児童発達支援センター資料(PDF形式 320 キロバイト)

プロフィールと各環境での様子
児童名
診断名
医療情報
生育上の
特記
家族構成
Sアスカ (男)
所属
週 2 回、14:30~15:30 の利用(個別支援、集団支援を 1 回ずつ)。送迎は父方祖母が
M保育園(年長)
自閉症スペクトラム障害・知的障害(中等度)
主に担う(母親が正職になった H25 年 4 月から)。欠席はほとんどない。
K病院 小児科
個別支援では、発語を引き出すことを目的とした遊び(ままごとやプラレール)の時間
乳児期:音に敏感で、よく泣く。日中はほとんど寝ない。人見知りなし。後追い弱い。
と、机上では、平仮名学習として、指示された文字カードを取る課題、文字同士をマ
1:6 健診:指さし(-)。有意味語(-)。動き回りじっとしていない。
ッチングする課題を行なう。文字の課題中は、「シナイ」と言って離席することがある
(数の課題でも同様の姿)が、指示された乗り物・食材絵カードを取るという別の課題
本人、父(公務員)、母(会社員)、兄(小学 5 年生)の 4 人家族
父親は、物静かで真面目な感じの方。当センターの面談には、お願いすれば必ず来て
家族情報
平成 26 年 10 月(6 歳 0 ヶ月)の状況
利用状況
は落ち着いて取り組んでいる。
くれる。本人の発達や成長には関心を持っており、就学については母親と同じく熱心に
集団支援は、「指示や順番を理解して行動すること」や「ダイナミックな遊びを通して
考えている(最近、本人のために平仮名練習帳を買ってきたとのこと)。1 回目の就学相
大人と楽しくコミュニケーションをとること」を目的に利用している。運動サーキットや、
談の結果については、「本人がどういう子なのか知ってもらい、家族としての希望を伝え
トランポリンでスタッフと一緒に跳んでいるときに笑顔が見られる。
てきたが、こちらの知りたいことまでは、話す余裕がなかった」と語っている。
母親が送迎した際のスタッフへの相談は、就学の内容がメインで、「今、小学生のお
平日は 19 時頃の帰宅(月~金の勤務)。家事にはほとんど関わらない。休日は兄のスイ
子さんがいる親御さんたちって、どうやって学校を決めたんでしょうね?」と興味深そ
ミングの付き添いや趣味のカメラを手に一人で出掛けるなどするが、仕事を家に持ち帰
うに尋ねてくることがあった。
ることも多く、土曜日は本人の世話を実家に任せている。好きなアニメの録画や、タブレ
入園から 3 年半が経過。介助保育士が 1 対 1 でつきながら、保育を受けてきた(本人
ットでプラレールの動画を見せてくれたりするなど、本人の好きなことをしてはくれるが、
その他の児に対応するため、保育園では視覚支援を取り入れている)。
一緒に関わって楽しむという姿勢ではない。
現在、活動の好き嫌いは目立つが、予定の変更等でパニックになることはなく、全体
母親も同じく真面目なタイプ。園との連絡や家事を一手に担う。療育には前向きで、本
的にはのびのびと生活している(苦手なことは無理に強要されていない)。ただし、音
人が 2 歳のときにはそれまでの仕事を辞め、入園までの半年間は特に、療育センター
楽(嫌いなものが多い)への抵抗感が強く、運動会やお遊戯会など行事への参加は
に足繁く通った経過がある。現在の仕事はサービス業で、帰宅は 18:00。休日は日曜
以外不定期である。正職であり、仕事を優先せざるを得ないため、父方祖母に頼ること
保育園
での様子
難しい。集会も苦手だが、数分間ならば着席していられるようになっている。
ことばの面では、ここ 1 ヶ月は日々新しいことば(の表出)を習得しているような印象で
が多い(本人の出産前には、これほど頼ることになるとは考えておらず、静かな生活を望
あるが、1~2 音での発語が多いため、親しい保育士でも内容を察することができず、
んで別居を選んだ)。祖母には、「療育はこれまで通り大事に考えているが、経済的にも
本人がもどかしそうにする場面が少なくない。
今の仕事は必要なので、バランスをとっていきたい」と語っている。
自由遊びの場面でも、1 年間で成長が見られ、プラレールやブロックをつくるなど、一
月に 1、2 回休みを合わせて来所し、センタースタッフに相談する中では、「これからは
つの遊びが続くようになってきた。友達が隣で遊んでいても嫌がることなく、同じ空間
アスカの身体も大きくなるし、私はいろいろと精一杯だし、お祖母ちゃんにもこれ以上頼
を共有して遊んでいる。
れないから、お父さんに頑張ってもらいたいんだけど・・」という話をしている。
2 階立ての家を、兄の出生前に購入(地元の小学校が近いことも購入理由だった)。
父方祖母は元保育士で、本人に対してはメリハリの効いた対応がとれる。本人の喜ぶ
新たに区画整備された土地で、目の前の道路は車の往来が少なく、公園も近い。
関わりが上手で、祖父母宅ではままごと遊びなどをして楽しい時間を過ごす。
センタースタッフと話す機会も多いが、就学や発達のことに関しては「そこは親の役目」
家庭環境
近所の家との距離が近いこともあり、本人が小さい頃は奇声に悩む時期もあったが、
両親ともに温和なタイプであるため、本人が必要以上に叱られることはこれまでなか
と話しており、息子夫婦が自分たちに頼りすぎないよう、入学後は極力面倒を見ないと
った。好きなこと(Eテレの視聴・プラレール遊び・図鑑)をしていれば本人は自宅で落
伝え、意識的に手を引いていこうと考えている様子。
ち着いているため、親子で関わるよりも一人で過ごしている時間がほとんどである。
発達の状態
項目
日常生活
の技能
健康
体調
運動
機能
読み書
き計算
理解の
仕方
交友
関係
興味
関心
その他
特記事項
状
態
項目
平成 26 年 10 月(6 歳 0 ヶ月)の状況
状
態
食事は、1 年前くらいから箸を持って食べられるようになった(ときどき手づかみ)。トイレの排尿は自立。排便は、お尻拭きのみ介助が必要。歯磨きは、仕上げのみ大人が行
う。衣類の着脱については、ボタンやチャックなどの細かい操作を園生活や祖父母宅で練習し、できるようになった。玩具の後始末は、一つひとつ指示がないと完結しない。
起床は 6:30、就寝は 21:30 までにはする(睡眠障害はない)。母親が添い寝をしないと眠れない。
風邪を引くのは季節の変わり目くらいで、あとは丈夫で元気にしている。虫
歯にもなったことがない。
アレルギー性鼻炎とアトピー性皮膚炎があり、アトピーは夏と冬に悪化する
が、年齢とともに改善傾向である。
走ったり跳ねたりすること、高い所に登ることが好きである(園では、男性保育
士に「たかいたかい」をしてもらい喜ぶ。園庭ではジャングルジムに登る)。バ
ランス感覚も悪くないが、協応動作は苦手で縄跳びは全くできない。ボール
を投げたり蹴ったりすることもしようとしない。自転車は補助輪つきで乗れる。
平仮名は「あ」のみ読める。自宅では、昔兄が使っていた絵付きの平仮名積
木を置いておくと、並べるなどして自分からいじっている(たまねぎ・にんじ
ん・りんごなどの食材系)。鉛筆を持って「点つなぎ」をすると、線が乱雑です
ぐにやめたがる。数は 1~10 の数唱ができ、数字は 1~3 までが読める。
大人の話すことは概ね理解している。視覚的な提示がなくても、簡単な言語
で指示されれば理解し反応できるタイプ(複数指示の遂行は難)。
単純な作業であれば一度見本を見て理解するが、慣れないことには拒否的
であるため、自立してできるようになるには時間や回数を要する。
子ども集団に対しては、やや警戒している様子だったが、最近は同じ空間で
遊んでいても本人がその場を離れることは少なくなった。一人の子とは似た
ような動きをして、笑顔で一緒に遊ぶ姿が時折見られる。
感覚
道具の
操作
移動
表現の
仕方
ルール
理解
乗り物が好きである(図鑑を時々見ている)。自宅では、録画を含めNHKのE
テレをよく見ている。最近は料理に関心がある様子。活動は、体をダイナミッ 好きなタイプ
クに動かしたり物を作ったりすること(操作が簡単で自由に作ってよいもの)が 嫌いなタイプ
好き。兄の影響で、見よう見まねでDSをしていることもある。
聴覚過敏があり、高い音や気に入らない音楽への抵抗感が強い(耳塞ぎや逃避
あり)。偏食が強く、野菜と魚介類はほとんど食べない。
水遊びが好きで、お風呂では父親と長い時間湯船につかりながら一人で玩具遊
びをする。
ハサミを使って紙を大まかに切ることはできるが、あまり興味はない(鉛筆の使用
と同様)。ブロックを組み合わせて電車や車の形にしたり、プラレールの線路と線
路をつなぎ合わせたりすることはすんなりとできる。
最近、家庭で包丁を使いたがるが、両親は触らせないよう気を付けている。
交通ルールは全く理解しておらず、多動で衝動的な面もあるため、外出時は大
人が目を離せない(広い歩道や車の通りが少ない道路では手をつながなくても歩
ける。横断歩道は手をつなぐ必要あり)。
兄を真似て自転車で外へ出掛けたがるが、両親は許していない。
1~2 音での表出が半分以上を占めるが、2~3 音の単語を状況に合わせて表出
する姿が目立つようになった(全てを合わせると語彙は少なく見積もって 50 語以
上)。2 語文(-)。要求だけでなく、自分の見つけた物や知っていることを大人に
伝えようとする。必要に応じてジェスチャーも使える。表情も豊か。
競争や勝ち負けには関心が無く、ルール理解も難しいことが多いため、保育園
では集団遊びや競技からは抜ける(逃避する)場面がほとんど。
徒競走などは、練習すればコースに沿ってマイペースで走ることができる。
体が大きく、一緒に体を動かして遊んでくれる男性が特に好き(保育士の中で、
男性保育士の名前だけ「あ(かぎ)せ(んせい)」と言って呼ぶことがある)。
嫌いなタイプは、しつこく接してくる人。声の大きい人や声の高い女性はあまり好
きでない。
慣れた人とはアイコンタクトがとれる。大人に対してはあまり人見知りがない。自分から他者(特に体の大きい男性)に接触することは好きだが、相手からの接触は好きでない。
予定の変更等でパニックになることはないが、興味の偏りが大きく意思も強いため、集団参加に関して周囲は無理強いをしていない(視覚的に見通しが持てると、少し我慢が
できる)。一人で自由にしていれば大きな問題は無く、指示があれば日常生活のルーティンをこなす(切り替えも 3 分以内には応じる)ことができるため、周囲の困り感は大きく
ない。思い通りにならずに泣いたり怒ったりしても、過度に大声を出して暴れることはない。
発達の評価
使用検査:KIDS 乳幼児発達スケール(TYPE
記入日
平成 26 年 10 月(6 歳 0 ヶ月)の状況
T)
H26 年 9 月○日
使用検査:新版K式発達検査2001
生活年齢
領域
運動
操作
理解言語
表出言語
概念
得点
31
22
23
17
9
発達年齢
4:1
2:4
3:1
2:9
得点合計
181
総合発達年齢
1:9
3:0
5 歳 11 ヶ月
記入日
対成人社会性
しつけ
食事
10
27
22
20
2:3
3:5
4:11
2:5
対子社会性
総合発達指数
50
H26 年 9 月○日
姿勢・運動
3:10
総合発達年齢
生活年齢
5 歳 11 ヶ月
発達年齢
認知・適応
言語・社会
2:3
2:2
総合発達指数
2:6
42
その他
H22.10(2:0)
H22.11(2:1)~
H23.2(2:4)~
H23.6(2:8)~
H23.12(3:2)
利用歴
「ことばが出ない」ことなどを主訴として、保健師の紹介で来談。
母子プレー支援(2 回/週)
母子プレー支援(2 回/週)+個別支援(1回/週)
個別支援(1回/週)+集団支援(1回/週)
~現在
K病院 △△Dr.に受診。「自閉症スペクトラム障害」「知的障害(中等度)」の診断を受ける。
関係機関・関係者
○M保育園 担任 △△先生
○K病院 小児科 △△Dr.
○きらり相談支援事業所
○教育委員会 就学支援係
○地区の保健師 △△さん
〔今後〕
○F小学校 特別支援コーディネーター
○B特別支援学校 特別支援コーディネーター
利用者のニーズ
本人
家族
・ことばを使って、自分のしたいことを伝えたり、気に入ったもの ・地元の小学校に入学させたいと思っている(自宅も近いし、兄も通っているので)。ただ、特別支援学校という
や思ったことを教えたりしたい。
選択肢も頭にはある(主治医には、特別支援学校を勧められた)。ただ、どちらの学校に入ったとしても、本人
・プラレールやままごと、体を使った遊びを楽しみたい。
がどのような姿で生活するのかなかなか想像できない。いろいろと相談に乗ってもらいたい。
・入学後のことも考えて、平仮名文字や数を習得してほしい。
・以前に比べてことばがたくさん出るようになっているので、会話が続くくらいまでことばが広がってほしい。
・〈母親より〉もう少し父親が本人と密に関わってくれたらと思う(体を使って遊ぶなど)。