IBM Watsonが切り開く保険業の将来

IBM Global Business Services
White Paper
IBM Global Business Services
White Paper
が切り開く保険業の将来
IBM Watson
Shaping
the future
of insurance
次世代の顧客経験を再定義する
with
IBM Watson
Redefine the next-generation customer experience
Insurance
Insurance
2
IBM Watson が切り開く保険業の将来
保険市場のデジタル化につれ、小売など他業界で経験を
SNS等への投稿、保険契約関連文書、申告書類、裏書/
積んできたデジタル通の顧客は、保険会社とのやりとり
特約、引受関係記録、アジャスター関係記録など)、2)
においても、他業界と同様に先進的な顧客経験を与えて
構造化情報(保険契約と請求に関するトランザクション・
くれることを期待している。顧客は電話をかけたときに、
レコードなど)、3)構造化情報と非構造化情報の組み合
保険会社が顧客のことを事前に知っており、ソーシャル・
わせ(保険金請求の履歴、請求と支払いの履歴など)の
メディアやコール・センターのログなどのデータから関
大量情報を即座にチェックし、意味のある適切な回答を
連情報を集めたうえで、積極的に顧客とつながりを持ち、
導き出す。また、Watsonは仮説を生成する(根拠の記述)
先を見越したアドバイスやガイダンスをしてくれること
能力も備えているため、これを利用して顧客に推奨する
を期待している。この白書において「顧客」とは、保険
こともできる。Watsonは文脈に沿ってやりとりを理解
会社からサービスを受けたり、保険会社にサービスを提
し、根拠に基づく学習により継続的に知識を高める。
供したりするあらゆる関係者を含む(顧客サービス担当
者(CSR)、仲介人(募集人)、保険金請求者のほか、管
Watsonの導入により、保険会社は次のメリットを享受
理者、独立した損害査定人、社外弁護士などの第三者など)。
することができる。
このように変化する顧客の期待に応えるために、生命保
メリット
関連する重要業績評価指標(KPI)
険会社や損害保険会社は、顧客経験を向上させて、保険
収益の向上
•
•
•
•
•
•
新規顧客数
顧客の紹介数
顧客セグメント別の価格
アップグレードされる契約の比率
人件費に対する保険料の比率
契約規模の平均
顧客との関係の深まり
•
•
•
•
顧客維持率
契約更改率
ネット・プロモーター・スコア
顧客の苦情数
効率化とコスト削減
•
•
•
•
•
•
着信転送の比率
チャネル別のコンタクト率
支払請求の平均処理コスト
転送率
平均処理時間
初回コールでの問題解決率
業の未来を切り開くことのできる革新的なソリューショ
ンを探し求めている。具体的にはコール・センターでの、
セルフサービス機能を備えた、知的で自動化されたチャッ
ト・ソリューションを求めている。このソリューション
を使用すれば、顧客はCSRと話すのと同じように自然言
語*1 でチャットし、リアルタイムで必要なサポートをす
ばやく受けることができる。IBM Watsonは
「コグニティ
*2
ブ・コンピューティング」
の能力を活かして、次世代の
カスタマー・エンゲージメント(顧客とのつながり)のケー
パビリティーを保険会社にもたらす。
IBM Watsonは顧客と保険会社のやりとりの方法を抜
本的に変革し、保険会社の能力としての顧客の信頼と信
用を高めることができる。Watsonの卓越性の中核にあ
るのは、自然言語、仮説生成、根拠に基づく学習という、
3つの強力なテクノロジーである。Watsonは、この3つ
の能力がこれまでにはなかった形で融合されている。保
険会社はWatsonとのリアルタイム・チャットというまっ
たく新しい方法により、顧客の問題を迅速に解決するこ
とで、抜本的に変革することができる。顧客がWatson
とのライブ・チャットで質問や問い合わせを自然言語で
行うと、Watsonは、自然言語を正しく導く能力を駆使
して、1)非構造化情報(ブログ、コール・センターのログ、
IBM Global Business Services
3
Watson の歴史
Watson とは
IBMは歴史的に研究に力を注いできた企業であり、毎年
IBMのWatsonは、次世代テクノロジーを備えたシステ
研究に60億ドルを投じてきた。Watsonはその研究成
ムの代表である。Watsonはまるで人間のように、自然
果である。Watsonには「Watson Personal Advisor」
言語を学習、理解するコグニティブ時代のシステムであ
という機能があり、人間はWatsonと自然言語でチャッ
る。すべての出力を複雑なプログラミング・ロジックで
トをすることができる。
プログラムする必要はない。Watsonは、進化すること
を前提に設計された新種のシステムであり、経験や対話
「Watson Personal Advisor」の能力は、アメリカの
クイズ番組「Jeopardy」で初めて試された。番組史上初
から学習し、時間とともに賢くなり、より優れた判断が
できるようになる。
となる人間対機械の対決で、人間である挑戦者全員に勝
利を収めたのだ。Watsonの能力を試す究極の場として
Watsonは何千という記事、出版物、書籍などの形式で
「Jeopardy」が選ばれた理由は、この番組では、従来コ
飛躍的に増え続ける保険業界関連のデータを読み取る。
ンピューターの能力の限界を超えていると見なされてき
読み取り時、Watsonは学習し、自らの知識を拡充する。
た以下のような人間のコグニティブ(認識)能力が試さ
学習時、Watsonは読み取ったばかりの知識の点と、既
れるからだ。
に持っている知識の点をつないでいく。Watsonは、さ
まざまなフォーマットで入手される無数の非構造化文書
• 自然言語処理
を処理し、その内容を理解する。そして、ビッグデータ
• 仮説の生成
との対話を自然言語で行う。ここが従来と異なるところ
• 根拠に基づく学習
だ。Watsonがさまざまな文書を読み取ってその内容を
いったん理解したら、ユーザーは自然言語で質問するこ
とができる。Watsonは、人がチャットで気さくに質問
に応答するように、自然言語によるチャットで応答する。
Watosonは質問されると、確信度付きの仮説(可能性の
コンピューターの
インテリジェンス
ある回答)を生成する。1回で正解を得ることができな
かった場合は、正解を得られるようにWatsonを支援す
プログラム可能な
システムの時代
集計機の時代
• パンチ・カード
• タイム・カード・
リーダー
1900
• 検索
• 決定論
• エンタープライズ・データ
• 機械言語
• 単純な出力
1950
学習するシステムの時代
(コグニティブ・
システム)
• 発見
• 確率論
• ビッグデータ
• 自然言語
• 高度な選択
2011
新たな機会の創出と成果の実現
る必要がある。そして、Watsonはそこからまた学習する。
Watsonは、現在持っている知識から学習するだけでな
く、知識を更新し続ける。Watsonは膨大な数のアルゴ
リズムを持っているが、それらを実行、改善し、より優
れたものにして、学習しながらさらに多くのアルゴリズ
ムを作成する。これは、人間には理解が困難なこともあ
る関係や相関といったことである。Watsonは顧客の質
問の意味を理解する。必要に応じて、顧客に対して内容
を明確にするための質問をすることもできる。
4
IBM Watson が切り開く保険業の将来
Watson は超並列システムである
?
照会
1
回答のソース
回答候補の
生成
一次検索
照会/トピック
分析
学習済みのモデルを
根拠の組み合わせと
重み付けに役立てる
2
照会の分解
仮説の生成
根拠のソース
回答のスコア
付け
根拠の検索
仮説と根拠のスコア付け
3
仮説の生成
モデル
モデル
モデル
モデル
詳細な根拠
のスコア付け
5
最終的な
確信度のマージと
ランク付け
仮説と根拠のスコア付け
確信を持った
応答
Watson は理解し、発見して学習するよう訓練される
広い領域から関連
性のあるデータを
「取り込み」、
リポ
ジトリを作成する。
1
あいまいな言葉で
の照会を理解する。
2
モデル
6
合成
4
モデル
関連性がありそう
な応答を生成する。
3
応答を裏付ける根
拠を見つける。
4
「確信度」で応答
をランク付けする。
5
機械学習により、
訓練と適合が進む。
6
Watson は保険会社にどのように役立
つか
保険のカスタマー・エンゲージメント
の課題
保険業界の革新的なリーダーは、コグニティブ・コン
CSRと話をするために長時間待たされることはこれま
ピューティングで次のレベルのカスタマー・エンゲー
で当たり前だった。テクノロジー通の保険会社の顧客は、
ジ メ ン ト を 推 進 す る 可 能 性 を 模 索 し て い る。IBM
彼らが普段保険会社のコール・センターで受ける、人間
Watsonを使用すれば、このようなエンゲージメントの
味がなく画一的な顧客サービスに対するいら立ちを強め
変革が可能になる。保険業界の革新者は、この最先端技
ている。さらにCSRは次のような能力が不足している。
*3
術の活用を今すぐ検討すべきである。
IBM Global Business Services
5
顧客をよく理解する
な量のビッグデータをCSRがすばやく確認し、適切な推
• 応対時に顧客の識別情報を持っていない — CSRは、
奨事項を迅速に導き出せるようにする。
誰が電話をかけてきたのか、その顧客が自社のどの商
品を購入しているのかわかっていない。
最初の方法の場合、個々の顧客と見込み客は、スマー
• ソーシャル・メディアのデータへのアクセスがない —
ト フ ォ ン の モ バ イ ル・ ア プ リ で「Watson Personal
各種アプリケーションの照会によって取得できる情報
Advisor」ボタンを押して認証を受けてから、Watson
(ほとんどは構造化データ)以外の情報を持っていない。
とチャットを開始し、(CSRとチャットするときのよう
• 人間味がない — マニュアルどおりの応対。
な)平易な言葉で直接やりとりすることができる。例え
• プロセス主導 — 個人を中心に考えていない。
ば、顧客は「こんにちは、Watson。もし隣人に車を貸
• 慎重 — 信用していない。
して、その人が事故に遭ったとしたら、私に保険は適用
継続的に顧客と関わる
されますか?」というような質問を平易な言葉で入力す
• 無礼 — 熱意がない。
ることができる。Watsonは、関連性のあるすべての文
• 紛らわしい — 指示に矛盾がある。
書を検索し、顧客の隣人が顧客の車両を運転する場合の
• もどかしい — 解決されない。
保険の適用について、数秒で推奨事項を返してくれる。
顧客の自立を支援する
Watsonからの返答を経験・検討し、必要があれば、顧
• 時間がかかる — 待ち時間が長い。
客はWatsonとチャットして、「Watson、この推奨事項
• 不便 — 営業時間、サポートチャネル。
の元となった根拠を示してください。」と依頼すること
• いら立ち — 同じことが繰り返される。
もできる。Watsonは、すぐに該当の推奨を行った際に
使用した根拠のサマリーを表示する。例えば、Watson
カスタマー・エンゲージメントの課題
に対する Watson のアプローチ
は「あなたの自動車保険の条件# 1.1および例外# 2、お
よびあなたが現在居住するニューヨーク州で最近あった
類似の裁判の判決から、先ほどの推奨を行いました。」と
保険会社は、次のいずれかの方法でWatsonの機能を活
応答するかもしれない。それに対して、顧客はもう一度
用することができる。1)顧客や見込み客が、自然言語
Watsonにチャットで「Watson、先ほど根拠の説明で
のチャットでCSRではなくWatsonと直接対話できるよ
挙げていた判決について、詳細を表示してくれますか。」
うにする、もしくは、2)WatsonをCSRの支援ツール
と依頼することができる。すると、Watsonは判決の情
としてコール・センターに配置し、顧客に関係する膨大
報をすべて表示する。
目標
課題
アプローチ
人や企業の対話方 顧客が、どのチャネルでも、自分 受電する全ての問い合わせのお Watsonは、複数のチャネルにわたってリア
法を変革する。
は理解されており、熱意のある応 よそ半分が解決されていないが、ルタイムで文脈に沿って内容を理解し、パー
対を受け、自立を支援してくれて 情報にうまくアクセスできてい ソナライズされた経験を提供する。
いると感じられるようにする。
れば61%は解決できた。
現在進行している 以前はつながりの弱かった顧客に 2年ごとにデータが倍増する中 Watsonは、複数のチャネルにわたってリア
エンゲージメント 熱意を持って応対し、売上を増や で、洞察を得て、顧客を理解す ルタイムで文脈に沿って内容を理解し、パー
の障壁を低くする。す。
ることは難しい。
ソナライズされた経験を提供する。
労働力の最適化を 顧客経験の向上により、純利益を コンタクト・センターの人件費 クラウドからアクセスできるWatsonは、平
促進する。
増やし、効率を高めてコストを削 は 年 間3000億 ド ル で、 離 職 率 易な言葉で対応するため、顧客の自立を支
減する。
は年に20%、スタッフの3分の1 援してより良い成果をもたらす。
は経験が1年未満
6
IBM Watson が切り開く保険業の将来
会話の始め方の選択肢としては、Watsonはオムニチャ
各種ソーシャル・フォーラム等にある、顧客に関する膨
ネルの対話を提供できる。例えば、Watsonとの会話を
大な量の非構造化データを読み、理解して、その情報を
スマートフォンのモバイル・アプリで始め、途中で切断
使って顧客を支援するだけの時間がない。そのため、顧
しても、後からタブレットを使って同じところから続き
客の非構造化データ(ビッグ・データ)から短時間で重
の操作をすることができる(もう一度初めからWatson
要な知識を引き出して正しい推奨を行うことができない。
と会話を始める必要はなく、中断した時点から会話を続
顧客と会話するとき、CSRは通常、あらかじめ重要であ
けることができる)。Watsonのソリューションは、オ
ると決められ、構造化された書式内に配置された情報だ
ムニチャネルの顧客経験を念頭に置いて設計されており、
けを頼りにしている。
顧客がどのような手段で企業とやりとりをしようと、顧
客の要求に応じて顧客データが連携される。
Watsonはこのような課題を克服するための機能を備え
ており、構造化および非構造化ビッグデータから短時間
Watsonは、CSRの難易度1のコールのほとんどを引き
で重要な知識を引き出して、顧客に関係した有用な結果
受けることができるため、CSRは空いた時間でより複雑
をCSRに提供することができる。
な問題に取り組めるようになる。
保険会社はWatsonを活用して、コンタクト・センター
2番目の選択肢(WatsonをCSRの支援ツールとして使
のコストを削減し、次の幅広いカテゴリーで、顧客満足
用する)としては、CSRは、コールセンターのログなど
度を高めることができる。
重点分野
Watsonの活用によってどのようにコストを削減できるか
コール数の削減
• より効果的なセルフサービスを実現し、使用を増やす。
• 顧客からの保険契約処理の変更要求プロセスを自動化することで、業務コストを削減し、オペレー
ターが収益につながる活動により多くの時間を費やせるようにする。
• コール・センター経由で報告されるクレーム処理効率を向上させることで、ロス・コストを削減する。
(FNOL:First Notice of Loss)
• より効果的な自動音声応答(IVR)/自動化を実現し、自動化チャットの使用を増やす。
電話の折り返しや転送の削減 • よりスマートなルーティングにより、初回コールでの問題解決率を高める。金融機関のコール・セ
ンターのコストの最大30パーセントがルーティングで浪費されている。
CSRのコールあたりの人件費 • 保険契約への自動車の追加または削除に関する問い合わせや、保険金請求報告のコール解決時間を
の削減
短縮する(FNOL)。Watsonは、コールを高度に構造化された環境に編成することにより、長いコー
ルの削減を支援する。
• スキルの低いCSRがレベルの高い質問に答えられるようにして、専門家の必要性を軽減する。必要
とされる平均的なスキル・レベルを下げることができる。
• スケーラビリティーを高める。保険契約や保険金請求の量が増加しても、それに比例してコール・
センターのスタッフが増えるわけではない。
その他の人件費の削減
• より少ない研修で、より迅速に新規CSRの教育を行う。
• 品質保証、一貫性、および正確性の自動化の割合を増やす。
IBM Global Business Services
7
コール・センター・プロセス ‒ Watson コストインパクト・センター
顧客
コンタクト・
センター
コール
3
e -メール
チャット
Web
「今手元にある計算書を見な
がら話しています」
「現在のローンに
ついてです」
「私の金利はどうして
変わったのですか?」
「どのカテゴリーのご用件か
確認させてください」
IVR、
コール・
ルーティング
eルーティング
ニーズ1
ニーズ2
ニーズ3
ニーズ4
ニーズ5
「問題について、もう少し
詳しくお聞かせください...」
「お答えいたします...」
品質保証
7
5
2
階層1
IVR、
コール・
ルーティング
対話の記録
階層2
CRM
CRMのUI
4
6
その他のツール
その他の情報
セルフサービス(Web)
1
セルフサービスの効
果を高める。
IVR/自動化の効果
を高める。
1
2
よりスマートなルー
ティングにより、
初回コールでの問
題解決率を高める。
3
コールの解決時間
を短縮する。
4
保険業界における活用方法例
スキルの低いエー
ジェントがレベルの
高い質問に答えら
れるようにする。
5
より少ないトレーニ
ングで、より迅速に
新規エージェントを
増やせるようにする。
6
品質保証の自動化
比率を向上させる。
7
4.複数の応答 — 1つの正しい答えが存在する単純な決定
Watsonの保険における活用例の典型的な特徴は、次の
論型の回答よりも、複数の応答や確率論型の結果が重
とおりである。
要で、情報の受け手が十分な情報と根拠に基づいた決
定を下すために、一連の考慮点に重み付けをして評価
1.自 然言語 — やりとりが自然言語で行われる状況。平
を行う必要がある場合。
易な言葉でのコミュニケーションでできる会話。
5.非構造化データと構造化データ — 情報の性質として、
2.文 脈に即した内容 — 内容を文脈に当てはめることが
ブログ、コール・センターのログ、SNS等への投稿な
重要な状況。単純な「はい」や「いいえ」では不十分
どの非構造化情報と、保険契約関連文書(保証書、裏
な場合。顧客を活用例の中心に置き、各顧客にパーソ
書/特約、申告書類、引受関係記録、保険金請求履歴、
ナライズされた回答や応答を提供することが重要な期
アジャスター関係記録、請求や支払いの履歴などを含
待となっている状況。
む)などの構造化情報が混ざっている状況。
3.継 続的な学習 — 顧客から日々寄せられる質問に答え
るために継続的な学習が必要とされる状況。
これらは、最適な応答がどのようになされるのかという
可能性に対して、新たな洞察を提供することで、今後探
求し利用できると考える機会の領域である。
8
IBM Watson が切り開く保険業の将来
ユースケース
説明
顧客経験を一新する
顧客サービス
• 重要な質問に回答することで、 • 顧客満足度の向上
• 顧客満足度のポイント数の改善
顧客とCSRの自立を支援する。 • 新規顧客の獲得
• 年齢グループ別の顧客離れ低下率
• できれば、構造化データの分 • トレーニング・コストの削減、監 • 収益増加率
析を加え、予測的/規範的結果
督者の必要性の低減、応答速度と • コール・センター業務でのコスト
を生み出す。
メリット
KPI
正確性の向上
• クロスセルによる保険料の増加
顧客経験を一新する
保険アドバイザー
節減率
• 顧客保持の増加率
• 顧客の保険ニーズやギャップ • 顧客満足度の向上
• 収益増加率
を包括的に捉えられるように • 新規顧客の獲得
• 顧客数の増加率
することで、保険アドバイザー
保険契約の販売とクロスセルの増
•
• 顧客満足度のポイント数の改善
の自立を支援する。
加による収益の増加
• 顧客保持の増加率
• 保険契約や適用対象に関する
質問に回答する。
Watson:シングル・ユーザーという
想定で、導入におよそ 18 ~ 22 週間、
投資利益率(ROI)の実現まで 12 カ
月が必要
IBM の Watson コグニティブ・コン
ピューティングについて
シングル・ユーザーの想定で導入する場合、非公開デー
ベーションから、商用テクノロジーへと進化させた。現
タベースからWatsonに、18 ~ 22週間かけて保険会社
在 は ク ラ ウ ド で 提 供 さ れ、 新 し い 消 費 者 ア プ リ ケ ー
の商品固有の情報を読み込ませることができる。このよ
ションや企業アプリケーションに利用できるようにな
うな情報には、運用マニュアル、商品の公開情報、保険
り、Watsonは24倍高速化し、パフォーマンスも2,400
契約、保険金請求、保険引受ガイドライン、引受関係記録、
パーセント向上してよりスマートになった。また、IBM
アジャスター関係記録、保険金請求履歴、e-メール、顧
はWatsonのシステムサイズを90パーセント小型化し、
客向けフォーラム、コール・センターのログなどがある。
ベッドルームの大きさからピザの箱を3個重ねた大きさ
このような情報を読み込み、訓練を終えると、Watsonは、
にまで縮小した。
米 国 の テ レ ビ の ク イ ズ 番 組「Jeopardy!」 で の 勝 利 か
ら約3年、IBMはWatsonをゲームプレイのためのイノ
CSRには見つけられないようなデータを提示するように
なる。これは、Watsonがキーワードに基づくテキスト
IBMの創始者であるトーマス・J・ワトソン(Thomas
一致検索を行うだけではなく、意味的なつながりを検索
J. Watson)にちなんで名付けられたIBM Watsonは、
するからである。さらに、WatsonはCSRよりずっと早
IBMの基礎研究所で開発された。自然言語処理とアナリ
く情報を見つけることができる。
ティクスを使用して、人が考えるのと同じように情報を
処理するWatsonは、ビッグデータを迅速に分析、理解
Watsonに加えて、保険会社は、ビジネス・コンサルティ
し、対応する組織の能力に大きな転換点が訪れたことを
ング、高度な分析、ハードウェア、IBM の研究部門の資
象徴している。Watsonが自然言語で出題された複雑な
産などを含む、IBMソリューションの総合的なポートフォ
質問に、すばやく、正確に、確信をもって回答する能力は、
リオも活用し、Watsonの能力をさらに増強できる。こ
次世代の顧客経験によって、保険会社が将来の保険のあ
のようなすべての能力を結集することで、保険会社は顧
り方を見直すことを支援している。
客に次世代の顧客経験を提供し、それによって将来の保
険のあり方を一新する存在として、独自の立ち位置を確
保することができる。
IBM Global Business Services
Watson はクラウド上で提供されるサービスとして利用可能
「教育」には複数のレベルがある。ますはじめに保険の知識である
(Watson は、自動車保険とは何か、保険の適用対象は何か、免責金額や
保 険 金 限 度 額 は い く ら か、な ど に つ い て 知 る 必 要 が あ る)
。ま た、
Watson は、
「超過額賠償責任保険」
という用語が特殊な保険カバーを指
していることや、商品の種類やパッケージなど、会社固有の知識も必要
コンテンツをアップロードし、 であり、最後に実際の経験知識
(個人やより大口の団体の被保険者に関
Q&Aのペアを追加する
するもの)も必要になる。
準備
構成
教育
• コンテンツの特定
• ユースケースに合
わせた構成と適応
• ユーザー・エクスペ
リエンス
(UX)
の検証
• 文書(PDF、HTML
など)の自動取り
込み
• Q&A トレーニング・
セットの作成
エグゼクティブ SME
自動化された
コンテンツ取り込み
ツール
IT開発者
パイロット
ツールキットで
カスタム UI の作成が
可能
実行
• 本番環境での
Watson の利用
• テストと評価
SME
IT開発者
SME IT開発者
アクティビティー
監視ツールでの
結果評価と
推奨事項の提供
Q&A ペアを使用した
トレーニングと
正確性の向上
パイロット・ケースを
本番環境に移行する。
本稼働のQ&Aペア
WCEO End User UI
構成/展開サイクル = 18~22週間
(シングル・ユーザーを想定した場合)
IBM Watsonは、クラウド経由でアクセス可能なサービスとして提供される
ユーザー
質問
パブリック・クラウド
回答
IBMプラットフォーム
プライベート・クラウド
メタデータ
(問い合わせパターン、データ・モデル、オン
トロジーなど)
アルゴリズム アルゴリズム アルゴリズム アルゴリズム
公開情報
第三者の
データ
顧客情報
IBMの
データ
ハイブリッドIT
拡張
• コーパス*4の拡張
• 新領域での
Watson の利用
IT開発者
SME
既存のインフラスト
ラクチャーとの緊密
な統合またはスタン
ドアロンでの提案
9
10
IBM Watson が切り開く保険業の将来
詳細情報
するには、ハッシュタグ「#ibmwatson」を付けてくだ
IBM Watsonの 詳 細 は、 こ ち ら を ご 覧 く だ さ い。
さい。
ibmwatson.com
FacebookのWatsonページは、こちらです。facebook.
Watsonに関するソーシャル・ディスカッションに参加
com/ibmwatson
著者について
Mike Adler
Shyam Kumar Yerramsetti
Mike Adlerは、IBMの グ ロ ー バ ル 金 融 サ ー ビ ス の
Shyam Kumar Yerramsettiは、IBMのグローバル保険
Watsonリ ー ダ ー と し て、 金 融 サ ー ビ ス に お け る
イノベーションのリーダーです。クラウド、ビッグデータ、
Watsonの戦略とソリューションの定義を担当してい
アナリティクス、モビリティー、テレマティクス、およ
ます。この役割に就く前は、IBMの保険ビジネス・コン
びIBM Watsonコグニティブ・コンピューティング・テ
サルティング・サービスで、戦略、ソリューションと
クノロジーを組み合わせた最先端ソリューションの提供
サービスの展開、顧客リレーションシップ、デリバリー
方法に関する、IBMの最重要のソート・リーダーの1人
など、業務の全側面の責任者でした。ACORD、IASA、
として知られています。保険会社がIBM Researchの先
NAMIC、PricewaterhouseCoopers の Executive
進的な研究機能を活用し、顧客経験、顧客に対する洞察、
Property & Casualty Conferenceな ど、 保 険 業 界 の
およびカスタマー・エンゲージメントを抜本的に変革し
リーダーが集う会議に頻繁にゲスト講演者として招か
ていく際の支援を専門としています。保険業界(企業保険、
れ、保険市場の展望について語ってきました。以前は、
健康保険、および個人保険)で10年を超える経験があり、
Insurance & TechnologyのElite 8 CIO(8人 の 精 鋭
さらに世界のトップクラスのIT企業で15年にわたるコン
CIO)の選考委員会で諮問委員も務めており、その発言
サルティング経験があります。業界に関する複数のホワ
は、Gartner、Forrester、Insurance & Technology、
イト・ペーパーを共同執筆したほか、世界の大手保険会
Insurance Networking、Business Insuranceをはじ
社向けの複数の大規模な変革プロジェクトで対象分野の
め、アナリストや報道各社に広く引用されてきました。
専門家として貢献しました。工学修士、CPCU(イギリ
スの認定損害保険士)、FLMI(アメリカの生命保険経営士)。
IBM Global Business Services
謝辞
日本語翻訳監修
著者は、ここに記載する同僚に対し、このホワイト・ペー
遠藤 毅郎
パー執筆にあたっての協力に感謝の意を表します。
日本アイ・ビー・エム株式会社
11
グローバル・ビジネス・サービス事業
Mark McLaughlin — IBM Director of Strategy,
保険インダストリー・ソリューション
Global Insurance Industry
保険事業 ソートリーダー
John P Franzis — Associate Partner, IBM
注釈
Software Group, Watson
*1 自然言語
Salil Ahuja — Senior Product Manager, Watson
Engagement Advisor
Lalit Agarwalla — IBM Software Group, Watson,
プログラミング言語などに対して、人間が互いの意思疎
通のために日常的に使用する言語のこと
*2 コグニティブ・コンピューティング
IBMが提唱する新しいコンピューター・システムの概念。
次のような特長がある。
Watson Lab Services India
①自然言語(テキスト)、画像、音声やセンサーデータと
いった多様な非構造情報を扱えること
Elizabeth Transier — IBM Software Group, Watson
②認知的な処理を実行するために、過去の意思決定事例
や入出力データ(たとえば画像とその分類結果)から学
習を行うこと
Implementations
B K Raghavendra Rao — IBM, GBS GD, Business
Development Executive
Alex Bach — Senior Consultant, Client Value
Engineering, Watson Transformations
③コンピューターが自己学習をくりかえし、知識の更新・
蓄積を行うとともに、認知的処理の精度を向上させる
こと
*3 カスタマー・エンゲージメント
顧客とのつながり
*4 コーパス
人間が使う言語や文例のサンプルを大量に集積したもの
© Copyright IBM Corporation, 2014
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11-14 Printed in Japan
IBM、IBMロゴ、およびibm.comは、世界の多くの国で登録された
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はコモン・ロー上の商標である可能性があります。現時点でのI B M
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