平成 27 年度予算の編成等に関する建議

平成 27 年度予算の編成等に関する建議
平成 26 年 12 月 25 日
財政制度等審議会
平成27年度予算の編成等に関する建議
平成26年12月25日
財務大臣
麻生
太郎
殿
財政制度等審議会会長
吉川
洋
財政制度等審議会・財政制度分科会は、平成27年度予算の編成及び今
後の財政運営に関する基本的考え方をここに建議として取りまとめた。
政府においては、本建議の趣旨に沿い、今後の財政運営に当たるよう
強く要請する。
財政制度等審議会 財政制度分科会 名簿 平成26年12月25日現在
[財政制度等審議会会長
兼 財政制度分科会長]
吉川 洋
東京大学大学院経済学研究科教授
[財政制度分科会長代理] ○ 田近 栄治
一橋大学特任教授
[委
秋山 咲恵
(株)サキコーポレーション代表取締役社長
井伊 雅子
一橋大学国際・公共政策大学院教授
井堀 利宏
東京大学大学院経済学研究科教授
碓井 光明
明治大学大学院法務研究科教授
岡本 圀衞
日本生命保険相互会社代表取締役会長
倉重 篤郎
(株)毎日新聞社専門編集委員(論説室)
黒川 行治
慶應義塾大学商学部教授
古賀 伸明
日本労働組合総連合会会長
角 和夫
阪急電鉄(株)代表取締役会長
竹中 ナミ
(社福)プロップ・ステーション理事長
田中 弥生
(独)大学評価・学位授与機構教授、日本NPO学会会長
員]
[臨時委員]
○ 土居 丈朗
慶應義塾大学経済学部教授
○ 富田 俊基
中央大学法学部教授
鳥原 光憲
東京ガス(株)取締役相談役
中里 透
上智大学経済学部准教授
赤井 伸郎
大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
板垣 信幸
日本放送協会解説主幹
遠藤 典子
東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員
老川 祥一
読売新聞グループ本社取締役最高顧問・主筆代理
大宮 英明
三菱重工業(株)会長
葛西 敬之
東海旅客鉄道(株)代表取締役名誉会長
○ 小林 毅
(注1)上記は五十音順。
(注2)○は起草委員。
(株)産経新聞東京本社編集局長
佐藤 主光
一橋大学国際・公共政策大学院教授
末澤 豪謙
SMBC日興証券(株)金融経済調査部部長金融財政アナリスト
十河 ひろ美
(株)ハースト婦人画報社ヴァンサンカン&リシェス編集部編集長
高原 豪久
ユニ・チャーム(株)代表取締役社長執行役員
中空 麻奈
BNPパリバ証券(株)投資調査本部長
永易 克典
(株)三菱東京UFJ銀行取締役会長
浜 矩子
同志社大学大学院ビジネス研究科教授
増田 寛也
東京大学公共政策大学院客員教授
財政制度等審議会 財政制度分科会
審議経過
○ 中長期の経済財政に関する試算
8月 28 日(木)
○ 平成 27 年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について
9月 22 日(月)
○ 我が国財政を巡る現状等について
○ 社会保障(総論、医療・介護、子育て支援)について
10 月 8 日 (水 )
○ 防衛について
○ 有識者・委員ヒアリング
-鈴木 直道 夕張市長
10 月 15 日(水)
「超高齢化・人口減少下における持続可能な都市の形成に向けた
夕張市の取組み」
-増田 寛也 委員
「人口減少問題について」
○ 公共事業について
10 月 20 日(月)
○ 農林水産について
○ 基金等について
○ 社会保障(年金、生活保護、障害福祉)について
10 月 27 日(月)
○ 文教・科学技術について
○ 地方財政について
11 月 7 日 (金 )
○ エネルギー・環境、中小企業について
○ 外交関係について
11 月 14 日(金)
○ 「平成 27 年度予算の編成等に関する建議(案)」について
12 月 17 日(水)
○ 「平成 27 年度予算の編成等に関する建議(案)」について
目
次
Ⅰ.我が国財政の現状と課題
1.我が国財政の現状と見通し・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.財政悪化の背景と問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・3
【コラム】欧州債務危機と我が国への教訓・・・・・・・・・・・6
Ⅱ.財政健全化に向けた基本的考え方と具体的取組み
1.財政健全化に向けた基本的考え方・・・・・・・・・・・・・8
2.27年度予算編成の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
3.来夏の財政健全化計画に向けて・・・・・・・・・・・・・・15
Ⅲ.27年度予算編成における具体的取組み
1.社会保障・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
2.地方財政・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
3.教育・スポーツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
4.科学技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54
5.公共事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
6.農林水産・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62
7.エネルギー・環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66
8.中小企業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
9.外交関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
10.防衛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
(参
考)
1.資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
2.平成27年度予算の編成等に関する建議 (概要)
・・・・・・・187
Ⅰ.我が国財政の現状と課題
1.我が国財政の現状と見通し
我が国の予算は、急速な高齢化の進展による社会保障関係費等の増大
により歳出が経済成長を上回る早さで伸び続けている一方、長期にわた
る景気の低迷や減税等の影響により税収は伸び悩み、近年では歳入の半
分を借金に依存せざるを得ない状態が恒常的に続いている。新規国債発
行額が増加傾向にあり、その結果、26 年度末の普通国債残高は約 780 兆
〔資
円1と見込まれ、国際的にも歴史的にも類をみない水準となっている。
料Ⅰ-1-1~3参照〕
このような深刻な財政状況にもかかわらず、預金等の潤沢な家計金融
資産等を背景に国債が引き続き安定的に消化されている。近年のデフレ
経済下において、現金・預金を選好することが合理的であるため、家計
の金融資産における現金・預金等が増加傾向にある一方で、1990 年代後
半以降の企業の資金需要の低迷を受け、銀行等の金融機関の貸出が伸び
悩み、その資産運用が国債に向かった。結果として、家計の潤沢な預金
〔資料Ⅰ
等が、金融機関を通じて、国債の安定的な消化に寄与してきた2。
-1-4、5参照〕
さらに、2013 年4月以降、日本銀行が量的・質的金融緩和を実施し、
新規国債発行額を上回る規模で市場からの国債買入を開始し、本年 10 月
には追加的な緩和を実施した。
〔資料Ⅰ-1-6参照〕
この「異次元」の金融緩和政策については、異例の大量の国債買入に
より、市場が自律的に作用しなくなり、過度な財政支出等に警告する市
場の機能が損なわれ、財政規律を弛緩させているとの指摘もある。日本
銀行は、
「国債買入などの政策は、財政ファイナンスと受け取られた場合、
長期金利が上昇し、緩和政策の効果が失われる可能性がある」との見解
1
2
復興債 11.4 兆円を除くと、769.0 兆円。
先般の欧州債務危機時に、家計金融資産が比較的潤沢なイタリア(家計金融純資産の対名目
GDP 比:イタリア 177.8%、日本 262.3%(OECD stat に基づく 2012 年の計数))においても国
債金利の上昇が生じたことを踏まえれば、潤沢な家計金融資産の存在が、必ずしも国債の安定的
な消化を可能とするとは言えない。
-1-
を示している。〔資料Ⅰ-1-7参照〕
現在のところ、こうした事情を背景に、一見安定している国債市場の
動向であるが、今後は全く楽観視できない3。〔資料Ⅰ-1-8参照〕
現状でも、国債の市場金利や既発債の加重平均金利は低下傾向にある
ものの、膨大な債務残高を背景に利払費は微増傾向にある。
米国の量的金融緩和政策が段階的縮小を通じて本年 10 月に終了が宣言
されたように、今後、我が国においても、
「物価安定の目標」が実現すれ
ば、日本銀行による異次元の金融緩和政策も出口を模索し、その際、国
債の需給環境が悪化し、金利の上昇が予想される。
また、家計部門の資金余剰は、高齢化の進展に伴う貯蓄率の低下とあ
わせて趨勢的に減少傾向にあり、家計金融資産も伸び悩みが予想される。
家計の資産選択においても、物価上昇が見込まれる中で現金・預金の選
好をするとは限らない。景気回復が進展する中で企業の資金需要が回復
すれば、金融機関の貸出が増加し、これまでのような国債投資が継続す
ることは期待できず、資金需要の高まりとともに金利が上昇することが
予想される。
そして、金利が一旦上昇すれば、その影響は国債の残存期間にわたっ
て残り、更に金利が継続的に上昇する場合には、将来の利払費が雪だる
ま式に増大する恐れがある4。〔資料Ⅰ-1-9参照〕
また、借換債発行予定額が税収を大きく上回る5ことから、仮に、金利
が急上昇して政府が市場から資金調達をすることが困難になれば、当年
度の税収だけでは既発債の償還が不可能な事態に陥る恐れがある。実際、
ギリシャ等の欧州諸国において発生した欧州債務危機において、国債に
対する信認が失われ、国債の格下げや国債金利の急騰により、既発債の
償還も含め政府が必要な財政資金を市場から調達することが困難になっ
3
4
5
消費税率 10%への引上げ延期の方針が示された後、格付け会社において、日本国債に対する格
付けを格下げ又は見直しを行う動きが見られる。
「平成 26 年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」
(26 年1月 30 日 財務省)によれば、27
年度以降、各年限債の金利が一律に1%上昇した場合の利払費等の増加について、27 年度+1.0
兆円、28 年度+2.5 兆円、29 年度+4.1 兆円と試算。
26 年度予算において、税収見込が 50.0 兆円であるのに対して、
借換債発行予定額は 124.3 兆円。
-2-
た。
日本の財政の現状を踏まえれば、政府の財政健全化の取組み姿勢に対
して市場が疑念を抱いた場合、金利が急上昇し、金融緩和政策の効果が
失われるだけではなく、政府の資金調達が困難になり、政府・日銀では
何らの対応もできない事態となる恐れがあることを認識すべきである6。
2.財政悪化の背景と問題点
我が国予算の歳出構造を見ると、26 年度予算における一般会計の基礎
的財政収支対象経費(以下 PB 対象経費)
(72.6 兆円)のうち、社会保障
関係費が 42.0%(30.5 兆円)
、地方交付税交付金等が 22.2%(16.1 兆円)、
残りが公共事業、教育、防衛等の経費であり、社会保障関係費と地方交
付税交付金等でその6割以上を占める。この歳出構造は、近年の国債発
行額増加にも反映されており、赤字国債を発行しなかった2年度以降の
国債残高の増加における歳出面の要因の多くは社会保障関係費と地方交
付税交付金等で説明される7。〔資料Ⅰ-2-1~4参照〕
このことは、社会保障や地域の行政サービスを享受する現世代が応分
の負担をすることなく、国債発行を通じた将来世代からの借金に安易に
依存し続けた結果である。
〔資料Ⅰ-2-5参照〕
なお、バブル崩壊以降の累次の補正予算をはじめ、近年では 2008 年秋
のリーマン・ショックへの対応や 2012 年度の景気対策等による財政支出
の一時的な拡大も債務残高の増大に影響を与えている。
(1)社会保障給付費と公費負担の問題点
我が国の社会保障制度は、社会保険方式を採りつつも、保険料とは別
に公費負担に相当程度依存している。〔資料Ⅰ-2-6参照〕
社会保険方式が本来、国民自らが高齢や疾病等に対して自ら備える自
6
7
「欧州債務危機と我が国への教訓」については、コラム(P.6)参照。
2年度末(決算)から 26 年度末(予算)にかけての公債残高増加額 603 兆円における歳出の増
加要因 335 兆円のうち、社会保障関係費による増加分が 210 兆円、地方交付税交付金等による
増加分が 78 兆円となっている。
-3-
助の取組みを前提にした支え合いの仕組みであることを踏まえれば、高
齢者を含めた現世代の受益は、現世代が自ら負担しなければならない。
公費負担は、皆保険制度の下で、保険料負担が困難な低所得者に対する
支援や加入者リスクの異なる保険者間の財政調整といった考え方に則っ
て限定的に許容されるべきものである。
しかしながら、保険料のベースとなる雇用者報酬が全体として頭打ち
となっている中、受益者とそれを支え合うべき現世代が応分の負担をす
ることなく、赤字国債を原資とした公費負担への依存割合を安易に増加
させてきた。赤字国債の発行を通じて、現世代の受益を将来の世代が負
担することは、世代間に不公平をもたらし、自助を前提とする社会保険
方式の意義を損なっている。現世代の過少な負担は、社会保障サービス
の過剰需要を生み出すとともに、サービス提供者の効率化に向けた動機
を阻害している。
このような社会保障における公費負担と赤字国債を通じた受益と負担
の不均衡は、直接的に財政状況を悪化させるだけでなく、過剰需要によ
り社会保障給付費を増大させ、間接的にも財政に悪影響を与えている。
〔資料Ⅰ-2-7参照〕
(2)地方交付税制度の問題点
現行の地方交付税制度は、地方公共団体に財政規律が働きにくい仕組
みを内在しており、地方の歳出の増加をもたらしていると同時に、その
財源を補填する国の財政負担も増している。
もともと地方交付税制度は地域住民の受益を国民全体で負担する仕組
みであり、受益と負担の対応関係が希薄なため、地方政府において歳入
としてコストが意識されにくい。
他方で、地方交付税制度を通じて、地方が一定の行政サービスを提供
できるよう国が財源を保障することとされているため、財源保障の範囲
の安易な拡大を求める声を招きやすく、その範囲を画すべき地方財政計
画の歳出に対して膨張圧力が働く構造になっている。その結果が、地方
財政計画における特別歳出枠をはじめとする内訳や積算根拠が曖昧な歳
出項目であり、これらの過大計上が地方政府レベルにおいて実需とはか
-4-
け離れた無駄な歳出を更に助長している可能性がある。
〔資料Ⅰ-2-8
参照〕
このような地方の財政規律が働きにくい地方交付税制度の下、財政健
全化目標を共有し一体として財政健全化を進めるべき国と地方の関係に
おいて、国が赤字国債を発行して財源補填を行い、地方だけが収支を改
善させているというアンバランスな状態が続いている8。
なお、子育て、医療、介護等の社会保障サービスは地方を通じて国民
に提供され、社会保障費用は国にとどまらず、国が管理しない地方単独
事業も含めて地方歳出においても伸長を続けている。その費用の一部は
地方交付税交付金等を通じて国が負担していることから、高齢化により
伸び続ける社会保障費用と効率化が進まない地方財政制度が相まって、
国の財政悪化の構造的な要因になっている点にも留意が必要である。
8
地方公共団体の多くは PB 黒字が続いており積立金残高も増大している。その一部は公金預金
として積み上がっている。
-5-
【コラム】欧州債務危機と我が国への教訓
(1)債務危機の背景
ギリシャにおいては、2001 年のユーロ導入により域内からの資本流入が活発化し、
2004 年のアテネオリンピック開催等を背景として国内需要が増加し、高い経済成長
を実現した。こうした金融・経済状況を背景に海外投資家のギリシャ国債に対する投
資需要が高まり、国債金利も低下し、政府の資金調達は容易になった。しかし、資金
調達環境の改善は財政規律の弛緩を招き、財政赤字が拡大し債務残高も増大した。同
時に経常収支の赤字も拡大し、いわゆる「双子の赤字」が常態化した。
(2)欧州債務危機の基本的な構図とその影響
2009 年 10 月にギリシャ政府の財政統計に不正が発覚したことを契機に、ギリシャ
国債の信用に対して市場が疑心暗鬼になると、国債の格下げとあわせ、国債金利が短
期間に急騰した9(「財政危機」の発生)。また、ギリシャ国債を保有していた国内大
手金融機関に多額の損失が発生し、深刻な経営危機に陥った(「金融危機」の発生)。
その結果、ギリシャ政府は、国債発行、すなわち市場からの財政資金の調達が困難に
なり、IMF や EU 等に資金援助を要請するに至った。〔資料Ⅰ-2-9~11 参照〕
この影響は、リーマン・ショックの影響等により財政状況等が悪化していたポルト
ガル、スペイン、イタリア等の欧州諸国にも波及し、国債の格下げと国債金利の上昇
が相次ぎ、欧州域内の一部大手金融機関の経営が悪化した。こうした事態に対し、本
来であれば預金者保護や金融システム維持の観点から政府が実施する資金援助等の
対応について、政府自身の資金調達が困難になったことから十分に措置できず「金融
危機」の影響を抑えることが困難となった。
このように欧州債務危機は、財政に対する信認低下をきっかけに国債金利が短期間
に急騰する「財政危機」が発生すると同時に、国債を保有する金融機関の経営悪化と
いう「金融危機」が発生し、当該国だけでは対応できないリスクを露呈することとな
った。
IMF や EU 等からの支援を受けた国では、支援条件として、社会保障を含む広範
かつ大幅な歳出削減や基幹税の増税等、歳出・歳入両面について厳しい財政再建策を
求められた。そして、行政サービスの縮減と負担増への反発からデモやストライキの
9
2010 年4月 23 日の 8.7%から同年5月7日の 12.4%へと、14 日間で 3.8%上昇した。その後
も乱高下を続け、2012 年3月2日には 37.1%まで急上昇した。(出典:Bloomberg)
-6-
発生が相次ぐとともに、政治情勢も不安定化し、国民生活への影響は計り知れないも
のとなった。〔資料Ⅰ-2-12、13 参照〕
(3)我が国への教訓
我が国の場合、豊富な国内貯蓄等を背景に大量の国債が安定的に消化されてきた。
他方、通貨統合後のギリシャ同様、資金調達の容易さが政府の財政規律の弛みをもた
らしかねない状況に置かれており、債務残高の累増が示すとおり、財政健全化の取組
みが十分とは言えない。
また、我が国においては、ギリシャと異なり、国債の海外投資家保有割合は低い一
方、国内金融機関や中央銀行の保有割合が高いことから、金利上昇時における資本逃
避が起きにくいものの、国債価格下落の影響は国内金融機関に対して極めて大きい影
響を及ぼす可能性があり、財政危機発の金融危機の影響は極めて大きいことをよく認
識する必要がある。
我が国においても、財政運営に対する信認が失われることになれば、政府や日銀で
対応ができないまま、短期間に国債金利が急騰し、財政危機と金融危機が同時に発生
しかねない。統一通貨であるギリシャと異なり、我が国では財政危機や金融危機が発
生した場合、為替調整が作用し、大幅かつ急激な円安により国民生活は多大なる影響
を被る可能性は否定できない。さらに、仮に、国際機関等による支援を受けることに
なった場合でも、我が国の経済規模や債務残高の現状を踏まえれば、十分に対応でき
ない恐れがある。
-7-
Ⅱ.財政健全化に向けた基本的考え方と具体的取組み
政府は、国・地方をあわせた基礎的財政収支(プライマリー・バラン
ス、以下 PB)について、①2015 年度までに 2010 年度に比べ赤字の対
GDP 比を半減、
②2020 年度までに黒字化、③その後の債務残高の対 GDP
比の安定的な引下げを目指す、との財政健全化目標を掲げ、その実現に
向けて取り組んでいる。
財政健全化目標について、内閣総理大臣は、来夏までに 2020 年度まで
の国・地方の PB 黒字化目標の達成に向けた具体的な計画を策定する旨を
表明した10。国・地方の PB 黒字化に向け、来年度(27 年度)は国・地
方の PB 赤字対 GDP 比の半減目標年次であり、同目標を確実に達成しな
ければならない。
当審議会として、Ⅰ.で述べた財政の現状と問題点を踏まえ、財政健
全化目標の確実な達成に向けた取組みの基本的考え方を示すとともに、
27 年度予算及び来夏に向けた課題を示す。
1.財政健全化に向けた基本的考え方
財政健全化目標の実現に向けては、
(1)給付と負担の両面における改
革を通じ将来世代に負担を先送りしない持続可能な社会保障制度を構築
するとともに、
(2)社会保障以外の経費について、今後の人口減少社会
を見据えた行政サービスの見直しと歳出の効率化を通じて出来る限り抑
制していくことを基本的な考え方とし、国と地方は一体として財政健全
化の取組みを進める必要がある。
既に膨大な債務残高を抱え金利変動に伴う財政リスクの高い我が国に
内閣総理大臣記者会見(26 年 11 月 18 日)(抄)
・「財政再建の旗を降ろすことは決してありません。国際社会において、我が国への信頼を確保
しなければなりません。そして、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たしてまいりま
す。安倍内閣のこうした立場は一切揺らぐことはありません。」
・
「2020 年度の財政健全化目標についてもしっかりと堅持してまいります。来年の夏までにその
達成に向けた具体的な計画を策定いたします。
」
10
-8-
おいては、債務残高対 GDP 比の安定的な引下げという財政健全化目標の
達成のためには、PB11が均衡するだけでは不十分であることを忘れては
ならない。すなわち、PB の均衡を経て、中長期的には金利と成長率の関
係及び債務残高対 GDP 比の水準によって決まる一定以上の PB の黒字幅
を確保する必要がある。
こうしたことから、実際、主要先進国では、利払費を含めた財政収支12
を財政健全化目標の指標として定めている13。我が国においても、今後は
財政収支をも注視していく必要がある。
〔資料Ⅱ-1-1参照〕
内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(以下「中長期試算」)(26
年7月 25 日 経済財政諮問会議提出)の「経済再生ケース」では、経済
成長の実現に伴い金利も上昇し、2020 年度には名目長期金利が名目経済
成長率を上回る試算となっている。このため、財政健全化目標に沿って
2020 年度までに国・地方の PB 黒字化を達成した後、安定的に債務残高
を引き下げていくためには、金利変動に伴う利払費増加のリスクを抑制
していく必要がある。
〔資料Ⅱ-1-2、3参照〕
また、国と地方が一体として財政健全化に取り組むにあたり、地方が
国の財源保障に依存し財政健全化に向けた意欲が損なわれることがない
よう、地方財政制度の在り方の見直しは不可欠である。
加えて、本来、財政法でその発行が認められていない赤字国債を主な
歳入手段として恒常的かつ大量に発行している現状に鑑みると、財政健
全化の取組みを踏まえながら、今後、財政制度の在り方を検討していく
ことが求められる。
(1)持続可能な社会保障制度の構築
我が国財政の現状を踏まえれば、給付と負担の均衡がとれた社会保障
制度の構築は、持続可能な財政制度の構築の大前提である。
11
政策的経費(PB 対象経費)が税収等でどれだけ賄われているかを示す指標。
フィスカル・バランス(FB)とも呼ばれ、「政策的経費(PB 対象経費)+利払費」が税収等
でどれだけ賄われているかを示す指標。PB が均衡したとしても利払費分だけ債務残高の実額は
増大していく。なお、財政収支の均衡とは、特定の PB 黒字幅に対応するものである。
13 2010 年6月の G20 トロント・サミット以降、日本以外の先進国は、2013 年までに少なくとも
財政収支の赤字を半減させ、2016 年までに政府債務の対 GDP 比を安定化又は低下させること
にコミットし、財政健全化の取組みを進めている。
12
-9-
政府は、社会保障の安定財源確保と財政健全化を達成すべく、社会保
障と税の一体改革に取り組んでいる。同改革の下、今後も高齢化により
増加する社会保障給付の負担について、消費税収を社会保障財源化する
ことにより、将来世代に負担を先送りせずに現世代で幅広く公平に負担
を分かち合うことにした。
しかし、消費税率が 10%に引き上げられても、国と地方の消費税収14と
社会保障4経費の間には依然としてかなりの収支差が生じると見込まれ
る。そのため、2025 年にはいわゆる「団塊の世代」が全て 75 歳以上の
後期高齢者となることを踏まえ、2020 年度までに給付と負担の両面にお
ける「ポスト社会保障と税の一体改革」を早急に実施しなければならな
い。
〔資料Ⅱ-1-4参照〕
具体的には、当審議会でも議論を行ってきたように、①過剰な急性期
病床の削減などの医療・介護の提供体制の改革、収支差等を踏まえた報
酬水準の抑制、後発医薬品の使用促進など給付面の徹底した効率化・合
理化に取り組む必要がある。さらに、②年齢や制度で区分せず、経済力
に応じた公平な負担を求めていく必要がある。その上で、③必要な政策
対応は、消費税収をはじめとした財源を確保して実施していくことを基
本とする必要がある。
現在、政府は、
「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推
進に関する法律」に基づき、社会保障制度改革推進会議において、持続
可能な社会保障制度の確立に向けた総合的な検討を開始しており、当審
議会でも同推進会議との適切な連携の下、2020 年度までの国・地方の PB
黒字化への道筋の検討とあわせ、持続可能な社会保障制度の具体的な在
り方について給付と負担の両面にわたり引き続き議論していく。
(2)人口減少社会における行政サービスと歳出の在り方
少子高齢化による人口減少社会において、現下の深刻な財政状況を踏
まえれば、高齢化という不可避な増加要因のある社会保障以外の各歳出
14
従来の地方消費税1%分については、①消費税導入時に、個別間接税の廃止による代替財源と
して、消費税収の一部(2割)を地方へ譲与する消費譲与税として配分するとされたこと、②9
年の消費税率引上げ時に、消費譲与税を地方消費税化したことを踏まえ、社会保障財源とせずに、
一般財源とされている。
-10-
分野において拡大は原則採り得ない。
「選択と集中」により、将来の身の
丈にあった歳出構造にしていく必要があるとともに、PDCA サイクルを
通じた不断の見直しと効率化を図らなければならない。
当審議会では、今審議期間中、人口減少と厳しい財政制約という、今
後、国や地方公共団体が直面する困難な課題を現実の問題として抱えて
いる夕張市の取組みについて聴取する機会を得た。夕張市は、北海道一
の人口減少率、高齢化率、少子化率の中、財政再生団体15としての厳しい
財政制約の下、地域の持続可能性を模索しながら財政の立て直しを進め
ている。具体的には、教育、医療、住居等の街の機能を集約し持続可能
で効率的なまちづくりに取り組む中、公共施設や住居の移転等の住民に
不便を強いる政策をはじめ、各種負担軽減措置の廃止等、行政サービス
と歳出の効率化を図りつつ、市民税や下水道料金等の引上げといった歳
入面の改革を行っている。
行政サービスの縮減や負担増については、財政再生団体という現実に
加え、地域住民の合意が得られるよう、客観的データに基づいた現状分
析や将来の見通しを踏まえ、地域の実状に応じた中長期の計画を策定し、
それを住民に明示することにより、その理解を得ながら進めている点が
重要である16。
夕張市の例に限らず、今後、人口減少に向かう各地域において、これ
まで政府や地方公共団体が整備を進めてきた、道路や上下水道等のイン
フラ、病院、学校、図書館、公営住宅等の公共施設等について、需要減
少に伴う利用率低下が見込まれる。このため、将来の人口規模や需要見
込みに比して余剰又は過大なスペックとなる公共施設については、
「選択
と集中」を通じて、維持すべき公共施設の選別、集約化、統廃合、スペ
ックの見直しを行っていく必要がある。
また、政府の補助金や地方単独事業等を通じて行われている各種の負
15
地方公共団体の財政の健全化に関する法律において定められた4つの財政指標(実質赤字比率、
連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)から成る「健全化判断比率」に基づいて、
財政の早期健全化や再生が必要とされた地方公共団体(都道府県、市町村及び特別区)を指す。
16 夕張市の行政サービスの見直しの中で、公共施設の維持管理や地域活性化イベント事業等にお
いて、これまでの行政の役割を代替する住民ボランティア活動等、行政の役割に対する地域住民
の意識改革や住民連携の取組みが見られる。
-11-
担軽減措置や地域活性化等のソフト事業については、PDCA サイクルの
検証等を通じて、国民や地域の住民にとって真に必要な行政サービスで
あるかどうかを問い直していく必要がある。こうしたハード・ソフト両
面にわたる行政サービス・事業の見直しは、市町村にとどまらず広域で
「選択と集中」を行う観点から、都道府県が主体的に取り組む必要があ
る。
今後、社会保障以外の経費については、事業の見直し、無駄の排除と
効率化を通じてできる限りの抑制を図る中、時々の経済社会情勢におい
て、特に対応が必要な分野においては既存経費の枠内で重点化していく
とともに、事業の質の改善を図ることが求められる。厳しい検証・評価
を通じた事業の見直し・質の改善に取り組むことなく、予算や人員等規
模の拡大・増加を図ることは厳に慎むべきである。
なお、従来、補正予算で実施されてきた一時的な公共事業の拡大や各
種の経済活性化策等についても再検討が必要である。一時的な需要創出
を要する経済状況であっても、歳出の内容は、今後の人口減少を踏まえ
た中長期の見通しや計画と整合的なものでなければならない。加えて、
労働力人口の減少等による供給面での制約が顕在化しつつあることを踏
まえれば、今後は、期待される需要創出効果すら十分発揮されない恐れ
もある。
2.27 年度予算編成の課題
(1)消費税率引上げ延期と財政健全化目標
来年度(27 年度)は、国・地方の PB 赤字対 GDP 比の半減目標の達
成年度であり、2020 年度までの国・地方の PB 黒字化に向けた試金石と
なる年度である。
こうした中、政府は、27 年 10 月より 10%に引き上げるとされてきた
消費税率について、その税率引上げを 29 年4月まで延期することとした。
この結果、27 年度に想定していた消費税率の 10%への引上げに伴う増収
-12-
分(1.5 兆円程度)が見込めなくなり、国・地方の PB 赤字対 GDP 比の
半減目標の達成は相当厳しいものとなる17。
しかし、消費税率引上げの先送りによって、2015 年度の国・地方の PB
赤字対 GDP 比の半減目標を目指す努力を放棄してしまっては、財政健全
化路線の後退との謗りは免れない。財政健全化目標は累次の閣議決定を
経て国際的にもコミットしてきた極めて重要な目標であり、財政健全化
のプロセスで入口にあたる国・地方の PB 黒字化に向けた中間目標の実現
さえも覚束なければ、政府の経済財政運営に対する市場の信認や国際的
な評価を失いかねない。徹底的な歳出削減や歳入確保により、国・地方
の PB 赤字対 GDP 比の半減目標を達成することこそが、27 年度予算編
成を意義あるものとする。
その際、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すと
の社会保障と税の一体改革の趣旨と同改革に至る国民的議論を踏まえれ
ば、消費税増収分等を活用することが法定されている18社会保障の充実策
について、見直しは避けられない。社会保障の充実策については、消費
税の増収額に応じて増加させるとの考え方の下、消費税率 10%の場合は
、消費税率8%の間は 1.35
2.8 兆円程度19(増収額が満年度化する年度)
兆円程度との説明が政府からなされており、その方針に沿って、27 年度
及び 28 年度において社会保障の充実策の優先順位付けを行わなければな
らない。
同時に、後述する介護報酬の適正化などの単価の抑制や経済力に応じ
た公平な負担の確保などを通じて、社会保障給付の徹底的な合理化と効
「中長期試算」では、2015 年度(27 年度)の国・地方の PB 赤字の対 GDP 比は▲3.2%と半
減目標が達成される姿となっているが、半減目標▲3.3%との差額は 7,000 億円程度にとどまり、
予算執行の繰越や消費税率引上げ延期による税収減を踏まえれば、その実現は相当難しい。
〔資
料Ⅱ-2-1参照〕
18 いわゆる社会保障制度改革プログラム法(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の
推進に関する法律)第 28 条において、「社会保障の充実は消費税増収分及び同法に基づく重点
化・効率化により財源を確保する」旨規定されている。
19 27 年 10 月から消費税率を 10%に引き上げた場合、27 年度の社会保障の充実策を 1.8 兆円ま
で増やし、子ども・子育て支援の充実、医療介護サービスの提供体制の改革、低所得者の介護保
険料の軽減、難病等への対応の充実、低所得高齢者への福祉的給付等の年金制度の改善などに取
り組むことになっていた。
17
-13-
率化を行うことを含め、各歳出分野において聖域なき徹底した歳出削減
を断行する必要がある。
(2)経済対策と 26 年度補正予算編成
政府は、足元の経済状況に対応するため、経済対策と 26 年度補正予算
の編成に取り掛かっている。
財政健全化目標の指標となっている国・地方をあわせた PB は、特別会
計・独立行政法人及び地方政府等を含むとともに、国民経済計算(SNA)
に基づく補正予算を含めた執行の繰越等を考慮した支出ベースで判断さ
れることに留意する必要がある。
そのため、SNA ベースの PB は、補正予算の執行の繰越により、当初
予算ベース(計上ベース)よりも悪化することは避けられない。したが
って、27 年度が国・地方の PB 赤字対 GDP 比の半減目標年次であるこ
とを踏まえ、経済対策及び 26 年度補正予算の規模や各事業内容について
厳しく精査するとともに、今後の人口減少を踏まえた中長期の見通しや
計画と整合的なものとする必要がある。
(3)「まち・ひと・しごと創生」
政府は、地域の人口減少等を踏まえ、
「まち・ひと・しごと創生」を重
要政策課題に位置付け、検討を進めており、各地域が、地域の現状や将
来の見通しを分析し、まちづくりや医療・教育等の各種サービスの地域
の供給体制等について、中長期の現実的な計画を策定することが大前提
となる。しかし、地方公共団体から、具体的な計画や積算のないまま、
旧態依然とした自由度の高い財源を全額国費で求める声があがっている
ことは大いに問題である。まずは、都道府県・市町村が、総合的な計画
を策定することが不可欠であり、本格的な予算措置の検討は、28 年度予
算編成過程以降とすべきである。検討にあたっては、バラマキ型の対応
をしないという「基本方針」(26 年9月 12 日 まち・ひと・しごと創生
本部決定)等を踏まえ、既存の補助金の統廃合等により財源を確保し、
明確なアウトカム指標を用いて政策目標を設定し、厳格な効果検証を実
施するといった仕組みを設けるべきである。
〔資料Ⅱ-2-2参照〕
-14-
(4)基金の適正化
基金20は、予め複数年度にわたる事業の財源を確保し、事業者の裁量で
弾力的に支出できる仕組みであるが、財政規律の緩みが懸念される。
このことを踏まえれば、基金については、適正かつ効率的に国費を活
用する観点から、毎年度の PDCA サイクルとして「予算措置(Plan)→
執行(Do)→徹底した点検(Check)21→余剰資金の国庫返納(Action)」
を確立していく必要がある。
今後、基金の造成につながる予算措置については、補正予算を含め、
財政規律の観点から、①不確実な事故等の発生に応じて資金を交付する
事業、②資金の回収を見込んで貸付け等を行う事業、③事業の進捗が他
の事業の進捗に依存するもの、といった基金によることが適当と考え得
る事業を除いて厳しく抑制していくべきである。
余剰資金については、行政改革推進会議における取組みを踏まえ、執
行率や今後の事業見込みを厳しく精査し、年度末実績も反映した不要額
の国庫返納に努めるべきである。
3.来夏の財政健全化計画に向けて
内閣総理大臣は、消費税率 10%への引上げを 29 年4月まで延期する
一方で、その際の確実な引上げとともに、来夏までに 2020 年度(32 年
度)までの国・地方の PB 黒字化目標の達成に向けた具体的な計画を策定
する旨を表明した。
当審議会においては、団塊の世代の更なる高齢化により社会保障に要
20
基金の現状は、リーマン・ショック以降、毎年度数兆円規模の予算措置が行われ、25 年度補正
予算において約 1.2 兆円、26 年度予算において約 1.4 兆円を措置。25 年度末時点で国庫補助金
等により公益法人等に造成された基金残高は約 3.1 兆円、地方に造成された基金残高は約 4.5 兆
円となっている。(26 年9月末、10 月末を目途に各府省が公表した基金シート及び地方公共団
体等執行状況表に記載されている計数を単純合計したもの。)
21 基金については、昨年度から、行政事業レビューの一環として、行政改革推進会議の下、各府
省による自己点検が適切になされているか否かについて、外部有識者も交えながら必要な検証を
行っている。
-15-
する費用が急増する一方、金利変動や国債の需給環境の変化等、国内資
金環境の変化により膨大な債務残高を維持できなくなる可能性等を踏ま
え、来夏までに 2020 年度(32 年度)までの国・地方の PB 黒字化に向
けた具体的な工程を示す必要がある旨を、
「財政健全化に向けた基本的考
え方」(26 年5月 30 日)において指摘し、
「経済財政運営と改革の基本
方針 2014」(以下「骨太方針 2014」
)(26 年6月 24 日 閣議決定)にお
いても、同目標の達成に向けた具体的な道筋を早期に明らかにすること
を閣議決定している。
〔資料Ⅱ-3-1、2参照〕
政府は、Ⅱ.1.で示した基本的考えに基づき、来年夏までに 2020 年
度(32 年度)までの国・地方の PB 黒字化を確実に達成するための具体
的な道筋を示した新たな財政計画を明らかにしなければならない22。他の
先進国同様、信頼に足る具体的な計画を示すことが、政府の財政運営に
対する市場の信認と国際的な評価を維持する前提である23。
そして、2020 年度(32 年度)までの国・地方の PB 黒字化に向けては、
現在の意思決定に参画することのできない将来世代に対して、これ以上
負担のつけ回しを行うことのないよう、29 年4月には消費税率を確実に
引き上げる必要がある。
22
「中長期試算」においては、実質2%程度、名目3%程度と高い経済成長率を前提にした「経
済再生ケース」であっても、2020 年度時点で国・地方の PB は▲11 兆円程度(対 GDP 比▲1.8%
程度)の赤字が残ると見込まれている。このため、来年夏までに策定する新たな財政計画におい
ては、▲11 兆円程度の赤字を解消した上で、国・地方の PB を黒字化するための歳出・歳入両
面の具体的方策を盛り込む必要がある。〔資料Ⅱ-3-3参照〕
23 25 年4月の G20 財務大臣・中央銀行総裁会合コミュニケにおいては、
「日本は、信頼に足る中
期財政計画を策定すべき」とされ、政府は同年8月に「中期財政計画」を策定し、9月の G20
サンクトぺテルブルク・サミットにおいて同計画を報告した。同計画においては、2015 年度の
国・地方の PB 赤字対 GDP 比の半減目標の達成に向けた 26 年度(2014 年度)及び 27 年度(2015
年度)の収支改善幅等が示されているが、2020 年度までの国・地方の PB 黒字化に向けた具体
的な道筋は示されていない。
-16-
Ⅲ. 27 年度予算編成における具体的取組み
1.社会保障
社会保障給付費は、全体の総論でも述べたとおり、いわゆる「団塊の
世代」が全て 75 歳以上となる 2025 年に向けて、医療・介護を中心に急
激に増加する。特に医療に係る公費負担の増加が著しい。一方、年金は
16 年改正において導入された、固定された財源の範囲内に収まるよう給
付水準を自動調整するマクロ経済スライドの仕組みを十分に機能させる
ことが重要である24。医療・介護の保険制度の持続可能性を確保するため
の改革は、改革効果の発現に一定程度の期間を要することを勘案すると、
2020 年度までに実施されることが不可欠である。
〔資料Ⅲ-1-1参照〕
また、消費税率が 10%に引き上げられても、国・地方の消費税収と社
会保障4経費の間には依然としてかなりの収支差が生じると見込まれる。
2020 年度までの国・地方の PB 黒字化という財政健全化目標に向けて、
最大の PB 赤字要因である社会保障4経費と消費税収との差額を解消し
ていく必要があり、財政健全化目標との整合性の観点からも、社会保障
制度において 2020 年度までの歳出・歳入両面にわたる改革の実施が不可
避である。
医療・介護給付費が大きく増加する一つの理由として、1人当たり医
療費や介護費が急増する 75 歳以上人口が大きく増えることがある25が、
厚生労働省の推計では、人口高齢化の影響だけでなく、1人当たり医療
費(単価)自体の伸びも大きく影響している。当審議会は、これまで、
いわゆる「自然増」について、診療報酬の薬価部分について市場実勢価
格を上回る過大要求があることや、診療報酬本体において高齢化による
影響以外に「医療の高度化等」と称して様々な要素の伸びが織り込まれ
ていることなどを指摘し、
「自然増」の検証の必要性を提案してきた。
〔資
24
厚生労働省の将来見通し(24 年3月)においても、2025 年度に向けて、年金はマクロ経済ス
ライドの効果もあって GDP の伸びの範囲内となる一方、医療は約 1.5 倍、介護は約 2.3 倍と、
負担のベースとなる GDP 等の伸びを大きく上回って増加するとされている。
25 75 歳以上人口は現在の約 1,500 万人から 2025 年には約 2,200 万人へと約 700 万人増えると見
込まれている。
-17-
料Ⅲ-1-2参照〕
人口高齢化の影響を強く受ける 75 歳以上の後期高齢者医療給付費及び
介護給付費は、2025 年に向けて、年平均約6%増える見込みだが、その
うち約3%は高齢者人口の伸びによる影響、その他の3%はいわゆる「高
度化等」と呼ばれる高齢化以外の要因によるものとなっている。後期高
齢者医療給付費及び介護給付費は、その財源の多くを消費税収及び現役
世代の保険料収入で賄うこととなっている。消費税収は経済成長率と同
じ伸び、保険料総額は賃金上昇率から労働力人口の減少を差し引いた水
準で伸びていくことを考えると、消費税率又は保険料率を引き上げない
前提では、
「中長期試算」における「経済再生ケース」でも3%程度、
「参
考ケース」では2%程度の伸びとなる。
こうしたことを考えると、後期高齢者医療給付費及び介護給付費につ
いて、高齢化等に伴ういわゆる「自然増」と言われている社会保障の伸
びのうち、
「自然増」として受け止められるのは、高成長が中長期にわた
って継続した場合においても高齢者人口の伸びによる増(年+3%)ま
でであって、少なくとも、その他の高度化等による増(年+3%)につ
いては制度の持続可能性確保のための改革の対象とする必要がある。
高齢化以外の要因によるいわゆる「自然増」については、以下の3つ
の柱の下で、全体像を示しながら、改革に取り組んでいく必要がある。
〔資
料Ⅲ-1-3参照〕
①
過剰な急性期病床の削減や平均在院日数の短縮などの医療介護提
供体制の改革、収支差等を踏まえた報酬の抑制や薬価引下げ等の単
価の伸びの抑制、後発医薬品の使用促進などの保険給付の範囲の見
直し・重点化などの徹底した合理化・効率化
②
年齢や制度で区分せず、経済力に応じた公平な負担の確保(高齢者
の負担の見直し等)
③
①、②の取組みを行った上で、在宅医療の推進や地域包括ケアシス
テムの構築等、真に必要な新しい政策課題への対応については財源
を確保して実施
こうした取組みにより、中期的に給付の伸びと国民の負担能力の伸び
を近づけ、社会保障の持続可能性を確保していく必要がある。
-18-
さらに、社会保障制度の持続可能性の問題を、財政の観点から見ると、
本来税財源により賄われるべき公費負担の財源を赤字国債の発行を通じ
て将来世代へ負担の先送りを続けてきている結果、必要となる改革の規
模はより大きなものとなることに留意すべきである。
(1)医療
①医療提供体制の改革
我が国の機能別の病床の分化の状況、さらに病床総数は大きな課題を
抱えており、その結果、国民の入院行動に大きな影響を及ぼしている。
まず、我が国の病床は、急性期を念頭に高い診療報酬点数となっている
「7対1入院基本料」を算定する病床が過剰となっており、高コスト構
造になっていると同時に、今後回復期等のニーズが高まることに対応し
ておらず、医療の質を確保する観点からも問題がある。また、病床総数
でみても、人口 10 万人当たり病床数は、都道府県単位で最大3倍の開き
があり、人口当たり病床数が多い都道府県ほど、1人当たり国民医療費、
平均在院日数、入院受療率が高く、供給が需要を生む構造となっており、
適正化の余地が大きい。病床数が多い結果、病床当たりの医師数や看護
職員数が過小となり、密度の低い医療や長い入院期間にもつながってい
る。また、将来的には、診療所についても分析を深めて改革を進めてい
くべきとの意見があった。
医療提供体制の改革は、このような高コスト構造を変えて医療費の適
正化を図りつつ、医療の質の確保につながるものである。既に成立した
医療介護総合確保推進法に示された考え方・枠組みに沿って諸施策が開
始されているが、来年の医療保険制度改革法案によって補完・強化して
いくべき論点が残されており、これらについては、以下の4つの改革を
実効性のある形で実施していくことが重要である。〔資料Ⅲ-1-4参
照〕
まず、医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県は 2025 年における
機能毎の必要病床数を定めることとなっており(地域医療構想)
、この算
定方法について今年度中に国がガイドラインを示すこととなっている。
この将来の必要病床数の算定方法については、社会保障制度改革推進本
-19-
部の下に設置されたワーキンググループで検討がなされているが、単に
現状を投影した医療需要を推計するだけではなく、データ等に基づき客
観的に求められた地域毎のあるべき病床数、平均在院日数を踏まえた医
療提供体制の在り方、さらには、地域差の分析を踏まえて認められる不
合理な差異(例えば入院受療率)を解消した医療提供体制の在り方をそ
れぞれ示す必要がある。その上で、不合理な差異を解消した医療提供体
制の在り方を「目指すべき医療提供体制」と明確に位置づける必要があ
る。都道府県によるこれらを盛り込んだ地域医療構想の策定は、医療提
供体制の改革に向けた出発点であり、30 年の医療計画の改定に間に合わ
せるスケジュール感ではなく、極力 27 年度中、遅くとも 28 年度中には
策定すべきである。
第二に、都道府県は地域医療構想と整合的な医療費適正化計画とを両
者一体のものとして速やかに策定する必要がある。そのため、来年度の
医療保険制度改革において、医療費適正化計画の在り方を見直し、地域
医療構想と整合的な医療費の水準に関する目標や、平均在院日数や後発
医薬品の使用割合等の医療の効率的な提供に関する目標を明確に位置づ
ける必要がある。さらに、これらの目標が達成できない場合の改善措置
の策定など、PDCA サイクルの実効性を高める措置が必要である。医療
費適正化計画は地域医療構想と一体のものであり、地域医療構想を 27・
28 年度中に策定した上で、28 年度(遅くとも 29 年度)には各都道府県
が医療費適正化計画を新制度の下で見直すべきである。
第三に、来年度の医療保険制度改革において、国民健康保険制度の運
営主体を現在の市町村から都道府県に移行することが課題となっている。
これにより、医療提供体制に関する計画の策定に関する責任主体と国民
健康保険の保険運営の責任主体が都道府県で一致することとなる。保険
者機能が適切に発揮されるよう、標準保険料率の決定など、国保の運営
に係る責任・権限を適切に都道府県に移行すべきである。
最後に、今般の医療提供体制改革に伴って各般の財政措置を講ずるに
当たっては、病床の機能分化・連携や医療費の適正化等に向けた保険者
(都道府県)の努力を促すものとしていく必要がある。消費税財源が充
当される医療介護総合確保基金の 27 年度以降の配分に当たっては、地域
-20-
医療構想を早期に策定し病床の機能分化・連携を積極的に進める都道府
県に対して優先的に配分していくことが不可欠であり、その配分と効果
を国民に分かりやすい形で示すべきである。国保に対する財政支援の強
化に当たっては、社会保障制度改革プログラム法において、
「国保の更な
る財政基盤の強化を図り、国保の財政上の構造的な問題を解決」するこ
ととされていることを踏まえ、一般会計繰入を行っている自治体への単
純な補填ではなく、保険者支援制度の強化等のほか、財政上の構造問題
の解決に資する観点からの医療費適正化に向けた保険者機能の発揮を促
すような形で措置する必要がある。また、医療費水準の地域間格差が保
険料に的確に反映されるような国保の普通調整交付金の配分方法の見直
し等を図るべきである。
②医療保険制度改革
今般の医療保険制度改革においては、上述の国民健康保険の運営に係
る責任・権限を適切に都道府県に移行することに加えて、保険給付範囲
の見直し・重点化や負担の公平化等に係る足元の課題については、社会
保障制度改革プログラム法等に則り、来年の医療保険制度改革関連法案
において、改革を推進していく必要がある。
〔資料Ⅲ-1-5参照〕
イ)保険給付範囲の見直し
医療制度の持続可能性を確保する観点から、来年の医療保険制度改革
や次期診療報酬改定において患者の QOL(Quality of Life)等に配慮し
つつ、保険給付の範囲を抜本的に見直し、給付を重点化していく必要が
ある。
後発医薬品の更なる使用促進については、我が国の後発医薬品のシェ
アは、他の主要国が 70%以上となっているのと比較して 40%程度と著し
く低く、厚生労働省が独自に設定している 30 年度目標「60%」の目標は、
従来の政府目標と比べて低位であるなど「遅すぎ、低すぎ。
」の状況にあ
り26、他の主要国の状況を踏まえ、早急に目標を再設定すべきである。
26
政府は、従来、24 年度末までの後発医薬品シェアの目標を掲げていたが、これが未達成となっ
た。その後、厚生労働省は独自の 30 年度末目標「60%」を設定しているが、これは従来の政府
-21-
また、具体的な使用促進策に向けて、これまでの医薬品メーカー、医
療機関、保険薬局、患者等の各種の取組みに加えて、保険者がその機能
を発揮して被保険者に使用を促す枠組みを強化していく必要がある。来
年度の医療保険制度改革において、国保への新たな財政支援の活用、後
期高齢者支援金の加減算制度の抜本的強化、後期高齢者医療制度におけ
る特別調整交付金の配分の見直しなどを行う必要がある。
さらに、次期診療報酬改定において、後発医薬品の使用を促進し医薬
品に係る保険給付の在り方を適正化する観点から、後発医薬品が存在す
る先発医薬品について、その保険給付額を後発医薬品の価格に基づいて
設定し、それを上回る部分については患者負担とすることで、患者の医
薬品選択におけるインセンティブを引き出す制度を検討すべきである。
その他の改革としては、まず、来年度の医療保険制度改革や次期診療
報酬改定において、在宅療養等との公平性の観点から入院患者の食事代
を見直すとともに、市販品類似薬について、公平性の観点から保険給付
の対象から除外する取組みを加速化すべきである。また、医療提供施設
相互間の機能の分担を推進する観点から、紹介状なしで大病院を受診す
る場合の患者負担の仕組みを導入すべきである。
その上で、その次の改革に向けて、リスクの大きさや医療技術の QOL
等への影響度に応じた患者負担の在り方や、柔道整復療養費について、
例えば定額制の導入や受領委任払いが実施可能な施術所の限定など、そ
の適正化の在り方について検討すべきである。
ロ)負担の公平確保
高齢化の更なる進展に伴い、今後、現役世代の社会保障負担の増大が
見込まれる中、制度の持続可能性確保の観点から、年齢・制度で区分せ
ず、経済力に応じて公平に医療費を負担していくことが必要である。
〔資
料Ⅲ-1-6参照〕
まず、高齢者の負担については年齢で区分するのではなく、現役と同
じ負担能力を有する高齢者には同等の負担を求めることが必要である。
目標を約8%下方修正するものである。
-22-
具体的には、来年の医療保険制度改革において高額療養費の外来特例の
廃止や後期高齢者医療の保険料特例措置の段階的廃止を進める必要があ
る。特に、後期高齢者医療の保険料特例措置の見直しについては、消費
税率 10%への引上げ時に、低所得高齢者に対する年金福祉的給付の支給
が行われることが法定されていることなどとあわせて、世代間の公平性
の観点から本則に戻す必要性を丁寧に説明すべきである。また、現在、
前期高齢者の自己負担割合を段階的に1割から2割に引き上げているが、
原則1割となっている後期高齢者の自己負担割合の在り方や高齢者の高
額療養費を別建てとすることの是非についても、次の改革課題として明
確に位置づけることが必要である。
次に、現役世代の負担についても、負担能力に応じた負担を徹底する
必要があり、被用者間では、来年の医療保険制度改革において、後期高
齢者支援金について、全面総報酬割に早急に移行する必要がある。また、
標準報酬月額等の上限について、医療技術の高額化等を踏まえ、引上げ
を進める必要がある。さらに、最終的には被用者保険を統合することも
視野に、前期高齢者納付金の総報酬割など、被用者間の負担の公平化を
図る各種の措置について、次の改革に向けて検討を開始すべきである。
なお、全面総報酬割については、協会けんぽに対する国庫補助を、所
得の高い健保組合を中心に他の被用者保険全体の保険料で肩代わりする
構図となるため、慎重な対応を求める意見があった。
保険者に対する公費支援については、現世代の税負担や将来世代の負
担(赤字国債)によるものであり、被保険者の所得水準等に鑑みて合理
的な水準に抑制する必要がある。具体的には、来年の医療保険制度改革
において、協会けんぽに対する国庫補助率をリーマン・ショック後の危
機対応措置を開始する前の水準(13%)に段階的に戻すべきである。ま
た、所得水準の高い国保組合の国庫補助について、原則廃止する必要が
ある。
③診療報酬・薬価
薬価については、
「骨太方針 2014」において、
「薬価調査、更には薬価
改定が2年に一度となっている現状の下では、医薬品の取引価格が下落
-23-
しているにもかかわらず、保険から償還価格が一定期間据え置かれてい
るため、患者負担、保険料負担、公費負担に影響を与えている。このよ
うな現状を踏まえ、調査・改定に係るコストにも適切に配慮しつつ、他
の統計に与えている影響や市場価格形成の状況を勘案して、市場実勢価
格を適切に反映できるよう、薬価調査・薬価改定の在り方について、診
療報酬本体への影響にも留意しつつ、その頻度を含めて検討する」とさ
れている。ここで示された課題と検討方針を踏まえ、薬価基準が市場実
勢価格を適正に反映したものとなるよう、薬価調査・薬価改定の在り方
の見直しを具体的に進めていく必要がある。
(2)介護
介護費用については、居宅サービスや 18 年度に新設された地域密着型
サービスを政策的に推進してきたこともあって、足元の3年間では全体
として年5%程度の高い伸びとなっており、これに伴い介護保険料が増
加している。報酬単価の抑制等の徹底した合理化・効率化を行いつつ、
消費税財源を活用した地域包括ケアシステムの構築に向けた必要な政策
対応を行うなど、メリハリをつけた制度改革等を進めていく必要がある。
①27 年度介護報酬改定
その一環として、27 年度の介護報酬改定においては、介護サービス事
業者の経営状況や社会福祉法人の内部留保の状況を踏まえた基本報酬の
適正化を行う一方で、介護職員の処遇改善加算の拡充、24 時間対応の定
期巡回サービス等の充実による地域包括ケアシステムの構築の推進等を
進めるなど、メリハリをつけながら、全体としてはマイナスとし、介護
保険に係る国民負担の軽減を図るべきである。なお、介護報酬の適正化
1%当たりで約 1,000 億円の介護費用が減少し、利用者負担、介護保険
料、税金という形で国民負担の軽減につながる。また、27 年度は、介護
報酬改定の外枠で、低所得者の保険料軽減や地域包括ケアシステムの構
築に向けた認知症対策をはじめとした医療介護連携の推進、新たな基金
による施設整備の推進等を行うこととしており、介護報酬改定だけでな
くこれらを含めた全体像で議論していく必要がある。〔資料Ⅲ-1-7、
-24-
8参照〕
厚生労働省による直近の介護事業経営実態調査において、介護サービ
ス全体の平均収支差率は+8%程度となっており、一般の中小企業の水
準(+2~+3%)を大幅に上回っている。国民負担によって賄われて
いる介護報酬の水準がそれぞれのサービス提供に必要なコストを大幅に
上回っているのは適当でなく、介護報酬の基本部分については、サービ
ス類型ごとの収支状況を適切に反映させ、全体としては一般の中小企業
並みの水準となるよう、少なくとも▲6%程度の適正化を図るべきであ
る。
〔資料Ⅲ-1-9参照〕
また、当審議会としては、特別養護老人ホームの約 95%を経営する社
会福祉法人において、巨額の内部留保が蓄積されていることをかねてよ
り指摘してきたが、本年 10 月に公表された財務省予算執行調査において
は、改めて特別養護老人ホーム全体で約2兆円、1施設当たり3億円の
内部留保が蓄積されている事実が確認されたところである。介護保険料
負担や利用者負担などの国民負担を原資として、内部留保を徒に蓄積さ
せることは適当でなく、今般の介護報酬改定に当たっては、社会福祉法
人の内部留保が現在の水準から更に蓄積しないよう、特別養護老人ホー
ムなどの報酬の基本部分を大幅に引き下げる必要がある。
他方で、課題となっている介護職員の処遇改善については、厚生労働
省の調査によれば、これまでの累次の取組みにより、21 年度以降、介護
職員の給与を月額約3万円相当引き上げる効果があったとされているが、
処遇改善加算の拡充という形で報酬の基本部分とは別枠で措置すること
により、引き続き、事業者に追加の負担を求めることなく、介護職員の
更なる処遇の改善を図ることが可能となる。地域包括ケアシステムの構
築に向けて介護職員の確保が不可欠であること、介護サービスは人件費
が過半を占める労働集約的な事業であり、介護職員の処遇改善を図るこ
とにより、介護サービスの質の向上を目指すことが出来ることを踏まえ、
消費税財源を活用して現行の処遇改善加算を拡充することにより更なる
処遇改善を図る必要がある。〔資料Ⅲ-1-10 参照〕
なお、介護報酬の基本部分について、平均収支差率を現在の+8%程
度から一般の中小企業並みの水準(+2~3%)まで▲6%程度引き下
-25-
げたとしても、全体として適正な収支差率は確保されることから、現行
の人件費の水準に影響を与えるものではなく、国民負担の軽減と介護職
員の更なる処遇改善の両立を図ることができる。
②社会福祉法人の内部留保の活用
社会福祉法人の内部留保については、「規制改革実施計画」(26 年6月
24 日 閣議決定)に基づき、内部留保の活用に向け、社会福祉法人に対す
る社会貢献活動の実施の義務付けについて検討が進められている。社会
福祉法人は公益性の高い社会福祉事業の実施主体として、国から補助金
の交付を受けるほか、原則非課税とされる。一方で、事業から生じた剰
余金の法人外への支出・処分が禁止されるとともに解散時の残余財産は
国庫に帰属することが法定されている。こうした社会福祉法人の財務規
律に鑑みれば、公費や保険料(以下公費等)より生じた剰余金及びその
蓄積である内部留保は、本来、国庫返納や報酬改定時の剰余分の控除を
行うべき性格のものである。したがって、その内部留保の活用にあたっ
ては、営利法人とは異なり、強い公的規制を受けて然るべきであり、社
会貢献活動の実施の義務化に当たっては、使途が適正なものとなるよう
にすべきである。このため、公費等を原資とした内部留保については明
確に区分経理することを求めた上で、それらは公費等を充てて現に実施
している事業に対して適正に再投資することを基本とし、他の事業に充
てられて消費されることのないようにしなければならない。さらに、社
会福祉法人の内部留保の活用状況について引き続きフォローアップを行
った上で、内部留保の活用状況や社会福祉法人に対する課税の議論も踏
まえつつ、必要に応じ、内部留保の国庫返納などを視野に入れた対応を
検討すべきである。
③次期介護保険制度改革に向けた課題
総論で既述したように、介護給付費は今後とも相当程度の伸びが見込
まれており、介護保険料をはじめとする国民負担を抑制し、制度を持続
可能なものとするため、次期介護保険制度改革において、現行の介護保
険でカバーしているサービス範囲を抜本的に見直すとともにより効率的
-26-
なサービス提供体制を促していく必要がある。この観点からは、例えば、
軽度者に対する訪問介護の大部分は掃除や一般的な調理・配膳を中心と
した生活援助であるという実態などを踏まえれば、訪問介護・通所介護
の予防給付が 27 年度以降順次地域支援事業へ移行する状況も踏まえつつ、
軽度者に対する給付の地域支援事業の移行などについて検討していく必
要がある。その際、軽度者に対するサービスを効率化する必要がある。
また、介護サービスの価格については、介護報酬の範囲内で自由に設
定できる仕組みとされているが、サービス価格が報酬の上限に張り付い
ている実態にある。在宅サービスについて、引き続き自由な参入を可能
とするのであれば、サービスの質を確保しつつ、確実に価格競争が行わ
れる仕組みを構築すべきである。さらに、負担の公平性の観点から、利
用者負担の見直しや、介護納付金の総報酬割についても検討していく必
要がある。介護療養病床については、29 年度末までに廃止されることに
なっており、医療の必要度に応じた機能分担を推進するとの考えの下、
着実に改革を進めていくべきである。
(3)子育て
子育て支援については、消費税率 10%への引上げによる財源のうち 0.7
兆円を活用して、現在約 225 万人の保育の受け皿を潜在ニーズ含め約 40
万人拡大するなど保育の量の拡大を図るほか、職員配置の改善や処遇改
善等の保育の質の改善等を図ることとなっている。これにより、0~5
歳児の5割弱の子どもの保育の受け皿が整備されることになる。
一方で、社会保障と税の一体改革時の法案審議において、子育て支援
の質・量の充実を図るため1兆円超の財源確保が必要であり、消費税財
源で確保した 0.7 兆円を超える部分の 0.3 兆円超の財源確保に努めること
が政府に求められている。
子育て支援策については、10 年度においては、児童手当や育児休業給
付といった現金給付は約8割を事業主負担で賄う一方、保育サービス等
の現物給付は公費中心に行われていた。その後、事業主負担が中心だっ
た現金給付についても公費中心に充実してきた結果、事業主負担割合は
2割程度まで低下している。また、保育所等の現物給付も専ら公費を財
-27-
源とし、今後も公費を基本に対応するとされている。公費負担の約4割
は赤字国債に頼っている現状にあり、将来世代につけ回しをしながら、
将来世代のための施策を進めている状況にある。
子育て支援は現在及び将来の労働力確保にも資する施策であり、社会
全体でその費用を賄う観点から、更なる充実が必要な保育の現物給付(例
えば保育所運営費)に一定の事業主負担を導入することを検討すべきで
ある27。なお、これにより不要となる公費は他の子育てサービスの充実に
充当し、公費支援は縮小しないことが検討の前提であることは言うまで
もない。
〔資料Ⅲ-1-11 参照〕
その際、事業主負担は事業所内保育への資金拠出が基本となるが、27
年度からの子ども・子育て支援新制度施行によって、認可を受けた事業
所内保育は新制度の給付の対象となることを踏まえ、一定規模以上の企
業において、資金拠出に代えて事業所内保育施設の設置・地域開放とい
った選択もあってよいのではないかと考える。〔資料Ⅲ-1-12 参照〕
(4)年金
年金については、16 年改正により、将来の現役世代の過重な負担を回
避するとともに、公的年金としてふさわしい給付水準を確保するとの考
え方の下、負担面において、基礎年金国庫負担の2分の1への引上げや
保険料の段階的な引上げを行う一方、給付面においては、これらにより
固定された財源の範囲内に収まるように給付水準を自動調整する仕組み
(マクロ経済スライド)が導入された。
〔資料Ⅲ-1-13、14 参照〕
しかしながら、基礎年金国庫負担を2分の1に引き上げるための安定
的な財源を確保するのに 10 年の年月を費やしたほか、年金受給世代への
配慮から、12 年度から 14 年度にかけて物価が下落したにもかかわらず
給付額を据え置く特例措置が講じられ(特例水準)
、また、この特例水準
が解消されるまでマクロ経済スライドによる年金額の調整は行わないと
されたことから、16 年改正の仕組みは十分に機能してこなかった。
24 年に国民年金法等改正法が成立し、特例水準は 27 年4月に解消さ
27
事業主負担の拡大については慎重であるべきとの意見もあった。
-28-
れることが予定されており、これにより、漸くマクロ経済スライドが機
能する環境が整うこととなる。しかしながら、マクロ経済スライドによ
る自動調整は、現行制度の下では、年金受給世代に配慮する観点から、
前年度の年金の「名目額」を下回らない範囲で行うものとされている(名
目下限)
。このため、例えば、景気の変動に伴い賃金・物価の伸びが不十
分又は下落した場合は、マクロ経済スライドの効果が限定的となり、そ
の結果、マクロ経済スライド方式によって年金給付水準が調整される期
間が長期化し、将来の年金給付水準を低下させる。将来の年金給付水準
を出来る限り確保し、世代間の公平性を保つ観点からは、16 年改正の仕
組みを経済環境によらずに十分に機能させることが重要であり、マクロ
経済スライドの名目下限については速やかに撤廃すべきである。
なお、名目下限の見直しに当たっては、マクロ経済スライドの制度の
趣旨のほか、消費税率を 10%に引き上げる際には、低所得の高齢者等に
対しては年最大6万円の年金生活者支援給付金が支給される旨法定され
ていることもあわせて、国民に対して丁寧に説明を行うべきである。
26 年財政検証においては、社会保障制度改革国民会議の報告書や社会
保障制度改革プログラム法において提示された課題の検討に資するため、
一定の制度改正を仮定した試算(オプション試算)が行われている。こ
のうち、オプションⅢにおいては、高齢期の就労により、保険料の拠出
(支払)期間を現行の 40 年から 45 年(20~65 歳)に延長し、これを年
金額に反映させるなどの制度改正を仮定した場合について試算が行われ
ている。
こうした試算については2つの大きな問題点を指摘できる。まず、国
庫負担増が平年度化される平成 92 年度以降、国庫負担が概ね 16%程度
増加する見込みとなっているが、国庫負担の増加は将来の現役世代にと
って過重な負担となるものであり、将来の現役世代の負担の下に年金水
準を確保することは厳に避けるべきである。
第二に、無業者や非正規労働者が相当割合を占めるという現在の 60~
64 歳の就業状況を踏まえると、低所得者に対する保険料免除制度の適用
者が相当数発生すると考えられる。さらに、保有資産が十分ありながら
「引退」して所得を稼がないことを自ら選択した者まで免除制度の適用
-29-
対象となる。これらの者は、保険料の追加負担なしに国庫負担分だけ年
金額が追加的に増額されることになる。
これらを踏まえると、現行制度を前提とした保険料拠出期間の延長に
よる拠出の義務化は、高齢者の就労の実態や将来にわたる財源の確保等
を踏まえつつ、慎重に検討を行うべきである。
一方で、今後労働人口が減少することが見込まれる中、高齢者の就労
促進が課題となっていること、平均寿命の延びに応じて年金の平均受給
期間が長期化していることを踏まえれば、高齢期の就労と年金受給のバ
ランスの観点から、年金の支給開始年齢の更なる引上げは不可避である。
現在、我が国では、厚生年金の報酬比例部分について、25 年度から 37
年度にかけて支給開始年齢を 65 歳に引き上げている途上にあるが、過去
の例を見ると、支給開始年齢の引上げを決定してから実施に至るまでに
相当の時間を要していることから、支給開始年齢の引上げについては、
中長期的な課題と捉えるのではなく、高齢期の働き方の議論と合わせて
早急に検討を開始すべきである。
16 年改正により、固定された財源の範囲内で年金を給付する仕組みと
なっているため、支給開始年齢の引上げは、マクロ経済スライド方式に
よって年金給付水準が調整される期間が早期に終了することで将来世代
の所得代替率の上昇につながるものである。この点については、繰上げ
受給制度を活用すれば早期の年金受給も可能である点と合わせて、政府
には丁寧な説明を行っていくことを期待したい。また、支給開始年齢の
引上げを含め、所得代替率の確保については現在の支給開始年齢やモデ
ル世帯を前提にすることなく、多面的に検討すべきである。
今後、年金制度を支える現役世代が減少し、2060 年には高齢者1人を
現役世代 1.2 人で支える状態となることが見込まれ、また、医療・介護分
野では高齢化に伴う給付増が見込まれている。これらを踏まえると、年
金制度については、長期的な持続可能性を強固にする取組みを継続する
ことが必要であり、その際には、16 年改正の枠組みを基本として、将来
にわたって現役世代の負担(国庫負担)を増加させることは厳に避ける
こと等を通じて、世代間の公平性を確保することが重要である。
-30-
(5)生活保護
生活保護の受給者数は歴史的に極めて高い水準で推移しており、足元
の経済雇用情勢の好転にもかかわらず減少幅は僅かにとどまっている。
生活保護は、最後のセーフティネットとしての機能を有するとともに受
給者の自立の助長を趣旨とする制度であるが、制度の設計・運用の在り
方によってはモラルハザードが生じかねず、かえって受給者自身の自立
を阻害する結果ともなりかねない。生活保護の給付水準が一般低所得世
帯の生活水準と均衡を欠く高いものとなれば、一般国民からの不公平感
や制度不信を招く懸念もある。生活扶助基準本体の適正化や後発医薬品
の使用の原則化等を柱とする生活保護法改正が 25 年に行われたところで
あるが、今後とも、受給者の就労を通じた保護脱却の促進や各種扶助・
加算の基準の適正化など、制度全般にわたる不断の見直しが必要である。
住宅扶助は、地域や世帯人数別に設定された基準の範囲内で家賃等の
実費が支給される仕組みとなっている。全国消費実態調査を利用した検
証によると、地域によってばらつきはあるものの、総じて住宅扶助の特
別基準額が一般低所得世帯の家賃実態よりも高い水準に設定されている。
このため、一般低所得世帯との均衡が図られる水準まで住宅扶助の特別
基準額を引き下げることが必要である。また、このような住宅扶助基準
の引下げは、住居実態に見合わない家賃を徴収して利益を得るいわゆる
「貧困ビジネス」への対策としても有効と考えられる。
〔資料Ⅲ-1-15
参照〕
冬季加算は、冬季に増加する暖房費などに対応するものとして、地域
や世帯人数別に定められた額が支給されているが、昭和 49 年以降、前年
度基準額に生活扶助基準改定率を乗じた更新のみを行っており、消費実
態を踏まえた見直しが過去 40 年にわたって実施されていない。改めて地
域別に冬季に需要が増加すると考えられる家計支出の増加額と冬季加算
額を比較すると、特に北海道、東北、北陸地方において冬季加算額が過
大となっている。このため、冬季割増額に係る消費実態の地域別偏差を
超過して設定されている冬季加算分について引下げを行う必要がある。
〔資料Ⅲ-1-16 参照〕
生活保護制度が受給者の自立の助長を趣旨としていることに鑑み、こ
-31-
れまでも、働くことが可能な受給者に対して累次の就労支援策を講じ、
その保護脱却を図ってきたところである。しかしながら、足元の経済雇
用環境はリーマン・ショック以降改善しているにもかかわらず、受給者
の保護脱却が進んでいない状況にある。このため、就労を通じた保護脱
却のインセンティブが一層働くよう、生活保護の仕組みを見直していく
ことが必要である。具体的には、受給者の就労可能性に応じて生活保護
受給の更新期を設定し、毎更新期に、就労自立に向けた受給者の努力も
勘案しつつ、保護の継続が真に必要か否かの判定を行うような仕組みを
検討すべきである。また、福祉事務所やハローワークによる就労支援を
正当な理由なく拒否した場合には、保護の廃止に至る前の段階的な措置
として保護費の削減を行えるような仕組みも検討すべきである。
医療扶助費は、生活保護費全体の約5割を占めており、持続可能な生
活保護制度の運営のためには、その適正化が不可欠である。これまでも、
特に後発医薬品の活用に向けて一般的な使用促進とあわせ積極的に取り
組んできたところであるが、既にその使用が原則化されている。後発医
薬品に係る医療扶助の基準については、生活扶助や住宅扶助の基準と同
様、最低限度の生活を保障するとの生活保護制度の趣旨を踏まえて設定
することが適切であり、後発医薬品のある長期収載医薬品については先
発医薬品ではなく後発医薬品をベースにして医療扶助の基準を設定する
ことを検討すべきである。
生活保護制度に関連する政策課題として、最低限度の生活を維持する
ことができなくなる恐れのある生活困窮者に対して生活保護に至る前の
段階の自立支援策の強化を図るための生活困窮者自立支援制度が、来年
度より実施される予定となっている。
生活困窮者自立支援制度は、生活保護に陥る恐れのある者に対する支
援を通じて、その自立の促進を図ることを目的としており、生活保護受
給者を減少させるものであることから、制度実施後において、その政策
効果が生活保護受給者の減少として確実に表れているか、事後的にしっ
かりと検証を行う必要がある。一方、制度開始時点においては、具体的
な政策効果を事前に検証できないことから、政策効果額を見込んで財源
とすべきではない。
-32-
また、本支援制度のモデル事業が既に実施されているが、来年度の制
度開始にあたっては、全国一律の予算措置によって実態にそぐわない非
効率な体制とならないよう、これまでの取組みを踏まえ、地方公共団体
の準備状況や地域のニーズに応じた相談員等の配置を行うべきである。
(6)障害福祉
障害福祉については、18 年の障害者自立支援法の施行や、その後の応
益負担の見直し等を経る中で、障害福祉サービス(自立支援給付)の予
算額が毎年 10%前後で伸びたことにより、サービスの充実が大幅に図ら
れてきた。
ハンディキャップを持つ人を社会全体で支援していくことが必要であ
り、真に支援を必要とする障害者に必要な支援を確実に行き届かせるこ
とができるようにするためにも、障害福祉サービスの提供を効率的なも
のとすることにより、制度の持続可能性を確保していくことが重要であ
る。
これまで法定雇用率の引上げ等により障害者の就労を支援してきたが、
今後、更に障害者がその能力を活かし、多様な形で社会の支え手として
活躍できるようにしていくことが重要である。
27 年度においては、障害福祉サービス等について報酬の改定が予定さ
れている。利用者数が急増する中、サービス内容や事業所の運営主体が
介護保険と類似する点があることを踏まえれば、介護保険の報酬改定と
同様の考え方に立って、更なる処遇改善等を進めつつ、経営状況等に基
づき報酬水準の適正化を図るべきである。
28 年においては、障害者総合支援法の施行後3年を目途として障害福
祉サービスの在り方等について見直しを行うこととされている。この見
直しに当たっては、障害者の自立や就労を支援するための効率的なサー
ビス提供の在り方、必要な支援の度合いに応じたサービス提供の在り方、
制度を支える財源・負担の在り方等について幅広く検討を行い、制度の
持続可能性の確保を図るべきである。
-33-
2.地方財政
我が国の地方財政制度は、全ての地方公共団体で標準的な行政サービ
スが提供されるよう、国が財源保障する仕組みとなっている。毎年度の
地方財政計画において、全地方公共団体の標準的な歳出を見込む一方、
地方税収等の自前の収入で賄うことができない収支不足(歳出・歳入ギ
ャップ)を国からの地方交付税と各地方公共団体の臨時財政対策債(赤
字地方債)で補填することとされてきた。このように収支不足が確実に
補填される仕組みとなっているため、地方公共団体が歳出抑制や歳入確
保に取り組むインセンティブを損なっていると一般的に指摘されている。
地方交付税の規模が地方財政計画における歳出・歳入の見込みに基づ
き決定されるものであることからすれば、地方財政計画上の歳出・歳入
の水準を適正なものとしていくことこそが、国・地方を通じた財政健全
化のために最も重要かつ必要な取組みである。〔資料Ⅲ-2-1参照〕
足元の国と地方の財政状況を見れば、リーマン・ショック28の後、国の
PB は赤字幅が大幅に増大する一方、地方の PB は 17 年度以降、黒字を
維持している。さらに、地方は、地方財政計画(通常収支分)ベースで
見れば、財政収支も黒字となっている。
〔資料Ⅲ-2-2参照〕
このため、国と地方の長期債務残高は、10 年前から現在(2004~2014)
にかけては、国は約 300 兆円の増加となっている一方で、地方はほぼ横
ばいとなっている。〔資料Ⅲ-2-3参照〕
(1)危機対応モードから平時モードへの切替え
地方財政においては、リーマン・ショック後の 100 年に一度と言われ
た経済危機への臨時異例の対応として、歳出面では「歳出特別枠」
、歳入
面では「別枠加算」が措置され、これらが依然として継続されている。
「骨太 2014」では、地方財政について「経済再生の進展を踏まえて、
リーマン・ショック後の危機対応モードから平時モードへの切替えを進
めていく」とされており、地方財政における上記の危機対応について、
リーマン・ショックの際の経済状況は、例えば、実質 GDP で見ると、20 年度は▲3.7%(4
四半期連続マイナス)、21 年度は▲2.0%もの景気後退に見舞われた。
28
-34-
速やかに見直すことが必要である。
まず、歳出面での危機対応である歳出特別枠は、リーマン・ショック
後の地方の経済・雇用情勢の悪化等を踏まえた、いわば緊急時の景気対
策として、地方財政計画の歳出に上乗せされたものである。この歳出特
別枠の上乗せなどもあり、水準超経費29を除く地方一般財源総額30は、リ
ーマン・ショック前の 20 年度 57.4 兆円から 26 年度 59.4 兆円と2兆円
の増となっている。
足元の経済再生の進展を踏まえれば、歳出特別枠を存続させるべき合
理的な理由は見出せないこと、また地方歳出の効率化の観点からも、こ
れについては即座に廃止又は大幅な縮小を行うべきである。
〔資料Ⅲ-2
-4参照〕
次に、歳入面での危機対応である別枠加算は、リーマン・ショックの
影響により地方税が大幅に減収し、財源不足が発生するなかで、地方財
政に配慮し、「折半ルール」31の例外として、全額国負担により措置した
ものであり、赤字国債の増要因となっている。
地方税収の回復基調を踏まえ、26 年度では▲0.4 兆円縮減した(1兆
円→0.6 兆円)。27 年度の地方税収については、経済再生の進展や地方消
費税率の引上げにより、リーマン・ショック前とほぼ同水準となること
が見込まれていることから、別枠加算については、即座に廃止すべきで
ある。〔資料Ⅲ-2-5参照〕
(2)地方法人課税の偏在是正
地方税の都道府県別の人口1人当たり税収額の偏在(最大/最小)は、
24 年度決算では、地方税合計では 2.5 倍だが、地方法人二税(法人事業
税、法人住民税)は 5.7 倍に拡大している。
〔資料Ⅲ-2-6参照〕
今後、経済再生の進展等により地方法人二税の税収が回復し、地方公
29
水準超経費とは、地方財政計画の歳出に計上されている不交付団体における平均水準を超える
必要経費。
30 地方一般財源総額とは、地方税・地方譲与税+地方交付税・地方特例交付金+臨時財政対策債
の合計。
31 折半ルールとは、地方財政計画の歳入・歳出ギャップに対し、地方交付税の法定率分(国税収
入の一定割合)を充てた後に残る財源不足について、国・地方が折半して財源を出す仕組み(国
は地方交付税に特例加算を行い、地方は臨時財政対策債を発行)。
-35-
共団体間の更なる財政力格差の拡大が見込まれる。
このような中、現在、政府では「地方の創生」が大きな課題となって
おり、地方創生に係る「基本方針」においても、
「東京一極集中の歯止め」
は、
「基本的視点」の1つと位置づけられている。この観点からも、地方
法人課税の更なる偏在是正措置を講じることで、財政力のある不交付団
体の財源超過額を縮減し、財政力の弱い交付団体の安定財源を確保して
いくことが必要である。
この点、地方法人課税の偏在是正措置としては、20 年に、法人事業税
(都道府県税)の約4割を地方法人特別税・譲与税(国税)とした。し
かし、26 年度税制改正では、地方法人特別税・譲与税は1/3縮減され、
偏在是正効果32が縮小した状態にある。
他方で、この時の与党税制改正大綱では「地方法人特別税・譲与税を
廃止するとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を
講じる」ともされており、早急に、1/3縮減前の地方法人特別税・譲
与税と同規模の偏在是正効果を持つ措置を講じることが必要である。
また、26 年度税制改正では、地方消費税率の引上げによる地方公共団
体間の財政力格差拡大を是正する観点から、法人住民税法人税割の一部
を地方法人税(国税)とし、税収の全額を地方交付税原資化したところ
である。消費税率 10%への引上げの際には、法人住民税法人税割の地方
交付税原資化を更に進める必要がある。
〔資料Ⅲ-2-7参照〕
これらの偏在是正措置は水準超経費の減少につながり、地方財政計画
における地方歳出の抑制、ひいては歳入・歳出ギャップの縮小を通じた
国・地方の PB の改善にも資するものである。
(3)地方歳出・歳入の適正化・効率化
前述のとおり、地方交付税の規模は、「地方財政計画」における歳出・
歳入の見込みに基づき決定されるものであることから、この水準を適正
なものとしていくことが、国・地方を通じた財政健全化のために必要な
取組みである。以下、地方財政計画における歳出・歳入項目ごとに問題
32
偏在是正効果とは、交付団体における増収と不交付団体における減収。
-36-
点を示す。
①一般行政経費単独事業
地方財政計画の歳出項目のうち、一般行政経費単独事業については、
約 14 兆円もの規模がありながら、その大宗(11.6 兆円、全体の 83.1%)
は、いわゆる「枠計上」と呼ばれ、内訳や積算がない。
さらに、地方歳出の決算は、①目的別内訳と②性質別内訳に分けて開
示されているが、どの部分が地方財政計画上の一般行政経費単独事業の
決算であるかの判別ができない状況となっている。このため、一般行政
経費単独事業には、標準的な財政需要とは認められないような、過剰な
金額が計上されている可能性がある。〔資料Ⅲ-2-8参照〕
まずは、地方財政計画において適切な内訳・積算を明確化するととも
に、決算においても計画に対応した実績が把握できるような情報開示を
行うべきである。
このような情報開示がなされない状態において、歳出の適正化・効率
化を行うとすれば、過去の水準との比較において、国の取組みと基調を
合わせた歳出削減を行うべきと考えられる。
例えば、一般行政経費単独事業に対応すると考えられる 26 年度の国の
歳出は、リーマン・ショック直後の 22 年度比で 94.9%(▲5.1%)の水
準となっている。その一方で、26 年度の地方財政計画における一般行政
経費単独事業は、22 年度比で 100.9%となっており、国の取組みと基調
を合わせた歳出削減が行われていない状況となっている。
27 年度の地方財政計画においては、一般行政経費単独事業について、
これまでの国の取組みと同様の歳出削減を行った前提での歳出計上を行
うべきである。仮に、22 年度比での国並みの取組みを行った場合には、
一般行政経費単独事業は、対 26 年度計画比で▲8,300 億円程度(▲6%)
の削減となる。〔資料Ⅲ-2-9参照〕
また、一般行政経費単独事業には、年度途中の追加財政需要への対応
として、26 年度は 4,200 億円が計上されている。この地方財政計画に計
上する追加財政需要は、国の予備費とは異なり、決算で使用額が計画額
を下回ったとしても、地方交付税の減額といった精算は行われず、いわ
-37-
ば「渡しきり」となっていることを踏まえれば、過去の平均的な使用実
績に基づき計上すべきものである。例えば、16 年度から 25 年度までの
平均使用実績は、1,500 億円程度であり、対 26 年度計画比で▲3,000 億
円程度の削減が可能と考えられる。
〔資料Ⅲ-2-10 参照〕
なお、仮に、過去に例がないような追加財政需要が生じたとしても、
国の補助事業に係る地方負担の不用分(22~25 年度平均で 1,500 億円程
度と推計される)を充当すれば、十分に対応が可能であると考えられる。
②給与関係経費
給与関係経費については、地方全体の級別職員定数が、国に比して高
位級に偏っており、人件費の増大要因となっているとの問題がある。標
準的な歳出を計上する地方財政計画においては、級別職員定数について
も国に準拠した水準での計上を行うべきである33。〔資料Ⅲ-2-11 参
照〕
また、技能労務職員については、昭和 57 年の臨時行政調査会の答申34を
踏まえ、国は、昭和 58 年以降、技能労務職員(行政職(二)
)の新規採
用を原則として行わず、民間委託を推進してきた。技能労務職員の数の
減少が民間委託率と一致すると仮定した場合、国の 25 年度の民間委託率
は対昭和 58 年比で 92%となっている。一方、地方は、上記答申におい
て「国に準じた措置を講ずべき」とされているにもかかわらず、昭和 58
年以降も新規採用を継続してきた。この結果、地方の 25 年度の民間委託
率は対昭和 58 年比で 70%にとどまっている。
標準的な歳出を計上する地方財政計画においては、給与関係経費も国
並みの民間委託率を前提に計上すべきであり、仮に、国並みの民間委託
率を前提で計上した場合の削減額は▲700 億円程度と見込まれる(給与
33
仮に、地方財政計画において、地方の級別職員構成(3~5級)について国に準拠したものに
是正した前提で計上するとした場合には、給与関係経費は▲1,500 億円程度の削減となると見込
まれる。
34 行政改革に関する第3次答申(昭和 57 年7月 30 日 臨時行政調査会)(抄)
「国家公務員の中には、例えば技能・労務職員のように、民間と同様の業務を行う者が含まれて
いるが、特別の必要がある場合を除き、当該業務について事務・事業の整理、民間委託等を積極
的に推進する。(中略)地方公共団体においても、国に準じた措置を講ずべきであり、国は地方
公共団体がこれらを円滑に実施できるよう配慮する」
-38-
関係経費の減から民間委託費の増を差し引いたもの)。〔資料Ⅲ-2-12
参照〕
③公債費
地方債の元利償還費である公債費(臨時財政対策債分を除く)は、こ
れまでの投資的経費の減少により、今後、毎年▲4,000 億円程度縮減して
いくことが見込まれる
(投資的経費が 26 年度地方財政計画と同額の前提)。
一方で、臨時財政対策債分の公債費は増加が見込まれるものの、両者を
足した公債費全体で見れば、32 年度には▲1兆円程度減少することが見
込まれる35。
国・地方の財政健全化の観点からは、今後の公債費の減少分(27 年度
の減少分を含む)については、他の歳出の増に充てるのではなく、確実
に地方歳出の減につなげるべきである。なお、公債費の減少分を地方歳
出全体から減額したとしても、地方の PB 歳出自体は実質的に同水準を確
〔資料Ⅲ-2-13、14 参
保することが可能であることを付言しておく36。
照〕
④地方税収
地方財政計画の歳入項目である地方税収(地方譲与税収を含む。以下
同じ。)は、22 年度決算から計画額を上回る増収が続いており、25 年度
までの累計で+2.5 兆円の決算増収となっている。この結果、地方の財政
調整基金(年度間の財源調整のための基金)の残高は、同時期に+1.9 兆
円増加している。
〔資料Ⅲ-2-15 参照〕
現行制度上、地方税が決算で増収となっても地方交付税の減額といっ
た精算は行われない(他方、地方法人二税の税収が計画額を下回った場
合には、国・地方が折半して減収分を補填する仕組みとなっている)
。し
かも、地方財政計画においては、地方税収を過少に見積もったとしても、
それによる収支不足は、地方交付税の特例加算と臨時財政対策債で補填
「平成 26 年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」等に基づき推計。
公債費については、上記のほか、臨時財政対策債の元利償還費について、個別の地方公共団体
への地方財政措置よりも当該地方公共団体における実際の償還額(減債基金への積立を含む)の
方が少ないという問題がある。これについては将来の財政リスクの観点から是正が必要である。
35
36
-39-
されるため、地方歳出の減額には直接的にはつながらない仕組みとなっ
ている。そのため、地方財政計画における地方税収は、過少な見積もり
が行われやすい構造となっており、このことが結果として、基金の増加
にもつながっている。これは、いわば、国が本来必要のない借金を行っ
て、地方の貯金を作り出している状態とも言える。
これに対しては、決算増収を何らかの形で精算する仕組みを導入する
ことも検討すべきであるが、まずは、27 年度の地方財政計画において、
近年の税収動向も踏まえた適切な水準の地方税収を見積もることが必要
である。
⑤使用料・手数料
地方財政計画における使用料・手数料の計上も過少見積りとなってい
る。具体的には、20~24 年度までの間、使用料・手数料の決算額は一貫
して計画額を上回っている。使用料・手数料の計上額は、決算を踏まえ
て適正化し、その増加分は一般財源総額の抑制に活用すべきである。
-40-
3.教育・スポーツ
教育は未来を担う人材を育成するものであり、子どもたちの学力・能
力・人間性の向上を図ることは、日本の将来にとって極めて重要な課題
である。引き続き、教育環境の改善に努めていかなければならないこと
は言うまでもない。
他方、教育予算については教職員定数増や予算増といった投入量を伸
ばすという議論が重視され、成果に関する議論から逃避する傾向が見ら
れる。
「子どものため」といって感覚的に教育予算の投入量に拘ることは、
厳しい財政事情の下で、結局その子どもに借金という形でつけを回す結
果になるということを十分に認識すべきである。
近年、公教育支出については、少子化が進む中で低下しておらず、児
童生徒1人当たりの支出額は平成元年度以降、約6割も増加している37。
児童生徒当たりで増加した予算を使って、教育・教員の質は上がったの
か、例えば少人数学級の推進、外部専門人材の活用等の施策間の効果の
比較も含めどのような成果があったのかについて、客観的・具体的な検
証を行い、国民に示すべきである。教育予算についても、他の政策分野
と同様、成果を求めて質の向上に努めることが何よりも重要である。
(1)義務教育費国庫負担金(教職員人件費)
日本の小中学校向け公財政支出は、国際的に低い水準であるとの議論
があるが、これは子どもの数が諸外国に比べて少ないためである。小中
学校の児童生徒1人当たり公財政支出を国民1人当たり GDP 比で見る
と、日本は約 24.3%と OECD 平均よりも高く、特に経済規模の近い G5
諸国の中では高水準となっている38。
また、教育費の負担の在り方については、国民負担率との見合いで議
論する必要もある。日本の国民負担率は国際的にみて低水準であり、こ
うしたことに鑑みても、日本の小中学校には、既に十分に手厚い予算措
平成元年度から 23 年度までの間に、児童生徒数は約 32%減少する一方、公教育費は約5%増
加しており、児童生徒1人当たりの公教育費は約 55%増加している。
(出典:学校基本調査、地
方教育費調査)
38 OECD 平均は約 23.2%。また、G5 の中ではイギリス(約 26.6%)に次いで2位である。
37
-41-
置が行われていると言える。
他方、日本の義務教育関係予算については、教職員人件費に配分が偏
っているという問題がある。日本では、義務教育関係予算(約 1.7 兆円)
のうち、教職員人件費が約 90%(約 1.5 兆円)を占めており39、その結
果、児童生徒1人当たり教員給与支出は国際的にも高い水準となってい
る40。以上のように、国際比較等から浮かび上がる日本の義務教育予算の
課題は、量を増やすことではなく、質・配分を改善することであるとい
うことができる。
〔資料Ⅲ-3-1参照〕
教職員人件費以外の義務教育関係予算については、学校耐震化等の施
設費(約 650 億円)や教科書購入費(約 410 億円)等を除けば、その他
のいじめ対策、外部専門人材の活用、教員研修等の個別課題に対応する
ための予算は約 490 億円と限られたものになっている。
多様化する教育上の課題への解決策として、これ以上教職員人件費を
拡大することが、他の施策に予算を重点化することよりも、効果的・効
率的な対応であるとは言い難い。より費用対効果の高い施策に予算を重
点化することで、義務教育関係予算の質の向上を図ると同時に、教職員
人件費については、教職員定数、給与水準の両面で効率化を進めていか
なければならない。
①教職員定数の合理化
イ)児童生徒当たりで増加を続ける教職員数
公立小中学校の教職員定数については、少子化の進展やこれまでの大
幅な予算措置により、平成元年度以降、児童生徒当たりで約 1.4 倍に増加
している。なかでも政策目的に応じて予算措置される定数(加配定数)
は児童生徒当たりで約 8.3 倍に増加している41。特に、少人数学級を推進
小中学校向け支出項目別構成(2010 年)で見ると、日本の教育支出は、約 85.9%が教職員給
与にあてられているが、これは OECD 平均の約 75.9%を大きく上回っており、他の G5 諸国(ド
イツ約 83.0%、アメリカ約 81.5%、フランス約 80.2%、イギリス約 66.9%)のいずれをも上回
っている。
40 児童生徒1人当たり教員給与支出(対1人当たり GDP 比、2010 年)については、OECD 平均
(小学校約 15.8%、中学校約 18.7%)、G5 平均(小学校約 15.5%、中学校約 18.2%)のいずれ
と比較しても、日本(小学校約 17.4%、中学校約 19.8%)が上回っている。
41 平成元年度から 25 年度までの間に、
児童生徒数は 1493.7 万人から 988.8 万人へ約 33.8%減少
したが、加配定数は、約5万人(11,418 人→62,405 人)増員された結果、児童生徒当たりの加
39
-42-
するため(義務標準法で定められた学級規模を更に少人数化するため)
に 10,500 人もの加配定数が措置されている。各歳出分野で厳しい見直し
を行っている中で、受益者当たりの予算額が大幅に増加し続けている施
策は極めて例外的であり、改めて厳しく政策効果が問われなければなら
ない。少子化が進む中で、学級数に応じて計算される定数(基礎定数)
は児童生徒数の減少幅ほど減らないため、児童生徒当たり教職員数をこ
れ以上増やさないという最低限の効率化努力を求めることとすれば、毎
年度約 1,600 人(▲34 億円)の加配定数合理化が必要である。その際、
約6万人にも及ぶ加配定数について、地方における活用の自由度を高め、
地域の実情に応じ、更に効果的と判断される配置を可能とするとともに、
各地方公共団体による様々な取組みの成果を比較・検証することにより、
政策効果を高めていくということも検討されるべきである。
〔資料Ⅲ-3
-2参照〕
ロ)少人数学級の政策効果
少人数学級については、子どもの教育環境が改善するとの意見もある
が、客観的・具体的な指標でそれを示すエビデンスはない。また、他の
代替的施策との費用対効果の比較も十分になされていない42。
都道府県毎の実績を見ても、学級規模と学力、いじめ・不登校・暴力
行為の発生件数の間に相関関係は見出せない。OECD も、PISA2009 読
解力調査の分析において、
「1人当たり教育支出を増やせば、学力成果が
上がるというものではない」
「学級規模を縮小することは一般的に費用が
高く、教師の質向上への投資と比べて学力向上のための効率的な支出で
はないことを示している」としている。また、日本に対しては、
「教育の
追加投資の多くが学級規模の縮小に充てられていることが問題の本質で
ある」
「これまで学級規模の縮小を教員の質への投資よりも優先する傾向
があった。この優先順位は修正される必要がある」と指摘している。
配定数は約 8.3 倍に増加。教職員定数全体で見ても、76.2 万人から 70.0 万人へ約 8.2%しか減
少していないため、児童生徒当たりの定数は約 38.7%増加した。
42 教員1人当たりの人件費は国・地方合わせて約 850 万円(共済組合負担金や研修費を含む)で
ある。外部人材等を活用した大分県豊後高田市の取組みは、例えば2人分の教員人件費以下で賄
えていることになる。
-43-
さらに、昨年8月に文部科学省が公表した「全国学力・学習状況調査
を活用した少人数教育の効果検証について」によれば、少人数学級に取
り組んだ学校の平均正答率は悪化したという結果が出ている43。これらを
踏まえれば、少人数学級に明確な政策効果はないと言わざるを得ない。
このような状況にもかかわらず、これまで少人数学級を推進するために
多くの加配定数が措置されてきている(10,500 人)。専ら少人数学級を推
進するための加配定数については、現在の規模を維持する客観的な根拠
は乏しく、加配定数全体の弾力化により、各地方公共団体の自由度を高
める中で合理化を図っていくべきである。
ハ)
「小一 35 人学級」
23 年に義務標準法が改正され、小学校一年生の学級編成の標準が 40
人から 35 人に引き下げられた。これは、小学校一年生に特有の理由とし
て、いわゆる小一プロブレム44への対応が必要とされたためである。
学級編成の標準は全国一律の法定の上限であり、1学級 35 人が法定の
上限となったということは、1学級が 36 人になれば 18 人ずつの2学級
に分けなければならないということを意味している。しかし、小学校全
体で見ても 36 人以上のクラスの割合は少なく(1割)、平均学級規模は
27.9 人となっている実情を踏まえれば、法定の上限を引き下げることが
政策目的に照らして妥当な手段と言えるかが問題であり、
「小一 35 人学
級」が導入された 23 年以降、明確で客観的な効果が示されているとは言
えない45。
25 年度全国学力・学習状況調査を用い、文部科学省は、
「小学校においてティームティーチン
グに取り組んだ学校の平均正答率が向上」「中学校において習熟度別指導に取り組んだ学校の平
均正答率が向上」と評価しているが、同じ基準に立つならば、「小学校・中学校ともに少人数学
級に取り組んだ学校の平均正答率は悪化した」と評価せざるを得ない。また、文部科学省は、平
均無回答数が減少したことをもって、「少人数学級に取り組んだ学校では、学習への積極的な姿
勢が見られる」と評価しているが、同じ基準に立つならば、「ティームティーチングや習熟度別
指導は、学習への姿勢を悪化させる」と評価せざるを得ないが、そもそも無回答数で学習への姿
勢を測れるものなのか極めて疑問。
44 小学校に入学したばかりの一年生が、集団行動がとれないなど、学校生活に馴染めない状態が
続くこと。
45 小学校における問題発生件数に占める小学校一年生の割合が、それ以前と比べてほとんど変わ
っていないという指摘もある。また、いじめ認知件数、暴力行為発生件数、不登校発生件数のそ
れぞれの、小学校全体に占める小学校一年生の割合については、導入前(18~22 年度)の平均
(10.6%、3.9%、4.7%)と導入後(23、24 年度)の平均(11.2%、4.3%、4.5%)の間に顕著
43
-44-
新たな政策・制度が導入されれば、他の代替的な手法との比較も含め
その効果を絶えず客観的・具体的に検証し、認められなければ見直して
いくというのが当然である。「小一 35 人学級」を継続するのであれば、
その効果が客観的に国民に示される必要がある。
ニ)教員配置政策の在り方
なお、少人数学級を巡る問題については、小学校の教員1人当たりの
児童・生徒数(18.1 人)は、G5 諸国の中では、アメリカ(15.3 人)、ド
イツ(16.3 人)に次いで既に3番目に少なく、中学校(14.2 人)はドイ
ツと並んで最も少ないことからすれば、我が国の学級規模の問題は、担
任外教員が多数存在するなど、教員の配置政策の問題の側面があるので
〔資料Ⅲ-3-3参照〕
はないかということを指摘しておく必要がある46。
現在、基礎定数や加配措置を通じて、担任外教員の数は既に小学校・
中学校で 16.7 万人が配置されている一方で、36 人以上の学級は小学校で
学級数の1割(2.2 万)
、中学校で3割(3.1 万)
、合計 5.3 万である。教
員の活用について地方の主体的な判断に委ねることとすれば、定数につ
いて全体的な合理化を図りつつも、少人数学級又は少人数指導を含め、
地方が選択する施策を実施できる十分な財源が既に手当てされているも
のと考えられる。
〔資料Ⅲ-3-4参照〕
②教員給与の優遇分縮減方針
教職員人件費について効率化を進めるためには、教員給与水準の見直
しも必要である。現状、教員の平均年収47(約 605 万円)は一般地方公務
員の平均年収(約 596 万円)を約8万円上回っている。
日本の教員給与については、国際的に見ても高い水準となっており、
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2006」
(18 年7月7日 閣議
決定)において、教員給与が一般地方公務員給与を上回る優遇分を縮減
することとされた。その際、文部科学省・財務省は、義務教育費国庫負
な変化は見られない。
したがって、教員を担任として活用する場合と、担任外教員として活用する場合の政策効果の
比較の問題ともいえる。
47 一般行政職員、教員とも平均年齢 43 歳(大卒)とした場合の平均給与月額を基に年収を試算。
46
-45-
担金を約 430 億円縮減する旨の資料を公表し、20 年度から 23 年度まで
の間に約 210 億円の縮減を実施したが、24 年度以降縮減の取組みが行わ
れていない。未実施となっている約 220 億円分の教員給与の優遇分縮減
方針については、早急に遵守して義務教育費国庫負担金に反映すべきで
ある。
③あるべき改革の方向
義務教育における教育環境の改善を進めることは重要な課題であるが、
既に量的には十分な予算額が確保されており、予算の質・配分を改善す
ることで、あるべき改革を進めなければならない。
イ)外部専門人材の活用と教員の負担軽減
いじめ・不登校等の学校が抱える個別課題が多様化する中で、単純に
教職員数を増やすことにより課題に対応しようとすることは、効果的・
効率的とは言い難い。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワー
カー等の外部専門人材及びその専門知識を活用してきめ細かく個別課題
に対応していく必要がある。また、社会全体として、高い専門的能力を
有し、かつ社会的な貢献への意欲を有するシルバー人材が今後増加して
いくことを考えれば、これらの人材の学校現場での有効な活用も積極的
に検討されるべきである。
また、学校が抱える個別課題が多様化する中で、教員の負担感が重い
という指摘がある。OECD 調査(Education at a Glance 2013)によれ
ば、日本の教員の年間勤務時間(小学校:1,883 時間、中学校:1,883 時
間)は、小中学校ともに、OECD 平均(小学校:1,671 時間、中学校:
1,667 時間)を上回っている一方、日本の教員の年間授業時間(小学校:
731 時間、中学校:602 時間)は、小中学校ともに、OECD 平均(小学
校:790 時間、中学校:709 時間)を下回っている。我が国では授業以外
の事務作業等(授業準備、職員会議、一般事務作業等)に多くの時間が
充てられており、教員の負担感が重くなっている。
教員の負担感を軽減し、より児童生徒に向き合う時間を確保するため
にも、業務の合理化・外部化、外部専門人材の活用、教員一人一人の能
-46-
力向上といった、事務作業等の時間を短縮するための取組みを積極的に
進めていくことが必要である。年間授業時間が国際的にも低水準にある
中で、これ以上教員を増員しても効率的な解決策になるとは考えられな
い。
ロ)学校規模の適正化
小中学校の児童生徒数が直近のピーク時から約 30 年間で4割以上減少
しているのに対して、学校数については、小学校で約 16.6%、中学校で
約 7.5%の減少にとどまっており、小中学校とも、標準規模(小学校・中
学校ともに 12~18 学級)に満たない小規模校が約半数を占めている。人
口の将来推計によれば、児童生徒数の減少は当面続くと見込まれ、学校
の統廃合が進まない現状を放置すれば、小規模校は今後も更に増加する
と考えられる。
一般的に、学校規模が適正化された場合、
「子どもが集団の中で、多様
な考え方に触れ、切磋琢磨することを通じて、一人一人の資質や能力を
伸ばしやすい」、「各学年複数学級とすると、人間関係に配慮した学級編
成や、習熟度別指導等の多様な指導形態をとることが可能となり、また
部活動が多くの種目、人数で出来る」、「教員配置について、校務分掌を
組織的に行いやすくなる」といった教育効果があると指摘されている48。
また、財政上も教職員人件費をはじめとした学校のランニングコストの
縮減につながると考えられる。
教育の受益者である子ども・保護者の意見を重視しつつ、子どもの安
全の確保に十分配慮しながら、教育水準を効果的・効率的に向上させる
ため、国・都道府県・市町村がそれぞれの役割分担の下で学校の統廃合
に積極的に取り組む必要がある。その際、通学における安全性を確保す
るため、スクールバスの導入などの配慮をすべきである。
学校の統廃合を進めるための地方公共団体に対するインセンティブ措
置は既に一定程度存在(統合校の新築・改築等に対する施設整備補助、
統廃合により減少する分の教職員定数を一定期間措置、スクールバスの
48
出典:中央教育審議会初等中等教育分科会小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部
会(第 11 回)配布資料2。
-47-
購入補助等)するが、国としてはさらに、地方公共団体が地域の状況に
応じて、例えば廃校を再利用するなど地元の理解を得つつ、学校規模の
適正化に向けた取組みを支援することを検討すべきである。
(2)国立大学改革
①国立大学改革の目的
日本の大学進学者の大宗を占める 18 歳人口は、4年度をピークに減少
に転じ、今後も減少傾向が続くと予想される。他方、高等教育機関の入
学定員については、18 歳人口の減少傾向と逆行して、4年度の 473,268
人から 25 年度には 583,618 人まで増加し49、進学率・収容力はともに大
きく伸びている50。
我が国は、大学全入時代とも言われる中、グローバル化等の急激な社
会変化に直面しており、改めて、国立大学には、
・
世界で活躍できるグローバル人材、新たな価値を創造するイノベー
ション人材の育成
・
各大学の強み・特色を生かした研究を通じた地域諸課題の解決
・
地域の拠点として、産業界と一体となった地域経済の活性化
などの社会的役割を担うための機能強化が求められている。
文部科学省は、25 年 11 月に「国立大学改革プラン」を策定し、ミッ
ションの再定義による強み・特色を活かした重点化、ガバナンス強化、
大学の枠を超えた連携、人材養成機能の強化などを目指して、運営費交
付金の配分方法の見直しなどの様々な改革を行うこととしている。これ
らの取組は、国立大学の自主的な改革を促すものであり、その方向性は
評価できるが、実効性ある仕組みとするための具体案の検討が十分に進
んでおらず、改革プランで掲げた目的を達成する道筋が見えない。28 年
4月から開始される国立大学法人の第三期中期目標に向けて、改革具体
出典:4年度入学定員「平成 19 年度全国大学一覧」、25 年度入学定員「平成 26 年度全国大学
一覧」
50 4年度の 18 歳人口 205 万に対して、進学率は 38.9%(大学 26.4%、短大 12.4%)
、収容力(志
願者数に対する入学者数の割合)は 65.5%(大学+短大)。25 年度の 18 歳人口 123 万に対して、
進学率は 55.1%(大学 49.9%、短大 5.3%)、収容力(志願者数に対する入学者数の割合)は 91.7%
(大学+短大)。国立大学の入学定員(大学院+学部)は、4年度の 129,742 人に対して、25 年
度は 152,228 人と、18 歳人口の減少傾向に逆行して、増加する傾向にある。
49
-48-
案の検討を早急に進める必要がある。
大学改革は、大学自らが積極的に推し進めるべきものであり、社会的
役割を担うために必要な組織改革等に取り組まなくてはならないことは、
国立大学に限ったことではない。人材育成機能の確立、研究能力の向上
に向けた取組みが、公立・私立大学を含む全ての大学に対して求められ
ていることは言うまでもない。
②国立大学の現状
現在、国立大学は全国に 86 校設置されているが、16 年度の法人化以
降も、必ずしも各々の特色を活かした大学運営、教育研究機能の強化を
行っているとは言い難く、競争力低下が深刻な問題であるとの懸念が各
方面より示されているところである。
まず、世界トップレベルの大学と対等に渡り合うことが出来る潜在力
を有する大学について、国際的な存在感が低下傾向にある。世界大学ラ
ンキング51における上位 200 位圏内の日本の大学5校の順位は、過去5年
間で東京大学が 26 位から 23 位に上昇していることを除いて、軒並み低
下している状況である52。この間、これらの国立大学の事業規模は増加傾
向であったところであり、資金や人的資源の一層の有効活用が求められ
ている。
また、地方の国立大学は、地域に根差した文化的拠点としての強みを
活かし、地域のニーズに応じた人材育成拠点、地域社会のシンクタンク
として様々な課題を解決する地域活性化機関としての役割を果たすこと
が求められている。
これらの国立大学を巡る現状を踏まえ、今後実効性のある大学改革を
進めるためには、各大学の機能強化の目的と対象を明確にして、教育研
51
世界大学ランキングは、その順位を決める各要素にどの程度のウェイトが置かれるかによって
変動するため、大学の実力を測る正確な指標とは言えないが、大学の国際競争力の一つの目安と
はなる。Times Higher Education World University Rankings の 2010-2011 を 21 年度、
2011-2012 を 22 年度、2012-2013 を 23 年度、2013-2014 を 24 年度、2014-2015 を 25 年度の
順位としている。
52 21 年度から 25 年度の世界大学ランキングは、東京大学が 26 位から 23 位、京都大学が 57 位
から 59 位、東京工業大学が 112 位から 141 位、大阪大学が 130 位から 157 位、東北大学が 132
位から 165 位に変動している。
-49-
究組織の再編、学内資源の再配分など、大学の自主的な取組みを促す環
境整備が必要である。それは、他のあらゆる組織がそうであるように、
自ら掲げた目的に基づく成果を達成するための環境整備であり、その成
果は明確に社会に対して説明されなければならない。
③運営費交付金予算の配分の在り方
イ)見直しの視点
現在、我が国では、運営費交付金の大宗を占める一般運営費交付金に
ついて、教員・学生数などの規模に応じた配分方式を採っているため、
学内資源の重点化・再配分に向けたインセンティブが働かない構造とな
っている。これに対して、諸外国における大学への交付金制度の中には、
政府から独立した機関が研究成果・獲得研究収入等の成果に応じた重点
配分を行うことにより、大学の自主的な取組みを促す制度がみられる53。
また、世界トップレベルの大学や研究機関では、積極的に外部資金を
獲得するなど多様な資金調達が行われている。我が国では、運営費交付
金が各国立大学の収入財源の半分程度を占めており、多様な研究資金の
獲得に向けた取組みが進んでいるとは言い難い54。学生への支援を含め、
教育研究環境の改善のためには、学長のリーダーシップ・適切なガバナ
ンス体制の下で、多様な資金調達手段を確立するほか、授業料の引上げ
についても積極的に検討すべきである。
ロ)取組み成果を反映した予算配分及び評価手法の確立
大学の自主的な改革の取組みを促すためには、従前の一般運営費交付
金の配分方式を見直し、各大学の取組み成果に応じた配分を行うことが
必要である。具体的には、以下の方向を基本として、一般運営費交付金
について、競争性の高いメリハリの利いた配分方式とすることを検討す
53
イギリスでは、政府から独立した機関の高等教育財政審議会(HEFCs)が各大学に交付金を配
分。全体の7割を占める教育補助金は、学生数等に応じて機械的に配分されており、全体の1/
4を占める研究補助金は、研究成果・獲得研究収入等に基づき配分されている。
54 事業収入構成について、Times Higher Education World University Rankings(2014-2015)
における上位5校及び州立大学であるカリフォルニア大学バークレー校と東京大学との比較に
よれば、諸外国では研究受託収入、資産運用益、学納金収入が半分を占めており、東京大学では
運営費交付金が半分程度を占めている。
-50-
べきである。
・
各国立大学を、ミッションの再定義を通じた自らの選択により、①
世界最高の教育研究拠点、②全国的な教育研究拠点、③地域活性化の
中核的拠点の3つの大学群(機能強化の方向性55)に機能分化する。
・ 一般運営費交付金全体の3割程度を改革経費として位置付けた上で、
学長のリーダーシップを発揮した活用を促すとともに、上記3大学群
の中で改革経費を重点配分する。改革経費の配分にあたっては、客観
的成果指標を設定の上、2年程度ごとの短期間で取組み成果を評価す
る方式とする56。
・
客観的指標については、大学群ごとに設定する。例えば、世界最高
の教育研究拠点を目指す大学については、国際競争力強化の視点が、
地域活性化の中核的拠点を目指す大学は地域人材育成の視点が重視さ
れる。
・
客観的指標の設定にあたっては、定量的・定性的指標が考えられる
が、研究成果、人材育成などの客観的な取組み成果のほか、競争的資
金獲得状況や寄附金等外部資金獲得状況など、大学自らの資金獲得努
力に関する指標も採り入れる。
なお、特別運営費交付金57についても、一層の重点化を図るため、政策
課題に向けた大学の自主的取組みを評価した上で配分する仕組みに改め
るべきである。また、一般運営費交付金のうち、上記改革経費を除いた
部分の配分に当たっては、教員・学生数などの大学規模に加え、特別運
営費交付金の各大学への配分実績を加味すべきである。これまで、政策
課題に対応するために措置される特別運営費交付金の配分終了後は、一
般運営費交付金の範囲内で各大学は取組みを継続してきているが、これ
により、政策課題に対する円滑な継続環境が整備されるものと考える。
55
国立大学改革プランにおいて目標としている、各大学の機能強化の方向性。
現在の評価手法は、中期目標期間(6年間)の検証であり、このうち教育研究については中期
目標期間終了後に一度だけ実施されている。この6年間の評価結果を反映して、特別運営費交付
金の一部(30 億円)が次期中期目標期間中に固定配分されている(評価結果の反映は次期中期
目標期間の3年次目から)。
57 特別運営費交付金は、各大学の特色に応じた教育研究高度化等の政策課題に対応する経費。こ
のうちの 40%程度(長期にわたるプロジェクト経費(通常5年程度)
)は、硬直化しており、大
学改革を行う上で機動的な予算配分が不可能。
56
-51-
〔資料Ⅲ-3-5~7参照〕
(3)スポーツ予算
2020 年オリンピック・パラリンピック東京大会の確実な成功に向けた
取組みを政府一丸となって進めていく必要がある一方、厳しい財政事情
の下、閣議了解で「国の所要経費は、その必要性等について十分検討を
行い、真に必要なものに限って、将来にわたり既定経費の合理化により
賄うものとする」とされている58趣旨も踏まえつつ、大会の成功に向けた
費用は、諸外国の例にもならい59、寄附も含めた多様な財源により社会全
体で負担していくことが重要である60。
①選手強化
選手強化事業について、真に効果のある施策に重点化するため、メダ
ル獲得数向上に向けた全体戦略を立てた上で、競技ごとの毎年度の KPI
や中間目標(例:世界選手権への出場者数等)を定め、達成度や執行状
況等を公表しつつ、強化費配分に活用する仕組みを導入し、PDCA サイ
クルを強化させる必要がある。また、相次ぐ競技団体の不正受給を踏ま
え、支出内容について透明化するとともに各競技団体におけるコンプラ
イアンス体制の充実についても資金配分に反映させるべきである。さら
に、競技団体の事務負担を軽減するべく、申請におけるフォーマットの
統一等運用面の改革も進めるべきである。なお、モラルハザードを防止
するためには、民間資金とのマッチングを基本とし、一定の負担を競技
団体にも負わせることが必要である。その際、財政力が脆弱な競技団体
の負担軽減のため、財政力に応じた補助の在り方も検討すべきである。
〔資料Ⅲ-3-8、9参照〕
23 年 12 月 13 日「平成 32 年(2020 年)第 32 回オリンピック競技大会・第 16 回パラリンピ
ック競技大会の東京招致について」
59 文部科学省委託調査「スポーツ政策調査研究」
。例えば、アメリカは選手強化事業における国
費割合はゼロ。
60 2012 年日本国内個人寄附は約 0.7 兆円で、GDP で日本を下回る英国(約 1.2 兆円)や韓国(約
0.7 兆円)と比較すると、まだ伸びる可能性がある。2012 年オリンピック・パラリンピックロ
ンドン大会では 2,500 万ポンド(50 億円)を目標にした寄附プログラムが立ち上がり、2013 年
ロンドンマラソンでは 91 億円の寄付が集まった。
58
-52-
②新設する競技施設
施設整備については、既存計画のものは更なる費用見直しやネーミン
グライツ等の自己収入増加策により国民負担の最小化を図るとともに、
更なる恒久施設整備にあたっては、2020 年オリンピック・パラリンピッ
ク東京大会における有用性に加え、2020 年以降のインフラとしての必要
性・妥当性を中長期的な観点から、十分に検証するという視点が重要で
ある。
-53-
4.科学技術
科学技術振興費は、平成元年度比で約3倍に増加しており、社会保障
関係費をも上回る伸びを確保してきた。その結果、政府・民間含めた研
究開発費の対 GDP 比は主要国随一の水準である等、我が国の科学技術に
対する資源投入は相当な高水準にある。その間、総論文数の増大や日本
人研究者のノーベル賞受賞など一定の成果もあがっているが、厳しい財
政事情に鑑みれば、財政資金の量的拡大をのぞむ環境にはなく、今後は
「質」を向上しながら、研究開発の成果を最大化していくことが喫緊の
課題である。例えば、論文の質についても、主要国に比べて低水準の被
引用度を向上するなど、我が国の将来への「先行投資」として費用対効
果を高めていくべきである。〔資料Ⅲ-4-1参照〕
(1)基礎研究分野
基礎研究分野については、質の高い研究成果が見込まれる分野融合的
研究や国際共同研究といったアプローチに「選択と集中」を進めるとと
もに、高額な汎用大型研究設備などの共用化を促進することで研究費支
出の効率化を進めるべきである。また、研究資金について、国立大学改
革の動きも踏まえ、科研費、科研費以外の競争的資金のみならず、大学
向け運営費交付金も含めた全体像を俯瞰し、制度全体の中でそれぞれの
位置付けを明確化しつつ、制度間の連携強化・統合化を推進すべきであ
る。その他、若手人材育成や国際共同研究といった事業についても、様々
な主体が事業を行っており、全体戦略を構築した上で、重複を排除し、
整理合理化を進めていく必要がある。
(2)研究不正等への対応
理化学研究所における一連の研究不正に鑑み、資源配分の固定化を防
止し、PDCA サイクルを徹底するため、ガバナンス強化が不可欠である。
具体的には、外部有識者による評価・助言の反映を徹底し、特段の理由
なく反映されない場合は各センターに対する配分額の減額や責任者解任
といった厳しいペナルティーを課すべきである。また、財務省予算執行
-54-
調査における指摘61を踏まえ、一括購入や単価契約を徹底し、調達改善が
実施されない場合は研究費執行の一部停止等の罰則を導入し、ルール遵
守の実効性を担保すべきである。なお、他の研究開発法人についてもこ
うしたガバナンス強化・調達改革を総点検し、徹底を図るべきである。
〔資
料Ⅲ-4-2参照〕
(3)事業化に近い研究開発や拠点事業
産業化やベンチャー創出につなげる研究分野については、資金配分に
規律を働かせ、新陳代謝を図るため、現在は多くが事業開始後5~10 年
を目途に評価しているところであるが、原則研究開始後2年ごとに評価
しプロジェクト数を絞り込むことをルール化すべきである。その際、客
観性・透明性・事務負担軽減を踏まえた評価方法をもって実施する必要
がある。地域拠点事業についても、過去累次にわたり展開されてきたこ
とを踏まえ、まずは、これまでの課題を総括した上で、官民分担の在り
方や効果的な手法を検証し、地に足のついた姿にしていく必要がある。
(4)大規模プロジェクトの後年度負担
次世代スパコンや宇宙開発などの大規模プロジェクトは、多額の後年
度負担が生じることが多く、予算の硬直化を招きかねない。こうした一
定規模以上のプロジェクトについては、要求段階において、後年度も含
んだプロジェクト全体の資金計画を明らかにした上で、リース等の柔軟
なファイナンス方式や官民の費用分担など財源調達の考え方を整理させ
ることとし、自律的に財政健全化目標との整合性を確保する仕組みを作
るべきである。〔資料Ⅲ-4-3参照〕
61
26 年7月1日「平成 26 年度予算執行調査(平成 20 年度予算執行調査のフォローアップ調査)」
-55-
5.公共事業
公共事業については、本年5月の「財政健全化に向けた基本的考え方」
において、
「厳しさを増す財政事情の下、社会資本の整備水準の向上や今
後の急速な人口減少を踏まえれば、今後の社会資本整備に際しては、一
層の重点化を図るとともに、計画的かつ効率的に進める必要がある」と
いった基本的考え方を示した。
今後、費用の増加が見込まれる社会資本の老朽化対策に対して、当審
議会は、それぞれの社会資本の管理主体が、将来の人口減少やコンパク
トシティ化等を見据え、その社会資本の規模の見直しを含むインフラ長
寿命化計画(行動計画)62を策定し、これに基づき計画的かつ効率的に取
り組むことが必要である旨、提言してきた。
社会資本の多くが地方公共団体によって管理されていることに鑑みれ
ば、地方公共団体において自立的かつ持続可能な形で社会資本を管理で
きるよう、計画的に対応していく必要性が高い。しかしながら、現状、
地方公共団体によるインフラ長寿命化計画の策定は進んでいない。計画
なしに取り組まれる老朽化対策は、本来、統合・集約化されるべき社会
資本についても、漫然と維持管理等の対象とし続けることになりかねず、
非効率である可能性がある。〔資料Ⅲ-5-1、2参照〕
そうした中で先進的な地方公共団体においては、既に具体的な計画を
策定し、これに基づく老朽化対策を始めつつある。さいたま市のように
将来の老朽化対策費用の増加が財政に与える影響や今後の人口減少等を
踏まえ、図書館や庁舎等のいわゆるハコモノと道路等のインフラに分け
た上で、ハコモノについては新規整備を原則行わないといった厳しい方
針を定め、更新する際には複合施設とし、全体の床面積は 15%縮減する
というキャップをはめると定めている例もある。また、同市は道路等の
インフラについても、点検を定期的に実施し、的確に修繕を実施するな
どにより、ライフサイクルコストの縮減を図ることとしている。
この結果、同市においては、現状の予算の2倍以上かかるとみられて
62
地方公共団体が策定する「公共施設等総合管理計画」は、インフラ長寿命化計画(行動計画)
に該当するものとされている。
-56-
いた将来の改修・更新等に要する費用を約 1.1 倍程度に抑え込むなど財政
負担の軽減、平準化が図られる見通しである。
このように、社会資本の管理主体は、それぞれの経済社会の構造的変
化を踏まえた行動計画を速やかに策定し、これに基づく計画的かつ効率
的な老朽化対策を推進すべきである。
国においては、自らが管理する道路や河川管理施設等の社会資本につ
いて、今後の維持管理・更新の方針や費用の見通しを示し、計画的かつ
効率的な維持管理・更新に向けて、率先垂範した取組みが求められる。
地方公共団体におけるインフラ長寿命化計画(行動計画)の策定にあ
たっては、建設時には国の補助金が認められた施設であっても、その維
持管理費用は地方税や地方交付税、施設使用料等の地方公共団体の財源
で賄われるものであることから、地方公共団体自身が問題意識をもって、
残すべき社会資本を厳選していく必要がある。
国が、地方公共団体の老朽化対策を財政的に支援する場合においても、
地方公共団体の策定するインフラ長寿命化計画が人口減少等を踏まえた
自立可能なものとなっているか見極めた上で、適切な計画を策定してい
る地方公共団体向けには重点的に配分するなど、メリハリ付けを強化す
べきである。また、地方公共団体の実態を踏まえれば、国によるマニュ
アル作成などの技術的支援、地方公共団体の枠を超えたノウハウの共有
や広域連携等といった財政的支援に依らない取組みも重要であるとの意
見があった。
既存の社会資本の老朽化対策が課題となる中、これからの新規投資に
ついては、社会資本の整備水準の向上や将来の人口減少等を踏まえれば、
我が国にとって必要とされる国際競争力強化や防災対策であっても、費
用対効果を厳しく見極め、これまで以上に厳選する必要がある。
〔資料Ⅲ
-5-3参照〕
また、必要な社会資本の建設や維持管理に対応していく上で、PPP/
PFI といった民間活力、民間資金の導入を積極的に進め、民間の創意工
夫を図っていくことは、より重要性を増している。PPP/PFI の活用が
想定され得る施設等の管理者は、自ら積極的に財務情報、事業運営など
-57-
に関する詳細な情報を開示するなど、民間事業者の参加を促す環境を整
える取組みを強化する必要がある。
この他にも、各種の事業実施にあたって、依然として効率化の余地は
十分にあり、新たな技術等を積極的に導入すること等により一層の効率
化を進めるべきである。〔資料Ⅲ-5-4参照〕
老朽化対策費用については計画的・効率的な取組みを進めたとしても、
なお増加する可能性がある63が、新規投資についてはこれまで以上に厳選
するとともに、民間活力等の導入により一層の効率化を進めることで、
公共事業関係費の全体規模の抑制を図っていくべきである。
(1)公共事業の担い手
建設業は、社会資本等の建設を担うのみならず、災害復旧や豪雪地に
おける除雪等を担い、地域において重要な役割を果たしている。しかし
ながら、建設業の就業者数は減少傾向にあり、現在の就業者数の3割以
上が 55 歳以上であることや生産年齢人口が今後大きく減少することに鑑
みれば、将来、建設業の就業者数は大幅に減少する可能性が高い。
建設業の就業者数が大きく減少すれば、現在建設業が果たしている役
割を現在の規模で維持することは困難となる可能性は否定できない。将
来的には職業教育の在り方といった、より大きな枠組みでの議論も必要
である。ただし、建設業を維持するために公共事業を増額するような財
政的余裕はなく、むしろ、こうした厳しい見通しを踏まえた現実的な対
応を検討する必要がある。
例えば、今後、建設投資については、新規投資から維持管理・更新業
務へのシフトが進むと見込まれる中で、建設業においてもこうしたニー
ズのシフトに適切に対応していく必要がある。国や地方公共団体におけ
るインフラ長寿命化計画(行動計画)の策定は、地域の社会資本の維持
管理や更新に係る見通しを明確にするものであることから、必要な人材
「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について(答申)」
(25 年 12 月 25 日 社会資本整
備審議会・交通政策審議会)においては、国土交通省所管の社会資本 10 分野(道路、治水、下
水道、港湾、公営住宅、公園、海岸、空港、航路標識、官庁施設)の維持管理・更新費について、
25 年度には約 3.6 兆円であるのに対して、10 年後には約 4.3~5.1 兆円、20 年後には約 4.6~5.5
兆円に増加するとの推計を行っている。
63
-58-
の確保や職業教育の実施等に向けた見通しを立てやすくするのではない
かと期待される。
また、より少ない人数で必要な事業を実施することが求められること
から、効率的な施工を可能とする技術革新を追求していく必要がある。
さらに、生産性向上や業界の魅力向上に向け、将来の建設業の在り方に
ついても見直しを行っていくことが求められている。同時に、今後の高
齢化社会の進展を視野に入れて、例えば、除草事業などはボランティア
を活用するという考え方もあり得るとの意見もあった。
(2)地方の活性化
激化する国際競争の中で、我が国は、日本及び東京のビジネス環境の
改善を目標として掲げ、各般の取組みを行っているが、我が国に投資す
る国際的な企業の多くが東京圏に本拠を置いているように、我が国の競
争力を高めていくため、引き続き東京圏の魅力を高める努力を行ってい
く必要がある。他方で、東京への人口集中には、防災上の課題をはじめ
各種の課題があり、これらへの対処も必要である。
東京への人口集中に歯止めをかけるためには、雇用を生み出す企業を
地方に呼び込むとともに、地方都市の中でも一定の人口維持が可能な中
核的な都市に高度医療施設や大学等の高次の都市機能を集約していくこ
とが重要である。また、それ以外の地域においても、行政コストを抑制
していくためには、
「集住」を促し、都市機能を集約していくコンパクト
シティ化を推進することが重要である。
コンパクトシティ化といった取組みは、一朝一夕に到達できるもので
はない。その推進にあたっては、財政によるインセンティブ付けには限
度があることを認識し、先般改正された都市再生特別措置法等に基づく
都市計画や建築に係る規制の見直しを周知・活用していくべきである。
このように、今後のコンパクトシティ化の推進に際しては、都市計画や
建築に係る規制や税制の見直し、国公有資産の最適利用の推進など、各
種のツールを総動員していく必要がある。
コンパクトシティ化を推進するとしても、既存の公共施設の老朽化対
策費用の増加が課題となる中で、新たなハコモノなどの建設による誘導
-59-
は図るべきではない。既存の施設の活用や更新等のタイミングに合わせ
た集約化を図るなど、老朽化対策と表裏一体で進めていくことが重要で
ある。現在、
「まち・ひと・しごと創生」の推進に向けた検討が進められ
ているが、これら諸点を踏まえれば、バラマキ型の対応は徹底的に排除
すべきである。
これに関連し、現在、国は、地方公共団体が地域の活性化などを目的
とした社会資本の整備を行う場合に補助金等を交付し、これを支援して
いる。このうち、社会資本整備総合交付金は、個別事業の箇所付けを地
方公共団体の裁量に委ねるほか、国が定めた基幹事業に加えて、地方の
創意工夫により基幹事業の効果を高めるために必要な事業(効果促進事
業)に充てることができるなど、地方公共団体の裁量性を高めたものと
なっている。
しかしながら、これまでの運用状況を見ると、地方公共団体の中には、
費用便益比(B/C)や将来の老朽化対策費用の見通しを把握しないまま
多数の事業を計画しているものがあるほか、地方公共団体側においても
計画策定、執行ともに事業別の縦割りで行われているなど、必ずしも地
方公共団体による重点的・効率的な社会資本整備へとつながっていない
可能性がある。また、効果促進事業で実施される事業には、使い勝手の
良さとの名目の下、国が支援すべきとは言い難い事業に充てられている
例もある。裁量性の高い交付金については、事後的な効果検証が重要で
あるにもかかわらず、現状、必ずしもそれが十分とは言えない。
地域の自立的・持続的な活性化を図る観点からは、社会資本整備交付
金については、地方公共団体の裁量性は維持しつつも、将来の老朽化対
策費用の増加がその地方公共団体の財政に与える影響等も踏まえた上で、
地域の将来を見据えた計画的・効率的な取組みを行う地方公共団体を支
援するものへと見直す必要がある。また、効果促進事業についても、よ
り適切なものとなるよう抜本的に見直していくべきである。
(3)防災・減災対策
東日本大震災等後の巨大地震の被害想定の見直しや、集中豪雨の頻度
増加に伴う土砂災害・風水害の増加など、従来の想定を上回る災害リス
-60-
クへの備えの必要性が高まっている。
高まる災害リスクに対して、新たなハード対策による対応が合理的な
ケースも想定されるが、全てをハード対策により対応することは、巨額
のコストがかかるのみならず、その整備に長い時間を要することなどか
ら現実的とは言えない。
我が国が置かれた厳しい自然環境の下で、国民の命と暮らしを最重視
する観点からは、土地利用規制の強化、地域の実情に合った避難体制の
確立や住民への情報伝達の工夫など、地方公共団体と地域住民の協働に
よるソフト対策を重視するとともに、必要なハード整備については優先
順位を付けながら取組みを進める必要がある。
-61-
6.農林水産
我が国の農業就業人口は減少傾向が続いており、基幹的農業従事者数
の6割を 65 歳以上が占める一方で、40 代以下が1割にとどまるなど、
就業者数の減少と高齢化による担い手の減少が顕著である。特に稲作に
ついては、主業として従事する農家による生産は4割弱にとどまってお
り、また、産出額の規模が同程度である野菜や畜産に比べて経営規模の
拡大が遅れているなど、構造改革の余地が大きい。
〔資料Ⅲ-6-1参照〕
こうしたことを背景として、昨年末、
「農林水産業・地域の活力創造プ
ラン」
(25 年 12 月 10 日 農林水産業・地域の活力創造本部決定)におい
て、旧戸別所得補償として導入された米の直接支払交付金や米価変動補
填交付金の廃止、米の生産調整の見直しを行うとともに、農地中間管理
機構による担い手への農地集積・集約化を進めることが決定された。
また、本年、同プランの改訂等により、農地利用の最適化を図る観点
からの農業委員会の見直し、企業参入を図る観点からの農業生産法人の
見直し、単位農協の独自性を発揮させる観点からの農協改革を進めるこ
とが決められ、次期通常国会への法案提出を目指して、今後、具体化を
進めることとされている。
こうした一連の取組みは、稲作をはじめとする土地利用型農業の構造
改革を進める上で大きな一歩であり、予算の更なる重点化と効率化を図
りつつ、着実に推し進めていく必要がある。
(1)食料自給率目標と食料自給力
農業生産の状況を表す指標の1つとして、食料・農業・農村基本法に
基づき目標が設定されている食料自給率があるが、近年、カロリーベー
スの食料自給率は一貫して 40%前後で推移しており、現在 50%とされて
いる目標との乖離は解消されていない。もとより、カロリーベースの食
料自給率は、肉類や油脂類の摂取量の増加など消費者の選好に大きく左
右されるものであり64、財政負担を伴う生産面での助成措置等に徒に依存
例えば、我が国のカロリーベースの食料自給率は、昭和 40 年度の 73%に対して 24 年度は 39%
であるが、これは、自給率の低い畜産物・油脂類の消費の増加や、自給率の高い米の消費の減少
64
-62-
することは妥当ではない。
これまで、輸入に依存している作物の生産拡大を平時から図ることに
より自給率を伸ばすという視点が重視されてきたが、深刻な担い手の減
少等が進み、食料自給率が伸びていないのは既に述べたとおりである。
むしろ、経済の相互依存が進展する中での食料安全保障という観点から
は、仮に、海外からの輸入が途絶したような有事の場合に、生産転換な
どにより、潜在的にどれだけの食料を国民に提供することができるかを
示す概念である「食料自給力」の視点を今後の農政において重視してい
くことが有用と考えられる65。農地等の農業資源、担い手となる農業者、
農業技術といった要素により複合的に定まる「食料自給力」について、
来年春に改訂が行われる食料・農業・農村基本計画に向けて具体的な議
論が進むことが望まれる。
(2)農地総量確保の在り方
さらに、食料自給率の確保を名目として、現状の農地を徒に維持する
ことが妥当ではないことは言うまでもない。現行の食料・農業・農村基
本計画においては、32 年時点で 21 年と同等の農地面積が確保されるも
のと見通しているが、実際の農地面積は年々減少しており(21 年:460.9
万 ha、24 年:454.9 万 ha)、見通しと実績の乖離は拡大しつつある。ま
た、人口の減少や、摂取熱量が少ない高齢者層の増加といった人口動態
を踏まえれば、今後、必要となる総供給熱量は低下していく見込みであ
る。さらに、地方公共団体からは、耕作放棄地の発生が想定以上であり、
今後の農地の総量確保の目標については人口減少の勘案も必要との指摘
や、目標設定にあたり、地域の実情が適切に反映されていないとの指摘、
農地転用制度を柔軟化すべきといった指摘等が行われているところであ
る。水田の供給力過剰や将来の人口動態、地域のニーズを勘案すれば、
安定した生産活動の確保や生産面の体質強化を図りつつ、農地転用規制
なども含め、農地総量確保の在り方を見直す余地があると考えられる。
の影響が大きい。
例えば、イギリスでは、極端かつ長期的な輸入途絶の場合にも、シンプルな食事にはなるが、
栄養的に問題ない食料を十分に生産する基礎的な能力が存在することを目標として、潜在的に供
給可能なカロリーの試算を行っている。〔資料Ⅲ-6-2参照〕
65
-63-
〔資料Ⅲ-6-3参照〕
(3)稲作等の構造改革
前述のとおり、昨年末、米の直接支払交付金や米価変動補填交付金の
廃止、米の生産調整の見直しが決定されるとともに、本年、農協改革の
方向性が決められたところである。
一方で、一連の改革によって目指す農業の在り方が実現され、将来の
担い手となる世代の参入意欲を高めるためには、政策や流通の構造が、
需要に応じた生産や、農家の収入拡大、生産コスト削減の取組みを阻害
することのないようにしなければならない。このため、27 年度予算編成
過程を含め、以下に述べるとおり、農地集約の促進、米の転作に対する
助成の在り方、流通構造の在り方について、更に検討していく必要があ
る。
①生産調整の見直しと転作助成の在り方
現在、主食用米については生産数量目標が配分されているが、
「農林水
産業・地域の活力創造プラン」において、平成 30 年産を目途に、行政に
よる生産数量目標の配分に頼らずとも、需要に応じた生産が行える状況
になるよう取り組むこととされた(いわゆる減反の廃止)
。米の消費量の
減少が年々見込まれる中で、意欲ある生産者の経営発展のためには、生
産数量目標の配分の廃止を確実に実現する必要がある。
他方、水田において主食用米以外の小麦等を作付した場合に、主食用
米と同程度の所得が確保されるよう、転作に対する助成が行われている。
生産物を販売して得られる収入は非常に少なく、例えば飼料用米の場合、
販売収入は助成額の1割程度となり、需要というよりは、補助金の単価
が作付する作物の選択に大きな影響を与えていると考えられる。このよ
うに水田営農は、行政から配分される生産数量や補助金に大きく依存す
る構造にあり、その結果、収入拡大やコスト削減に取り組む経営マイン
ドが阻害されている面があると考えられる。所得向上に向けた自律的な
経営努力を促していくためには、転作助成の在り方を検討していく必要
がある。
〔資料Ⅲ-6-4参照〕
-64-
②流通
現状、農協から全農・県経済連に集約されて流通する米が販売量全体
の約4割を占めているが、農協系統の委託販売における流通の慣行では、
需給や価格の動向が生産者に的確に伝わらず、需要動向を十分に意識し
た生産が行われていない可能性がある。こうした状況を踏まえ、農協改
革等を通じて、買取販売の拡大や単位農協の自由な経営判断の確保を進
めるなど、流通の多様化を図っていくことが期待される。
〔資料Ⅲ-6-
5参照〕
③農地集積
単位面積当たりの生産コストは経営規模が拡大するにつれて逓減する。
担い手への農地集積と集約化により、農業構造の改革と生産コストの削
減を推進するため、農地の中間的受け皿として農地中間管理機構が都道
府県段階に設置されたところであるが、機構による貸付面積の実績など
足元の状況を見ると、農地集積の進捗は県によって相当の開きがある。
今後は借り手と貸し手のミスマッチの解消や成功事例の横展開などを推
進するとともに、農地集積を促進する手段として税制も含めて検討する
など、農地集積の実効性を向上させていく必要がある。
〔資料Ⅲ-6-6
参照〕
-65-
7.エネルギー・環境
エネルギー政策については、「安定性(安定供給やエネルギー安全保
障)
・安全性」、
「環境負荷」、
「国民負担」という視点から考える必要があ
る。あらゆる面で優れたエネルギー源はないという前提に立ち、それぞ
れの特性を踏まえ、現実的かつバランスの取れたベストミックスを、客
観的なデータに基づき早急に決定する必要がある。
エネルギー予算についても同様の視点に立つ必要があり、特に、新エ
ネルギー・省エネルギー施策をどのように効率的かつ効果的に推進して
いくかが重要な課題となる。今後促進が求められる再生可能エネルギー
関係の予算については、総花的になることを避け、それぞれの可能性や
コスト・ベネフィットに着目した「選択と集中」を行って絞り込んでい
くことが重要である。省エネルギー予算については、規制的手法との組
み合わせで効率的・効果的に実施していく必要がある。
〔資料Ⅲ-7-1
参照〕
(1)再生可能エネルギー予算
再生可能エネルギーは CO2 排出量の低減やエネルギーの安定供給の確
保という面において優れたエネルギーであり、25 年、26 年、27 年の3
年間は、再生可能エネルギーを最大限導入していくこととしている66。
24 年に導入された固定価格買取制度について、当審議会においては、
太陽光等の買取価格の設定が高すぎるという意見が多く出された。また、
電力会社への接続問題に加え、今後も構造的に買取総額(国民負担)や
電力多消費産業への賦課金減免措置に対する補填金(国費の投入)が右
肩上がりで増加していくという問題が指摘されている。今後、再生可能
エネルギー特別措置法附則第 10 条に基づき見直しが行われていくものと
考えられるが、
・
認定容量と各電力会社の接続可能容量との関係
「エネルギー基本計画」
(26 年4月 11 日 閣議決定)において、
「再生可能エネルギーについて
は、2013 年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく。その
ため、系統強化、規制の合理化、低コスト化等の研究開発などを着実に進める。」とされている。
66
-66-
・
燃料価格の高騰や原発停止の影響による電気料金の引上げとの関係
・
厳しい財政事情と電力多消費産業への減免措置との関係
といった課題を十分に勘案し、買取価格や減免措置について、国民負担
が過大とならないよう見直していくことが不可欠である。
再生可能エネルギー予算については、引き続き、施策の重複を極力排
除するとともに、施策の効率性や効果について常に検証し、真に効率的・
効果的な施策に集中して実施するよう努めるべきである。
〔資料Ⅲ-7-
2参照〕
具体的には、現在の再生可能エネルギー施策が、固定価格買取制度に
よる支援に加え、太陽光、風力、中小水力、地熱、波力、海流など様々
な可能性について総花的に導入補助や実証実験が行われていることに鑑
み、今後のエネルギーミックスの検討も踏まえつつ、より実現可能性が
高く、安価で、安定的かつ大きな発電量が見込めるものについて、環境
負荷や地域活性化という観点も踏まえて、
「選択と集中」を行い、予算の
重点配分を行っていくべきである。
〔資料Ⅲ-7-3、4参照〕
また、実証事業の実態が特定の事業者への支援措置となって市場原理
を歪めていないかという観点や、適切な出口戦略をもって積極的に民間
ビジネスに繋いでいくという観点を十分に踏まえて、国の関与を順次縮
小していくことが重要である。
(2)省エネルギー予算
省エネ活動は、家計あるいは事業者自身のコスト削減にもつながるも
のであって、本来、民間の自律的かつ持続的な活動として根付かせてい
くべきものである。特に、原油価格の高騰、電力料金の上昇などの現下
のエネルギーコスト高の状況は、本来は家計や事業者の省エネへのイン
センティブが高まる状況である。
国の施策は、国全体の CO2 削減目標を示すとともに、それに向けた民
間の自主的な取組みを促す方向、すなわち家計や事業者のインセンティ
ブ付けをする方向で措置されるべきであって、補助金などによるサポー
-67-
トは、効率的・効果的なものに限定していく必要がある67。
規制的手法については、エネルギーの使用の合理化に関する法律によ
り、産業・業務部門、運輸部門に定期報告等が義務付けられており、ま
た、家庭部門も含めて、住宅・自動車・家電など財に着目したトップラ
ンナー規制が設けられている。こうした規制や法令に基づく主務官庁の
指導、報告徴収、立入検査等の実施により、概ね各部門の省エネの取組
み及び省エネ機器の普及については一定の成果を挙げていると考えられ
るが、なお不十分な場合には、法的措置を実施することも求められる。
さらに、住宅部門については、新築住宅に対する規制強化の動きについ
ては評価できる一方、既築住宅に対する取組みについては問題提起をし
たい。
省エネルギー予算については、こうした規制による取組みを前提とし
つつ、引き続き、
・
民間事業者自身の省エネのインセンティブを見極め、我が国の経済
成長や事業者の国際競争力の維持・強化という観点も踏まえつつ、真
に国が関与するに相応しい分野にターゲットを絞り、効率的・効果的
で必要最小限のものに限定すること
・
今後の自律的・持続的な取組みにつなげていけるよう規制的手法と
補助金的手法を適切に組み合わせた「政策のベストミックス」を追求
すること
・
補助金的手法については適切な出口戦略を同時に検討していくこと
が重要であり、こうした方針に基づいた適切な措置を講じる必要がある。
〔資料Ⅲ-7-5参照〕
(3)原子力関係予算
原子力関係の予算については、原子力損害の賠償に関する法律や昨年
12 月に閣議決定した「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」の中
で定められた国と電力会社の役割分担に基づき、適切に措置していくこ
ととする。〔資料Ⅲ-7-6参照〕
67
例えば、製造機械や輸送機械などが基本的には省エネの方向に改良されていることを考えれば、
民間事業者の通常の設備更新に対して国が支援しているような施策は、効果の面で疑問がある。
-68-
廃炉・汚染水対策については、事故を起こした東京電力が、原子力損
害賠償・廃炉等支援機構からの増資等を受けた資金でもって実施するこ
ととなっているが、引き続き、技術的難易度が高く、技術を確立させる
上で、他の産業へ波及することが見込まれるようなものについては、国
が国費を投入して対応していくこととなっている。その際、国と事業者
が連携して早期の問題解決に取り組むとともに、対応や状況を納税者に
対して丁寧に説明していくことが不可欠である。
電源立地地域対策交付金については、現在、各立地自治体に一定の稼
働率の前提で引き続き交付されている。しかしながら、本交付金は、本
来、電源立地を支援する目的で、発電量等に応じて原発等設置自治体に
対して支払われるものである。今後、廃炉を決定した原発については、
交付金本来の趣旨に合わないような予算が温存されることがないよう適
切に支給を停止していくことが必要である。
〔資料Ⅲ-7-7参照〕
-69-
8.中小企業
信用補完制度は、中小企業者の資金繰りの安定・円滑化を確保する上
で重要な役割を果たしている。一方で、制度の維持に要する国の財政負
担は 10 年度以降の累計で8兆円強と非常に重く、財政面から制度の持続
可能性に疑義が生じかねない状態が継続していると言わざるを得ない。
〔資料Ⅲ-8-1、2参照〕
信用補完制度については、民間の金融仲介機能が最大限発揮されるよ
う、同機能を「補完」する役割を明確にしていく必要がある。また、制
度運営に当たっては、過度に予算措置に依存することは厳に慎まなけれ
ばならない。
こうした観点から、モラルハザードを生じさせかねない 100%保証(セ
ーフティネット保証5号)について、本年3月に、リーマン・ショック
後に講じた特例措置を終了し平時の運用に移行したことは、重要な前進
であると評価される68。
もっとも、信用補完制度の収支は引き続き大幅な赤字となっている。
中小企業金融円滑化法及び同法終了後の政策パッケージの効果もあって、
事故率は抑制された水準にあるが、この間に、中小企業者の経営改善・
事業再生を進めることが重要である。また、無担保・無保証融資の増加
を受けて、代位弁済後の回収率が大きく低下していることにも留意しな
ければならない。
こうした下で、信用補完制度全体に対する負荷を軽減させ、中長期的
に持続可能な制度運営を確保するため、民業補完機能の発揮・財政負担
の軽減に向けて、不断に制度の見直しを行っていく必要がある。
その際には、中小企業者の経営改善・事業再生を促進していくため、
金融機関が目利き・経営支援機能を発揮するインセンティブを高めるこ
とが極めて重要である。
また、中小企業金融の円滑化の観点を踏まえて、民間金融機関、中小
100%保証の対象となる業種数の推移を見ると、景気対応緊急保証等(22 年2月~24 年 10 月)
では原則全業種(1,118 業種)を指定し、その後のソフトランディング措置(24 年 11 月~26
年2月)では 600~700 業種程度を指定。26 年3月以降は、200 業種程度を指定している(四
半期毎に指定替え)。
68
-70-
企業者、信用保証協会及び日本政策金融公庫に対して適切な規律付けが
なされるよう、各主体の間のリスクの分担の在り方等について、幅広く
検討を行っていくべきである。
-71-
9.外交関係
(1)ODA
我が国の一般会計 ODA 予算額(当初)は、ピーク時の1兆 1,687 億円
(9年度)から、26 年度の 5,502 億円まで、約半減している。一方で、
被支援国にとって重要な、円借款も含めた ODA 事業量は増加傾向にあり、
国際比較においても、我が国のグロスベースの ODA 事業量は世界第2位
となっている。これまで、我が国は、厳しい財政事情の下で、ODA 予算
額を抑制しつつも、円借款等を活用することで国際貢献に取り組む姿勢
を内外に示してきた。
〔資料Ⅲ-9-1参照〕
ただ、国際的に見ても、一般的に、財政赤字の大きな国ほど ODA 事業
量を抑制しており、また、近年、財政収支が大きく悪化した国は総じて
ODA 事業量を削減している。また、円借款についても、供与先の実態を
踏まえて丁寧に案件形成を進める必要があり、これからの量的増加には
自ら限界がある。我が国としても、財政健全化に向けた取組みの一環と
して、引き続き、ODA 予算を厳しく抑制するとともに、ODA 事業量そ
のものの水準についても、我が国の財政状況や案件形成能力を踏まえて
検討していく必要がある。
〔資料Ⅲ-9-2参照〕
また、本年6月に公表された「ODA 大綱見直しに関する有識者懇談会
報告書」では、支援の対象国を ODA 卒業国にも拡大するとの方向性が示
されている。確かに、我が国が実施する支援の対象国の範囲について、
国際機関が設定した所得基準を機械的に適用する必然性はない。他方、
限られた財政資金を開発協力のために有効に活用する観点からは、ODA
卒業国への支援については、①原則として、支援対象を特別な脆弱性を
抱える国に限定する、②特段の脆弱性もなく、所得水準が十分高い国に
例外的に技術協力をする場合にはコストシェアを求めていく、といった
取組みが必要である。
〔資料Ⅲ-9-3参照〕
今後とも厳しい財政制約が継続すると見込まれる中で、開発協力を効
果的に実施していくためには、国際機関向け拠出金についても外交上の
意義等の観点から厳格な評価をしなければならない。その上で、説明責
任を果たし、優先度が低いものや意義が認められないものについては拠
-72-
出の停止・拠出額の圧縮を実施するなど、ODA の戦略性・効率性を高め
るための不断の努力が必要である。
加えて、途上国への民間資金の流入が公的資金を大きく上回っている
現状に鑑みると、民間資金を動員する取組みを強化することも重要であ
る。開発において、民間資金等の ODA 以外の資金の重要性が増大してい
ることについては、開発援助を専門的に議論する OECD 開発援助委員会
の場でも確認されている。我が国においても、政府が行う ODA と民間資
金・民間投資との連携を強化していくことが重要である。
〔資料Ⅲ-9-
4参照〕
(2)戦略的対外発信
外務省の来年度予算要求では、
「戦略的対外発信」を目的とした、様々
な施策が提案されている。現下の外交情勢に鑑みれば、領土や歴史認識
等について国際社会の正しい理解を獲得して外交環境を改善することや、
我が国の多様な魅力を発信することは確かに重要な課題ではある。一方
で、厳しい財政状況を踏まえれば、他省庁等の同種の事業・業務や民間
の活動との重複を排除しつつ、効果の高い施策に絞って、重点的・効率
的に実施していくべきことは言うまでもない。〔資料Ⅲ-9-5参照〕
特に、ジャパン・ハウス(仮称)のような新たなハコモノを創設する
ことについては、文化発信を担う政府施設が既に存在することに鑑みれ
ば、費用対効果の観点から疑問が多く、そもそもの必要性を根本から厳
しく検証すべきである。また、明確な成果目標と成果指標を設定し、そ
れを達成するための適切な事業案となっているかを厳格に検証した上で、
適切な受益者負担を求めつつ、民間・地方公共団体との連携を図ること
が重要である。
このようなハコモノを作るよりは、海外の大学やシンクタンクの日本
研究を支援することや、日本の研究実績等を英訳して海外に発信するこ
との方が有効ではないかとの意見もある。また、日本が国際的な課題の
解決にリーダーシップを発揮することこそが、対外発信にとって何より
も重要との意見もある。
また、訪日外国人数が 1,000 万人を超え、海外の各主要都市において
-73-
民間主体での日本文化発信のイベントが開催されるなど、近年では、民
間ベースでの国際交流が非常に活発に行われている。民間で出来ること
は民間で行うことが原則であり、敢えて公費を投入して人的交流事業や
海外における日本文化発信のイベントを実施するのであれば、事業の対
象や内容を、民間ではできない分野や外交効果の高い分野に絞り込むこ
とで、限りある財源を有効に活用することが重要である。
(3)在外公館
これまで我が国は、厳しい財政状況の下でも、外交体制充実の観点か
ら、着実に大使館を整備してきており、大使館の数は 18 年度の 117 から
本年度は 139 にまで拡大した。
〔資料Ⅲ-9-6参照〕
この結果、現在では、海外在留邦人及び海外日系企業の 99%以上が、
既に大使館が設置されている国に存在するなど、一定以上の人的・経済
的な結びつきがある国については、既に大使館を設置した状況となって
いる。〔資料Ⅲ-9-7参照〕
今後とも、外交や在留邦人保護等の観点から、ニーズが拡大している
国・地域があれば、着実に在外公館を整備していく必要性はある。他方、
在外公館の新設は、恒常的な財政負担増要因となるとともに、定員面で
の措置も追加的に必要となる。
我が国の極めて厳しい財政状況や人員面での制約を踏まえれば、更な
る新規公館の増設を図る際には、個々の公館の必要性を厳しく精査する
とともに、既存公館についても見直しを進めていく必要がある。
-74-
10.防衛
我が国の安全保障を巡る厳しい環境が続く中、豊かで平和な社会を発
展させていくため、安全保障政策について、より一層戦略的・体系的な
対応を図っていく必要がある。
そのような中、防衛関係費については、一般会計税収がピークとなっ
た2年度以降、公共事業関係費などが増加した後減少に転じていく状況
の下、冷戦終結という安全保障環境の変化や財政事情の悪化にも関わら
ず、極めて安定的に推移してきている。これに関し、防衛関係費につい
てはこれまでの推移とは関係なく、対外的な脅威との対比といった観点
から考えるべきとの意見があった。
〔資料Ⅲ-10-1参照〕
昨年 12 月には、26 年度から 30 年度までを対象とする中期防衛力整備
計画が策定され、陸・海・空の各自衛隊の連携を図りながら、統合的・
機動的な防衛力を強化すること、計画の実施に必要な防衛関係費は概ね
23 兆 9,700 億円程度の枠内とすること、調達改革等を通じ、概ね 7,000
億円程度の実質的な財源の確保を図ることが決定されている。そして、
これらは、それ以前の防衛関係費の伸びの状況、予算全体として財政健
全化に取り組む流れの中にあって、南西方面の脅威等を十分に勘案した
ものとなっている。
言うまでもなく、我が国の防衛力整備は、国力・経済力の維持、財政
健全化の推進を土台としつつ、外交政策、日米安全保障体制、周辺国と
の安全保障対話などの政策と一体として行っていくものである。したが
って、我が国として、着実な防衛力の整備の促進が必要である一方、防
衛関係費の額のみをもって安全保障を語ることは、議論の矮小化を招く
ことになりかねない。
〔資料Ⅲ-10-2参照〕
(1)持続的な防衛力整備
27 年度概算要求を見ると、歳出予算・新規後年度負担ともに、過去に
比して大幅な伸びとなっている。
そもそも、防衛装備品の調達それ自体が複数年度にわたるものが多い
ため、単年度での可変範囲は限られている。さらに、防衛装備品に係る
-75-
経費それ自体の特性として、氷山のような構造となっており、最上部の
装備品の取得・建造にのみ焦点が当たりがちであるが、下部にはその後
の多額の整備維持費が付随してくることとなっている。このような状況
にあって、一般に、後年度における負担が増大した場合、厳しい財政事
情の下では、経費の硬直化を招き、自衛隊の運用等に支障をきたすこと
になる。したがって、まずは、その必要性や効率化の余地について十分
検討し、過度な装備品の調達等に走ることなく、持続的な防衛力整備が
可能な水準で対応すべきである。こうした観点を踏まえると、27 年度概
算要求における歳出予算、新規後年度負担のような大きな伸びでは、今
後とも安定した防衛力整備を継続することは困難であり、中期防衛力整
備計画との整合性すら疑問である。
〔資料Ⅲ-10-3、4参照〕
さらに、普天間飛行場の移設など沖縄の負担軽減のための在日米軍再
編事業等についても近年その伸びが著しい。これらの経費も防衛関係予
算を構成しており、自衛隊や米軍の基地や施設の安定的運用を図るため
の基地対策等の経費とあわせ、実効的な基地負担軽減が図れるよう、不
断の検証を行っていくことが重要である。
(2)中長期的な改革への取組み
限られた予算の中で、効率的な防衛力整備を行うためには、陸・海・
空の各自衛隊の経費等について、その配分を含め、統合的な見地からの
優先順位の検討等を行うとともに、調達改革といった中長期的な改革へ
の不断の取組みも重要である。装備品については、その高性能化・複雑
化に伴って装備品の取得価格が高騰するなどの問題があり、これについ
ては、装備品のスペックを調整することで安価に調達することも検討す
るとともに、調達その他について情報の透明性の確保と情報開示を徹底
すべきである。〔資料Ⅲ-10-5参照〕
その他、防衛省においては、防衛装備庁(仮称)創設の議論が進んで
いるが、限られた予算の下で防衛装備品を安定して調達していくことに
ついて、現状を踏まえれば、改善の余地が大きいと言える。具体的には、
装備品のライフサイクルを通じた一貫したプロジェクト管理の実施を徹
底するなど、開発・取得段階及び維持・整備段階それぞれにおいて、効
-76-
率的な調達に向けた改革等を一層進めていく必要がある。
〔資料Ⅲ-10-
6参照〕
-77-
-78-
(参考1)
資
料
-79-
-80-
-81-
3.5
3.7
7.2
15.7
4.5
5.0
9.6
17.3
4.3
6.3
10.7
21.9
6.3
7.1
13.5
23.7
7.2
7.0
14.2
26.9
5.9
7.0
12.9
29.0
7.0
7.0
14.0
30.5
34.9
6.7
6.8
6.4
6.4
6.0
6.3
13.5 12.8 12.3
32.4
38.2
5.0
6.2
11.3
41.9
53.0 53.6
2.5
6.9
9.4
1.0
6.2
7.2
0.2
6.4
6.6
6.3
6.3
6.7
6.7
4
9.5
9.5
5
16.2
16.2
54.4 54.1
一般会計税収
54.9
60.1 59.8
4条公債発行額
46.8
50.8
65.9
50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3
3.2
2.1
5.3
13.8
20.9
24.5
29.1
34.1
38.8
43.4
46.9 47.2
50.6 51.5
57.7
61.5
69.3 70.5 70.5
75.1
6
0.8
12.3
13.2
7
2.0
16.4
18.4
8
9.2
10.7
19.9
16.9
17.0
34.0
49.4
24.3
13.2
37.5
47.2
21.9
11.1
33.0
50.7
20.9
9.1
30.0
47.9
25.8
9.1
35.0
28.7
6.7
35.3
43.8 43.3
26.8
8.7
35.5
45.6
23.5
7.8
31.3
21.1
6.4
27.5
49.1 49.1
19.3
6.0
25.4
51.0
84.9 85.5
84.8 83.7
82.4
81.4 81.8
一般会計歳出
89.3
52.0
26.2
7.0
33.2
36.9
38.7
44.3 15.0
84.7
34.7
7.6
41.5
34.4
8.4
42.8
42.3 42.8
95.3
100.7
36.0
11.4
43.9
47.5
97.1
50.0
95.9
33.8
7.0
35.2
6.0
40.9 41.3
47.0
100.2
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
(年度)
8.5
9.9
18.5
53.9
78.8 78.5
51.0 51.9 52.1
73.6
75.9
84.4
89.0
101.0
資料Ⅰ-1-1
(注1) 平成25年度までは決算、平成26年度は予算による。
(注2) 公債発行額は、平成2年度は湾岸地域における平和回復活動を支援する財源を調達するための臨時特別公債、平成6~8年度は消費税率3%から5%への引上げに先行して行った減税による租税
収入の減少を補うための減税特例公債、平成23年度は東日本大震災からの復興のために実施する施策の財源を調達するための復興債、平成24年度、25年度は基礎年金国庫負担2分の1を実現す
る財源を調達するための年金特例公債を除いている。
0
20
40
60
80
100
120
(兆円)
税収と国債発行額
-82-
0
2
2
2
3
4
6
10
13
2
15
43
35
42
17 22 28 21
28
10 15
5
32
71
33
49
82
40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2
1
8
22
56
225
175
258 187
245
197
209
216
222
421
226
3
4
5
6
7
8
9
288
321
特例公債残高
280
305
356
390
411
445
477
258
509
744 11
260
9
780
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
(年度末)
258
237 225
238
541 546
705
670 10
250
636 11
248
594 246
4条公債残高
247 243
527 532
復興債残高
資料Ⅰ-1-2
(注1) 公債残高は各年度の3月末現在額。ただし、平成26年度末は予算に基づく見込み。
(注2) 特例公債残高は、国鉄長期債務、国有林野累積債務等の一般会計承継による借換国債、臨時特別公債、減税特例公債及び年金特例公債を含む。
(注3) 東日本大震災からの復興のために実施する施策に必要な財源として発行される復興債(平成23年度は一般会計において、平成24年度以降は東日本大震災復興特別会計において負担)を公債残高に
含めている(平成23年度末:10.7兆円、平成24年度末:10.3兆円、平成25年度末:9.0兆円、平成26年度末11.4兆円)。
(注4) 平成26年度末の翌年度借換のための前倒債限度額を除いた見込額は755兆円程度。
0
50
100
150
200
250
300
295
332
368
392
499
457 241
207
168
193
231
158
178
172
166
142
161
157
199
131
145 152
134
116
176
108
102
122
158
91 97
110
81 87
96
75
134
69
63
108
56
77 83
64 65 65 64 65 64 63 61 64 67
53 59
40 47
(注1)国民1人当たりの公債残高は、平成26年度の総人口(国立社会保障・人口問題
研究所「日本の将来推計人口」(平成24年1月推計))で公債残高を除した数値。
(注2)可処分所得、世帯人員は、総務省「平成24年家計調査年報」による。
350
400
※勤労者世帯の平均年間可処分所得
約510万円
(平均世帯人員 3.42人)
国民1人当たり 約615万円
4人家族で 約2,459万円
↓
約780兆円 (見込み)
平成26年度末公債残高
(平成26年度一般会計税収予算額:約50兆円)
一般会計税収の約16年分に相当
450
500
550
600
650
700
750
800
(兆円)
850
公債残高の累増
-83-
77.0
73.5
71.8
59.4
70.9
58.5
74.6
60.9
40.4
78.5
64.3
40.6
80.2
67.6
42.7
66.7
81.8
70.0
44.6
66.8
68.0
76.8
フランス
81.6
67.9
93.2
75.3
69.0
83.4
92.3
86.1
95.7
81.4
93.3
79.0
95.9
75.8
97.6
96.9 100.8 110.5 110.4 114.1 117.4
84.0
77.9
74.9
70.4
74.7
87.4
89.5
93.1
95.5
(出典)OECD "Economic Outlook 96"(2014年11月)
※ 数値は一般政府ベース。
カ ナ ダ
92.9
93.9
94.3
イ タ リ ア 116.4 111.8 114.6 127.2 125.9 119.4 137.0 144.0 146.9 149.2
75.6
63.9
55.2
2015
ド イ ツ
45.3
2014
92.5 101.8 107.7 110.5 109.2 109.7 110.1
2013
44.2
78.1
2012
英 国
64.3
2011
75.8
63.9
2010
76.5
米 国
2009
80.3
166.8 162.4 171.1 188.7 193.3 209.5 216.5 224.2 230.0 233.8
2008
84.8
日 本
2007
85.7
2006
84.2
暦 年
92.2
109.4 103.1 101.6
カ ナ ダ
イ タ リ ア 127.1 128.7 130.6 123.7 119.0 118.1 116.9 114.3 114.7 117.4
75.2
60.0
39.8
58.8
72.6
60.6
44.1
57.4
フランス
58.8
46.7
50.7
2005
57.3
50.9
48.1
2004
ド イ ツ
49.9
52.3
2003
49.2
57.7
2002
英 国
61.7
2001
66.3
2000
米 国
1999
95.1 101.7 113.8 127.9 136.1 144.4 153.5 158.3 166.3 169.5
1998
日 本
1997
1996
(%)
暦 年
債務残高(対GDP比)の国際比較
ドイツ
英国
カナダ
米国
フランス
イタリア
日本
(暦年)
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
0
30
60
90
120
150
180
210
(%)
240
資料Ⅰ-1-3
-84-
1990
(兆円)
1995
家計金融総資産
2000
(出典) 日本銀行「資金循環統計」(2014年6月末速報)、内閣府「国民経済計算」
0
500
1,000
1,500
2,000
2005
金融総資産から住宅ローン等
の負債を差し引いたもの
家計金融純資産
2010
一般政府総債務
1.0
1,158 1,257 1,624 家計貯蓄率
(右軸)
(年度末)
0
5
10
15
20
資料Ⅰ-1-4
○ これまで我が国の国債消化を支えてきた家計金融資産は、高齢化の進展等による貯蓄率低下の進行により伸び悩
み、家計金融資産の伸びを上回る勢いで一般政府総債務が伸びている状況。政府債務が継続的に増加する中、財政
の持続可能性の信認が損なわれれば、国債の安定的な消化を困難にするおそれ。
我が国の資金循環①(家計金融純資産と一般政府総債務)
-85-
資料Ⅰ-1-5
864
その他
(出典) 日本銀行「資金循環統計」(2014年6月末速報)
0
100
投資信託
債券
0
100
200
400
500
600
700
800
900
200
株式・出資金
440
419 423 413 413 412 420 427 426 418 419 423 431
保険・年金準備金
現金・預金
833
847
(兆円)
300
378
751
815
793 805
782
779 775 775
765 766 772
<家計金融資産の資産別残高の推移>
300
400
500
600
700
800
900
(兆円)
739
269
貸出
773
310
346
371 384
399 409
425
現預金
460
482
504
283
478
727 734
710 719 715 696
702
689
683 693
国債
712
対外証券投資
株式
地方債
222
211
188
188 182
社債等
161 171 167 170 169 163 148 169 169 167
794
<銀行等及び生損保等の資産別残高の推移>
○ 近年のデフレ経済下において、家計の預金、保険・年金資産への志向が高いこと、また、国内の資金需要が低迷し、
企業等への貸出等が伸び悩んでいたことから、国債発行額が増加しているにもかかわらず、銀行等の金融機関を通じ
て国債は安定的に消化。
我が国の資金循環②(家計、銀行等の資産別残高)
-86-
資料Ⅰ-1-6
12
48
124
13
70
143
14
公的年金
81
174
(出典) 日本銀行「資金循環統計」(2014年6月末速報)
0
50
100
150
200
250
300
350
(兆円)
15
84
213
16
92
236
17
87
256
18
71
261
19
海外
64
270
20
56
生保・損保等
271
<主体別の国債保有残高>
21
51
275
銀行等
309
22
60
23
72
日本銀行
302
24
94
315
25 (年度)
157
286
○ 2013年4月以降、日本銀行は、量的・質的金融緩和により、2014年末の国債保有残高200兆円に向け、市中からの国
債買入れを積極的に進めている状況。
我が国の資金循環③(金融政策)
-87-
1月の政府と日本銀行の「共同声明」では、政府は、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政
構造を確立するための取組みを着実に推進するとされており、その実行は、日本経済がデフレを脱却し持続的な成
長を達成する上で必須です。

私どもの量的・質的金融緩和というのは、財政をファイナンスしようとか、国債の金利を、物価上昇の動向と全然関
係なく、財政の負担を少なくするためにいつまでも金利を低位にとどめておこうとか、そういう政策意図はございませ
ん。
したがいまして、財政につきましては、政府において、中期財政計画も決まっておりますし、それに沿って着実に財
政の持続性を高めるための方策が実施されておりますので、今後ともこの中期財政計画に沿って財政健全化が進ん
でいくということを強く期待しております。


黒田東彦・日本銀行総裁の国会における答弁(平成26年4月16日衆・財金委)
日本銀行による国債買い入れなどの政策は、あくまでも「物価安定の目標」の実現のために行っているものですが、
万が一これが財政ファイナンスであると受け取られた場合、リスクプレミアムの拡大から長期金利が上昇し、「量的・質
的金融緩和」の効果が失われる可能性があります。
黒田東彦・日本銀行総裁の講演における発言(平成25年7月29日)
政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確
立するための取組を着実に推進する。


資料Ⅰ-1-7
デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について
(内閣府・財務省・日本銀行共同声明(平成25年1月22日))
量的・質的金融緩和に対する日本銀行の見方
-88-
3.88
4.84
6.10 6.09
5.81 6.05 5.39 7.34
25
4.02 225 245
31
38
39
47
48
50
76
1.34
1.96
258
295
3.51 2.67 78
86
1.72 1.66
332
3.12 368
1.72 1.15
1.05
0.80
0.69
0.50
2014年8月末時点で、
10年債市場金利は
0.5%を下回ることも。
1.36 1.29 1.24 1.19 1.15 1.54 1.42 1.43 1.41 1.40 1.36
1.76
1.61 1.46
1.52 1.43
10年債市場金利(右軸)
1.12 1.12
1.97 421
133 136 139 160 165 161 141 136 152 152 176 178 168 182
1.36
2.30 392
457
499
541 546
527 532
670
705
744
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
25
4.33 2.95 2.85
4.64 国債発行総額(左軸)
207
4.40
5.10 加重平均金利(右軸)
594
636
普通国債残高(左軸)
<普通国債残高、国債発行総額及び金利の推移>
(注1) 利払費は、2013年度までは決算、2014年度は予算による。2014年度における10年債市場金利の数値は、2014年8月末時点。
(注2) 普通国債残高は各年度3月末現在高。ただし、2011~2014年度の普通国債残高は復興債及び年金特例公債を含み、2014年度末は予算に基づく見込み。
(注3) 国債発行総額には財投債を含む。
0
100
193
200 166 172 178
300
400
500
600
700
800
(兆円)
0
1
2
3
4
5
6
7
(%)
780
8
資料Ⅰ-1-8
○ 毎年度多額の国債が発行され、国債残高が累増し続けているにもかかわらず、国債金利は低下傾向。
国債金利の動向
-89-
資料Ⅰ-1-9
X
2014(平成26)年度国債発
行計画では、新発債約40兆
円、借換債約120兆円。
X+1
X+2
X+2年度発行分
X+3
X+4
53.2兆円
(+29.9兆円)
39.9兆円
(+16.7兆円)
23.3兆円
(平成35年度)
(平成32年度)
(平成26年度)
2023年度
2020年度
2014年度
( )書きは2014年度からの増加額
X+5
一旦発行された国債は、その期間、市中に残存。
試算上想定されている名目長期金利(10年債)は、それぞれ2014(平成26)年度:
1.8%(予 算積算金利)、2020(平成32)年度:3.9%、2023(平成35)年度:4.7%。
(出典) 内閣府「中長期試算」(2014年7月)
(注)
X+5年度発行分
2014(平成26)年3月末時点で、平均残存期間は7年7カ月。
↓
X+3年度発行分
X+4年度発行分
<参考>内閣府「中長期試算」における国債費の推移
X+1年度発行分
X年度以前発行分
<金利上昇が利払費の増加に与える影響のイメージ>
X+6
金利が継続的に上昇する場合
には、その負担は累増。
X+6年度発行分
○ 仮に金利が上昇する場合、普通国債残高(2014(平成26)年度末見込みで780兆円)のうち、初年度に上昇した金利が
適用されるのは、主にその年度に新しく発行された分(=新発債+借換債)のみ。
○ 他方、一旦発行された国債は、その残存期間にわたって市中に残り続ける。
○ さらに、金利が継続的に上昇し続ける場合には、利払費負担が継続的かつ急速に増大。
金利上昇が利払費の増加に与える影響
-90-
歳出総額
958,823
(100.0%)
10,507 (1.1%)
食料安定供給
1,853 (0.2%)
中小企業対策
9,642 (1.0%)
エネルギー対策
4,443 (0.5%)
恩給
5,098 (0.5%)
経済協力
その他の事項経費 61,526 (6.4%)
3,500 (0.4%)
予備費
公共事業
59,685
文教及び
6.2%
科学振興
54,421
5.7%
その他
96,568
10.1%
防衛
48,848
5.1%
利払費等
101,319
10.6%
債務償還費
131,383
一般会計
13.7%
国債費
232,702
24.3%
【歳出】
地方交付税
交付金等
161,424
16.8%
社会保障
305,175
31.8%
公債金
412,500
43.0%
将来世代の負担
基礎的財政収支
対象経費
726,121
75.7%
平成26年度一般会計予算から見る財政の現状
(単位:億円)
15,450
13,410
9,220
25,450
6,130
3,270
3,870
10,450
10,560
(1.6%)
(1.4%)
(1.0%)
(2.7%)
(0.6%)
(0.3%)
(0.4%)
(1.1%)
(1.1%)
租税及び印紙収入
500,010
消費税
52.1%
153,390
16.0%
法人税
100,180
10.4%
相続税
酒税
たばこ税
揮発油税
石油石炭税
電源開発促進税
自動車重量税
関税
印紙収入
その他
98,540
10.3%
一般会計
歳入総額
958,823
(100.0%)
その他収入
46,313
4.8%
4条公債
60,020
6.3%
特例公債
352,480
36.8%
所得税
147,900
15.4%
【歳入】
資料Ⅰ-2-1
-91-
(注)予算ベース
歳出
95.9
歳入
95.9
【2014年度】
歳出
66.2
歳入
66.2
【1990年度】
社会保障
30.5
公共事業、防衛、
文教・科技 等
26.0
交付税
15.3
基礎的財政収支対象経費 72.6
税収
50.0
公共事業、防衛、
文教・科技 等
25.1
(社会保障 +18.9)
社会保障
11.6
税収
58.0
国の一般会計歳入歳出の比較
※
交付税等
16.1
(交付税等 +0.9)
国債費
14.3
※
国債費
23.3
(国債費 +9.0)
公債金
41.3
公債金
5.6
(単位:兆円)
資料Ⅰ-2-2
-92-
6.7
6.3
2.1
5.8
3.1
5.4
3.6
1.7
4.1
3.9
3.2
1.6
6.1
1.0
1.2
6.0
7.5
1.1
2.2
5.0
6.2
0.2
3.9
3.9
7.8
2
3
4
5
6
7
8
0.1
4.9
2.2
8.2
5.4
1.3
8.8
4.1
1.4
9.1
16.8
15.5
17.7
17.8
▲ 5.9
3.3
0.8
9.1
▲ 4.8
0.3
1.3
9.7
▲ 3.5
4.1
11.1
5.1
7.0
1.4
19.0
6.9
5.6
5.4
4.2
1.8 1.6
0.2 ▲ 0.5
▲ 1.4
▲ 1.2 ▲ 1.2 ▲ 1.2
▲ 1.0
8.2
1.0
その他歳出(除く債務償還費)
▲ 3.2 ▲ 2.8 ▲ 4.0
5.9
2.4
8.2
17.2
+約54兆円
▲ 10.0
▲ 5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
5.7
4.9
5.0
4.1
7.1
9.0
3
4
5
6
7
8
▲ 3.5
10.8
8.5
8.5
6.8
その他収入
▲ 0.4 ▲ 0.4 ▲ 0.6 ▲ 1.4 ▲ 2.2
11.9 12.3
▲ 5.4
11.5
▲ 8.9
15.0
▲ 7.6
▲ 4.9
9.4
6.1
▲ 1.5 ▲ 2.0 ▲ 1.6
13.3 12.3
11.5
※・約57兆円:税制改正による差
引減収額
・約107兆円:利子・配当・土地及
び株式譲渡所得に係る所得税
収の平成2年度と各年度の差
額累計
を含む。
約146兆円
部分で普通国債残高
(年度)
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
0.1
▲ 1.1 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 1.0 ▲ 0.6 ▲ 0.5 ▲ 0.3 ▲ 1.8 ▲ 1.3 ▲ 1.4 ▲ 2.0
3.5
7.4
9.1
(+約197兆円)
増加額の約7割を占める。
2
0.0
3.4
税収
税収等の減少要因 :
約603兆円
資料Ⅰ-2-3
(注1) 平成25年度までは決算、平成26年度は予算による。
(注2) 東日本大震災からの復興のために平成23~平成27年度まで実施する政策に必要な財源として発行される復興債(平成23年度は一般会計において、平成24年度以降は東日本大震災復興特別会計に
おいて負担)を公債残高からは除くとともに(平成26年度末で11.4兆円)、平成23年度歳出のうち復興債発行に係るもの(7.6兆円)を除いている。
(注3) 税収のうち交付税法定率分は、歳入歳出両建てである(増減が公債残高の増加に影響しない)ため、歳出・歳入双方の増減要因から控除し、地方交付税交付金等のうちの交付税法定率分以外の部分
(地方の財源不足補てん部分等)を歳出の増加要因として計上している。
その他の要因(国鉄等債務承継など) :
(平成2年度の財政赤字約3兆円)
毎年度約3兆円の債務増加 × 24年 (平成3~26年度)
+約68兆円
(年度)
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
公共事業関係費 (+約59兆円)
0.7 2.7
0.5
2.3 1.1
0.5
0.8
0.0 0.1 0.5
▲ 0.9 ▲ 0.4
▲ 0.7 ▲ 1.3 ▲ 0.4
▲ 0.5
1.3
1.9
4.2
地方交付税交付金等 (+約78兆円)
平成2年度の収支差分による影響 :
▲ 10.0
▲ 5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
社会保障関係費 (+約210兆円)
35.0
35.0
30.0
(兆円)
+約335兆円
(兆円)
歳出の増加要因 :
平成2年度末から26年度末にかけての普通国債残高増加額 :
平成2年度(1990年度)を基準とした普通国債の残高増加の要因分析
-93-
昭和45年度
1970年度
1960年度
17.6
43.2
14.1
21.6
3.5
昭和35年度
17.4
51.2
11.1
18.8
1.5
(注)平成12年度までは決算、26年度は予算による。
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
1980年度
昭和55年度
15.9
36.6
18.8
16.0
12.7
1990年度
平成2年度
10.0
29.7
16.6
23.0
20.7
一般会計歳出に占める主要経費別割合の推移
2000年度
平成12年度
13.3
25.2
19.7
17.7
24.0
2014年度
平成26年度
6.2
20.8
31.8
16.8
24.3
公共事業
関係費
・文教及び科学
振興費
・防衛関係費 等
その他
社会保障
関係費
地方交付税等
国債費
資料Ⅰ-2-4
-94-
資料Ⅰ-2-5
61.4
42.5
2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 (年度)
保険料
公費
給付費
108.6
×
2014年度
(平成26年度)
年金
56.0
医療
37.0
(うち介護9.5)
介護・福祉
その他
22.2
(出典)国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計」。平成26年度は厚生労働省(当初予算ベース)による。
0
20
40
39.5
47.2×
60
16.2
80
100
(兆円)
給付費
115.2兆円
2014年度
(平成26年度)
保険料
64.1
国庫負担
31.1
地方税等負担
11.9
資産収入等
財源107.0兆円
+資産収入
その大部分は、
特例公債等の発行
を通じて将来世代の
負担。
給付費と保険料の差
は公費負担と
資産収入等で補填。
○ 社会保障給付費が高齢化に伴い増加する中、保険料収入は経済成長率と同程度の伸びにとどまっており、社会保障
給付費の伸びは保険料収入の伸びを常に上回り続けてきた。
○ わが国社会保障制度は、社会保険方式を採りながら、公費負担(税財源で賄われる負担)に相当程度依存。しかも公
費負担の財源について、特例公債等の発行を通じて将来世代に負担を先送り(財政悪化の最大の要因)。
社会保障給付費の増に伴う公費負担の増
-95-
生
活
保
護
3/4
国
55.4%
(60.8%)
国
児童手当
※4
基
礎
年
金
1/2
国
1/2
1/2
41/100
国
都道府県
9/100
保険料
保険料
1/3
国
都道府県
1/12
1/12
市町村
75歳以上:1/10
75歳未満:4/10
1/2
保険料
(失業給付)
※3
雇
用
保
険
16.4%
国
83.6%
保険料
(労使
折半)
後期高齢者
医療制度
国民健康保険
児童・障害福祉
※1
10/10
(労使
折半)
保険料
保険料 10/10
(全額事業主負担)
※1、2
健康保険
(協会けんぽ)
地方負担 11.9兆円
介
護
保
険
国
1/4
国
3/4
保
険
料
1/4
1/8
都道府県
市町村
1/8
65歳以上:
21/100
40~64歳:
29/100
1/2
保険料
(労使折半)
※5
1/2
国
1/4
都道
府県
1/4
市町
村
保険料 64.1兆円
雇労
用災
保保
険険
共
済
年
金
10/10
厚
生
年
金
10/10
保険料
(労使折半)
資
産
収
入
等
資料Ⅰ-2-6
保険料 10/10
(全額事業主負担)
厚生労働省作成資料
(雇用保険二事業)
健康保険
(組合健保)
(注) 保険料、国庫、地方負担の額は平成26年当初予算ベース。※2 保険料は事業主拠出金を含む。※3 雇用保険(失業給付)については、当分の間、国庫負担額(1/4)の55%に相当する額を負担。
※4 児童・障害福祉のうち、児童入所施設等の措置費の負担割合は、原則として、国1/2、都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市1/2等となっている。※5 児童手当については、平成26年
度当初予算ベースの割合を示したものであり、括弧書きは公務員負担分を除いた割合である。
※1
31.1
兆円
国
庫
13.8%
(15.2%)
都道
府県
市
・
都
市町村
道
府 13.8%
県 (15.2%)
1/4
17.0%
(8.8%(公務員負担分を除く))
事業主拠出金
社会保障財源の全体像(イメージ)
保険料(
労使折半)
-96-
資料Ⅰ-2-7
(参考3)持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律第19条(抜粋)
会議(「社会保障制度改革推進会議」)は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 中長期的に受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革について、前章の措置の進捗状
況を把握するとともに、社会保障制度改革推進法第二条の基本的な考え方等に基づき、平成三十七年を展望しつつ、総合
的に検討を行い、その結果に基づき、内閣総理大臣に意見を述べること。
(参考2)社会保障制度改革推進法第2条(抜粋)
四 国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点等から、社会保障給付に要する費用
に係る国及び地方公共団体の負担の主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとすること。
(参考1)消費税法第2条(抜粋)
2 消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度とし
て確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。
人口高齢化等を背景として増大する社会保障については、中期的に受益と負担の均衡を目指しながら、持続可
能な制度の確立に向けて着実に取組を進める。
〇経済財政運営と改革の基本方針2014 (抜粋)(平成26年6月24日 閣議決定)
現行の「中期財政計画」を踏まえ、社会保障については、中期的に給付と負担の均衡を実現できるよう、各年度
において着実に取組みを進め、(略)、PB対象経費全体について極力抑制すべきである。
〇財政健全化に向けた基本的考え方(抜粋)(平成26年5月30日 財政制度等審議会)
受益と負担のバランス
○ 社会保障制度の持続可能性や世代間の不公平といった問題を踏まえれば、社会保障の受益と負担のバランスを確
保するための取組みが必要。
社会保障の受益と負担のバランスの確保について
-97-
地 財 計 画
等
等
2005(平17)年度
地方税
地方税
地 財 計 画
分
分
交付税
法定率
歳出
▲3.4
4.3
兆円
法定率
交付税
臨時財政
対策債
2.2兆円
交付税
特例加算
2.2兆円
83.8兆円
▲1.7
2004(平16)年度
歳出
7.8
兆円
84.7兆円
臨時財政
対策債
3.9兆円
交付税
特例加算
3.9兆円
臨時財政
対策債
0.7兆円
交付税
特例加算
0.7兆円
等
地方税
分
法定率
交付税
地 財 計 画
2006(平18)年度
歳出
▲2.9
1.4
兆円
83.2兆円
▲1.5
折半対象
財源不足
解消
等
地方税
分
法定率
交付税
地 財 計 画
2007(平19)年度
歳出
▲1.4
83.1兆円
▲0.7
地方財源不足額の推移
等
地方税
分
法定率
交付税
地 財 計 画
2008(平20)年度
歳出
83.4兆円
引き続き
折半対象
財源不足
解消
等
地方税
分
法定率
交付税
6.3
兆円
地 財 計 画
2009(平21)年度
歳出
+6.3
臨時財政
対策債
2.8兆円
交付税
特例加算・
別枠加算
3.6兆円
82.6兆円
+3.3
臨時財政
対策債
5.4兆円
交付税
特例加算・
別枠加算
6.9兆円
等
地方税
分
法定率
交付税
地 財 計 画
2010(平22)年度
歳出
+6.0
12.3
兆円
82.1兆円
+3.3
臨時財政
対策債
3.8兆円
交付税
特例加算・
別枠加算
5.1兆円
等
地方税
分
法定率
交付税
地 財 計 画
2011(平23)年度
歳出
▲3.4
8.9
兆円
82.5兆円
▲1.8
臨時財政
対策債
3.8兆円
交付税
特例加算・
別枠加算
5.1兆円
等
地方税
分
法定率
交付税
地 財 計 画
2012(平24)年度
歳出
+0.0
8.9
兆円
81.9兆円
+0.0
臨時財政
対策債
3.6兆円
交付税
特例加算・
別枠加算
4.8兆円
等
地方税
分
法定率
交付税
地 財 計 画
2013(平25)年度
歳出
▲0.5
8.4
兆円
81.9兆円
▲0.3
臨時財政
対策債
2.6兆円
交付税
特例加算・
別枠加算
3.3兆円
等
地方税
分
法定率
地 財 計 画
2014(平26)年度
歳出
交付税
5.9
兆円
83.4兆円
▲2.5
▲1.6
資料Ⅰ-2-8
-98-
資料Ⅰ-2-9
▲3.7% (00年)
103.4% (00年)
財政収支(対GDP比)
債務残高(対GDP比)
129.7% (09年)
▲15.7% (09年)
▲11.2% (09年)
4%台 (09年)
71.7% (09年)
5.5% (06年)
- 国債金利は、2012年3月2日には、37.10%に。
◆第2次 ギリシャ支援(2012年3月)
- 国債金利は、2011年末には34%後半に更に急上昇し、金融機関の損失が拡大。
2011年、ギリシャ大手4行、経営危機に陥り、政府の支援が必要に
金融危機の発生
◆第1次 ギリシャ支援(2010年5月)
ギリシャ政府、市場からの資金調達が困難化・支援要請(2010年4月)
財政危機の発生
- 2009年10月に4%台であった国債金利は、相次ぐ格下げを受けて、8%台後半に急上昇。
◆ギリシャ国債の格付け引下げ、国債金利の上昇
- 財政赤字の実績・見通しを下方修正。
◆財政統計の不正が発覚(2009年10月)し、市場の信認が低下
▲3.0% (98年)
8%台 (98年)
国債金利
経常収支(対GDP比)
33.7% (00年)
3.4% (98年)
海外国債保有比率
実質経済成長率
◆2001年のユーロ参加以降、財政赤字・債務残高が拡大
ギリシャでの危機の発生
欧
州
各
国
へ
波
及
2007 2008 2009 2010
財政収支(対GDP比)
(年)
120
110
100
90
イタリア 80
70
フランス
60
スペイン 50
ポルトガル40
30
(%)
(年)
スペイン
フランス
ポルトガル
イタリア
2007 2008 2009 2010
債務残高(対GDP比)
◆2011年、ギリシャ国債価格等の急落を受けて、ドイツやフランス等
の欧州大手金融機関の経営が悪化し、政府による支援も
金融危機の発生
◆市場からの資金調達が困難化し、2011年4月にはポルトガルが、
2012年6月にはスペインが、EU・IMF等に相次いで支援を要請
財政危機の発生
▲ 12
▲ 10
▲8
▲6
▲4
▲2
0
2
(%)
◆リーマン・ショックの影響等により財政状況等が悪化していた
ポルトガル・スペイン・イタリア等の欧州諸国においても、
国債の格付け引下げや国債金利の上昇が発生。
欧州債務危機へと発展
○ ギリシャは、2001年のユーロ参加以降、高い経済成長を実現。一方、経常赤字が拡大し、海外投資家によるギリシャ
国債の需要の高まり等を受け、資金調達が可能な状況下で、財政赤字は拡大し、債務残高も増加。
○ 財政統計の不正発覚を機に、ギリシャ財政に対する市場の信認が失われ、国債金利が上昇し、市場からの資金調達
が困難に。影響は財政が悪化した欧州各国へと波及し、「欧州債務危機」へと発展。
欧州債務危機の発生
-99-
資料Ⅰ-2-10
波及リスクを遮断
IMF・EU・ECBの協調による支援の実施
公的資金による金融機関救済が困難
を防止
財政の信認低下・金融不安の増幅・経済状況の悪化
更なる
金融機関
政 府
市場からの
資金調達が困難に
財務状態が悪化し、
経営破綻の危機に
金融危機
財政危機
財政問題発の
国債金利上昇/国債価格下落
市場からの信認低下
財政赤字・債務残高の増大
■欧州債務危機の基本的な構図
(2011.7.18)
(2012.3.2)
17.39%
(2012.1.30)
7.26%
4.97%
ポルトガル
(2011.11.25)
4.01%
イタリア
(2012.7.24)
7.62%
3.98%
スペイン
 2011年、フランスのBNPパリバやドイツのコメルツ銀行は、保有する
ギリシャ国債等における損失により、2010年対比で大幅減益に。こ
うした、GIIPS諸国に対するエクスポージャーの大きさも一つの要因
となり、格下げも行われた。
 2011年10月、ベルギー・フランス大手金融機関のデクシアは、保有
するギリシャ国債等における損失により、資金繰りに行き詰まり、ベ
ルギー・フランス・ルクセンブルク政府は、900億ユーロの流動性支
援保証を実施。
 2011年、ギリシャ大手4行(ナショナル銀行・アルファ銀行・EFGユー
ロバンク・ピレウス銀行)は、保有するギリシャ国債の価格下落によ
る損失により、債務超過に。
 このため、ギリシャ政府は、ユーロ圏等からの支援を受けて、2012
年、4行に対し、総額275億ユーロの資本注入等を実施。
■相次いだ金融機関の財務状態の悪化
14.08%
4.78%
8.66%
37.10%
アイルランド
(ギリシャ支援要請時点(2010.4.23)以降)
ギリシャ
■国債金利の上昇
○ 欧州債務危機においては、財政の信認低下に伴う国債金利の上昇(国債価格の下落)により、「財政危機」が発生す
る中で、財政問題発の「金融危機」が同時に発生し、当該国のみでは対応できないリスクが顕在化。
欧州債務危機の基本的な構図
-100-
資料Ⅰ-2-11
2007年6月13日
日本 1.97
2007年6月12日
米国 5.29
日本
ドイツ
イタリア
ギリシャ
2008年9月
リーマン・ショック
2008年6月19日
フランス 4.84
米国
フランス
スペイン
2009年10月
ギリシャ
統計問題発覚
2008年6月19日
ドイツ 4.68
2010年4月23日
ギリシャ
1次支援要請
2011年11月25日
イタリア 7.26
2012年2月8日
ギリシャ
2次支援要請
2011年11月
ギリシャ
政権交代
2012年6月25日
スペイン
支援要請
2012年6月
ギリシャ
再選挙
2012年3月2日
ギリシャ 37.10
(出典) Bloomberg
(注) 10年国債の金利。ギリシャ国債は、民間債権者との債務交換に伴い、2012年3月12日より交換後の新発債にて取引が行われている。
本資料では、2012年3月12日以降、2023年償還のギリシャ国債の金利を使用しており、債券交換前と比較して低くなっている。
0
1
2
3
4
5
6
7
(%)
8
2013年2月
イタリア
総選挙
2013年4月
イタリア
連立政権発足
2012年7月24日
スペイン 7.62
0
5
10
15
20
25
30
35
(%)
40
○ リーマン・ショック以前は、欧州各国のスプレッドは縮小。
○ 市場において財政の信認が低下した状況下では、財政や経常収支の状況が悪い国を中心に、政治状況や財政政策
等により、金利が大きく変動。
欧州債務危機時の各国の金利変動の状況 (※ギリシャのみ右軸)
-101-
資料Ⅰ-2-12
イタリア
▲2.4%
ポルトガル
▲3.2%
スペイン
▲1.6%
(実質GDP成長率・2012年)
ギリシャ
24.5%
(55.3%)
失業率の悪化
イタリア
10.7%
(35.3%)
ポルトガル
15.8%
(37.9%)
スペイン
24.8%
(52.9%)
(かっこ内は25歳未満の若年失業率)(2012年)
 一般政府財政収支対GDP比:2010年▲9.1%→13年▲3.0%
 公務員人件費削減(賃金を平均5%削減し13年まで名目額を凍結、中
央政府公務員数を2012年から14年まで年1%削減、管理職のポスト
の15%以上削減等)
 年金支給額削減(月1,500€超の年金受給者の年金を削減、給付額
の凍結)
 教育・大規模インフラ等への歳出削減
 付加価値税の非課税対象品目や各種優遇税制等の見直し
 労働保護法制の見直し(雇用の柔軟性強化、失業手当の減額等)
 一般政府財政収支対GDP比:2009年▲13.6%→14年▲2.6%
 公務員人件費削減(ボーナス廃止・公務員数を2015年までに15万人
削減等)
 年金支給額削減(ボーナス廃止・月1,400€超の年金給付を平均8%削
減・支給開始年齢65歳への引上げ等)
 付加価値税の引上げ(21%→23%)等
 税制改革(各種控除・優遇税制等の廃止等)
 労働保護法制の見直し(パートタイム労働者活用拡大・最低賃金の
22%引下げ等)
 ギリシャ:2012年5月、財政再建を実施してきた連立与党が総選挙で過半数割れ。連立協議も失敗し、政治的空白が発生。
翌6月の再選挙で財政再建派が過半数獲得。
 イタリア:2012年12月、財政再建を巡る連立与党内の対立により、首相が辞意表明。翌年4月、政権交代。
政治情勢の不安定化
 ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペイン等において、失業率悪化や緊縮財政に反対する大規模なデモやストライキが多発。
 交通機関の運休、学校の休校や商店の閉鎖等により国民生活に悪影響も。
デモ・ストライキの発生
ポルトガル
EU・IMF等からの支援を受けた国では国民の痛みを伴う厳しい財政再建策を実施
ギリシャ
財政再建策の実施
 ギリシャ等において、経済状況の悪化に伴う不良債権の増加や金利上昇に伴う保有国債の価格下落による損失等により、
金融機関の破綻などが相次いで発生。
金融危機の発生
ギリシャ
▲7.0%
経済状況の悪化
○ 経済や失業率が大幅に悪化する中、財政再建の実施に伴う増税や年金支給額抑制等に不満を持つ国民によるデモ
やストライキが多発し、国内の政治情勢も不安定化。
欧州債務危機の発生による経済・社会等への影響
-102-
支援の内容
2012年6月
2011年5月
2012年3月
第2次支援
EUのみ(期間1年半)
総額 1,000億€ 融資
EU:520億€(期間3年)
IMF:260億€(期間3年)
総額 780億€ 融資
EU:1,447億€(期間3年)
IMF:280億€(期間4年)
総額 1,730億€ 融資
IMF:300億€(期間3年)
第1次支援 総額 1,100億€ 融資
2010年5月 EU:800億€(期間3年)
合意時期
10%
46%
89%
50%
支援合意額
対GDP比
86%
108%
157%
148%
債務残高
対GDP比
(出典) 預金保険機構 「平成25年度 預金保険機構年報」
金融機関の破綻処理のための資金援助(累積額)
経営健全化のための資本増強(累積額)
約35兆円
約13兆円
 金融機関の破綻処理のための資金援助や経営健全化のための資本増強等を
行うため、これまでの総額で約48兆円の資金を必要とした。市場から調達した
資金の残高は、平成14年度末には最高約21兆円にのぼった。
<参考1> 日本の預金保険機構における資金援助等の実績
 ギリシャは、2001年のユーロ参加以降、高い経済成長を実現。一方、
経常赤字が拡大し、海外投資家によるギリシャ国債の需要の高まり
等を受け、資金調達が可能な状況下で、財政赤字は拡大し、債務
残高も増加。
 こうした中、財政統計の不正発覚を機に、財政に対する市場の信
認が失われ、国債金利が上昇し、市場からの資金調達が困難となり、
支援を要請。
 支援の条件として、財政健全化目標の設定や、歳出・歳入両面の
取組み等からなる財政再建策の実施に合意。
 国際競争力のある産業が少なく、慢性的な経常赤字・財政赤字の
状態。
 ギリシャ債務危機を受けて、財政再建に取り組むも、2011年3月、財
政再建策が議会において否決されたこと等を受けて、格付け会社が
相次いで格下げを行ったこと等から、国債金利が上昇し、市場から
の資金調達が困難に。
 支援の条件として、財政健全化目標の設定や、歳出・歳入両面の
取組み等からなる財政再建策の実施に合意。
 リーマン・ショック後の2008年に不動産バブルが崩壊し、失業率が
20%程度まで上昇するなど経済は著しく悪化。加えて、景気対策の
実施により財政赤字が拡大。
 2010年9月以降、格付け会社が相次いで格下げを行ったこと等から
国債金利が上昇する中、不良債権問題の深刻化による金融機関へ
の支援の必要性に迫られるも、市場からの資金調達が困難に。
 支援の条件として、経営状態が悪化した金融機関に対する資本注
入や破たん処理の実施等からなる金融セクター改革の実施に合意。
(注)為替レートは、日本銀行 「基準外国為替相場及び裁定外国為替相場」を用いた。
 EUは、2012年10月に、恒久的な支援枠組みとしてESMを設立。最大融資
可能額は5,000億€(約49兆円)。
 イタリア、スぺインの2012年末時点での国債発行残高は以下のとおり。
イタリア
1.66兆€(約170兆円)
スペイン
0.74兆€(約77兆円)
<参考2>
資料Ⅰ-2-13
危機の経緯
(出典) 支援合意額は、IMF、欧州委員会。各国GDP、及び債務残高対GDP比は、IMF World Economic Outlook(2014年5月)より、支援合意の年末時点のデータ。
スペイン
ポルトガル
ギリシャ
国名
IMF・EUによる欧州諸国への支援内容
-103-
資料Ⅱ-1-1
日本
日本
以外の
先進国
PB
黒字化
PB赤字
を半減
2015年度
2020年度
緩い
財政赤字
を半減
内容
遅い
2013年
目標年次
フロー目標
2021年度
以降
遅い
2016年
目標年次
国・地方の
公債等残高
対GDP比
を安定的
に低下
債務残高
対GDP比
を安定化
又は低下
内容
ストック目標
○アクションプラン(仮訳)
合意に沿って、全ての先進国は、中期にわたり債務対GDP
比を安定化または縮減させることに向けられた戦略を提示し
た。…日本は、2020年度までにプライマリー・バランスの黒字
を達成した後、政府債務対GDP比を安定的に縮減することを
目指す。…
【G20サンクトぺテルブルク・サミット( 2013年9月5日、6日 )】
○首脳宣言(仮訳)
先進国において財政の持続可能性を確保しつつ、より強固
で持続可能な回復を実現することは、引き続き極めて重要で
ある。合意に沿って、全ての先進国は、信頼に足る意欲的な
各国個別の中期的な財政戦略を策定した。これらの戦略は、
債務対GDP比を持続可能な道筋に乗せつつ、経済成長と雇
用創出を支えるため、短期的な経済状況を勘案し、機動的に
実施される。…
【G20トロント・サミット(2010年6月26日、27日)】
○首脳宣言(仮訳)
…先進国は、2013年までに少なくとも赤字を半減させ、2016
年までに政府債務の対GDP比を安定化又は低下させる財政
計画にコミットした。
日本の状況を認識し、我々は、成長戦略とともに最近発表さ
れた日本政府の財政健全化計画を歓迎する。深刻な財政課
題がある国は、健全化のペースを加速する必要がある。
○ 先進国は、リーマン・ショックを受けて悪化した財政の立て直しを進めるため、2010年6月のトロント・サミットにおいて、
財政健全化のための計画にコミット。日本の財政健全化目標は、他の先進国と比べ、目標年次が遅く、内容も緩やか。
各国の財政健全化に向けた取組
-104-
▲2
▲1
0
1
2
3
4
5
6
2010
1.1 1.3
(%)
2011
▲ 1.4
1.0 2012
▲ 0.2
0.8 2013
0.7 1.9
2014
1.0 3.3
1.6 2.2 1.7 2.4 3.1 3.5
1.8 2.6 3.5 3.6
1.9 「参考ケース」
名目長期金利
3.1 3.7
「参考ケース」
名目経済成長率
1.9 3.0 3.7
2015
△
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023 (年度)
「参考ケース」名目経済成長率(2015(平成27)年度は「経済再生ケース」と共通)
「参考ケース」名目長期金利(2015(平成27)年度は「経済再生ケース」と共通)
1.9 2.9 3.7
▲
1.9 2.7 3.6
「経済再生ケース」
名目経済成長率
4.7 「経済再生ケース」名目経済成長率
「経済再生ケース」名目長期金利
2.0 2.1 2.7 3.4
3.9 4.2 4.5 「経済再生ケース」
名目長期金利
資料Ⅱ-1-2
○
●
1.6 2.8
2.3 3.6
名目経済成長率・名目長期金利の推移
-105-
▲9
▲8
▲7
▲6
▲5
▲4
▲3
▲2
▲1
2010
▲ 8.3
(対GDP比、%)
0
2011
▲ 8.1
2012
2013
▲ 7.7 ▲ 7.9
2014
▲ 7.0
2015
▲ 5.1
2016
▲ 4.7
2017
▲ 4.9
2018
▲ 5.3
2019
▲ 5.7
2020
▲ 6.1
2021
▲ 6.3
2022
▲ 6.8
▲ 5.5
2023 (年度)
▲ 7.2
▲ 5.8
「参考ケース」(平成26年1月試算)
◆
▲ 5.2 ▲ 5.2
「経済再生ケース」(平成26年1月試算)
●
▲ 4.9
「参考ケース」(2015(平成27)年度は「経済再生ケース」と共通)
◆
▲ 4.6
「経済再生ケース」
資料Ⅱ-1-3
●
▲ 4.4 ▲ 4.4
国・地方の財政収支(対GDP比)の推移
-106-
資料Ⅱ-1-4
50
0
0
100
100
0
0
50
50
89.2万円
55.3万円
17.5万円
1人当たり医療費
0
0
100
32.6万円
8.5万円
2.7万円
1人当たり医療費国庫負担
50
0
50
女性
4.4%
65‐74歳
要支援・要介護認定率
0
31.3%
100
0
10
20
75歳以上
<年齢階層別一人当たり医療費等>
10
10
30
30
20
40
40
40
20
50
50
50
30
60
60
60
50
65歳~
・国民医療費の約5割
・基礎年金受給開始
・介護1号被保険者
70
70
70
100
80
男性
80
女性
80
100
90
男性
90
女性
【2025年】
90
100
【2020年】
100
第2次ベビー
ブーム世代
(51歳~54歳)
772万人
65歳
75歳
団塊の世代
(76歳~78歳)
555万人
(注1) 1人当たり医療費は、年齢階級別の国民医療費を人口で除して機械的に算出した金額。
(注2) 75歳以上の1人当たり国庫負担額は、後期高齢者医療にかかる国庫負担額(4.8兆円)を75歳以上の人口で除して機械的に算出した金額。
(注3) 65歳~74歳及び64歳以下の1人当たり医療費国庫負担額は、医療費に占める国庫負担額の割合をそれぞれの年齢階層における1人当たりの医療費に乗じて機械
的に算出した金額。
(出典)年齢階層別の人口割合は総務省「人口推計(23年10月)」、医療費は厚生労働省「平成23年度国民医療費の概況」、
要支援・要介護認定率は社会保障人口問題研究所「将来人口推計」及び厚生労働省「介護給付費実態調査(平成24年11月審査分)」による。
75歳以上
65歳~74歳
64歳以下
100
第2次ベビー
ブーム世代
(40歳~43歳)
792万人
65歳
75歳
団塊の世代 男性
(65歳~67歳)
648万人
【2014年】
<人口構成の推移>
○ 2025年には団塊の世代が全て後期高齢者(75歳以上)となる。
○ 高齢になるほど一人当たり医療費や要支援・要介護認定率が高くなることから、年齢構成の高齢化に伴い医療費・介
護費は継続的に増加。
高齢化の影響(人口構成の推移と1人当たり医療費等)
-107-
資料Ⅱ-2-1
⇒ 各年度の予算編成において収支改善が可能なときにはできる限りの改善を図るとともに、黒字化に
向けた具体的な道筋を検討する必要。
※前回試算:▲1.9%(11.9兆円)の赤字
• 平成25年度決算の一定の特殊要因を除いた税収増を機械的に織り込み、国・地方PB対GDP比は若干
の改善を示すものの、黒字化までは依然として▲1.8%(11.0兆円)の赤字。
○2020(平成32)年度
⇒ 半減目標(▲3.3%)を達成しているが、▲3.3%との差は0.7兆円台半ばに留まる。このため、
全く楽観視できず、歳入面・歳出面の努力を緩める状況にはない。
• 歳入面(一般会計)では、平成25年度決算の一定の特殊要因を除いた税収増(+0.6兆円)と名目経済
成長率の見直しによる税収減(▲0.3兆円)により、税収は55.6兆円(前回試算から+0.3兆円)
• 歳出面(一般会計)では、一定の歳出削減を前提に、PB対象経費は前回試算同様、74.4兆円
• 国・地方PB対GDP比は、前回試算同様、▲3.2%の赤字。
○2015(平成27)年度
⇒「経済再生ケース」では、前回試算同様、10年平均(2013~2022年度)で名目3%程度、実質2%程
度の成長率を維持。
• 年央試算における足元の経済動向を踏まえ、2015(平成27)年度の経済成長率を見直し
(名目3.4%→2.8%)
○経済の見直し
内閣府・中長期試算(平成26年7月)の結果概要について
-108-
① 的確・客観的な現状分析と将来予測を踏まえた、中⻑期を含めた政策⽬標(数値⽬標)を設定の
上、効果検証を厳格に実施し、効果の⾼い政策を集中的に実施する。「バラマキ型」の投資などの
⼿法は採らない。
② 各府省庁の「縦割り」を排除し、ワンストップ型の政策を展開する。例えば、地域再⽣のための
プラットフォームを整備するとともに、地⽅居住推進のためのワンストップ⽀援や⼩さな拠点にお
ける⽣活⽀援など、同じような⽬標・⼿法の施策は統合し、効果的・効率的に実施する。
③ ⼈⼝減少を克服するための地域の効果的・効率的な社会・経済システムの新たな構築を図り、税
制・地⽅交付税・社会保障制度をはじめとしたあらゆる制度についてこうした⽅向に合わせて検討
する。
④ 地⽅の⾃主的な取組を基本とし、国はこれを⽀援する。国と地⽅及び地⽅⾃治体間で連携・協働
するとともに、地域に根ざした⺠間の創意⼯夫を後押しする。
⑤ 現場に積極的に出向き、地域における先進・成功事例だけでなく、成功には⾄らなかった事例も
含め、得られた知⾒を今後の政策展開に⽣かす。
4.取り組むに当たっての基本姿勢
⼈⼝減少克服・地⽅創⽣のためには、具体的な政策⽬標を掲げ、その実現に向けて従来型の発想に
とらわれず英知を結集し、あらゆる効果的な政策⼿段を総動員しなければならない。「縦割り」を排
除するとともに、個性あふれる「まち・ひと・しごと」創⽣のため、全国どこでも同じ枠にはめるよ
うな⼿法は採らない。そのためには、地⽅⾃治体等が主体的に取り組むことを基本とし、その活気あ
ふれる発意をくみ上げ、⺠間の創意⼯夫を応援することが重要となる。本部員は、こうした点を踏ま
え、以下の基本姿勢で取り組む必要がある。
基本方針(平成26年9月12日まち・ひと・しごと創生本部決定)抜粋 資料Ⅱ-2-2
-109-
の後の5年間の取組みについて来夏までにさらに具体的な工程を明らかにする必要がある。
大限努力することで、財政健全化目標達成に向けた取組みを加速し、その上で来年度予算に基づいて、そ
来年度予算編成においては、これらの取組みの初年度として、前年度同様に「中期財政計画」に沿って最
年度同程度の水準を基本としつつ、PB対象経費全体について極力抑制すべきである。
に給付と負担の均衡を実現できるよう、各年度において着実に取組みを進め、社会保障以外については各
る。その具体的な取組みを検討する中で、現行の「中期財政計画」を踏まえ、社会保障については、中期的
計画が、日本の財政に対する信認を維持するための最優先事項であることに変わりはない。」と指摘してい
る中では、依然として、2020年度までのPB黒字化目標を達成するための詳細かつ信認のおける財政健全化
る。26年5月6日に公表されたOECDエコノミックアウトルックでは、「公的債務総残高がGDP比で230%を越え
むしろ、2020年度までの国・地方PB黒字化を実現するための具体的な取組みを早急に検討すべきであ
(2)今後の予算編成における取組み
5.我が国の財政健全化に向けた取組みについて
Ⅰ.総論
財政制度等審議会「財政健全化に向けた基本的考え方」(平成26年5月30日) 資料Ⅱ-3-1
-110-
閣議決定)
資料Ⅱ-3-2
化・効率化を進め、できる限り抑制する。
がら、持続可能な制度の確立に向けて着実に取組を進める。社会保障以外の支出については一層の重点
また、人口高齢化等を背景として増大する社会保障については、中期的に受益と負担の均衡を目指しな
る限りの改善を図る。
に明らかにできるよう検討を進める。経済再生の進展を確かなものとしつつ、収支改善が可能なときにはでき
2020年度の基礎的財政収支の黒字化に向けては、2015年度予算編成等を踏まえ、具体的な道筋を早期
年度目標の着実な達成を目指す。
「中期財政計画」にのっとった歳出の徹底した重点化・効率化などの収支改善努力を継続し、まずは2015
の対GDP比を半減、2020年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。
上記の考え方の下、国・地方を合わせた基礎的財政収支について、2015年度までに2010年度に比べ赤字
(当面の財政健全化目標に向けて)
1. 経済再生と財政健全化の両立に向けた基本的考え方
第3章 経済再生と財政健全化の好循環
経済財政運営と改革の基本方針2014(平成26年6月24日
-111-
▲7
▲6
▲5
▲4
▲3
▲2
▲1
2010
▲6.6%
(対GDP比、%)
0
2011
2012
2013
2014
PB赤字対GDP比半減目標
▲3.3%
2015
■
▲11.0兆円
2018
2019
2020
国・地方の基礎的財政収支目標
■
2017
「参考ケース」(平成26年1月試算)
◆
2021
「経済再生ケース」(平成26年1月試算)
2022
「参考ケース」(2015(平成27)年度は「経済再生ケース」と共通)
◆
●
「経済再生ケース」
▲3.1%
▲2.9%
▲1.9%(▲11.9兆円)
▲1.8%
■
PB黒字化目標
2023 (年度)
資料Ⅱ-3-3
●
2016
▲3.2%(▲16.1兆円)
国・地方の基礎的財政収支(対GDP比)の推移
-112-
資料Ⅲ-1-1
GDP
2000
510.8兆円
2000年度
年金
41.2兆円
(8.1%)
医療
26.0兆円
(5.1%)
GDP
0.94倍
年金
1.3倍
医療
1.3倍
介護
2.5倍
GDP
2012
479.6兆円
2012年度
年金
53.8兆円
(11.2%)
医療
35.1兆円
(7.3%)
介護8.4兆円
(1.8%)
その他12.2兆円
(2.5%)
GDP
1.27倍
年金
1.1倍
医療
1.5倍
介護
2.3倍
GDP 2025
610.6兆円
2025年度
年金
60.4兆円
(9.9%)
医療
54.0兆円
(8.9%)
介護19.8兆円
(3.2%)
(出典)2000年度における社会保障給付費は国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計」、GDPは内閣府「国民経済計算」による。2012年度及び2025年度における社会保障給付費及びGDPは平
成24年3月30日厚労省「社会保障に係る費用の将来推計の改定について(平成24年3月)」による。
(注1)表記額は実額、( )内の%表示はGDP比。
(注2)「社会保障改革の具体策、工程及び費用試算」を踏まえ、充実と重点化・効率化の効果を反映している。
介護3.3兆円
(0.6%)
その他7.7兆円
(1.5%)
78.1兆円
(15.3%)
109.5兆円
(22.8%)
その他14.7兆円
(2.4%)
148.9兆円
(24.4%)
2025年には、いわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上となる「超⾼齢社会」を迎え、医療・介護のニーズも
ピークに向かう。
○ 社会保障給付は、⾼齢化とともに今後も急激な増加が⾒込まれ、税・社会保険料といった国⺠負担の増⼤が⾒込ま
れる。特に、医療・介護分野における給付の増加が顕著であり、国⺠負担(財源調達⼒)のベースとなるGDPの伸
び(消費税収)及び現役世代の負担能⼒の伸び(保険料収⼊)を上回って増加の⾒通し。
○
社会保障給付費の見通し
-113-
資料Ⅲ-1-2
8,409万⼈
(69.7%)
9,805万⼈
(75.9%)
64歳以下
17.5万円
(国庫負担額
2.7万円)
55.3万円
(国庫負担額
8.5万円)
89.2万円
(国庫負担額
32.6万円)
2011年
26万円
(国庫負担額
4.1万円)
83万円
(国庫負担額
12.8万円)
134万円
(国庫負担額49万円)
2025年
(試算値)
1⼈当たり
国⺠医療費
ー
(要⽀援・要介護認定率4.4%)
5.0万円
(国庫負担額1.4万円)
(要⽀援・要介護認定率31.3%)
46.1万円
(国庫負担額13万円)
2012年
ー
9万円
(国庫負担額2.5万円)
83万円
(国庫負担額24万円)
2025年
(試算値)
1⼈当たり介護給付費
計局「⼈⼝推計(24年10⽉)」 、厚⽣労働省「介護給付費実態調査(平成24年11⽉審査分)」 。
年度国⺠医療費の概況」、1⼈当たり介護給付費は、総務省統計局「⼈⼝推計(24年10⽉)」 、厚⽣労働省「介護給付費実態調査(平成24年)」、要⽀援・要介護認定率は、総務省統
(出典)2012年の年齢階層別の⼈⼝割合は総務省統計局「⼈⼝推計(24年10⽉)」、2025年の⼈⼝は社会保障⼈⼝問題研究所「将来⼈⼝推計」、1⼈当たり国⺠医療費は厚⽣労働省「平成23
2025年の国⺠医療費・介護給付費は、H24厚労省推計における給付費の伸びのうち⾼齢化要因を除いた増加額を試算し、その伸率を単純に乗じて試算したもの。
介護給付費の国庫負担額の割合を機械的に乗じた⾦額。
医療費の国庫負担額は2011年における後期⾼齢者医療にかかる国庫負担額(4.8兆円)を75歳以上の⼈⼝で除して機械的に算出。介護給付費の国庫負担額は、2012年度予算における
(注)1⼈当たり国⺠医療費及び介護給付費は、年齢階級別の国⺠医療費及び介護給付費(償還払いの費⽤(福祉⽤具購⼊等)等を除く)を⼈⼝で除して機械的に算出した⾦額。また、国⺠
(約▲1400万⼈、年平均▲1.2%の減)
1,479万⼈
(12.3%)
1,560万⼈
(12.2%)
(+約700万⼈、年平均+2.8%の増)
2,179万⼈
(18.1%)
1,519万⼈
(11.9%)
65-74歳以下
75歳以上
2025年
2012年
⼈⼝
2025年に向けて75歳以上の⼈⼝数は約700万⼈増加(全⼈⼝に占める割合は11.5%→18.1%)。
75歳以上の1⼈当たりの医療費や介護給付費はそれ以下の世代と⽐較して急増するほか、⼀体改⾰時の厚労省
試算においては医療の⾼度化その他のサービス充実による単価増を相当程度⾒込んでいる。
○
○
医療・介護分野における給付費の見通し・伸びの要因
-114-
資料Ⅲ-1-3
注:括弧内はGDP⽐
その他
医療
21.7兆円
(4.6%)
後期⾼齢者
医療
13.1兆円
(2.7%)
8.4兆円
(1.8%)
介護
2012年度
介護
2025年度
約
約
3%
年率
+5.9%
約
3%
年+3.1%
※経済前提に連動
※※⾼齢化要因以外による増から、物価増等(介
護)、報酬改定・医療の⾼度化等(医療)の
影響を差し引いた額
(注)医療・介護給付費それぞれの制度で⾒
た増加額の年平均伸率
【介護】
・サービスの充実等(年4.6%※)
【医療】
・報酬改定
(年+0.4%※)
・医療の⾼度化等(年+1.9%)
・その他充実等(年+0.9% ※※)
(厚労省推計の前提。経済前提等で変動)
⾼齢化以外の要因による増
*年齢階級別の⼀⼈当たり医療費・介護費に
将来の⼈⼝を適⽤して試算(医療・介護の
伸びの加重平均)
⾼齢化による増
給付費の伸びの要因
(推計の前提から試算)
75歳未満⼈⼝減による減 年▲0.7%
約
▲1%
その他
3%
医療
28兆円 年率
(4.6%) +2.0%
25.7兆円
(4.2%)
後期⾼齢者
医療
19.8兆円
(3.2%)
H24厚労省推計
*
年齢や制度で区分せず、経済⼒に応じた公平な負担
・⾼齢者負担の⾒直し 等
・ 新しい政策課題への対応、在宅医療の推進・地域包
括ケアシステムの構築 等
財源確保とあわせた必要な政策対応
・医療介護提供体制の改⾰
(過剰な急性期病床の削減、平均在院⽇数の短縮 等)
・単価の伸びの抑制
(収⽀差等を踏まえた報酬の抑制、薬価引下げ 等)
・保険給付範囲の⾒直し・重点化
(後発医薬品の使⽤促進、OTC類似薬の⾮収載 等)
徹底した合理化・効率化
*中⻑期試算(2014年7⽉)の計数に準拠(経済再⽣ケースの場合〜
参考ケース(低成⻑)の場合における2012年度以降の伸びの平均)
・賃⾦上昇率-労働⼒⼈⼝減少率+2.9%〜1.7% *
○GDPの伸び(消費税収) +3.4%〜2.1%
○現役世代の負担能⼒の伸び(保険料収⼊)
制度の持続性確保
に向けた対応
○ 2025年までの医療・介護給付費の増加の9割は後期⾼齢者医療と介護
・<後期⾼齢者医療・介護給付費の伸び(2025年までの平均)>
-毎年+5.9% (うち⾼齢化要因+3.1%)
-⾼齢化要因+3.1%だけで経済再⽣ケース(平均成⻑率3.4%)を中期的に維持した場合の国⺠の負担能⼒の伸びとほぼ同じ
【GDP伸び3.4%。現役世代の負担能⼒(「賃⾦上昇率」-「労働⼈⼝減少率」)伸び2.9%】
・<その他医療費(75歳未満)の伸び>
-75歳未満⼈⼝の減もあり、ほぼ経済の伸びと同程度の伸び。
→ 制度の持続性確保のため、⾼齢化を超える⾃然増について、徹底した効率化・合理化を⾏うとともに、必要な政策
対応は制度改正等による財源確保を⾏い、中期的に給付の伸びと国⺠の負担能⼒の伸びを近づけていく必要。
医療・介護給付費の見通し・増加の要因分析と課題
-115-
資料Ⅲ-1-4
4.財政措置の拡充
等
・基金の設置(消費
税財源)
・国保の財政基盤
強化等
○県
○基金を活用した病床の機能分化・
連携等の推進
・ 医療関係者等との「協議の場」の設置
・不足している医療機能提供の要請
・稼働していない病床削減の要請
・要請に従わない場合の知事勧告
・勧告に従わない場合の医療機関名の公
表等
○県
○国保の標準保険料の決定など
○地域医療構想を実現するための権
限強化
3.国民健康保険の
運営主体の都道府
県への移行
地域医療構想実現
に向けた都道府県
の権限強化
26年度~
29年度
※今般の医療
保険制度改革
の中で検討
未定
28年度中
(遅くとも29
年度中)
○県
○地域医療構想と整合的な医療費水
準に関する目標設定等
2.医療費適正化計
画の見直し
時期
○県
27年度~
○2025年の各医療機能(高度急性期、
急性期、回復期、慢性期)ごとの必
要病床数等
主体、内容
1.地域医療構想の
策定
改革項目
○ 27年度以降の基金の効果的な予算執行等
○国保に対する財政支援の拡充、国保の財政上
の構造問題の解決
具体策を27年度医療保険制度改革法案等で決
定
*低所得者対策に係る保険料軽減制度・保険
者支援制度の拡充(2,200億円)は決定済み。
○県の権限の的確な行使のための環境整備
○具体的な仕組みを27年度医療制度改革法案
に規定。
○目標設定に必要な標準的な算定式の提示等
【27年度中】
○ガイドライン(各医療機能毎の必要病床数に係
る標準的な算定式等)策定
【26年度中】
国の取組み
○ 医療提供体制の改革は各地域において行われる必要があり、県が主体的な役割を担えるような環境整備が重要。
○ 27年度から医療提供体制改革が実施に移されるよう、4つの制度改正を実効性ある形で速やかに行う必要。
医療提供体制の改革
-116-
資料Ⅲ-1-5
 「遅すぎ、低すぎ」の状態にある後発医薬
品使用割合の目標の再設定
1.後発医薬品
の使用促進
 入院患者の食事代見直し
 市販品類似薬の保険給付対象からの除外
 紹介状なしで大病院を受診する場合の患者
負担の仕組みの導入
 リスクの大きさや医療技術のQOL等への
影響度に応じた患者負担のあり方の見直し
の検討
 柔道整復療養費のあり方の見直しの検討
2.在宅療養等
との公平確保
3.医療提供施
設相互間の機
能分担
4.その他
 後発医薬品が存在する先発医薬品について、
保険給付額を後発医薬品の価格に基づいて
設定する患者インセンティブ制度の検討
 保険者がその機能を発揮して被保険者に後
発医薬品の使用を促す枠組みの強化
内容
改革項目
○ 医療制度の持続可能性を確保する観点から、患者のQOL等に配慮しつつ、保険給付の範囲を抜本的に見直し、給付を重点
化していくことが必要。
保険給付の範囲の見直し
-117-
資料Ⅲ-1-6
3.保険者
への公費
負担
2.現役世
代の負担
1.高齢者
の負担
改革項目
 協会けんぽに対する国庫補助率の、リーマン
ショック後の危機対応措置を開始する前の水準
(13%)への段階的引下げ
 所得水準の高い国保組合の国庫補助の原則廃止
 被用者間の負担の公平化を図る各種の措置の検討
 後期高齢者支援金について全面総報酬割への移行
 標準報酬月額等の上限引上げ
 後期高齢者の自己負担割合等のあり方の検討
 後期高齢者の保険料特例措置の廃止
 高額療養費の外来特例の廃止
内容
○ 高齢化の更なる進展今後、現役世代の社会保障負担の増大が見込まれる中、制度の持続性確保のためには、年齢
や制度で区分せず、経済力に応じて公平に社会保障の費用を負担していくことが必要。
負担の公平確保
-118-
⼀⽅で、
②
資料Ⅲ-1-7
あわせて、介護報酬改定の外枠で消費税財源を活⽤して様々な充実策(*)を実施。
+
+
+
+
-
低所得者に対する保険料の軽減
(1,300億円程度)
認知症対策の推進など
(地域⽀援事業の充実)
新たな基⾦による基盤整備等
介護職員の処遇改善(処遇改善加算の拡充)等
良好な収⽀差等を反映した
介護報酬基本部分の適正化
保険給付の範囲の⾒直し
等
介護報酬改定とその他の充実策
(現時点で想定される全体像のイメージ)
※処遇改善加算を
拡充する⼀⽅、介
護報酬基本部分は
適正化
報酬改定
報酬改定
の外枠
▲0.5%
平成18年度改定
【▲2.4%】
改定率
+1.2%
・処遇改善加算 +2%
・報酬基本部分等▲0.8%
+0.63%
平成24年度改定
平成26年度改定
経済財政運営と改⾰の基本⽅針2014 (抄)
平成27 年度介護報酬改定においては、社会福祉法⼈の内部留保の
状況を踏まえた適正化を⾏いつつ、介護保険サービス事業者の経営状
況等を勘案して⾒直すとともに、安定財源を確保しつつ、介護職員の
処遇改善、地域包括ケアシステムの構築の推進等に取り組む。
38
(消費税対応)
+3.0%
平成21年度改定
【 】:17年度改定を含めた率
▲2.3%
平成15年度改定
改定時期
過去の介護報酬改定率の推移
*低所得者に対する保険料の軽減、認知症対策の推進など地域⽀援事業の充実、新たな基⾦による基盤整備等
⇒ これらを含めた全体像で議論する必要。
○
⇒ 報酬改定全体としてはマイナスにし、市町村の介護保険料・利⽤者負担等の国⺠負担を抑制(報酬△1%で国⺠負担△1千億円)
を反映した、報酬基本部分の適正化を⾏う必要。
ロ)社会福祉法⼈の内部留保等
イ)事業類型毎の収⽀状況(全体は良好:加重平均8%(中⼩企業の平均は2%))
消費税財源を活⽤して介護職員の処遇改善加算措置の拡充等を⾏う。
介護報酬改定についてはメリハリが必要。具体的には、
①
○
平成27年度介護報酬改定
-119-
○
約5.2兆円
約▲520億円
国
:約▲260億円
地 ⽅ :約▲260億円
税⾦
約▲1%当たり約▲1,000億円の介護費⽤の減少
介護報酬⽔準の適正化を⾏った場合
国
:約2.6兆円
地 ⽅ :約2.6兆円
税⾦
約4.1兆円
⾼齢者の保険料:1.9兆円
若年者の保険料:2.1兆円
保険料
利⽤者負担
約▲70億円
等
(注)平成26年度予算における財源構成⽐に基づき機械的に按分したもの。
約▲410億円
⾼齢者の保険料 :約▲190億円
若年者の保険料 :約▲210億円
保険料
介護事業者の収⽀の適正化、
社会福祉法⼈における内部留保の更なる蓄積の抑制
国⺠負担の軽減(税⾦、保険料、利⽤者負担)
介護費⽤約10.0兆円
利⽤者負担
約0.7兆円
資料Ⅲ-1-8
介護報酬⽔準を約▲1%適正化すれば、市町村の介護保険料・利⽤者負担等の国⺠負担は
年間約▲1,000億円軽減される。
介護報酬改定の国民生活への影響
-120-
介護サービス全体の平均収⽀差率は+8%程度(注1)と⼀般の中⼩企業(注2)の⽔準(+2〜3%弱)を上回る。
資料Ⅲ-1-9
20年度調査
(21年度)
22年度調査
23年度調査
3.1億円程度
1.6億円程度
発⽣源内部留保
実在内部留保
【25年度決算】
26年度調査
1.1兆円程度
2.1兆円程度
全体
中⼩企業(中⼩企業実態基本調査)
=税引前当期純利益÷売上⾼
※直近5年のうち最大・最小値を除いた3年の平均値
(参考)全産業(法⼈企業統計)
=経常利益÷売上⾼
介護⽼⼈保健施設
訪問介護
介護⽼⼈福祉施設
通所介護
1施設当たり
【24年度決算】
25年度調査
2.2%
3.3%
5.6%
7.4%
8.7%
10.6%
全サービス加重平均
8%程度
特養内部留保(24年度)
【23年度決算】
(24年度)
主な介護サービスの収⽀差率の推移
【19年度決算】
【20年度決算】
【21年度決算】
【22年度決算】
※1 20年度、23年度及び26年度は「介護事業経営実態調査結果」
22年度及び25年度は「介護事業経営概況調査結果」。21年度・24年度(調査未実
施)は線形補完。
※2 収⽀差率=(収⼊-⽀出)÷収⼊
収⼊=介護事業収益+介護事業外収益-国庫補助⾦等特別積⽴⾦取崩額
⽀出=介護事業費⽤(給与費、減価償却費等)+介護事業外費⽤
+特別損失-国庫補助⾦等特別積⽴⾦取崩額
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
14.0%
果」) 。
(注2) 中⼩企業の定義はサービス業で資本⾦5,000万円以下⼜は従業員100⼈以下とされるが、24年経済センサスによれば、資本⾦5,000万円未満の企業の売上⾼が全体の売上⾼に占める⽐率を⾒ると、全産業
では3割強を占めるにすぎないのに対し、⽼⼈福祉・介護事業では7割程度を占める。
(注1) 介護総費⽤におけるサービス毎の構成⽐に基づき、平均収⽀率の加重平均値を財務省において試算 (出所:厚⽣労働省「介護給付費実態調査(26年4⽉審査分)」、「平成26年介護事業経営実態調査結
○ 消費税財源を活⽤して介護職員の処遇改善加算の拡充を図る⼀⽅、事業類型毎の収⽀状況を反映させ、介護報酬基本
部分を適正化 (事業類型別に異なるが、全体としては中⼩企業並みの収⽀差となる▲6%程度の適正化)する必要。
○
介護事業者の収支状況
-121-
介護報酬
基本部分
収⼊
(≒介護報酬)
※24年度報酬改定で創設
特養の
処遇改善加算※
(報酬の2.5%)
(25年度末)
特養の
収⽀差
+8.7%
⽀出
処遇改善費⽤
⼈件費
(6割強)
⼈件費以外
(4割弱)
収⼊
(≒介護報酬)
処遇改善加算
の拡充
必要な収⽀差
報酬の適正化
収⽀差の反映
=
⽀出
処遇改善費⽤
⼈件費
⼈件費以外
・9割の事業者が届出
・仮に賃⾦⽔準を引き
下げれば、現⾏分含め
処遇改善加算が適⽤さ
れない
○処遇改善実績報告
・事業年度毎に⾃治体に
報告
○賃⾦改善等の計画
・全ての介護職員に周知
・⾃治体に届出
・加算相当の賃⾦改善
処遇改善加算の要件
更なる
処遇の改善
国⺠負担の軽減
【介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の場合】(イメージ)
27報酬改定後
現状
・⼀⽅、報酬基本部分の適正化は収⽀差を適正⽔準まで引き下げるものであり、現在の⼈件費等の⽀出に基本的に影響を与
えるものではない。
・なお、現在約9割の事業者が処遇改善加算を届出。仮に事業者が賃⾦⽔準を引き下げれば、事業の存続が著しく困難な場
合を除き、現⾏適⽤分を含め処遇改善加算の適⽤がなくなる。
・雇⽤情勢の改善等も背景に介護従事者の確保が課題となる中、多くの事業者が処遇改善加算を活⽤すると⾒込まれる。
*処遇改善加算は、政策的な処遇改善に必要な費⽤の全額を⼿当するため、事業者に追加的な負担を求めるものではない。
【介護職員の処遇改善加算を拡充する⼀⽅、事業類型ごとの収⽀差等を踏まえて介護報酬の基本部分の適正化を⾏う場合】
・処遇改善加算は、介護従事者の処遇改善を⾏う事業者のみに対する加算であり、処遇改善と介護報酬の加算が直結。
処遇改善加算の拡充と介護報酬基本部分の適正化の関係 資料Ⅲ-1-10
-122-
資料Ⅲ-1-11
19億円
児童入所施設
1.0兆円
900億円
放課後児童クラブ(注)
合 計
300億円
休日保育・病児保育
・延長保育(注)
1.6兆円
0.2兆円
600億円
600億円
(0.3兆円)
(0.4兆円)
(-)
(0.32兆円)
(0.3兆円)
1.3兆円
(0.9兆円)
1.9兆円
250億円
1.9兆円
0.88兆円
(0.56兆円)
―
―
(参考) 私立幼稚園
・公立保育所(地財措置)
・事業所内保育
保育所運営費
・私立保育所
合 計
育児休業給付
-
公費負担
(国地方)
652億円
300億円
(1/3)(注)
300億円
(1/3)(注)
(―)
(―)
(52億円)
52億円
(―)
5300億円
3500億円
(93%)
1800億円
(9%)
(負担割合)
事業主負担
0
1
2
3
(単位:兆円)
H19
H10
現物給付
公費1.59
(96%)
事業主 0.07
(4%)
現在及び将来の労働力確保にも資する施策
であり、事業主負担を含め社会全体で費用
負担すべきではないか
○子ども・子育て支援は公費で負担することが基本。
○保育所運営費等に消費税財源を0.7兆円充当。
○更なる拡充について財源確保とあわせて検討。
H26
現金給付
社会保障・税一体改革における整理
現金給付 現物給付
現金給付 現物給付
公費0.04
(22%)
事業主 0.14
(78%)
公費1.17
公費0.78
(98%)
公費0.80
(73%)
事業主 0.02
(98%)
事業主 0.29
(2%)
事業主 0.02
(27%)
(2%)
公費1.88
(78%)
事業主 0.53
(22%)
子育て支援策は近年公費中心に拡充
(注)質の改善に係る費用については事業主負担を充当しない(公費で対応)と整理(H24.3.2 少子化社会対策会議決定)
現
物
給
付
現
金
給
付
児童手当
保護者
負担
主な子育て支援策(26年度予算)
(注)これにより不要となる公費は他の子育てサービスの充実に充当し、公費支援は縮小しないことが検討の前提。
○ 現金給付である児童手当・育児休業給付は、事業主負担を主たる財源としていたが、公費中心に充実してきた結果、事業主
負担割合は2割程度まで低下。また、保育所等の現物給付も専ら公費を財源とし、今後も公費を基本に対応するとされている。
○ 子育て支援は現在及び将来の労働力確保にも資する施策であり、社会全体でその費用を賄う観点から更なる充実が必要な
保育の現物給付(例えば保育所運営費)に一定の事業主負担を導入することを検討すべきではないか。
子育て支援策の現状と事業主負担のあり方
-123-
資料Ⅲ-1-12
定員
運営費支給
件数
523
1.3
万人
1.4
万人
23年度
449
22年度
1.6
万人
686
24年度
事業所内保育施設の設置状況
1.5
万人
691
25年度
○労働者のための保育施設を事業所内(労働者の通勤経路
又はその近接地域を含む)に設置、増築等を行う事業主・事
業主団体に、その費用の一部を助成
○平成26年1月から支給要件緩和
・従来従業員の子が半数以上⇒1人以上等
5年間支給
2分の1(中小企業3分の2)
3分の1(中小企業2分の1)
②増築費
③運営費
3分の1(中小企業3分の2)
①設置費
助成率
事業所内保育施設設置・運営等支援助成金
(26予算:52億円)(雇用安定事業)
事業所内保育施設
の設置は限定的
一定以上の規模の企業に対して、事業所内
保育施設の設置を義務付けて、規制とあわせ
た支援制度とすべきではないか。
○社会全体で子育てを支援
○きめ細かい保育ニーズに対応
○従業員枠の子どもの利用については事業主が一定の負担
*従業員枠:事業所の従業員の子ども。地域枠:地域の保育を必要とする子ども
○従業員枠・地域枠の設定が必要
○小規模保育施設(定員19名以下)又は保育施設(定員20名以上)の認可
認可を受けた事業所内保育所は、新制度の給付対象(消
費税財源を充当)
子ども・子育て支援新制度(H27施行予定)
○ 事業所内保育所の設置等に係る助成が雇用保険料を財源として行われているが、子ども・子育て支援新制度施行後は、認
+40万人
可を受けた事業所内保育は新制度の給付の対象となる(消費税財源を充当)。
○ 社会全体で子育てを支援する観点やきめ細かい保育ニーズに対応する観点から、一定規模以上の企業に対して、事業所
内保育施設の設置を義務付けるなど、規制とあわせた支援制度とすべきではないか(保育所運営費への資金拠出との選択制
とすることも考えられるか)。
子育て支援に係る事業主負担のあり方
-124-
賃金(物価)
年金額の改定率
スライド調整率
<ある程度、賃金・物価が上昇した場合>
【マクロ経済スライドの適用】
調整期間
所得代替率=
【所得代替率について】
賃金上昇率で変動
被保険者の平均手取り収入
厚生年金の標準的な年金額
(調整期間中)
賃金上昇率-スライド調整率で変動
①公的年⾦の全体の被保険者の減少率 +
②平均余命の伸びを勘案した率(0.3%)
→ 1.3%/年 (26年財政検証。平成27(2015)~55(2043)年度ケースA~E平均)
時間
※ 26年財政検証では50.6%(ケースE)
調整期間終了後は、原則、所得代替率は一定
となり、将来世代の給付水準が確保される。
【マクロ経済スライドによる調整率】
概ね100年後に十分な積立金を保有できると
判断される段階でスライドの調整終了。
給付水準の調整により
所得代替率が低下。
【マクロ経済スライドの自動調整と所得代替率】
は、原則、所得代替率は⼀定となり、将来世代の給付⽔準が確保される。
マクロ経済スライドによる調整が⾏われると、調整期間中においては所得代替率が低下する⼀⽅、調整期間終了後
○
資料Ⅲ-1-13
⻑期的な給付と負担をバランスさせるため、マクロ経済スライドにより、毎年⼀定程度、年⾦受給額の伸びを抑制。
マクロ経済スライドの仕組み
○
所得代替率
賃金(
物価)
-125-
資料Ⅲ-1-14
保険料の段階的引上げ
保険料収入
積
立
金
国
庫
負
担
マクロ経済スライドによる年⾦額の調整
年金給付
現在
将来
将来的に、更なる保険料引上げ
バランス
崩壊
現在の年⾦受給者の給付⽔準は確保されるが、
その分、将来世代の給付⽔準は⼤幅カット
何らかの理由でマクロ経済スライドが機能しない場合
○ マクロ経済スライドによる調整が⾏われなければ、⻑期的な負担と給付のバランスが崩壊し、将来的に、更なる保険
料の引上げ(将来世代の負担増)や⼤幅な年⾦給付カット(将来世代の給付減)を⾏わなければならなくなる。
⇒ 平成16年改正の仕組みを機能させ、将来の現役世代の過重な負担を回避するとともに、将来の給付⽔準を確保するた
めには、マクロ経済スライドが機能するか否かが重要な鍵。
現在
将来
○ 現⾏の年⾦制度は、保険料率の段階的な引上げと、マクロ経済スライドによる年⾦額の調整等を前提として、⻑期的
な負担と給付のバランスを確保。
長期的な給付と負担のバランス
資料Ⅲ-1-15
低所得世帯
家賃実態
<
住宅扶助基準
低所得世帯
家賃実態
>
-126-
住宅扶助基準
(注1)
平均乖離率
住宅扶助基準と
低所得世帯家賃実態
との差額(注1)
平均+17.8%
+42,492円~△30,657円
中核市
船橋市
久留米市
高崎市
金沢市
鹿児島市
奈良市
福山市
倉敷市
東大阪市
高知市
松山市
青森市
秋田市
大分市
宮 崎市
長崎市
那覇市
函館市
岐阜市
旭川市
尼 崎市
盛岡市
姫路市
高松市
高槻市
前橋市
下関市
横須賀市
西宮市
和歌山市
豊田市
福岡市
さいたま市
札幌市
岡山市
静岡市
堺市
仙台市
千葉市
川崎市
北九州市
相模原市
熊本市
大阪市
神戸市
名古屋市
広島市
横浜市
京都市
新潟市
(都道府県単位)
平均+20.1%
+35,509円~△16,566円
一般市・町村
(出典)「全国消費実態調査」(平成21年)
60.0%
(注1)住宅扶助基準が家賃実態を上回っている場合はプラス表示。
(注2)低所得世帯とは、年間世帯収入300万円未満の世帯。なお、年間収入階級第1十分位世帯は、年間世帯収入273万円未満の世帯。
40.0%
20.0%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
平均+16.7%
+31,163円~△23,077円
100.0%
政令市
住宅扶助基準と低所得世帯家賃実態との比較
(収入階級第1十分位世帯)
低所得世帯の消費支出(月額)
交通通信 23
保健医療 9
教育 5
その他 33
教養娯楽 17
家具・家事用品 6
被服及び履物 5
水道・光熱 16
食料 49
住居 18(注2)
全国消費実態調査
(21年)をベースに
低所得世帯の消費
実態を反映した見直
しを実施済
生活扶助
低所得世帯の消費
実態を反映した見直
しを実施していない
住宅扶助
(出典)「全国消費実態調査」(平成21年)
(注1)全国消費実態調査の品目分類(大分類)と各種扶助は完全に対応
するものではなく、一部他の扶助の対象となるものもある。
(注2)持ち家世帯も含めた全体の平均金額である。
0
50
100
150
(千円)
200
低所得世帯の消費実態の
扶助基準への反映
また、住宅扶助や冬季加算等の各種扶助・加算措置の水準が当該地域の類似一般世帯との間で平衡を保つため、経済実勢を踏ま
えてきめ細かく検証し、その結果に基づき必要な適正化措置を平成27 年度に講じる。
(参考)経済財政運営と改革の基本方針2014 (平成26年6月24日閣議決定) (抄)
○ 住宅扶助の特別基準額は、低所得世帯の家賃実態よりも高い水準に設定されているため、均衡が
図られる水準までの引下げが必要ではないか。
→ 住宅扶助基準の引下げは住居実態に見合わない家賃を取るいわゆる「貧困ビジネス」対策にも有効。
住宅扶助基準の引下げ
静岡県
山形県
山口県
新潟県
山梨県
島根県
埼玉県
徳島県
愛知県
千葉県
福島県
長崎県
神奈川県
大阪府
茨城県
福井県
東京都
佐賀県
北海道
岐阜県
兵庫県
鳥取県
栃木県
広島県
-127-
資料Ⅲ-1-16
(注)
冬季加算額
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
(円)
東 北
約17,900円
北 陸
関 東
東 海
近 畿
中 国
四 国
九 州
(※近畿を基点として指数化)
沖 縄
冬季に特に需要が増加すると考えられる品目
(光熱・水道+被服及び履物)の冬季の消費水準の増加額
(注)冬季加算額は、2級地‐1、3人世帯の平均金額
約10,900円
(出典)総務省「家計調査」(平成25年度)
北海道
約28,200円
実際の冬季の需要増加傾
向と比べ過大となってい
る冬季加算額分を引下げ
るべき
冬季の需要増加傾向と冬季加算の地域別分布
また、住宅扶助や冬季加算等の各種扶助・加算措置の水準が当該地域の類似一般世帯との間で平衡を保つため、経済実勢を
踏まえてきめ細かく検証し、その結果に基づき必要な適正化措置を平成27 年度に講じる。
(参考)経済財政運営と改革の基本方針2014 (平成26年6月24日閣議決定) (抄)
○ 冬季加算の設定については、過去40年間(昭和49年以降)、前年度基準額に生活扶助基準改定率を
乗じることにより設定を更新しているのみとなっており、消費実態から乖離している。
○ 地域毎にみると、夏季及び冬季の消費差の地域別傾向から著しく乖離して、特に北海道、東北、北陸
地方の冬季加算が過大となっている。
○ このため、特に冬季に需要が増加する家計支出品目の冬季割増額の全国的な地域偏差を超過して
設定されている冬季加算額分について、骨太の方針を踏まえ来年度から引き下げるべきではないか。
冬季加算(超過設定分の適正化)
-128-
資料Ⅲ-2-1
水準超経費:0.9(+0.2)
公営企業繰出金:2.6(▲0.0)
維持補修費:1.0(+0.0)
公債費:13.1(▲0.0)
投資的経費:11.0(+0.3)
歳出特別枠:1.2(▲0.3)
・補助:17.4(+1.0)
・単独:14.0(▲0.0)
・国保等:1.5(+0.0)
・元気創造:0.4(皆増)
一般行政経費
:33.2(+1.4)
給与関係経費
:20.3(+0.6)
【歳出83.4(+1.45)】
雑収入:4.0(+0.0)
使用料手数料:1.6(+0.2)
国庫支出金:12.4(+0.6)
地方債(右記臨財債除く)
:7.9(+0.4)
地方税・地方譲与税
:37.8(+1.4)
地方特例交付金:0.1(▲0.0)
地方交付税法定率分等
:13.6(A) (+1.2)
歳出歳入ギャップ:5.9
【歳入83.4(+1.45)】
平成26年度地方財政計画(単位:兆円、(カッコ書)は対前年度増減額)
※ 地方交付税の法定率:所得税32%、法人税34%、酒税32%、消費税22.3%、たばこ税25%
臨時財政対策債
:2.6(▲1.0)
交付税一般会計
特例加算
:2.6(C)(▲1.0)
別枠加算:
0.6(B) (▲0.4)
国・地方折半
全額国負担
(折半ルールの例外)
地方交付税総額(A+B+C)=16.9兆円
○ 地方交付税は、地方財政計画における、歳入と歳出のギャップ(財源不足)を埋めるもの。
○ 具体的には、歳入・歳出ギャップに、まず、地方交付税の法定率分(※)を充て、更に財源不足があれば、国・地方が折半して
財源を出し、これを埋めることが基本(いわゆる「折半ルール」)。
○ この折半ルールに基づき、国は交付税に「特例加算」を行い、地方は「臨時財政対策債」(赤字地方債)を発行することにな
る。ただし、平成26年度では、折半ルールの例外となる「別枠加算」が、0.6兆円措置されている。
平成26年度地方財政計画(通常収支分)の概要
-129-
資料Ⅲ-2-2
▲ 5.0
0.0
5.0
10.0
H13
▲ 19.4
▲ 25.0
H14
H15
国の基礎的財政収支
▲ 23.8
▲ 4.0
▲ 3.0
H16
▲ 19.7
▲ 12.8
4.3
H17
H18
地方の基礎的財政収支
▲ 15.6
2.1
H19
▲ 9.0
3.6
H20
▲ 18.9
4.7
H21
▲ 38.1
2.0
H22
▲ 31.9
0.3
H23
▲ 32.6
3.1
H24
▲ 30.5
2.8
H25
▲ 32.5
2.8
H26
▲ 26.9
1.5
公債金 41.3
公債費 23.3
うち利払費 10.1
政策的経費
72.6
(注1)国は平成26年度一般会計予算、地方は平成26年度地方財政計画。
財政収支(FB) ▲28.1
税収等
54.6
国(一般会計)
歳出 95.9
歳入 95.9
基礎的財政収支(PB) +
4.1
基礎的財政収支(PB)
▲18.0
地方債
10.6
地方交付税
地方税収等
72.8
公債費 14.7
うち利払費 2.4
政策的経費
68.7
地方(地方財政計画(通常収支分))
歳入 83.4
歳出 83.4
財政収支(FB)
+1.7
(出典)内閣府「国民経済計算確報」。ただし、平成25年度、26年度は、「中長期の経済財政に関する試算」(平成26年7月25日 内閣府)。
(注1)平成10年度は国鉄長期債務及び国有林野累積債務、18年度、20年度、21年度、22年度及び23年度は財政投融資特別会計財政融資資金勘定(18年度においては財政融資資金特別会計)から国債整理基金特別会計または一般会計への繰
入、20年度は日本高速道路保有・債務返済機構から一般会計への債務承継、23年度は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から一般会計への繰入等を除いている。
(注2)平成25年度及び26年度については、復旧・復興対策の経費及び財源の金額を除いたベース。
▲ 45.0
▲ 40.0
▲ 35.0
▲ 30.0
▲ 25.0
▲ 20.0
▲ 15.0
▲ 2.0
▲ 0.2
国(一般会計外PBを含む)と地方の基礎的財政収支(PB)の推移
▲ 10.0
(兆円)
○
※ FB(フィスカル・バランス)とも呼ばれ、「政策的経費+利払費」が税収等でどれだけ賄えているかを示す指標。基礎的財政収支(PB)がバランスしたとしても
利払費分だけ債務残高は増加するため、債務残高の実額を減らしていくためには、財政収支(FB)をバランスさせることが必要。
○ 一方で、地方の基礎的財政収支は、平成17年度以降、黒字を維持している。
○ 更に、地方は、「地方財政計画(通常収支分)」ベースで見れば、財政収支(※)も黒字となっている。
※ PB(プライマリー・バランス)とも呼ばれ、政策的経費が税収等でどれだけ賄われているかを示す指標。
○ リーマンショック後、国の基礎的財政収支(※)は、赤字幅が大幅に増大。
国と地方の財政状況(フロー)
-130-
資料Ⅲ-2-3
55兆円
地 方
概ね
2倍
概ね
2倍
106兆円
261兆円
概ね
2倍
概ね
2倍
20年前
(1994年度末)
201兆円
531兆円
ほぼ
横ばい
200兆円
811兆円
現在
(2014年度末見込)
約300兆円
増加
10年前
(2004年度末)
(注) 交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金については、その償還の負担分に応じて、国と地方に分割して計上している。なお、平成19年度初をもってそれまでの国負
担分借入金残高の全額を一般会計に承継したため、平成19年度末以降の同特会の借入金残高は全額地方負担分(2014年度末で33兆円程度)である。
135兆円
国
30年前
(1984年度末)
○ 国と地方の長期債務残高の推移
○ 国と地方の長期債務残高(ストック)は、30年前から20年前(1984~1994)、20年前から10年前(1994~2004)までは、
それぞれ同程度(概ね2倍)に増加。
○ 他方、10年前から現在(2004~2014)にかけては、国の長期債務残高は、約300兆円の増加となっているが、地方は、
ほぼ横ばいとなっている。
○ これは、特に、リーマンショック以降、国・地方ともに税収が減少するなか、国が地方の分まで借金をして、地方に財政移
転(別枠加算等)させてきた結果とも言える。
国と地方の長期債務残高(ストック)の推移
(兆円)
60
-131-
55
56
57
58
59
危機対応モードから平時モードへの切替え(歳出特別枠)
資料Ⅲ-2-4
H18
83.2
歳出特別枠
56.8
H19
83.1
56.9
57.8
H20
83.4
H21
0.9
82.6
リーマンショック後の危機対応と
しての「歳出特別枠」
57.4
地方一般財源(水準超経費除く)
H22
1.4
82.1
58.8
H23
1.5
82.5
58.8
H24
1.5
81.9
59.0
H25
1.5
81.9
リーマンショック後
2兆円増加
59.0
H26
1.2
83.4
(兆円)
59.4
○ 「歳出特別枠」は、100年に一度と言われたリーマンショック後の経済危機時において、臨時異例の「危機対応」として、地
方財政計画の歳出に追加計上されたもの。
○ このような、いわば緊急時の「景気対策」としての歳出特別枠については、足元の経済再生の進展を踏まえれば、これを
存続させる合理的な理由は見出せない。
⇒ 「危機対応モードから平時モードへの切替え」として、歳出特別枠については大幅に縮小又は廃止すべき。
歳出(
地方財政計画)
-132-
資料Ⅲ-2-5
0
2
4
H21
H19
H22
5.4
5.4
12.3
1.5
35.7
H23
3.8
3.8
8.7
1.1
35.7
(注)地方税収はH24までは決算、H25は決算見込、H26は計画、H27は総務省仮試算。
H20
2.8
臨財債
2.6
特例加算
6.3
1.0
35.3
財源不足なし
国・地方折半
国負担
6
39.6
別枠加算
財源不足額
40.2
地方税収(地方譲与税含む)
8
10
12
35
14
37
39
41
(兆円)
H24
3.8
3.8
8.7
1.1
36.1
H25
3.6
3.6
8.2
1.0
37.2(+1.2)
H27
(総務省仮試算)
H26
39.9(+2.1)
(計画)
2.6
2.6
5.9
0.6
37.8(+0.5)
リーマンショック前とほぼ同水準
○ 「別枠加算」は、平成21年度に、リーマンショックの影響により地方税が大幅に減収し、財源不足が発生するなか、地方
に配慮し、臨時異例の「危機対応」として、全額国負担により措置したもの(折半ルールの例外)。
○ 26年度では、地方税収の回復基調を踏まえ、▲0.4兆円縮減(1兆円→0.6兆円)。
○ 27年度以降の取扱いについては、「地方の税収の動向等を踏まえて協議」とされている。
⇒ 27年度の地方税収は、経済再生の進展や地方消費税率の引上げにより、リーマンショック前とほぼ同水準となる見込
みであり、「別枠加算」は、即座に廃止する必要。
危機対応モードから平時モードへの切替え(別枠加算)
資料Ⅲ-2-6
-133-
107.7
88.7
93.8
95.7
98.5
93.0
87.8
90.2
103.7
114.4
96.9
94.0
93.9
104.5
95.6
76.7
78.7
73.9
75.7
89.7
95.1
87.2
85.2
90.2
79.7
70.7
88.8
77.6
70.6
73.3
80.6
71.6
71.8
65.6
100.0
84.1
72.6
75.5
89.7
70.4
77.3
84.3
94.4
98.2
93.3
91.5
94.7
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
164.6 東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
全国
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
159.7 東京都
神奈川県
131.8
新潟県
77.8
富山県
90.9
石川県
89.0
福井県
88.3
山梨県
85.5
長野県
83.2
岐阜県
88.0
静岡県
98.9
愛知県
113.7
三重県
94.1
滋賀県
96.1
京都府
95.7
大阪府
95.6
兵庫県
101.2
奈良県
95.7
和歌山県
75.2
鳥取県
70.2
島根県
72.9
岡山県
83.6
広島県
94.2
山口県
83.8
徳島県
75.5
香川県
87.5
愛媛県
73.3
高知県
70.4
福岡県
85.4
佐賀県
70.3
長崎県
69.7
熊本県
69.3
大分県
72.2
宮崎県
64.5
鹿児島県
65.7
沖縄県
59.0
全国
100.0
91.0
98.8
95.3
101.4
99.4
98.7
102.1
93.8
102.7
106.5
95.8
82.3
104.3
107.3
90.3
77.8
85.0
96.7
92.4
92.2
97.5
87.6
91.6
100.2
87.6
94.5
98.4
91.5
91.1
95.0
97.9
92.9
89.6
75.4
100.0
104.2
97.0
93.7
103.3
95.7
94.2
95.9
93.1
99.8
95.6
82.2
88.6
138.6
最大/最小:1.8倍
2.6兆円
地方消費税(清算後)
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
全国
104.9
93.8
97.2
94.5
110.6
96.5
92.4
92.4
110.1
116.9
102.6
99.1
95.6
106.2
100.0
71.0
83.6
76.5
79.5
93.4
95.2
92.2
92.0
87.5
90.1
74.3
87.6
80.8
68.3
73.0
87.1
73.5
74.8
77.4
100.0
76.1
74.4
74.1
78.8
71.3
75.9
80.9
94.7
101.8
99.0
88.2
90.5 158.6
最大/最小:2.3倍
8.5兆円
固定資産税
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
全国
85.5
84.7
85.5
93.1
99.2
104.1
72.8
78.7
97.2
118.0
85.3
88.9
81.6
121.5
75.5
43.5
59.8
57.7
64.6
78.1
91.2
79.2
90.3
103.2
78.0
46.2
83.1
66.5
55.5
58.3
63.9
54.5
53.4
52.5
100.0
107.2
52.0
64.0
89.2
90.5
88.7
84.7
68.0
71.0
65.2
55.4
70.1
最大/最小:5.7倍
4.9兆円
地方法人二税
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
247.2 千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
全国
226.2
総務省資料を加工
85.9
87.6
88.9
94.6
98.9
101.6
78.5
82.4
97.0
113.3
87.5
89.9
85.4
116.4
79.0
53.3
67.1
66.5
72.4
81.9
92.5
82.7
90.6
101.0
81.4
57.6
85.8
73.1
64.4
66.3
71.2
63.7
63.0
60.9
100.0
72.3
64.5
76.0
104.2
62.4
71.8
90.7
90.8
90.3
87.3
72.2
74.1
最大/最小:4.2倍
6.5兆円
地方法人二税
+地方法人特別譲与税
※「最大/最小」は、各都道府県ごとの人口一人当たり税収額の最大値を最小値で割った数値である。
(注1) 地方税収計の税収額は、地方法人特別譲与税の額を含み、超過課税及び法定外税等を除いたものである。(注2) 個人住民税の税収額は、個人道府県民税(均等割及び所得割)及び個人市町村民税(均等割及び所得割)の合計額であり、超過課
税分を除く。(注3) 地方法人二税の税収額は、法人道府県民税、法人市町村民税及び法人事業税の合計額であり、超過課税分を除く。(注4) 固定資産税の税収額は、道府県分を含み、超過課税分を除く。
(注5) 人口は、平成25年3月31日現在の住民基本台帳人口による。
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
全国
79.0
63.3
64.8
76.9
62.6
69.7
70.5
91.4
90.7
86.0
108.1
113.2
最大/最小:2.7倍
11.5兆円
最大/最小:2.5倍
35.6兆円
※地方法人特別税・譲与税による調整後の計数
個人住民税
地方税計
人口1人当たり税収の偏在(最大/最小) 全国平均100、平成24年度決算
○ 地方税の人口一人当たりの税収額の偏在(最大/最小)は、地方税合計では2.5倍だが、地方法人二税(法人事業税、法人
住民税)は5.7倍と非常に大きくなっている。
○ 平成20年度に、法人事業税の偏在是正の観点から創設した地方法人特別譲与税を加えても、4.2倍の偏在が存在している。
地方法人課税の偏在是正(地域間での税収の格差)
地方法人特別譲与税を加算
-134-
資料Ⅲ-2-7
○ 地方法人課税の偏在是正の観点から、平成20年に法人事業税(都道府県税)の約4割を切り出して、地方法人特別税・譲
与税を創設。
○ しかし、26年度において、地方法人特別税・譲与税が1/3縮減され、与党税制改正大綱において「地方法人特別税・譲与税
を廃止するとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講じる」とされた。
⇒ 早急に、現行制度の意義や効果を踏まえた他の偏在是正措置を講じる必要。
○ また、26年度においては、地方消費税率の引上げによる地方団体間の財政力格差拡大を是正する観点から、法人住民税
法人税割の一部を切り出して、地方法人税(国税)を創設したところ(税収の全額を交付税原資化)。
⇒ 消費税率の10%への引上げの際には、同様の措置を講じる必要。
地方法人税の偏在是正(地方法人特別税、地方法人税)
-135-
資料Ⅲ-2-8
維持補修費:1.0
公営企業繰出金:2.6
水準超経費:0.9
公債費:13.1
投資的経費:11.0
歳出特別枠:1.2
国保等:1.5
元気創造:0.4
単独:14.0
補助:17.4
一般行政経費:33.2
給与関係経費:20.3
【83.4】
全体の83.1%
が内訳無し
その他:11.6(83.1%)
追加財政需要:0.4(3.0%)
貸付金:1.9(13.9%)
【14.0(100.0%)】
【うち一般行政経費(単独事業)】
≪計画(平成26年度)(単位:兆円) ≫
労働費:0.8
その他:1.7
公債費:13.0
教育費:16.1
警察費:3.2
消防費:1.9
土木費:11.2
商工費:6.2
農林水産費:3.2
衛生費:6.0
民生費:23.2
総務費:10.0
【目的別:96.4】
災害復旧事業費等:1.0
うち単独事業費等:5.9
うち補助事業費等:6.6
その他の経費:35.0
普通建設
事業費
投資的経費:13.4
公債費:13.0
扶助費:12.0
人件費:23.0
【性質別:96.4】
義務的経費:48.0
いずれを見ても、一行単独の決算額は判別できない
≪決算(平成24年度)(単位:兆円)≫
○ 地方財政計画の歳出において、「一般行政経費(単独事業)」については、約14兆円もの規模がありながら、その大宗(11.
6兆円、全体の83.1%)は、内訳や積算がなく、いわゆる「枠計上」となっている。
○ 更に、地方歳出の決算は、①目的別内訳と、②性質別内訳、に分けて開示されているが、どの部分が地方財政計画上の
「一般行政経費(単独事業)」の決算であるかの判別ができない状況。
○ このため、一般行政経費(単独事業)については、標準的な財政需要とは認められないような、過剰な金額が計上されてい
る可能性。少なくとも、過去の水準との比較において、国の取組と基調を合わせた歳出削減を行うべき。
一般行政経費(単独事業)の問題点①
-136-
資料Ⅲ-2-9
その他:13.2
地方交付税等:16.1
⑦投資的経費:11.0
(復旧・復興収支)
⑫≪地方財政計画≫
⑪水準超経費:0.9
⑩公営企業繰出金:2.6
⑨維持補修費:1.0
⑫復興特会繰入:0.7
(左記⑫に対応)
(左記⑧に対応)
国債費:23.3
(左記⑦に対応)
⑧公債費:13.1
公共事業関係費:5.7
⑤元気創造:0.4
文教及び科学振興費、防衛関係費、経済協力費、中
小企業対策費、エネルギー対策費、食料安定供給関
係費、その他事項経費、予備費
※ 社会保障関係費(年金・医療等、特殊要因を除く)、
(左記④に対応)
⑥歳出特別枠:1.2
④単独:14.0
③国保・後期高齢者医療:1.5
②補助:17.4
国・地方で、6%の乖離
(100.9%)
(注)なお、国保への法定外繰入や各種医療費助成等は、地方の自主財源で対応
すべきものであり、標準的な歳出の見積りである「地方財政計画」への計上は認
められない。更に、少子化対策の一部は子ども・子育て支援制度により制度化さ
れる可能性。
○ なお、上記の「年金・医療等」の取扱いについては、社会保障費のうち構造的な自
然増が想定される支出は、地方財政計画上は全て一般行政経費補助(②)又は国
保・後期高齢者医療(③)に含まれていると想定し控除(例えば、地方単独事業の
養護老人ホームの定員、老人クラブの会員、公立保育所の定員は、いずれも減少
傾向(=構造的な自然増は想定されない))。
○ 国の一般会計歳出から以下を控除したもの。
・ 地方財政計画と直接的に対応している経費(人件費、公共事業関係費、国債
費、復興特会繰入)
・ 高齢化等による構造的な自然増がある「年金・医療等」(社会保障関係費の一
部+恩給関係費)
・ 26年度限りの特殊要因(補正予算の当初化:0.4兆円)
【一般行政経費(単独事業)に対応する国の歳出(26年度:13.2兆円)の考え方】
(100%)
増加 139,536
138,285
(地方)
一般行政経費(単独事業)
(100%)
年金医療等:30.1
(左記②、③に対応)
(94.9%)
138,718
人件費:6.8
(左記①に対応)
①給与関係経費:20.3
一般行政経費:33.2
減少 131,620
H22
【95.8】
H26
≪国と地方の歳出の推移(H22=100.0%)≫
(国)
一般行政経費(単独事業)に
対応する歳出
≪平成26年度一般会計歳出(国)≫
【83.4】
(通常収支)
≪平成26年度地方財政計画≫
○ 一般行政経費(単独事業)に対応すると考えられる国の歳出(26年度)は、リーマンショック直後の22年度比で94.9%
(▲5.1%)の水準。
○ 一方で、26年度の一般行政経費(単独事業)は、22年度比で100.9%となっており、国の取組と基調を合わせた歳出削
減が行われていない状況。
⇒ 27年度では、一般行政経費(単独事業)について、これまでの国の取組と同様の歳出削減を行うべき。
(仮に、22年度比での国並みの取組を行った場合、対26計画比では▲8,300億円程度(▲6%)の削減となる)
一般行政経費(単独事業)の問題点②
-137-
4,013
使用額
1,919
5,700
H17
651
5,700
H18
1,538
5,700
H19
1,883
5,700
H21
平均使用額1,500億円
765
5,700
H20
1,671
5,700
H22
1,520
4,700
H23
907
4,700
H24
4,200
H26
558億円
340億円
1,586億円
一般行政経費(補助事業分)
投資的経費(直轄事業・補助事業分)
合計
1,299億円
303億円
605億円
391億円
H23
(注1)国の決算における不用割合(不用額/歳出予算現額)を地方財政計画における地方負担額に乗じて試算
(注2)投資的経費の不用額は歳出不用額に一般財源充当割合(45%)を乗じて計算
688億円
給与関係経費(義務教育費国庫負担金)
H22
国庫補助事業の不用額に係る地方負担額(推計)
1,240億円
245億円
670億円
325億円
H24
1,711億円
373億円
1,016億円
322億円
H25
1,459億円
315億円
712億円
432億円
4ヶ年平均
▲2,700億円の減額が適当
929
4,700
H25
(単位:億円)
(注)地財計画に計上する追加財政需要については、国の予備費と異なり決算で精算してないことを踏まえ、平均的な水準で計上すべき。
5,700
地財計画
計上額
H16
過去10年間の追加財政需要の計上額と使用額
仮に、過去に例がないような追加財政需要が生じたとしても、国の補助事業には毎年相当額の不用が生じており
(22~25年度平均で1,500億円)、これを充当すれば十分に対応が可能。
過去の平均的な使用実績を踏まえれば、計上額は1,500億円程度とすべきもの(削減可能額:▲0.3兆円)
○
○
一般行政経費(単独事業)には、年度途中の追加財政需要への対応として4,200億円が計上。
資料Ⅲ-2-10
○
一般行政経費(単独事業)の問題点③(追加財政需要)
-138-
資料Ⅲ-2-11
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
20.6 17.5 26.5 29.8
26.1 28.6
33.5
35.9
24.4 29.6
29.1
29.7
32.5
37.2
41.6
29.3
31.3
39.2
44.0
37.2
46.2
44.1
32.1
40.8
36.0
38.4
42.2
25.9 24.4 41.4
32.3
40.0
33.0
26.3 42.0
22.0 39.6
28.3 37.3
35.5
38.1
33.9
35.9
29.2
28.0 国の5級以上の職員割合
28.4%
5級以上の職員割合
≪都道府県の一般行政職の職務の級≫
(注1)平成25年地方公務員給与実態調査(総務省)より。
(注2)東京都及び大阪府については、設定している職務の級が
上記の基準と異なっており、比較することが困難であるため
除外している。
4級以下の職員割合
※ 東京都、大阪府、市町村も下記の道府県と同じ職員構成割合であると仮定した場合
○ 5級(都道府県における総括課長補佐級)以上の職員割合は、国より地方の方が高い(独自基準の東京都・大阪府を除く45
道府県のうち35道府県が国を上回っている)。
○ 仮に、地方財政計画において、地方の級別職員構成(3~5級)について国に準拠したものに是正した前提で計上するとした
場合には、給与関係経費は▲1,500億円程度の削減となる(※)。
給与関係経費の適正化・効率化(級別職員構成)
給与関係経費の適正化・効率化(民間委託の推進)
資料Ⅲ-2-12
0
1
2
3
4
5
92%を
民間委託
0.3
万人
25.1万円(※2)×12カ月
一般行政経費(単独)増加額
+7.8万人
▲7.8万人
人員数(Q)
民間委託率に乖離
昭和58年
35.0
万人
70%を
民間委託
平成25年
10.6
万人
国(92%)水準まで
民間委託した場
合、▲7.8万人
+2400億円程度
▲3100億円程度
削減額
▲700億円
程度
(※1)技能労務職員の平均給与月額は、
行(二)の平均給与月額を使用。 期
末・勤勉手当等を含んでおらず、給
与関係経費は更なる削減も可能。
昭和58年以降も新規採用を継続。民間委託率は
70%にとどまる。
P×Q
0
10
20
30
40
【地方:技能労務職員(普通会計ベース)】
(※2)民間類似職種の平均給与月額は、「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)の直近3ヶ年平均を、技労職員の職種構成によって加重平均したもの。
(※3)データは平成25年地方公務員給与実態調査(総務省)、平成25年国家公務員給与実態調査(人事院)、 「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)による。
32.5万円(※1)×12カ月
給与関係経費削減額
単価(P)
昭和58年
平成25年
昭和58年以降、新規採用を原則として行わず
民間委託を推進。民間委託率は92%。
4.2
万人
【国:行政職(二))】
行政改革に関する第3次答申(昭和57年7月30日 臨時行政調査会)(抄)
(2) 事務・事業の整理、民間委託の推進等
ア 国家公務員の中には、例えば技能・労務職員のように、民間と同様の業務を行う者が含まれているが、特別の必要がある場合を除き、当該業務について事務・事
業の整理、民間委託等を積極的に推進する。(中略)
ウ 地方公共団体においても、国に準じた措置を講ずべきであり、国は地方公共団体がこれらを円滑に実施できるよう配慮する。
○ 国は、技能労務職員(行政職(二))については、昭和58年以降、新規採用を原則として行わず、民間委託を推進。平成25年
度の民間委託率は92%(昭和58年比)。
○ 一方、地方は、昭和58年以降も新規採用を継続。この結果、平成25年度の民間委託率は70%(昭和58年比)にとどまって
いる。
○ 地方財政計画においては、国並みの民間委託率となっている前提での計上を行うべき。
⇒ 仮に、国並みの民間委託率(昭和58年比)になっている前提で計上した場合の削減額は▲700億円程度。
【増減額イメージ】
-139-
-140-
資料Ⅲ-2-13
13
14
15
16
17
公債費の推移(単位:兆円)
18
19
20
21
22
23
24
25
公債費
(臨財債の元利償還費分以外)
公債費
(臨財債の元利償還費分)
26
27
28
29
30
31
▲1兆円超の減少(推計)
32
(※) 26年度までは地財計画、27年度は総務省仮試算による。
28年度以降は、平成26年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算(26年1月財務省)における試算A-1及び仮定計算a-1と同様の経済前提を仮置きした上で、26年
度予算における制度・施策を前提に機械的に試算。
7
8
9
10
11
12
13
14
○ これまでの投資的経費の減少により、地方債の元利償還費である「公債費」は、臨時財政対策債分を除けば、今後、毎年
4,000億円程度縮減していく見込み(投資的経費が26計画と同額の前提)。
○ 一方で、臨時財政対策債分の公債費は増加が見込まれるものの、両者を足した公債費全体で見れば、平成32年度には、
▲1兆円程度減少する見込み(29年度に折半対象財源不足が解消する前提)。
○ 今後の公債費の減少分(27年度を含む)については、他の歳出(PB歳出)の増に充てるのではなく、確実に地方歳出の減
につなげるべき(=公債費の減少分を歳出全体から減額しても、地方のPB歳出は実質的に同水準)。
公債費①(今後の減少分の取扱い)
-141-
資料Ⅲ-2-14
基準財政需要額(臨財債振替前)
交付税
基準財政収入額
基準財政需要額(臨財債振替後)
基準財政収入額
基準財政需要額(臨財債振替後)
交付税
臨財債発行可
能額
臨財債償還
相当額(A)
臨財債発行可
能額
臨財債償還
相当額(A)
98,734
18,082
23
累計
15,943
22
19,963
13,894
21
24
11,978
5,101
18
20
2,740
17
9,082
1,318
16
19
436
15
0
197
基準財政需要
算入額(A)
14
13
年度
88,526
18,385
16,529
14,646
11,795
9,879
7,842
4,943
2,556
1,252
494
191
14
償還額
(基金積立含む)(B)
(単位:億円)
10,208
1,578
1,553
1,297
2,098
2,100
1,239
158
184
67
▲ 58
6
▲ 14
差額
(A)-(B)
【参考資料】
(※) 総務省「地方交付税等関係計数資料」及び「地方財政統計年報」による
赤井伸郎・石川達哉(2012)「交付税とは似て非なる臨財債-道府県は償還財源先食いに注意-」 日経グローカル No.204 2012.9.17
石川達哉・赤井伸郎(2013) 「臨時財政対策債の構造と膨張の実態-基準財政需要算入額と積立・償還額から見た自治体行動の実証分析-」(2013)『大都市制度・震災復興と地方財 政』日本地方財政研究叢書第20号p65‐83
赤井伸郎(2014)「みんなで渡る怖い橋」『十字路』日本経済新聞 2014年9月15日夕刊
【B市】
【A県】
基準財政需要額(臨財債振替前)
地方交付税の算定イメージ
元利償還金の基準財政需要算入額と現実の償還額
○ 一方で、足元では、地財計画で想定していないPB歳出の増につながっている(=PB悪化要因)。
⇒ 基準財政需要に算入された元利償還分は、確実に償還(又は減債基金への積立)に充てられる仕組みとすべき。
※ 例えば、ある自治体が30年の満期一括償還で臨財債を発行し、30年間均等に減債基金への積立てを行っている場合でも、地財措置は、20年と30年の定時償還を組
み合わせた額が措置されるため、将来的には、地財措置額<積立額となり、積立のための財源不足が生じ、他の歳出を圧迫する。
○ 具体的には、これまでに基準財政需要額に算入された額と、実際の償還額(減債基金への積立を含む)の差は、累積で約1
兆円。この分、将来の地財措置額が償還必要額を下回ることになり、他の歳出を圧迫することになる。
※ 基準財政需要への算入額は、20年と30年の定時償還を組み合わせた額が算定されているが、実際の地方団体の償還方法は満期一括償還のケースもある。この場合、実際の
償還までの間は、基準財政需要に算入された金額を他の歳出に流用することが可能な状態となっている(本来は、減債基金へ積み立てておくべき)。
○ 臨時財政対策債については、その元利償還金に相当する額が基準財政需要額に算入されているが、現実には、その分が償
還(減債基金への積立を含む)に使われていない(=他の歳出に流用)。
公債費②(臨時財政対策債の償還・積立不足)
-142-
資料Ⅲ-2-15
0
5
10
15
20
25
30
32
34
36
38
40
42
決
算
40.2
41.2
39.6
35.3
1.8
H20
1.8
H19
2.1
H22
H21
10.6
1.7
11.0
4.5 35.7
(+1.3)
17.9
5.2
(+0.8)
34.4
決算
H23
2.3
10.2
5.6
(+0.4)
18.1
35.7
(+0.1)
35.6
H24
2.3
11.1
6.1
(+0.5)
19.5
36.1
35.9 (+0.2)
H25
2.4
11.1
6.4 (+0.3)
20.0
36.4
37.2
(+0.9)
H26
(総務省仮試算)
H27
H22~25年度
財政調整基金 +1.9兆円
37.8
39.9
H22~25年度
決算増収 +2.5兆円
(計画)
(決算見込)
(※1)一般財源及び地方歳入は、地方財政計画ベース。積立金残高は、各年度末決算ベース(25年度は決算見込ベース)。
(※2)平成23年度から25年度までの積立金残高については、被災3県のその他基金(23年度:1.5兆円、24年度:1.5兆円、25年度:1.5兆円)を除いた額。25年度の宮城県及び福島県のその他基金については、24年度と同額と仮定。
9.1
4.4 7.9
4.2 14.0
15.3
37.6
計画
財政調整基金
(年度間の財源の不均衡を調
整するための基金)
17.2
その他基金
地方の積立金残高
計
画
41.1
地方税収の計画と決算
減債基金
(兆円)
○ 地方税収は、平成22年度から決算増収が続いており、22~25年度までの累計で+2.5兆円の決算増収。
○ この結果、地方の財政調整基金(年度間の財源調整のための基金)の残高は、同時期に、+1.9兆円の増加。
○ 地方税収の過少見積りは、地方交付税の特例加算と臨財債の増発を通じて、国・地方の借金を増加させるもの。更には、積
み上がった基金残高が将来的に歳出化されることにより、予期せぬ地方PBの悪化要因ともなりうる。
⇒ 近年の決算増収も踏まえ、適切な地方税収の見積りを行う必要。
地方税収の適切な見積り(決算増収と地方の基金残高の増加)
資料Ⅲ-3-1
-143-
教員給与
ドイツ
83.0 フランス
80.2 イギリス
66.9 その他の消費的支出
アメリカ
81.5 OECD平均
75.9 総額1.7兆円
人件費 90.9%
(義務教育費国庫負担金等、
約1.5兆円)
5.0
0
10.0
15.0
20.0
(%)
25.0
5.0
0
10.0
15.0
(%)
20.0
中学校
(注)ここでの教育支出は消費的支出を指し、資本支出等を含まない。
(出典)OECD stat
施設費 3.8%
義務教育に
係る経費
(26年度)
その他 2.8%
(スクールカウンセラー、土
曜日授業、補習等のための
指導員等)
教科書購入費
国の義務教育予算における経費の内訳 (2014年)
日本
85.9 (含事務費) 2.4%
50%
0%
60%
70%
80%
90%
100%
小中学校向け教育支出の支出項目別構成 (2010年)
日本
19.8 20.4 フランス
アメリカ
17.0 日本
17.4 アメリカ
18.1 イギリス
15.7 ドイツ
17.3 ドイツ
13.9 イギリス
15.3 G5平均:18.2%
フランス
13.5 G5平均:15.5%
在学者一人当たり教員給与支出
(対一人当たりGDP比、2010年)
OECD平均
18.7 OECD平均
15.8 ○ 教員給与(人件費)に多額の投資を続けることが効率的な教育投資といえるか疑問であり、教員定数、給与水準両面で効率化
を図る必要。
○ 諸外国においても、教員給与は教育支出(注)のうち最大の部分を占めるが、特に日本の小中学校予算は教員給与に配分が
偏っている。その結果、在学者一人当たり教員給与支出は国際的にも高い水準になってしまっている。
(日本の教員給与支出は国際的にも高水準)
義務教育予算の現状①
小学校
-144-
資料Ⅲ-3-2
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
(万人)
元
2
3
1493.7万人
4
75.1万人
76.2万人
5
6
7
8
児童生徒数
9
10
11
12
13
基礎定数
14
15
16
17
18
教職員定数(基礎+加配)
【児童生徒数及び教職員定数の推移】
19
20
21
22
24
25
(年度)
900
1,100
1,300
1,500
(出所)学校基本調査等
23
988.8万人
(▲33.8%)
63.8万人
(▲15.0%)
加配定数
70.0万人
(▲8.2%)
1,700
(万人)
1.5
2.0
2.5
3.0
(人)
2
3
4
2.01人
5
6
7
教職員定数全体
基礎定数
加配定数
1
元
0.03人
2.04人
8
10
11
12
13
14
15
16
17
18
加配定数(右軸)
19
2.83人
(1.4倍)
20
21
22
24
25
(年度)
0.00
0.10
0.20
0.30
0.40
0.50
(人)
(出所)学校基本調査等
23
0.25人
(8.3倍)
2.58人
(1.3倍i
平成元年
平成25年
2.04人 → 2.83人 (+38.7%)
2.01人 → 2.58人 (+28.4%)
0.03人 → 0.25人 (+833.3%)
9
基礎定数
教職員定数(基礎+加配)
【児童生徒40人当たりの教職員定数の推移】
○ 政策目的に応じて予算措置される定数(加配定数)は、平成元年以降、約5万人(11,418人
→62,405人)増員されている。
その結果、児童生徒当たりの加配定数は約8.3倍増加。
○ 学級数に応じて計算(法令で規定)される定数(基礎定数)は、平成元年以降、児童生徒
数の減少幅ほど減っていない。
その結果、児童生徒当たりの基礎定数は28.4%増加。
○ 教職員定数全体(基礎+加配)でみれば、児童生徒あたりの定数は、平成元年以降、約1.4
倍(+38.7%)に増加。
(児童生徒数あたりの教職員数は大幅に増加している)
義務教育予算の現状②
-145-
資料Ⅲ-3-3
(人)
小学校
中学校
学級規模(1学級当たりの児童生徒数) (2011年)
(人)
小学校
中学校
(出所)OECD「図表でみる教育2013」、「学校基本調査報告書(平成24年度)」
教員一人当たり児童・生徒数(2011年)
※休職者、育児休業者(1.7万人)等を含む
○ しかし、国際的に見て、教員一人当たり児童・生徒数が遜色ない一方、学級規模が大きいのは、担任外の教員が多
いためであり、約65万人の教員のうち約3割(16.7万人※)は担任外の教員。
○ 学級規模(1学級当たりの児童・生徒数)が、諸外国と比べて多く、教育環境が良くないとの指摘がある。
学級規模(1学級当たりの児童生徒数)と教員一人当たり児童・生徒数との関係
-146-
27.0
11.5
38.4
41.1
23.8
64.8
小学校
中学校
合 計
6.1
2.0
4.1
3.6
1.1
2.5
16.7
9.2
7.5
校長・教頭 養護教諭等 担任外※
※休職者、育児休業者(1.8万人)等を含む
学級数
(担任)
教員数
(単位:万人)
教員数の内訳(公立小中学校、平成25年度)
平成以後学級数
が22%減少する
中、担任外教員
は▲4%
・H元年度:
1.5学級に1人
H25年度:
1.2学級に1人
平成以後学級数
が14%減少する
中、担任外教員
は33%増
・H元年度:
5.6学級に1人
H25年度:
3.6学級に1人
21人~25人 26人~30人 31人~35人 36人以上
合計
※ 特別支援学校・学級、複式学級を除く。
【 出典 】学校基本調査 など
35,423 41,613 89,265 110,305 52,820 329,426
(10.8%) (12.6%) (27.1%) (33.5%) (16.0%) (100.0%)
4,128
4,844 17,398 41,926 30,537
98,833
(4.2%) (4.9%) (17.6%) (42.4%) (30.9%) (100.0%)
31,295 36,769 71,867 68,379 22,283 230,593
(13.6%) (15.9%) (31.2%) (29.7%) (9.7%) (100.0%)
~20人
(単位:学級)
収容人員別学級数(公立小中学校、平成25年度)
○ 現行定数の下で、担任外教員を活用すれば、35人以下学級は十分に実施できる。小学校は担任外教員を増やしてき
ていること、中学校は担任外教員の割合が約4割と高く教員一人当たりの生徒数も少ないことを踏まえ、既存定数の配
分の見直しを検討する必要(学年に2つの36人以上学級があれば教員1人の追加で2つの36人以上学級が解消できる)
○ これに対し、36人以上の学級は小学校の学級数の1割(2.2万)、中学校の学級数の3割(3.1万)に過ぎない。
○ 教員65万人のうち担任外教員16.7万人が(※)存在【うち小学校7.5万人、中学校9.2万人】
既存の定数の見直し(再配分)がなされていない
資料Ⅲ-3-4
~35人以下学級は担任外教員16.7万人の活用で十分実施できる~
-147-
C大学
改革経費を効率的に運用するためには、各大学の取り組みを公平に評価するシステムの構築が不可欠
○ 各大学の執行にあたって、学長のリーダーシップが充分に発揮される仕組みとする
○ 一般運営費交付金の一部(3割)を改革経費に位置付けることで固定化を防ぐ
②教育研究組織、学内の資源配分について各大学が見直す環境を生み出す
○ 「法人」としての全体マネージメント意識の醸成、予算のメリハリ、競争原理の導入
①大学の自発的な改革への取組みを促す
<期待される効果>
B大学
A大学
その際、当該政策課題に向けた
大学の自主的な取組みを評価した上で
配分
②改革経費の配分を行う際、各大学群で別の評価基準を採用。評価
した結果に基づき、配分額に差をつける。採択にあたっては、学長が
学内においてリーダーシップを発揮できているかについても要件とする。
地域活性化の中核的拠点を
目指す大学群
特別経費
政策課題に対応する経費の重点化を図る
全国的な教育研究拠点
を目指す大学群
経費の配分に当たっては、従来の配分方式に
加え、政策課題に対応するため配分した特別
経費、改革補助金等の獲得額を反映
基盤的経費
世界最高の教育研究拠点を
目指す大学群
①改革経費を大学の
機能強化の方向性
に応じた大学群に区分
改革経費
(一般経費のうち約3割)
(旧)一般経費
一般経費を基盤的経費と改革経費に区分。改革経費の活用を学長のリーダーシップに委ねるとともに、各大学の
取り組みに応じて配分に差をつけることで改革を促進
【改革案】
国立大学法人改革に向けた財務省案①-Ⅰ<運営費交付金の改革> 資料Ⅲ-3-5
-148-
A
基
政
A
C
基
B
政
基
C
政
基盤的経費(翌年度分)
前年度配分シェア
B
基盤的経費(除く改革経費)
D
基
D
政
C
前年度配分シェア
B
D
<期待される効果>
教育研究高度化等の政策課題対応について、
自主的に継続する環境整備に寄与
をもとに決定することで、政策的経費の配分終了後も
継続して政策課題に取り組む体制を整備する。
前年度の基盤的経費配分シェア
+
前年度の政策的経費配分シェア
翌年度の基盤的経費の配分に当たっては、
A
資料Ⅲ-3-6
特別経費(政策的経費)
国立大学法人改革に向けた財務省案①-Ⅱ<基盤的経費の配分>
-149-
地域活性化の中核的
拠点を目指す大学群
全国的な教育研究
拠点を目指す大学群
世界最高の教育研究の
拠点を目指す大学群
【改革案】
国立大学法人
【現行の評価手法】
・産学官連携の共同研究結果
・自治体等地域社会との連携に
よる全学的な教育・研究活動
の状況
・大学病院の機能強化状況 等
評価指標(例)
・教育研究組織の整備、再編状況
・カリキュラム調整などによる大学教育
の国際的な互換基盤の整備状況
・競争的資金、運営費交付金以外
の収入の獲得状況
・1人あたり論文数
評価指標(例)
・地域への人材供給状況(就職率)
・地域(企業、自治体、寄附)からの収入
・社会人の学び直しの機会の提供状況
・学内の資源配分の重点化状況
・学修成果の状況
等
・教員が教育に投じる時間数と質
・特別運営費交付金の獲得状況
・若手研究者の活用状況
・大学教育質保証の共通システムの構築
・アジアをリードする技術者の養成状況
・大学間連携の状況
・学修成果の状況
等
・特別運営費交付金の獲得状況
・年俸制の導入促進状況
・競争的資金、運営費交付金以外
の収入の獲得状況
・高度人材の育成、社会への供給
状況
等
業務実績評価
教育研究評価
・論文数、論文数の世界シェア
・TOP10%補正論文数
・外国人研究者の招聘数
・海外の大学との連携やパートナーシップ
・研究成果の実用化状況
評価指標(例)
国立大学法人
評価委員会が
実施
(独)学位・授与機
構が実施
資料Ⅲ-3-7
⇒客観的な指標を導入することで
大学の事務負担を軽減
⇒従来と比較して短期間での評価
が可能となり、モチベーション向上
に寄与
・ 評価に当たっては、客観的な指標
の評価を重視し、2年程度の期間で
評価を実施
⇒各大学の特性に応じた評価が
可能となり、モチベーション向上
に寄与
・ 各大学群を別の基準で評価
⇒各大学の強み・特色を最大限に
生かす環境整備を効果的に支援
・ 各大学は中期目標の設定に際して
どの大学群に属するかを決定
<改革のポイント>
・ 評価手法が一律(中期目標の検証)
・ このうち教育研究は各中期目標期間
に一度だけ実施され、6年間評価が
固定される。
・ この評価をもとに特別経費の一部
(30億円)が配分される
<問題点>
国立大学法人改革に向けた財務省案②<新たな大学評価システム>
-150-
概算要求
予算編成
配分
事業実施
中間目標
KPI
達成度
執行状況
目標達成に向け、選手強化事業におけるPDCAサイクルを強化するための仕組みが必要なの
ではないか
(注)執行状況及び中間目標・KPI達成度については、文科省において毎年度公表し、透明性を確保
具体的な
年度毎の
強化計画
[毎年度のPDCAサイクルの徹底]
競技ごとの毎年度の中間目標及びKey Performance Indicator設定
(例:毎年の世界大会への出場選手数・入賞者数)
メダル獲得数向上に向けた具体的な選手強化戦略の策定
選手強化事業のPDCAサイクル強化
資料Ⅲ-3-8
-151-
資料Ⅲ-3-9
○ 国民による規律付けを機能させ、モラルハザードを防止するため、民間資金とのマッチングを基本とし、一定
の負担を競技団体にも負わせることが必要ではないか。また、財政力が脆弱な競技団体の負担軽減のため、
財政力に応じた補助のあり方を検討するのも一案か。
○ 多岐にわたる選手強化事業について、競技団体の事務負担を軽減するべく、申請におけるフォーマットの統
一等運用面の制度改革も進めるべきではないか。
○ 相次ぐ競技団体の不正受給や不正経理は国民から厳しい目で見られており、具体的なガバナンス強化策が
確実に実施される必要。例えば、補助金の使途についての監査等のコンプライアンス体制の充実についても、
選手強化費の配分の際に反映されるべきではないか。
○平成26年4⽉:競技団体が負担すべき経費を軽減すべく、謝⾦等の⼀部を競技団体に還流(日本ホッケー協会)
○平成25年12⽉:選⼿等へ⽀払う滞在費の会計処理において証拠書類をねつ造(日本フェンシング協会)
本スキー連盟、日本カーリング連盟)
○平成25年5⽉:指導実態のない団体理事を助成対象として推薦し不正に受給、助成⾦の⼀部を留保⾦として不正に徴収(全日本柔道連盟、全日
連盟、日本体操協会、全日本スキー連盟、日本サッカー協会、日本トライアスロン連合、日本ハンドボール協会、日本バスケット協会)
○平成24年11⽉:助成⾦の過⼤交付及びコーチ謝⾦の⼆重⽀給(日本ホッケー協会、日本ボート協会、日本フェンシング協会、日本自転車競技
日本自転車競技連盟、日本バトミントン協会、日本体操協会、日本レスリング協会)
協会、日本セーリング連盟、日本カヌー連盟、日本ホッケー協会、日本近代五種 ・バイアスロン連合、日本馬術連盟、日本フェンシング協会、
○平成24年11⽉:会計検査院決算報告による指摘:競技団体が負担すべき経費を軽減すべく、謝⾦等の⼀部を競技団体に還流(全日本テコンドー
バイアスロン連合、日本ボブスレー・リュージュ連盟)
カーリング連盟、日本カヌー連盟、全日本柔道連盟、日本ホッケー協会、日本ボート協会、日本水泳連盟、日本セーリング連盟、日本近代五種・
○平成24年3⽉:競技団体が負担すべき経費を軽減すべく、謝⾦等の⼀部を競技団体に還流(全日本テコンドー協会、日本セーリング連盟、日本
○平成19年3⽉:国際⼤会において、取引先に⽔増し請求させ、差額分をバックさせ、裏⾦として⾃ら費消(日本スケート連盟)
スポーツ競技団体の不正受給への対応
-152-
(国債発行額:兆円)
公共事業関係費
一般歳出
科学技術関係費
社会保障関係費
科学技術振興費
○ 科学技術振興費は平成元年度比で約3倍(26年度)と社会保障関係費も超える大きな伸び
○ 国債発行額は平成元年度比で約6.3倍(26年度)に大幅に増加し、財政事情は悪化
科学技術振興費の推移
資料Ⅲ-4-1
-153-
各センターに研究倫理教育責任者を
設置し、研究倫理教育を徹底(教育
プログラムの導入等)
CDB組織の解体的な出直しをするた
め、新センター長を選考した上で、外
部有識者を含む「運営会議」を設置
理研本部に過半数が有識者の「経
営戦略会議」及び理事長直轄の「コ
ンプライアンス本部」を設置
理研アクションプラン
(平成26年8月27日)
ルール順守の実効性を担保するため、義
務付けられた研修を受講しない場合や研
修確認テストなどに不備があった場合は、
一定期間実験室への立ち入り禁止や研究
費申請の一時停止などの措置をとるべき
PDCAサイクルを真に実効性あるものにす
るため、「運営会議」による評価・助言を資
金配分に反映することを徹底し、本部のモ
ニタリングの下、特段の理由なく反映され
ない場合における配分額減額やセンター
長解任といった厳しい罰則規定を設置す
べき
改革案
資料Ⅲ-4-2
○ 他の研究開発法人についても総点検した上で、こうしたガバナンス強化・調達改革を徹底
するべきではないか。
[その他の論点]
○ 理研に対する予算執行調査における指摘を踏まえ、一括購入や単価契約を徹底し、調達
改善に応じない場合は研究費執行を一部停止する等の罰則を導入し、ルール遵守の実効性
を担保するべきではないか。
研究不正を防止するため、実効
性のある体系的な体制整備が必
要
資源配分の固定化を防止し、PD
CAサイクルを徹底するため、外
部の意見も取り入れたガバナン
ス強化が必要
課 題
理化学研究所問題への対応
-154-
H26
H27
次世代スパコン /2
H28
新型基幹ロケットの開発 /1
H29
H30
H31
2020年を目途とする中期財政計画の達成に向け、一定規模以上の大規模支出について
は、要求段階において、プロジェクトを通した後年度負担とリース等の柔軟なファイナンス
方式や官民の費用分担も含めた財源調達の考え方を整理させることとし、自律的に財政
再建目標との整合性を確保する仕組みを作るべきではないか
(注1)平成26年度は予算額、平成27年度は概算要求額、平成28年度以降は文部科学省試算。
(注2)平成25年12月の総合科学技術会議「エクサスケール・スーパーコンピュータ開発プロジェクトの評価結果」によれば「平成26年度から平成31年
度までの6年間に国費総額約1200億円を見込む」とされており、平成26年度予算額12億円、平成27年度概算要求額47億円を除して、残期間につい
て単純平均をとったもの。
700
600
500
400
300
200
100
0
(億円)
大規模プロジェクトは多額の後年度負担を生じ、予算の硬直化を招く原因
大規模プロジェクトの後年度負担
資料Ⅲ-4-3
-155-
非効率である可能性。
抜本的に見直すべき。
インフラ長寿命化計画
に基づかない老朽化対策
に基づく老朽化対策
(具体的な集約・統廃合等を含む)
インフラ長寿命化計画
■行政改革推進会議「行政事業レビュー」(平成25年11月)
長寿命化計画の策定や老朽化対策・維持管理費用の将来推計に基づく維持管理マネジメントを実施している地方公共団体に対して
は、配分を優先するべき。(略)一方で取組が遅れている地方公共団体に対しては、総務省などの関係省庁とも連携しつつ、例えば、ペ
ナルティを与えることを含めてインセンティブを付与すること等を通じ一層のメリハリをつけるべきではないか。
■「日本再興戦略」改訂2014(平成26年7月閣議決定)
これまでの取組に続き、インフラ長寿命化については、国や地方公共団体等の各インフラを管理・所管する者は、2016年度末までに
「インフラ長寿命化計画(行動計画)」を策定した上で、個別施設計画を策定し、メンテナンスサイクルを推進する。
防災・安全交付金
(㉖1兆841億円)
地方公共団体向け老朽化対策支援
○ 限られた財源の中で効率的な老朽化対策を実施するためには、今後の老朽化対策は、インフラ長寿命化
計画に基づき計画的かつ効率的に実施する必要がある。反対に、同計画に基づかない老朽化対策は非効率
である可能性があり、抜本的に見直すべき。
○ インフラ長寿命化計画を策定している場合であっても、単に計画が策定されていればよいのではなく、
将来の社会経済状況の変化を見据えた具体的な集約・統廃合等の計画を含むものとするべき。
インフラ長寿命化計画(公共施設等総合管理計画)の策定の推進 資料Ⅲ-5-1
-156-
資料Ⅲ-5-2
高速道路会社
国
都道府県
政令市
市区町村
注)この他、古い橋梁など記録が確認できない建設年度不明橋梁が約30万橋ある
下水道(管渠)の建設年度別施設数
約3.6兆円※)
約4.3~5.1兆円
約4.6~5.5兆円
2013年度
2023年度
(10年後)
2033年度
(20年後)
1.国土交通省所管の社会資本10分野(道路、治水、下水道、港湾、公営住宅、公園、海岸、空港、航路
標識、官庁施設)の、国、地方公共団体、地方道路公社、(独)水資源機構が管理者のものを対象に、
建設年度毎の施設数を調査し、過去の維持管理、更新実績等を踏まえて推計。
2.今後の新設、除却量は推定が困難であるため考慮していない。
3.施設更新時の機能向上については、同等の機能で更新(但し、現行の耐震基準等への対応は含
む。)するものとしている。
4.用地費、補償費、災害復旧費は含まない。
5.個々の社会資本で、施設の立地条件の違いによる損傷程度の差異や維持管理・更新工事での制
約条件が異なる等の理由により、維持管理・更新単価や更新時期に幅があるため、推計額は幅
を持った値としている。
※)2013年度の値(約3.6兆円)は、実績値ではなく、今回実施した推計と同様の条件のもとに算出した推計値
推計結果
年度
平成25年12月 社会資本整備審議会・交通政策審議会 「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について(答申)」
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
橋梁の建設年度別施設数
今後、高度成長期以降に急速に蓄積してきた膨大な社会資本が耐用年数を迎え、増加する維持管理・更新
費用への対応が大きな課題となる。
既存の社会資本の維持管理・更新について
-157-
資料Ⅲ-5-3
H2
H4
H6
H8
H10
H12
H14
H16
H18
H20
H22
H24
1,000
1,200
50,000
走行台キロ(百万台㌔/24H)
1,300
1,400
1,500
1,600
(百万台㌔/24H)
1,502 自動車保有台数(千台)
1,533 1,100
S63
1,225 1,351 1,470 1,512 道路全体の走行台キロと自動車保有台数の推移
平成26年4月現在
(10,696km)
55,000
60,000 1,140 65,000
70,000
75,000
(千台)
80,000
昭和61年4月
(3,721km)
高規格幹線道路の整備延長
自動車保有台数の伸びは鈍化。交通量も全国的には頭
打ち。
道路
汚水処理人口普及率
H9
H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
2010年
8,000
9,000
10,000
11,000
12,000
13,000
2020年
2030年
2036年
2040年
2050年
2060年
人口推計(低位)
人口推計(中位)
人口推計(高位)
汚水処理施設整備水準
(H24)11,138万人
汚水処理施設の整備水準(H24)と人口の推移
※H22:東日本大震災の影響により調査不能な市町村があった岩手県、宮城県及び福島県の3県を除く。
※H23:東日本大震災の影響により調査不能な市町村があった岩手県及び福島県の2県を除く。
(注)汚水処理人口普及率は、下水道、農業集落排水施設等、浄化槽、コミュニティ・プラントの各汚水処理施設の普及
状況を、人口で表したもの。
H8
85.7 86.9 87.6 88.1
82.4 83.7 84.8
77.7 79.4 80.9
75.8
71.4 73.7
66.3 68.9
64.1
61.8
(万人)
14,000
0
20
40
60
80
100
(%)
下水道の汚水処理施設は、現時点で9割弱の人口をカ
バー。他方、2030年代半ばには我が国の人口は9割弱
の水準にまで減少。
下水道
公共事業関係費の削減が続く中にあっても、コスト総合改善の取組などもあり、我が国の社会資本の整備水
準は大幅に向上。
○ 将来の人口減少の現実や維持管理費用の負担を踏まえれば、新規投資はこれまで以上に厳選していく必要が
ある。
○
新規整備について
-158-
資料Ⅲ-5-4
②除草作業
③集草作業
除草
集草
削減量
1,009
567
(単位:人日/百万㎡)
人力
1,166
740
+
出典:国土交通省土木工事標準積算基準書
機械
157
173
大型遠隔操縦式機械(除草・集草アタッチメント付き)
機械を使用した除草・集草作業の例
①植生の繁茂
④梱包または処分場への搬入
=
(注)当試算は、機械施工を導入可能と考えら
れる面積を集計し、その値から単純に省力化
の効果を算出したものである。
直轄河川堤防の除草・集草
作業に、大型遠隔操縦式機
械を積極的に導入した場
合、年間で延べ約5万7000
人の作業員を省力化できる
可能性がある。
※ただし、堤防の法面勾配によって、
適用可能な機械が限定される。
直轄河川の堤防除草(平成26年度予算執行調査)
効率化・生産性の向上により、年間0.5%程度の効率化が可能とされている。依然として、効率化の余地
は残されており、将来の労働力人口の減少を見込めば省力化に向けた取組を加速するべき。
効率化・生産性の向上
-159-
主業農家(万戸)
(割合)
…
1,454
…
…
606
312
12
285
17
253
22
482
389
335
261
82
50
43
36
(21.4) (16.0) (15.1) (14.2)
297
234
196
163
(77.5) (74.9) (68.9) (64.5)
383
平2年
171 160
206
195 161
(24.5) (33.1) (52.9) (58.2) (61.6)
697
…
…
466
55
注1:平成2年以降の農業就業人口は、販売農家の数値である。
注2:販売農家割合と主業農家割合は、総農家に占める割合である。
※ 販売農家:経営耕地面積が30a以上または農産物販売金額が年間50万円
以上の農家。
※ 主業農家:農業所得が主(農家所得の50%以上が農業所得)で、1年間に
60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいる農家。
…
1,035
…
…
540
45
資料:農林水産省「農林業センサス」
うち65歳以上人口(万人)
(割合)
農業就業人口(万人)
販売農家(万戸)
(割合)
農家戸数(万戸)
昭35年
農家戸数、農業就業人口の推移
農業構造の現状
20~29
0% シェア
1% 2.5 3% 5.9 30~39
30~39
6% 9.8 40~49
40~49
40代以下
18万人
(10%)
14% 25.5 50~59
50~59
70歳以上
30% 52.5 46% 81.5 60~69 70歳以上
60~69
65歳以上
106万人
(60%)
(備考)農林水産省統計部「農業構造動態調査」(組替集計)により作成。
0.1 15~19歳 20~29
15~19歳
人数 (万人)
0
20
40
60
80
100
(万人)
年齢階層別の基幹的農業従事者数(平成24年)
年齢階層別の基幹的農業従事者数(平成24年)
100% 177.8 計
資料Ⅲ-6-1
資料Ⅲ-6-2
(※)輸入飼料と国産飼料を区別して計算
資料:DEFRA Food Security Assessment (2010)より作成
(試算4)
全ての潜在的耕作可能地で、有機農法により小麦を作付けする場合の供給可能熱量
(試算3)
全ての潜在的耕作可能地で小麦を作付けする場合の供給可能熱量
(試算2)
現在の作付地で麦類(小麦、大麦、えん麦)を作付けする場合の供給可能熱量
(試算1)
現在の穀類、園芸作物、畜産物の生産を継続する場合の供給可能熱量(※)
2000
1000
0
2,799 3,243 2,793 国内生産により潜在的に供給可能なカロリーの代表的な試算例
3000
○イギリスにおける試算(2008年)の例
7,009 1人1日当たり必要カロリー
(2,236kcal)
(単位:kcal)
【国内生産により潜在的に供給可能なカロリーの試算】
①潜在的に耕作可能な全ての農地において、小麦を生
産した場合
②潜在的に耕作可能な全ての農地において、有機農法
により小麦を生産した場合
において、共に1人1日当たり必須カロリー(2,236kcal程
度)を満たす。
4000
資料:DEFRA Food Security Assessment (2010)等
・ 生産者に対して需要動
目標
向をより的確に伝える取組の
極端かつ長期的な輸入途絶の場合にも、シンプル
推進
・ 民間流通における入札
な食事にはなるが、栄養的に問題ない食料を十分
の仕組みの適時・適切な見直
に生産する基礎的な能力が存在する。
し
産の推進
自国の資源のみで食料を供給する緊急事態(輸
実需者ニーズに対応した生
入途絶)
試算内容
5000
想定する事態
6000
イギリス
【出典】農林水産省 食料・農業・農村政策審議会 企画部会(平成26年10月7日) 資料から作成
7000
する能力があるか、試算を行っている。
イギリスでは、海外からの輸入が途絶した状況においても、生産転換などによって、国民が必要とする食料を潜在的に供給
イギリスの⾷料⾃給⼒の事例
8000
-160-
-161-
116
販売収入
7.5
米の直接支払
交付金
64
経営費
23
所得
販売収入
80
7
水田活用の
直接支払
交付金
76
経営費
50
販売収入
117
9
水田活用の
直接支払
交付金
多収性専用品種を用いて単収が
標準単収値+150kg/10aとなる場合
単収が標準単収値となる場合
所得
飼料用米
飼料用米
45
経営費
43
所得
小
11
農林水産省「経営所得安定対策等の概要(平成26年度版)」より
(単位:千円)
販売収入
42
畑作物の
直接支払
交付金
35
水田活用の
直接支払
交付金
麦
資料Ⅲ-6-3
注1) 小麦及び主食用米は、平成23年産生産費統計(全階層平均、主産物)を用いて算定。
注2) 飼料用米は、取組事例のデータを用いて算定。
注3) 飼料用米の水田活用の交付金の単価は、標準単収値の収量が得られた際の単価を8万円/10aとして、収量に応じて下限5.5万円/10aから上限10.5万円/10aの範囲で変動。
注4) 飼料用米の単収が標準単収値と同じとなる場合の経営費は、主食用米の機械を活用するため、主食用米の経営費から農機具費及び自動車費の償却費を控除。
注5) 飼料用米について、多収性専用品種に取り組み、単収が標準単収値+150kg/10aになった場合、多収性専用品種での取組による1.2万円/10aの産地交付金の追加配分が
加算され、戦略作物助成の収量に応じた上限単価10.5万円/10aが適用されるとして算定。また、経営費及び労働時間は、標準単収値の経営費から、150kgあたりの施肥及
び収穫・調製等に係る費用及び労働時間を加えて算定。
87
経営費
36.5
所得
主食用米
転作助成(主⾷⽤⽶・飼料⽤⽶・⼩⻨における所得⽐較(10a当たりのイメージ))
生
全国出荷団体等
出荷事業者
産
-162-
者
(170)
(76)
販売事業者等
資料:農林水産省「作物統計」、「生産者の米穀在庫等調査」、「農林業センサス」、「米穀の取引に関する報告」及び全国出荷団体調べ等を基に推計。
農家消費
その他(加工用米等、もち米、減耗等)
生産者から消費者・小売等への直売(農産物直売所、通信販売など) (222)
(6)
(単位:万トン(23年産米))
資料Ⅲ-6-4
費
(840)
その他
(22)
(107)
(259)
その他
(595)
単位農協
(351)
(265)
全農・
経 済連
主食用米
としての販売
(373)
⽶の流通(流通経路別流通量の状況)
消
者
-163-
112,920円
106,031円
103,395円
5.0~10.0ha
10.0~15.0ha
15.0ha~
15.09時間
17.37時間
18.32時間
22.84時間
25.12時間
27.31時間
34.15時間
45.96時間
(参考)米国産うるち精米短粒種のSBS輸入の価格:156円/kg (約83,000円/10a)
農林水産省「平成24年産 米及び麦類の生産費」
126,165円
3.0~5.0ha
144,803円
1.0~2.0ha
133,469円
179,532円
0.5~1.0ha
2.0~3.0ha
226,635円
(投下労働時間)
(全算入生産費)
~0.5ha
労働時間
資料Ⅲ-6-5
生産コスト
農地集積(稲作⽣産コスト等(10a当たり))
-164-
5,754億円
一般会計繰入額
一般会計
○ 新エネ・省エネの推進
○ 石炭・天然ガスの高度利
用
○ エネルギー起源CO2削
減への取組
○ 上流対策
(開発・権益確保)
○ 中下流対策
(精製・流通)
○ 石油・LPガスの備蓄
環境省:1,116億円
経産省:3,725億円
エネルギー需給
構造高度化対策
経産省:2,837億円
燃料安定供給対策
エネルギー需給勘定 7,678億円
1,924億円
剰余金等
差額376億円
一般会計留保
一般会計留保
313億円
201億円
3,122億円
一般会計繰入額
一般会計
文科省:174億円
○ 電源立地地域に対する
交付金
○ 放射線の影響や風評被
害防止に関する情報提供
等
経産省:1,691億円
電源立地対策
環境省:7億円
文科省:979億円
○ 既存の原発の安全性
向上のための取組
○ 安定・効率的な電力供
給のための取組
等
経産省:178億円
電源利用対策
内閣府:
121億円
環境省:
487億円
原子力安全
規制対策
電源開発促進勘定 3,636億円
剰余金等
周辺地域
整備資金
差額148億円
一般会計留保
3,270億円
電源開発促進税 3,270億円
石油石炭税 6,130億円
6,130億円
電源開発促進勘定
エネルギー需給勘定
一般会計
225億円
○ 交付国債の償還金にかかる借入金利子等
経産省:295億円
原子力損害賠償支援対策
295億円
原子力損害賠償支援勘定
2億円
剰余金等
68億円
一般会計
繰入額
原子力損害賠償
支援勘定
(金額は平成26年度予算)
資料Ⅲ-7-1
原子力損害賠償
支援資金
エネルギー対策特別会計の仕組み
-165-
④
③
②
①
1,586億円(1,364億円)
105億円(151億円)
20億円(20億円)
10億円(新規)
等
 再エネ等を活用した水素社会推進事業
30億円(新規)
 地熱・地中熱等の利用による低炭素社会推進事業 29億円(16億円)
 洋上風力発電実証事業
18億円(14億円) 等
環境省
 再生可能エネルギー熱利用加速化支援対策費補助金 80億円(40億円)
 再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業費補助金
456億円(290億円)等
地域における分散型再生可能エネルギー発電、再生可能エネルギー
熱の利用拡大
 風力発電のための送電網整備実証事業費補助金
 環境アセスメント調査早期実施実証事業
 次世代洋上直流送電システム開発事業
送電網の整備・技術実証、環境アセスメント迅速化実証、洋上風力
拡大のための洋上送電システムの開発
 電力系統出力変動対応技術研究開発事業
60億円(40億円)
 再生可能エネルギー余剰電力対策技術高度化事業費 27億円(20億円)等
風力発電等の出力変動に対応する予測・制御技術の開発、系統用大
型蓄電池の低コスト化
 洋上風力発電等技術研究開発
79億円(49億円)
 地熱資源開発調査事業
90億円(65億円)
 高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発
51億円(新規)
等
風力・地熱・太陽光発電等の高度化・高効率化、大型洋上風力の実証
経済産業省
資料Ⅲ-7-2
(提供:電源開発(株) )
福岡県北九州市沖
○風力発電のための送電網整備実証事業費補助金
・風力発電の適地である北海道及び東北の一部の地域で送電
網の整備・技術課題の実証を行う。
○電力系統出力変動対応技術研究開発事業
・風力等再生可能エネルギーの発電量の出力変動に対する予
測技術を高精度化・実用化し需給調整に係る技術開発を行う。
(提供:東京電力(株) )
千葉県銚子沖
○洋上風力発電等技術開発
・洋上風力発電のコスト低減のための技術開発及び実証を
行う。
再生可能エネルギー予算の全体像(27年度要求)
-166-
資料Ⅲ-7-3
平 成 24年度
87円 /月
1,900億 円
平 成 25年度
120円 /月
3,500億 円
家計負担
賦課金総額
平 成 26年度
225円 /月
6,500億 円
平 成 27年度
H26.6までの
FIT認定量が全
て運転開始し
たという想定
350円 程 度/月(注)
1兆 円 程度 (注)
2 . 7兆円
想定
0円 /月
50円 /月
100円 /月
150円 /月
200円 /月
250円 /月
300円 /月
350円 /月
400円 /月
450円 /月
500円 /月
○再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業費補助金
H27年度
年度
H24年度 H25年度 H26年度
(要求)
予算額
71
191
290
456
(億円)
1,364
想定
※認定を受けた設備が全て運転開始した場合の賦課金額等について、機械的に試算を行ったものであるが、実際には認定取消し案件や事業断念案件、系統接続等の課題による
制約を受ける条件が存在するため、全てが運転開始することは想定されず、負担等も実際とは異なる。
(注)再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業費補助金の平成27年度要求456億円から財務省において機械的に試算。正式には平成27年度の開始前に経済産業大臣が賦課金単価を定める。
-1,000
1,000
3,000
5,000
7,000
9,000
11,000
13,000
(億 円 )
15,000
9 3 5円 /月
○ 再生可能エネルギーの導入に伴い、賦課金総額、家計負担や、電力多消費産業への減免のた
めの国費投入の額は増え続けている。
賦課金総額、予算額の推移
-167-
風力発電
資料Ⅲ-7-4
地熱を有効活⽤した
ハウス栽培事業
・資源開発調査事業(27要求 90億円)
・技術開発事業 (27要求 29億円)
・地熱の有効利用(熱水活用のハウス栽培等)に係る取組
を支援し、地域での理解促進に取り組む。
(27要求 28.0億円)
地熱発電
離島等での活⽤を想定した⾼信頼性シリ
コン電池の洋上実証
⻑崎県五島市椛島沖
2,000kW
着定式潮流発電
⽔中浮遊式海流発電
・水槽試験等の結果を踏まえ、有望な発電システムにつ
いて、実海域での実証研究を実施。
(27要求 27.5億円)
海洋エネルギー発電
千葉県銚⼦沖
・太陽光発電多様化実証事業(27要求 18億円)
・国内で初めて沖合に設置した銚子沖や北九州市
ビル壁面や農地、離島などの未利用地の開拓を目指し 沖の着床式の風車では各種データを取得中。(経
た実証事業を実施等。
済産業省 27要求79億円)
・高性能・高信頼性太陽光
・長崎県五島市沖では2000kWの商用スケール実
発電の発電コスト低減。
証機を設置。 (環境省・27要求17.7億円)
技術開発(27要求 51億円)
太陽光発電
再生可能エネルギーの取組強化
-168-
2,064億円(1,565億円)
家庭・オフィス、運輸部門での省エネルギー対策の強化
626億円(467億円)
 先進技術を利用した省エネ型自然冷媒機器等普及促進事業
78億円(50億円)
 CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業
70億円(48億円)等
環境省
 住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金
150億円(76億円)
 定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業
70億円(新規)
 クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金
300億円(300億円)
 省エネルギー型ロジスティクス等推進事業費補助金 53億円(50億円)
 次世代物流システム構築事業費補助金
13億円(3億円) 等
②
 エネルギー使用合理化等事業者支援補助金
750億円(410億円)
 省エネルギー対策導入促進事業費補助金
11億円(6億円)
 エネルギー使用合理化特定設備等導入促進事業費補助金
35億円(24億円)
 省エネルギー型建設機械導入補助金
20億円(18億円) 等
①産業部門での先端的な省エネ設備の導入・中小企業による省エネ
投資の支援強化
854億円(501億円)
経済産業省
資料Ⅲ-7-5
最新型ターボ冷凍機
トップレベル省エネ建築物
燃料電池自動車
電気自動車
プラグイン
ハイブリッド自動車
○クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金
・ 電気自動車や燃料電池自動車等の次世代自動車の導入
を補助
※ゼロ・エネルギー・ハウス/ビル:年間の1次エネルギー消費量がネットでゼロ。
ゼロ・エネルギー・ハウス
○住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費
補助金
・ZEHの導入や、ZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築
物の設置に対する補助
高効率コンプレッサー
○エネルギー使用合理化等事業者支援補助金
・ 工場・事業場における高効率設備への入替や既存設備の
省エネ改修に必要な費用の補助
省エネルギー予算の全体像(27年度要求)
事故があった
原発への対応
-169-
事故の被災者への対応
復興事業
中間貯蔵施設
受入対応 (約0.3兆円)
設置 (約1.1兆円)
(約2.5 兆円)
実 施
実 施
実 施
1兆円増資
交付国債9兆円
1兆円融資
(政府保証4兆円)
金融機関
除染
実 施
東
被害者賠償
(2兆円超)
実 施
国
廃炉
汚染水対策
技術的
難易度が
高い対策
25予備費:206億円
25補正 :479億円
事後的なお金の流れ
実施主体
お金の流れ
資料Ⅲ-7-6
・23~27年度
・25兆円の財源を確保
復興財源フレーム
・電促税財源(エネ特)
・原賠・廃炉機構保有の東電
株売却益
・長期的に、原子力事業者の
負担金等で回収
一般負担金 (原子力事業者)
特別負担金 (東電)
福島第一原発事故に伴う諸課題への対応状況
賠償支援スキーム
国
原子力賠償・
廃炉機構
電
求償対応
国(
復興特会 等)
-170-
資料Ⅲ-7-7
500
0
550
600
650
700
750
800
850
900
860
東
日
本
大
震
災
23年度
815
24年度
789
25年度
817
35.5
26年度
837
35.5
27年度要求
834
35.5
福島原子力事故影響対策特別交付金
運転開始後5年以降も交付されるもの
※ 着工後~5年間までの初期段階で支払われる交付金については、震災以降、新規立地が行われていないこと等から減少の傾向にある。
22年度
(単位:億円)
○ 電源立地地域対策交付金は、発電用施設の設置・運転の円滑化に資することを目的として発電
量等に応じて交付されるものであるが、福島第一原発の事故後も、金額は横ばいで維持されてい
る。
電源立地地域対策交付金(運転開始5年以降のもの)及び福島原子力事故影響対策特別交付金の推移
-171-
セーフティネット保証
(100%保証)
の負担割合
保証料
回収金
代位弁済
損失補償
8%
協会負担
12%
民間金融機関 20%
融資額の20%
保証料率
・一般保証=1.15%(平均)
・セーフティネット保証
=0.7~1.0%
協会負担 16%
融資額の100%を保証
保険金 (日本公庫) 80%
64%
融資額の80%を保証
保険料率
・一般保証=0.97%(平均)
・セーフティネット保証
=0.41%
信用保証協会
(
51協会)
保険金 (日本政策金融公庫)
日本公庫
(
中小企業事業)
保険料
(回収金の概ね8割を納付)
回収金
(保証額の概ね8割を填補)
保険金
保険契約
保証契約
融資
(事業
規模)
一般保証
(80%保証)
の負担割合
予算措置
(出資金)
国
予算措置
(補助金<損失補償>)
民間金融機関
負担0%
資料Ⅲ-8-1
○ 民間金融機関の中小企業への融資リスクを、信用保証協会及び日本公庫が分担。
中小企業信用補完制度の概要
民間金融
機関
中小企業
-172-
1998年度以降の予算投入額(累計)
信用保険等
8兆1,858億円
中小企業事業(融資) 1兆3,715億円
国民生活事業
1兆1,844億円
○ 中小企業資金繰り支援に関しては、1990年代末以降、累次の政策対応を講じる
下で、信用補完制度を中心に巨額の予算を措置。
中小企業資金繰り支援に関する予算措置の推移
資料Ⅲ-8-2
-173-
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
▲10.4%
11,687
5,502
▲1.3%
▲7.4%
▲2.0% ▲0.7%
▲7.9%
▲4.0%
▲4.0%
▲4.0%
▲3.8%
▲3.4%
▲4.8%
▲5.8%
▲10.3%
0.2%
▲0.2%
▲3.0%
(H元)
(H05)
(H10)
(H20)
(H25)
10,000
15,000
2005
14,493
2006
16,247
2007
14,785
2008… 2009
15,725
17,709
2010
2011
18,037 18,128
主要国のODA実績(グロス)の推移
2003… 2004
15,754
ODA事業量見込みの推移
15,246
(億円)
20,000
(年度)
85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
(億円)
一般会計ODA予算の推移 (当初)
ODA予算とODA事業量
2012
18,518
フランス
ドイツ
英 国
日 本
米 国
(暦年)
19,375
2013… 2014
18,829
資料Ⅲ-9-1
-174-
-15.0
-10.0
ドイツ
韓国
0.0
0.00
イタリア
0.40
財政収支対GDP比(%)
-5.0
米国
カナダ
フランス
オランダ
5.0
ルクセンブルク
(出所)OECD DAC
(注)DACには、先進国28か国が加盟(2014年10月時点)
-20.0
スロベニア
日本
アイルランド
英国
0.80
デンマーク
スウェーデン
1.20
10.0
15.0
ノルウェー
0.2 0.55
‐7.0 0.45
2.0 0.37
‐7.1 0.16
‐3.2 0.22
ODA(ネット)対GNI比(左軸)
‐5.0 0.23
‐1.6 0.19
‐2.8 0.16
‐6.8 0.16
‐12.7 0.13
‐2.1 0.17
財政収支対GDP比(右軸)
参(考
)
ギリシャ
イタリア
ポルトガル
スペイン
アイルランド
‐9.3 0.23
(出所)OECD DAC
(注)棒グラフの左側が2007年、右側が2013年の値
(注)日本の2013年のODA(ネット)対GNI比はミャンマー債務救済分を除くと0.19%
‐1.00
‐0.50
0.00
0.50
1.00
財政収支とODA(ネット)対GNI比の比較(2007年→2013年)
財政事情とODA
DAC加盟国:財政収支とODA事業量(ネット)の対GNI比(2013年)
ODA対GNI比(%)
‐15.0
‐10.0
‐5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
(%)
資料Ⅲ-9-2
日本
-175-
また、島嶼国を始め、ある程度成長しても、各種の脆弱
性や開発課題を抱える国々は存在する。資源国や中所得
国の罠に苦しむ国もある。これらを踏まえれば、所得水準
等の基準を機械的に適用することをせず、それらの国々
の開発ニーズにできるだけ広く、きめ細やかに対処してい
くことは重要であり、また我が国の外交政策上も有意義で
ある。よって、中進国や中進国を超える国(卒業移行国)、
更にはODA卒業国も含めて協力の対象国を拡大し、失業
率が高い若者の雇用拡大に向けた職業教育等の技術協
力、共同開発や産品の高付加価値化協力、生産性や技術
革新能力の向上への協力等を実施し、日本外交の地平を
広げていくことを提案する。
2.新大綱の方向性
イ 地域別方針・アプローチ
(2) 開発協力における重点政策(重点課題、地域別方針・
アプローチ)
◆ODA大綱見直しに関する有識者懇談会 報告書
[平成26年6月] (抜粋)
卒業国
区分
後発開発途上国(LDCs)
LDCsでない低所得国
低中所得国
高中所得国
US$1,005以下
一人当たりGNI
該当国(例)
アフガニスタン、バングラデシュ
ケニア、タジキスタン
イラク、ウクライナ、ベトナム
アンティグア・バーブーダ、トルコ
トリニダード・トバゴ、サウジアラビ
ア、UAE
➢これまで、サウジアラビアやオマーンといった中東湾岸諸国に対し、水資源管理
や省エネ分野、廃棄物管理分野で、日本での研修や現地への日本人専門家の派
遣等を実施。
➢ODA卒業国を対象とした有償での専門家派遣や研修生受入。
US$12,276以上
US$1,006以上US$3,975以下
US$3,976以上US$12,275以下
◆コストシェア技術協力について
(出所)OECD DAC
対
象
外
O
D
A
対
象
国
◆ODA卒業国とは
OECDの開発援助委員会(DAC)では、一人当たりGNIが12,275ドル以下の国を援
助受取国のリストに掲載。これらの国に対する開発援助のための公的資金が
「ODA」として定義されている。
「ODA卒業国」とは、所得がこの水準を上回る国を指す。
ODA卒業国支援
資料Ⅲ-9-3
-176(出所)OECD DAC
る必要性を支持することで一致。
途上国の資金フローにおいて,伝統的ODA以外の資金の割合が増大していることに鑑み,現行よりも幅広く開発関連資金を捕捉す
(3)2015年以降の開発に関連する資金の捕捉について
[平成24年12月4日、5日](抜粋)
日本の途上国向け資金(グロス)の推移
第48回経済協力開発機構開発援助委員会(OECD・DAC)閣僚級会合
(出所)OECD DAC、World Bank
先進国から途上国への資金フロー(名目値)
民間資金の重要性
資料Ⅲ-9-4
-177-
外務省の概算要求資料
資料Ⅲ-9-5
- 世界の主要拠点で日本関連講座を支援
- 在外公館長による機動的な政策広報活動の強化
- 日米インターンシップ制度の構築,若手研究者の米国派遣・研究支
援(日米首脳会談の合意事項)
◆ 日本研究支援
- 対象地域・人材は抜本的に拡大しつつ,親日派・知日派発掘・育成
に焦点を絞った新たな枠組み構築等
◆ 日本語教育拠点の抜本的拡充
◆ 親日派・知日派育成のための交流拡充
3 親日派・知日派の育成
◆ 国際放送の強化
- 情報通信ネットワーク更新,SNS,HP多言語化,ODA広報
◆ 女性シンポジウム(「女性版ダボス会議」の年次開催)
◆ IT広報の強化
- 国際問題研究所等の外交シンクタンク強化のための補助金増額
◆ ジャパン・ハウス施設関連経費
◆ 日本関連の国際世論の分析と対外発信力を抜本的に
強化
◆ 国内シンクタンクを抜本的に強化
- “相手に響く発信”のため,在外公館長の対外発信を補佐・強化
するための現地専門家の活用を含む人的体制の強化等
◆ 在外公館長の発信力強化
4 在外公館長・在外公館による発信の更なる強化
- 在外公館における外部知見を利用した日本企業支援サービス
◆ 在外公館における進出日本企業支援
- 日本ブランドの発信
・機動的な日本ブランド・在外公館文化事業(含:和食・公邸料理人活用)
・地方自治体・中小企業の海外展開支援
・日本方式・技術(防災,省エネ等)の国際展開支援
- 日本の映像コンテンツの海外展開支援
- 地方(被災地)連携による風評被害対策
◆ 日本の多様な魅力の売り込み(ODAも有効に活用)
- 全世界的に日本への共感を呼び起こすイベントを年次開催
◆ 日本祭り
- 主要都市における広報文化外交拠点の創設
2 日本の多様な魅力の更なる発信
1 日本の「正しい姿」の発信
主な事業内容
・ 領土保全,歴史認識等の重要課題について,対外発信を抜本的に強化し,国際社会の正しい理解を獲得。
・ 伝統芸能やクールジャパンを含む日本の多様な魅力を発信( ソフトパワーの抜本的強化)。
・ 親日派・知日派を育成し外交環境の改善を推進。「対外発信の最前線」である在外公館の人脈や知見といった
「強み」も活かした発信を強化。
◎ 在外公館(長)を中心に,「ジャパン・ハウス」をフルに活用しつつ,従来の取組に加えオールジャパ
ンで以下の施策を強力に推進。
目 的
戦略的対外発信
-178-
H18年
117
H20年
-4.8
-1.3
-2.1
-1.9
-8.8
H21年
ミクロネシア、ボスニア・ヘルツエゴビナ、
リトアニア、ボツワナ、マリ、マラウイ
H19年
133
パラオ、エストニア、
キルギス、ベナン、ルワンダ
133
ジブチ
134
-8.3
H22年
-8.8
H23年
トンガ、グルジア、ラトビア、ブルキナファソ、モーリタニア
128
< 財 政 収 支 (対GDP比、%)>
H17年
117
123
(出所)OECD「Economic Outlook 」より
-12.0
-10.0
-8.0
-6.0
-4.0
-2.0
0.0
115
120
125
130
135
140
145
<大使館の数>
在外公館
-8.7
H24年
134
-9.3
H25年
アイスランド、
南スーダン
136
-8.4
H26年
マーシャル、
アルメニア、
ナミビア
139
資料Ⅲ-9-6
-179-
大使館が設置されている国
(約65.4兆円 )
約6 5.7兆円
大使館が設置されていない国(約0.4兆円)
<我が国からの輸出>
大使館が設置されている国
(約124.0万人)
約124.1万人
大使館が設置されていない国(約0.1万人)
<在留邦人数>
(注1)大使館が設置されている国(139カ国)には、平成26年度新設公館3
公館(マーシャル、アルメニア、ナミビア)を含む。
(注2)在留邦人数、日系企業数については「海外在留邦人数調査統計(平成
25年10月1日現在)、輸出入については「財務省貿易統計(平成25年度分)。
大使館が設置されてい
る国(139カ国)
194カ国
大使館が設置されて
いな い国(55カ国)
(※平成26.1.1現在)
<日本が国家承認している国>
在外公館
大使館が設置されている国
(約78.7兆円)
約7 8.9兆円
大使館が設置されていない国(約0.3兆円)
<我が国への輸出>
大使館が設置されている国
(約6万社)
約6万社
大使館が設置されていない国(70社)
<日系企業数>
資料Ⅲ-9-7
-180-
60
80
100
120
140
160
180
200
220
240
260
280
公共事業関係費
防衛関係費
(注1)当初予算ベース
(注2)地方交付税交付金等については、平成10年度までは地方交付税交付金のみ。平成11年度以降は地方特例交付金も含む。
地方交付税交付金等
文教および科学振興費
社会保障関係費
96 106 105 117 263 ○ 冷戦終結時期であり、一般会計税収額が最高額(60.1兆円)となった平成2年度を基準に取ると、社会保
障関係費を除く主要な経費の中で防衛関係費の水準は最も安定的に維持・確保されている。
○ 一方、例えば、公共事業関係費については、平成一桁年度に大幅増となるものの、平成13年度以降、急
減するなど、振幅が大きくなっている。
一般会計の主要な経費の規模の推移(平成2年度(1990年度)を100とした場合) 資料Ⅲ-10-1
-181-
財政上の制約
周辺国等
との安全
保障対話
日米安全
保障体制
我が国の国力・経済力の維持、財政の健全化
防衛関係費
外交政策
我が国の防衛予算を巡る環境
我が国を
取り巻く
安全保障
環境
資料Ⅲ-10-2
-182-
資料Ⅲ-10-3
人材育成
装備品等の維持整備費
付属する機器・装置
・システム等の取得
主要装備品
の取得・建造
等
※ 耐用年数を30年と仮定
・機体修理費
・エンジンオーバーホール費
等
維持整備費:約177億円
・弾薬
・フライトシュミレーター
附属機器等:約48億円
平均取得単価:約122億円
(例)F – 2の場合
○ 防衛装備品に係る経費については、氷山のような構造。
○ 最上部の主要装備品の取得・建造のみに焦点が当たりがちだが、それには下部の多額の経費
が付随していることに十分な留意が必要。
防衛装備品を巡る経費の構造
-183-
資料Ⅲ-10-4
平成26年
5,339
49,412
49,287
49,198
7,720
49,215
49,392
49,262
48,760
48,297
7,630
8,211億円
87%増↓
14%減↓
6,513
4,400 億円
8,835億円
46,453
6,970
47,838
8,237 8,211
8,835
46,804
6,268
7,803 7,786
1兆207 億円
6,837
7,923
46,826
46,625
整備維持経費
6,972
7,755
7,141 7,562 7,575 7,533
7,310 7,436
7,256
7,180
7,998
47,426
47,028
主要装備品等契約額
6,790 6,837 6,829
7,660
8,010
47,903
47,815
防衛関係費 (億円)
装備品等の整備維持経費 (億円)
49,385
7,670
6,642 6,610
7,965
6,477
7,980
6,794
8,410
6,600
8,352
6,372
8,250
6,184
8,820
5,737
8,800
47,234
46,404 46,833
48,452
主要装備品等契約額 (億円)
※ 「主要装備品等契約額」とは主として直接戦闘に使用する火器・戦車・戦闘機・護衛艦などの装備品調達に係る契約のための経費、「整備維持経
費」とは装備品の修理や消耗品の代価及び役務費などに係る契約のための経費を示す。
4,400
45,516
8,650
4,908
43,858
8,985
4,769
41,592
10,727
39,196
10,207
平成元年
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
10,000
11,000
15,000
25,000
35,000
45,000
55,000
○ 装備品の契約額と整備維持経費が逆転する事象が生じており、防衛予算の硬直化が進んでいる。
防衛装備品の整備維持経費の増加
-184-
資料Ⅲ-10-5
防衛省
作成資料から
時点修正・一部加工
81億円
331億円
250億円
-
-
660億円
660億円
維持・整備方法の見直し
(ロジスティクスの改革)
装備品のまとめ買い
民生品の使用・仕様の見直し
長期契約制度の導入
PM/IPT制度の導入
国際共同開発・生産の推進
単年度計
累
計
26年度
施策の例
2,110億円
1,450億円
-
403億円
435億円
278億円
333億円
27年度要求
29年度
30年度
達成率
30.1%
7,000億円
⇒調達効率化施策の
更なる加速化が必要
3年度間の要効率化額4,890億円
(単年度あたり1,630億円)
28年度
Ⅵ 所要経費
1 この計画の実施に必要な防衛力整備の水準に係る金額は、平成25年度価格でおおむね24兆6,700億円
程度を目途とする。
2 本計画期間中、国の他の諸施策との調和を図りつつ、調達改革等を通じ、一層の効率化・合理化を徹底した
防衛力整備に努め、おおむね7,000億円程度の実質的な財源の確保を図り、本計画の下で実施される各年
度の予算の編成に伴う防衛関係費は、おおむね23兆9,700億円程度の枠内とする。
3 この計画については、3年後には、その時点における国際情勢、情報通信技術を始めとする技術的水準の
動向、財政事情等内外諸情勢を勘案し、必要に応じ見直しを行う。
中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)
○ 26年中期防では、調達改革等を通じて5年間で7,000億円程度の実質的な財源確保を図るとさ
れている。これを達成するためには、調達効率化施策の更なる加速化が不可欠な状況。
26年中期防の期間中における調達改革について
-185-
資料Ⅲ-10-6
124.0(H20)
146.7(H24)
130.7(H21)
P-1哨戒機(海)
F-35A戦闘機(空)
C-2輸送機(空)
166.8
149.2
171.7
10.1
機体単価
36.1(27.6%)
2.5(1.7%)
47.7(38.5%)
1.3(14.8%)
増減
(改訂)H26.3見積り①
LCC見積り改
訂時の機体
取得単価は
上昇傾向
166.0
159.9
168.4
10.3
H27要求単価
(億円)②
▲0.8(▲0.5%)
10.7(7.2%)
▲3.3(▲1.9%)
0.2(2.0%)
H27要求とH26.3見
積りとの乖離額
(億円)
(②-①)
事業実施段階
(※)LCC管理年次報告書:装備施設本部が、毎年度、概算要求提出後に、対象装備品のライフサイクルコストの見積りと実績値との比較及び分析評価
等を防衛大臣へ報告し、公表(平成20年度から開始)。
(※)機体取得単価及び要求単価は、初度費及び補用品に係る経費は含まれない(含んだ単価は、P-1:192億円、F-35A:190億円、C-2:201億円)。
(※)C-2について、②は26決定単価。
8.8(H21)
当初
見積り
10式戦車(陸)
装備品
LCC管理年次報告書から算出される
機体取得単価(億円)
LCC見積り段階
LCC見積りの精緻化や事業計画の精査が必要と思われる事例
(※)米国では、装備品のコストが上振れた場合、議会に対して理由説明や事業停止の可能性を含む承認要請といった対応が必要。
○ 事業計画等の見直し検討制度の整備について
・ プロジェクト管理の実効性を確保するため、LCC見積りから実績が上振れた場合には、乖離是正
の具体的方策について明らかにし、それらの施策を講じてもなお上振れる場合には、米国の例(※)
も参考に、プロジェクトの打ち切りも含めた見直しを義務付ける仕組を導入すべきではないか。
○ ライフサイクルコスト(LCC)見積りの精緻化について
・ 当初のLCCを精緻に見積もる手法を確立し、事後の見積りにおいて、当初見積りとの乖離が生
じた場合に、その原因を明らかにすることは有益。
プロジェクト管理の強化について
-186-
平成26年12月25日
財政制度等審議会
平成27年度予算の編成等に関する建議(概要)
( 参考2 )
-187-
-188-
○ 財政運営に対する市場の信認と国際的な評価を維持するため、来年夏までに2020年度までの国・地方のPB黒字化の達成に向けた信頼に足る具体的な財政計画
を明らかにし、その達成に向けて、29年4月には消費税率を確実に引き上げなければならない。
○ 来夏の財政健全化計画に向けて
(1)消費税率引上げ延期と財政健全化目標
○ 消費税率引上げ延期により、2015年度の国・地方のPB赤字対GDP比の半減目標の達成は相当厳しいものとなるが、徹底的な歳出削減や歳入確保により、当該
目標を確実に達成しなければならない。
○ 消費税増収分等を活用するとされている社会保障の充実策の見直しは避けられず、27年度及び28年度において優先順位付けが必要。
(2)経済対策と26年度補正予算編成
○ 27年度が国・地方のPB赤字対GDP比の半減目標年次であることを踏まえ、経済対策及び26年度補正予算の規模や各事業内容について厳しく精査するとともに、
今後の人口減少を踏まえた中長期の見通しや計画と整合的なものとする必要。
(3)「まち・ひと・しごと創生」
○ バラマキ型の対応ではなく、既存の補助金の統廃合等による財源確保、明確なアウトカム指標を用いた政策目標の設定、厳格な効果検証の実施が必要。
(4)基金の適正化
○ 毎年度のPDCAサイクルを確立していく必要。基金によることが適当と考え得る事業を除いて、予算措置を厳しく抑制し、不要額の国庫返納に努めるべき。
○ 27年度予算編成の課題
(1)持続可能な社会保障制度の構築
○ 社会保障については、給付と負担の両面における改革を通じ将来世代に負担を先送りしない持続可能な社会保障制度を構築する。
(2)人口減少社会における行政サービスと歳出の在り方
○ 社会保障以外については、今後の人口減少社会を見据えた行政サービスの見直しと歳出の効率化を通じて出来る限り抑制する。
○ 財政健全化に向けた基本的考え方
Ⅱ.財政健全化に向けた基本的考え方と具体的取組み
(1)社会保障給付費と公債負担の問題点
○ 我が国の社会保障制度は社会保険方式であるものの、公費負担に相当程度依存。赤字国債発行を通じた公費負担が世代間不公平をもたらし、自助を前提とす
る社会保険制度の意義を損なっている。また、現世代の過少な負担が、社会保障サービスの過剰需要やサービス提供者の非効率性を助長。
(2)地方交付税制度の問題点
○ 現行の地方交付税制度は、地域住民の受益を国民全体で負担する仕組み。国が赤字国債を発行して地方への財源補填を行い、受益と負担の対応関係が希薄
なため、地方公共団体に財政規律が働きにくい。その結果、国のPBが赤字である一方、地方のPBが黒字というアンバランスな姿。
○ 社会保障や地域の行政サービスを享受する現世代が応分の負担をせず、国債発行を通じて将来世代へ負担を先送りし続けてきたことが財政悪化の原因。
○ 財政悪化の背景と問題点
Ⅰ.我が国財政の現状と課題
-189-
○ 消費税収及び現役世代の保険料でその多くの財源を賄う後期高齢者医療費及び介護給付費は、2025年に向けて年平均+6%増える見込み。このいわゆる「自然
増」のうち、財源面から受け止められるのは、高成長が中長期にわたって継続した場合においても、高齢者人口の伸びによる増(年+3%)までで、少なくともその他の高
度化等による増(年+3%)については、制度の持続可能性確保のため改革の対象とする必要。
○ 改革は、以下の3つの柱の下で、全体像を示しながら取り組む必要。
① 過剰な急性期病床の削減や平均在院日数の短縮など医療介護提供体制の改革、収支差等を踏まえた報酬の抑制や薬価引下げ等の単価の伸びの抑制、後発医
薬品の使用促進などの保険給付の範囲の見直し・重点化などの徹底した合理化・効率化
② 年齢や制度で区分せず、経済力に応じた公平な負担の確保(高齢者の負担の見直し等)
③ ①、②の取組みを行った上で、真に必要な政策課題への対応については財源を確保して実施
〔医療〕
○ 医療提供体制の改革(高コスト構造を転換しつつ、医療の質を確保)
・ 地域医療構想ガイドラインにおいて不合理な地域差を解消した医療提供体制の姿を示す
・ 医療費適正化計画において地域医療構想と整合的な医療費の水準に関する目標等を設定する
・ 国民健康保険制度の運営に係る責任・権限を適切に都道府県に移行する
・ 医療介護総合確保基金の配分などの財政支援は病床の機能分化・連携の努力を促すものとする
○ 保険給付の範囲の抜本的見直し
・ 後発医薬品の目標の再設定と保険者機能を活用した更なる使用促進策
・ 後発医薬品が存在する先発医薬品について保険給付額を後発医薬品の価格に基づいて設定する患者インセンティブ制度の検討
・ リスクの大きさや医療技術のQOL等への影響に応じた患者負担の在り方の検討
○ 年齢・制度ではなく、経済力に応じた公平な負担
・ 後期高齢者医療の保険料特例軽減措置の廃止、後期高齢者の自己負担の在り方や高額療養費を別建てとすることの是非の検討
・ 後期高齢者支援金の全面総報酬割への移行、協会けんぽの国庫補助率のリーマン・ショック前水準(13%)への引下げ、所得水準の高い国保組合への国庫補助
の原則廃止
〔介護〕
○ 介護報酬については、消費税財源を活用して介護職員の処遇改善加算措置の拡充等を行う一方で、サービス類型毎の収支状況を適切に反映させ、直近の平均収
支差率(+8%程度)を一般の中小企業並みの水準(+2~3%)とするよう、少なくとも▲6%程度の適正化を図るべき。
○ 社会福祉法人の公費等を原資とした内部留保については、公費等を充てて現に実施している事業に対して適正に再投資することを基本とし、他の事業に充てられて
消費されることのないようにする。また、必要に応じ、内部留保の国庫返納を検討。
〔子育て〕
○ 社会全体でその費用を賄う観点から、更なる充実が必要な保育の現物給付(例えば保育所運営費)に一定の事業主負担の導入を検討。
〔年金〕
○ 将来の年金給付水準の確保、世代間の公平性の観点から、マクロ経済スライドによる自動調整については、名目下限を速やかに撤廃すべき。また、高齢期の就労と
年金受給のバランスの観点から、支給開始年齢の更なる引上げは不可避。
〔生活保護〕
○ 住宅扶助は一般低所得世帯との均衡が図られる水準まで特別基準額を引き下げる必要。冬季加算は冬季割増額に係る消費実態を踏まえた引下げを行う必要。医療
扶助費は後発医薬品のある長期収載医薬品について先発医薬品ではなく後発医薬品をベースにして医療扶助の基準を設定することを検討。
〔障害福祉〕
○ 障害福祉サービス等の報酬について、介護報酬改定と同様の考え方に立って、更なる処遇改善等を進めつつ、報酬水準の適正化を図る。
1.社会保障
Ⅲ.27年度予算編成における具体的取組み
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○ 今後、費用の増加が見込まれる社会資本の老朽化対策に対しては、社会資本の管理主体は、それぞれの経済社会の構造的変化を踏まえたインフラ長寿命化計
画(行動計画)を速やかに策定し、これに基づく計画的かつ効率的な老朽化対策を推進すべき。
○ 老朽化対策費用は、計画的・効率的な取組みを進めたとしても、なお増加する可能性があるが、新規投資についてはこれまで以上に厳選するとともに、民間活力
等の導入により一層の効率化を進めることで、公共事業関係費の全体規模の抑制を図っていくべき。
○ 将来、建設業の就業者数は大幅に減少する可能性が高く、こうした厳しい見通しを踏まえた現実的な対応を検討する必要。
○ 今後のコンパクトシティ化の推進に際しては、都市計画や建築に係る規制や税制の見直し、国公有資産の最適利用の推進など、各種のツールを総動員する必要。
また、社会資本整備交付金については、地方公共団体の裁量性は維持しつつも、地域の将来を見据えた計画的・効率的な取組みを行う地方公共団体を支援するも
のへと見直す必要。
○ 防災・減災対策については、地方公共団体と地域住民の協働によるソフト対策を重視するとともに、必要なハード整備は優先順位を付けながら取組みを進める必要。
5.公共事業
・ 基礎研究分野では、研究成果が見込まれる分野への重点化及び設備の共用化を進めるとともに、研究開発法人のガバナンス強化・調達改革を総点検し、徹底する。
・ 産業化やベンチャー創出につなげる分野では、原則研究開始後2年ごとに評価しプロジェクト数を絞ることをルール化するとともに、大規模プロジェクトについては要求段階におけ
る全体の資金計画の明確化や財源調達の考え方の整理をする仕組みを作る。
○ 財政資金の量的拡大ではなく、「質」を向上しながら、研究開発の成果を最大化していく。
4.科学技術
○ 国立大学改革を着実に推進するため、学長のリーダーシップ・適切なガバナンス体制の下で、多様な資金調達手段を確立するほか授業料の引上げについても積
極的に検討すべき。また、大学の自主的な改革の取組みを促すため、従前の一般運営費交付金の配分方法を見直し、各大学の取組み成果に応じ競争性の高いメ
リハリの利いた配分方式とすることを検討すべき。
○ 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に要する費用は、寄付も含めた多様な財源により社会全体で負担していくことが重要。選手強化事業についてはPDCA
サイクルを確立し真に効果のある施策に重点化するとともに、民間資金の獲得も進め、施設整備についてはインフラとしての中長期的な必要性・妥当性の検討を行う。
・ 少子化が進展する中で、加配定数について合理化が必要。その際、地方における加配定数の活用の自由度を高めることで、政策効果を高めていくことも検討すべき。
・ 少人数学級については、客観的・具体的な効果検証が必要。学級規模の問題は、担任外教員が既に多数存在するなど、教員の配置政策の問題という側面がある。
・ 未実施となっている教員給与の優遇分縮減方針について、早急に遵守して義務教育費国庫負担金に反映すべき。
・ 教員が児童生徒に向き合う時間を確保するため、業務の合理化・外部化、外部専門人材の活用、教員一人一人の能力の向上といった、事務作業等の時間短縮に向けた取組みを
進めるべき。学校規模の適正化に向けた取組みを進めるべき。
○ 国際比較等から浮かび上がる日本の義務教育予算の課題は、量の増大ではなく、質・配分の改善。外部専門人材の活用等、より費用対効果の高い施策に予算を
重点化すると同時に、教職員人件費については、教職員定数、給与水準の両面で効率化を進めるべき。
3.教育・スポーツ
○ 我が国の地方財政制度は、地方の収支不足が確実に補填される仕組みとなっているため、地方公共団体が歳出抑制や歳入確保に取り組むインセンティブを損
なっていると一般的に指摘されている。地方財政計画上の歳出・歳入の水準を適正なものとしていくことこそが、国・地方を通じた財政健全化のために最も重要。
○ 経済再生の進展を踏まえ、リーマン・ショック後の危機対応モードから平時モードへ切り替えるべきであり、歳出特別枠や別枠加算は廃止又は大幅に縮小すべき。
○ 財政力のある不交付団体の財源超過額を縮減し、財政力の弱い交付団体の安定財源を確保していくため、地方法人課税の偏在是正措置を講じることが必要。
○ 地方財政計画上の歳出・歳入の水準を適正なものとするため、一般行政経費単独事業、給与関係経費の適正化・効率化、地方税収の適切な見積り等に取り組む
必要。
○ 公債費については、今後、減少していくことが見込まれるが、国・地方の財政健全化の観点からは、その減少分は他の歳出の増に充てるのではなく、確実に地方
歳出の減につなげるべき。
2.地方財政
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○ 氷山のような構造の防衛装備品に係る経費の特性を踏まえ、 その調達等については、必要性や効率性の余地について十分に検討し、昨年策定された中期防衛
力整備計画の下、過度な調達に走ることなく、持続的な防衛力整備が可能な水準で対応すべき。
○ 在日米軍再編事業や基地対策の経費についても、実効的な基地負担軽減が図れるよう、不断の検証を行っていくことが重要。
○ 限られた予算の中で、効率的な防衛力整備を行うためには、陸・海・空の各自衛隊の経費等について、その配分を含め、統合的な見地からの優先順位の検討等
を行うとともに、調達改革といった中長期的な改革への不断の取組みも重要。
10.防衛
○ 財政健全化に向けた取組みの一環として、引き続き、ODA予算を厳しく抑制することが必要。また、民間資金を動員する取組みを強化することや、国際機関向け拠
出金の優先度を厳格に評価をした上で、拠出の停止・拠出額の圧縮などを実施する努力も重要。
○ 戦略的対外発信については、他省庁等の同種の事業・業務や民間の活動との重複を排除しつつ、効果の高い施策に絞って、重点的・効率的に実施していくべき。
ジャパン・ハウスは、必要性を厳しく検証すべき。
○ 在外公館の新設を図る際には、個々の公館の必要性を厳しく精査するとともに、既存公館についても見直しを進めていくべき。
9.外交関係
○ 信用補完制度については、中長期的に持続可能な制度運営を確保するため、民業補完機能の発揮・財政負担の軽減に向けて、不断に制度の見直しを行う必要。
その際には、金融機関が目利き・経営支援機能を発揮するインセンティブを高めること、関係主体に対して適切な規律付けがなされることが重要。
8.中小企業
○ あらゆる面で優れたエネルギー源はないという前提に立ち、それぞれの特性を踏まえ、現実的かつバランスの取れたベストミックスを、客観的なデータに基づき早
急に決定する必要。
○ 再生可能エネルギー予算については、総花的になることを避け、それぞれの可能性やコスト・ベネフィットに着目した「選択と集中」を行って絞り込んでいく。その際、
買取価格や減免措置について、国民負担が過大とならないよう見直していく。
○ 省エネルギー予算については、補助金などによるサポートは効率的・効果的なものに限定していき、規制的手法との組み合わせで効率的・効果的に実施していく。
○ 廃炉・汚染水対策については、引き続き、技術的難易度が高く、技術を確立させる上で、他の産業へ波及するものに対して国費を投入する。また、廃炉を決定した
原発については、電源立地地域対策交付金の支給を停止していく。
7.エネルギー・環境
○ 食料安全保障の観点からは、消費者の選好に大きく左右される「食料自給率」よりも、仮に海外からの輸入が途絶したような有事の場合に、生産転換などにより、潜
在的にどれだけの食料を国民に提供できるかを示した概念である「食料自給力」の視点を重視していくべき。
○ 水田の供給力過剰や将来の人口動態、地域のニーズを勘案すれば、安定した生産活動の確保や生産面の体質強化を図りつつ、農地転用規制なども含め、農地
総量確保の在り方を見直す余地がある。
○ 将来の担い手となる世代の参入意欲を高めるためには、政策や流通の構造が、需要に応じた生産や、農家の収入拡大、生産コスト削減の取組みを阻害すること
のないようにする必要。
・ 所得向上に向けた自律的な経営努力を促進していくため、転作助成の在り方を検討していく。
・ 農協改革等を通じて、買取販売の拡大や単位農協の自由な経営判断の確保を進めるなど、流通の多様化を図っていく。
・ 借り手と貸し手のミスマッチの解消や成功事例の横展開などを推進するとともに、農地集積を促進する手段として税制を含めて検討するなど、農地集積の実効性を
向上させていく。
6.農林水産