イーピーエスの国際臨床データ標準(CDISC 標準)対応について

イーピーエスの国際臨床データ標準(CDISC 標準)対応について
代表取締役 代表執行役員社長
田中 尚
皆様もよくご存知のとおり、去る 2013 年 9 月 10 日に行われた医薬品医療機器総合機構(PMDA)
の説明会において、2016 年度より新医薬品の製造承認申請を行う場合、主要な臨床試験データを
CDISC 標準(具体的には SDTM 及び ADaM 形式)に則った形式で提出することが求められる旨発
表されました。
これは日本の規制要件に関する変更として、大きなインパクトがあることは言うまでもありません。
CDISC 標準は米国発の標準ですが、今や新薬開発においては事実上の世界標準となっており、国や
地域を越えて臨床データの流通を可能にする共通インフラとして機能するようになってきています。
日本においては、臨床データのインフラの整備が他の地域に比べて遅れていましたが、CDISC 標
準データ提出の義務化を機に一気に世界水準にグレードアップする動きが高まるものと考えられま
す。この動きは、日本における新薬開発環境の向上に大きく寄与するものであることは当然ですが、
将来的には市販後のデータ収集などに広がり、より効率的な EBM の実現などを通して医療水準の向
上にも大きく貢献する可能性を秘めていると考えています。
さて、CDISC 標準準拠データは、その作成に要する作業量はそれに釣り合うものなのかという疑
問が出てくるでしょう。その答えは’Yes’です。ただし、そのためには CDISC 標準を当局提出用デー
タだけに適用するのではなく、
「臨床データ処理プロセス全体の CDISC 標準を中核として再構築す
る」ことが必要となります。これまでのように、CDISC 標準とは無関係に作成されたデータを、事
後的に CDISC 標準(具体的には SDTM)データに変換するのであれば、新たに付け加えた分のコス
トが上積みとなってしまうのは当然です。それでは根本的な CDISC 標準対応となっているとは言え
ません。CDISC 標準は「データ標準」なので、その特性を理解して使えばデータ処理プロセスの合
理化・共有化により、品質(トレーサビリティー)確保とコスト管理が両立できるはずです。
弊社では、この観点にも注目して 2012 年から CDISC 標準への取組について検討・準備してきま
した。具体的には、現在 20 名を超える公式トレーニング修了者を擁し、CDISC 標準を前提とした
社内業務フローのための基本文書等の整備を進めてきました。また、データマッピングや成果物のチ
ェックに必要なツールの導入についても、随時取り組んできました。
従来、弊社では各クライアント企業のご要望を伺い、それに合わせた業務プロセスを構築・遂行す
るというスタンスで受託業務を実施してきました。今後の CDISC 標準準拠を基本とする受託業務に
ついては、上記を踏まえて、成果物であるデータの仕様に関する内容を中心に、CDISC 標準の内容
を踏まえた積極的な提案型のサービス提供を目指していきたいと考えています。
弊社には、これまでの経験に基づく日本の臨床データの特性に関する知識があります。また、日本
の CRO として日本の規制当局の情報をキャッチアップするよう日々努めています。これらに加えて
今、国際レベルの CDISC 標準対応能力を身に付けようとしています。CDISC 標準対応については、
まだようやく当局のアナウンスがあったばかりであり、今後に委ねられる部分もありますが、クライ
アントの皆様のお力を借りながら、遠からぬ来るべき日に日本発の臨床データを世界に送り出すこと
にも貢献したいと考えています。
弊社は、クライアントの皆様のご要望に合わせたサービスをご提供いたします。例えば、既に
CDISC 標準を踏まえた社内標準を持ち、その運用の一部のアウトソーシングを希望されるクライア
ントの皆様には、CDISC 標準との関係を含め申請プロジェクトレベルでその要求仕様を理解し、業
務を代行できる CRO としてサービスを提供いたします。一方、臨床データ処理への CDISC 標準適
用についてコンサルテーションを実施した上で、状況に応じて一括してアウトソーシングをお考えの
クライアントの皆様には、規制適合性と業務効率化の両立が可能な CDISC 標準全面準拠による業務
の一括受託が可能な CRO としてサービスを提供いたします。
今後の弊社の新事業サービス体制にご期待ください。
2014 年 1 月