大学病院の基本知識を身につけ,提案できる若手事務職員になろう

大学病院の基本知識を身につけ,提案できる若手事務職員になろう!
~病院長!こんなのいかがでしょう!?~
(第8回
国立大学附属病院若手職員勉強会)企画書
【提案班】
3班
【テーマ】
職員満足度 NO.1
―経営改善に向けた経営戦略チームの組織化―
【班メンバー】
1.
大学・所属
氏名
司会者
発表者
秋田大学医学部附属病院
遠田 和也
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筑波大学附属病院
足利 智美
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群馬大学医学部附属病院
高橋 勇輝
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東京大学医学部附属病院
末永 幸加
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信州大学医学部附属病院
加藤 恭平
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浜松医科大学医学部附属病院
豊島 一寿
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大阪大学歯学部附属病院
酒井 啓太
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鳥取大学医学部附属病院
武尾 重之
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長崎大学病院
大津 元起
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琉球大学医学部附属病院
島袋 崇
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企画の目的
【現状分析と問題提起】
大学病院は様々な職種の,数多くの職員によって運営されています。個々の職員は日常の業
務を行う中で,現場の様々な課題や改善点の発見,新たな要望の発生等を経験しています。し
かし,現在は,個々の要望を病院中枢がスムーズに吸い上げ,迅速にそれらの実効性を検討・
検証し,実行に至るまでの道筋を作る体制が整備されているとは言えません。その要因として,
特に次の 4 点が問題だと考えます。
1. 個々の要望等を受ける担当部署(窓口)が明確になっていないこと。
2. 上司(各診療科や部門の長)を経由しないと要望等が病院中枢に伝えられず,現場の声を
直接的に吸い上げる体制になっていないこと。
3. 各担当部署を総括し,旗振りを行う組織がないこと。
4. 現場からの同じような要望を違う事務担当部署が受けて,それぞれ動く恐れがあること。
そこで 3 班では,これらの解決策を「体制の整備」として,既存の組織とは別の「経営改善
に向けた経営戦略チームの組織化」を提案します。
経営戦略チームの組織化により,上で挙げた 4 つの問題点に対し,個々の職員の声を届ける
窓口を明確にすること,積極的に現場の声を吸い上げること,要望等の実行に向けての旗振り
を行うこと,相談・対応窓口を一元化することが実現可能となります。
加えて,既存の組織(たとえば経営企画や経理担当部署)とは別で経営戦略チームを組織化
することは,初動対応の迅速化にも繋がります。既存の組織では,日々の業務に追われており,
新規要望等に関する調査や検討を行う時間が十分に確保されておらず,対応が遅れる場合があ
るためです。
たとえ小さなことでも,しっかり検討した上で実行すれば,病院全体の収益を大きく押し上
げ,結果として経営改善に繋がるものもあるはずです。可能性が少しでもあるのであれば,そ
の効果を少しでも病院経営に反映させるために,迅速に動ける体制の構築が必要です。
2.企画の効果
【企画のもたらす効果】
1.現場の声を「直接」聞き,かつ「直接」フィードバックすることができる
現場と直接向き合うことは,経営改善の糸口の発見に繋がります。また,職員の声が病院中
枢に届き,実際に推進されていくことで,職員の士気が高まることも期待できます。
2.要望発生から対応完了までのプロセスが明確かつ迅速になる
要望を出す側も受け取る側も混乱なく,たらい回しもなくなります。そして,複数部署間の
煩雑な調整や作業の重複,初動の遅れも防ぐことができます。また,既存の縦割り組織を超え
てシンプルかつスムーズな活動が可能となります。
3.能動的に要望を吸い上げられる
従来の受動的な対応だけではなく,チーム自身が積極的に各部署をラウンドすることで,
能動的に要望・課題を吸い上げることができます。
3.
企画内容
【全体計画】
(別紙)
4.
実施体制等
【企画実現に係る実施体制(協力体制も含む)】
『ワンストップ相談チーム』
・概
要:要望(経費がかかる案件)の相談・検討窓口および旗振り役となるチーム
・構 成 員:医師 1 人(併任,准教授か助教),看護師長 1 人(専任)
事務職員 4 人(専任 1 名,兼任 3 名(会計系,医事系,施設系))
・活動内容:
(全体)定期的な現場へのヒアリング,情報収集,検討,
実施に向けた内容や財源の調整,委員会の準備
(個別)医
師=チームリーダー,医療面での妥当性の検証,調整等
看護師長=リーダーのサポート,看護面での妥当性の検証等
『経営改善断行委員会』
(毎週開催)
・概
要:チームからあがってきた要望を審議し,実施の可否を決定する委員会
・構 成 員:病院長(委員長)
,副病院長,看護部長,事務部長,
その他必要に応じて関係部署の長
【企画実現に係る課題と解決策】
1.要望が大量にあがってきた場合,対応しきれない
⇒対象を「経費のかかる案件」に限定し,優先度や期限を明確にして対応します。
2.チームの構成員には各分野における専門的な知識を有する人材が必要となる
⇒医師,看護師,事務職員(会計系,医事系,施設系等)をメンバーとします。また,兼任
の事務職員は,チームと各事務部署をつなぐ「リンク職員」の役割を果たします。
3.兼任の事務職員の業務負担が増える可能性がある
⇒あらかじめ支障が出ないように各事務部署内で業務調整を行ってもらいます。
4.チーム立ち上げ時,現員の中から専任の事務職員を用意できない可能性がある
⇒外部の方に依頼し,期限付きで採用することを検討します。現員の中に適任者(診療情
報管理士や医療経営士等の有資格者)がいれば,その方に打診します。
5.事務職員の事務以外の知識が不足している
⇒予算面で診療情報管理士や医療経営士等の資格取得支援を行います。また,外部で行わ
れる医事職員向けの研修等への参加もサポートします。
【企画実現に係る必要な能力・知識】
・医療(医療行為,医療現場,医療機器等)に関する知識
・事務(各種手続き,情報管理,運用等)に関する知識
・要望に対する分析力,各担当者との円滑な調整力,推進力およびマネージメント力
5.実施にかかる経費の発生
1.事務職員(専門職員)のスキルアップを目的とした資格取得支援経費…140 万円
(内訳)
○診療情報管理士(資格取得に要する期間 2 年)
:事務職員 4 人×30 万円=120 万円
※受講料 20 万円+面接授業等への参加の旅費(年数回)10 万円=30 万円
○医療経営士:事務職員 4 人×5 万円=20 万円
※受験料,試験会場までの旅費,テキスト代等 5 万円
2.外部から専任職員を用意する場合,増員分の人件費…600 万円
※上記 1,2 はいずれも病院収入財源
6.
波及効果
1.多職種のメンバーでチームを構成することによる,相互理解および新たな知識の獲得
2.業務負担の軽減により時間外勤務が減少(→人件費の抑制につながる)
3.現場の声の吸い上げやフィードバックにより,現場の士気が向上
4.組織としての意志決定を担う体制を整備し,事務職員を複数配置することにより,度々発
生する人事異動による業務の分断を防止し,切れ目のない活動を行うことが可能
5.職場環境が改善し,職員の満足度が向上
6.他職種によるチームの中で,あらゆる案件を手がけていくことで,病院における広範な専
門知識を持った人材の育成が可能