資料2 宮川における流量回復の実施結果と検証について

資料2
宮川における流量回復の実施結果と検証について
1.流量回復の経緯について
(1)当面の目標の確認(H13.3.16)
宮川における流量回復の当面の目標を、
「宮川ダム直下 0.5 ㎥/s、粟生頭首
工直下 3.0 ㎥/s」
とすることが宮川流域ルネッサンス事業推進会議から宮川ル
ネッサンス委員会に報告され、確認されました。
(2)宮川ダム直下 0.5 ㎥/sについて
宮川ダム直下 0.5 ㎥/sについては、宮川ダムに選択取水設備完成後の平成
18 年 4 月より放流を開始しています。
(3)粟生頭首工直下 3.0 ㎥/sについて
1)中部電力㈱との確認書締結(H21.3.30)
粟生頭首工直下 3.0 ㎥/sを下回る場合、宮川ダムの発電用貯留量から
年間 1,000 万㎥を限度に放流する運用ルールを定めていくことについて、
中部電力㈱と確認書を締結しました。
2)流量回復放流実施にかかる確認書の締結(H26.6.25)
平成 21 年度以降、流量回復運用ルール策定作業部会において運用ルー
ルを策定し、中部電力㈱と合意しました。その上で、三重県、宮川用水土
地改良区、中部電力㈱の 3 者で流量回復放流実施にかかる確認書を締結し
ました。
3)実施要領および運用の策定(H26.6.25)
流量回復放流の実施にあたり、「宮川における流量回復放流実施要領」
および「宮川における流量回復放流実施要領の運用」を策定しました。
2.粟生頭首工直下 3.0 ㎥/s の流量回復放流の運用について
(1)粟生頭首工における下流への放流状況
粟生頭首工で農業用水を取水するための下流責任放流量が、10 月から翌年 5
月の期間は 3.0 ㎥/s、
6 月から 9 月の期間は 0.842 ㎥/sと定められています。
〇粟生頭首工における下流への責任放流量
区分
下流への放流量
地点
4月
新規分
5月
6月
7月
8月
9月
10月
粟生
3.0㎥/S
岩出
6.0㎥/S
既得分 粟生
3.0㎥/S
0.842㎥/S
11月
12月
1月
3.0㎥/S
3
2月
3月
資料2
このことから、10 月から翌年 5 月の期間については、粟生頭首工直下 3.0 ㎥
/s の流量がほぼ確保されていますが、6 月から 9 月の期間については 3.0 ㎥/s
未満となる日が集中的に発生します。
そこで、
まずはこの 6 月から 9 月の期間に粟生頭首工直下 3.0 ㎥/sを下回る
場合に、宮川ダムの発電用貯留量から 1,000 万㎥を上限に放流する運用を今年
度から開始しています。
(2)運用ルール
総(純)流入量(宮川、大内山川)が、総必要量(粟生頭首工取水量、粟生頭
首工下流放流量(3.0 ㎥/s)
、その他三瀬谷ダムで調整する水量)に対して不足
する場合、粟生頭首工下流放流量の不足流量分(最大 2.158 ㎥/s+河道ロス分)
を、流量回復放流として宮川ダムから放流します。また、流量回復放流中は、
粟生頭首工では下流に 3.0 ㎥/s を放流します。ただし、不測の事態等により支
障があると認められた場合には、粟生頭首工における流量回復は行いません。
また、以下の場合は、流量回復放流を実施しないこととします。
① 宮川ダムクレストゲートから放流を行う場合。
② 宮川ダムに確保される 750 万㎥を上限として供給を行う不特定かんが
い用水を放流する場合。
③ 宮川渇水調整協議会による調整により、宮川ダムの発電用貯留量から
融通を行うため放流する場合。
④ 宮川ダムからの流量回復放流量(累積量)が、1,000 万㎥に達した場合。
⑤ 上記①~④に該当しない場合でも、放流が不必要と認められる場合。
(3)流量回復放流の運用にかかる関係機関(平成 26 年度)
①放流の実務に関わる機関
・地域連携部 水資源・地域プロジェクト課
・松阪建設事務所 宮川ダム管理室
・企業庁 三瀬谷発電管理事務所
・宮川用水土地改良区
②放流の開始・停止にあたり協議を行う機関
・宮川上流漁業協同組合
・中部電力㈱
・大台町
③放流の開始・停止を報告する機関
・地域連携部 地域支援課
・農林水産部 農業基盤整備課、水産資源課
・県土整備部 防災砂防課、(河川課)
、(流域管理課)
・企業庁 電気事業課
4
資料2
3.平成 26 年度における運用の実施結果について
(1)運用期間
6 月 25 日~ 9 月 30 日
(2)放流実施期間
8 月 1 日 9:00 ~ 8 月 6 日 17:00(6 日間)
放流量の累計量 664,000 ㎥【実績】
(年間限度量 1,000 万㎥に対して 6.64%)
(3)放流が実施できなかった期間(粟生頭首工下流放流量が 3.0 ㎥/s 未満とな
った期間)
6 月 25 日 17:00 ~ 6 月 27 日 16:00(3 日間)
※運用開始日当日であったことから、
運用開始にかかる関係機関へ
の周知徹底ができておらず、放流開始にかかる関係機関との協
議が整いませんでした。
なお、運用開始前ですが、6 月 1 日 10:00 ~ 6 月 3 日 15:00(3 日間)
についても、粟生頭首工下流放流量が 3.0 ㎥/s未満となりました。
4.流量回復の検証について
今年度の流量回復の運用終了後、主要な関係機関から意見を聴いた課題や
要望について検討を行いました。主な内容は次のとおりです。
(1)流量回復放流が降雨により停止した場合の取り扱いについて
課題:粟生頭首工下流放流量 3.0 ㎥/s を確保するため使用した水量は、宮川
ダムから放流することにより回復させることが基本であるが、降雨に
より回復した場合には宮川ダムからの放流は停止することとなる。こ
の場合、宮川ダムから放流しなかった流量分を次回の流量回復放流時
に加算して放流してほしい。
対応:関係機関からは、降雨で水量が回復するにもかかわらず、次回に加算
するというのは理解し難いとの意見があり、総意としては同意に至ら
なかった。引き続き関係機関と協議のうえ、対応策を検討していきた
い。
(2)土曜、日曜、祝日となる場合の対応について
課題:前日の流量を計算して流量回復放流量を算出し、翌日に宮川ダムから
放流開始となるが、土曜、日曜、祝日を挟むと宮川ダムからの放流開
始が遅れることについて、何かよい方法はないか。
対応:ルール化することは難しいが、休日での流量回復放流開始が想定され
5
資料2
る場合は、前倒しで休日の前日から流量回復放流を開始することにつ
いて、その時の状況を見て協議のうえ判断することとしたい。
(3)放流量の河道ロス率について
課題:放流量の河道ロス率を 5%としているが、5%が妥当であるかどうか今
年度の実績から検証できないか。
対応:今年度の実績ではデータ数が少ないため実証できるものではなく、5%
が間違っているとも断定できないことから、来年度も 5%で運用する
こととしたい。
(4)4 月~5 月における運用について
課題:6 月~9 月での運用だけでなく、農業でも漁業でも水が必要となる 4
月~5 月についても運用できないか。
対応:4 月~5 月については、粟生頭首工における下流責任放流量が 3.0 ㎥/
sであるため、3.0 ㎥/s未満となることはほぼないが、かんがい放流
中において粟生頭首工における河川自流が 3.0 ㎥/s 未満の場合に、か
んがい放流量の一部を下流へ放流することにより 3.0 ㎥/sの下流放
流量を確保している実績が稀にある。このような場合に、この自流不
足量を流量回復放流量とすることを運用に追加したい。
(5)かんがい放流実施時には流量回復放流を実施しないことについて
課題:かんがい放流を実施している時こそ河川自流が少なくなっている時な
ので、流量回復放流を実施すべきではないか。
対応:かんがい放流と流量回復放流は、どちらも宮川ダムの選択取水設備か
ら放流することとなるが、同時に放流した場合には、両放流量を合わ
せた放流量を選択取水設備の能力の範囲内としなければならず、その
調整が困難なこと。また、かんがい放流を実施しているときは降雨が
少なく、宮川ダムへの流入量も少ないことが多いと考えられるため、
放流量を増やすと宮川ダムの貯水位を早く低下させることとなり、結
果として水質の悪化を招く恐れがあること。以上のことから、現状で
は、かんがい放流実施時には流量回復放流は実施しないこととしてい
るが、今後は関係機関と協議のうえ、対応策を検討していきたい。
5.実施要領および運用の改正について
検証における検討結果等を受け、来年度の実施に向けて、
「宮川における流
量回復放流実施要領」および「宮川における流量回復放流実施要領の運用」
を改正いたしたい。
主な改正内容は次のとおりです。
6
資料2
○三瀬谷発電所(三瀬谷ダム)が中部電力㈱へ譲渡されることに伴う関係機
関名称の変更【三瀬谷発電管理事務所 → 中部電力㈱】
○4 月~5 月において、かんがい放流を実施している際に、粟生頭首工におけ
る河川自流が 3.0 ㎥/s 未満となった場合の取り扱いを追加。
○土曜、日曜、祝日は休日のため、流量回復放流の開始、流量変更、停止に
は対応しないが、休日での流量回復放流の開始が想定される場合は、前倒
しで休日の前日から放流を開始することについて努めることを追加。
○各関係機関における放流開始および放流停止等の手順について、手順書に
より明確化
○その他、表現の適正化
7
資料2
宮川における流量回復放流概要図
→
宮
川
宮川ダム
④
→
滝原ダム
②
→
→
長ヶ逆調整池
→
長発電所
③
→
大内山川 →
三瀬谷ダム
→
粟生頭首工
→
下流
放流
→ 農業用水取水
①
3㎥/s
【流量回復放流手順】
① 粟生頭首工における農業用水取水量と下流放流量(3㎥/s)を合計した必要量を三瀬
谷ダムに報告する。
② 三瀬谷ダム、長発電所で発電を行い、長ヶ逆調整池で必要量を調整して放流する。
③ 前日24時間の流入量と放流量の累計量から、流量回復放流量を計算する。
④ 翌日に、宮川ダムから流量回復放流を行う。
8