vol.209 10kW超のPV搭載住宅 販売に黄信号

 vol.
9 26 10 2
2014 年 10 月3 日号
209
ハウジング・トリビューン【ウィークリー】
http://www.sohjusha.co.jp
今週のトピック解説
10kW超のPV搭載住宅 販売に黄信号
電力会社が相次いで再生可能エネルギーの新規受け入れを
カーも、発電効率に優れる
ストップしている。
モジュールを採用するとと
各社では再生可能エネルギーの導入がこのまま進むと、需
もに、屋根全体にソーラー
要を上回って発電してしまう可能性があり、電力の安定供給
パネルを設置できるように
に支障をきたす恐れがあるという。経済産業省の新エネル
し、30 坪程度の住宅でも
ギー小委員会で、北海道電力、東北電力、四国電力の 3 社は、
10kW 以上の太陽光発電の
10 月 1 日から新規契約をストップすると発表した。すでに
設置を可能にした商品を発
沖縄電力と九州電力は新規契約を中断している。
売、工務店などビルダーに
国は 2012 年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度を
向け販売を促進している。
スタートし、太陽光などの再生可能エネルギーによって発電
電力会社が再生可能エ
した電気を、電力会社に一定の期間・価格で買い取ることを
ネルギーの受け入れをス
義務付けている。この制度では、事業者が利益を出しやすい
トップしたことで、こうし
買取価格を設定しており、とくに太陽光発電は設定買取価格
た住宅や商品の販売が難し
が高いため、導入が急増している。経済産業省によると固定
くなる懸念が出てきた。
価格買取制度開始後に新たに運転を開始した再生可能エネル
家庭の電気料金負担も
現状の4倍以上に
ギー発電設備は、今年 6 月末時点で約 1109.3 万 kWh と制
度開始前と比べ約 5 割増えた。このうちの 9 割以上を太陽
導入が進む太陽光発電だが、固定価格
買取制度が見直されることになれば、
普及拡大にブレーキが掛かる可能性が
ある。
光発電が占めている。企業などによる 10kW 以上の大規模
さらに、固定価格買取制度については、家庭の電気料金の
な太陽光発電所(メガソーラー)が急増しているためだ。太
負担が増えることも問題になっている。同制度では再生可能
陽光発電は季節や時間帯、天候によって発電量が変動するた
エネルギーの買い取り費用を家庭などの電気代に上乗せして
め、送電網に大量に受け入れると送電設備の故障や停電を起
いる。つまり、再生可能エネルギーの導入が進むほど家庭の
こす恐れがある。そのため、電力会社は新規の受け入れを中
負担が重くなることになる。経済産業省の試算では、現在の
断したのだ。
再生可能エネルギーの認定量が全て運転を開始した場合、家
沖縄電力を除く 4 社は、一般家庭が余剰電力を売電する
庭への 1 カ月の負担は現在の 225 円から 935 円と、4 倍強
分については引き続き買い取るとしている。それであれば住
に増えるという。
宅への影響は少ないように思われるが、最近ではハウスメー
ここへ来て問題が噴出してきた再生可能エネルギーの固定
カーを中心に、10kW 以上の太陽光発電を搭載した住宅の
価格買取制度。経済産業省は専門のワーキンググループを設
販売が増えている。10kW 以上になれば 20 年間の全量買取
置し、再生可能エネルギーの電力系統への接続可能量の検証
の対象になり、余剰電力を売電するより居住者の経済的なメ
を行うなどし、対策を検討する。制度自体を抜本的に見直す
リットが高まるからだ。ハウスメーカーなどでは標準的な
可能性もある。
30 坪台の住宅でも 10kW 超の太陽光発電の搭載を可能にし
制度開始から 2 年、固定価格買取制度は早くも転機を迎
た住宅商品を開発、相次いで市場に投入している。設備メー
えている。
今週の主なニュース
9 26
10 2
・積水ハウス ロングセラーの高級住宅シリーズをリ
ニューアル さらなる〝邸宅感〟を訴求
・積水化学工業 「スマートハイム」シリーズのライナッ
プを強化 鉄骨系の V2H 対応住宅を発売
・ミサワホーム ZEH 基準に対応する企画型住宅を開
発 従来と同価格で太陽光発電も搭載
・YKK AP リフォーム玄関引戸を発売 カバー工法に
より 1 日でリフォーム可能
・TOTO トイレでの介助をサポートするスイングタイ
プの前方ボードを開発 便器への移乗がスムーズに
・ナスタ アマゾンなどと大型郵便に対応した戸建住宅
用ポストを開発 独自の盗難配慮機構を採用