5.1.1 断面設計共通事項

5.1 基本事項
5.1.1 断面設計共通事項
第 5 章 断面設計
5.1 基本事項
5.1.1 断面設計共通事項
INDEX: 設計方法・設計応力・統合部材・注意事項
(1)設計方法
設計方法には、
「算定」
(16.1 一次部材の断面算定)と「検定」
(検定計算)がある。ただし、以下の場
合は設計/検定しない。
① 「設計/検定をしない」と入力した場合
② 鋼材に「その他鋼」を設定した場合
検定計算では、ユーザーの指定した検定対象断面の許容耐力が各設計用応力以上か否かを判定する。許
容耐力が不足する場合はその部材は NG とし、適用範囲外とするとともに、
「初期断面」を「設計結果断
面」に設定する。また、設計/検定をしないと指定した場合は、警告メッセージが出力される。
検定対象断面は通常初期断面であるが、個別設計(操作編参照)の場合は設計条件で入力された最小断
面である。最小断面が入力されていない項目については初期断面の値とする。
B-5.1.1-1
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(2)設計応力
断面算定箇所の設計応力は組み合わせ応力を直線補間して求める。ただし、部材端部の応力については
次のように設定する。
1)鉛直荷重が主となる荷重ケース
曲げモーメント
節点モーメントとフェースモーメン
トの絶対値の大なる値を用いる。
フェース位置
図-5.1.1.1 大梁の設計用曲げモーメント(1)
設計用せん断力の値は、節点位置の値とする。
2)水平荷重が主となる荷重ケース
曲げモーメント
フェース位置のモーメントを
用いる
フェース位置
図-5.1.1.2 大梁の設計用応力(2)
設計用せん断力の値も、曲げモーメントと同様にフェース位置の値とする。
B-5.1.1-2
5.1 基本事項
5.1.1 断面設計共通事項
3)フェース位置の設定
フェース位置は柱、大梁面とし、入り込み寸法は考慮しない。
フェース位置の基準となる面は次のように設定する
柱に対する大梁のフェース基準面は、左
右の大梁フェース位置が異なる場合は、
端部からみて遠い側(部材内側)をフェ
ース基準面とする。また、y/z方向別
フェース基準面
にフェース基準面を設定する。
この値を端部
フェースモー
メントとする。
フェース基準面
大梁に対する柱のフェース基準面は、下
柱のフェース位置をフェース基準面とす
この値を端部
フェースモー
メントとする。
る。下柱が無い場合は、上柱とする。
フェース基準面
フェース基準面
図-5.1.1.3 柱の設計用応力
4)S ルート 2 のブレース負担割合による応力割増
各層のブレースの層せん断力負担割合βに応じて、各部材に以下のような応力割増係数を乗じて設計用
用応力とする。
β
5
7
の場合
応力割増係数:1+0.7β
β
5
7
の場合
応力割増係数:1.5
βは指定された各解析ケース毎(EX、NL1~4 等)に算出し、断面検定時の応力割増係数は各々ケース
時のβを用いる。応力割増係数は My、Mz、N、Qy、Qz に乗じる。
断面検定用応力組合せに非線形(NL)解析結果を用いる場合、非線形(NL)解析時の応力から初期応力を引
B-5.1.1-3
5.1 基本事項
5.1.1 断面設計共通事項
いた値「NL1(~4)-NL0」に当該解析時のβを用いて求めた割増係数を乗じる。
※通常、
「NL1(~4)
」には EX や EY だけでなく、W 等の増分荷重も含まれているが、それらを分離
することができないため「NL1(~4)-NL0」が地震による増分荷重だと想定して割増を行うものとする
ので注意が必要である。
5)耐力壁の負担せん断力が層せん断力の 2 分の 1 を超える場合の応力割増
各層の耐力壁の層せん断力負担割合が 2 分の 1 を超える場合、指定により、柱(耐力壁の端部の柱を
除く)と大梁(耐力壁の上下大梁を除く)に対して以下のような応力割増係数を乗じて設計用応力とす
る。
① 柱のせん断力・曲げモーメントの応力割増係数
柱の地震時せん断力・曲げモーメントの応力割増係数cij は下式による。
cij = max(ci',cij'',1.0)
ci' は層の割増係数で i 層の柱は全て同じ値となる。
ci' = 0.25×ci/ci
ci = Nci/(Nci+Nwi)
Nci:i 層の柱の長期軸力の和
Nwi:i 層の耐力壁の長期軸力の和
ci = Qci/(Qci+Qwi)
Qci:i 層の柱の地震時せん断力の和
Qwi:i 層の耐力壁の地震時せん断力の和
cij'' は部材の割増係数である。
cij'' = 0.25×CoZRtAi×Ncij/Qcij
Ncij:i 層 j 番目の柱の長期軸力
Qcij:i 層 j 番目の柱の地震時せん断力
② 柱の軸力の応力割増係数
柱の地震時軸力はその層の転倒モーメントに比例するため、①で割り増し後の層の転倒モーメント
を計算し、割り増し前の層の転倒モーメントとの比を柱の軸力の応力割増係数とする。従って、i 層
の柱は全て同じ値となる。
H4
Q4→tM4
Q4’→tM4’
H3
Q3→tM3
Q3’→tM3’
H2
Q2→tM2
Q2’→tM2’
H1
Q1→tM1
Q1’→tM1’
ni = k=i~n(Qk'×Hk)/k=i~n(Qk×Hk)
k=i~n:i 層より上(i 層を含む)の層の和
B-5.1.1-4
ni = tMi'/tMi
5.1 基本事項
5.1.1 断面設計共通事項
Qk':割り増し後の k 層の層せん断力=j(ckj×Qckj)+jQwkj
Qk:割り増し前の k 層の層せん断力=jQckj+jQwkj
Hk:k 層の階高
③ 梁のせん断力・曲げモーメントの応力割増係数
梁に接続する全ての柱(通常は左右・上下の 4 本)のせん断力・曲げモーメントの応力割増係数の
平均値を、梁のせん断力・曲げモーメントおよび軸力(軸力考慮設計時)の応力割増係数とする。
gij = (k=1~mcik)/m
gij:i 層 j 番目の大梁の地震時応力の割増係数
k=1~mcik:当該大梁に接続する柱の割増係数の和
m:当該大梁に接続する柱の数
④ 部材毎に応力割増を無視する場合
大梁が 1 方向に接続する柱では、大梁と直交方向の地震時せん断力が小さいため、①のcij''が過大
になる場合がある。そこで、柱・大梁について部材毎に応力割増を考慮するか無視するかの指定が
可能である。
柱の応力割増を無視した場合、その柱の設計用応力だけでなく、その階以下の柱の設計用軸力や、
接続大梁の設計用応力に影響するので注意が必要である。
(3)統合部材
統合部材は統合後部材を 1 部材として断面設計をする。
(4)注意事項
・ 現在、建物共通設計条件の SRC 大梁/小梁の設計条件に「SRC ウェブ曲げ負担率」の入力欄があ
るが、本機能の後に開発された 5.2.4(1)の鉄骨部分の設計用曲げモーメントの補正計算と干渉す
るため、
「SRC ウェブ Z 考慮」指定を「考慮」とした場合は、
「SRC ウェブ曲げ負担率」は必ず 1.0
とする必要がある。現在 SRC 小梁の上記入力欄のデフォルト値は 0.0 であるため、必ず 1.0 に修正
する。
B-5.1.1-5