研究期報№101 蓄電池の新たな状態表示・監視方法

研究期報№101
蓄電池の新たな状態表示・監視方法の提案
キーワード;
蓄電池,リチウムイオン電池,蓄電量,SOC,放電容量
目
的
蓄電池の運用において、蓄電池の放電容量および現時点での蓄電量の把握が
最も重要である。放電容量を容量試験を行わずに運用中データから推定する方
法を提案する。また、蓄電池の蓄電量の表現方法として、充放電電流積算値を
放電容量で除して%表示したSOC(State Of Charge)が一般的に使用され
るが、SOCの推定精度を向上する方法を提案する。さらに、蓄電量を電力量
(Wh)で表現する方法を提案する。
主な成果
1.高温時の放電容量を基準としたSOC表示
蓄電池の蓄電量を表すSOCは、充放電電流積算値を放電容量で除して求め
るが、放電容量が電池温度や経年で変化するため一義に定まらず、通常は定格
放電容量を使用するため現実の値からかい離があり、SOCに大きな誤差が発
生する。現時点の高温時の放電容量を基準とし、温度低下により運用できるS
OC範囲が狭まるという考え方でSOCを求めると再現性が高くなることを確
認した。また、蓄電池の開回路電圧と高温時の放電量を基準としたSOCの間
に高い相関性があることを確認した。
2.運転中データから放電容量を推定する方法
蓄電池の開回路電圧と高温時の放電量を基準としたSOCの間に高い相関性
があることを利用して、運用中に充放電停止時の開回路電圧を2点測定し、そ
の時点のSOCを推定する。2点間の充放電電流積算値を2点間のSOC差で
除することで、高温時の放電容量を推定することができることを確認した。
3.蓄電量を電力量で表示する方法
蓄電池の蓄電量を電流積算値(Ah)基準で行うのは、クーロン効率(Ah
効率)がほぼ100%である(損失がない)ためである。そこで、蓄電池の損
失を除いた電力量(Wh)基準を用いることで、電流積算値基準と同等の蓄電
量管理ができることを確認した。
120
充電上限
SOC(% 40℃基準)
100
80
充放電可能範囲
60
40
20
放電下限
0
-10
0
10
20
温度(℃)
30
40
50
図-1 充放電可能範囲
図-2 開回路電圧とSOCの関係
(高温容量基準SOCで表現)
(組電池)
表-1 開回路電圧を使った放電容量推定値と実測値
温度
△5℃
10℃
25℃
40℃
OCV
SOC40
推定容量 実測容量
放電時
充電時
放電時
充電時
(Ah)
(Ah)
2.102
2.493
11.6
88.1
16.41
16.07
2.064
2.586
5.8
96.9
19.54
19.34
2.01
2.62
2.6
98.6
20.59
20.8
1.91
2.643
0.5
99.3
21.19
21.46
図-3 蓄電量の電力量管理の
図-4 電流積算基準SOCと電力量
イメージ図
研究担当者
基準SOCの関係
多田安伸
(株式会社四国総合研究所 産業応用技術部)
問い合わせ先
株式会社四国総合研究所 企画営業部 事業管理課
TEL 087-843-8111(代表) E-mail
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