鉛・亜鉛の需給動向

平成26年度第11回金属資源関連成果発表会
鉛・亜鉛の需給動向
調査部 金属資源調査課
畝井 杏菜
[email protected]
2015/2/25
鉛価格と亜鉛価格は僅差で推移
過去10年分の鉛・亜鉛 LME価格(spot)
価格(US$/t)
鉛・亜鉛価格の差が縮まった
LME: London Metal Exchange(ロンドン金属取引所)
2015/2/25
2
鉛の需給動向
1.
2.
3.
4.
5.
LME価格・在庫のトレンド
生産国分布(鉱石、地金)
鉱山生産量
需給バランス
2014年鉛市場動向
自動車用バッテリー
2015/2/25
3
【鉛】 1.LME価格・在庫のトレンド
鉛:2014年半ばより軟調な値動き
過去3年分の鉛 LME価格とLME在庫
2012年spot平均価格: 2,061US$/t
2013年spot平均価格: 2,143US$/t
2014年spot平均価格: 2,098US$/t
LME: London Metal Exchange(ロンドン金属取引所)
2015/2/25
4
【鉛】 2. 生産国分布(鉱石)
世界の鉛鉱石の50%超は中国産
出典: WBMS
鉛鉱石生産(2013年、2014年)と国別分布
3,048
135 164
(単位:千t )
中国
2,054
ロシア
340 375
2013 2014
インド
アフリカ,
2%
米国
2013
2013 2014
2014
241 250
126 105
メキシコ
豪州, 13%
2013 2014
2013 2014
欧州, 6%
中国
54%
米州, 18%
711
豪州
アジア,
62%
インド
北朝鮮
その他アジア
米国
ペルー
メキシコ
その他米州
ロシア
その他欧州
豪州
その他アフリカ
ペルー
2013 2014
2013
中国
267 279
704
2014
5
【鉛】 2. 生産国分布(地金)
米中で56%の鉛地金を生産
出典: WBMS
鉛地金生産(2013年、2014年)と国別分布
(単位:千t )
中国
ドイツ
英国
4,475
4,221
288 288
400 366
2013 2014
329 331
2013
2013 2014
2013 2014
1,218 1,131
2014
米国
428 473
韓国
250 240
アフリカ 1%
豪州, 2%
461
欧州, 18%
カナダ
663
2013 2014
日本
2013 2014
2013 2014
※二次鉛が90%超
236 234
メキシコ
2013 2014
中国
44%
米州, 20%
2013 2014
アジア,
59%
インド
203 245
豪州
2013 2014
中国
日本
カナダ
ドイツ
豪州
インド
その他アジア
メキシコ
英国
その他アフリカ
韓国
米国
その他米州
その他欧州
6
【鉛】 3. 鉱山生産量
鉱山生産量の見通し 不透明
鉱山別鉛鉱石生産量:生産上位15鉱山(2013年)
出典:各社ニュースリリース、公開資料等
(千t)
250.0
鉛は副産物として開発されることが
多いため、実際の生産動向は、亜鉛
や金銀等の生産に依存している。
150.0
2015/2/25
India
Peru
China
Sweden
2015
増産見込
Australia
South Africa
Australia
2015 Q3
閉鎖
Australia
India
Bolivia
Mexico
USA
0.0
2015
減産見込
USA
50.0
Australia
100.0
Australia
亜鉛純分
200.0
7
【鉛】 4. 需給バランス
中国国内の需給はバランス
鉛の需給バランス(2004~2013年)
出典:WBMS
WORLD
(千t)
12,000
(千t)
5,000
10,000
CHINA
4,475
10,391
4,500
10,228
4,000
4,467
3,500
8,000
3,048
二次鉛生産
6,000
3,000
5,599
2,500
2,000
4,000
1,500
1,000
2,000
500
13.7
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
世界鉱石生産
2015/2/25
世界地金生産
世界地金消費
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
中国鉱石生産
中国地金消費
中国地金生産
中国地金輸入量
8
【鉛】 5.鉛市場動向
米中で世界の鉛の6割を消費
米中需給バランス
(千t)
豪州,
0.2%
米国
2,000
世界の鉛国別消費量(2013年)
1,500
アフリ
カ, 1%
2%
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014e
(千t)
米州,
21%
米国
16%
その他
3%
鉛管板
6%
500
0
世界における鉛用途
ケーブ
銃弾 ル塗装
1%
合金 3%
欧州,
17%
1,000
出典:ILZSG、WBMS、JOGMEC
中国
43%
アジア
61%
中間製
品
5%
中国
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014e
0
生産
2015/2/25
消費
中国
韓国
その他アジア
ブラジル
欧州
イタリア
その他豪州
インド
日本
米国
その他米州
スペイン
その他欧州
その他アフリカ
中国の鉛バッテリー用途
• 自動車
• E-bike(電動自転車)
• 携帯電話基地局
9
【鉛】 5.鉛市場動向
中国鉛需要はE-bikeが牽引
(万台)
3,500
中国のE-bike生産台数推移(2000~2013年)
(US$/t)
4,000
中国のE-bike
3,500
3,000
3,000
2,500
2,500
2,000
2,000
1,500
1,500
1,000
1,000
500
500
生産台数(旧基準)
生産台数(新基準)
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
0
2000
0
LME鉛価格
出典:つくし資源コンサル㈱
※ 2010年1月1日施行の新規格で、2010年まで『自転車』として運用されてきた『電動自転車』を、『電動バイク』や『電動軽便バイク』と同じ区分に分類
するようになったため、統計が途切れる結果となっている。(JOGMECカレントトピックス2009年69号)
2015/2/25
10
【鉛】 5.鉛市場動向
米中の自動車生産拡大で需要増
出典: International Organization of
Motor Vehicle Manufacturers, IMF, FOURIN
中国、米国、日本における
自動車(商用車含む)生産台数推移
GDP(中国元)
生産台数(万台)
(2000~2013年)
50,000
2,500
米国電気自動車販売台数
45,000
2,000
40,000
35,000
1,500
30,000
25,000
1,000
20,000
中国電気自動車販売台数
2013
2011 2012 2013
上期
15,000
500
10,000
5,000
0
ガソリン
軽油
(万台)
2014
上期
1,448
1,549
1,806
1,073
1,163
1.20
2.60
3.30
2.00
5.20
0
2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012
中国
2015/2/25
米国
日本
中国GDP
電気自動車
普及率
0.08% 0.17% 0.18% 0.19% 0.45%
11
【鉛】 まとめ
中国の減産で供給不足拡大か
• 鉛は副産物として生産されるケースが多く、
供給見通しを立てづらい
• 鉱石生産の過半数は中小規模鉱山による
• 環境規制の強化、需要の減速から2014年中
国国内における鉛の生産・消費は減少で供
給不足拡大か
• 需要についても、米中の自動車生産が好調
鉛バッテリー需要増加を期待できる
2015/2/25
12
亜鉛の需給動向
1.
2.
3.
4.
5.
6.
LME価格・在庫のトレンド
生産国分布(鉱石、地金)
鉱山生産量
亜鉛鉱山の開発動向
需給バランス
2014年亜鉛市場動向
自動車用鋼板
2015/2/25
13
【亜鉛】 1.LME価格・在庫のトレンド
亜鉛:価格は軟調、在庫も大幅減
過去3年分の亜鉛 LME価格とLME在庫
2012年spot平均価格: 1,946 US$/t
2013年spot平均価格: 1,909 US$/t
2014年spot平均価格: 2,162 US$/t
LME: London Metal Exchange(ロンドン金属取引所)
2015/2/25
14
【亜鉛】 2. 生産国分布(鉱石)
中国・豪州・ペルーで6割を生産
出典: WBMS
亜鉛鉱石生産(2013年、2014年)と国別分布
(単位:千t )
5,392
カザフスタン
アイルランド
361 347
327 283
インド
817
欧州
8%
中国
39%
米州
28%
中国
2013 2014
2013 2014e
アフリカ
2%
426 353
4,725
2013
中国
その他アジア
米国
その他米州
その他アフリカ
カザフスタン
ペルー
ボリビア
その他欧州
811
ボリビア
1,351 1,319
1,523 1,440
2013
インド
豪州
カナダ
アイルランド
788
2013 2014
725
2014
407 526
2013 2014
豪州
豪州
11%
2013 2014
米国
2014
2013 2014
アジア 51%
カナダ
2013
2014
ペルー
15
【亜鉛】 2. 生産国分布(地金)
亜鉛地金生産はアジア圏に集中
出典: WBMS
亜鉛地金生産(2013年、2014年)と国別分布
5,302
652
スペイン
529
(単位:千t )
5,720
中国
648
カナダ
529
韓国
2013 2014
1,044
2013
2013
915
2014
2013 2014
2014
587
583
2013
2014
日本
アフリカ 1%
773
豪州 4%
707
ペルー
欧州
18%
346 337
中国
40%
米州 14%
2013
アジア
63%
2014
498
インド
韓国
その他アジア
スペイン
その他アフリカ
インド
カナダ
その他欧州
2013 2014
豪州
2013
中国
日本
その他米州
豪州
484
2014
16
【亜鉛】 3. 鉱山生産量
新規鉱山の埋蔵量、品位低下続く
鉱山別亜鉛鉱石生産量:生産上位15鉱山(2013年)
出典:各社ニュースリリース、公開資料等
(千t)
900.0
800.0
700.0
500.0
2015/2/25
Russia
Namibia
Mexico
Kazakhstan
Ireland
Peru
Ireland
Brazil
Bolivia
Australia
0.0
Peru
100.0
Australia
200.0
USA
300.0
Australia
400.0
India
亜鉛純分
600.0
17
【亜鉛】 4. 亜鉛鉱山の開発動向
2014-2015年の亜鉛鉱山の開発動向
開発案件
【生産拡大】
• Cerro Lindo 2014 +30kt/y
• Pend Oreille 2014 + 44kt/y
• Chungar 2015 +10kt/y
【新規計画】
• Caribou 2015 H1 + 42kt/y
• El Boleo 2015/10 +6.3kt/y
• Bongara 2015 開発段階
• Gamsberg 2017-18 開発段階
2015/2/25
操業停止・閉鎖案件
【操業停止】
• Wolverine 2015/1 -37.5kt/y
【閉鎖】
• Century 2015 Q3 -488kt/y
• Lisheen 2015 -150kt/y
• Scorpion 2017-18 -125kt/y
18
【亜鉛】 5. 需給バランス
中国国内の地金供給が消費下回る
亜鉛の需給バランス(2004年~2013年)
WORLD
(千t)
出典:WBMS
CHINA
(千t)
16,000
7,000
14,000
13,720
13,266
12,000
13,151
5,995
6,000
5,302
5,000
5,391
10,000
4,000
8,000
3,000
6,000
2,000
4,000
1,000
2,000
624
0
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
世界鉱石生産
2015/2/25
世界地金生産
世界地金消費
2004
2005
2006
2007
中国鉱石生産
中国地金消費
2008
2009
2010
2011
2012
中国地金生産
中国地金輸入量
19
2013
【亜鉛】 6.亜鉛市場動向
米中で世界の鉛の6割を消費
米中需給バランス
(千t)
米国
世界の亜鉛国別消費量(2013年)
アフリ
カ, 1%
豪州,
1.4%
1,400
欧州,
17%
800
世界における亜鉛用途
中間製
品
6%
1,200
1,000
出典:ILZSG、WBMS、JOGMEC
400
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009
(千t)
その他
3%
合金
16%
600
200
化学製
品
6%
真鍮青
銅
17%
中国
46%
米州,
12%
アジア
61%
中国
7,000
中国における亜鉛用途
その他
1%
バッテリー
3%
6,000
5,000
真鍮
8%
4,000
3,000
2,000
1,000
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
0
生産
2015/2/25
消費
中国
韓国
インド
日本
その他アジア
米国
ブラジル
その他米州
ドイツ
ロシア
イタリア
その他欧州
豪州
その他アフリカ
化学製
品
9%
ダイカ
スト
22%
20
【亜鉛】 まとめ
亜鉛鉱石不足を背景に価格上昇か
• 資源価格低迷においても、需給逼迫懸念か
ら亜鉛LME価格の下げ幅小
• 大型鉱山閉鎖が相次ぐ一方、今後予定され
る鉱山の新規開発・拡張計画が中型クラス
• 自動車・インフラ・建設分野の動向をメインに
世界の経済動向によっては亜鉛需要伸びる
2015/2/25
21
3.ILZSG需給予測
鉛・亜鉛 2015年は供給不足
• 国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)予測
鉛
2013年実績
鉱山生産量
2014年予測
2014年予測
2015年予測
(2014年春季)
(2014年秋季)
(2014年秋季)
5,432
5,660
5,664
2,571
地金生産量 (a)
11,121
11,677
11,290
11,540
地金消費量 (b)
11,167
11,726
11,328
11,563
▲46
▲49
▲38
▲23
需給バランス (a-b)
2013年実績
2014年予測
2014年予測
2015年予測
(2014年春季)
(2014年秋季)
(2014年秋季)
鉱山生産量
13,195
13,570
13,330
13,804
地金生産量 (a)
12,873
13,460
13,245
13,681
地金消費量 (b)
12,982
13,577
13,648
14,047
需給バランス (a-b)
▲109
▲117
▲403
▲366
22
亜鉛
2015/2/25
(単位:千t)
4.まとめ
2015年鉛・亜鉛は供給不足
本日のPOINT
• 米中で鉛需要増加見込、鉛鉱石生産は減少
• 大型亜鉛鉱山の閉山相次ぐも、これを補うほ
どの鉱山開発が不足
2015年の注目すべき点
• 資源価格の低迷はいつまで続くのか
• 鉱山の操業停止、閉山の拡大
• 中国需要がどこまで増える/減るのか
2015/2/25
23
ご清聴ありがとうございました
ご意見・ご質問…
調査部金属資源調査課 畝井
[email protected]
2015/2/25
24