Page 1 Page 2 学位(専攻分野) 博 士 (医 学) 学位授与の日付 平成ー2

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
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神経誘導因子により発現が誘導される神経初期因子群の
単離とその機能解析( Abstract_要旨 )
水関, 健司
Kyoto University (京都大学)
2000-03-23
http://hdl.handle.net/2433/180859
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏
名
みず
せき
けん
じ
水
開
健
司
(
医
学)
学位(
専攻分野)
博
学 位 記 番 号
学位授与の要件
2
2
2
5号
平 成 1
2年 3 月 2
3日
学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
医 学 研 究 科 生 理 系 専 攻
学 位論 文題 目
神経誘導 因子 に よ り発現 が誘 導 され る神経 初期 因子 群 の単 離 とその機 能 解 析
論文調 査委 員
欝 ㌔ )
影 山龍一郎
学位授与の日付
医
士
博
第
論
教 授 鍋 島陽一
文
内
容
の
要
教 授 中西重患
旨
7
0年前 Spe
mannらは,脊椎動物原腸腰背側部 (
オーガナイザー)の持っ神経誘導活性 により未分化外腔葉か ら神経組織
di
nや Noggi
nはオ-ガナイザ-特異的分泌因子であり,
が誘導 されることを証明 した。 近年単離 された神経誘導因子 Chor
BMP4等の表皮化因子に細胞外で直接結合 LBMPシグナルを遮断することで,未分化外腫葉か ら神経組織を誘導する。 し
か し,未分化外膝葉が神経誘導因子の シグナルを受 け取 った後, どのような神経初期因子が機能 して神経組織 に分化するの
かは不明であ った。本研究では神経初期因子群の神経発生 に於 ける役割を明 らかにする目的で,神経特異的プローブ,表皮
特異的プローブの二者を用いてアフ リカツメガェル初期神経板 c
DNA ライブラリーをデ ィファレンシャルスク リーニ ング
c
r
l
,
Sox2
,
Sc
i
xDを単離 した。 これ らの因子の発現 はすべ
し,極めて早 い時期か ら神経特異的に発現する 3つの転写因子 Zi
て BMP4で抑制, Chor
di
nで誘導 されたことか らChor
di
nの下流因子候補 と考え られ, その機能を mRNA微量注入法で
検討 した。
Zi
cどlはショウジョウバエ pai
r
r
ul
e遺伝子 oddpai
r
e
d と相同性を有す z
i
ncf
i
nge
r型転写因子であることが一次構造解
ns
i
t
uhybr
i
di
z
at
i
on解析では,初期腔で予定神経領域に一様 に発現 した後,後期迩以降腹側の発
析か ら明 らかになったoi
nvi
t
r
o培養系では Zi
c
・
rlの強制発現により神経組織が
現 は消失 し,神経管の背側部に限局 して発現 した。未分化外妊葉の i
誘導 されたO涯での強制発現では神経 ・神経堤マーカーの発現領域を拡大 し,表皮マーカーの発現を抑制 したO以上より,
∑i
c
rlは未分化外旋葉な らびに i
nvi
voにおいて神経分化を誘導するのに十分であることが示 された0
性決定因子 Sr
yと相同性 を有す転写因子である Sox2は,初期経 よ り陸発生 を通 じて全神経領域 に発現 していたoi
n
vi
t
r
o培養系で未分化外膝柔に Sox2を強制発現 させたが,明 らかな神経化活性を認めなか った。Sox2の作用には協調 して
増殖因子)を作用 させた。その結果,Sox2
働 く共同因子が必要である可能性を考慮 し,Sox2と同時に勉の分化制御因子 (
と bFGFは協調的に神経分化を促進 させることが判明 した。 即ち, i
n vi
t
r
o培養系で未分化外依葉に対 して Sox2単独,
bFGF単独では神経化の活性は見 られなか ったが,Sox2+bFGFで神経組織が誘導 された。
新規の Sox関連遺伝子である SoxD は,初期原腸隆では一旦外隆幸全域 に発現 し,それ以降の膝発生では神経外経葉 に限
nvi
t
r
o培養系での強制発現で SoxDは前脳 タイプの神経組織を分化させた。発生中の膝の
局 して発現 した.未分化外膝葉 i
外膝葉において SoxDを異所性に発現 させると,神経組織が異所性に形成 された。そこで神経発生における SoxDの役割を
検討するため, dom
i na
nt
ne
gat
i
ve型 SoxD として DNA結合領域を除いた SoxD BD (-) を作製 し, i
nvi
voで野生型
SoxDの機能を阻害 したところ,前脳の発生が強 く阻害 された。 このことか ら SoxDが前方神経の発生に必須であることが
示 された。
以上のように,本研究では神経発生の初発段階を制御する分子実体が明 らかとなった0
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4
1-
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
神経系の発生 は未分化外妊葉 に神経誘導因子が作用す ることにより開始す る0本研究では神経発生の初期段階を制御する
分子実体を明 らかにす る目的で神経初期発生制 御因子群 の単離 とその機能解析 を行 い,以下 の結果を得た.
アフ リか ソメガエル陸 よ り di
f
f
e
r
e
nt
i
als
c
r
e
e
ni
ngの手法 を用 いて, 神経誘導因子 によ り発現が誘導 され神経発生の極め
c
r
l
,
Sox2
,
SoxDを単離 した。それぞれの因子の役割 を,未分化外匪葉
て初期か ら神経特異的 に発現す る 3つの転写因子 Zi
nvi
t
r
o培養系並 びに経 に於 いて,mRNA微量注入法を用 いて検討 した。
のi
Zi
c
rlは ショウジョウバ エPa
i
r
r
ul
e遺伝子 o
ddpai
r
e
dと相同性 を有す z
i
ncf
i
nge
r型転写因子であり, 強制発現 により
神経分化を誘導す るのに十分であることが示 された。
yと相同性 を有す転写因子である Sox2は,単独では神経化の活性 は認 め られなか ったが,未分化外膝葉 に
性決定因子 Sr
於 いて ba
s
i
cf
i
br
obl
as
tgr
owt
hf
a
c
t
orと協調的に神経分化 を促進 させることが示 された。
新規の So
x関連遺伝子である SoxD は強制発現 によ り神経分化を誘導す るのに十分であ った.更 に domi
nn
at
ne
ga
t
i
ve
型 So
xDを作製 Li
nvi
voで野生型 SoxDの機能阻害を試み,前方神経の発生 に必須であることが示 された。
以上の研究 は,初期神経発生の機構 を明 らかに した もので,神経発生の理解 に寄与す るところが多い。
したが って.本論文 は博士 (
医学)の学位論文 と して価値 あるもの と認める。
なお,本学位申請者 は,平成 1
2年 1月 2
9日実施の論文内容 とそれに関連 した試問を受 け,合格 と認め られた ものである。
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4
2-