MFX-25Seco使用後に血小板減 少がみられた1症例

MFX-25Seco使用後に血小板減
少がみられた1症例
医療法人 いきいき.クリニック
船越 裕行 別府 昌子 横木 広幸
目的
平成24年4月の診療報酬改定により、オンライ
ンHDFが保険適用となり当院でも平成24年7月
から血液透析濾過器を使用してのオンライン
HDFを開始した。
今回、APS-25SAからMFX-25Secoへ変更後、透
析後の血小板数減少がみられた1症例につい
て経験したので報告する。
症例
年齢・性別
透析歴
原疾患
透析条件
抗凝固剤
66歳男性
4年
慢性糸球体腎炎
透析時間 4時間
QB250ml/min TQD650ml/min
QS150ml/min
低分子ヘパリン(ローヘパ200)
初回 1400U 持続 700U/ml
経過
(万/μL)
40
35
透析前血小板数(万/μl)
APS-25SA(γ線滅菌)
MFX-25S
(γ線滅菌)
ABH-21P(γ線滅菌)
30
25
20
15
10
5
日機装社血液回路(高圧蒸気滅菌)・プライミング量(1500ml)に変更なし
0
透析前後での血小板数
電子顕微鏡写真 動脈側
MFX-25Seco
ABH-21P
電子顕微鏡写真 中央
MFX-25Seco
ABH-21P
血小板付着
電子顕微鏡写真 静脈側
MFX-25Seco
ABH-21P
赤血球
白血球
対照者電子顕微鏡写真
MFX-25Seco
動脈側
ABH-21P
対照者電子顕微鏡写真
MFX-25Seco
中央
ABH-21P
対照者電子顕微鏡写真
MFX-25Seco
静脈側
ABH-21P
結果
• QSを100,150,200ml/minに変化させた際の血
小板数は3者とも透析後に減少した。ABH-21P
では血小板減少はみられなかった。
• 血小板減少を生じた1名と対象の4名でMFXと
ABH使用時で膜表面への血小板吸着に差は
みられなかった。
考察
血小板減少の原因としてPS膜などの膜による影
響、PS膜に含まれる親水化剤(PVP)の影響、滅菌
方法などが考えられる。MFXとABHではドライタイプ
とウェットタイプの違いがあり、タイプによって滅菌
時のPVP架橋について違いがあるという報告もある。
また、各社でのPVP組成にも違いがある。
今回の原因が膜とPVPのどちらにあるかは不明
であるが、PES膜での血小板付着量が若干PS膜よ
り多かった為に透析後の血小板数が減少したと考
えられる。
課題
今回のような場合には血小板活性化マーカーで
あるPF4・β-TGの測定を1時間ごとにA・Vから採血し
行うことで、数値の上昇の有無を確認することが必
要であったと感じた。
また、月2回の定検の後採血においてもCBC検査
を行うことで、早い段階で生体適合性を評価するこ
とができると感じた。
結語
今回の症例では血小板減少の原因を特
定することができなかったが、今後も調査
を続けていき原因を追究していきたい。
中国腎不全研究会
COI開示
筆頭発表者名
船越 裕行
演題発表に関連し、
開示すべきCOI関係にある企業などはありません。