生物4

クマムシの tun 化と温度の関係
茨城県立水戸第二高等学校
齋藤ゆか(2),高橋志帆(2)
星浩一
1.はじめに
クマムシとは緩歩動物門に属し、tun 状態(一種の乾燥状態)になることで極度の温度変化や圧
力変化など様々な環境ストレスに耐えることができる生物である。
昨年度の先輩方の研究でクマムシの tun 化と湿度との関係は明らかになったが、その他の関係
性については未だ明らかになっていないことが多い。そこで、私達は tun 化する際の温度に着目
し研究することにした。
2.実験目的
先輩方の行ったクマムシの tun 化と湿度の関係の実験結果をもとに、最適な湿度で温度のみを
変化させた条件下でクマムシを tun 状態に移行させ、その蘇生率を調べることで、クマムシの tun
化に最適な環境を探る。
3.実験方法
実験用具として顕微鏡、シャーレ、ピンセット、マイクロピペット、スライドガラス、恒温恒
湿器を用いる。tun 化させる環境条件として、湿度は60%で一定にし、温度を15℃、20℃、25℃、
30℃、35℃の条件に分けて実験を行った。なお、今回の実験にはオニクマムシで、実験に使用す
る個体数は各温度50匹で統一した。
【実験手順】
① 学校周辺からギンコケを採取した後水に浸し、顕微鏡下でマイクロピペットを用いてオニク
マムシをスライドガラスに移す。
② 恒温恒湿器を用い設定した温度、湿度になるように環境を作る。
③ ②で設定した環境下でオニクマムシを tun 化させる。
④
tun 化したオニクマムシに蒸留水をかけ、蘇生したかを確認し、蘇生率(全個体数に対する蘇
生した個体数の割合)を算出する。
4.結果・考察
温度(℃)
15
20
25
30
35
蘇生率(%)
66
62
77.5
実験中
62
実験の結果蘇生率の高さは、25℃>15℃>35℃=20℃だった。これより、クマムシの tun 化には
25℃がより好適である。よって、20℃、35℃の間の 25℃に近い温度でより高い蘇生率が得られる
可能性があるといえる。
5.今後の課題
今回は5つの温度条件のもとで実験を行ったが、更に温度の間隔を狭めより理想的な tun 化に
近い温度を探っていきたい。また、実験回数が少なく感じられたので、今後は実験回数を増やし
データをより正確なものにしたい。
6.参考文献
堀川大樹 (2014)『クマムシ博士の「最強生物」学講座私が愛した生きものたち』 新潮社
生物4-①
エタノールによるゾウリムシへの影響
~ゾウリムシが脱毛!?~
茨城県立竜ヶ崎第一高等学校
三村明日香(2)
手塚彩絵(2)
豊島楽子(2)
担当教員:出雲辰雄
背景:生物の授業でゾウリムシがエタノールで脱毛する様子を見た。この現象に興味を持ち、
調べてみたところ、ほとんど研究されていないことが分かった。そこで、実際に脱毛の様子
を見てみたいと思い、本研究を開始した。
目的: エタノール実験:エタノールがゾウリムシにどのような影響を与えるか調べる。その
上で、ゾウリムシを安定的に入手することが必要なので、自分たちで簡単かつ安価に培養で
きる方法を確立する。
培養実験:培養①:大阪府教育センターの培養法を行った。
〈方法〉1.KIRIN 生茶 300ml を水道水 600ml で希釈し、ゾウリムシ懸濁液(以下懸濁液)1ml
を加える
2.インキュベータを用い 20℃で培養
3.培養 3 日目には培養液が濁る
4.培養 4
~5 日目には 300~400 匹/ml 確認できる〈結果〉ゾウリムシは確認されなかった。
培養②:培養①より、培養液が多すぎである、水道水・蒸留水は適さないと考えた。
〈方法〉1.生茶をイオン交換水(以下 IEW)で 3 倍に希釈し、懸濁液 1ml を加える
2.インキ
ュベータを用い、20℃で培養〈結果〉ゾウリムシは確認されなかった。
培養③:培養①、②より水が原因であると考えた。
〈方法〉1.生茶原液に懸濁液 1ml を加える
2.インキュベータを用い、20℃で培養〈結果〉
培養①、②より安定的に培養できた。これを、主な培養法とする。
脱毛実験:脱毛実験①:
〈方法〉1.懸濁液 6μl と運動緩衝液 6μl を混ぜ、そこから 6μl を取
A
り出す…○
A に 10%エタノールを 2μl 加える(7%濃度のエタノールとなる)〈結果〉個
2.○
体間の脱毛にばらつきが見られた。
脱毛実験②:〈方法〉エタノール(濃度 6、7、8%)6μl の中に懸濁液 0.2μl(ゾウリムシ 1
匹のみ)を入れる 〈結果〉8%は全て死亡。7%において、培養日数が長いほど脱毛の度合い
が強くなった。10~15 分経過して死亡する個体も確認した。
〈考察〉8%がゾウリムシの耐えられない濃度・時間経過によってエタノールによる影響が変
化する・分裂回数でエタノール耐性が変化すると考えた。
今後の課題:①脱毛する濃度の特定②時間経過による反応の変化③分裂回数による反応の変
化
死亡
脱毛
生物4-②
正常
プラナリアの再生
茨城県立水戸第二高等学校
畝木珠里(2 年) 鈴木綾乃(2 年) 柴田仁
1
研究動機
再生医療に興味があり、その関係で調べたところ、プラナリアが再生研究で注目を浴びている
ことを知った。そこで、プラナリアの再生について調べてみようと思った。
2
実験目的
塩化リチウムが極性転換を起こすことから、塩化リチウムがプラナリアの再生に及ぼす影響を
調べることにした。
3
プラナリアとは
扁形動物門ウズムシ網ウズムシ目ウズムシ亜目に属する生物である。主に、淡水・海水、陸上
と広範囲に棲息し、低温であればエサがなくとも数か月間生きられる生命力と刃物で切られて
も分裂し、元の形に戻る高い再生能力を持っている。
4
実験方法
実験Ⅰ
プラナリアの体を縦に二等分または横に三等分に切断し、再生の実験をする。
実験Ⅱ
頭部にのみ切り込みを入れ、再生が可能かどうか実験する。
実験Ⅲ
プラナリアを横に三等分に切断後、塩化リチウム水溶液で飼育して実験する。
5
実験結果
実験Ⅰ
横に三等分したものは、約二週間後には再生し、縦に二等分したものも再生した。
実験Ⅱ
頭部が二つに分かれることなく、元通りに再生した。
実験Ⅲ
塩化リチウム水溶液の場合
横三等分
0.1mmol/L
1mmol/L
0.01mol/L
0.1mol/L
二日後死亡
翌日死亡
翌日死亡
翌日死亡
0.001mmol/L
0.01mmol/L
一個体
生存
生存
横三等分(一回目)
翌日死亡
一か月後再生
横三等分(二回目)
約三週間後再生
死亡
6
考察
実験Ⅱでは、さらに深く切れ込みを入れる必要があったと考えられる。実験Ⅲより、培養液の
濃度によって再生に違いがあると考えられる。濃度をさらに薄めた 0.001mmol/L,0.01mmol/L にお
いて実験結果に差が出たことから、個体差によるものなのか、実験上の違いなのかを更に実験す
る必要がある。
7
今後の課題
・塩化リチウム水溶液の濃度による再生の違いを解明する。
・塩化カルシウムや塩化カリウムなどの別の水溶液で実験する。
生物4-③
プラナリアの生殖法
茨城県立竹園高等学校
佐藤
諒一(2),横田 洋平(2)
,秋田
悠奈(2),鈴木
登(1),海東
海原
彩也香(2),西ノ原
武(1),木村
スーパーサイエンス部
悠河(2),大川
徹(2),園家
侑己(2),羽鳥 皓正(2),宋
結(1),中島
遼(1),牧野 夏椰(1),板谷
瑠南(1),稲葉
優花(1),栗山
百合子(1)
直
智光(1),
担当教員
飯田
仁
【背景】
私たちは,雑誌に掲載されていたプラナリアに関する記事から,その再生能力の高さに興味を
もった。プラナリアの生態について調べていたところ,雌雄同体であることや,3 つの生殖系統
が存在すること,2 倍体と 3 倍体が存在していることが分かった。そのため,茨城県内 4 カ所の
プラナリアの生殖法における地域的差異について研究することにした。
【目的】
プラナリアの転換系統は,冬季に有性生殖に転換するため,有性生殖への転換の条件について
温度と日長について調べる。また,転換系統や無性生殖系統は遺伝する形質かどうかを切断実験
で調べる。さらに,野外のプラナリアは,有性生殖を冬季に行うとされているが,冬季に沢でど
のような行動をとっているか調べる。
【結果・考察】
(1)有性生殖転換(有性化)の条件
転換系統における無性生殖個体から有性生殖個体への転換の環境条件について調べた結果,日
長刺激でなく,温度刺激(15℃から12.5℃に低下)によって無性生殖個体から有性生殖個
体へ転換した。
(2)転換系統・無性生殖系統は遺伝する形質か?
今回,転換系統15匹をそれぞれ4つに切断(横断)し再生させた後,12℃に飼育温度を低
下させ,有性生殖個体へ転換するかを調べた。その結果,2断片が有性生殖個体に転換し,12
断片が分裂し無性生殖個体になった。この結果から判断すると,転換系統は遺伝しないと言える。
また,土浦市小野と桜川市高峰山には無性生殖
系統のみが存在していたので,これらの無性生
殖系統10匹を切断再生させた後,有性生殖個
体になるかを調べた結果,97.5%が無性生
殖個体で残りは死亡した。よって,無性系統は
遺伝する形質の可能性がある。
(3)冬季における野外でのプラナリアの分布
野外のプラナリアは有性個体が出現している
と言われている。野外の沢での有性個体の分布
や付着していた石の大きさ,他の生物について調べた。
生物4-④
カエルの前肢の神経分布の形態解剖
文京学院大学女子高等学校
大橋彩芽(2 年) 廣井真菜(2 年) 樋口桂
【背景】
脊椎動物の四肢の進化の過程において原型は魚類であることはよく知られている。
私たちは前回、魚類であるサメと、哺乳類であるヒトの神経について研究したところ神経の分布
様式に高い相同性が見られた。そこで、魚類と哺乳類の、進化の過程の間にある両生類と爬虫類
においても神経の分布様式に高い相同性がみられると仮説を立てた。今回の研究では両生類であ
るウシガエルを解剖し神経の分布様式を観察した。
【目的】
魚類や哺乳類と神経の分布様式において相同性があるかを観察するために、両生類であるウシガ
エルの前肢を解剖し、比較した。
【方法】固定処理されたウシガエルの両側の前肢の神経を解剖器具を用いて解剖し、カメラで写
真を撮り記録した。そして、サメ・カエル・ヒトの神経分布を比較した。
【結果】魚類・両生類・哺乳類は神経の分布様式において 、神経叢の形成が類似していること、
また、肋間神経の走行様式が類似していることがわかった。
【考察】神経の分布様式において相同性があると考察した。
【展望】次回の研究では、爬虫類であるトカゲ類の動物を解剖し神経の相同性について類似して
いるという考察の信憑性を高めたい。
生物4-⑤
ヒトが甘味を感じる仕組みの解明~ギムネマ茶 VS ミラクルフルーツ~
文京学院大学女子高等学校
小林未奈(2年),柳沢あすか(2年)岩川暢澄
「背景」
ギムネマ茶にはギムネマ酸が含まれている。ギムネマ酸は甘味受容体に作用して、甘味を
感じにくくさせる効果がある。ミラクルフルーツには糖タンパク質であるミラクリンが含
まれている。ミラクリンは甘味受容体に作用して、酸味を甘味に感じさせる効果がある。
このことからギムネマ酸、ミラクリンと甘味受容体の相互作用を明らかにし、ヒトが甘味
を感じる仕組みを解明する。
「目的」
ギムネマ茶とミラクルフルーツを同時に摂取することによって、ギムネマ酸とミラクリン
のどちらがより強くヒトの味蕾に作用するのかを調査した。
「方法」
ギムネマ酸とミラクリンが共に舌の上に存在する時のヒトの酸味と甘味に与える影響を検
証した。ギムネマ酸、ミラクリンと甘味受容体の相互作用を明らかにするために、ギムネ
マ酸とミラクルフルーツの同時接種による効果を調べた。
「結果」
ギムネマ茶は液体、ミラクルフルーツは固体であるため同時に接種することは難しかった。
そこでギムネマ酸とミラクリンの2つの甘味受容体への作用が、重なる時間で作用を調べ
た。ギムネマ茶とミラクルフルーツのどちらを先に摂取するかによらず、ギムネマ酸とミ
ラクリンはどちらも甘味受容体に作用しなくなった。
「考察」
得られた結果よりミラクルフルーツ、ギムネマ茶の効果は得ることができなかった。
よって、ギムネマ酸とミラクリンは甘味受容体に正しく作用しなくなったと考えられる。
また、双方の効果が得られなかった原因として、ギムネマ茶とミラクルフルーツの両方の
効果持続時間内に実験を行うとお互いが阻害し合い、ギムネマ酸とミラクリンが甘味受容
体にはまることができないと考えられる。
「今後の展望」
ギムネマ茶とミラクルフルーツ、それぞれの効果持続時間以外での味覚変化効果を調べ、
より詳しくヒトの甘味受容体の仕組みを解明したい。
生物4-⑥
触覚は食欲に影響するのか?
文京学院大学女子高等学校
松井
優希(2年)大杉
美貴
背景
授業内で視覚が食欲に影響を与えることについて唾液量を指標とし検証実験を行った。結果、視
覚は食欲に影響を与えることがわかった。その際、特に食欲に影響を与えると謳われていない触
覚でも同様の結果が得られるのか疑問に思い、授業内の実験と同様に食欲の指標に唾液量を用い
て実験を行った。
目的
触覚が食欲に影響を与えるのかを唾液量を食欲の指標とし調査する。
方法
触覚以外の感覚を働かせないようにした被験者に形や柔らかさの異なる試料を手で触りながら分
泌された唾液を採取してもらい、試料それぞれで分泌された唾液の質量の平均値を比較すること
で食欲への影響を調査した。
結果
形の異なる試料の比較では丸型よりも四角型の試料を触った時のほうが食欲は増加された。また
硬さの異なる試料の比較では硬い試料よりも柔らかい試料を触った時のほうが食欲は増加された。
考察
丸型よりも四角型の試料を触った時のほうが食欲は増加されたのは丸型の試料よりも四角型の試
料が調理後の食べ物を連想させやすいからだと考えた。また硬い試料よりも柔らかい試料を触っ
た時のほうが食欲は増加されたのは柔らかい試料が硬い試料よりも調理後の食べ物を連想させた
からだと考えた。
結論
この研究で四角くて柔らかい試料を触った時、特に私たちの食欲が増加されることが分かった。
今後は今回使った試料の形や柔らかさを変えて同じ実験をしたいと考えている。また被験者数を
増やし研究の信頼性を高めたいと思う。
生物4-⑦
校内植物の形態的系統と分子系統との比較検討
茨城県立竹園高等学校
西田智志(2年)担当教員名
飯田仁
重永由起子
1.背景と目的
月ごとに学校敷地内を調査し、目につく植物1種についてポスターをつくり、校内に掲
示、紹介した。ポスターの内容としては、形態、見られる場所、文化的な関連などを扱っ
た。その後、それらの植物について塩基配列データを取得し、分子系統樹の作成を試み、
校内植物の形態的系統と分子系統との比較から、校内の系統関係を考察した。また、他の
系統樹との相関を見るため、APG 体系の系統樹と比較、考察した。
2.観察・実験の方法
校内を探索して目につく植物の写真を撮り、形態観察を行った。次に、観察した植物の
18s リボソーム RNA 遺伝子の塩基配列を NCBI(アメリカ遺伝子情報研究機関)より取得
した。次に、国立遺伝学研究所のアライメントソフト
DDBJ
Clustal
W に取得した塩
基配列を入力し、アライメント後の塩基配列を取得した。最後に、分子系統樹作成プログ
ラム njplot を用い、アライメント後の塩基配列より、分子系統樹を作成した。
また、作成した分子系統樹と APG 体系の系統樹を比較し、Bootstrap
value の値に注目
しながら相違点を探った。
3.結果と考察
① 毎月観察した校内の植物の分類について和名、科名、属名、綱を表にまとめた。
つくば地域に一般に見られる植物が、本校にも一通り見られる事がわかった。また、
キンランやジュウニヒトエなど都市部では珍しい植物も見られた。キンランについては、
以前のつくば市の環境が少し残っていることが考えられる。
② ①の植物の系統関係を明らかにするため分子系統樹を作った。
分子系統樹において、単子葉以外の植物は、一つの共通の祖先を持ち、単子葉植物は
多系統である事がわかった。
また、最も進化速度が遅いのがヒメオドリコソウ、最も進化速度が速いのがネジバナ
であった。
さらに、花弁の有無に着目すると、校内で発見したラン科、クサスギカズラ科、ヤマ
ゴボウ科、スベリヒユ科、ドクダミ科の植物には花弁がない。ドクダミ科の植物には総
苞片、その他の植物には花被片が見られる。
③Bootstrap value の値に注目すると、高いものにおいては 934、899 などの値が見られ
るが、低いものにおいては、ドクダミ科の枝で 11、ベンケイソウ科、キク科の枝で 6 な
どの値が見られた。キク科に関しては、APG 体系の系統樹と今回作成した分子系統樹に
おける位置について違いが見られた。
生物4-⑧