中空および中実球状多孔質金属 酸化物ナノ粒子の大量高速合成法

中空および中実球状多孔質金属
酸化物ナノ粒子の大量高速合成法
高知工科大学
環境理工学群
教授 小廣
和哉
本提案の概要
球状多孔質金属酸化物ナノ粒子の迅速大量合成
金属酸化物
中実粒子
SiO2, TiO2, ZnO, ZrO2, CeO2
中空粒子
TiO2
Au‐Pt‐Pd合金@TiO2
CeO2‐ZrO2
入れ子構造
均一分散型
コア‐シェル型
ドメイン型
表面分散型
コア‐シェル型
 中実および中空球状多孔質TiO2ナノ粒子のワンポット・単工程合成
 Au@Pt‐Pd合金@中空球状多孔質TiO2ナノ粒子合成
 均一分散型、ドメイン型、コア‐シェル型球状多孔質CeO2‐ZrO2複合ナノ粒子合成
2
中実球状多孔質TiO2ナノ粒子の合成
ワンポット単工程反応
Ti(OiPr)4
超臨界メタノール
TiO2
300 ºC, 10 min
超臨界メタノール
T > 240 ºC
P > 8.1 MPa
O
Ti
O
O
O
通常の
TiO2ナノ粒子
100 nm
得られたナノ粒子の形状がマリモによく似ていることか
ら,これら一連の多孔質金属酸化物ナノ粒子を
MARIMO (Mesoporously Architected Roundly Integrated
Metal Oxide)と名付けた。
Chem. Lett., 41,2012, 264–266.
3
中実球状多孔質TiO2ナノ粒子のTEM画像
Surface area: 211 m2·g−1
平均粒径:301±160 nm
比表面積:211 m2∙g−1
50 nm
4
中実球状多孔質TiO2ナノ粒子の高分解能TEM画像
5
中実球状多孔質TiO2ナノ粒子のSEM画像
6
中空球状多孔質TiO2ナノ粒子合成
ワンポット単工程反応
Ti(OiPr)4
中空
HCOOH
超臨界メタノール
TiO2
400 ºC, 10 min
比較
Ti(OiPr)4
TiO2
中実
超臨界メタノール
300 ºC, 10 min
Chem. Lett., 41,2012, 264–266.
7
中空球状多孔質TiO2ナノ粒子のTEM画像
8
中空球状多孔質TiO2ナノ粒子のTEM画像
平均粒径:408 nm
比表面積:143 m2∙g−1
50 nm
9
中空球状多孔質TiO2ナノ粒子のSEM画像
10
TiO2ナノ粒子の形態制御
単分散TiO2
中実MARIMO TiO2
超臨界
メタノール
中実MARIMO TiO2
凝集TiO2
中実MARIMO TiO2と
中空MARIMO TiO2
S : 中実MARIMO TiO2
H : 中空MARIMO TiO2
中実MARIMO TiO2と
中空MARIMO TiO2
凝集MARIMO TiO2
凝集MARIMO TiO2
中空MARIMO TiO2
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温度によるTiO2 ナノ粒子の形状制御
中実 MARIMO TiO2
急速加熱: 800 ºC/min
COOH
COOH
100 nm
300 ºC まで
100 nm
400 ºC まで
中空 MARIMO TiO2
COOH
とともにゆっくり加熱
COOH
100 nm
H―COOH
200 nm
200 nm
200 nm
加熱速度 (ºC/min) 10
殻厚 (nm)
120 (27)
5.4
140 (19)
J. Supercrit. Fluids,2013, 78, 124–131.
2.0
281 (95)
12
中空 MARIMO TiO2
13
いろんな MARIMOナノ粒子
ワンポット単工程反応
1 m
500 nm
500 nm
100 nm
SiO2
500 nm
200 nm
ZnO
200 nm
200 nm
nm
200
ZrO2
CeO2
J. Supercrit. Fluids, 2013, 78, 124–131.
14
元素ドープ球状多孔質酸化物ナノ粒子の単純一段階合成
超臨界メタノール
Er3+の電子状態
二光子励起
近赤外
レーザー
(980 nm)
エネルギーレベル
二光子励起によるエネルギー
アップコンバージョン蛍光発光
第二励起準位
h
第一励起準位
基底状態
15
Ce
Er/
O2
MARIMO
Ti
IR LASER irradiation Er/ O2
(980 nm, 10 mW) MARIMO
Ce
Er,Yb/
O2
MARIMO
Zr
Er/ O2
MARIMO
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遺伝子銃用弾丸への応用
MARIMO
遺伝子交換された
細胞のコロニー
高圧Heによる
打込み
プラスミド
Chlamydomonas
reinhardti
(藻類)
遺伝子銃
従来法:
AuまたはWの
ナノ粒子
TiO2:
無毒,安価
Hygromycin B
Phycol. Res., 2013, 60, 58–60.
Pure Appl. Chem., 2014, 86, 785-800.
増殖
17
還元
合金ナノ粒子
超臨界メタノール
超臨界メタノール
または
組み合わせると
貴金属合金@TiO2
コア–シェル
貴金属合金@TiO2
卵黄コア–シェル
貴金属合金@TiO2
表面分散
18
多孔質複合ナノ粒子の合成
Au-Pt-Pd@TiO2
コア―シェル
Au-Pt-Pd@TiO2
表面付着
薯蕷饅頭
EDX Mapping
Ti
EDX Mapping
O
Ti
O
Pt
Pd
200 nm
100 nm
Au
チョコチップ
クッキー
Pt
Pd
Au
Au‐Pt‐Pd合金がMARIMO TiO2ナノ粒子の
内側あるいは外側に存在する。
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多孔質複合ナノ粒子の合成
超臨界メタノール
Au@Pt-Pd@TiO2
卵黄コア―シェル
中空MARIMO TiO2
EDX Mapping
Ti
Line-scan EDX
O
500 nm
Au
Pt
Pd
Intensity (arb. units)
Au Pt Pd
300
400
Distance (nm)
Au@Pt‐Pd合金@MARIMO TiO2ナノ粒子の
入れ子構造になっている
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CeO2-ZrO2二元系酸化物の構造設計
ナノ構造
球状構造
CeO2-ZrO2
 排ガス浄化触媒
 耐高温触媒担体
均一分散
均一分散
ドメイン
層状
ドメイン
 高性能表面研磨剤
課題

Ce使用量の低減

化学的・機械的・熱的安定性

複合化による高機能化
コア-シェル
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均一分散CexZr1-xO2ナノ粒子合成
Ce(NO3)3 + ZrO(NO3)2 + HCOOH
0.05-0.10
mol/L
0.05-0.15
mol/L
Ce/Zr 比
0/1
0.5
mol/L
超臨界
メタノール
scMeOH, 300 ⁰C, 10 min
加熱速度 500 ⁰C/min
均一分散
0.25/0.75
0.33/0.67
0.50/0.50
0.67/0.33
1/0
500 nm
500 nm
500 nm
500 nm
500 nm
500 nm
50 nm
50 nm
50 nm
50 nm
50 nm
50 nm
SEM画像
TEM画像
粒径 (nm)
360 ±115
350 ± 161
340 ± 157
290 ± 104
210 ± 52
245 ± 134
BET 比表面積
(m2·g-1)
118.2
152.2
134.2
103.4
91.1
31.9
細孔径 (nm)
1.4
4.7
4.2
4.8
4.2
4.8
22
均一分散CexZr1-xO2 複合ナノ粒子
XRD (Cu Kα)
ZrO2
均一分散
Intensity (a.u.)
0.75/0.25
Lattice parameter vs. Ce content
0.66/0.33
0.55
30
40
50
2θ (degree)
(222)
(311)
CeO2
60
70
Lattice parameter (nm)
20
0.33/0.66
(220)
(111)
(200)
0.50/0.50
0.54
0.53
Ionic radius
Ce4+ : 0.97 Å
Zr4+ : 0.84 Å
0.52
0.51
0
20
40
60
80
100
Ce content (%)
格子定数がCe量の増加と共に連続的に変化した。
23
ドメイン構造及びコア-シェル構造
ZrO2@CeO2ナノ粒子の合成
ドメイン構造
コア-シェル構造
EDX
EDX (Ce)
200 nm
EDX(Ce)
200 nm
EDX (O)
EDX (Zr)
STEM
EDX(Zr)
EDX(O)
Zr
0
XRD (Cu Kα)
200 400 600 800
Distance (nm)
CeO2
ZrO2
Intensity (a.u.)
30
40
50
2θ (degree)
60
70
Ce
XRD (Cu Kα)
CeO2
ZrO2
Intensity (a.u.)
20
O
Intensity (a.u.)
EDX STEM
20
30
40
50
2θ (degree)
60
70
24
まとめ
1.各種球状多孔質金属酸化物ナノ粒子のワンポット合成
中実TiO2
中空TiO2
SiO2
ZnO
ZrO2
CeO2
2.金属@球状多孔質金属酸化物ナノ粒子
RE
3.複合球状多孔質金属酸化物ナノ粒子合成
CeO2-ZrO2
Er/CeO2
MARIMO
Eur. J. Inorg. Chem. 2014, 4254–4257.
Pure Appl. Chem. 2014, 86, 785-800.
J. Supercrit. Fluids, 2015, 印刷中.
25
想定される用途
触媒および触媒担体
■光触媒
■吸着剤、物質貯蔵および徐放
■薬物および遺伝子送達剤
■偽造防止ナノインク、細胞マーカ
■高性能研磨剤
■断熱コーティング剤
■顔料、ナノインク、化粧品
■リチウムイオン電池負極剤 等、
■
多岐に亘る実用展開が可能であると考えられる。
26
実用化に向けた課題
球状多孔質金属酸化物ナノ粒子の
単工程ワンポット合成法は既に確立済み。
■
大量合成予備段階のパイロットプラントは
稼働中。
■
更なる大量合成装置開発が必要。
■
新たな用途開発が強く望まれる
■
27
企業への期待
ガス処理触媒あるいは触媒担体
■白色顔料、化粧品、ナノインク
■光触媒、断熱塗料
■研磨剤
■吸着剤
■遺伝子送達剤、薬物送達剤
■
これまでにない形状である 球状多孔質
金属酸化物ナノ粒子の新たな用途を見出して
くれる企業との共同研究を希望します。
サンプル提供も可能です(要相談)。
28
本技術に関する知的財産権
特許
1) ドーピング型、コア⁻シェル型及び分散型球状多孔質アナター
ゼ型酸化チタンナノ粒子の合成方法、
特願2014-32237号、出願人 高知工科大学
2) メソポーラスナノ球状粒子製造法、
特願2014-214856号、出願人 高知工科大学
3) 多孔質無機酸化物ナノ粒子の合成方法,並びに該合成方法
により製造される多孔質無機酸化物ナノ粒子及び球状多孔
質無機酸化物ナノ粒子、
特願2012-120216号、出願人 高知工科大学
4) 球状多孔質酸化チタンナノ粒子の合成方法,該合成方法によ
り製造される球状多孔質酸化チタンナノ粒子,及び該球状多
孔質酸化チタンナノ粒子からなる遺伝子銃用担体、
PTC/JP2012/051884 、 米 国 特 許 502850303 、 中 国 特 許
2014043000405640、出願人 高知工科大学
5) 球状多孔質酸化チタンナノ粒子の合成方法、
特願2011-235367号、出願人 高知工科大学
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産学連携の経緯
2013年-2016年
高知県産学官連携産業創出研究推進事業
採択
研究課題
球状多孔質無機酸化物ナノ粒子の大量合成技術開発
及び実用化研究
宇治電化学工業株式会社(高知県高知市)との共同研究
実施中
30
お問い合わせ先
高知工科大学大学
研究連携専門監
佐藤 暢(さとう
まさと)
TEL:0887-57-2743
FAX:0887-57-2366
e-mail:[email protected]
31