ダウンロード - 有機医薬品開発学

医薬化学Ⅱ
Synthetic Medicinal Chemistry II
第12回目講義
SBO 20 医薬品と標的生体分子との相互作用を,具体例をあげ
て立体化学的観点から説明できる。
宮地 弘幸
1
(復習)
薬物-受容体相互作用
共有結合
共有結合(covalent bond)
原子同士で互いの電子を共有することによって生じる結合.
結合は非常に強く,結合エネルギーは約100~500kj/mol .
共有結合は生体の温度やpHの影響では切断されない.
薬物と生体内高分子が共有結合を形成すると薬物は不可逆
的に生体内高分子の機能を阻害する.
(復習)
薬物-受容体相互作用
イオン性相互作用
イオン性相互作用
カチオンとアニオン間の静電引力による作用であり、
イオン結合、静電相互作用がある。
イオン結合(ionic bond)は カチオンとアニオン間の静電引力
による化学結合.共有結合よりも結合エネルギーは小さく,結
合エネルギーは約20~40kj/mol.
静電相互作用
イオン結合より弱い相互作用で,イオン-双極子相互作用と双
極子-双極子相互作用が含まれる.
それぞれの結合エネルギーは,約4~30kj/mol程度.
(復習)
薬物-受容体相互作用
双極子とは?
電気陰性度が異なる原子が結合するとわずかに電荷に偏りが生じる(例;H-O結合では
酸素原子が電気陰性度が高く、酸素原子がδマイナス、水素原子がδプラス. 電気陰性
度が強い酸素原子の方がマイナスの電荷を帯びる).
この正電荷と負電荷の偏りが非常に近くで存在している状態を分極といい,分極している
分子を双極子という.
炭素に対して酸素、窒素、硫黄、ハロゲンは電気陰性度が高い。これらの原子が炭素と
結合すると電化に偏りが生じ、電気的双極子を生じる。双極子も対応する電荷が来ると
引き寄せられてしまう。
この双極子が「イオンの電荷」によって引き寄せられる場合、イオン-双極子相互作用が
生じる。また、他の双極子に引き寄せられる場合は双極子-双極子相互作用が生じる.
双極子の電化はイオンほど強くないのでイオン-双極子間相互作用の方が結合が強い。
(復習)
薬物-受容体相互作用
水素結合
水素結合
双極子-双極子相互作用の一種.
フッ素,酸素,窒素など電気陰性度の高い原子に水素が共有結合
している場合に生じる.
結合エネルギーは4-29KJ/mol程度.重要な例として水分子がある.
プロトンを与えるNHやOHなどを水素結合のプロトン供与体,プロトン
を受けるNやOをプロトン受容体として区別.
水素結合は直線上に並んだときが最も結合が強い.従って,リガンド
の選択性という観点から重要な結合.
(復習)
薬物-受容体相互作用
ファンデルワールス力
ファンデルワールス力
電荷的に中性な原子や分子においても分子間力が作用する.
電子が動くと分子の結合間に一時的な分極が生じる.するともう一分子
の電子にはこれとは逆方向の分極が生じる.その結果二つの分子間に
弱い引力が生じる.この分子間引力をにファンデルワールス力という.
結合エネルギーは永久的な分極である静電相互作用に比べると弱く,
4KJ/mol以下.
この作用は生体内高分子の結合部位の形状とリガンド形状の合致とい
う形状認識に関与.
薬物-受容体相互作用
共有結合の例
シスプラチン;抗がん剤
DNAの塩基をアルキル化し架橋構造を形成させ,
DNA合成およびそれに引き続くがん細胞の分裂を阻害.
Cl
Cl
Pt
H3N
NH3
化学構造
ファンデルワールス表示
薬物-受容体相互作用
Cl
Cl
共有結合の例
Cl
Pt
Pt
H3N
NH3
NH3
シスプラチン
H3N
Cl
トランスプラチン
活性は弱い
シスプラチンは、電場の細菌に対する影響を調べている時に、偶然プラチナ
電極の分解産物が大腸菌の増殖を抑制することを発見し見い出された。
1969年には動物腫瘍において比較的広い抗腫瘍スペクトルを有する物質で
あることが判明した。 1972年にはアメリカ国立癌研究所(NCI)の指導で臨
床試験が開始されたが、強い腎毒性のためいったんは開発が中断された。
しかし、その後シスプラチン投与時に大量の水分負荷と、さらに利尿薬を使用
することによって腎障害を軽減することが可能となった。その後の臨床開発に
より、1978年にカナダ、アメリカ等で承認され、1983年に日本で承認された。
薬物-受容体相互作用
共有結合の例
シスプラチンは、DNAのグアニン、アデニンのN-7位に結合する。2つの
塩素原子部位でDNAと結合するため、DNA鎖内には架橋が形成される。
シス体に比べトランス体は架橋が形成されにくい。
アデニン
N
Pt
N
水素結合を示す
シスプラチンの合成
テトラクロロ白金酸カリウム(PtCl42−)を原料とし、最初のNH3基はCl基と置換する。 Cl−
はNH3より大きなトランス効果(陰性配位子は,シス位よりもトランス位配位子により不安
定性となる)を持ち、そのトランス位を置換不活性とするためNH3基の置換はすでに存在
しているNH3基のトランスの位置にはおこらず、Cl基のトランスの位置におきやすい。し
たがって、2番目のNH3基はシス型に置換される。
Pt(NH3)42+を出発物質に用いれば、Cl基のトランス効果のため2番目のCl基は最初のCl
基のトランスの位置に入り、生成物はトランス型になる。
シスプラチンの後続医薬品
シスプラチンの抗腫瘍活性を弱めることなく、腎毒性および嘔
気・嘔吐などの副作用を軽減することを目的にJohnson
Matthey社が合成し、BMS社が開発した抗悪性腫瘍剤。
カルボプラチン
名古屋市立大学薬学部名誉教授、喜谷喜徳らによって合
成・抗癌性が発見され、喜谷研究室で基礎的な研究開発
がなされ、オキサリプラチンと命名された。その後フランス
のマッセイ (Mathé) らによって臨床開発がなされた。日本
ではヤクルトが販売。
オキサリプラチン
シスプラチンが結合するのは唯一DNAのみではない!!!!
シスプラチンが結合するのは唯一DNAのみではない!!!!
リゾチームのHis15に結合している!
白金製剤の分布や代謝・副作用等に
関与?
薬物-受容体相互作用
イオン結合の例
アスピリン;非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)
シクロオキシゲナーゼ阻害により,プロスタグランジンの
合成を抑制し抗炎症作用を示す.
CH3
O
O
COOH
胃で加水分解
OH
COOH
サリチル酸
薬物-受容体相互作用
イオン結合の例
サリチル酸とシクロオキシゲナーゼ
I(COXI)との複合体X線結晶構造
Trp
OOHH
COOH
COOH
Arg
サリチル酸の発見からアスピリンへ!
サリチル酸
OH
水酸基
ベンゼン環
COOH
カルボキシ基
{発見}
柳の薬理作用については,医学の父と呼ばれるギリシャの医師ヒポクラテス
(紀元前460年 - 紀元前377年))は,ヤナギの樹皮を鎮痛・解熱に,葉を分娩の痛
みの緩和に用いたと言われている。
日本では「歯痛には柳楊枝」として知られていた。
1830年にはリリー(仏)とピリア(伊) が解熱成分
を分離してサリシン(ラテン語で柳)と命名した。
その後ピリアはサリシンを分解して新規な化学物質を
発見し,サリチル酸と命名した(柳の解熱鎮痛作用の
本体を化学物質として明らかにした)。
5
サリチル酸の発見からアスピリンへ!
19世紀には,苦味が強い柳エキスに代わりサリチル酸が鎮痛剤に使
われたが,強い胃痛があった(副作用)。
サリチル酸は安息香酸(pKa = 4.20)に比べると,酸の強さはより強
い。
それはカルボキシ基のオルト位に水酸基が存在するためである
(pKa = 2.97)。 ちなみに酢酸のpKaは4.21
サリチル酸をそのまま飲むと胃穿孔を起こし腹膜炎の原因となる。
酸性を弱め,胃に優しい工夫ができないものか?
O
H
-
O
O
水素結合を形成でき
るので強い酸となる!
6
サリチル酸の発見からアスピリンへ!
O
H
O-
O
有機化学反応
アセチル基
カルボキシ基と水酸基が水素結合して
酸性度が強くなっているのが胃穿孔の
原因。
水素結合はしないが,胃の中で初めて
水酸基となる構造に変化させれば?
CH3
O
O
O-
1897年、ドイツバイエル社のホフマン
によりサリチル酸がアセチル化され副
作用の少ないアセチルサリチル酸が合
成された(アスピリンの誕生)。
O
7
サリチル酸の発見からアスピリンへ!
CH3
O
胃酸でアセチル基が外れる
(加水分解)
O
OH
OH
OH
O
アセチルサリチル酸
O
サリチル酸
開発当初は,サリチル酸の胃炎副作用を回避する目的でアセチル
基を導入した化合物(アセチルサリチル酸)が合成された。 従って
薬効を発現する本体はサリチル酸であり,アセチルサリチル酸は
プロドラッグと考えられていた。
8
アスピリンはどのように効果を発現するのか?
•「アセチルサリチル酸は体内での痛み伝達物質(プロスタグランジン(PG))の
合成を抑制し,痛み,発熱,炎症に効果を発揮する」ことが解明された。
ホフマンの合成から70年以上の歳月が経過していた。
•アセチルサリチル酸はシクロオキシゲナーゼいう酵素をアセチル化する
ことにより阻害しプロスタグランジンの産生を抑制する。
CH3
O
O
OH
O
アスピリンは本当にCOXのセリンをアセチル化している!!!
薬物-受容体相互作用
水素結合の例
活性型ビタミンD;骨粗鬆症治療薬
小腸からのCaとPの吸収を促進と、骨からの骨塩の溶出促進.
腎臓でCaとPの再吸収促進し、生体のCaとPの恒常性の維持に寄与.
食物により摂取された、または皮膚で合成されたビタミンDは、まず肝臓で25位
が水酸化され,さらに腎臓で1α位の水酸化を受けて活性型の1,25-ジヒドロキシ
ビタミンDに代謝される。
H3C
H3C
肝臓
HO
ビタミンD3
CH3
CH3
CH3
HO
H3C
OH
腎臓
HO
OH
活性型ビタミンD3
OH
薬物-受容体相互作用
水素結合の例
活性型ビタミンDとVDRとの複合体X線結晶構造
HH3CC HH33CC
OOHH
3
Ser
HHOO
HHOO
His
His
Ser
Arg
水素結合を示す
合成化合物群の構造活性相関の動因を
薬物-受容体相互作用より紐解く!
核内受容体PPARδアゴニスト;メタボ治療薬
近年 PPARδは骨格筋を中心に分布し, 脂肪燃焼, コレステロー
ル逆転送, エネルギー調節, インスリン感受性への関与が判明
した. 高脂血症治療薬,抗肥満薬等メタボリックシンドローム治療
の新たな創薬標的として期待される!
TIPP204
核内受容体PPARδ選択的アゴニストの創製
R
F
F
F
O
O
N
H
F
OH
F
F
O
O
O
N
H
OH
O
F
X
TIPP204
EC50 (nM)a)
No.
R
X
PPARα
PPARδ
PPARγ
24
25
26
27
28
29
30
31
32
H
H
H
H
H
H
H
F
F
H
Me
Et
n- Pr
n- Bu
n- Hex
Bn
Me
n- Pr
>10000
15
12
90
500
1300
840
8.2
42
110
150
20
6.8
4.7
43
860
24
1.7
6200
2600
1400
1300
1300
2800
>10000
2200
650
33
F
n- Bu
280
1.9
1400
1100
1.9
7900
GW-501516
何故ブトキシ基がPPARδ活性発現に好適なのか?
X線結晶構造解析を行いたい !
それもPPARと活性化合物との複合体の形で !
大阪大学蛋白質研究所・森川研究室とのコラボレーション
27
PPARδ-LBDの精製
プラスミド:
pET28aPPARδ2
菌株 :
Rosetta(DE3)pLysS
培養条件:37で培養
15℃で発現
M F.T A8
B2
菌体破砕、PEI処理
His Trap カラム
His Tag 切除
陽イオン交換カラム
ゲル濾過
5
PPARδ-LBDの精製
プラスミド:
pET28aPPARδ2
菌株 :
Rosetta(DE3)pLysS
培養条件:37℃で培養
15℃で発現
M
A11
B5 B11B12
菌体破砕、PEI処理
His Trap カラム
His Tag 切除
陽イオン交換カラム
ゲル濾過
6
PPARδ-LBDの精製
プラスミド:
pET28aPPARδ2
菌株 :
Rosetta(DE3)pLysS
培養条件:37℃で培養
15℃で発現
M B4
B8
C1
菌体破砕、PEI処理
His Trap カラム
His Tag 切除
陽イオン交換カラム
ゲル濾過
Ligand添加, 濃縮, 結晶化
ゲル濾過終了時に菌液2 Lから
12.7 mgの精製タンパク質を得た!
7
1年かかりました。でも関連化合物の解析像が得られました !
F
F
F
O
O
N
H
OH
O
F
* Final refinement statistics
Resolution:50-2.0 Å
No. of molecule: 1:1 complex Rwork/Rfree = 21.3 / 24.9 %
(containing water and ligand atoms)
28
X線結晶構造解析によるリガンドの結合様式解明
hPPARδLBD-TIPP-204 complex
hPPARδLBD-TIPP-401 complex
Resolution range (Å) 42.4-2.65
Resolution range (Å) 38.0-3.00
R work / R free 21.4/27.6
R work / R free 23.0/28.8
X線結晶構造解析に基づくhPPARδ選択性発現機構
TIPP-204
PPARδ-selective
F
F
F
O
TIPP-401
PPARα/δ-dual
FF
O
N
H
OH
FF
FF
O
F
OO
NN
HH
FF
L
I
OO
OOHH
OO
L
V
I
V
点変異hPPARδに対する転写活性化作用
F
F
F
1
O
O
O
N
H
O
OH
F
S
F
F
O
F
OH
S
N
1
0.75
0.75
0.5
0.5
0.25
0.25
0
vehicle
EC50 (nM)
WT
1
V298M
27
L303M
2
TIPP204 (10 nM)
PPARδ selective
I328M
7
0
vehicle
EC50 (nM)
WT
V298M
2
3
L303M
3
GW501516 (10 nM)
PPARδ selective
I328M
38
構造活性相関: 立体選択性
F
F
F
O
O
N
H
F
OH
F
F
O
F
O
O
N
H
OH
O
F
TIPP204
EC50 (nM)
No.
stereo
PPARα
PPARδ
PPARγ
34
S
240
0.72
1400
35
R
620
8.5
5100
GW-501516
1100
1.9
7900
何故(S)配置が高活性を示すのか?
PPAR-TIPP204複合体のX線結晶構造解析(全体像)
大阪大学
共同研究
(S)配置が高活性な理由
Thr299
OO
NNHH
FF
FF
FF
FF
OO
OOHH
OO
Cys285
カルボキシル基の相互作用
His323
Thr289
His449
OO
NNHH
Tyr473
FF
FF
FF
FF
OO
OOHH
OO
SBO20 医薬品と標的生体分子との相互作用を,
具体例をあげて立体化学的観点から説明できる。
医薬品が薬理効果を示すには,特定
生体分子(蛋白質,核酸等)と相互作
用し複合体を形成しなければならない!
複合体形成には薬物と生体内分子の
間に共有結合,イオン結合,イオン-双極
子相互作用,双極子-双極子相互作用,
水素結合,疎水性相互作用,ファンデル
ワールス相互作用等種々の相互作用
が働いている!
結合なくして活性無し!!
おまけその2; タミフル耐性インフルの耐性発現機構
タミフルも耐性ウイルスの出現が予想された。2004年の7月までの臨床試験
報告では、大人0.33%、子供4.0%、合計1.26%に耐性ウイルスが確認され
た。この抵抗性はノイラミニダーゼの1つのアミノ酸変異が原因である。
2009年4月-8月の遺伝子配列バンクの集計では、日本から提出された新型インフ
ルエンザ・ウィルス98例中、オセルタミビル耐性は4例(4%)だった。
His274Tyr、Asn294Ser、Tyr252Hisの点変異により
タミフルのノイラミニダーゼ抑制活性は激減する!
おまけその2; タミフル耐性インフルの耐性発現機構
変異型+基質
変異型+基質+Tami
野生型+基質+Tami
NA activity for wild type (yellow) and His274Tyr (green) mutant proteins in the absence
(labelled 0) and presence (labelled I) of 85 nM inhibitor at 50 M substrate. a, Effect of
oseltamivir .
おまけその2; タミフル耐性インフルの耐性発現機構
基質(シアル酸)とノイラミニダー
ゼ複合体のX線結晶構造
基質(シアル酸)、ザナミビル(リレンザ)、
オセルタミビル(タミフル)のX線結晶構
造
おまけその2; タミフル耐性インフルの耐性発現機構
黄色は野生型、緑は
His274Tyr変異体の場
合の配置
Hisがより嵩高いTyrに
変異することにより
Glu276の側鎖カルボキ
シレートが2Å押し出さ
れる。その結果タミフル
の3-ペンチルオキシ基
が2.5オングストローム
移動するため結合ポ
ケットに対するはまり込
みが悪くなっている。
The overlaid structures of the active sites of wild-type (yellow) and mutant N1 NAs
(green) are shown with bound inhibitors coloured similarly; relevant portions of
electron density maps are also shown. c, His274Tyr in complex with oseltamivir.
おまけその2; タミフル耐性インフルの耐性発現機構
The overlaid structures of the active sites of wild-type (yellow) and mutant N1 NAs
(green) are shown with bound inhibitors coloured similarly; relevant portions of
electron density maps are also shown. e, Asn294Ser in complex with oseltamivir.
Dashed lines indicate selected hydrogen bonds. f, The conformation of oseltamivir
and Glu 276 from three complexes is shown; the carbon atoms of the inhibitor
from the wild-type complex are coloured yellow, the His274Tyr in dark green and
the Asn294Ser in light green. The affinities (KI) of oseltamivir for the three NAs
are given in parentheses.
おまけその3; 現状のインフルエンザウイルス治療薬
インフルエンザウイルスに対する治療薬は以下が存在する。
ノイラミニダーゼ阻害剤:A型、B型双方に効果
オセルタミビル(タミフル®):経口薬
1日2回、5日間経口投与
ザナミビル(リレンザ®):吸入薬
1日2回、5日間吸入
ペラミビル(ラピアクタ®):注射薬
2010年1月13日承認
単回点滴静注
ラニナミビル(イナビル®):吸入薬 2010年7月29日承認
単回吸入
その他
アマンタジン(シンメトレル®):A型のみに効果、パーキンソン病の治療薬としても有効。
リマンタジン:A型のみに効果、日本では認可・発売されていない。
ペラミビル(商品名は「ラピアクタ」)はアメリカのバイオクリスト社
開発のインフルエンザ用抗ウイルス薬である。
ペラミビルは点滴注射薬であるため、経口での服用が困難な患
者にも投与可能である。日本でのライセンスは塩野義製薬が
持っている。1回の投与時間が約15分の点滴薬であり、成人で
あれば1回の投与で治療が完結する。
塩野義製薬が2009年10月に承認申請し、2010年1月13日、世
界で初めて成人用が承認された。新型インフルエンザの流行が
考慮されたため、異例のスピード承認となった。