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症 例
自律 神 経 障 害 と潜 在 的 心 機 能 障 害 を有 す る
ミ トコン ドリア遺 伝 性 糖 尿 病 の1例
鈴木
吉 彦*1縦
門脇
孝*2岡
松岡
要 約:多
山
幸 彦*1渥
美
義 仁*1片
桐
秀 樹*2
芳 知*2細
川
和 広*1木
村
満*1
健 平*1
彩 な 自律 障 害 系 の 愁 訴 を持 つ ミ トコ ン ド リア(以
告 す る.症 例 は48歳,女
した.ま
性.38歳
下Mtと
略 す)遺
伝 性 糖 尿 病 の1例
た 不 定 の 胸 部 症 状 が あ っ た が 心 エ コ ー や 心 電 図 で 異 常 を認 め な か っ た.そ
球 に てMtのDNAの3243位
peatadecanoic
acid(以
変 異 が 確 認 さ れ た.ま
下123I-BMIPPと
略 す)心
認 め 心 筋 内 脂 肪 酸 代 謝 障 害 が 示 唆 さ れ た が,そ
著 に 改 善 し た.以
上 よ り,123I-BMIPP検
後,こ
た123I-labeled
筋SPECT検
た,本
の 後,末
梢 白血
beta-metyl-iodophenyl
査 で 側 壁,下
の後,CoenzymeQ10治
査 はMt遺
あ り治 療 効 果 も反 映 し う る事 が 分 か っ た.ま
ま れ な例 と考 え られ る が,今
を報
で 糖 尿 病 を 発 病 し,以 後 原 因 不 明 の 起 立 性 低 血 圧 や 膀 胱 障 害 を有
壁,心
尖 部 に欠 損 を
療 後 に 異 常 所 見 は 消 失 し顕
伝性 糖 尿病 の潜在 的 心機 能 異 常発 見 に有効 で
例 はMt遺
伝 性 糖尿 病 で も自律神 経 愁訴 を もつ
の よ う な 患 者 に は 循 環 器 系 にMt性
の 異 常 が 潜 在 す る可 能 性 に
留 意 す べ き事 が 示 唆 され た.
Key
words:
(1)ミ トコ ン ドリア遺 伝 子 異 常 症(2)糖
尿 病 性 自律 神 経 障 害(3)起
(4)糖 尿 病 性 心 筋 障 害(5)123I-BMIPP心
筋 ス ペ ク ト検 査
立 性低血圧
〔糖 尿 病38(1):39∼44,1995〕
序
略 す)心 筋SPECT検
文
ミ ト コ ン ド リ ア(以
下Mtと
略 す)機
エ ネ ル ギ ー 産 生 に 関 わ りATPを
臓 器(神
経
筋,心
多 く利 用 す る 多
な ど)の 障 害 を 呈 す る.ま
症
のA→G点
家 族 歴:母
変異 が 注 目され膵 細 胞 の 障 害
と の 関 係 が 注 目 さ れ て い る1,2,3).本 稿 で は 上 記 変
異 型DNAを
有 し,か
例
症 例:48歳,女
た,
糖 尿 病 と関 連 す る 遺 伝 子 異 常 と し てMtのDNA
3243位
査 の意 義 に つ き考 察 す る.
能異常 は
性.
は糖 尿 病 を有 し 胃癌 で 死 亡.父,兄
弟(兄1名,妹2名
の4人
兄 弟),子
供(2名)は
健 在 で 糖 尿 病 な し.
既 往 歴:17歳,虫
つ 多 彩 な 自律 障 害 系 の愁 訴
垂 切除
れ ら 症 状 とMt異
現 病 歴:38歳
常 の 関 連 お よ び123I-1abeled
beta-metyl-iodo-
糖 値 が270mg/dlと
phenylpentadecanoicacid(以
下123I-BMIPPと
院 後 教 育 指 導 を受 け 中 間 型 イ ン ス リ ン朝8U,夕
を 訴 え た 糖 尿 病 例 を 紹 介 し,そ
*1 東京 都 済 生 会 中央 病 院 内 科(〒108東
*2 東京 大 学 医 学部 第 三 内 科(〒113東
の 時,陰 部 掻 痒 感 が あ り空 腹 時 血
高 く糖 尿 病 と診 断 さ れ た.入
京 都 港 区 三 田1 -4-17)
京 都 文 京 区 本 郷7 -3-1)
受 付 日:平 成6年1月13日
採 択 日:平 成6年7月25日
― 39―
糖 尿 病 38巻1号 Table
1
Laboratory
metabolic
data
indices
and results
of other
and otological
tests.
examinations.
4U を 開 始 し退 院 した .
退 院 後,血
(1995)
Abnormalities
are
な い(Table1).空
糖 コ ン トロ ー ル は落 ち着 き3年 間 は
present
in the
glucose
腹 時 血 糖 値110∼190mg/dl,
HbA1c8∼9%,尿
中24時
自覚 症 状 は な か っ た.し か し41歳 頃 よ りた ち く ら
か っ た.網 膜 症 お よ び 持 続 性 蛋 白 尿 は 無 し .SMV5
後80/65mmHgで
れ た.そ
あ り起 立 性 低 血 圧 症 と診 断 さ
の後 メ シ ル 酸 ジ ヒ ドロ ェ ル ゴ タ ミ ン(Di-
hydergotR)の
投 与 を受 け増 悪 寛 解 を繰 り返 し た
が徐 々 に 改 善 し臥 位 血 圧110/60mmHg,起
110/70rnmHgと
立後
血 圧 降 下 も認 め な くな っ た。
か け に,血 糖 コ ン トロ ー ル がHbAlc7.9%か
腹 時 血 糖 値120mg/dlか
ら
ら200mg/dl
の 間 で し ば しば 変 動 す る よ う に な っ た.こ
の頃 よ
り頻 尿 が 出 現 し膀 胱 炎 の 所 見 は な く,神 経 因 性 膀
胱 と診 断 され た 。 また 不 安 が 強 い 時 や冷 気 を 吸 う
時
軽 度 の 動 悸 や 胸 部 不 快 感 を感 じ た.心
エ コー
上 昇 し て い た.心
11拍/分
と 低 下 し て い た.聴
-T変
力検査 で両 耳 に軽度
電 図 でnonspecific
化 は あ るが 特 徴 的 所 見 は な く
,安
な か っ た.し
か し123I-BMIPP心
で は 側 壁,下
壁 お よ び 心 尖 部 に明 らか な 欠 損 像 を
認 め た(Fig.1上
球 よ り調 整 し た.こ
CC-3';34563437)を
整
長163cm,体
能 正 常.血
重57.5kg.意
圧130/70mmHg,脈
識清
拍73/分,
領 域 をPCR法
のDNAを
断 し,ア
梢 血 白血
用 い2種
に て 増 幅 し た.こ
のPCR産
物 を
て切
ガ ロ ー ス ゲ ル に て 電 気 泳 動 を 行 い,3243
変 異(GAGCCC→GGGCCC)の
低 下 な し.ア キ レ ス腱 反 射 消 失.上
正 常 人 よ り 得 たPCR産
物(427bp)はApaIに
り切 断 さ れ な か っ た.一
方,3243変
肢下肢 触覚 正
背 動 脈 は触 知 す る.
主 要 検 査 所 見:一
般 血 液 生 化 学 検 査 で は異 常 は
―40―
含 む
認 識 す る)に
小 脳 障 害 な し.四 肢 運 動 機 能 に異 常 な く四 肢 筋 力
常.足
のプ ライ
用 い てtRNA(Leu)を
制 限 酵 素ApaI(GGGCCCを
胸 部 心 肺,腹 部 に 異 常 な し.眼 球 運 動 は正 常,
査
段).
3029-3048と5'-AGCGAAGGGTTGTAGTAG-
身 体 所 見:身
筋SPECT検
ミ トコ ン ド リ ア 遺 伝 子 検 査:DNA末
状 は狭 心 症 と して は非 典 型 的 で,更
明,知
ST
静時 心 エ
コ ー 図 で 特 異 な 壁 肥 厚 も な く心 壁 運 動 異 常 を 認 め
マ ー(5'-AAGGTTCGTTTGTTCAACGA-3';
断 され て い た.
拍変
動 検 査 で は深 呼 吸 時 最 大 心 拍 数 と最 小 心 拍 数 差 が
検 査 や ホ ル タ ー 心 電 図 検 査 な どで 異 常 は無 く,症
年 期 障 害 と診
査 で異 常 な
を 用 い た振 動 覚 検 査 で は上 肢 尺 骨 頭 振動 覚 閾 値 が
右38,左30(×10-2G)と
の 高 音 性 難 聴 が あ っ た.心
46歳 頃 よ り子 供 の 受 験 に よ る ス トレ ス を き っ
9.2%,空
検 査 や 頭 部CT検
泄量
み を強 く自覚 し,臥 位 血 圧120/90mmHg,起
立直
部X線
間C-peptide排
70μ9.胸
有 無 を 検 討 し た.
とが 既 に 判 明 し て い る 患 者 のDNAか
よ
異 を有 す る こ
ら のPCR
自 律 神経 障 害 と潜 在 的心 機 能 障 害 を有 する ミ トコン ド リア遺 伝 性 糖 尿 病 の1例
Fig. 1 Short axis slices of 123I BIVIIIT images in this patient. Myocardial uptake of 123I BMIPP
is decreased
in the lateral, inferior and
apical
regions.
After coenzyme
Q10 therapy,
however,
the decreased uptake has recovered
to normal.
産 物 はApaI切
断 に よ り214bpと213bpの
ドを 生 じ た.患
者DNAのPCR産
型DNAと
バ ン
断 に よ り214bPと213bPの
常 に 薄 い バ ン ド だ っ た(デ
ず).3243位
がAか
らGに
り樹,こ の た め 本 例 で は,Mt遺
ー タ示 さ
伝 子 異 常 に よ る心
血管 反射 や膀胱収 縮 の潜在 的機能低 下 が既 に存在
変 異 し て い る 異 常Mt
遺 伝 子の 存 在 は ヒ記 のPCR席
筋症 に自律神経 系
臓 器 障 害 を 伴 う事 は ま れ で は あ る が 知 られ て お
バ ン ドの 存 在 が 認 め
ら れ た が,非
い う まれ な 異 常 を 有 す る事 か ら そ の 関
与 が 疑 わ れ た.す な わ ち,Mt脳
物 もApaI切
し,血 糖 調 整 乱 調 に よ り増 悪 寛 解 を繰 り返 し 自覚
物 を サ ブ クロ ー ニ
ン グ し 塩 基 配 列 を 決 定 す る こ と に よ り確 認 し た
され る よ う に な っ た と推 察 し た.な
(デ ー タ 示 さ ず).な
(Mitochondrial
い427bpの
Mt遺
Mt遺
お,Apa
Iに よ り 切 断 さ れ な
バ ン ド も 認 め た 事 よ り,患
伝 子 と3243;A→G点
lactic acidosis
者 は正常 な
そ の 後 の 経 過:ヒ
記 よ りMt遺
カ 月,さ
ら に60mg/日(分3)を1カ
投 与2カ
月 後,胸
改 善 を 認 め た(Fig.1下
11essが 強 い,心
筋 内CoQ10低
回 の 欠 損 部 は消 失 し顕 著 な
伝 子異常
に よ り起 こ る糖 尿 病 の存 在 が 知 られ た 現 在,糖
段).
察
た,そ
尿
心 筋 症 で あ ろ う と推 察
う した 関 連 が 不 明 だ っ た 事 情 か
定 型的
ら糖 尿 病 診 療 に お い て心 筋 症 の 診 断 は これ ま で 困
胱 障 害 な ど が 次 々 と起 こっ た症 例 で
難 で あ り,症 状 が あ りな が ら放 置 され て い た患 者
本 例 は 糖 尿 病 発 病 後,起
あ る.こ
下 な どが 知 られ て
い る が機 序 は不 明 だ っ た6).し か しMt遺
され る.ま
胸 部 症 状,膀
れ
まで 糖 尿 病 性 心 筋 症 と呼 ば れ て い た.心 筋stiff-
月 継 続 し た.
病 性 心 筋 症 の 一 部 はMt性
考
持
の よ う な 自律 神 経 系 の臓 器 障
代 謝 障 害 を 背 景 と し た糖 尿 病 の 心 病 変 は,こ
投 与1
部 症 状 は 消 失 し,123I-BMIPPを
再 施 行 し た と こ ろ,前
の主微
episode)
変 異型DNAを
害 を愁 訴 とす る患 者 の 報 告 は まれ で あ る.
伝 性 糖 尿 病 と診
Q10 30mg/日(分3)の
and stroke-like
つ 糖 尿 病 患 者 で,こ
おMELAS
encephalopathy,
を有 さ ずtRNA(leu)3243位
変 異 を有 す る 異 常
伝 子の ヘ テ ロ プ ラ ス ミ ー と 考 え た.
断 し,Coenzyme
myopathy,
れ ら は 従 来,糖
立 性 低 血 圧,非
も 多 か っ た だ ろ う と推 察 さ れ,新
尿病 性 自律神経 障害 関連
の 病 像 と し理 解 さ れ て い た が,本
例 で はMt変
異
開 発 が 待 た れ て い た。
―41―
た な検 査 手 段 の
糖 尿 病 38巻1号 こ う した 中,我 々 は123I-BMIPP心
検 査 に着 目 した.そ
筋SPECT
異 常 所 見 が ミ トコ ン ド リア機 能 に関 与 して い た 事
の 原 理 は123I-BMIPPが
脂肪
酸 と して 心 筋 細 胞 内 に 取 り込 まれ た 後,初
期 反応
で β 酸 化 を受 け ず,主
(1995)
を 強 く示 唆 した.こ
Coenzyme
と して トリ グ リセ リ ドに合
Q10な
の た め123I-BMIPPは
今後
どの 治 療 効 果 の判 定 に対 して 有
用 な 手 段 に な る だ ろ う.
さ ら に,本 例 の 主 訴 は動 悸 お よ び起 立 性 低 血 圧
成 され 脂 質 プ ー ル に保 持 さ れ る機 序 を利 用 す る.
Mt機
能 は 脂 肪 酸 代 謝 に 関 連 す る た め,123I
-BMIPPの
分 布 像 異 常 は心 筋 脂 肪 酸 代 謝 障 害 を
で あ っ た事 か ら,上 記123I-BMIPPな
反 映 し,そ の 結 果Mt機
能 異 常 を 反 映 す る と考 え
力 低 下 が 起 立 時 の 心 血 管 反 射 低 下 を 惹 起 し適 切 な
どで 確 認 さ
れ た 潜 在 的 心 筋 異 常 との 関 連 が 疑 わ れ た.心 収 縮
られ て い る.こ れ ま で に もそ の理 論 は ア ド リア マ
血 圧 保 持 を困 難 にす るの で は,と 推 察 さ れ るが 証
イ シ ン投 与 動 物 や 肥 大 型 心 筋 症 患 者 な どで 確 認 さ
明 は 難 しい.今 後 の 課 題 と考 え る.ま た 近 年3243
れ て い る 乳8).ま たMt脳
点 変 異 を有 す るMELASに
筋 症 に つ い て も,木 原 ら
はMELASやMERRF(Myoclonus
with
ragged-red
epilepsy
fibers)の
異 常Mtが
患 者 に対 し集 積 度 の
るMt遺
血 管平 滑筋細 胞 内の
指 摘 され て い る事 か ら,同 変 異 を有 す
伝 性 糖 尿 病 に お い て も,心 筋 や,血
管平
低 下 を 報 告 し て い る9).し か しMELASや
滑 筋 を含 め た 循 環 器 系 平 滑 筋 異 常 の 合 併 を 考 え て
MERRFの
お くこ とは 臨 床 的 に重 要 で あ ろ う11,12)。
Mt遺
主 徴 は な く,糖 尿 病 を主 病 像 とす る
伝 子 異 常 を持 つ 患 者 に 検 討 され た 報 告 は 未
だ な く関 心 の あ る と こ ろ だ った.
謝
辞
本 例 で は,症 状 も軽 く心 エ コ ー 図 で 特 異 な壁 肥
本 論 文作 成 につ き貴重 な御 助 言 を いた だ き ました
厚 もな く壁 運 動 が 正 常 だ っ た に もか か わ らず123I
-BMIPP分
布 像 は顕 著 な 集 積 異 常 を 示 して い た .
門 脇 弘 子 先 生,ま た御 協 力 を い た だ き ま した 田 中
ま た 集 積 度 が 低 下 し た部 位 の 分 布 が 冠 状 動 脈 の 灌
先 生 に感 謝 の意 を表 し ます.
逸 先生,朝 比 奈 崇介 先生,村 田千里 先 生,杢 保 敦 子
流 域 に合 致 し て い な い 点 も,心 筋 梗 塞 や 狭 心 症 な
どの 冠 血 管 障 害 の 場 合 と は 異 な っ て い た.こ
は,123I-BMIPP心
筋SPECT検
査 がMt異
文
れ
常を
もつ潜 在 的 な 糖 尿 病 患 者 発 見 に優 れ た 特 性 を有 す
る こ と を示 唆 した.こ
SPECT検
の た め,123I-BMIPP心
査 は一 般 糖 尿 病 診 療 に お け るMt遺
筋
伝
子 異 常 に よ る糖 尿 病 の ス ク リー ニ ン グ検 査 と して
有 用 で は な い か と考 え た.な
お,本
2) Oka Y, Katagiri H, Yazaki Y, Murase T and
Kobayashi T (1993) Mitocrondrial gene mutation
in islet-cell-antibody-positive
patients who were
initially non-insulin-dependent
diabetics. Lancet
342: 527-528
例 を契機 とし
て,そ の 後 多 くの 自験 例 で 調 査 し たpreliminary
な検 討 で は,Mtの3243DNA点
尿 病 患 者8名
変 異 を有 す る糖
中6名(75%)に
内123I-BMIPPの
本 例 と同様 の 心 筋
取 り込 み 異 常 が 心 筋 像 の 一 分 画
以 上 の 部 分 に確 認 され,そ
の 内5名
症 状 が あ っ た.こ れ に対 しMtの3243変
な い対 照 とな る糖 尿 病 患 者6名
患 者 は お らず,心
3) Kadowaki T, Kadowaki H,Mori Y, Tobe K, Sakuta R, Suzuki Y, Tanabe Y, Sakura H, Awata T,
Goto Y, Hayakawa T, Matuoka K, Kawamori R,
Kamada
T, HoraiS,
Nonaka I, Hagura R,
Akanuma Y and Yazaki Y (1994) A Subtype of
Diabetes Mellitus Associated with a mutation in
the Mitochondrial gene. N Eng J Med, 330 : 962-968
に非 定 型 胸 部
異 を有 さ
で胸部 症状 が あ る
筋 像 の 一 分 画 以 上 の 異 常 を示 し
た もの は い な か っ た(最
終 的 な 結 果 の 詳 細 は別 報
に て縦 山 らが 報 告 す る10)).
ま た,本 例 の 経 過 中,ミ
献
1) Van den Ouweland JMW, Lemkes HHPJ,Ruitenbeek W,Sandkuijl
LA,Vijlder ME, Struyvenberg
AA, Kamp JJP and Massen JA (1992)P Mutation in
mitochondrial tRNALeu gene in a large pedigree
with maternally transmitted type II diabetes mellitus and deafness. Nature genetics1:
369-371
4) Suzuki Y, Kadowaki H, Katagiri H, Suematsu M,
Atsumi Y, Hosokawa K, Kadowaki T, Oka Y,
Yazaki Y and Matsuoka K (1994) Posttreatment
Neuropathy in Diabetics with Mitochondrial tRNA
トコ ン ド リア機 能 を 回
復 しえ る薬 剤 で あ るCoenzyme
Q10投 与 後123I
-BMIPP検
査 所 見 が 顕 著 に 改 善 して い た .こ れ は
―42―
自律 神 経 障 害 と潜 在 的 心 機 能 障 害 を有 す る ミ トコ ン ド リア遺 伝性 糖 尿病 の1例
(Leu)
5)武
mutation.
田 浩 一,川
Diabetes
井 充,作
Care
田 学,武
け る ヨウ ド脂 肪 酸 心 筋 シ ンチ グ ラ フ ィの臨 床 的 検 討
: (in press)
村 民 子(1989)反
復 す
核 医 学,29:453-460
る麻 痺 性 イ レ ウ ス と 低 緊 張 性 膀 胱 を 主 徴 と す る ミ トコ
ン ド リ ア 脳 筋 症.臨
6) Kishi
T, Kishi H,
Bowers
CY
litus.
Watanabe
(1976)
cine. XI studies
10) Momiyama
床 神 経29:643-646
T, Folkers
Bioenergetics
on coenzyme
awa
K and
in clinical
medi-
Q and diabetes
mel-
よ る心 筋 ミ トコ ン ド リ
核 医 学,26:69-76
一,杉 原 洋 樹,馬
中 村 隆 志,中
川 雅 夫(1992)肥
秋 弘,河
田 佳 明,志
野 義 雄,勝
賀 浩 治,
よ る心筋 イ メー ジ ン グの検 討
條正敬
別 府 良 昭,中
敏,納
中 弘 充(1992)ミ
光 弘,田
呼 と 循,40:175-181
生 野 博 久,阿
中 尾 正 一 郎,中
an Iodinated
11) Goto
目 紘,中
大 型 心 筋 症 に お け る1231-BMIPPに
9) 木 原 浩 一,中
K,
and
Metabolism
with
Ohsuzu
F, Atsumi
Kimura
of the
Mitochondrial
with
Branched
M.
Heart
Impaired
in Diabetic
3243 by tRNA
Myocardial
Fatty
Y,
S, Ui 5, Hosok-
Muta-
Imaging
Using
Acid Analog
(近 日投
稿 予 定)
本 郁 男,原
川 達 哉,東
Y,
Y, Nakagawa
Matsuoka
Acid
Patients
Suzuki
T, Oka
tion ; Assessment
7) 緒 方 雅 彦(1989)葦25I-BMIPPに
8) 大 槻 克
K,
Fatty
J Med 7 : 307-321
ア機 能 評 価
Y,
Kadowaki
南 隆 一 郎,尾
川 正 法,栗
山勝
Y, Horai
M and Nonaka
myopathy,
encephalopathy,
stroke-like
辻 豊,
12) Sakuta
福永秀
ment
トコ ン ドリア症 に お
episodes.
R and Nonaka
in mitochondrial
594-601
― 43―
S, Matsuoka
Kobayashi
T, Koga
I (1992)
lactic
Neurology
I (1989)
myopathy.
Y, Nihei
K,
Mitochondrial
acidosis,
and
42 : 545-550
Vascular
Involve-
Ann Neurol
25 :
糖 尿病
38巻1号
(1995)
Abstract
A Case
of Mitochondrial
Autonomic
Symptoms
Yukihiko
Momiyama*1,
Yoshihito
Takashi
Kadowaki*2,
Yoshitomo
Oka*2
Hosokawa*1,
Mitsuru
Kimura*1
Kempei
Matsuoka*2
*1 Saiseikai
Central
Hospital,
Department
of Internal
Medicine
the case of a 48 year-old
mellitus.
Three
tRNA
ities associated
nomic
no abnormal
(leu) mutation
inferior,
Q10 therapy.
her various
that
is warranted
Internal
aware
University
of orthostatic
on routine
of Tokyo
acid
and might be capable
residual
Subsequently,
(123I-BMIPP)
it can be inferred
as having
and myocardial
These abnormalities
test might be useful in detecting
mutation,
hypotension,
tests.
in her leukocytes,
pentadecansic
revealed
resolved
subclinical
urine
a 3243
imaging
abnormal
after coenzyme
cardiac
abnormal-
of being used to confirm
that vasomotor
dysfunction
the
may
symptoms.
in view of the circulatory
when diagnosing
Tokyo
of Medicine,
findings
was documented
Furthermore,
autonomic
Medicine,
, Faculty
and apical myocardium.
with this mitochondrial
and
Atsumi*1
At the age of 38 years, she was diagnosed
later, she became
were
that the 123I-BMIPP
of Coenzyme
We conclude
woman.
beta-methyl-iodophenyl
in the lateral,
Q10 therapy.
This suggested
caution
years
but there
using 123I-labeled
have induced
Dysfunction
Suzuki*1,
mitochondrial
effects
Cardiac
Various
Katagiri*2,
and palpitations,
uptake
Subclinical
with
Hideki
*2Third
diabetes
and
Mellitus
Yoshihiko
Kazuhiro
We report
Diabetes
dysfunction
mitochondrial
due to the mitochondrial
diabetes
mellitus
patients
with various
symptoms.
J.Japan
― 44―
abnormality
Diab.Soc.38(1):39∼44,1995
auto-