Deloitte TP Alert : 2014年7月号

Deloitte TP Alert
税理士法人トーマツ
2014 年 7 月
※本ニュースレターは、Deloitte Touche Tohmatsu Limited が 2014 年 7 月 10 日に発信した「Transfer pricing alerts」の内
容を翻訳したものです。このニュースレターの英語版と参考和訳に差異がある場合は、英語版が優先されます。
移転価格税制改正案を含むインド 2014 年度予算
Samir Gandhi および Manisha Gupta(ムンバイ)より
インド財務大臣 Arun Jaitley 氏は 7 月 10 日、モディ
移転価格は独立企業間原則を満たすとされる。
政権当初予算を発表し、納税者の意見に対応した
移転価格税制に関する項目も含まれた。
しかし、財務大臣は平均値の概念も完全には廃止
せず、選定された比較対象企業の会社数が不適切
2001 年にインドに移転価格税制が導入され、納税
な場合、平均値が適用されることも示唆した。財務
者は移転価格分析の複数年度データの適用および
大臣は、必要な情報を分析しており、具体的な規定
独立企業間価格レンジ概念の導入を求めてきた。
は追って発行されると述べた。納税者は、レンジお
納税者はようやく、モディ政権が約束した「Acche
よび平均値に関する概念の詳細および導入は、規
Din」(良い日)を迎えることができる見込みである。
定が発行されるのを待たなくてはならない。
(1)
独立企業間レンジ概念の導入
1961 年版インド所得税法上、最も適切な算定方法
を適用して算出された価格が複数ある場合、独立
企業間価格は当該価格の平均値とその変動と定め
新たな規定においては、現状の卸売業について 1%、
その他の業種に関しては 3%という産業・事業活動
ごとに異なる厳格なレンジではなく、フルレンジまた
は四分位レンジが導入されることが期待されてい
る。
ており、当該変動は卸売業について 1%、その他の
複数年度データ
業種に関しては 3%を超えてはならない。
(2)
財務大臣はスピーチにおいて、国際的なベストプラ
現状の規定では、納税者が過去 2 年分のデータが
クティスとの整合を取る観点から、独立企業間価格
分析対象年度の移転価格に影響を及ぼしていると
算定におけるレンジ概念の導入を表明した。OECD
証明できないかぎり、分析対象取引と同年度の数
移転価格ガイドライン、国連移転価格マニュアル等
値の使用が義務付けられている。いくつかの産業は
の国際的な指針、および先進国の移転価格税制等
周期性があり、過年度の数値に基づいて価格設定
においても、四分位レンジ(第 1 四分位以下および
を行っている場合や、文書化作成時点で分析対象
第 4 四分位以上の結果を除外)の概念を適用してお
年度のデータが入手不可能な場合もあるため、当
り、分析対象取引が第 2、第 3 四分位に収まる場合、
該規定は納税者にとって大きな問題であった。
1
財務大臣は国際的な指針や国際的なベストプラク
ティスとの整合を取る観点から、複数年度データの
使用が認められるよう規定を改訂することを発表し
た。しかし、財政法案または説明覚書にこれ以上の
詳細についての記載はない。そのため納税者は制
度の導入に係る詳細についても、規定や通達の発
表を待たなくてはならない。
(3)
事前確認制度(APA)の遡及適用
税務調査を受けていない年度に係る紛争防止およ
び解決のためのもう一つの歓迎すべき動きとして、
財務大臣は現在の APA スキームに 2014 年 10 月
1 日より有効な遡及適用制度を導入すると発表し
た。
遡及適用は APA 対象年度から 4 年間可能となる予
定である。例えば合意された確認対象年度が 2015
年度以降の場合、当該合意内容は過去 4 年間
(2011 年度から 2014 年度)にも適用可能となる。遡
及適用条件、手順、方法に関しては追って発表され
ると説明覚書に記載されている。
APA 交渉段階において、現在進行中の調査や訴訟
について遡及適用対象年度がどのように対処され
るのか明確な指針が必要となる。
(4)
みなし国際取引
現状の規定では、ある企業(A)の非関連企業(X)と
ある企業の関連企業間(B)で事前に合意がある場
合または当該取引条件を非関連企業(X)と関連企
業(B)が実質的に決定している場合、ある企業(A)
と非関連企業(X)間の取引は国際取引としてみなさ
れる。取引当時者(A or X)のうち、一方はインド非
居住者でなくてはならないとする判例があるが、
2014 年度第二財政法案(The Finance (No.2) Bill
2014)は、2014 年度以降に開始した取引を対象に
定義を改訂し、国外関連取引とみなされる取引は、
非関連者(X)についてはインド居住者または非居住
者であっても構わないと発表した。当該法案はみな
し国際取引適用に当たり、非関連企業(X)の居住
地ではなく、ある企業(A)または関連企業(B)の一
方が非居住者でなくてはならないと明示するとして
いる。
2
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