07-08 古久保憲満、比嘉 野歩治 (PDF:1304KB)

『裸の女 2』2008年
ワトソン紙に鉛筆
547×394mm
(作品写真撮影:高石巧)
『復興する東日本福島県』2011年 紙に鉛筆、色鉛筆、ボールペン 502×620mm
Nor i m it su Kokub o
Nobuji H iga
1995年∼ /滋賀県在住
1978年∼ /滋賀県在住
画用紙に鉛筆、色鉛筆
790×546mm
(作品写真撮影:高石巧)
比嘉 野 歩 治
古久保 憲満
07
『裸の女 11』2011年
小学校の頃から街を描くのが大好きで、カ
彼は、記憶やインターネット検索などで集め
レンダーの裏などにいつも絵を描いていまし
た情報を混ぜ合わせて、どこにもない空想の
た。古久保さんが小さな絵をセロハンテープで
都市を作ってゆきます。まさに現代的なやり
繋いで、大きな絵を作っている様子を見た担
方ですね。世界の有名な建 築 物、宇宙衛星、
任の先生が、大きな画用紙を提供したことで、
車、飛行機、船などの乗り物。また、インター
この壮大な仮 想の街の絵が始まったのです。
ネットを通して得た新しい情報を、自由自在
2009年頃のことです。
に組み合わせていく楽しさは、まるで創造の
彼は今年(2014年)19歳ですが、絵を描い
神様になったような、とてつもない楽しさに
て想像の都市を創る面白さのとりこになって
満ちているのでしょう。
います。絵は年々大きくなり、今や高さ1.5m
彼が時間も忘れて熱中している姿を見てい
長さ10mという巨大な作品を自宅で描いてい
ると、
「 この世界のすべてを、自分で作ってみ
ます。また、学校でも教室の床に広げて、別の
たい」という強い思いを感じます。紙とペンだ
作品を描いているのですから、この巨大都市
けで、その夢を叶えることができるなんて。イ
のイメージは彼の頭の中で、限りなくどんどん
メージの力でどこまでも行け、そして何でも
増え続けているのでしょう。
作ることができるのです。 (はた よしこ)
『無題』2001-2010年
おえかき帳に鉛筆、色鉛筆、水性ペン
(250-340)×(349-363)×(5-38)mm
少年の頃から絵を描くのが大好きで、自宅
ような形になってゆくのです。
にも花や身近な風 景などを描いた多くのス
鉛筆を濃く塗り込む腕の力は、彼の内にひ
ケッチブックがあります。2007年に現在通っ
そんでいるエネルギーを自然に誘い出してゆ
ているアトリエに参加してから、雑誌の中の女
くようです。画用紙も徐々に大きくなってゆき、
性の写真を見て描くようになりました。
画面からはみ出んばかりの解放感あふれる
比嘉さん独自のデフォルメ(対象を変形し
絵になっています。これは、どうやら鉛筆で描
て表現すること)は、考えながらやっているの
くことにも関係がありそうです。つまり、鉛筆
ではなく、写真の女性をひたすら一生懸命に
で濃く描くためには、腕にかなりの力が必要
見て描き進めるうちに、自然にでき上がった
です。力を入れてゴリゴリと描いてゆくことで、
結果の形なのです。全体のバランスを考えて
自分の身体の中にあるエネルギーが、少しず
いるわけではなく、無我夢中で描いてゆくうち
つ発散されていくのでしょう。
にでき上がった、とても個性的なカタチです。
使っているのは、濃い鉛筆です。女性の顔、
髪の毛、身体などの部分を、雑誌の写真を見
ながら誠実に描き進むうちに、最終的にこの
(はた よしこ)
08