アステラス製薬株式会社 代表取締役社長 社長が事業経営の根幹とマネジメントの要件 とするのが、同社の経営スタイル。畑中好彦 ション創出に挑戦し続けている。変化を常態 メーカーとして、新薬開発で絶えざるイノベー 医療用医薬品、その中でも新薬に特化した製薬 と藤沢薬品が合併して誕生したアステラス製薬。 いる大切な行動原理だ。二〇〇五年に山之内製薬 ダーシップ研修などでも必ず社員たちに伝えて を司る ──。アステラス製薬がグローバルリー 単に変化に対応するのではなく、変化そのもの ーティングでも、同じ目線で議論ができる。こ グローバル会議でも、各地でのタウンホールミ するのか﹂ 。だからこそ、研究開発の現場でも、 ていくのか﹂ ﹁患者さんにどんな価値をお届け ました。 ﹁我々はどういう社会的価値を創造し 当社は合併当初から、社内外において、可能 な限り透明性の確保、価値の明確化に努めてき く理解していることを表しています。 経営計画、ビジネスモデルを、個々の社員がよ これはつまり、アステラス製薬が掲げる理念や リー・リーダーとしての次のテーマは?﹂など。 きな影響を与えます。 医薬ニーズなど、潮目の変化は我々の事業に大 情勢や創薬最前線での研究動向、また新興国の 中にある製薬業界。巨大市場である欧米の医療 シグナルを見つけ出せ﹂ 。グローバル競争の只 私はマネージャーやリーダークラスの社員に、 常日頃からこう言っています。 ﹁見えないほど るのは﹁人﹂ 、解決するのも﹁人﹂なんです。 ば、問題が解決するわけでもありません。決め 思っています。 れがアステラス製薬の強さの一つではないかと への可能性が秘められている場合もある。複雑 の大きな変化を見逃すな。見逃すほどの小さな を語る。 界の各極に拠点を持つ当社では、 人が、最終目的を共有し、自分自身の職務の中 あらゆる社員が同じ目線で議論をする。アス テラスグループを構成する世界の約一万八〇〇〇 その意味で﹁大きな変化と小さなシグナル﹂ に気づくことはやはり重要。私自身、疑問が湧 にとっての安定とは、つまり"変化し続けるこ いくうえで不可欠の条件です。アステラス製薬 解を出し続けること。これは当社が生き残って な変数が、加速度的に増加していく中で、最適 海外でも、現地社員と語り合う﹁タ ウンホールミーティング﹂をよく開 大きな変化を見逃すな 小さなシグナルを見つけ出せ で、適切な判断を下していく。会議が物事を決 いたり、分からないことがあると、すぐに世界 と"なのです。 めるのではありません。組織や仕組みをつくれ の実現のためには、外部との連携も積極的に図 りますし、組織や事業プロセスも、さらに磨い ば、研究、開発、生産、営業活動などの各部門 新薬開発には九年から一七年という長い年月 がかかります。この時間軸の長さは、ともすれ ていく構えです。 アステラス製薬の創薬研究は、現状治療満足 度が低く医薬品の貢献が求められる﹁アンメット・ で、価値観のズレを生じさせる恐れもある。だ 各地の担当者にコンタクトを取り、確認や質問 ﹁Oneアステラス﹂ で をするようにしています。すると面白いもので、 人々の健康に貢献する の社員がアンテナを高くし、感度を高め、ネッ メディカル・ニーズ﹂の分野に集中しています。 からこそ我々は﹁先端・信頼の医薬で、世界の やヒントが集まってくるようになる。一人一人 トワークを広げていく。そして新たな価値につ 精神・神経疾患、糖尿病合併症などの領域です。 人々の健康に貢献する﹂との理念のもと、常に 具体的には、泌尿器疾患、移植・免疫関連、がん、 科学や技術のイノベーションを患者さんの価値 一万八〇〇〇人の想いが一つになった会社 コラボレーションで結果を出していく。このよ うな社員のオーナーシップが我々の事業活動の に変えて届けるのが我々の存在価値であり、そ ﹁Oneアステラス﹂であることを目指している 駆動力だと、私は思っています。 ながる可能性をキャッチし、既存の枠を超えた その発信を契機に、さまざまなところから答え ﹄に続く指針は何か?﹂ ﹁特定の ﹃ VISION2015 領域で競争優位を確立するグローバル・カテゴ 例えば、 ﹁現在の中期経営計画や経営ビジョン ち、同じ課題を語ることです。 ィングをしても、参加者たちが共通の基盤に立 催します。そこで喜ばしいのが、どこでミーテ 世 が ︵医療情報担当者︶ また一方で、研究者やMR 現場で接するデータや知見に、イノベーション 変わり続けることこそが、経営を安定させ、事業を活性化する 畑中好彦 アステラス製薬 二〇 〇 五 年 に 山 之 内 製 薬 と 藤 沢 薬 品が合 併し て 発 足。 国 内 トップ ク ラスの製 薬 企 業として、 医 療 用 医 薬 品 に 特 化。 加えて、ジェネリック医 薬 品︵ 後 発 医 薬 品 ︶も 扱 わ ない独 自 路 線で 成 長軌道を走る。 ﹁選択と 集 中 ﹂に よ る 効 率 的 な 事 業 戦 略が持ち 味。 次 代へ向け、さらに新たな 価値創造へと挑む。 畑中好彦 ︵はたなか・よしひこ︶ 一九五七年生まれ。八〇 年一橋 大 学 経 済 学 部 卒 業 後、 藤 沢 薬 品 入 社。 二〇〇五年アステラス製 薬 経 営 企 画 部 長、 〇 六 年アステラスファーマUS 社長兼CEO、 〇九年上席 執 行 役 員 経 営戦略・財務 担当。 一一年から現職。 のです。 多様性のある個人が社会との関係性を正しく 認識し、いま自分に何が求められているかを常 に考え、行動できる会社。そして、それぞれが 能力を最大限に発揮し、結果を出せる環境。こ れらをつくるのがマネジメント層の役割です。 管理職には、部下が悩みを抱えたまま週末を 過ごさないですむよう、 ﹁金曜の夕方に声をか け、課題を共有すること﹂を伝えています。一 つ上のレベルで判断すると、容易に解決できる ことがあるし、組織の課題も明らかになります。 しかしその結果、毎週末、社長である私のとこ ろに、多くのリスクを内包する課題が上がって 。でもそれは組織として、 くるようになった︵笑︶ 健全なことだと思っています。今後も社会から 認められる企業として存在し続けるため、経営 環境を整え、最適な解決策を導き出し、変化と イノベーションを促進させるのが、私の仕事で すから ││。 ■お問い合わせ先/アステラス製薬株式会社 URL http://www.astellas.com/jp/
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