平成 26 年度 臨床検査部門の実態調査報告 神奈川県臨床検査技師会 会長 横山 一紀 神奈川臨床検査技師会(以下 当会)では県内の医療機関を対象に臨床検査部門の動態を調査するた め に 、毎 年 、ア ン ケ ー ト 調 査 を 行 っ て い ま す 。年 々 変 わ り 行 く 医 療 情 勢 が 医 療 機 関 の 変 革 を 迫 っ て お り 、 検査室の管理運営においても他人事ではありません。皆様にご協力頂きましたアンケート調査の集計結 果は当会の事業推進の参考にさせて頂きますと共に今後の皆様の活動や検査室の管理運営等の参考にな れば幸甚と存じます。 今 回 は 平 成 26 年 度 実 施 の 傾 向 を 報 告 い た し ま す 。 【アンケート調査実施方法】 1.対象 神 奈 川 県 内 の 医 療 機 関 で 当 会 に 登 録 さ れ た 施 設 を 対 象 と し 、回 収 さ れ た 施 設 に つ い て 分 析 し た 。 2.方法及び内容 技師会会報の発送と同時にアンケート用紙兼回答用紙と返信用封筒を配布し回収した。 3.調査集計期間 平 成 26 年 の 1 ヵ 年 4.回収施設数 142 施 設 (施 設 名 な し 15 施 設 ) 【アンケート調査結果】 Ⅰ 施設に関して 未回答の施設を除いた平均値 Ⅱ 臨 床 検 査 部 門 に 関 し て (パート、アルバイト、派遣を含む) * 一部外注を含む ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ 超音波検査士 細胞検査士 緊急臨床検査士 認定輸血検査技師 認定血液検査技師 認定微生物検査技師 消化器内視鏡技師 医療情報技師 日本糖尿病療養指導士 診療情報管理士 治験コーディネータ 認定一般検査技師 その他 臨時職員の時給について 時給:最低額と最高額を表示 Ⅲ 安全管理対策に関して Ⅴ 接遇に関して(平成 25 年より調査開始) Ⅳ 災害対策に関して 【まとめ】 Ⅰ.施設に関して 1. 医療機関分類においては、グラフの様な集計結果となり、さほど変化が見られない。 一日平均外来患者数は、病院において病床数に関係なく増加している病床区分、医療機関分類 においては特に大きな変化はない。 2. 評価取得 病院機能評価は約 56%の施設で取得しているが、ISO については約 8%に留まり、大きな変化 は見られない。 Ⅱ.臨床検査部門に関して 1. 検査部門の設置の増減はあまりなく、割合は 90%台で増加している。 2. 検査科の職員の構成は正職員が約 82%であり、正職員と臨時職員の比率には目立った変動は ないが、委託職員については減少している。技師会への加入率は 79%に上昇している。 3. 技師の年代別の割合は 20~50 歳代各年代共、25%で大きな偏りは見られない。また、60 歳代 は 3%を占め変化は見られない。男女の割合でみると約 3:7 で女性の占める割合に変化は見ら れない。 4. 運営形態については約 68%が自主運営で、ブランチ及び FMS 方式の運営形態はほぼ同率であ った。検査業務の実施状況については院内での実施率は例年大きな変化はないが、細菌検査及 び病理検査については例年外部委託検査にする施設が多い。 5. 検診業務については、平成 26 年度は 139 施設のうち約 76%の施設で実施されている。大きな 変化は見られない。業務内容は生理検査、検体検査、採血業務、事務作業、窓口・誘導業務、 その他の順となっている。 6. チーム医療については、ICT においては 109 施設(77%)が実施しており高い参画率である。 このことは感染管理加算の取得に関係していると考えられる。また、NST においても 73 施設 (51%)の参画で比較的高い値であった。その反面、糖尿病教室の参画が 46 施設(32%)と 思った程多くなかった。この数字はクリニカルパスへの参画率に近い数字である。 7. 日直業務については、おおむね 50%以上の施設が対応しており、早出・居残り、オンコール なども含めると殆どの施設で対応されている。 早出・遅出の勤務についても約 50%の施設で対応されている。早出の業務内容については検体 検査、採血及び細菌業務が多い。遅出の業務内容については検体検査と細菌検査が多い。 8. 採血業務の実施状況を見ると、病棟、外来において大きな変化はない。 9. 臨床検査技師の他部門への配置は例年の傾向と同様で超音波検査が多く、次いでほぼ同施設数 で内視鏡室、耳鼻科であった。 10. 各施設の認定資格を有している技師の資格の種別は超音波検査士、緊急臨床検査士、細胞検査 士、の順に多く、他は大きな変化は見られない。その他の内訳として CVT、認定心電検査技 師、NST 専門療法士がそれぞれ数名見られた。今後も増える傾向とみられる。 11. 臨時職員の時給を見ると病院は一律と経験給の差はないが、その他の施設は、経験等による支 給の施設が多い。また、時給額については病院、その他の施設の様々な結果が見られた。 Ⅲ.安全管理対策に関して 安全対策の各種マニュアルについては、「安全管理」「院内感染」については 90%以上の施設で 完備されている。また、「医療廃棄」「危機管理」「災害対策」についても多くの施設で完備さ れている。 その他のマニュアル:精度管理、個人情報、輸血管理、抗菌薬、虐待、患者支援、診療、倫理、 栄養管理、リスクマネージメント、輸血、外部委託業者の品質管理、救急医療、クリニカルパ ス、緩和ケア、外来診療、輸血療法、接遇、貯血式自己血輸血、採血時トラブル、医薬品情報 管理、毒劇物取扱、医療事故、停電対策、有害物質試薬取扱い、防災、精神障害のある患者に 対する、食中毒、暴力等に対する、凶器を所持する患者・家族に対する、怪文書・怪電話に対 する、離院・離棟に対する、不審者侵入時、盗難事故発生、針刺し事故対応、入院患者食中毒 発生時の対応、輸血業務マニュアル Ⅳ.災害対策に関して 具体的に災害対策の取り組んでいる施設は、約 60%に留まり 34%の施設では未整備の状況で あった。具体的な取り組みとしては「職員確認」「招集基準」などであった。 Ⅴ.接遇に関して 接遇に関しては、80%以上の施設で実施しており内容としては、施設で実施が 87%を占め、 講師は施設内講師が約 72%であった。また、患者の呼び方については、施設の方針で「さん」 が 46%、次いで個人で「さん」が 20%であった。一方「様」につては施設の方針で 18%、個 人的で 15%であった。 クレームに関してのマニュアル整備は、半数程度。 内容については、採血時の痛みや手技に関することが 25%の施設でみられた。どの施設でも、 運用の難しさが伺える。次いで待ち時間や接遇に関して約 20%であった。 Ⅵ.アンケートのあり方、施設にあったアンケート内容、研修会の内容、参加費等のご意見があった。 以上 実態調査について報告致しました。毎年ご協力頂きありがとうございます。今後も少しでも皆さんのお 役に立つようなアンケートにして参りたいと考えております。引き続きご協力お願い致します。 平成 27 年 3 月 27 日 運営企画部
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