏の寄稿の他、助成対象者による「現場」
からのレポー
ト等を掲載。新しいコミュニティ創造と持続可能な地域社
会のあり方を求め、未来への道筋を展望します。
私
た ち の 人 生 は「 き ざ し 」 に 満 ち て い る。
もし「きざし」を感じることができなけ
れば、私たちの人生はどれだけ味気ないことだ
ろう。
長い冬の後に訪れる春のきざし。遠方から友
が訪ねてくるきざし。何か新しい恋が起こりそ
うなきざし。
人生の絶不調をようやく乗り越え、
新たな一歩を踏み出せそうなきざし……。
「き
ざし」は私たちの人生をワクワクさせる。
しかし「きざし」とは良いものだけではない。
このところ朝の寝起きが悪いのは何かの病気の
前兆だろうか。天真爛漫だった娘がこの頃ふさ
ぎ込んでいるのは、学校で何かがあったのでは
ないか……。ひとつの出来事がより深刻な問題
のきざしとなっていることは少なくない。その
きざしに気づくか気づかないかが重大な岐路と
上田 紀行
女は明らかに妙だった、苦しんでいた、助けを
求めていた。しかしそのきざしに気づくことが
できず、私たちはその無念さにうちひしがれる
のである。
実はそれは「良いきざし」への感受性の低下
と表裏一体をなしている。そもそも「きざし」
と は 変 化 へ の 予 兆 で あ る。 今 の ま ま の 状 態 が
ずっと続くならば、冬は冬のままで春のきざし
もなければ、彼女いない歴何年の自分に大恋愛
のきざしもないだろう。それは現在までの予測
が裏切られる「意外性」を喜ぶ感受性であり、
環境と自分の変化を受け入れる心である。
しかし私たちの社会は「意外性」を喜ばない
方向へと向かっているようだ。あらかじめ計画
されたことがどれだけ実現されたか、その達成
度で人や組織を評価する、その人がどれだけ儲
けたかで評価するといった、一元的な成果主義
「きざし」に対する感受性のあり方は、それが良いきざしであ
れ悪いきざしであれ、私たちの幸せを大きく左右する。そして私
の人生を歩む」ことが人生の成功であると思っている学生も多い。
年しか人生経験がなくて、東京近辺の進学校の
しかし、はたしてその人生は幸せだろうか。私は学生たちに語り
かける。「まだ
環境しか知らない、世間知らずの若者が思い描いた人生を、まっ
に低下しているのではないかということである。
れはまず「悪いきざし」の見過ごしである。まさにこの原
年生きていく人生がはたして成功だと思
自身、大学には理系で入ったものの、落第点のオンパレー
「きざし」への感性とは、今ここには見えていないが私たちを
危険から救ってくれたり、真の幸せへと導いてくれるものへの感
いたってしまう。それは過労死や自殺についても同じだ。彼や彼
かはそのきざしに気づいたのだが、それが活かされずに悲劇へと
こにいたるまでには多くの前兆があったと指摘される。周囲の誰
ワークを顕在化させ未来の幸せの形を示すという、トヨタ財団が
つ あ る。 そ し て 社 会 の 見 え な い 苦 悩 を 救 い あ げ、 隠 れ た ネ ッ ト
生でもないが、その中で「きざし」への感性は養われたと思う。
(以下略)という、意外性の道を歩んできた。別に誉められた人
同 じ よ う に 留 年 し て い た ゼ ミ 生 か ら イ ン ド 旅 行 を 勧 め ら れ ……
ドと人生の悩みから落第し、カウンセラーに通い、しかし
受性と言ってもいいだろう。いったん計画され目標とされたもの
サポートするような社会的プロジェクトも、まさに「きざし」を
C O N T E N T S
「真の豊かさ」に向けた日本社会の歩みを ◉ 広井良典
2012年度助成対象 ◉ 丹羽健司
地域課題解決のために、山村が交流し助け合う ……
多様性がもたらす豊かな地域社会へ
トヨタ財団ジャーナル
…… 18
多文化共生フォーラム in Nagoya
コミュニティ参加型遺産保護手法の確立
…… 22
「私」
のまなざし❿ 李梅
…… 16
プロジェクトマップ・プロジェクト一覧
サッカーも政権も! ブラジルの難しい舵取り
…… 21
楠田 PO のブラジル便り❸
10
「企業の社会貢献活動」を巡るトレンドとトヨタ財団の試み
国内助成プログラム東日本大震災特定課題・国際助成プログラム
…… 14
◉ うえだ・のりゆき
1958年東京生まれ。東京工業大学リベラルアーツセンター教授。兼任・社会
理工学研究科価値システム専攻。文化人類学者、医学博士。主な著書に『生きる覚
悟』(角川SSC新書)、
『慈悲の怒り 震災後を生きる心のマネジメント』(朝日新聞出
版)、『Q わたしの思考探究』(NHK出版)等がある。
人が生きる力を取り戻すためのキッチン
…… 11
2012年度助成対象 ◉ 大塚茜
…… 4
特集:新しいコミュニティの創造
学の東工大ではリベラルアーツ教育を重視する教育改革が進みつ
へ の 献 身 と 達 成 を 強 い、 い ち ど 決 ま っ た こ と に は N O が 言 え ず
きざしを感じ取る力 きざしを生みだす力
…… 2
FIRST WORD ◉ 上田紀行
…… 8
ふるさとをとりもどす「おむすび通貨」事業
2011年度助成対象 ◉ 吉田大
地域社会
(現・国内助成)プログラム プロジェクト活動実績評価 ◉ 足達英一郎
のうつや自殺を生みだす基盤ともなってきた。今こそ「きざし」
生みだす大きな使命を負っていると言えるのである。
私
う?」
たく計画どおり残り
いたことを知ったが、開発業者も住民たちもその危険性を見逃し
た。悲劇の後で私たちは多くの家々が非常に危険な場所に建って
稿を書いている時に、広島で豪雨による土砂災害が起こっ
20
突っ走る。それはあの原発事故をもたらしたり、この社会で多く
ていた。また青少年によるいじめや殺人事件が起こるたびに、そ
60
国内助成プログラム
…… 13
2014年度公募情報
麦秋の筑波に白竜現る。今号の表紙写真
は国内助成「筑波山りんりん案内人」育成
プロジェクトのメンバー、平石雅子さん
の撮影によるもの。曰く、活動中に訪れ
た船宮神社で社殿の脇障子に立派な竜の
彫刻があるのを見つけ、写真に収めまし
た。神社をあとにしてふと空を見上げる
と、風に吹き寄せられた雲が集まり、先
ほどの竜のような姿が現れたのです。ま
るで竜神様が私たちのプロジェクトを応
援してくれているように感じました。
Photo by Masako Hiraishi
…… 24
2013年度国内助成プログラム助成金贈呈式を開催 他
●
そ
が危惧するのは、私たち日本人の「きざし」を感じ取る力が格段
なる。
東京工業大学リベラルアーツセンター教授
の影響もあるだろう。私の教えている東工大でも、「計画どおり
きざしを感じ取る力
きざしを生みだす力
…… 6
私たちの取り組み─国内助成プログラム助成対象者からの寄稿
2009年度助成対象 ◉ 高砂樹史
都市と島が共生する未来を夢見ながら
に開かれた人生、社会を実現するべき時なのである。
October 2014
きざしを感じ取る力、そしてきざしを生みだす力を養いたい。
それは哲学的な問いでもあり、実践的な問いでもある。理工系大
No. 16
FIRST WORD
[巻頭言]
2
「真の豊かさ」に向けた
日本社会の歩みを
トヨタ財団は本年度国内助成プログラムのテーマを「未来の担い手と創造する新しいコミュニティ─ 地域に開かれた仕
─ 」とした。地域資源を活用し、地域課題に取り組む仕事の創出とその担い手の育成をめざすことが
事づくりを通じて
趣旨である。本特集巻頭では、かつてトヨタ財団の同プログラム(旧・地域社会プログラム)選考委員を務めた経験をお
持ちの広井良典千葉大学教授にご寄稿いただいた。広井氏には2009年大佛次郎論壇賞を受賞した『コミュニティを問
いなおす』
(ちくま新書)という著書があるが、今まさに、コミュニティのあり方を問いなおし、新しいコミュニティの創
その学生の地元に対する愛着の大きな部分を占めていた
り”が盛んな場所であり、この伝統行事の存在こそが、
造へと足を踏み出すための知恵と勇気が社会に広く求められているのではないだろうか。
ローカルなコミュニティへの大きな関心
分はやはり地元の活性化に関わっていきたいので、いま
たとえば、 年ほど前に大学を卒業して東京の大手企
業で働いていた男子の元ゼミ生から先日連絡があり、自
ているのを感じてきた。
することに大きな関心を向けるようになっている。
の相当部分が、地域再生やローカルなコミュニティに関
これらはほんの例示に過ぎず、似たような話は枚挙に
暇がない。深い問題意識をもっていたり、あるいはもと
という。
の会社をやめて郷里(岐阜の高山)の地場産業の企業で
こうした若い世代の志向について、最近の若者は“内
向き”になったとか、“外”に出ていく覇気がないといっ
ここ数年、ゼミの学生など若い世代を見ていて、「地
域再生」や「ローカル」なものへの関心が確実に強まっ
働くことにしたという。
意見はないと私は思っている。“貿易立国”の名のもと、
本を救っていく”新たな動きと見るべきであり、それに
ところで、関東三大祭のひとつとも言われる“石岡の祭
という例があった。彼女の出身地は茨城県の石岡という
たいという理由で、留学期間を半年に短縮して帰国した
た女子の学生が、こちらも地元の活性化に関わっていき
これからの時代は「グローバル化の先のローカル化」が
した構造変化を背景とするものであり、言い換えれば、
はなかったか。以上のような若者の志向は、むしろ“日
の地域の疲弊や空洞化、あるいはコミュニティの崩壊で
序列や枠組みの下でのみ物事を考えてきた結果が、現在
「アメリカ ─ 日本 ─ アジア」「中央 ─ 地方」といった
進んでいく時代と言えるのである。
いくつかの理由があるが、もっとも根本的な背景は次の
れ、たとえば財政破綻した夕張は自立しておらず、経済
最 後 に、“ 地 域 の 自 立 ” と は 一 体 何 だ ろ う か。 通 常、
地域の自立というのは経済的ないし財政的な意味で使わ
都市と農村の持続可能な相互依存へ
点にあると私は考えている。
や風土的・文化的多様性に人々の関心が向かうようにな
した時間軸が背景に退き、逆に各地域のもつ固有の価値
ところが現在のように、一定の物質的な豊かさが達成
された「ポスト成長」の時代においては、そもそもそう
れている等々)
。
置づけられることになる(東京は進んでいる、地方は遅
いる ─ 遅れている”という単線的な時間軸にそって位
福島や新潟という、首都圏から遠く離れた場所に東京
電力の原発があるというのはこうしたことの象徴であ
いる。
ルギーを大幅に「依存」するかたちで初めて成り立って
ば、 む し ろ「 自 立 」 し て い る の は 地 方 や 農 村 部 で あ り、
質的な循環を指す言葉があるが、そうした視点から見れ
し か し 本 当 に そ う だ ろ う か。 環 境 政 策 な ど の 分 野 で
「 マ テ リ ア ル・ フ ロ ー」、 つ ま り 食 料 や エ ネ ル ギ ー の 物
的に豊かな東京はもっとも「自立」しているという具合
いに語られる。
る。単純化して言えば、時間軸よりも「空間軸」が前面
り、「3・
」が明るみに出したのは、高度成長期以降
逆に東京のような大都市は、それらの地域に食料やエネ
に出るようになっていくのであり、それは“地域への着
つの方向に向かって進み、その結果、各地域は“進んで
「拡大・成長」の時代
すなわち高度成長期を中心に、
においては、工業化というベクトルを中心に世の中が一
ところで、ではそもそもなぜ以上のような若い世代の
「ローカル志向」が高まっているのだろうか。これには
グローバル化の先のローカル化
対する政策的な支援策こそが求められている。
た批判がなされることがよくあるが、これほど的外れな
もとは海外やグローバルな話題に関心をもっていた若者
最近の印象的な例では、もともとグローバルな問題に
関心があり、 年間の予定でスウェーデンに留学してい
3
1
ずれも「ローカル」な性格のものであり、つまり現在と
いった分野やテーマに向かっている。思えばこれらはい
心は福祉や環境、コミュニティ、まちづくり、農業等と
しながら、現在はポスト工業化の時代であり、人々の関
重要になるため、自ずと中央集権的になりやすい。しか
められず、ナショナルつまり国レベルのプランニングが
加えて、工業化時代においては、鉄道の敷設にしても
道路建設や工場配置にしても、ひとつの地域だけでは決
陸”の時代とも呼べるだろう。
トヨタ財団の今回の新たなプログラムは、以上に述べ
たような時代の要請に呼応するものであり、
「真の豊か
能な相互依存」の関係性を実現できるのである。
再分配の仕組みを導入してこそ、都市と農村は「持続可
の固定価格買い取り制度やさまざまな農業支援のような
ている。したがって、一昨年スタートした自然エネルギー
しており、そこにはある種の不平等のメカニズムが働い
は、食料やエネルギーを安い価格で地方や農村から調達
の 日 本 が 忘 れ か け て い た 以 上 の よ う な「 都 市 ─ 農 村 」
になると期待している。
の関係性だったと言える。しかも東京のような大都市圏
いう時代は“問題解決の空間的ユニット”がローカルな
深い問題意識をもった若い世代のローカル志向はこう
さ」に向けた日本社会の歩みがここから開けていくもの
レベルに移っている時代でもあるのだ。
11
◉ 広井良典
千葉大学法政経学部教授
Profile
◉広井良典(ひろい・よしのり)
千 葉 大 学 法 政 経 学 部 教 授。
公 共 政 策、 科 学 哲 学。 著
書 多 数 。 近 著 に『 人 口 減 少
社 会 と い う 希 望─ コ ミ ュ
ニティ経済の生成と地球
倫理』
( 朝 日 新 聞 出 版 )、
『創
造 的 福 祉 社 会─ 「 成 長 」後
の社会構想と人間・地域・
価値』
( ち く ま 新 書 )な ど が
ある。
4
5
特集新しい
コミュニティ
の創造
私たちの取り組み
─
国内助成プログラム助成対象者からの寄稿
パイラル(交通不便⇨観光などサービス産業
者です。日本の外海離島は、どの島も負のス
年で半減し、すでに島民の2人に1人は高齢
ゆったりとした時間が流れています。これこ
なしの心」にあふれて優しく、島ならではの
ます。そしてなにより、人々が素朴な「もて
美しい自然と、豊富な山の幸・海の幸があり
最大の「観光資源」は「島のあたりまえの暮
らし」そのもの。小値賀島には、手つかずの
初めての体験に感動の涙
イランドツーリズム事業」を立ち上げました。
と体験交流型の観光、「島を丸ごと体験するア
政や観光協会など島の志をともにする人たち
「 そ れ な ら 観 光 事 業 で 都 会 か ら 人 を 呼 び、
外貨を稼いで若者雇用を創造しよう」と、行
いました。
りたい、故郷の島で子育てしたい」と考えて
ていった若者たちも「仕事があれば親元に帰
業を継いで島に残りたがっていたのです。出
国内助成プログラム
(旧地域社会プログラム)
の助成対象となった つのプロジェクト代表者からの報告。
さまざまな特色と方向性をもつプロジェクトの現状と課題、
都市と島が共生する
未来を夢見ながら
◉高砂樹史 (小値賀観光まちづくり公社 代表取締役)
古民家再生事業とも連関させて
[助成題目]外海離島初! コミュニティー型旅行会社起業による雇用創出事
業
─
アイランドツーリズム事業の立ち上げ
自然のなか、田畑を耕して家畜を飼い漁に出
未発達⇨人口減少⇨定期船の減便=交通不
そが、きっと都会で暮らしている多くの人の
しかし、日本社会の経済成長/一極集中と
いう変化のなかで、小値賀町の人口はこの
る、昔ながらの半農半漁の暮らしが今も営ま
便)から抜け出せず、若者流出=少子高齢化
心を惹きつけるだろうと考えたのです。
か
れています。自分の家でとれた野菜や魚を分
か ら 無 人 島 へ …… と い う 問 題 を か か え て お
ぢ
け合い、よその子どもにも声をかけて地域ぐ
り、小値賀島も例外ではありません。
みんぱく
その最も代表的なプログラムは島の民家に
宿泊してもらい、島のありのままの暮らしを
そして、なにより感動するのは、彼らにとっ
ては、おじいちゃんおばあちゃんといっても
ができる体制
げていくこと
ながら作り上
体験してもらう「民泊=有料のホームステイ」
いいような民泊民家さんから受ける「無償の
値を計れなかった彼らの価値観が変わり、「生
も教えてくれる、学校の成績でしか人間の価
てもほめてくれる、優しく時には厳しく何で
こうした観
光地域づくり
きました。
を確立させて
行政と協力し
の暮らしがいちばん喜ばれる」ことを知って
愛」。まるで自分の子どものように、何をやっ
事業です。最初は手探りでしたが「島の普通
数軒にまで広がり、都会から修学旅
た。
きる力」に対する自信がわいてきます。だか
行も受け入れられるような事業に成長しまし
修学旅行に来る中高生は、都市への人口集
中第一世代の孫たちにあたります。祖父母世
ら、お別れのときには、たった1泊か2泊し
値賀町が島ぐ
をはじめ、小
代が田舎から都会に就職などで移住してき
かしていない民家の方々と抱き合い、涙し合
るみで進めて
きたさまざまな施策(農業後継者育成、若者
起業促進、特産品開発など)によって、若い
年間出生数が横ばいになるなど少子化にス
地域づくりが輝き始めるとき
この他にも私たちは、トヨタ財団の支援を
受けて成長発展させることができた「大人の
トップをかける目に見えた成果を生み出して
U タ ー ン I タ ー ン 者 が 数 百 名 規 模 で 増 加 し、
保存食作り、手作りお菓子……などなど、コ
島ぐらし体験事業」(再生古民家での宿泊やレ
されています。そうした若者流出/少子高齢
ンビニエンスストアがない半農半漁の自給生
で進めている地域づくりが光をもって輝き始
きました。
ようになりました。
めると確信しています。
ストラン、島暮らし交流体験など)をはじめ、
また、「日本を代表する観光
地域づくりプラットホーム」
と
活をしている島の暮らしにびっくりして、「こ
」
と感動します。
観光庁などからも評していた
「無人島」での宿泊や体験事業、子どもキャン
んな暮らしがあるのか
だいている「おぢかアイラン
「都市とムラ(島)
の共生」、島の人間らしい
暮らしや自然が都会人に癒しを与え、都会の
これから日本社会は、歴史上はじめて人口
減少社会を迎え、2060年には今よりも3
ドツーリズムグループ」(NP
経済力が島を活性化させ、ともに生きていく
プなどなど、さまざまなプロ
O法人とまちづくり公社とい
ことができる社会。そんな未来を夢見ながら、
割以上(4千万人)も少ない人口になると試算
う2つの法人の総称)
を立ち上
「おぢかアイランドツーリズム」は進んでいき
立案などを経済的にも行政か
窓口、観光地域づくり政策の
ます。
ら 独 立 し た 民 間 機 関 と し て、
ぜひ、皆さん、小値賀島へ遊びに来てくだ
さい。
(「おぢか島旅」 http://ojikajima.jp/
)
化による人口減少社会の中でこそ、小値賀町
げ、島の観光のワンストップ
グラムを擁することができる
き、畳の座敷、仏壇にお供え、魚干物などの
なのです。釣り、牛の放牧、畑仕事、魚さば
に来てやることなすこと全てが初めての体験
て、彼らの親たち自身が都会の生まれ育ちな
古民家ステイ
い、再会を誓い合うのです。
軒から
島のみなさんも自信を深め、民泊の輪も、7
です。
るみで子育てをする、まるで古き良き日本の
値賀島は、佐世保港からフェリーで3時
小
間以上かかる離島
(大小 の群島)
で、美しい
20
姿がそのまま残されている
「奇跡のような島」
お
2009年度 地域社会プログラム
今後にかける意気込みなどについて、それぞれの現場から生の声をお寄せいただいた。
4
子どもたちは高校を卒業すると島の外に出
て行く……。しかし、よく聞いてみると、家
17
ので、田舎をもっていません。それゆえ、島
40
!?
子どもたちによる民泊の様子とお別れの涙
6
7
特集新しい
コミュニティ
の創造
2011年度 地域社会プログラム
ふるさとをとりもどす
大 (一般社団法人物々交換局 代表理事)
「おむすび通貨」
事業
◉吉田
うローカル市場とおむすび通貨
─
[助成題目]もうひとつの市場経済メディアで農商工連携大作戦
ものでなければなりません。
支え合
ま な 弊 害 を 生 み 出 し て い ま す。 た と え ば コ
です。ところが現代では、そのお金がさまざ
事の成果物を交換し合う効率が高まるから
社会にお金が必要とされるのは、等しくそ
の価値が通用する交換媒体があることで、仕
取り組んでいます。
貨」という地域通貨・補完通貨の普及事業に
であると考え、2010年から「おむすび通
が、私たちは、お金の問題は社会の根源問題
りません。そういう厳しい状況ではあります
れがちなため、普及させることは容易ではあ
限終了後には、おむすび通貨が地元のお米に
促進されるという仕組みです。そして有効期
社会の根源問題としてのお金
ミュニティの衰退はコミュニティ内部への
「おむすび通貨」は「おにぎり通貨」と呼び
間違えられることがありますが、人と人、人
交換されるため、農商工連携と地産地消が進
しかし、こういった原則が適用された地域
通貨・補完通貨は日本円に比べて損だと思わ
市場経済の浸透が原因です。
と自然を「むすぶ」という意味を込めて「おむ
意味ですから、貯蓄機能が制限されて交換が
お金の問題を解決するために、これまでに
世界各地で多数の地域通貨・補完通貨が生ま
すび通貨」という名前になりました。
補完通貨を民間の金
み、循環型の地域経済が発展することになり
おむすび通貨は、実体がお米であり、価値
単 位 を「 大 き な お む す び 1 個 分 の 米 」に 設 定
ます。
「おむすび通貨」の特長は、地域の米で価値
担保することにより、換金も貯蓄もできない
していることから、「○○むすび」(1むすび=
米農家や自然に対する感謝
れ、たとえばスイスではGDPの1%に迫る
融機関が発行してい
ます。集団内におい
換を促進するために
と い う 地 域 通 貨・ 補 完 通 貨 の デ メ リ ッ ト を
て仕事の成果物の交
は、原則として、集
補っているということです。つまり、日本円
円)というおむすび通貨の単位で表される
団外部で通用するお
~5杯になります。しかし、市場価格で計る
義などで同じ質問をすると、回答の平均は3
同 じ く ら い だ と 感 じ る で し ょ う か? 私 が 講
読者のみなさんは、喫茶店で飲む珈琲の価
値は、茶碗何杯分のご飯になるお米の価値と
蓄機能が制限された
金に換金できず、貯
もしれません。
持ちかもしれませんし、同郷の親しみなのか
ちの命を育む米農家や自然に対する感謝の気
という合理的経済人が忘れてしまった、私た
貨を用いた取引で受け渡されるのは、消費者
でき、食べる分以上のお米を貯めることは無
には換金できないけれど、最後はお米に交換
金銭目的以外に働く意義を感じにくくなって
なりますの で、企業規模が大き くなるほど、
きくなるほど自分の存在意義を感じるように
化の担い手です。また誰しも自分の役割が大
です。家業的な中小企業はコミュニティと文
かを受け渡す感覚を呼び起こします。
取引額は、価値尺度としての数字を超える何
これからも発展させていきたいと思います。
す た め の 補 完 通 貨 と し て「 お む す び 通 貨 」を
結びついたふるさとのある社会」をとりもど
係の場」こそが「ふるさと」だと考え、
「自然と
おむすび通貨の通貨としての実用性はまだ
まだ低い状況ですが、自分の居場所がある「関
むすび通貨を購入しています。
生の店で買い物をするために多くの大人がお
のですから、そのインパクトは抜群で、小学
突如として子どもたちの元気な街が出現する
きます。普段は閑散としている商店街などに
して働くことでおむすび通貨を稼ぐことがで
商店を開業したり、公務員やサラリーマンと
夢の商店街」では、小学生が自営業者として
も夢の商店街」というイベントです。
「こども
同時に増やす原動力になっているのが「こど
ています。提携店とおむすび通貨の流通量を
が、昨年来、提携店の増加ペースが速くなっ
でおむすび通貨を使えるようになっています
トヨタ財団の助成を受けて提携店勧誘を進
め、現在は豊田市を中心に300事業所以上
子どもたちの元気な街
しまいます。会社で居場所がなくなり、家族
や地域といったコミュニティにも居場所がな
杯分のご飯になるお米と珈
また、おむすび通貨は、通貨が流通する集
団として地域の中小企業を設定しています。
くなっている傾向は、自殺者や精神疾患の増
~
琲一杯が等価ということになり、市場価格で
これは家業的な中小企業の存続がコミュニ
と、お茶碗
計られる価値と、人間の価値観で計られる価
加と決して無関係ではありません。
50
ティと人間にとって重要だと考えているから
20
8
9
提携店ステッカー
値とには大きなずれがあります。おむすび通
2013年に豊田市で開催された「とよ
たこども商店街」の様子。子どもたち
が「お店屋さんごっこ」や「オシゴト
ごっこ」に参加して、本物のお店で使
えるおむすび通貨を手に入れながら仕
事や買い物を体験することができる。
10
2012年度 国内助成プログラム
地域課題解決のために、
山村が交流し助け合う
◉丹羽健司 (NPO法人地域再生機構 木の駅アドバイザー)
─
共通の地域課題解決のために木の
駅に取り組む山村が交流し、悩みを分かち合い、育て育ち合う「結」
の構築
[助成題目]兄弟木の駅プロジェクト
行委員会のように中学校区ほどの単位で住
営 か ら ル ー ル な ど す べ て が 議 論・ 決 定 さ れ、
次なる命の誕生を祝うような関係づくりを
け合い、見守りあいながら育つように、また
木の駅の仕組み
発 生 す る 逆 ザ ヤ( 過 払 い 分 )は 寄 付 を は じ め
民により自主的に組織され、その中で財政運
〝まだ
「こんな寒い日にゃコタツに入って、
ぬるいなぁ〟なんちゃ言ってスイッチを強に
が、ちょうど
増する木の駅
うして毎年倍
いでいる。こ
は把握できな
はや正確な数
いるので、も
的に誕生して
地で同時多発
か 所 を 超 え、 最 近 は 各
薪ボイラーに変えたら……、議論が進む。こ
村のお店を減らさないためには、村の温泉を
か、Iターンの若者の参加方法は、これ以上
い。 ひ と り 暮 ら し の 高 齢 山 主 を ど う 支 え る
局皆で知恵を持ち寄りながら進めるしかな
やマニュアルは公開されてはいるものの、結
る? わ か ら な い こ と ば か り だ。 見 本 の 規 約
る? 出 荷 先 は ど う す る? 地 域 通 貨 は ど う す
を募集し、リハーサルを行う。資金はどうす
実行委員会をつくり、説明会を開き、参加者
木の駅の立ち上がりは、地域の有志が集ま
り、 勉 強 会 を 開 く こ と か ら 始 ま る。 準 備 会・
木の駅は2009年岐阜県恵那市で始ま
り、瞬く間に鳥取県智頭町、愛知県豊田市は
じめ全国に広がり
子沢山の大家
うして半年から
で、さらに準備中の木の駅との間で交流でき
んでくる。それを持ち寄り、先発の木の駅間
し か し、 維 持 も 発 展 も 一 筋 縄 で は い か な
い。それぞれの過程で困惑や不安などが浮か
ねた。今年の
ち寄り、課題解決についての協議と懇親を重
ブ・薪ボイラー、林野庁事業の活用等)を持
り、新規支援)とタイムリーな話題(薪ストー
なごみ
和 理事長)
年の準備を経て地域に木
族の兄弟のよ
ればもっとスムーズに展開することができ
回木の駅サミットを開催、各駅の自慢と弱さ
茜 (特定非営利活動法人
の駅が立ち上がる。これまで静かだった山に
きれいになり
村に賑わいが
戻った。月数
万円の収入が
リタイヤ組の
こずかいを増
やし、Iター
ン者の暮らし
を下支えし
た。何より地
域の仲間づく
りが広がり、困った時に助け合える兄弟が全
国にできたのがうれしい。
たのですが、それよりも子連れで気兼ねなく
集まり、情報を仕入れたり、仲間を見つけた
り、 故 郷 の 言 葉 で 語 り 合 っ た り …… な ど と、
同じ避難者としての気持ちを分かち合う場所
が欲しいという声があり、それに応える形で
年
常設の避難者専用交流スペース「福興サロン
和~ Nagomi
~」を開設したのが平成
月のことでした。
めました。高齢者への配食事業と認可外保育
スのスタッフがボランティアとして活動を始
生活について語られます。ここにきて初めて
り返しあの日のこととそれから数日間の避難
京都府の支援政策の協力もあり、たくさん
の方がサロンを訪れ、泣いたり怒ったり、繰
自らの意思で自らの人生を
施設を運営しておりますので、京都への避難
自分の気 持ちと向き合った、言 葉にできた、
新しい日常創出の
人が生きる力を
取り戻すためのキッチン
◉大塚
─
3
者の方にもご利用していただければ、と考え
」プロジェクト
[助成題目]京都発「キッチン Nagomi
ための交流と就労の場づくり
気持ちを分かち合う場所として
悩みを持ち寄り、助け合う
目指して「兄弟木の駅会議」は始まった。
tの木材を木の駅に運んだ。
れている。
助成金、森林環境税など多様な手法で補填さ
歳 )は、 軽 ト ラ か ら 丸 太
切り替えているのがオチさ」。愛知県東栄町
の 伊 藤 勝 文 さ ん(
を下ろしながら昨年の自分を笑い飛ばす。伊
台、約
藤さんたちのグループはこの日だけで軽ト
ラ
全国各地で木の駅プロジェクトが始まっ
て い る。
「木の駅」は、不揃いの林地残材や間
伐 材 を 相 場( 1 t 2 0 0 0 ~ 3 0 0 0 円 )よ
り 少 し 高 い 価 格( 4 0 0 0 ~ 6 0 0 0 円 )で
買い取り、大型スーパーでなく地域の商店だ
けで使える地域通貨で支払う仕組み。買い取
られた原木は製紙用チップや燃料薪として
出 荷 さ れ る。
「軽トラとチェーンソーで晩酌」
を合言葉に、あまり規格を気にせず農産物を
道の駅に出荷するように、気楽に山から木を
出してお小遣いにして森と地域を元気にし
開拓、機材導入まで、木の駅の駆け込み寺と
うに互いに助
チェーンソーが響きはじめ、丸太を満載した
化した。顔の見える形で木の駅間の交流をで
ていこうというものだ。その運営は木の駅実
軽トラが往来し、暗かった地元商店に明かり
月 は 名 古 屋 市 で、
回の木の駅会議を
る と 考 え た。 ま ず ウ ェ ブ サ イ ト を 充 実 さ せ、
を公開しあった。
月には岐阜県上石津町で第
木の駅関連情報から各地の木の駅の概要や
10
3
2012年度 国内助成プログラム東日本大震災対応「特定課題」活動助成
は、立ち上げのイロハから視察の仲介、需要
連絡先までわかるようにした。日常的な相談
持ち、基本的な課題(地域づくり、仲間づく
月は島根県吉賀町で
月、
きるように昨年の
9
3
7
この 年でまた 近い木の駅とその数倍
の 準 備 中 の 木 の 駅 が 増 え た。 少 し ず つ 山 が
れる。これが各地で繰り返されている。
が灯るようになったという声で苦労が報わ
40
78
特定非営利活動法人和は東日本大震災が発
災した当時、特定非営利活動法人ハイビスカ
10
12
1
10
10
11
全国各地に広がる木の駅
23
1
第3回木の駅サミット in 上石津町
とうえい木の駅の伊藤さんたちの荷降ろし作業
21
最初はそのように自分の思いを吐き出す時期
とおっしゃる方も少なくありませんでした。
見 合 っ た 対 価 を 得 る 」こ と、 つ ま り「 仕 事 を
筋。それが「やりがいのある役割」と「それに
自らの人生を引き受けて生きていくための道
げながら、自らの意思で
いはそのショックを和ら
人がそれを糧とし、ある
ました。逆境を経験した
ある、という思いを持ち
的役割の回復が効果的で
戻していくためには社会
このことから、私たち
は、人が生きる力を取り
れるようになりました。
た い 」と い う 声 も 寄 せ ら
か人の役に立つことがし
から恩返しがしたい」「何
都の人にお世話になった
ものがあると気づき、「京
の尊厳にとって心苦しい
され続けるというのは人
いけれど、一方的に支援
を受けることはありがた
てきました。また、支援
しないと、と思う方が出
者・避難者・支援者といったそれぞれの境遇
メンバーで構成されている団体ですが、被災
このように、特定非営利活動法人和は、東
日本大震災をきっかけとして京都で出会った
に語らうという、毎月恒例の会です。
し、一献傾けながら傾聴僧のメンバーととも
した方もおられます。その男性たちを対象と
性は男性ならではの葛藤を抱えて避難を決意
ちらを対象にした交流会は多いのですが、男
られた方は子育て世代の女性が多いため、そ
居酒屋バージョン」があります。避難してこ
なものとして、東北被災地での活動から、の
また、引き続き、避難者の方を対象とした
傾聴の会を設けることも続けており、特徴的
ざまなプログラムを展開しています。
地域のコミュニティを支える側として、さま
フェ・近所の商店街とのコラボイベントなど、
を 行 っ て お り、 ベ ビ ー マ ッ サ ー ジ・ 歌 声 カ
めのイベントや、地域の方々とのコラボ企画
避難者として支援を受ける立場だったス
タッフが、今では自主的に同じママたちのた
います。
に愛されるお店であろうと試行錯誤を重ねて
がりをもって、経験を知恵として活用しつつ、
Nagomi
次のステップへ向けて歩もうとしています。
1億円(一部、検証・提言助成を含む)
助成額
1年間プロジェクト:上限300万円/件 2年間プロジェクト:上限600万円/件
助成の対象となる
プロジェクト
・地域で活動する NPO 等の組織が地域の課題解決につながる担い手を
育成するプロジェクト(研修プログラム、なりわい塾)
・未来の担い手が地域住民とともに、地域課題の解決につながる新た
な仕事(組織や事業)の立ち上げに向けて実施するプロジェクトなど
時
時(不定休)
時(日曜・祝日 休み)
分〜
助成の決定
外部有識者によって構成される選考委員会の審査を経て、2015年3月
に開催予定の理事会にて決定
時〜
15
それぞれの境遇と立場を超えて
キッチン
助成総額
10
*より詳しくは、トヨタ財団ウェブサイトに掲載されている募集要項をご覧ください。
応募は、ウェブサイトから受け付けています。
●
日本国内(生活圏である市区町村自治体以下の範囲を主たる活動地とし
て実施されるプロジェクトを対象としますが、市町村境や県境、他地
域との連携による取り組みも対象となります)
23
期待される成果と
対象となる活動
そこでトヨタ財団をはじめとしてありがた
い支援をいただくことができ、平成 年9月、
対象地域
30
[住所]
京都府京都市下京区七条大宮西入西酢屋町
2015年4月1日より1年間または2年間
17 11
地域資源を活かした、地域課題の解決につながる仕事の創出とそれに
取り組む担い手の育成(成果)の実現に向けて実施される一連の活動(対
象となる活動)
[営業時間]ラ ン チ :
助成期間
ディナー:
2014年9月1日(月)~10月31日(金)15:00締切
名の避難者の方を雇用しており、地域の方
れん分けをしていただいた「カフェデモンク
でしたが、そのあと「この先どうなるのだろ
具体的には、未来の担い手が地域の人々とともに、仕事の創出に向けて行う一連の活動(地域
24
募集期間
信じていいのかわからない、
何もかもが不安、
む仕事の創出とその担い手の育成をめざします。
❹
た持続可能で人々が幸せを実感できるコミュニティが築かれることを期待しています。
本当にこれでよかったのか、と自分を責めて
2014年度国内助成プログラム一般枠では、それぞれの地域資源を活用し、地域課題に取り組
15
ト事業の実施など)への助成を実施します。こうした取り組みを通して、それぞれの地域に適し
しまったり、子どもにしわ寄せが来てしまっ
〈一般枠助成概要〉
「 キ ッ チ ン Nagomi
」と い う 飲 食 店 を オ ー プ
ンさせることができました。これまでにのべ
の実情の把握、必要な知識・技術・技能の獲得、地域内外の関係者とのつながりの構築、パイロッ
ストレス状態の極限におかれた状況で、何を
と立場ではありつつも、それを超越したつな
❶ キッチン Nagomi 店舗前にて南相馬市の方々との記念撮影。❷ 看板下の暖簾は南相
馬小池第一仮設住宅のお母さんたちの手作り。❸ スタッフ会議の様子。❹ 和で行われた
交流会。
する」ということだと考えたのです。
❷
う 」と 不 安 と 向 き 合 う フ ェ ー ズ が 訪 れ ま す。
❶
たりすることもあったようです。
テーマ
12
13
❸
「未来の担い手と創造する新しいコミュニティ
― 地域に開かれた仕事づくりを通じて―」
次の段階として、生活そのものの経済的な
不安も目の前に迫るようになり、自分も何か
※ 右記の要件をすべて満
たしていること
・組織への助成ではなくプロジェクト・チームによる事業(事業助成)
・対象地域以外の他地域の人や組織の協力
・地縁組織、NPO、自治体など地域内の多様なセクターの参加
・多様な世代の参加(概ね40代までの若者の参加は必須)
助成の要件
2014 年度 国内助成プログラム
公募情報
地 域 社 会( 現・国 内 助 成 )プ ロ グ ラ ム プ ロ ジ ェ ク ト 活 動 実 績 評 価
活動に金銭・財産を供与する際に、「その内容
に、とやかく口を差し挟むべきではない」と
いう意見があり、反対に「積極的に内容を審
査し、より優れた影響を生み出すための働き
かけを重ねるべきだ」という意見がある。ま
た、「社会貢献活動の事実を売名行為に利用す
るのは望ましくない」
という意見がある一方、
「営利企業が本質である以上、 直接、間接の
企業へのポジティブな影響を意図することは
当然だ」
という意見もある。
こうした意見には、それぞれに論拠があり、
簡単に合意が得られそうな見通しもない。た
ローバルな大手企業ともなれば、何十万人と
企 業 は 人 々 の 暮 ら し の 糧 を 支 え て い る。 グ
会と繋が っている。従業員とい う視点でも、
在するように感じられる。
向を強めるかといった、一種のトレンドは存
業自体が、どちらの方向性をより支持する傾
だ、振り子が振れるかのように、世の中や企
いう従業員が、連結ベースで一企業に連なる。
株式会社日本総合研究所理事
◉足達英一郎
「企業の社会貢献活動」を巡るトレンドと
」
トヨタ財団の試み
企業と 社
「 会貢献活動
日本経済団体連合会社会貢献推進委員会と
1%
(ワンパーセント)
クラブでは、1991
そして、この数年の傾向を観察すれば、公
益活動に金銭・財産を供与する社会貢献活動
一部を、企業も受益者として負担していると
めようとしていること、②企業は公益活動と
において、①企業 も
( しくは企業財団 は
)公
益活動の担い手、内容、効果により関与を強
企業が支払う税金も、企業が社会に繋がる道
活動実績調査 を
」 行い、その結果を公表して
いる。およそ400社から回答を得た直近の
いうことである。そして、製品サービス、雇
本業との関連性により関心を強めようとして
年度の社会貢献活動支出額が
筋だといえる。公的セクターの活動コストの
月 )で は、 2 0 1 2
用、納税といった本業起源の道筋から少し距
いることがうかがえる。
年から毎年度、会員企業を対象に 社
「 会貢献
社 平 均 4・
離を置いて、企業が社会に繋がろうとするの
こうしたトレンドを生むバックボーンとし
公 表 結 果( 2 0 1 3 年
46億円となり、東日本大震災関連の支援活
が「社会貢献活動」だと位置付けられよう。
ては、マイケル E
・ ポ
・ ーター(ハーバード・
ビジネススクール教授)とマーク R
・ ク
・ラ
たとえば、企業が自らの意思に基づき公益
か」という問いへの答えである。
は、「企業の側は、どこまで効果を追求すべき
「社会貢献活動」という企業と社会の
ただ、
繋がり方について、常に議論が巻き起こるの
確な目標を設定したうえで、その目的を達成
続していくための仕組みは構築されたか」「明
大きなインパクトがもたらされるものを選択
問題のなかから、企業として取り組むことで
の CSR
戦略」 2
( 006年 と
) いう論文の出
現などがあろう。ポーターらは、「数ある社会
支援する公益活動により
積極的に関わろうとするトレンド
動に多額の支出があった前年度に比べれば減
社平均4・10億円、
し、これを踏まえたうえでバリューチェーン
するための進捗があったか」「助成プロジェク
マー ハ
( ーバード大学ジョンF・ケネディ行
政大学院上級研究員 が
) 著わした「競争優位
4・74億円という結果となった。
と競争環境を改革することによって、企業と
トは現在も継続されているか」「助成プロジェ
年連続回答企業では前年度比2・8%増の
企業は、さまざまな道筋で社会と繋がって
いる。多くの企業では、不特定多数の法人や
社会双方がメリットを享受できる」と説いた。
ク以降の世界的な企業業績の低迷、 SROI
(社
会的投資収益率)などに代表されるプロジェ
もちろん、このほかにも、リーマンショッ
場を明らかにした。
非
( 課題別評価指標群
てスコアを与えた。
ンドを持つ個人・団体が関与したか」の観点
か」「助成プロジェクトに多様なバックグラウ
プロジェクトの
か
) らも実績を評価し
クトの社会に対する影響を測定する方法論の
図 には、助成を行った
スコア分布を示す。
また、図
普及などの要因が同時に存在しよう。
た プロジェクトのスコアと助成金額の関係
には助成を行っ
2 93
を示す。こうした一定期間の助成プロジェク
トの活動実績評価は、助成計画の策定や実施
年度に2008年度~2011年度に助成を
筆者の所属する株式会社日本総合研究所で
は、トヨタ財団からの委託を受け、2013
用できるだろう。
金額決定の妥当性を検証するものとしても活
よう。また、助成プロジェクトの採択と助成
方法の改善の材料として役立てることができ
行った プロジェクトについての、活動実績
トヨタ財団の地域社会(現・国内助成)
プロジェクト活動実績評価の試み
1
個人が顧客であり、製品サービスを通じて社
同時に、コスト意識で行われるフィランソロ
y = 0.4339x + 1.651
R2 = 0.16557
y = 1E-06x + 4.571
R2 =0.17535
フィー(慈善事業)や
クトが他地域や他活動領域に波及している
関連支出を除いた額が
あったことが報告されている。東日本大震災
少したものの、震災以前の水準とほぼ同じで
1
10
1
活動に批判的な立
CSR
図1 助成を行った93プロジェクトの評価スコア分布
図2 助成を行った93プロジェクトの評価スコアと助成金額の関係
93
どの程度のポジティブな影響を及ぼしたかを
査の回答を元に、当該助成が、社会に対して
報告書の内容と助成先から得たアンケート調
く感じ取った。対象は地域社会(現・国内助成)
を、今回の委託調査を進める過程で筆者は強
貢献活動を具体的に把握しよう」とする意志
わが国有数の助成規模とプログラムオフィ
サー数を擁するトヨタ財団においても、「社会
済が活性化されたのか」「地域住民の自立・自
化・環境」
「教育」に分類し、各々「地域の経
表したい。同時に、2014年度の国内助成
もうとするトヨタ財団の姿勢には賛同の意を
「社会貢献活動」
に継続的改善の視点を盛り込
の評価を行った。助成先から提出された実施
計測しようとする試みであった。
も 必 ず し も 完 全 な も の と は 言 い 切 れ な い が、
助や住民同士の共生・共助が進んだか」「地域
く採択されることを期待したい。
プログラムへの助成先に、プロジェクトの効
果を常に意識し、工夫を重ねる応募者がひろ
課
( 題別評価指標群 か
) ら実績を評価してス
コアを与えた。同時に、「当該プログラムを継
文化 環
(境 の
) 継承と創造 再
(生 が
) された
か」
「地域を支える人材が育まれたか」の観点
プログラムに限定したものであり、評価手法
具体的には、各助成プロジェクトを、取り
組もうとする地域課題別に「経済」
「社会」
「文
93
2
14
15
特集新しい
コミュニティ
の創造
国際助成プログラム
プロジェクト一覧
2014
2014
国内助成プログラム東日本大震災特定課題
プロジェクトマップ
2014年度に採択された国際助成プログラム[14件]のプロジェクト一覧です。
2014年度に採択された国内助成プログラム東日本大震災特定課題[6件]のプロジェク
ト一覧です。
①高齢者が支え 、 支 え ら れ る コ ミ ュ ニ テ ィ
代表者氏名
題 目
助成
期間
束田 吉子
高齢者のヘルスケアに関する効果的な地域ネットワークの構築 ─ タイ、チョンブリ県、サンスク
町と長野県佐久市との建設的な施策の検討
1年
❶
河森 正人
小規模多機能拠点を中核としたケアのコミュニティづくり
1年
ヴェトナムの高齢者のための社会福祉を保障するための福祉センターの役割
1年
グエン・チ・
キム・ホア
② 外国にゆかりを 持 つ 人 た ち を 受 け 止 めるコミュニティ
代表者氏名
題 目
助成
期間
ジダパ・
ミーピエン
タイの非熟練労働者の社会的包摂性を高める
1年
青木 理恵子
包摂的なコミュニティ保健医療システムの構築 ─ タイと日本の経験から学ぶ
1年
ノンギャオ・
ナワラット
多文化教育の声をつなぐ ─ タイ、チェンマイでの移住労働者の子どものために
1年
活動地
助成
期間
伊瀬 聖子
釜石市東部地区復興公営住宅における新しい自治組織の形成 ─ 孤立しな
岩手県
い・顔の見える・安心コミュニティーの創出
1年
❷
後藤 一磨
入居前からはじめる、南三陸町災害公営住宅 絆づくり事業
宮城県
1年
❸
増田 敬
石巻被災市民による復興公営住宅に移転後のコミュニティ形成を支援する
宮城県
1年
❹
白旗 成典
DANDAN ふるさとプロジェクト ─ 災害公営住宅入居者が孤立せず地域
宮城県
コミュニティに溶け込み、被災者ではなく市民として自立するための活動
1年
❺
飯塚 正広
あすと長町地区にできる3か所の復興公営住宅を包括共助するコミュニ
宮城県
ティ組織の構築
1年
❻
長谷川 秀雄
みんなが復興の主役、実現プロジェクト
1年
代表者氏名
題 目
福島県
*地図上の数字は表の数字と対応しています。
*各プロジェクトの詳細はトヨタ財団ウェブサイトをご覧ください。
❶
③再生可能エネ ル ギ ー を 活 用 し た コ ミ ュ ニティの取り組み
代表者氏名
題 目
助成
期間
中山 琢夫
再生可能エネルギーによる地域再生に向けた地域の価値創出、ビジネスモデル、その東南アジアへ
の移転可能性
1年
馬場 健司
資源間のトレードオフを考慮した地熱発電の導入によるコミュニティづくりの日本と東南アジアで
の相互学習
1年
鈴木 亨
北海道の再生可能エネルギーと地域活性化 ─ 推進制度の成果と課題を全国・アジアに発信
1年
石井 勇
小水力エネルギーを活用した「コミュニティ協同組合」の構築 ─ インドネシア・西ジャワ州と宮
崎県五ヶ瀬町での人的交流を通じて
1年
グエン ・ チ ・
フィリピン及びヴェトナムにおける再生可能エネルギー開発調査 ─ 地方コミュニティへの再生
ホアン ・ リエン 可能エネルギー導入基準開発に向けて
1年
❹
❺
❷
❸
● 継続助成分
代表者氏名
安里 和晃
吉富 志津代
松浦 正浩
17
題 目
助成
期間
高齢者ケアの供給系の再検討と多国間枠組みに向けたネットワークの形成
2年
バイリンガル環境で育つ子どもたちの言語形成に考慮した教育環境整備事業 ─ 韓国との連携で
広げるネットワーク構築へ
2年
再生可能エネルギー分野における合意形成実務家のアジア太平洋ネットワークの構築
2年
❻
16
多文化共生フォーラム
8月
Nagoya
日(土)
、 日(日)
の両日、名古屋国際センターにて「多文化共生フォーラム
多様性 がもたらす豊 かな地 域 社 会 へ
in
今日からはじめる多文化共生
Nago
ことを目指したものです。具体的には、多文化共
その解決に向けた新たなネットワークを生み出す
今回のフォーラムは、研究会の成果をまとめる
だけではなく、議論を通じて共通課題を認識し、
を考える研究会も開催してきました。
に描いた創作落語を披露し、会場は大変なごやか
人と日本人のご近所付き合いをユーモアたっぷり
に先立ち、にしゃんたさんが、日本に暮らす外国
エピソードを引き出しました。ディスカッション
人が日本に長く暮らすなかで体験したさまざまな
トであるサヘル・ローズさんです。ダイバーシティ
一日目は「今日からはじめる多文化共生」をテー
マに、主に外国人の視点から見た日本についての
生に関わる行政関係者が現場の声を聞き、現場で
いました。念頭に置いていたのは、多文化共生に
奮闘する実践者が行政の事情を知る場を作ること
なムードに包まれました。
関わる多様なアクターが互いに学びあい、共に課
です。そこで生まれるネットワークは、トヨタ財
ディスカッションがありました。パネリストに迎
団が個別に行ったプロジェクト助成との相乗効果
最近の日本の変化についてお二人が話されるな
かで、ムスリムに必要なハラル食品を揃える店が
題解決に取り組むことです。これらの助成と並行
にもつながると考えました。
ることも多いこと、という点が挙げられました。
えたのは、スリランカ出身で羽衣国際大学准教授
二日間の参加者は述べ300名を超え、中央省
庁や自治体などの政策担当者、現場で奮闘するN
しかし、そうしたポジティブな変化の一方で、外
して、2013年末からは、多様な文化的背景を
POや当事者、国内外の研究者などが活発な議論
国 人 か ら の「 こ う し た ほ う が よ い の で は 」と い う
れ」という短絡的な反応もある、という指摘もあ
の概要をお知らせします。
有されました。
の 教 育 に つ い て、 現 場 で の 取 り 組 み と 経 験 が 共
意 見 具 申 が 批 判 と 受 け 取 ら れ、
「日本が嫌なら帰
外国出身のお二人のパネリストと、長く多文化共
鮮な視点だった」
というコメントが聞かれました。
たことに、多くの参加者から「知らなかった」
「新
として見るべきという考えを述べました。こうし
を、施策の「受け手」としてだけでなく、
「担い手」
触れました。
また、
そうした多様な背景を持つ人々
そ の 後 の 講 演 の な か で、 田 村 さ ん は 現 在 約
100万人の外国人が居住している日本の状況に
ありました。
アンナさんからは、自身の体験に基づいたお話が
されました。また、同スクール卒業生のテイラー
して自らが創立した同スクールの経緯などが説明
オキナワのセイヤーみどり校長からは、当事者と
告がありました。アメラジアンスクール・イン・
イリンガル教員採用とその後の経緯についての報
育委員会学校教育課の今井東課長補佐からは、バ
キュラムの中での母語教育の事例紹介、太田市教
パネリストの愛知県岩倉市日本語・ポルトガル
語適応指導教室の村瀬英昭室長からは、学校カリ
生に取り組まれてきた田村さんのお話は、多文化
ためて考える機会になったようです。
多文化共生の未来
課題は、日本の教育全体における課題とその解決
に向けた指針も含んでいるという指摘がありまし
と で、 不 登 校 の 子 ど も の 減 少 な ど の 成 果 に つ な
た。また、地域の特性に応じたサポートを行うこ
門的な内容も含んだ議論が行われました。
がっているという点も挙げられました。
積み重ねられてきた多文化共生の取り組みとその
究者からの報告がありました。さまざまな分野で
ている事例が報告されました。
が、協力して多文化共生に向けた取り組みを行っ
筑波大学の明石純一准教授がモデレーターを務
めた分科会2では、行政、企業、NPOや当事者
分科会2:政策とコミュニティ
成果や、
今後の課題などが共有され、ワークショッ
現場で多文化共生に関わる方や、行政関係者、研
プや質疑応答が各会場で活発に行われました。
の事例が紹介されました。東京都清瀬市の石川秀
愛 知 淑 徳 大 学 の 小 島 祥 美 准 教 授 が モ デ レ ー
タ ー を 務 め た 分 科 会 1 で は、 公 教 育 に 関 わ る パ
市の取り組みについて触れました。静岡県浜松国
限られた財源などの事情やNPOと協働する清瀬
樹市議会議員は、国や自治体の法制度や条例と、
ネ リ ス ト か ら、 外 国 に ル ー ツ を 持 つ 子 ど も た ち
分科会1:公教育のなかの挑戦
群馬大学の結城恵教授からは、自身がリードす
るコミュニティとの協働による大学での人材育成
指摘しました。続く分科会では、学校などの教育
冒頭の基調講演のなかで、明治大学の山脇啓造
教授は、多様性を生かした地域づくりが重要だと
「多文化共生の未来」
と題した二日目は、各地で
の多文化共生の取り組み事例の紹介を中心に、専
コメンテーターを務めた大阪大学の吉富志津代
特任准教授からは、外国にルーツを持つ子どもの
共 生 が「 い ま こ こ に あ る こ と 」を、 参 加 者 が あ ら
なずく方が多く見られました。
りました。どちらの指摘に対しても、会場にはう
増えてきたこと、留学生がすぐに就職を決められ
研究所の田村太郎代表理事が聞き手となり、お二
を交わし、多くの出会いがありました。本稿でそ
のにしゃんたさんと、イラン出身の女優・タレン
in
持つ外国人と共に、どのような社会を目指すのか
トヨタ財団は2013年度国際助成プログラム
で、6つの多文化関連プロジェクトへの助成を行
ya:多様性がもたらす豊かな地域社会へ」を開催しました。
24
18
19
開会挨拶をする矢野秀則(公財)名古屋国際
センター理事長
スリランカ出身で羽衣国際大学准教授の“に
しゃんた”さん
イラン出身の女優・タレントであるサヘル・
ローズさん
講演をする田村太郎ダイバーシティ研究所
代表理事
2日目冒頭の挨拶をする遠山敦子トヨタ財団
理事長
基調講演をする山脇啓造明治大学教授
23
情報発信やビジネス・セミナーなどの多様な取り
ネーターからは、外国人のニーズを意識し、防災
際交流協会のキクヤマリサ多文化共生コーディ
モデルを示していきたい」との抱負を述べました。
でいる活動に触れ、自らも「在日外国人のロール
治体と外国人住民のあいだに立って両者をつない
りました。当事者でもある崔英善さんは、主に自
未来の地域コミュニティに向けた名古屋
メッセージ
組みを行っている旨の報告がありました。
コメンテーターの韓国・聖公会大学の梁起豪教
授からは、日・韓の多文化共生への取り組みにつ
最後の全体会では、「未来の地域コミュニティに
向けた名古屋メッセージ」が、満場の拍手によっ
いて、「韓国は政府からのトップダウン、日本は民
を取っているとの指摘があり、どちらも長短があ
て採択されました。このメッセージは、「性別や年
間からのボトムアップ」という異なるアプローチ
るために、双方が互いに学び合うことが必要とい
齢、国籍などのちがいにかかわらず、誰もが活躍
する地域社会を築いていかなければならない」と
いう共通認識のもとで、「国、自治体、NPO、企業、
のご経験から、生徒や先生、サポーターが互いに
田所さんは、相談を受けて子どもへの日本語教
育に取り組む組織を立ち上げることになった自身
えた議論が行われました。
星大学の渡戸一郎教授とのインタラクションも交
という3名のパネリストと、コメンテーターの明
藤沢市外国人市民会議の崔英善コーディネーター
北村祐人システム・コーディネーター、神奈川県
外国人の子ども・サポートの会の田所希衣子代
表、名古屋大学とよた日本語学習支援システムの
感 謝 申 し あ げ ま す。 今 後 も さ ま ざ ま な 分 野 に お
の で す。 共 催 者 の( 公 財 )名 古 屋 国 際 セ ン タ ー に
(公財)名古屋国際センターと
本 フ ォ ー ラ ム は、
いうパートナーとの協働によって実現できたも
期待します。
の芽が育まれ、課題解決につながっていくことを
も、これをきっかけに共感にもとづく新たな協働
会場のあちこちでうかがえました。主催者として
り組む人々が新たに出会い、交流を深める様子が
フォーラムの二日間を通じて、自治体、NPO、
大学その他のさまざまな立場で多文化共生に取
サッカーも政権も !
は、ここは本当にブラジルなのか
催 都 市 で は あ り ま せ ん。 開 幕 前
街で、もちろんワールドカップ開
私 の 住 む ポ ル ト ヴ ェ ー リ ョ は、
ロンドニア州の州都ながら小さな
フォームを着込み、友人
ン
(ブラジル代表)のユニ
人々の大部分がセレソ
前 と も な る と、 道 往 く
り。特にブラジルの試合
(トヨタ財団プログラムオフィサー)
◉文・写真/楠田健太
ブラジルの 難 しい舵 取 り
と思えるほど喧噪とは無縁の落ち
の家やお気に入りのバー
ルテージの上がりっぷ
着いた様子だったのですが、開幕
に向かいます。基本、学
校や会社も休みになるの
で、車がないと移動しよ
うにもタクシーやバスす
らつかまえることができ
ません。ひとたびブラジ
ルの得点が決まると、そ
※ 分 科 会 で の 発 表 資 料 お よ び「 未 来
の地域コミュニティに向けた名古屋
メ ッ セ ー ジ 」は 主 催 者 の ウ ェ ブ サ イ
トからご覧いただけます。
る人々だったとか。そしてよりに
よってブラジル現政権は、低所得
者層優遇とも言われる諸々の経済
政策により、人口的にはマイノリ
ティに属する富裕層からの評判が
極めて悪いのです。結果、皮肉な
ことに、大会の開催を強力に推進
してきたジウマ大統領がスタジア
ムに姿を現し、スクリーンに大き
く映し出されるたびに、スタジア
ム内では大多数を占める富裕層の
観客から、容赦のないブーイング
を浴びせられることになりました。
も し ブ ラ ジ ル が 優 勝 を 果 た し、
セレソンのヒーローたちとともに
トロフィーを掲げることができた
なら、その不人気イメージを払拭
できるまたとないチャンスだった
のですが、準決勝、 位決定戦と、
これまで誰も見たことのない歴史
的な惨敗により、その目論みは外
れてしまいました。
今後、セレソンも政権も、難し
い舵取りが求められることでしょ
ブラジルと随分違うことに驚かさ
す。こちらに来て、想像していた
金を切り崩す大きな出費でした
代などは私にとってなけなしの貯
さて、ワールドカップ観戦に伴
うチケット代やホテル代、航空券
る大統領選で、ブラジルの人々は
て い ま す。 こ の
くことは権利ではなく義務とされ
う。ここブラジルでは、選挙に行
れる毎日でしたが、セレソンに対
が、事情はブラジル人にとっても
どのような判断を下すのでしょう
月、 ワ ー ル ド
するブラジル人の反応は、ほとん
同じ。ある調査によると、スタジ
próxima!
カップと同じく
ど唯一、日本で想像していた通り
か。 そ れ で は、 ま た
こら中から爆竹の音が鳴り響きま
全体会では各分科会で挙がった意見をモデレー
ターが発表した
未来の地域コミュニティに向けた名古屋メッ
セージ」案を読み上げ、採択決議をした
う考えを述べられました。
分科会3:「つなぐ」
人
深め、そうした実践を全国に広げ、世界に開かれ
大学など多様な組織や市民が共に議論し、連携を
人と企業、自治体などをつなぐことの重要性に
着目したのが分科会3です。仙台国際交流協会の
た新しい社会をつくること」を目指したものです。
つながることの重要性を強調しました。北村さん
いて新たなチャレンジを行っていきたいと考え
新たな協働に向けて
菊池哲佳さんをモデレーターに、多様な形で「つ
なぐ」ことに取り組んでいる事例の報告がありま
からは、自身が担っている企業・行政・大学・地
ます。
した。
域住民をつなげる仕組み作りについての説明があ
ワールドカップが終わりまし
た。
私自身は期間中、仕事の合間を
縫って日本戦一試合を含む計三試
合をスタジアムで観戦し、他の試
合についてもテレビやスクリーン
の前でブラジルの友人たちと愉快
に飲んで騒ぎながら過ごし、この
ポルトヴェーリョ
アムで観戦したブラジル人の実に
サンパウロにて、ファンフェスチ(パブリックビューイン
グ)への道すがら。ブラジルのワールドカップは10番の
負傷欠場とともに終わりました。
一か月を存分に満喫することがで
Brazil
割が、いわゆる富裕層と呼ばれ
─
Até a
年に一度行われ
10
4
きました。
Porto Velho
の光景だったと言えるかもしれま
せん。
9
20
21
3
後はもう堰を切ったかのようなボ
クイアバにて、日本対コロンビア。前半終了間際の岡崎選
手の同点ゴールには、一瞬ミラクルを信じたのですが……
読
者 に と っ て シ ル ク ロ ー ド と い え ば、 絹、
胡漢民族、貿易など多くのことを思い起
こされるに違いない。シルクロードは仏教伝来
の道の一つでもあり、その沿線にはさまざまな
ばくせきざん
規模の石窟が点在している。本プロジェクトの
対象である麦積山石窟はそのうちの一つで、甘
粛省東南部に位置し、収穫した麦束を積んだよ
うなユニークな形をしている。約1600年前
から開鑿が始まり、7200体あまりの塑像と
1000㎡の壁画が残ることから
「東方彫塑館」
と呼ばれ、彫刻史上、絵画史上研究価値が高い。
1915年日本人研究者大村西崖氏がその著
書『 支 那 美 術 史 彫 塑 編 』で 紹 介 し た の を 皮 切 り
に、地元学者である馮国瑞氏が、長い間人跡を
絶っていた麦積山に登ってはじめてその姿を世
に公開した。そして、2014年6月、『シルク
そ8000人の住民が暮らしている。農
積山の麓には集落がいくつかあり、およ
ロード シルクロードの最初の区間、天山回廊
:
の交易路網』
において世界遺産登録を果たした。
麦
作業に従事している住民の他、麦積山という文
化財となんらかの形で関わりを持つ住民は食堂
の経営、観光グッズや地産ナッツと果物やお香
の販売、解説案内、写真撮影など山の麓で生活
を 営 ん で い る。 中 国 に は「 靠 山 吃 山 」と い う 諺
があるが、これは、山のそばに住めば山に頼って
生計を立てるという意味である。まさにこの言
葉は、この地の人々を指しているように思える。
一方、年々知名度が上がる麦積山には年間延
べ 万人の観光客が訪れており、数年前から風
景管理局という政府部門が入場料の徴収、コア
ゾーンでの電気自動車の運行などを担当するよ
そのため各窟の中身、とりわけ仏像や壁画につ
いてはほとんど知識を持っていない。
彼らの他、観光グッズや食品などを販売する
住民は、規定された屋台が固定した位置にあっ
て、なおのこと麦積山という文化財と接する機
会がなく、ただ個人の営みを限られた範囲でこ
なしている。先祖代々住みつきながら、長年「お
上」の管理という視線の下、文化財というもの
は一部の管理部門の管理対象および研究対象で
あり、自分とはあまり関係しないという漫然と
した意識が生まれ定着してしまい、生活のより
どころである文化財は近くて遠い存在になって
しまった。住民から話を聞くと、文化財を愛す
る気持ちは持っていないわけではなく、持つ機
ティティの向上」と題しているが、
「靠山
回 の プ ロ ジ ェ ク ト は「 地 域 の ア イ デ ン
会がない、ないし持つ自信が失われたようであ
る。
今
吃山」
、「靠山守山」
という二つのキーワードがそ
のヒントを与えてくれる。
「靠山守山」
、文化財を守るには地元住民を抜
きには語れない今日、
住民を文化財とつなげて、
ようなきっかけを作ることができれば、アイデ
「自分たちがここの主人公」
という意識が根差す
ンティティを自然と向上させることが可能だと
考えられる。現地で直に住民と接して感じた文
化財への愛情を発展して、アイデンティティの
向上を目指していく。
プロセスとしてはまず、個々の営みを束ねて
コミュニティの形成を促し、文化財保護活動へ
の参加の道を開こうという考えである。昨年プ
ロジェクトが始まって以来、まず「自分とはあ
まり関係ない」という忘れられかけた住民のア
い。麓で 年以上観光客向けに写真を撮影、販
の間に限定され、その先の立ち入りは許されな
麦積山の管理はいわば、この二つの公的機関
によって行われ、地元住民の活動は登山口まで
保護などの活動を日々こなしている。
の案内や解説、観光客の安全配慮、研究、保存
究所という研究機関が担っており、登山口から
うになった。主な管理管轄は麦積山石窟芸術研
中国甘粛省の東南に位
置する麦積山。絶壁
の山肌に作られた
桟道から各石
窟に向かう。
文
( 化的価値が高いとされ特
積山石窟を研究フィールドにしている筆
者は美術史に関する学習を住民とともに
クロード東端の地域アイデンティティ向上を目指して」
群におけるコミュニティ参加型遺産保護手法の確立― シル
2013年度研究助成プログラム助成対象「中国甘粛省石窟
◉ 李 梅(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
く支え守っていく考えである。
ながら、このかけがえのない文化財を揺るぎな
デンティティ」が広範に発展していくようにし
住民以上に観光客や関係者を巻き込んで「アイ
あるコミュニティが文化財保護に参加し、地元
ある。これから先も、公的機関との協力位置に
研究所との距離も縮めることができ一石二鳥で
えている。文化財との距離はもちろんのこと、
重ねながら、議論を一緒に深めていきたいと考
麦
ニティの具現化に踏み出している。
を進めており、個々人の尊重を重視したコミュ
めの学習会の定期開催を年内に実現すべく準備
定である。加えて、住民と話し合い、
「知る」た
財に近づけるようなカリキュラムを設定する予
子どもたちの安全を考慮して、交流場所を文化
トを開催したりして交流をはかっている。今後、
もたちと麦積山について話し合ったり、イベン
究所の職員も招き入れ二か月おきに学校で子ど
クトを進める筆者がゲスト講師を務める他、研
麦積山」という定期授業を発足した。プロジェ
を通じて文化財との一体感を持つような、「私の
「知る」
一環として、地元の小学校と中学校で
子どもたちを対象に、それぞれの「麦積山発見」
のコミュニティ形成の二つから始めた。
め、 文 化 財 を「 知 る 」こ と 及 び 麦 積 山 周 辺 住 民
て、文化財との意識的な距離を縮めてもらうた
イデンティティを触発するきっかけ作りとし
別参観料が必要となる窟 と
) なると、まったく
入 っ た こ と の な い も の が 多 く あ る そ う で あ る。
要がある。特別窟
それ以外の日に行くには高い入場料を支払う必
のは年に数回しかない無料公開日だけであり、
を山麓で過ごしているが、窟に上って見学する
売している人たちの話によれば、一年の大部分
20
22
23
筑波大学大学院人間総合科学研究科
麦積山麓の住民による露店。
地元小中学校での「愛麦積山心」育成の定期授業。
麦積山を研究対象として見てきた筆者だが、このプロジェクトを通じて、周囲に
暮らす人々も含めた麦積山の価値のあり方へと視野を広げることができた。
(撮影:魏文斌)
15
❿
コミュニティ参加型
遺産保護手法の確立
◉ 文・写真/李 梅(Mei Li)
いくうえで、ビジョンとミッションを明確に
が、ワークを通じ、プロジェクトを運営して
を行いました。限られた時間ではありました
ループに分かれて、ペアワークや個人ワーク
の防災連絡
国人のため
地域在住外
O( く に た ち
「KUNIB
2014年4月 日、ハイアットリージェ
ンシー東京にて2013年度国内助成プログ
り、民間の多様な力を活かして課題の解決に
背景に多様な地域課題が顕在化するようにな
は、近年日本においては、高齢化、少子化を
についてご報告いただきました。小野川先生
の 再 会 を 果 た さ れ た 参 加 者 も い ら し て、 お
贈呈式終了後に行われた懇親会では、参加
者 同 士 活 発 な 交 流 が 行 わ れ、 な か に は 偶 然
たしました。
長より授与い
成)」へ、理事
域間連携助
ト ワ ー ク( 地
物活用ネッ
「歴史的建築
成 )な ら び に
会 )」
(活動助
持って活動に取り組むことの大切さが共有さ
れただけでなく、今後目指すべき未来像を明
確に描くことで、今取り組むべき活動を改め
て見つめ直す機会になったのではないかと思
います。
第2部の助成金贈呈式は、遠山敦子当財団
理事長の挨拶で開会し、その後、国内助成プ
ログラム選考委員小野川和延先生
(社団法人海
ラム助成金贈呈式を開催いたしました。贈呈
おいに盛り上がっていました。活動地もテー
方々より、プ
トヨタ財団・パナソニック教育財団
共同助成最終成果報告会を開催
ました。
簡単な紹介と
(イニシアティブプログラム)
た。
いただきまし
にわたって、トヨタ財団とパナソニック教育
日、 新 宿 三 井 ビ ル に お い て、
4月
2011年の東日本大震災発災から 年間
みなどをお話
想いや意気込
活動に対する
ロジェクトの
マも異なりますが、さまざまな形で活動も人
取り組むことの重要性を指摘されました。
名の
式は、
助成対象者向け
「ワークショップ」と「助
成金贈呈式」の二部構成で実施し、約
方にご参加いただきました。
第1部ワークショップは、2011年度に
地域社会プログラムの助成を受けられた川島
崇 照 氏( 一 般 社 団 法 人 ま ち ネ ッ ト 育 ち の 種・
理事)
と川島亜希子氏、
お二人のファシリテー
ションのもと、助成開始にあたって改めてそ
れぞれのプロジェクトがめざす地域社会の姿
(目標・ビジョン)
を明確にし、共有すること
の重要性を助成対象者に理解してもらうこと
を目的に実施されました。
川島氏より
「ビジョンとミッショ
はじめに、
ンとは」をテーマに簡単な講義が行われ、そ
「 子 供 の 居 場 所 作 り と 次 世 代 の 育 成 」の 最 終
復興まちづく
りの会、とめ
タウンネッ
ト、仙台市若
林区社会福祉
協議会若林区
復興の輪ミー
ティング、災
害文化確立伝
(一社)子どものエンパワメントいわて(岩手
遠山敦子トヨタ財団・パナソニック教育財
団理事長の挨拶ののち、助成対象団体である
ものです。
のご協力をいただいて開催いたしました。中
連携復興センターとみやぎ連携復興センター
中間報告会を、8月 日と 日の両日いわて
東日本大震災特定課題訪問学習プログラムの
でその復興まちづくりの過程を学んでもらう
づくりにおける女性の役割、阪神・淡路を訪
持コスト、中越を訪問した団体は、復興まち
奥尻島を訪問した団体は、大型防潮堤の漁
業に与える影響、震災のメモリアル施設の維
土曜日の会、みやぎ復興住宅を考える会です。
ミュニティ復興支援チーム、山元町震災復興
東日本大震災被災地の団体に、奥尻、中越、
阪神・淡路、玄界島という過去に大規模な地
県)
、
(特活)
「人間の安全保障」フォーラム(宮
間報告会の狙いは、折り返し点に差し掛かり
問した団体は、復興公営住宅での高齢者への
新たな絆を作
承プロジェク
城県)
、
(特活)ビーンズふくしま(福島県)が、
つつある訪問学習で学習したことを、団体相
支援体制、玄界島を訪問した団体は、被災者
震・津波被害を受け、その後しっかりと復興
それぞれの助成プロジェクトの成果を報告し
互に共有してもらうことにあります。
ト、東松島コ
ました。いずれも被災地で暮らす子どもたち
した。
協 議 会、 要 谷 青 年 部、 陸 前 高 田 未 来 作 戦 会
ま た、 今 回 の 訪 問 学 習 で 学 習 し た こ と を、
次の復興まちづくり支援につなげようと企
画立案を始めている団体もいくつかありま
し た。 こ れ は、 学 習 し た こ と を 共 有 し よ う
と い う 今 回 の 狙 い を 越 え た 嬉 し い 動 き で す。
これらの次世代の企画が復興まちづくりを
災地の未来を担う子どもたちの人材育成に
検討し、あらためてこのプロジェクトが、被
フも加わり、プロジェクトの成果を多角的に
新聞編集部、ウィメンズアイ、気仙沼八日町
づくり研究会、あじ島冒険楽校、仮設きずな
た。この日に報告を行ったのは、玉浦西まち
日は、宮城県の団体が対象となり、仙台
市市民活動サポートセンターを会場としまし
告会の記事を掲載していただきました。
もマスコミ数社の取材が入り、今回の中間報
復興まちづくりというタイムリーな話題を
取り上げたこともあって、盛岡でも、仙台で
さらに加速させることを期待します。
貢献したことを確認するとともに、今後の周
は、助成対象団体スタッフに両財団のスタッ
ショップを実施しました。ワークショップで
議、 NEXT KAMAISHI
、はまぎく若だんな
会、 釜 石 市 仮 設 団 地 住 宅 支 援 連 絡 員 配 置 事
28
後 半 で は、 日 本 福 祉 大 学 村 上 徹 也 教 授 が
コーディネーターとなって、今回のプロジェ
27
ク ト の 成 果 を 共 有、 発 信 す る た め の ワ ー ク
27
28
業、 サ ン ガ 岩 手、 岩 手 × 若 手 会 議、 SAVE
、高田大隅つどいの丘商店街です。
TAKATA
の間の入念な合意形成のプロセスに、それぞ
に対して心理的、物理的に安定した居場所を
れ関心を寄せていることがうかがえました。
る居場所づく
財団が共同して助成を行ったプロジェクト
助成金贈呈
書は、全チー
囲への発信の必要性についても議論を深め
成果報告会が開催されました。このプロジェ
クトは、困難
ました。このプロジェクトのまとめは、年内
ム を 代 表 し、
な環境の中で
にWeb上にてご案内する予定です。
の子どもたち
の状況を憂
い、子どもた
ちに寄り添
3
日 は、 岩 手 県 の 団 体 が 対 象 で あ り、 会
場 は ホ テ ル 東 日 本 盛 岡 で す。 こ の 日 に 報 告
をとげた先進被災地を訪問してもらい、現地
い、 見 守 り、
22
提供する取り組みであり、支援の中で子ども
りを目指した
東日本大震災特定課題
訪問学習プログラム中間報告会開催
暮らす被災地
20
を 行 っ た の は、 鵜 住 居 地 区 復 興 ま ち づ く り
仙台会場の様子
の後、活動地やテーマの異なる参加者が6グ
各チームの
もつながっているということを改めて感じ
外環境協力センター・特別参与)
より選考結果
助成金贈呈式後に行った記念撮影
選 考 結 果 報 告 後 は、 助 成 対 象 者 と な っ た
チ ー ム よ り、 1 分 間 ス ピ ー チ が 行 わ れ、
2013年度国内助成プログラム
助成金贈呈式を開 催
O c t o b e r 2 0 14
たちが明るさを取り戻す様子が伝わってきま
ワークショップでは遠山理事長らも参加者の
輪に入り活発な意見交換が行われた
第1部として行われたミニ・ワークショップ
50
19
24
25
トヨタ財団
ジャーナル
● 先 日 福 島 に 行 く 機 会 が あ り、 地 元 の N P O の
方に福島市から飯館村、南相馬市を通って、浪江
私 が 若 い 頃 だ と、 日 本 で 見 か け る 東 南 ア ジ ア
の 人 た ち の 多 く は、 出 稼 ぎ に 来 て い る 人 た ち で
ていきます。
この団体観光客が乗ったバスが三々五々出発し
山 や デ ィ ズ ニ ー ラ ン ド の よ う な 観 光 地 に 向 け て、
いました。
[
獅子奮迅のご活躍のおかげです。ありがとうござ
らためて感謝を申し上げます。共催者である(公
加 い た だ い た 皆 様、 ご 協 力 い た だ い た 皆 様 に あ
お か げ さ ま で 盛 況 の う ち に 終 了 し ま し た。 ご 参
P 「 論 文 以 外 の 方 法 を 模 索 す る 」と い う 言 葉 に
☆ 社 会 学 が 専 門 で す が と て も 参 考 に な り ま し た。
がよく言われています。馬場未
☆。今 RePublic
織さんの記事から、
今後の方向性が見て取れます。
ミュニティづくり」に共感しました。
し た。 藤 沢 さ ん の お 話、
「多様性を受け入れるコ
●●●● JOINT
前号へのご意見を紹介いたします。
☆ コ ミ ュ ニ テ ィ の 特 集、 と て も 興 味 深 く 読 み ま
]
H.T.
財)名古屋国際センターの皆様、特にご担当者の
し た。 そ れ か ら ン 十 年、 東 南 ア ジ ア の 経 済 成 長
が続き、その中で中産層が育ち、観光にくるよう
な 余 裕 が 生 ま れ て い る の で し ょ う。 こ れ は ま た
]
S.H.
世 の 中 が 変 わ る 何 か の 先 駆 け だ な と 考 え な が ら、
高層ホテル街を歩いています。
[
月
日、 日、名古屋で開催した「多文化共生フォー
● ● ● 7 月 に 入 職 し た ば か り の 新 人 で す。
」を 担 当 し ま し た( 本 誌 ~
in Nagoya
ページを参照)。フォーラム終了時に参加者の皆
よ か っ た 」と い う 声 に 反 省 し つ つ、 一 方 で「 大 変
様 々 な 意 見 を い た だ き ま し た。
「◯◯したほうが
様からいただいたアンケートのコメント欄には
代に沿った情報になるのではないか。
行 動 に つ い て の 記 事 が あ る と、 多 文 化 共 生 の 時
☆ボーダレス社会における日本と外国の非言語
共感します。
ラム
以上も離れているにも関わらず、未だ放射線量が
よ か っ た 」と い う コ メ ン ト に 元 気 付 け ら れ ま す。
町の立入制限を行っているゲートの所までご案
高いために全村避難中とのことで、雨戸やカーテ
㎞
ンが閉まったままの家々、雑草に覆われてしまっ
両 方 を 今 後 に 活 か し て い き た い と 思 い ま す。 ま
編集協力 石井 泉
デザイン エディション・ヌース
印刷 文唱堂印刷
た田畑、そこに点在する除染作業で取り除いた表
〒163-0437東京都新宿区西新宿2-1-1
新宿三井ビル37階
[TEL]03-3344-1701
[FAX]03-3342-6911
[URL]http://www.toyotafound.or.jp/
今 号 に つ い て も、 同 封 の ハ ガ キ に て 皆 様 か ら
]
のご意見、ご感想をお寄せください。。[ Y.N.
発行所 公益財団法人 トヨタ財団
だ ま だ 暑 い 盛 り の 週 末 で し た が、 フ ォ ー ラ ム は
発行日 2014年10月3日
発行人 伊藤博士
編 集 トヨタ財団 広報グループ
様な風景にショックを受けました。
東日本大震災の発災以来既に3年半が経過し
た わ け で す が、 福 島 の 被 災 地 の 真 の 復 興 に は ま
だ ま だ 時 間 を 要 し そ う で す。 発 災 以 来 被 災 地 の
復 興 支 援 を 続 け て い る 当 財 団 と し て も、 改 め て、
被災地の今現在のニーズに合わせたプログラム
]
M.O.
を考えていかなければならないとの思いを強く
しました。
[
● ● 朝 早 く、 ト ヨ タ 財 団 の あ る 東 京 西 新 宿 の
高 層 ホ テ ル 街 を 歩 く と、 イ ン ド ネ シ ア 語、 タ イ
語、 タ ガ ロ グ 語 と い っ た 東 南 ア ジ ア の 言 葉 が 飛
び 交 っ て い ま す。 こ れ ら 東 南 ア ジ ア の 国 々 か ら
JOINT[ジョイント]No.16
土等を入れた真っ黒なフレコンバッグ、という異
20
かな光景も島ならではのものといえるでしょう(関連した記事は本誌6ページをお読みください)。 写真撮影:高砂樹史
長崎県の小値賀島では、今も家畜を飼い漁に出る昔ながらの暮らしが営まれています。都会では見られないこんなのど
ご意見・ご感想、また本誌送付先の変更等があり
ましたら、トヨタ財団ウェブサイト、あるいは
同封のハガキにてご連絡いただけると幸いです。
内いただきました。途中の飯館村は原発から
8
18
[編集後記]
団 体 観 光 客 が き て い る の で す。 そ れ か ら、 富 士
─ 旅の途上で ─
On The Journey
FOR THE SAKE OF GREATER HUMAN HAPPINESS
26
27
14
24
LAST WORD
30
23
秋空を映す新宿三井ビル。37階にトヨタ財団
のオフィスがあります。
[I.I.]
本誌掲載の記事、写真、イラスト等の無断転載を禁じます。
JOINT No.16 公益財団法人 トヨタ財団 〒 163-0437 東京都新宿区西新宿 2-1-1 新宿三井ビル 37 階