微分積分学I 演習問題3解答

微分積分学 I 演習問題 3 解答
1. (1)次のように計算してよい.
(
)2
( 2
)
∂
∂
∂
∂2
∂2
+3
f = 4 2 + 12
+ 9 2 f = 4f (2,0) +12f (1,1) +9f (0,2) .
2
∂x
∂y
∂x
∂x∂y
∂y
(2) f (x, y) = e2x+y なので f (2,0) = 4e2x+y , f (1,1) = 2e2x+y , f (0,2) = e2x+y . よって
(
)2
∂
∂
f (2,0) (0, 0) = 4, f (1,1) (0, 0) = 2, f (0,2) (0, 0) = 1. よって 2 ∂x
+ 3 ∂y
f (0, 0) =
4 · 4 + 12 · 2 + 9 · 1 = 49.
2. f (1,0) = − sin(x + 2y), f (0,1) = −2 sin(x + 2y), f (2,0) = − cos(x + 2y), f (1,1) =
−2 cos(x + 2y), f (0,2) = −4 cos(x + 2y), よって f (0, 0) = 1, f (1,0) (0, 0) = 0,
f (0,1) (0, 0) = 0, f (2,0) (0, 0) = −1, f (1,1) (0, 0) = −2, f (0,2) (0, 0) = −4. マクロー
リンの定理より
cos(x + 2y) = f (0, 0) + f (1,0) (0, 0)x + f (0,1) (0, 0)y
1
+ (f (2,0) (0, 0)x2 + 2f (1,1) (0, 0)xy + f (0,2) (0, 0)y 2 ) + o(r2 )
2!
= 1 − x2 − 2xy − 2y 2 + o(r2 ).
別解: cos t = 1 − t2 /2 + o(t2 ) である. t = x + 2y とおいて, cos(x + 2y) =
1 − (x + 2y)2 /2 + o(r2 ). ここで o(t2 ) は o(r2 ) と書いてよいことに注意.
3. (1) f (1,0) (x, y) = 2x + y, f (0,1) (x, y) = x + 4y − 7 なので, 極値をとる点の候
補はこれらを 0 と置いた連立一次方程式の解 (−1, 2) である. この点におけ
る判別式を調べる. f (2,0) (x, y) = 2, f (1,1) (x, y) = 1, f (0,2) (x, y) = 4 だから
D(x, y) = 7. 特に D(−1, 2) = 7 > 0. さらに f (2,0) (−1, 2) = 2 > 0 なので f
は (−1, 2) で極小値 −7 を取る.
注: f (x, y) = (x + y/2)2 + 47 (y − 2)2 − 7 と変形できることにも注意.
(2) f (1,0) (x, y) = f (0,1) (x, y) = ex+y > 0 より 極値をとる点はない. よって 極値
なし.
(3) f (1,0) (x, y) = 3x2 + 2y − 1, f (0,1) (x, y) = 2x − 2 である. 方程式 3x2 +
2y − 1 = 2x − 2 = 0 を解くと, 極値をとる点の候補として (1, −1) が得ら
れる. f (2,0) (x, y) = 6x, f (1,1) (x, y) = 2, f (0,2) (x, y) = 0 より D(1, −1) =
f (2,0) (1, −1) f (0,2) (1, −1) − f (1,1) (1, −1)2 = 6 · 0 − 22 = −4 < 0. したがって
極値なし.
(4) f (1,0) (x, y) = 3x2 + 2x + 2y, f (0,1) (x, y) = 3y 2 + 2x + 2y である. また
f (2,0) (x, y) = 6x + 2, D(x, y) = 4(3x + 1)(3y + 1) − 4 である.
方程式 f (1,0) (x, y) = f (0,1) (x, y) = 0 を解いて極値の候補を見つける. f (1,0) (x, y)−
f (0,1) (x, y) = 3(x + y)(x − y) = 0 より x = y または x = −y.
(i) x = y の場合. x = y を f (1,0) (x, y) = 0 に代入すると 3x2 + 4x = 0. よって
(
)
x = 0, − 34 となる. y = x なので, (0, 0), − 43 , − 43 が極値をとる候補になる.
(ii) x = −y の場合. (i) と同様に f (1,0) (x, −x) = 3x2 = 0. よって x = 0. よっ
て (0, 0) が極値をとる点の候補になる.
以上より, 極値を取る点の候補が 2 つ得られた. D を計算すると, まず
D(0, 0) = 4 − 4 = 0. このときは教科書の定理は使えないが, f (x, y) = x3 +
y 3 + (x + y)2 だから, y = −x とおいてみたくなる. すると常に f (x, −x) = 0
(
)
となる. よって (0, 0) で極値を取らない. 次に D − 34 , − 43 = 32 > 0 となる.
)
(
)
(
64
をとる.
また f (2,0) − 43 , − 43 = −6 < 0 であるから, f は − 34 , − 43 で極大値 27
(5) f (1,0) (x, y) = 4x3 + 4x − 4y, f (0,1) (x, y) = 2y − 4x, f (2,0) (x, y) = 12x2 + 4,
D(x, y) = 8(3x2 −1) となる. 極値を取る点の候補は 4x3 +4x−4y = 2y−4x =
0 を解いて得られる. y = 2x を f (1,0) (x, y) に代入すると f (1,0) (x, 2x) = 4x3 −
4x = 4x(x−1)(x+1) となるから, 極値をとる点の候補は (−1, −2), (0, 0), (1, 2) と
なる.
D(−1, −2) = 16 > 0, f (2,0) (−1, −2) > 0 より f は (−1, −2) で極小値 0 をと
る.
D(0, 0) = −8 < 0 なので, f は (0, 0) では極値をとらない.
D(1, 2) = 16 > 0, f (2,0) (1, 2) > 0 なので f は (1, 2) で極小値 0 をとる.
4. ヒントを考慮すると, 最大値, 最小値を求めるためには以下の手順を踏めばよい.
(1) 円盤の内部 (つまり x2 + y 2 < 1 となる領域) で f (1,0) = f (0,1) = 0 となる点を求
め, その点での f の値を計算し, (2) 円盤の境界 (つまり円周上) での f の最大値・
最小値を求め, (3) (1),(2) で得られたいくつかの f の値の中から, 最大になるもの,
最小になるものを選ぶ. これで円盤上での最大・最小が分かる.
(1) について, f (1,0) = 2x − 1, f (0,1) = 2y − 1 であるから, 偏微分が 0 になる点は
(x, y) = (1/2, 1/2) であり, f (1/2, 1/2) = −1/2 である (注: 実はこれは極小値に
なるが, このことは証明する必要はない. よって D(1/2, 1/2) などを計算する必要
もない).
(2) について, 円盤の境界では x = cos θ, y = sin θ, g(θ) = f (cos θ, sin θ) θ ∈ [0, 2π)
√
と置ける. 加法定理などにより g(θ) = 1 − cos θ − sin θ = 1 − 2 cos(θ − π/4) と
√
√
なるので, g は θ = π/4 で最小値 1 − 2 を取り, θ = 5π/4 で最大値 1 + 2 を取る.
√
√
(3) 以上により, 最大・最小値は −1/2, 1 − 2, 1 + 2 のどれかである. この中か
√
ら最も大きいもの, 最も小さいものを選べばよく, 結局, 最大値は 1 + 2, 最小値
は −1/2 となる.
5. (1) f (x, y) = 左辺 とおく. f (0,1) (2, −1) = 3 · 2 + 5 · (−1)4 = 11 ̸= 0. よって陰関数
の定理から (2, −1) の近くで陰関数 y = φ(x) が存在する. y がこのように x の
関数になっていることに注意して, x3 + 3xy + y 5 − x + 1 = 0 の両辺を x で微
2 +3y−1
分すると, 3x2 + 3y + 3xy ′ + 5y 4 y ′ − 1 = 0, これより y ′ = φ′ (x) = − 3x3x+5y
4 .
′
さらに (x, y) = (2, −1) と置いて φ (2) = −8/11 を得る.
(2) f (x, y) = 左辺とおく. f (0,1) (π/2, 0) = 2 ̸= 0 となるので, 陰関数の定理か
ら (π/2, 0) の近くで陰関数 y = φ(x) が存在する. y を x の関数と見て, 等式
f (x, y) = 0 の両辺を x で微分すると, 0 = − sin x+2y ′ cos xy−2y(xy)′ sin xy+
2 cos y − 2xy ′ sin y = − sin x + 2y ′ cos xy − 2y(y + xy ′ ) sin xy + 2 cos y −
sin x+2y 2 sin xy−2 cos y
2xy ′ sin y. よって y ′ = φ′ (x) = 2 cos
となり, さらに (x, y) =
xy−2xy sin xy−2x sin y
′
(π/2, 0) を代入して φ (π/2) = −1/2.
6. (1) x2 + xy + 2y 2 = 2(y + x/4)2 + 78 x2 である. これが 1 になるためには, 87 x2 ≤ 1
が必要である. 逆にこの条件が成り立つとき, 方程式は (x の関数として) 解
√
y を持つ. よって方程式を満たす (x, y) の取りうる x の最小値は − 8/7, 最
√
大値は 8/7 である.
別解: x を定数と見て y についての 2 次方程式 2y 2 + xy + x2 − 1 = 0 が解を
持つための x に関する条件を求めればよい. つまり判別式 ≥ 0 となる条件を
求めれば良い.
(2)解の公式より
y=
よって φ(x) =
√
−x+ 8−7x2
, ψ(x)
4
−x ±
=
√
8 − 7x2
.
4
√
−x− 8−7x2
.
4
(3)直接 φ を微分してもよいが, ここでは陰関数の定理を用いる. x2 + xφ(x) +
2φ(x)2 = 1 の両辺を x で微分して, 2x + φ(x) + xφ′ (x) + 2φ(x)φ′ (x) = 0,
よって φ′ (x) = − 2x+φ(x)
. φ′ (x) = 0 となる点は 2x + φ(x) = 0, すなわち
x+2φ(x)
√
7x + 8 − 7x2 = 0 の解である (この等式より直ちに x < 0 が分かる). これ
√
を解いて, x = − 1/7. 教科書の例題 4.4.2 の公式 (覚えなくてよいです) を
√
√
√
用いると, φ′′ (1/ 7) = −(7 + 7)/(4 7) < 0 となる. 教科書定理 2.3.2 によ
√
√
り f は x = − 1/7 で極大値 2 7/7 を取る.
7. x2 − xy + y 3 = 7 の両辺を微分すると, 2x − y − xy ′ + 3y 2 y ′ = 0, よって y ′ =
y−2x
. よって求める点は y = 2x を満たす. さらにこれを元の方程式に代入し
3y 2 −x
2
て, x − 2x2 + 8x3 = 7, これは因数分解できて (x − 1)(8x2 + 7x + 7) = 0. 常に
8x2 + 7x + 7 > 0 なので, x = 1. よって P の座標は (1, 2) となる.