SD(スタッフ・ディベロップメント)としてのライティング・サポート

今日のお話
SD(スタッフ・ディベロップメン
ト)
としてのライティング・サポート
赤井規晃 大阪大学
• 大阪大学附属図書館における学修支援の実践から導き出された課
題が何であったか、そしてそれをどう解決するかを考えてみたい
• そこで得られた知見を、本日のテーマである「研修・講習をどうつくる
か」という問題につなげる
• ただし内容は演者個人の見解であり、所属する組織の公の見解を
代弁するものではない
学修支援への取り組み
教職協働プログラムの意図
• 教職協働
• コンテクストを意識する
• 「レポートの書き方講座」
• 「論文の書き方・文献の読み方 プチ・ゼミナール」
• 「プレゼン入門 “話す”基本技術」
• TA活用
• パスファインダー
• ミニ講習
• 学術書の読書会イベント、トークイベント
• 従来型の科目指導・講習会
• 情報探索入門
• 情報活用基礎
• 論文検索講習会
• 図書館目線から学生目線・大学目線へ
• 具体的なプログラムの開発&実践(有限のリソースと所与の条件)
• 「協働」の模索(「協働」自体が目的ではなく手段)
• 図書館内部でのコンセンサスの醸成
• 個人的動機
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情報リテラシー教育は役に立っていない
OPAC、データベースの「使い方」は内向きの論理
「使い方」という語の意味に違和感
内外の反応
• 外部から
• 他機関からは悪くないレスポンス
• 様々な媒体で取り上げられる
• 内部から
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目覚ましい成功とはいえない
教員・学生からは否定的反応はなく、教員の協力者も現れた
教員作成のレポートの書き方ガイドブックに発展
アカデミック・ライティング授業のカリキュラム化へのきっかけ
図書館と全学教育担当教員との人脈形成
一方で、図書館内部では…
引き出された課題
• 外部からの批判
• ライティング支援は図書館の仕事ではない(素人にはできない)
• 内部的にはnegativeな評価
• 達成状況評価に言及なし
• 管理職の評価は表面的
• 評価ポイントが違っているようだ
• 組織としての継続性の困難さ
• 担当者が交代したことですべてが後退
• 個人の資質に問題もあろうが、コンセンサス成立の困難と同根?
• それでも、やはり「ライティング」なのか?
• 図書館のサービスの向かう先
• 求められるスタッフの資質
なぜライティングか?
アカデミック・スキルズの中核としてのライ
ティング・スキル
図書館利用教育の中核としての情報探索・
整理・表現法指導
• アカデミック・スキルズとは
• 『図書館利用教育ガイドライン 大学図書館版』
• 『大学基礎講座』
• 『知へのステップ』
• 『アカデミック・スキルズ(第2版)』
• どういうスキルか
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ノートテイク
リーディング
クリティカルシンキング
文献探索
情報整理
ライティング
プレゼン
• 領域3 情報探索法指導
• 領域4 情報整理法指導
• 領域5 情報表現法指導
• 大学図書館での利用指導の傾向
• 情報探索法が重要視される
• 情報表現法はあまり取り上げられない
相談とライティング支援の接点
相談とライティング支援の接点
• 卒論の5ステップ
• ニーズとレベルを踏まえた支援
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テーマ設定(問題発見)
文献探索(収集)
文献読解(評価)
問題解決(統合)
執筆(表現)
• 文献探索法の助言を求める学生いろいろ
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分野だけが決まっていて、知識も関心も乏しい人がいる
テーマは何?と聞くと、勉強したいことはスラスラ言える
研究とは問題を解決することだとわかってない人がいる
つきつめたい課題はもっているが、それが学問分野とちょっとズレているひ
とがいる
• 基礎知識を増やすための文献探索(マイルストーンを知る)
• 研究のオリジナリティを見付けるための文献探索(研究史、トレンドを知る)
• 課題解決法に役立てる文献探索(未知の分野へのアプローチ)
• 適切な援助をするには、研究をどうすすめたらいいのか、まで射程
に入ってこざるを得ない
Inductiveな学びの演出、協働というかたち
「大学」図書館職員に求められるもの
• 社会構成主義的な学習観
• 『審議のまとめ』に見る職員像
• ディシプリンをベースにInductiveな学びをInductiveに学ばせるには
• 経験から作られる(帰納的推論)
• とはいえディシプリンは基礎(知識のない思考はありえない)
• 多様な手法
• アクティブラーニング、PBL、CBLなど
• 様々な試行錯誤、万能薬はない
• 学び方の問題:教育工学の知見
• 学ぶ内容の問題:ベースとなる学術の知識
• 効果的な情報リテラシー教育は図書館の範囲内に収まらない(協働へ)
• スペシャリストであることの証左で信頼を得る
• 本質は何か
• Inductiveな学び
• ライティング支援の考え方の柱(どういう台本を書くか)
• 1階:図書館学
• 2階:大学に固有の「研究」「教育」「学習」への知見
• 「汎用的能力」を「汎用的方法」で指導しない工夫
• ニーズの類型化(主体・対象・目的)役者
• ディシプリンという土台(具体性)舞台
• Inductiveな知の構成法(学びのスタイル)演出
「大学」図書館職員としての専門性
教育工学
教育への関与に
おける専門性
専門分野
研究支援に
おける専門性
学習支援に
おける専門性
「大学」図書館職員のコンピテンシー、人材
育成の盲点
• コンピテンシー
• の定義:「仕事上の役割や機能をうまくこなすやめに個人に必要とされる、
測定可能な知識、技術、能力、行動」
• 目的は、個人の努力目標、採用の基準、育成の方針、専門性の提示
• ①「専門的コンピテンシー」と②「一般的コンピテンシー」
• 「行動も含めた総合的な能力の概念」
• 図書館専門職論の隘路
図書館学
「大学図書館の整備に
ついて(審議のまとめ)
-変革する大学にあっ
て求められる大学図書
館像-」における「大学
図書館職員に求められ
る資質・能力等」の相互
関係
情報
資源
サー
ビス
基礎
図書館職員
としての
専門性
図書館サービス展開の三位一体
スタッフ・ディベロップメントと大学図書館
• スタッフにも求められる資質・能力向上
専門分野の知識
教育プログラムのデザイン
教育者・研究者としての
実践トレーニング
学生に近い目線
教員
TA
• 特に、企画立案能力、対外折衝能力
• 効果の検証とクオリティの向上が課題
• 図書館ではLIPERの流れで意識化
• トライ・アンド・エラーを
• 誰が評価するか?
• 図書館スタッフの位置づけ(重なり合う分業)
図書
館員
図書館職員としての専門性
良いスパイラルを描く環境をどうつくるか
• プレイヤーの意識改革
• 目的意識、コンテクストを考える、イシューかタスクか;
• 誘発するリーダーシップ
• 管理職=マネージャーという意識からの脱却
• リーダーシップ「も」発揮
実効性を持たせるために
リーダー/マネージャー
リーダーシップとマネージメント
• 仕事の質が関係を決める
• 「能吏」ではなく「良吏」を
• 朱子『宋名臣言行録』のエピソード
• 「歐陽文忠公嘗語人曰治民如治病 彼富醫之至人家也 僕馬鮮明 進退
有禮 爲人診脈 按醫書述病證 口辯如傾 聽之可愛 然病兒服藥云無效
即不如貧醫無僕馬 擧止生疏 爲人診脈 不能應對 病兒服藥云已癒 則
是良醫 凡治人者不問吏材能否 設施如何 但民稱便 即是良吏」
• 真に求められているのは能吏か良吏か
• 能吏は官職の中でよい評価を貰う
• 良吏は施す相手から評価を貰う
リーダーは「俺に倣え」
Follow Me !
マネージャー「俺に従え」
After Me !
上司
アウトカム
フォロワー/サーバント
リーダー/マネージャー
私
イシュー
タスク
リーダーシップ
マネジメント
アウトカム
フォロワー/サーバント
部下
イシュー
タスク
リーダーシップ
マネジメント
橙の系列
リーダーシップに基づく関係
茶の系列
マネジメントに基づく関係
まとめ
• 現象ではなく本質を
• 「仕事」とは
• Inductiveに考える
ご清聴ありがとうございました