The Japan News / LearningLab

(第3種郵便物認可) Thursday,
January 1, 2015 Edition S
11
吉田瑞穂 (市川高校2年)
“Do you think I’ll be able to become the world’s
number one player?”
Shingo Kunieda, a wheelchair tennis player, asked
an Australian mental trainer, Ms. Ann Quinn, during the Australian Open in February, 2006.
Although he is a world champion now, Mr.
Kunieda was placed 10th in the world ranking at
that time. Wanting to fill in the gap between him
and the other top players, Mr. Kunieda turned to
Ms. Quinn, who has been counseling other star
和文英訳に挑戦してみて (吉田瑞穂さん)
小南菜月(市川高校2年)
ジャジュ・二ディ(清泉インターナショナル学園
高校1年)
players, for help.
Ms. Quinn’s advice was precise. “Let’s start the
training by declaring you WILL become the champion, not you want to become one. Okay, say ‘I am
number one!’”
Aer that, every morning Mr. Kunieda would
strike a victory pose in front of the mirror and exclaim in Japanese, “I am number one!”. He wrote the
same exact words on his racket and his mouthpiece.
小笠原啓太(札幌市立北海道札幌清田高校1年)
工藤瑞生(兵庫県立明石西高校3年)
鈴木晴佳(慶応義塾女子高校1年)
土志田あいり(東京インターハイスクール2年)
浜野尚弥(金蘭千里高校2年)
平田彩佳(清泉インターナショナル学園高校3年)
山本采奈(愛知県立千種高校2年)
(原文のまま)
もっと知りたくなりました。
努力賞
6歳から12歳までをニューヨークで過ごしまし
翻訳は苦手なのですが、
今井開斗(立教英国学院高等部1年)
柏井輝人(金蘭千里高校2年)
小寺紗季(水戸女子高校1年)
櫻井若菜(白梅学園清修中高一貫部・高校3年)
橘史菜(兵庫県立明石西高校3年)
南都宇夢(兵庫県立須磨友が丘高校1年)
東島和恵(札幌静修高校2年)
藤原ゆうか(広尾学園高校1年)
森瑞貴(桜美林高校1年)
吉山未桜(Harrow International School Bangkok 高校1年)
たが、ブラッシュアップのため今も週に1度、帰
今回は課題文の面白さにひ
国子女向けの英語のレッスンを受けています。
かれて、初めて翻訳コンテ
学校ではオーケストラ部に所属し、チェロを担
ストに応募しました。日本
当しています。12月には全国の高校のオーケスト
語の文を初めて本格的に英
ラが集まる演奏会があり、練習をがんばりまし
訳し、ふたつの言語の微妙
た。
なニュアンスの違いを表す
勉強では歴史も好きです。将来は英語のほか、
のが難しかったですが、このような経験ができて
世界の文化や歴史に関係している仕事につきたい
よかったです。国枝さんやクインさんについて
と思っています。留学もしたいと考えています。
*力作ぞろいの今回、努力賞(図書券500円)も新たに
設けました。
新年第1回の Testing Translation は、応募
tennis player, asked an Australian mental
trainer, のように、情報単位ごとにカンマを訳文
い言葉を付け加えた人もいました。元の発言にな
資格を高校生に限定した特別企画「高校生特
集」です。初の試みでしたが、国内はもとより
内の適切な箇所に打って、読む側の理解を容易
気をつけましょう。
タイや英国など海外からも作品が寄せられ、応
にしています。また、「現在は世界王者の国枝
また、必要以上に説明的な訳では、原文の力強
募総数は93通に上りました。課題文は、車いす
さんも~」で始まる長い第2文は、無理に一文
さや、歯切れの良さが失われてしまいます。補足
い言葉を訳文に加えるのはルール違反ですから、
テニス界で絶対王者として君臨する国枝慎吾選
で訳さず、Although he is … で始まる文
説明は必要最小限に留めるようにしましょう。
手を取り上げています。
と、Wanting to fill in the gap … の二文に思い
訳例では、「なりたい・なる」という対比の面
上位入賞者は、ふだんの Testing Translation
切って分割することで、無理なく読めるように
白さを表現するため、訳語は I wanna be / I will
でも十分に入賞を狙えるレベルでした。皆さん、
工夫しています。分割しての翻訳は、度を超す
be とし、語数も最小限です。
ぜひ次は年齢無差別の土俵で「ナンバーワン」を
と細切れになって読みづらくなりますが、上手
目指してください。お待ちしております。
に使うと読みやすい訳文になります。
ポイント1 大切なのは、読みやすさ
ポイント3 直訳に注意
最優秀作品は、第1文はカンマ、第2文はピリ
日本語から英語への翻訳で、落とし穴になるの
“Do you think I can become the world’s top
player?”
Wheelchair tennis player Shingo Kunieda
asked this question to Australian mental coach
Ann Quinn during the Australian Open in
February 2006. Kunieda, who has now become
world champion, was ranked No. 10 at that
time. Aiming to shrink the gap between himself
and the top players, Kunieda sought the help of
Quinn, who has counseled star players.
Quinn’s instructions were clear. “Let’s begin
training by saying, ‘I will be’ instead of ‘I wanna
be,’” she said.
“Now say, ‘I’m No. 1’ right here,” Quinn told
Kunieda.
Aer that Kunieda shouted, “I’m No. 1” in
Japanese in front of a mirror every morning
aer waking up, pumping his fists in the air. He
also wrote the phrase on his racket and mouthguard.
オドをうまく使い、情報がぎっしり詰まった第2
がカタカナ英語です。最終段落に「ガッツポー
募者がいましたが、これだと「この単語を書き込
ただ目で文章を追うだけでは限度があります。
さて、優れた翻訳に求められる条件とは何で
段落を上手に料理しています。お見事です。
ズ」というフレーズがありますが、 gutsy pose
んだ」の意味です。この部分は単語ではなくひと
ペンで線を引いたり、声に出して読んだりすると
しょうか。原文に忠実であることはもちろんで
ちなみに訳例では、第2文は同じように分割
などと直訳しても、意味を成しません。
効果的です。パソコンで作業をしている人は、面
すが、その上で読者にとって読みやすくするた
して翻訳していますが、第1文は受賞者とは対
直訳を避け、意味を踏まえた上で、該当する英
まとまりの言葉ですから、words、あるいは訳例
照的に、カンマを全く使わずに訳しています。
語表現を選ばなければいけません。正確な意味を
のように phrase(語句)にしなければいけませ
倒でも一度印刷することをお勧めします。わずか
めの工夫が施されていることです。さらには、
ん。
な手間で、完成度が大きく違ってきます。
自然な表現を使い、翻訳口調を感じさせないの
読みやすさを比較してみてください。
知る上で国語辞典が役立ちます。広辞苑は、ガッ
がベストです。最優秀作品は、句読点をうまく
用いるなどの工夫をし、結果として読みやすく
ポイント2 「なる」の表現
今回、応募作品に添えて、たくさんのコメント
ツポーズを「胸の前でこぶしを握ったり腕を突き
ポイント4 「できた」と思う前に
上げたりするしぐさ」と説明しています。訳例の
ケアレスミスを防ぐために、最後に自分の訳文
の「楽しかった!」という一言が特に印象に残り
を寄せていただきました。その中で、ある応募者
なっている点で優れていました。
クインさんの言葉で最も印象的なのは、第3
ように Kunieda pumped his fists in the air. な
を丁寧に読み直しましょう。どんなに巧みな英語
ました。和文英訳の勉強は決して楽ではありませ
まず、課題文の第2段落に注目してください。
段落にある「なりたいじゃなくて、『なる』」
どの表現を用いることができます。
表現を用いていても、テニスが tennise になっ
んが、どうすれば原文の意味だけではなく、それ
第1文は、「車いすテニスの」「オーストラリア
のセリフです。より分かりやすく、あるいはよ
また、訳語を選ぶ際には、意味とニュアンスを
ていたり、アン・クインが Ann Queen になっ
ぞれの語句のニュアンスまで再現することができ
人女性の」といった「~の」で表される修飾句が
りドラマチックに表現するために、応募者は思
吟味して、最も文脈に合った表現を選ぶことが重
ていたりしては台無しです。特に固有名詞の表記
るか、そのための「工夫を楽しむ」ことが上達の
多く、構文がやや複雑になっています。
い思いに工夫を凝らしていました。
要です。例えば、最終段落の「この言葉を書き込
ミスは、パソコンのスペルチェック用辞書にもな
鍵ではないでしょうか。また皆さんが応募してく
受賞者は、 Shingo Kunieda, a wheelchair
中には、Be confident! のように、原文にはな
んだ」を、He wrote this word on … と訳した応
いことが多く、見逃してしまいがちです。
ださるのを楽しみにしています。
応募者のコメントから
今回、原文にあるニュアンスを英語で伝えることの難
見て彼のすごさを知っていたため、課題文そのものに興
しさを多くの応募者がコメントとして寄せていました。
味を引かれたという応募者もいました。日本語を母語と
翻訳の過程で「日本語の言葉に隠れている意味に気づい
しない方たちが応募してくれたケースもあり、中には、
8 weeks of madness at Oxford
た」という感想も。
英語が第2、もしくは第3言語にあたるにもかかわらず
By Shunta Takino (University of Oxford)
その一方で、翻訳は楽しい経験で、もし職業に出来た
ら「仕事が毎日楽しくて会社にこもっちゃいそうです」
という声もありました。
翻訳家の著作や、 NHK の連続テレビ小説「花子とア
ン」で翻訳に興味を持った人、国枝さんの試合を実際に
挑戦してくれた方もいました。
「和文英訳は初めての体験だったが、また応募した
い」という声が多く寄せられました。「翻訳を通じて語
学力を磨き、将来の仕事に役立てたい」、「大学入試に
生かしたい」など、目的は様々のようです。
次回の課題(次回より、通常の Testing Translationに戻ります)
寒さが増し、スーパーの魚売り場にはブリの切り身
たサンリオのキャラクターで、今年、グッズ販売が始まっ
がたくさん並ぶようになった。手にとると、かわいら
たばかりという。サンリオによると、10~20代の若い女性
しいシールが貼ってあった。切り身の形の顔に小さな
に人気で、すでに「CD デビュー」も果たしている。
体がついたイラストで、「照り焼きなんてどうか
日本人の魚離れが進む中で、親しみやすい切り身を
な?」というメッセージがついている。「KIRIMI ちゃ
「おいしく食べてもらいたい」との願いが込められて
ん.」と書いてあるが、一体何だろう。
いるという。
調べてみると、サケやブリなどの切り身をモチーフにし
(読売新聞東京本社発行 12月28日付朝刊9面)
(e-mail の場合)
読売新聞東京本社英字新聞部
1月7日(水)午後6時締め切り
「Testing Translation」係
標題を Testing Translation と明記。添付ファイル不可。
あて先:[email protected]
(郵送の場合)
1月8日(木)(当日必着) 封書、または、はがき(鉛筆
書きは不可。かい書で丁寧に)。封書の場合は A-4の用紙を
縦位置で使用。はがきの場合は縦位置、横書き。
あて先:〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1
作品の下に郵便番号・住所・氏名・年齢・職業を記入すると
共に、このコーナーに対する簡単な感想も添えてください。
同一の課題文に対する複数回の投稿や、投稿が届いたかど
うかのお問い合わせはご遠慮ください。
最優秀2500円、優秀1000円、佳作には500円分の図書カー
ドが贈られます。講評は1月15日(木)の Testing Trans-
lation で行います。
This column features reports by Japanese students currently
studying overseas on their life on and off campus.
*
*
*
Walking into the city of Oxford on the first day, it was
hard not to be amazed by the grand architecture of the university. I was shown round my room, and I acquainted
myself with the surrounding area, some of which is over 700
years old. It’s a calm, peaceful and relaxed environment.
But before long, the social events take over. Consecutive
nights spent drinking and clubbing combined with early morning introduction sessions seem hectic. The first week all comes
to an end on Sunday with a BOP, or in non-Oxonian terminology, a fancy dress party. Yet the madness had only just begun.
Sunday night straight through to Monday morning was spent
writing up a 2,000-word essay due on the first day of term, and
having had no sleep whatsoever, I attended three consecutive
lectures. A pretty crazy start to the term. But I’ve come to realize
over the course of my first term that working through the night
on caeine is not such an irregular occurrence ...
There’s so much to do, and whilst each of the three terms
are only two months long, every day is incredibly exhausting.
Presumably that’s the reasoning behind having six weeks o
between each term to recover, relax and refuel.
Oxford has a decentralized collegiate system, and, unlike
other universities, places particular emphasis on giving students personal attention. At least once a week, we have a
“tutorial” where we discuss topics in-depth with a specialist
professor in groups of two to five people. There’s no hiding
place in these tutorials. What you thought were absolute
truths are challenged endlessly. When I started my course in
Philosophy, Politics and Economics, my understanding of
freedom was simply “being able to do what you want.” But
Courtesy of
Shunta Takino
Shunta Takino,
center, with his
friends at
University of
Oxford
having been asked thoughtprovoking questions such as “Can
you be free to enslave yourself?” I’ve
been forced into critically rethinking
my understanding of freedom.
All in all, the first term’s been an incredible concoction of an intense intellectual experience combined with a
packed social life. Here’s hoping that the next three years I
spend at Oxford will be just as entertaining!
The next installment will appear Jan. 29.
University of Oxford
The University of Oxford has a long history dating as far back as the
11th century. Most students belong to 38 largely independent
colleges, while sometimes using facilities outside their college.
In partnership with Ryugaku Fellowship
(http://ryu-fellow.org/)