宮崎県立宮崎西高等学校附属中学校3年黒木愛乃さんの作品(PDF

優 秀 賞
自然の営みと水
黒木
愛乃
宮崎県立宮崎西高等学校附属中学校
三年
川のほとりに宿る光、
「蛍」は年々減り続けています。原因はやはり、水質汚
濁。濁った水に、光は灯りません。長い年月をかけて育まれてきた命はとても
はかないものです。人の手によって変えられてしまった環境で、一瞬にして輝
きが失われます。このように、私達が蛇口をひねれば落ちる水一滴でも、生命
を維持する上で大きな役割を果たしているのです。
私は小学校高学年のとき、宮古島に行ったことがあります。そこに広がる海
は、当時の幼い私の人生観を美しく変えて見せました。何層にも見える青色、
透き通った海水、地球の丸さを思わせる地平線。そして、色とりどりのサンゴ。
大自然の神秘に満ちた美しさに感嘆の声を上げました。底がガラスばりになっ
たボートから見る水中のサンゴ。魚は生き生きとしていて、また違った海の魅
力を感じることができました。私は、ガイドさんから宮古島の水の話を聞きま
した。
「宮古島に、水田はありません。川がないからです。生活の水は、地下水でま
かなっています。」
つまり、汚れてしまった水が海に流れることはないのです。あの鮮かなサンゴ
礁も、その周りをとり巻く海水魚も、純粋に美しい海水から育まれた産物です。
人が何かを混ぜることもなく踏み入れることもない、地球の本来の姿であると
言えます。
宮古島には今日も観光客が押し寄せます。その殆んどの人が、美しく豊かな
自然を見ることが目的です。蛍はもちろんのこと、海や山などの自然はみな、
美しい水から産まれるものではないでしょうか。そして、それは人が無神経に
手を下すとたちまち消えてしまうはかないものなのです。
さらに、人間もまた、そのはかない自然の一部ではないでしょうか。一杯の
コップをすぐに満たしてくれる蛇口から出る水。私達は当然のものだと思いが
ちです。特に現代人は、蛇口のある家庭に生まれ、蛇口のある環境に育つ。も
し、水道の蛇口がなくなったら、なんて考える機会はほとんどありません。蛇
口がなくなれば、健康維持はもちろん、衛生面での安心も失われます。朝の洗
面、排便後の手洗い、消毒、お風呂。生活のリズムと共に、皮膚に付着した菌
を流す手段がなくなり、生命の維持さえ崩れてきそうです。
人間だけでなく植物もまた、水を生命の常套的存在として欲求しています。
誰もが知る通り緑は、根から水分を吸い上げ養分へ変え、活力へと変化させま
す。多肉植物などのように、厚い組織で大切な水分が蒸発してしまわない工夫
もあります。湿気の多い湿地で咲く蘭はそれはそれは美しいものです。
私は、地球上のすべてのものが水を必要とし、水でつながっていると考えま
す。つきつめて言えば、
「水」がなければ地球上の生命は誕生し、存続し続ける
ことはなかったでしょう。
これからは、一滴の水のもつ可能性を感じて、水に感謝し、愛おしむ心をも
ちたいと思います。それは地球の美しさを維持することにもなると私は信じて
います。人の手によって美しい地球を破壊することはよいことではありません。
動植物にとっても、人間自身にとっても。壊すのは簡単です。でも、人間が一
滴の水を大切に思う愛と誠をもつことで守り抜いた自然であるならば、その自
然の美しさは一層魅力を増すでしょう。それは私達の生きる共存の世で最も栄
えるべき美しさではないでしょうか。
外へ出ると、多くの自然を感じられます。目に見える自然から見えない自然
。
・・・
まで同じ「水」を共有するものは驚くほど多くあります。そのことを多くの人
に実感してほしいと思います。そして、この大自然で深呼吸を一つ