樹脂パーツの 過去・現在・未来

特集
樹脂パーツのこれからと作業上の注意点
樹脂パーツの
過去・現在・未来
樹脂外板採用車は
着実に増加傾向
自動車 1 台当たりに使用される樹脂
現行車種における樹脂外板採用車
メーカー名
車種名
型式
部位
素材名
トヨタ
カローラフィールダー /
カローラフィールダー HV
E16 ♯
バックドア
TSOP
T30
フロントフェンダー
PA + PPO
は重量比で約 10%、体積比で約 50%
エクストレイル
T32
バックドア
PP
以上といわれる。その使用部位はバン
スカイライン クロスオーバー J50
バックドア
PP
ステージア
バックドア
PP
フューエルフィラーリッド
PA + PPE
トランクリッド(コンバーチブル)
PA + PPE
ストレージリッド(コンバーチブル)
PA + PPE
Z50
バックドア
PP
Z51
バックドア
PP
B30
バックドア
PP
フードパネル
PP
パーやグリルなどの外装部品、ヘッド
ランプやアウターミラーケース、トリ
日産
ム、モールなどに限られ、フェンダー
M35
フェアレディ Z
Z33
ムラーノ
やバックドアなどの外板に使用してい
ラフェスタ
る車種はごく少数であった。しかし、
限られていた使用部位は変化を見せて
いる。
近年の代表的な車種として 2014 年
度上半期販売台数トップのダイハツ・
コペン
LA400
ダイハツ
タント(LA600・610)が挙げられる。
樹脂外板を多用した新型車の登場は業
界 に 大 き な 話 題 を 呼 ん だ。 続 い て
2014 年 6 月に発売された同・コペン
(LA400)、 同 年 11 月 発 売 の 同・ ウ ェ
イク(LA700・710)にも樹脂外板が
多く使われ、特にコペンは車体構造も
タント / タントカスタム
マツダ
プレマシー
LA600・610
CR
スバル
R1
RJ
三菱
デリカ D:5
CV5
フロントフェンダーパネル
PP
フューエルフィラーオープニングリッド
PP
ルーフパネル
UP
バックパネル
UP
ラゲージコンパートメントドアパネル
UP
クォーターパネル
PP
フードパネル
PP
フロントフェンダーパネル
PP
バックドア(アッパー)
PP
バックドア(ロア)
PP
リフトゲート(アウター側)
PC+ABS
バックドア(インナー)
PPE+PA
バックドア(アウター)
PP - GF40
フロントフェンダー
PA + PPE
※ TSOP:トヨタ・スーパー・オレフィン・ポリマー、PPO:ポリフェニレンオキシド、PPE:ポリフェニレンエーテル、GF:ガ
ラス繊維
さることながら、ドアパネル以外すべ
ての外板に樹脂を使用している極めて
珍しい車種である。
この傾向はダイハツ車だけではなく、
ダイハツ・コペン(LA400)には、ドアパネ
ル以外すべての外板に樹脂が使われている
フードパネル
ルーフパネル
バックパネル
ラゲージコンパート
メントドアパネル
フューエルフィラー
オープニングリッド
他にトヨタ・カローラフィールダー
リヤバンパー
(E16 ♯)および日産エクストレイル
(T32)の樹脂製バックドアなど各メ
クォーターパネル
ーカー、各部位に拡がりを見せており、
今後もバンパー以外の外板に樹脂を採
ロッカーパネル
用した車種は着実に増え続け、樹脂外
板採用車の修理需要の飛躍的な増加が
予想される。
26
フロントフェンダーパネル
フロントバンパー
ボデーショップレポート 2015 年 1 月号
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特集
樹脂パーツのこれからと作業上の注意点
PPパーツのスリ傷修理実例
ダイハツ・タント(LA600・610)の
密着力をより高めるには
PPプライマーを
薄く塗布する
PP 素材であるフードパネルを用意。色
はブラックマイカメタリック(X07)
。
フードパネルに素地が現れる程度のス
リ傷を付け、フェザーエッジ作りから上塗
り塗装前までの作業工程を紹介する。作
ミスタートンカチ
(奈良県奈良市)
業者は堀内勝夫塗装長。
➡
➡
01
右前方のプレスライン付近に
サ フ ォ ー ム で 3 × 10cm 程 度
のスリ傷を付けた
02
目詰まりが少ない P220 のペーパーを付けたダブルアクションサンダー
でフェザーエッジを作り、同時にベースコートを塗布する範囲まで周り
を研磨する
➡
04
バンパーパテを使用し、傷を埋め込むように
付ける。さらに密着力を高めるには、パテ付
け前に PP プライマーを塗布すると良い
03
シリコンオフで脱脂・清掃す
る
➡
05
40℃× 15 分で強制乾燥
させる。この時、温度管
理には充分に注意を払う
06
➡
ブロックに付けた P240 のペーパーで研いだ後、P400 とダブ
ルアクションサンダーで足付け研磨する。
➡
07
➡
P500 で手研ぎし、前工程のペーパー目を消して仕上げる
➡
08
インナーまでしっかりとマスキ
ングで養生する
➡
09
PP プライマーを薄く塗布する。厚塗りし
過ぎると PP 素材を侵して層間はく離など
のトラブルを起こしかねないため注意する
➡
10
30
プライマーサフェーサーを塗布し、60℃× 25 分で強制乾燥させる
➡
11
P400 を付けたダブルアクションサンダーで研磨し、際の部分は手研ぎ
する
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