Title CAB and ADEs Author(s) 並木, 幹夫 Citation 泌尿器

Title
CAB and ADEs
Author(s)
並木, 幹夫
Citation
泌尿器外科 = Japanese journal of urological surgery, 25(7): 1525-1527
Issue Date
2012-07
Type
Journal Article
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/2297/40244
Right
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http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/
前立腺癌薬物療法研究会 発足記念シンポジウム記録
泌尿器外科 2012年
題新展開を迎えた前立腺癌治療薬の位置づけ
25 (7), 1525 ’v 1527
Present Status of ADT’
2. CAB and ADEs:・
並本幹夫
金沢大学:大学院医学系概究科集学的治療学(泌搬器科学〉*
憩謝頑卑 ’
が示されている(図2)1)。このため,Labrieら
は前立腺癌に対するホルモン療法は単に去勢のみ
前立腺癌治療において,ホルモン療法はHug-
では不十分で,アンチアンドロゲン剤との併用の
ginsらの報告以来約70年経過した今も重要な位
必要性を提唱した。これが現在までCAB療法(以
置を占めている。ただし,当初の去勢術やエスト
前はmaximum androgen blockade:MABやto-
ロゲン剤による治療から,最近ではしH-RHアゴ
tal androgen blockade:TABなどとも言われて
ニストとアンチアンドロゲン剤を併用するcom-
いた)という名前の治療法で広く用いられてきた。
bined androgen blockade(CAB)療法が用いら
れることが多い。しかし,去勢単独治療と比較し
皿 進行性前立腺癌に対するCAB療
ての有用性については以前から論争があった。ま
法の臨床評価
た最近,ホルモン療法に伴う有害事象が,ホルモ
ン療法そのものに対する批判となっている。以上
CAB療法は進行性前立腺癌の治療法として広
の点につき,私見を含め概説した。
く用いられてきたが,多くのrandomized con-
trolled trial(RCT)で相反する結果が報告され
I CAB療法の作用機序
てきた。その大きな理由は,使用するアンチアン
ドロゲンが一定でないことであった。しかし,
DHEAなどの副腎由来のアンドロゲンは本来
Prostate Cancer Trialist’Collaborative Groupの
アンドロゲン作用が弱いため,前立腺癌治療にお
メタアナリシスでは,フルタミドなど非ステロイ
いて軽視されていたが,Labrieらは副腎性アン
ド性アンチアンドロゲン剤を用いた場合のCAB
ドロゲンが前立腺細胞内代謝(intracrine,図1)
療法の有用性が示された。Klotzらは,複数の過
により,テストステロンやDHTに変換されるた
め,前立腺組織中のDHTの約40%が副腎由来で
去のCAB療法の臨床試験:の成績を再解析する方
あることを報告した。われわれの臨床データで
独に比して約20%死亡リスクを減少させるとし
も,去勢中の前立腺癌組織内には,コントロール
た。赤座らによるビカルタミドを用いたCAB療
と比較して25%程度のDHTが残存していること
法のRCTにおいても, CAB療法はLH-RHアゴ
法で,ビカルタミドを用いたCAB療法は去勢単
ニスト単独に対し有用性を示し(図3)2),さらに
QOLの低下も認められなかった。
*金沢市宝町13-1(076-265-2390)〒920-8640
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泌尿器外科 2012年7月弓
図1 副腎組織内でのアンドロゲン合成(intracrine)
全生存率 (全症例)
1.0
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0.8一
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騨轍CAB wlth blcalutamlde 80mg(n=102)
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0.2一
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3 4 5 6 7
Time(years)
Tissue
図2去勢後の摘出した前立腺癌組織内のアンドロゲン濃度
図3進行性前立腺癌に対するCAB療法とLH-RH
前立腺癌組織内には去勢後にも約25%のDHTが
analog単独療法の治療成績の比較
残存する(文献1より引用改変)。
CAB療法は全生存率を改善した(文献2より引
用改変)。
表1ホルモン療法を受けている前立腺癌患者の心血管系疾患による死亡率(文献3より引用改変)
Year
obse罫ved捻umber of pa毛ie且ts
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CVS de翫ths圭n p&tients
Est茎搬ate{董CVS孤ortality rate in Japa捻ese
窒モ奄魔奄獅〟@horrno職a}重her銭py
@ ≦≧e11{∋ral Popu韮at董on coh◎rt
2001
800
2
4.0 / 800・year
2002
1,666
5
9ユ /1,666・year
2003
2,515
16
15.1 /2,515・year
2004
2,243
9
145 /2,243・year
2005
1,835
10
12.7 /1,835・year
2006
1,470
7
11.0 /1,470・year
前立腺癌患者の心1血管系疾患による死亡率は同年代の一般男性の心1血管系疾患死亡率より高くない。
皿 ホルモン療法による有害事象とそ
ごく最近になり,ホルモン療法は必ずしも心血管
の予防
系障害を惹起するとは限らないという結論の論文
も報告され,未だ議論のあるところである。赤座
最近,多くの論文でホルモン療法による心血管
らはJ-CaPのデータに基づき,2001~2006年の
系障害などの有害事象が報告され,ホルモン療法
ホルモン療法を受けていた前立腺癌患者の心血管
そのものを否定するような風潮があった。しかし
系疾患死亡率が同年代の一般男性の心血管系疾患
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並木 CAB and ADEs
献
文
死亡率より高くないことを報告し(表1)3),日本
人ではホルモン療法による有害事象は欧米人ほど
1) Mizokami A, Koh E, Fujita H, et al:The adrenal an-
多くないことを示した。
drogen androstenediol is present in prostate can-
ただし,生活様式の欧米化に伴い,循環器疾患
cer tissue after androgen deprivation therapy and
や糖尿病などが増加傾向にあるので,ホルモン療
activates mutated androgen receptor. Cancer Res
64: 765-771. 2004
法を施行する泌尿器科医は,適度な運動や食事療
2) Akaza H, HiRotsu S, Usami M, et al:Study Group
法などの生活指導を行うべきである。生活指導用
for the Combined Androgen Blockade Thera. py of
に作成された小冊子の内容を講演の中で紹介した。
Prostate Cancer. Combined androgen blockade
with bicalutamide for advanced prostate cancer :
.Long-term follow-up of a’phase 3, double-blind,
randomized study for survival. Cancer 115: 3437-
3445, 2009
3) Akaza II : Future Prospects for Luteinizing Hor-
mone-Releasing Hormone Analogues in Prostate
Cancer Treatment. Pharmacology 85: 110-120,
20!0
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