5.2.1 共通事項 - 構造設計システムBRAIN

5.2 大梁の断面設計
5.2.1 共通事項
5.2 大梁の断面設計
5.2.1 共通事項
INDEX: 設計位置・設計用応力・設計結果保存位置・配筋結果保存位置・主筋重心位置
RC部材の主筋配置・SRC部材の主筋配置・斜め入力に対する大梁の検討方法
設計位置と設計応力・たわみ検討
(1)設計位置
大梁の設計位置は左端(L)
、左 1/4 点(QL)
、中央点(C)
、右 1/4 点(QR)
、右端(R)の 5 点と、ブ
レースの取り付く位置(V:最大 4 箇所)
、および構造種別により次の箇所を加える。ここで、左端、右
端はフェイス位置であり、1/4 点、および中央点はフェイス間寸法から測った位置とする。なお、設計フ
ェイス位置を直接指定した場合、1/4 点、および中央点は指定した設計フェイス位置間寸法から測った位
置となる。また、危険位置(X)はフェイス位置より内側にある剛域端部または危険断面位置である。跳
出し大梁の場合、跳ね出し部に荷重部材でない壁、ブレースは配置できないため、壁による危険位置、
ブレース取り付き位置は設計位置とならない。
1)RC 大梁
ハンチ端部(HL・HR)
、危険位置(XL・XR)の最大 4 点。
(合計最大 13 点)
ただし、左1/4点、右1/4点においては上端筋、下端筋本数はそれぞれ端部と中央の多い本数(※)での検
定比が出力される。跳出し大梁の場合、ハンチ端部は根元側のみとなる。
L
HL
QL
XL
C
QR
HR
R
図-5.2.1.1 RC大梁の設計位置
(※)RC規準99年度版に従って必要トップ筋長さの算定においては、5.5.2RC大梁 (5)付着の
検討RC規準99年度版 5)必要付着長さL2 に記載があるように、1/4Lo点での応力と中央点で
の許容応力を比較して、1/4Loから中央の配筋で負担できない分を割増し(延長)する仕様とし
ている。よって、RC規準99年度版の必要トップ筋長さを満足する長さを確保していれば、主筋
本数を多い方で算定しても問題ないと考えている。ユーザーはこの必要トップ筋長さを満足す
る必要があるので、注意が必要である。
B-5.2.1-1
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2)SRC大梁
ハンチ端部(HL・HR)
、鉄骨継手位置(JL・JR)
、危険位置(XL・XR)の最大 6 点(合計最大 15 点)
。
ただし、左 1/4 点、右 1/4 点においては上端筋、下端筋本数はそれぞれ端部と中央の多い本数での検定比
が出力される。また、鉄骨継手位置においては端部と中央の両方の断面で検定を行い、大きい方の検定
比が出力される。跳出し大梁の場合、ハンチ端部および鉄骨継手位置は根元側のみとなる。
L
HL JL QL XL
C
QR JL HR
R
図-5.2.1.2 SRC大梁の設計位置
3)S 大梁
鉄骨継手位置(JL・JR)の最大 2 点および「横補剛に有効と指定した小梁位置」(単なる横補剛位置は
設計位置にはならない) (b)と直交大梁の取り付く統合大梁中間節点(b)
。
ただし、鉄骨継手位置においては端部と中央の両方の断面で検定を行い、大きい方の検定比が出力され
る。跳出し大梁の場合、鉄骨継手位置は根元側のみとなる。
L
JL
b
C
b
JR
R
図-5.2.1.3 S大梁の設計位置
(2)設計用応力
一般壁を危険断面位置に考慮した場合、危険断面位置より外側(端部側)の領域では、短期曲げモーメ
ントに対する設計はしない。ただし、長期曲げモーメントおよびせん断力に対しては設計する。
危険断面位置に考慮しない場合は剛域端部位置より外側(端部側)について同様の扱いとする。
(3)設計結果保存位置
各構造種別を通し設計結果を保存する位置は、最大次の 5 箇所とする。
B-5.2.1-2
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5.2.1 共通事項
① 左端
② 左端側中間位置
中間位置は左端と中央の間にある設計位置のうち、絶対値としての検定比が最大になる位置
③ 中央
④ 右端側中間位置(条件は左端側中間位置に準じる。
)
⑤ 右端
(4)配筋結果保存位置
RC・SRC の場合、配筋結果を保存する位置は、次の 3 箇所とする。
(大梁の場合)
① 左端部:左端~左 1/4 点にある計算箇所の最大本数
② 中央部:左 1/4 点~右 1/4 点にある計算箇所の最大本数(左 1/4 点、右 1/4 点は含まない)
③ 右端部:右端~右 1/4 点にある計算箇所の最大本数
(跳出し大梁の場合)
① 根元部:根元~1/2 点にある計算箇所の最大本数(1/2 点は含まない)
② 先端部:1/2 点~跳出し先端にある計算箇所の最大本数
(5)主筋重心位置
主筋重心位置は、部材毎に指定したコンクリ-トかぶり厚より算定する方法と、建物共通で定義した主
筋位置タイプより算定する方法がある。
①
かぶり厚より算定する方法
主筋重心位置= Dc  d' 
D' n 2  p  n 3  2p

2
n1  n 2  n 3
記号
Dc
:コンクリートかぶり厚
D
:主筋呼び径
D'
:主筋最大径
d
:帯筋呼び径
d’
:帯筋最大径
p’
p
D’/2
d‘
Dc
p’ 以上
n 1、n 2 、n 3 :主筋本数(添字は段数を示す)
p
図-5.2.1.4 主筋重心位置
:主筋間隔(=D’ + p’ )
ただし、SRC 部材の 1 段目と 2 段目への主筋間隔は 12.5cm で固定。
p’
:主筋あき間隔(  max[α  D,1.25G] )
α
:D に対する倍率(ユーザー指定で省略値は 1.5)
G
:粗骨材最大寸法=2.5cm
なお、コーナーRの分は無視する。
②
主筋位置タイプにより算定する方法
B-5.2.1-3
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主筋重心位置= dt 
n 2  P  n 3  2P
n1  n 2  n 3
記号
dt
:1 段目主筋の中心位置(上端、下端別に指定可能)
P
:1 段目主筋と 2 段目主筋の中心間隔(RC、SRC別に指定可能)
n 1、n 2 、n 3 :主筋本数(添字は段数を示す)
(6)RC 部材の主筋配置
RC 部材の主筋本数と部材断面の必要幅はあばら筋の形状を考慮した以下の手順により算定する。
Dcl
溶接閉鎖型
Dcr
O 型フック U 型フック
スパイラル
図-5.2.1.5 あばら筋形状
図-5.2.1.6 かぶり厚さ Dc
1)必要幅の算定
a)溶接閉鎖型・スパイラル
B   Dc  2d   2R  D  p(n  1)
ここで
B
:必要幅
 Dc
:両側のかぶり厚(Dcl+Dcr で個別に指定できる)
D
:主筋呼び径
D’
:主筋最大径
d
:帯筋呼び径
d’
:帯筋最大径
n
:主筋本数
p
:主筋間隔
p’
:主筋あき間隔
R
:コーナーRあき分
R  1.5d' 
D'
(ただし 0 以上)
2
b)O 型フック(先曲げ形式)
主筋間隔がフックのツメ長さより小さい場合は溶接型で求めた必要幅に(ツメ長さ-p’)を追加する。
ここでツメ長さは下式による。
ツメ長さ= ( 2  1)(1.5d  d' )  d' 
2 1
D'
2
ただし D’>3d の場合は ( 2  1)D'  2d' とする。
B-5.2.1-4
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c)U 型フック(先曲げ形式)
主筋あき間隔がツメ長さより小さい場合は溶接型で求めた必要幅に(ツメ長さ-p’)×2 を追加する。
d)主筋位置タイプによる場合
B  2dt  ( D'  p ' )(n  1)
ここで
B
:必要幅
dt
:コンクリート側面から外側主筋中心までの距離
n
:主筋本数
D'
:主筋最大径
p’
:主筋あき間隔(主筋重心位置の項を参照)
2)主筋本数の計算
検定対象断面の梁幅に並ぶ各段の最大主筋本数を求め、それを超す本数が設定されている場合は検定結
果を NG とする。
特殊なケースとして設計条件の最大梁幅が主筋 2 本の必要梁幅以下の場合、配筋上の工夫がなされてい
るとし、2 本並ぶものとして検定し、注意メッセージを出力する。
(7)SRC 部材の主筋配置
SRC 部材の主筋本数と部材断面の必要幅は以下の手順により算定する。ただし、ユーザー指定により
主筋配置制限をしない場合は 1 段目のみ前述の RC 部材の扱いによる。
b’
1)必要幅の算定
B  b  f  b
b   Dcl  d   R  D  G
b  Dcr  d   R  D  (n  2)p  G
ここで
f
b
①
① ①
③
④ ②
125mm
固定
f:鉄骨フランジ幅
その他の記号は図-5.2.1.7 を参照
Dcl
Dcr
図-5.2.1.7 SRC大梁の主筋配置
2)主筋本数の計算
検定対象断面の梁幅に並ぶ各段の最大主筋本数を求め、それを超す本数が設定されている場合は検定結
果を NG とする。
特殊なケースとして設計条件の最大梁幅が主筋 2 本の必要梁幅以下の場合、配筋上の工夫がなされてい
るとし、2 本並ぶものとして検定し、注意メッセージを出力する。
(8)RC、SRC 部材のあばら筋配置
あばら筋の配筋範囲は、端部は梁内法長さの 1/4 まで、中央は、梁内法長さの 1/2 の距離とする。
B-5.2.1-5
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(9)斜め入力に対する大梁の検討方法
斜め入力に対する大梁の検討は一次設計が弾性解析の場合に限り部材ごとに検討の有無を設定できる。
① 検討しない
② 検討する
③ 内部判定(デフォルト)
:斜め大梁および EX、EY 方向から 15°以上傾斜している大梁について
斜め入力の検討をする。
斜め入力の検討を行う場合、短期許容応力度の検討荷重として、以下の 2 つの組合せ応力ケースが追
加される。
D1 = 長期応力 + 地震時の斜め入力による割増応力
D2 = 長期応力 - 地震時の斜め入力による割増応力
ただし、基礎梁の斜め入力の検討用応力には、基礎架構応力(接地圧、杭頭曲げ、偏心曲げ等)は考慮
されないので注意する。
大梁の EX、EY 方向地震時応力から、その梁の応力が最大となる地震力の方向を計算し、それに対応
する応力を検討用応力として設定する。
X 軸からθの方向に加わる地震力に対する大梁の応力は以下である。
D M S = X M S ・cosθ+ Y M S ・sinθ
θについての微分を0とすれば応力が最大となるθは
maxθs = tan-1 ( Y M S / X M S )
よって、始端、終端の設計用曲げモーメントおよび設計用せん断力は以下である。
ED M S = X M S ・
cos (maxθs) + Y M S ・ sin (maxθs)
ED M E = X M E ・
cos (maxθ E ) + Y M E ・ sin (maxθ E )
ED Q S = X Q S ・
cos (maxθs) + Y Q S ・ sin (maxθs)
ED Q E = X Q E ・
cos (maxθ E ) + Y Q E ・ sin (maxθ E )
ここで
maxθs = tan -1 ( Y M S / X M S )
maxθ E = tan -1 ( Y M E / X M E )
(X E , Y E )
EY
(Xs, Ys)
EX時
始端X M S
終端X M E
EY時
始端Y M S
終端Y M E
EX
図-5.2.1.8 斜め大梁の設計用応力
B-5.2.1-6
5.2 大梁の断面設計
5.2.1 共通事項
(10)設計位置と設計用応力
梁の設計用応力は梁の 5 点で保持しており、その中間の設計位置の応力はそれらを中間補間して計算す
る。曲げモーメントや分布荷重に対するせん断力は連続的に変化するから、中間補間は良い精度を保つ
が、集中荷重に対するせん断力のように応力が不連続に(階段状に)変化する場合には応力を過小評価
する場合がある。
P=1
P=1
P=1
2
3
4
荷重
1
5
モーメント
せん断力
Q 5 =-1.5
Q 4 =-0.5
Q 1 =1.5 Q 2 =1.5
Q 3 =0.5
図-5.2.1.9 集中荷重下での応力の中間補間
前図は集中荷重がちょうど梁長さの 1/4 点にある場合を示している。この場合せん断力に関する 5 点
応力は
Q 1 =Q 2 =1.5、Q 3 =0.5、Q 4 =-0.5、Q 5 =-1.5
。
となる(Q2=0.5 とすればQ 4 =Q 5 となり結果は対称的である)
力学的なせん断力分布(墨がけ図形)に対し、中間補間による設計せん断力分布を実線で示す。設計位
置により危険側、安全側の誤差が生じるが、梁成が一定ならせん断力に対する危険断面は材端であるか
ら誤差は生じないが、変断面部材や等断面でも RC、SRC 部材ではあばら筋の配筋がスパンの 1/4 の範
囲で変更できるから注意が必要である。
(11)たわみ検討
1)設計概要
たわみの検討は「検討する」
「検討しない」
「内部判定」を選択でき、デフォルトは「内部判定」である。
検討指定が「内部判定」の場合、梁のスパンが下表の値以上であれば検討する。たわみ検討は、応力組
合せ 1 番に対して検討する。なお、たわみ計算用積載荷重は地震用積載荷重を用いる。
表-5.2.1.1 たわみ検討実行判定基準スパン
構造種別
S
RC
SRC
一般梁
15D
10D
12D
跳ね出し梁
7.5D
5D
6D
(D:梁成)
たわみは、応力解析結果は採用せずにモールの定理に従って算定する。応力解析結果を使用しない理
B-5.2.1-7
5.2 大梁の断面設計
5.2.1 共通事項
由は、通常の両端固定端大梁の場合、梁中央がたわみの最大値となるが、応力解析ではその値を計算し
ていないためである。跳ね出し大梁も固定端大梁と同様にモールの定理に従うものとする。
たわみの検討は、応力組合せ 1 番(長期)に対して、積載荷重は地震用積載荷重を用いる(黄色本p
291(7)によると、たわみ検討に使う積載荷重は実情に応じて決定するもので、令 85 条の表(黄色本p239)
を使ってもいい、との記載がある。BRAIN では実状を考慮して、架構用積載荷重は使用せず、地震用を
採用する)
。
たわみの計算はモールの定理により、各設計位置でのたわみ値のうち、最大値をその梁のたわみとす
る。ただし、応力解析結果のように端部の変位や回転等は含まれず、端部からの相対的な鉛直変位の値
となる。
2)注意点
梁のたわみを検討するモデルは、両端固定の大梁と一端固定他端自由の大梁の 2 種類とする。そのた
め、モデリングの属性が「大梁」であるものは両端固定の大梁(図-5.2.1.10(a))のモデルとし、
「跳ね出
し大梁」であるものは一端固定他端自由の大梁(図-5.2.1.10(b))のモデルとしてたわみを計算する。たわ
み制限値もモデリングの属性による。端部の支持状況を無視し、モデリングの属性のみで判断するため、
特に「大梁」で配置した場合でもその一端に部材がなく、結果として跳ね出しの状態になっている部材
は、両端固定の大梁としてたわみ計算する。そのため断面設計表に出力されるたわみ値は跳ね出し先端
位置でのたわみではない。この場合は、参考値程度でしかないことに注意が必要である。
(b)
(a)
跳ね出し大梁 RCGA1S と
大梁 RGA2 は、共に端部が
自由であるが、断面設計表
に表示されるたわみ値は
異なる。
図-5.2.1.10 跳ね出し大梁のモデル化
B-5.2.1-8
5.2 大梁の断面設計
5.2.1 共通事項
3)モールの定理
モールの定理によるたわみδ
δ
M
E  Ie
ここで
M
:梁の長期曲げモーメント図を仮想の分布荷重としたときの、たわみを求めたい
位置のモーメントで、片持ち梁では固定端と自由端を入れ替えて計算する。
E
:ヤング係数
Ie
:等価断面二次モーメント(上部架構解析データ(鉛直)の剛性を使用)
長期応力M
荷重
M図
M
M
(a)大梁
(b)跳ね出し大梁
*長期応力は、梁の 5 点の曲げモーメントを直線で結んだ分布形とする。
図-5.2.1.11 モールの定理
4)制限値
たわみの制限値のデフォルトは下表の通り(告示による)であるが、制限値を入力することもできる。
表-5.2.1.2 たわみ制限値のデフォルト値(mm)
構造種別
S
RC
たわみ制限値
 0 /250
 0 /2000
 0は部材長(mm)
部材のたわみ量が、たわみの制限値をこえる場合は適用範囲外メッセージが出力される。
B-5.2.1-9