バックアップとリカバリ ベストプラクティスガイド

Best Practice
Guide
バックアップとリカバリ
ベストプラクティスガイド
第 1 版 2014 年 4 月 10 日
目次
はじめに ....................................................................................................................................... 2
対象となる読者 ............................................................................................................................ 3
ベストプラクティス一覧 .............................................................................................................. 4
Tintri VMstore のスナップショットと レプリケーション ......................................................... 5
イメージレベル バックアップ ................................................................................................... 10
VADP トランスポート ............................................................................................................ 13
HotAdd トランスポート ..................................................................................................... 13
SAN トランスポート........................................................................................................... 18
バックアップの一貫性 ............................................................................................................ 19
クラッシュ コンシステント バックアップ ....................................................................... 19
VM コンシステント バックアップ ..................................................................................... 20
アプリケーション コンシステント バックアップ ............................................................ 21
ゲストレベル バックアップ ...................................................................................................... 22
データ リカバリ......................................................................................................................... 24
まとめ ......................................................................................................................................... 26
バックアップとリカバリ ベストプラクティスガイド | p.
1
はじめに
Tintri の VMstore™システムは仮想環境に合わせてゼロから構築されています。従
来型ストレージ アレイを含む VMware データストアの LUN をサイジングし、スト
レージ アレイ LUN をパーティショニングする一般的な方法は、Tintri VMstore に
は存在しません。ただし、仮想環境用のストレージを展開する作業は、Tintri VMstore
を使用することでかつてないほどシンプルになります。
Tintri VMstore はパフォーマンスと VM 密度を著しく高めることができ、VMware
vSphere および vCenter™とシームレスに統合された強力な機能を幅広く備えてい
ます。これらの機能にはスナップショット、クローン作成、ボトルネックの瞬時の
ビジュアル表示、仮想ディスクの自動調整などがあります。Tintri VMstore は個々
の仮想マシン(VM)の動きをストレージ側が認識する独自の機能を持っており、ホ
ストからストレージのフラッシュ(SSD)およびディスク(HDD)ドライブまでの
データフローを VM 毎に把握することで、その管理性を拡張・簡素化します。ただ
し、データセンター管理者の役割は、仮想環境内に仮想デスクトップや Microsoft
Exchange のデータベース可用性グループ(DAG)サーバーを展開するだけではあ
りません。仮想インフラストラクチャを保護するためのバックアップおよびリカバ
リ ソリューションが実装されていない場合は、災害発生時にビジネス継続性も影
響を受けることがあります。
本ガイドにて紹介する VMware の VM バックアップは次のタイプに分類されます。

Tintri の持つ機能である SnapVM™と ReplicateVM™でのデータ保護
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2

一般的なサードパーティ製バックアップソフトウェアによるイメージレベ
ル/ゲストレベルのバックアップ
VMware の VADP は vSphere™ v4.0 で導入されたフレームワークです。これによ
り、VM のオフホスト バックアップをバックアップ製品から実行できるようになり
ました。イメージレベル バックアップでは、バックアップ処理を vSphere ホスト
の外部で実行するために VADP を利用しています。
対象となる読者
この『Tintri バックアップとリカバリ ベストプラクティス』ガイドは、Tintri VMstore
システムに導入された仮想マシンの設計、展開、および DR を行う担当者をサポー
トします。VMware vSphere を使用する仮想環境では、主要バックアップ ソフト
ウェア アプリケーションとともにバックアップおよびリカバリ ソリューション
が幅広く使用されています。このドキュメントは、これらのソリューションに精通
する必要のある担当者を対象としています。
このドキュメントには、VMware vStorage API for Data Protection(VADP)のバッ
クアップとリカバリ、さまざまなバックアップ ソリューションの利点と欠点、さ
らにこれらのバックアップ方式がバックアップとリストアの両方のワークフロー
に与える影響が記載されています。バックアップ アプリケーション ソフトウェア
プロバイダごとに、仮想マシン(VM)をバックアップおよびリカバリするための追
加機能が用意されていますが、このドキュメントは一般的なガイドであるため、こ
のようなバックアップ アプリケーションの詳細については扱っていません。
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3
ベストプラクティス一覧
以下の表に、本ガイドにて推奨しているベストプラクティスをまとめています。表をクリック
すると各コンテンツにジャンプし、詳細を確認することができます。もしくは各セクションの
「手順:」にて記載されている内容をご確認ください。
コンテンツ
ベストプラクティス
Tintri VMstore のスナップショ
SnapVM および ReplicateVM(Tintri の保護機能)を使用して、Tintri VMstore 間で
ットとレプリケーション
VM が保護されていることを確認します。
Tintri VMstore のスナップショ
VM レベルの静止点が必要な VM に対しては、VM-CONSISTENT ポリシーを使用し
ットとレプリケーション
て、スナップショットの作成前に VM を適切に静止させます。VM に最新の VMware
VMTools がインストールされている必要があります。
Tintri VMstore のスナップショ
システムデフォルトのスケジュールにおいて、VM-consistent ポリシーを設定しない
ットとレプリケーション
でください。VM-consistent スナップショットは、vSphere ホスト側での作業が発生
するため、仮想化環境全体に負荷がかかることがあります。
イメージレベル バックアップ
バックアップ アプリケーションで増分および合成バックアップ機能がサポートさ
れている場合は、これらのバックアップ機能を使用することができます。
HotAdd トランスポート
ラージブロックの処理能力を備えたボリューム上にバックアップ プロキシ ホスト
を展開して、大きなサイズの仮想ディスクのバックアップを可能にします。
HotAdd トランスポート
バックアップ アプリケーション管理者のガイドを参照して、任意のトランスポート
モードを使用して独立ディスクをバックアップする手順を確認します。
NBD/NBDSSL トランスポート
バックアップ アプリケーション管理者ガイドを参照して、NBD/NBDSSL トランス
ポートについてご確認ください。
バックアップの一貫性
ゲスト VM に必要なツールをインストールするためにバックアップ アプリケーショ
ン ベンダーが提唱しているベスト プラクティスに従います。
アプリケーション コンシステ
ゲスト VM に必要なツールをインストールするためにバックアップ アプリケーショ
ント バックアップ
ン ベンダーが提唱しているベスト プラクティスに従って、アプリケーション コン
システントなバックアップ用スナップショットを作成します。
データ リカバリ
シンプロビジョニングされたディスクのリストアには、NBD/NBDSS トランスポー
トの使用を推奨します。
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Tintri VMstore のスナップショットと
レプリケーション
Tintri VMstore は VM 単位の機能を持つ単一の VMware データストアとして提供さ
れます。Tintri VMstore のスナップショットおよびクローニング機能は仮想マシン
に直接作用します。Tintri VMstore を使用すると、個々の仮想マシンを保護する際
に、Tintri VMStore ユーザー インターフェース(UI)または Tintri の vSphere Web
クライアント プラグインから構成可能な Tintri の SnapVM および Tintri の
ReplicateVM を使用することができます。セカンダリ Tintri VMstore に Tintri の
SnapVM および ReplicateVM を組み合わせて使うと、Tintri VMstore で使用可能な
データ保護およびリカバリ ソリューションになります。VM を保護するには、Tintri
VMstore UI の
[ Virtual Machines(仮想マシン)] タブから保護対象の VM を選択
します。さらに、右クリックして
[ Protect(保護)] を選択します。
図 1–1: Tintri VMstore の保護機能
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[ Protect(保護)] ポップアップ ウィンドウには、スナップショット スケジュー
ルで保護されている VM の名前または VM 数が表示されます。この例では、同じク
ローンから作成された 2 つの VM があり、同じ保護構成を使用するように選択され
ています。デフォルトのスナップショット スケジュールは、毎日午前 2:30 にスナ
ップショットを作成し、ローカルおよびリモートに 7 日間保持されるように設定さ
れています。通常、ほとんどのデータ保護要件はシステムのデフォルト設定で十分
対応できます。ただし、特定の仮想マシンにデータ保護要件が追加されている場合
は、 [ more >> ]
を展開して別のスナップショット スケジュールを表示し、Tintri
VMstore で仮想マシンを保護できるよう SnapVM および ReplicateVM を調整して
ください。
図 1–2: 2 つの VM の保護
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Tintri VMstore 内のそれぞれの仮想マシンは、Tintri の VM 保護機能を使用してデー
タを保護するよう個別に構成できます。さらに、 [ Protect(保護)] ウィンドウで
ローカルおよびリモートの保持期間を個別に構成することもできます。例では、ロ
ーカル スナップショットの保持期間は 2 日ですが、リモート Tintri VMstore では
リモート スナップショットの保持期間が 3 日に設定されています。こうすること
で、レプリカ作成先の VMstore に異なる保持期間を設定し、1 つ以上の VM を保護
できるようになります。
手順:SnapVM および ReplicateVM(Tintri の保護機能)を使用して、Tintri VMstore
間で VM が保護されていることを確認します。
手順:VM レベルの静止点が必要な VM に対しては、VM-CONSISTENT ポリシー
を使用して、スナップショットの作成前に VM を適切に静止させます。VM に最新
の VMware VMTools がインストールされている必要があります。
手順:システムデフォルトのスケジュールにおいて、VM-consistent ポリシーを設
定しないでください。VM-consistent スナップショットは、vSphere ホスト側での
作業が発生するため、仮想化環境全体に負荷がかかることがあります。
Tintri VMstore でサポートされている Tintri の保護構成は、次のとおりです。
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図 1-3: 2 台の Tintri VMstore でサポートされる Tintri VM 保護構成
2 台の Tintri VMstore を使用すると、Tintri VMstore A のソース VM を SnapVM で
保護し、ReplicateVM で Tintri VMstore B にレプリケートすることができます。ま
た、Tintri VMStore B のソース VM を Tintri VMstore A にレプリケートすることも
できます。
図 1-4: Tintri VMstore でサポートされる many-to-one 保護構成
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Tintri は VM レベルでの many-to-one レプリケーションに対応しています。VMstore
A と VMstore B は VMstore C にレプリケーションされます。さらに、VMstore C を
Vmsore B にレプリケーションすることができます。複数の Tintri VMstore に分散
して VM を保護することになります。
図 1-5: 3 台の Tintri VMstore でサポートされる保護構成
Tintri VMstore の重複排除および圧縮機能を使用すると、変更されたブロックのみ
がセカンダリ Tintri VMstore にレプリケートされます。つまり、Tintri ReplicateVM
を使用した場合、ローカル ネットワークおよび WAN を介したデータ転送が効率
化されます。Tintri VMstore SnapVM、CloneVM™、および ReplicateVM テクノロ
ジの詳細については、『Managing VM Data with Tintri』テクニカル ホワイト ペー
パー(http://go.tintri.com/managing-vm-data-with-tintri/)を確認してください。
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注:カスケード レプリケーションはサポートされていません。たとえば、VMStore
B にレプリケートされた(VM1、VMStore A)を VMstore B のレプリケーション ソ
ースとして使用して、VMstore C にレプリケートすることはできません。この構成
はサポート対象外です。
イメージレベル バックアップ
イメージレベル バックアップ タイプの場合、バックアップ アプリケーションは
VMware の VADP フレームワークを利用して VM をバックアップすることができ
ます。VM にバックアップ エージェントをインストールする必要はありません。バ
ックアップ オフロード機能を実行するには、VMware バックアップ プロキシ ホ
ストが必要です。VMware バックアップ プロキシ ホストには、バックアップ エー
ジェントがインストールされた VM、または仮想バックアップ アプライアンスや物
理バックアップ プロキシ ホストを使用できます。ほとんどのバックアップ アプ
リケーションでは、物理バックアップ プロキシ ホストがバックアップ サーバー
になります。
注:このドキュメントでは、CommVault Simpana Media Agent、Veeam Backup
Server、EMC NetWorker Storage Node、または Symantec NetBackup Media Server
を総称して、バックアップ サーバーと記述しています。
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図 2-1: イメージレベル バックアップ
イメージレベル バックアップでは Changed Block Tracking(CBT)機能を利用し
て増分バックアップを行うこともできます。ディスク ブロックの変更は仮想レイ
ヤで追跡されます。CBT が有効な場合、VMkernel は前回のバックアップ スナップ
ショットが作成された後に変更されたデータ ブロックのみを返すため、バックア
ップされるデータ量が小さくなります。
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CBT に関する注意事項:
vSphere 5.x では、Storage vMotion を使用すると CBT がリセットされます。
一般に、ファイルベースのリストアは変更の追跡に影響するので、VM のリストア
にも影響します。VMware は、スナップショットを最初に作成する前に CBT を有
効にすることを推奨しています。これは、シックプロビジョニングされた(Lazy
Zeroed)ディスクをバックアップするときに、CBT が無効であると、Lazy Zeroed
セクタが実際にゼロに変換されるためです。データ リカバリ処理中に、シックプ
ロビジョニング済みの完全な Eager Zeroed ディスクがリストアされます。
バックアップ アプリケーションによっては、CBT および増分バックアップを利用
することもできます。合成バックアップ機能を使用すると、これらのバックアップ
アプリケーションで増分バックアップによるリストアのイメージ全体を作成でき
ます。この機能を備えたバックアップ アプリケーションの中には、VMware バック
アップによる「インクリメンタル フォーエバー」をサポートできるものがありま
す。一部のバックアップ アプリケーションでは、VMware によるインクリメンタル
フォーエバー バックアップをサポートしていません。各バックアップ アプリケー
ション プロバイダの管理ガイドを参照して、インクリメンタル フォーエバー バ
ックアップで使用されるサポートおよび用語をご確認ください。
手順:バックアップ アプリケーションで増分および合成バックアップ機能がサポ
ートされている場合は、これらのバックアップ機能を使用することができます。
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VADP トランスポート
VADP では、ESX/ESXi ホストからバックアップ プロセスをオフロードする処理を
VM 単位で実行できます。どのエンタープライズ バックアップ アプリケーション
でも、VADP を使用して VM 単位のバックアップを行うアクセス方式を複数サポー
トしています。バックアップ アプリケーションから vCenter Server への接続には、
次に示すトランスポート方式の 1 つが使用されます。

HotAdd トランスポート

NBD/NBDSSL トランスポート

SAN トランスポート
HotAdd トランスポート
HotAdd トランスポート モードの場合、バックアップ エージェントがインストー
ルされたバックアップ プロキシ ホストは仮想マシンとして展開されます。
VMware VDPA などの仮想バックアップ アプライアンスを使用すると、HotAdd ト
ランスポートで Tintri VMstore をバックアップすることもできます。ただし、HotAdd
トランスポートでは独立ディスクをバックアップできません。
HotAdd トランスポート モードは、仮想環境内の仮想マシンの移動を簡単に行うこ
とができます。ESX/ESXi サーバーの SCSI HotAdd 機能を使用すると、
(リンク ク
ローンとして接続された)VM の VMDK を接続し、仮想バックアップ プロキシ ホ
ストにバックアップすることができます。バックアップ プロキシ ホストには、バ
ックアップ中の VM のデータストアにアクセスする機能が必要です。また、バック
アップ プロキシ ホストとバックアップ中の VM は同じデータセンター内に存在す
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る必要があります。HotAdd によるバックアップに失敗すると、適切にクリーンア
ップされなかった REDO ログが残ることがあります。このような場合、次にバッ
クアップを行うには、バックアップ プロキシ ホストに接続されている仮想ディス
クを手作業で取り外す必要があります。
図 2-2: HotAdd トランスポート
手順:ラージブロックの処理能力を備えたボリューム上にバックアップ プロキシ
ホストを展開して、大きなサイズの仮想ディスクのバックアップを可能にします。
手順:バックアップ アプリケーション管理者のガイドを参照して、任意のトラン
スポート モードを使用して独立ディスクをバックアップする手順を確認します。
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重要な注意事項:バックアップ プロキシ ホストの VM には、最大 4 つの SCSI コ
ントローラを追加できます。SCSI コントローラが 1 つの場合、バックアップ プロ
キシ ホストの VM には最大 15 台のディスクを接続できます。バックアップ アプ
リケーション管理者のガイドを参照して、サポート対象の仮想バックアップ アプ
リケーションに関する追加情報をご確認ください。
VADP とバックアップ アプリケーションを併用できる場合は、Tintri VMstore で
HotAdd を使用することを推奨します。NetBackup などの一部のバックアップ アプ
リケーションでは、物理バックアップ サーバーに接続されたバックエンド セカン
ダリ ストレージにバックアップ データを送信できます。また、VMware VDPA で
は Tintri VMstore にバックエンド セカンダリ ストレージを展開することもできま
す。このようにすると、バックアップ効率が原則的に最大化されます。この場合、
バックアップ I/O はストレージ ネットワークを介して接続された vSphere ホスト
と Tintri VMStore の間のみを移動します。Change Block Tracking(CBT)が有効な
場合は、I/O の量も最小になります。
注:スナップショットを削除するとき、仮想マシンが長い間停止することがあるこ
とに留意してください。バックアップは、VM が最もアクティブでない時間帯にバ
ックアップ ウィンドウ内でスケジュールすることを推奨します。追加情報につい
ては、次の VMware KB を参照してください。
http://kb.vmware.com/selfservice/microsites/search.do?language=en_US&cmd=dis
playKC&externalId=1002836
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NBD/NBDSSL トランスポート
ESX/ESXi ホストで Network Block Device(NBD)または Network Block Device
Secure Socket Layer(NBDSSL)トランスポートを使用すると、プライマリ スト
レージから VM データを読み取り、ネットワークを介してバックアップ プロキシ
ホストに送ることができます。バックアップ サーバー(CommVault Simpana Media
Agent、Veeam Backup Server、または NetBackup Media Server)で NBD/NBDSSL
トランスポートを使用すると、バックアップ サーバーは VMware バックアップ プ
ロキシ ホストの役割を果たすこともできるようになります。ストレージはブロッ
ク デバイスとして処理され、バックアップ時間は大規模仮想ディスクのバックア
ップに費やされるようになります。ESX/ESXi ホストからバックアップ プロキシ
ホストにネットワーク経由でアクセスする必要がある場合は、データがネットワー
ク経由でバックアップされるため、追加のネットワーク トラフィックが発生しま
す。データ暗号化が必要な場合は、NBDSSL トランスポートを使用して配線のセキ
ュリティを高めることができます。NBDSSL では暗号化に関連するリソース要件が
追加されている分、
NBD トランスポートと比べてパフォーマンスが低くなります。
NBD/NBDSSL と VMware を組み合わせた場合は、Network File Copy(NFC)プロ
トコルを利用して VMDK を読み取ることができます。
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図 2-3: NBD/NBDSSL トランスポート
バックアップ アプリケーションを実行した場合でも、VMware NFC 接続の最大数
を超えないようにすることが重要です。NBD/NBDSSL に関する NFS 接続の最大数
を超えると、バックアップの停止やバックアップ障害が発生することがあります。
手順:バックアップ アプリケーション管理者ガイドを参照して、NBD/NBDSSL ト
ランスポートについてご確認ください。
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SAN トランスポート
物理バックアップ プロキシ ホストは、SAN を介してアレイベースの LUN スト
レージに接続されています。このため、バックアップ データを転送する際に
vSphere ホスト(ESX/ESXi ホスト)がバイパスされます。VADP を使用すると、
バックアップ プロキシ ホストが vCenter Server からデータストアのレイアウト
を取得し、その後 SAN ストレージ アレイから直接 VM データを読み取ります。サ
ポート対象の Windows 2008 および Windows 2012 バックアップ プロキシが配置
されている場合、VMware では SAN ポリシーを「onlineAll」に設定することを推奨
しています。
図 2-4: サポートされていない SAN トランスポート構成
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重要な注意事項:アレイベースのデータストア LUN ストレージを使用している場
合は、バックアップ プロキシ ホストで検出された VMware データストア LUN を
初期化しないでください。アレイベース データストア LUN で Windows 初期化を
行うと、VMware データが破壊されます。Tintri VMstore システムでは、SAN トラ
ンスポート モードはサポートされていません。
バックアップの一貫性
イメージレベル バックアップ ソリューションでは、バックアップの一貫性を保つ
ことが不可欠です。どの ESX/ESXi データストアにも当てはまるバックアップの一
貫性のタイプが 3 つあります。

クラッシュ コンシステント バックアップ

VM コンシステント バックアップ

アプリケーション コンシステント バックアップ
クラッシュ コンシステント バックアップ
クラッシュ コンシステント バックアップを VM に行っても、メモリの内容は取り
込まれず、保留中のアプリケーション I/O の処理も行われません。Windows/Linux
VM 上にあるファイル システム、アプリケーション、またはデータベースを保護す
る必要がある場合、クラッシュ コンシステント バックアップでは十分に対応でき
ません。ディザスタ リカバリでクラッシュ コンシステント状態の Windows/Linux
VM をリストアする操作は、システムをシステム リカバリ状態に戻す操作と似てい
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ます。たとえば、Linux VM でファイル システム(FS)の一貫性を確認するには、
「fsck」を実行する必要があります。
Windows または Linux VM のホスト アプリケーションやデータベースに対しては、
追加手順が必要になります。例を挙げると、Microsoft Exchange DAG サーバーを
リストアするには、DAG サーバーとミラーリング監視サーバーの両方を操作可能
なオンライン状態にする必要があります。また、Exchange データベースが取り付
けられていて、正常であることも確認する必要があります。Exchange データベー
スが正常に取り付けられていない場合は、さらにトラブルシューティングを行って
稼働状態にする必要があります。クラッシュ コンシステント バックアップしか使
用できない場合は、Exchange リカバリ プロセスに時間がかかり、リソース消費量
が増える可能性があります。最悪の場合は、データベースが破損して終了すること
があります。ファイル システムとアプリケーションを保護して、ビジネス継続性
を維持する必要がある場合は、クラッシュ コンシステント バックアップは利用し
ないことを推奨します。
VM コンシステント バックアップ
ファイル システム(FS)コンシステント バックアップでは、バックアップ用のス
ナップショットを作成する前に、VM の FS を休止させます。バックアップ アプリ
ケーション プロバイダによっては、Linux VM に独自の VM ツールをインストール
するよう推奨されることがあります。たとえば、Symantec NetBackup では Linux
VM に SYMCquiesce ユーティリティをインストールして、FS コンシステント バ
ックアップを実現するよう推奨しています。通常は、VMware Tools がインストー
ルされた Windows VM があれば、バックアップするときに Windows VM を FS コ
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ンシステントにすることができます。ただし、これだけではソフトウェア アプリ
ケーションの一貫性を保つことはできません。VMware エンタープライズ データ
センターでソフトウェア アプリケーションも保護する必要がある場合は、ファイ
ルレベルのバックアップ、つまりファイル
システム コンシステント バックアッ
プでは十分に対応できません。
手順:ゲスト VM に必要なツールをインストールするためにバックアップ アプリ
ケーション ベンダーが提唱しているベスト プラクティスに従います。
アプリケーション コンシステント バックアップ
アプリケーション(トランザクション)コンシステント バックアップを実行する
と、VM のソフトウェア アプリケーションを確実に休止させて、未処理の I/O をス
トレージにフラッシュしてから、バックアップのスナップショットを作成すること
ができます。バックアップ アプリケーション プロバイダによっては、VM にエー
ジェントやユーティリティをインストールしないと、アプリケーション コンシス
テ ン ト バックアップを実現できないことがあります。たとえば、 Symantec
NetBackup や EMC NetWorker などのバックアップ アプリケーションでアプリケ
ーションの一貫性を確保するには、VM にエージェントをインストールする必要が
あります。もう 1 つ、Veeam Backup Server の例を挙げます。このアプリケーショ
ンを使用する場合、VM に永続的なエージェントをインストールする必要はありま
せんが、Microsoft VSS でアプリケーション/トランザクション コンシステント ス
ナップショットを作成するように設定するには、独自の Application-Aware Image
Processing(AAIP)を使用する必要があります。VM に VMware Tools がインスト
ールされている場合は、バックアップ用に選択された VADP トランスポート モー
バックアップとリカバリ ベストプラクティスガイド | p.
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ドに関係なく、バックアップ アプリケーションでアプリケーション コンシステン
トな休止処理を行うことができます。
手順:ゲスト VM に必要なツールをインストールするためにバックアップ アプリ
ケーション ベンダーが提唱しているベスト プラクティスに従って、アプリケーシ
ョン コンシステントなバックアップ用スナップショットを作成します。
重要な注意事項:シン プロビジョニングされたディスクをバックアップすると、
バックアップ アプリケーション プロバイダを問わず、サイズが CBT を有効にし
た場合の予測値を超えることがあります。これは、以前に割り当て解除された領域
に対してランダム I/O が実行されるためです。ディスクの最適化を実行すると、シ
ンプロビジョニングされた VM のバックアップ サイズを小さくしてから、バック
アップ処理を行うことができます。
ゲストレベル バックアップ
ゲストレベル バックアップを実行するには、バックアップ アプリケーション プ
ロバイダのバックアップ エージェントを VM 内にインストールして、従来型バッ
クアップを実行する必要があります。これは、物理サーバーのバックアップを実行
する場合と似ています。ゲストレベル バックアップには、物理サーバーを保護す
るために使用されていたのと同じ、使い慣れた同じ方法が採用されていて、これら
の VM 内の仮想化サーバーおよびアプリケーションを保護することができます。た
とえば、バックアップ アプリケーションの Microsoft Exchange バックアップ エ
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ージェントを使用すると、Microsoft Exchange サーバーのインストールされた
Windows VM をバックアップして保護することができます。
このバックアップ方法のメリットは、ほとんどのエンタープライズ バックアップ
アプリケーション プロバイダがクライアントダイレクト バックアップも提供し
ているということです(EMC NetWorker 8.x および Symantec NetBackup 7.x な
ど)。つまり、Exchange 管理者、SQL Server 管理者、または Oracle DB 管理者は
バックアップおよびリストア処理全体を制御することで、自分のバックアップを管
理することができます。クライアントダイレクトは、多数の企業顧客にパフォーマ
ンス強化とネットワーク トラフィックの削減をもたらす、魅力的なソリューショ
ンです。
図 3-1: ゲストレベル バックアップ
バックアップとリカバリ ベストプラクティスガイド | p.
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データ リカバリ
バックアップはデータ保護戦略の一面を表しているに過ぎません。バックアップ
ソリューションの重要な要素に、バックアップからのデータ リカバリがあります。
バックアップ ソリューションが便利であるのと同じように、以前に作成されたバ
ックアップからデータをリカバリする機能も便利です。
バックアップされたデータは、リカバリしてリストアできないと意味がありません。
イメージレベル バックアップでは、ほとんどのエンタープライズ バックアップ
ソリューションが次のタイプのリストアを実行できます。

仮想マシン全体のリカバリ

VMDK および構成ファイルのリカバリ

個々のファイルおよびディレクトリのリストア

インスタント リカバリの実行
仮想マシンのリカバリでは、仮想マシン全体を元の場所、または別の ESX/ESXi サ
ーバーなどの別の場所にリストアします。リストア場所は、バックアップ ソフト
ウェア内のリストア処理パラメータ内で定義されています。VMDK および構成ファ
イルをリカバリした場合は、リストアされた VMDK ファイルを使用して新しい仮
想マシンを作成することができます。
イメージ バックアップから個々のファイルおよびディレクトリをリストアできる
機能は便利です。1 つのファイルまたはディレクトリをリカバリするためだけに、
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VM 全体をリストアする必要はありません。各バックアップ アプリケーションに
は、イメージ バックアップからファイルおよびディレクトリを個別にリカバリす
るための独自メカニズムが備わっています。たとえば、Veeam には個々のファイル
やディレクトリをリストアするための段階的リカバリ機能があります。別の例とし
て、Symantec NetBackup のアプリケーション対応バックアップのサポート機能が
あります。この機能を使用すると、VMware VM で Exchange サーバーが実行され
ている場合、個々のメールボックスを段階的にリカバリできます。
仮想マシンのインスタント リカバリ機能を使用すると、バックアップ内の VM を
ほぼ瞬時に使用可能な状態にすることができます。たとえば、 CommVault の
Simpana ソフトウェア スイート、Veeam Backup Server、Symantec NetBackup お
よび EMC Avamar などのバックアップ アプリケーションでこの機能がサポートさ
れています。インスタント リカバリ機能またはインスタント VM リカバリ機能を
使用すると、管理者は VM 全体をリストアしなくても、バックアップからファイル
をコピーすることができます。Veeam などのバックアップ アプリケーションもイ
ンスタント リカバリを利用して VM に瞬時にアクセスできます。この機能によっ
て、パッチのテストや Microsoft Exchange などのアプリケーションの検証を行う
ことができます。
すべてのエンタープライズ バックアップ ソリューションは、VADP と複数のトラ
ンスポート モードを組み合わせて、VMware VM のバックアップとリストアをサポ
ートしています。SAN トランスポートは、シック プロビジョニングされたディス
クをバックアップできる効率的なトランスポートです。ただし、ディスク マネー
ジャの API、AllocateBlock、および ClearLazyZero 内を往復する必要があるため、
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シンプロビジョニングされたディスクをリストアする場合は NBD/NBDSSL よりも
速度が低下します。
手順:シンプロビジョニングされたディスクのリストアには、NBD/NBDSS トラン
スポートの使用を推奨します。
まとめ
すべてのエンタープライズ バックアップ アプリケーションは、vSphere Data
Protection API(VADP)を使用した VMware 環境のバックアップをサポートしてい
ます。また、大規模な VMware 環境をバックアップまたはリストアするための革新
的な追加機能も、バックアップ アプリケーション ベンダー側で用意されています。
Veeam、Symantec、CommVault などの多くのバックアップ アプリケーション プ
ロバイダは、vSphere Client プラグインを提供することで、最新の仮想データセン
ターでバックアップおよびリストアの統合管理機能を実現しています。
VMware VADP をサポートするバックアップ アプリケーションは多数あります。
このドキュメントに記載されていないバックアップ アプリケーション プロバイ
ダもあります。Tintri VMstore システムで実行されている VM のデータ保護やディ
ザスタ リカバリを行う場合は、HotAdd、NBD、または NBDSSL トランスポート
モードで VMware VADP をサポートするバックアップ アプリケーションを使用す
ることを推奨します。次のリンクには、VMware VADP をサポートするバックアッ
プ アプリケーションのリストが示されています。
バックアップとリカバリ ベストプラクティスガイド | p.
26
http://kb.vmware.com/selfservice/microsites/search.do?language=en_US&cmd=dis
playKC&externalId=1021175。これは包括的なリストではありません。VMware
VADP 統合の詳細については、バックアップ アプリケーション プロバイダにお問
い合わせください。
バックアップとリカバリ ベストプラクティスガイド | p.
27
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