96 回薬剤師国家試験 問9 ピリジンに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。 1 窒素原子上の非共有電子対(孤立電子対)は、芳香族性に関与している。 Ⅱの安定な立体配座では、水酸基はアキシアル位を占める。 2 ピロリジンより塩基性が弱い。 3 ほとんど水に溶けない。 4 ベンゼンよりニトロ化されにくい。 解説 1 誤:ピリジンは芳香族性を示すが、窒素原子上の非共有電子対は芳香族性には関与していない。ピリ ジンの電子配置は次図のようになっており、窒素原子上の非共有電子対は sp2 混成軌道に収容され ている。 2 正:非共有電子対が収容される混成軌道の s 性が小さい窒素原子ほど、非共有電子対が窒素原子より 遠くに広がることができるため、H+ を受け取りやすくなり、塩基性が強くなる。このため、窒素 の非共有電子対が sp3 混成軌道(=s 性 25%)に収容されているピロリジンは、窒素の共有電子対 が sp2 混成軌道(s 性 33%)に収容されているピリジンより塩基性が強い。 3 誤:ピリジンは水に溶ける化合物である。ピリジンの非共有電子対は芳香族性に関与していないため、 ピリジン環内の窒素がもつ非共有電子対が水と強く水素結合を形成する。水と水素結合する化合物 は水に溶けるため、ピリジンは水溶性を示す。 4 正:ピリジンの窒素は、−M 効果と−I 効果の両方によって環の電子を引きつけているので芳香環上の π電子密度は低下し、ベンゼンよりもニトロ化の反応性は低い。また、共鳴式から 2 位(6 位)と 4 位の電子密度が特に低くなるため、求電子置換反応は 3 位(5 位)で起こる。 問9 解答 2、4
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