「安価な薬剤で医療費を削減」 ~ジェネリック普及に;pdf

患者の経済負担を軽く
前田
向井
さん
さん
さん
メーカーでは、
新薬のアイデアが
出 尽 く した 状 態で壁に突 き 当
たっているのです 。
一方、国 内のジ
ェネ リックメーカー も 安 泰では
あ り ません。日本 市 場には力の
あ る 海 外の企 業 が 次々と 参 入
とうた
してきており 、淘 汰されていく
可 能 性 も あ り ま す 。高い品 質
を 保つ技 術や 競 争 力 が 必 要で
す。
普 及 を 促 進 するためにど
うすればいいですか。
長 田 医 師や 薬 剤 師からジ
ェネリックの品 質に対 する不 安
の声 が 上 がった 場 合に備 え 、解
消するための﹁レギュラトリーサ
イエンス﹂︵有効性と安全性の評
価 科 学 ︶研 究 会 を 立 ち 上 げ ま
し た 。大 学や 自 治 体 、病 院 、薬
剤 師 会 などが 参 加 する組 織に
し、大 学の技 術や知 識を有 効に
活用しようと考えています。
前 田 調 剤 薬 局で、薬 剤 師
と患 者さんがコミュニケーション
を 密にす ること も 大 切 だ と 感
ジェネリック普及に向けて
新薬と同等の有効成分でありながら価格が安いジェネリック
︵ 後発医薬品 ︶
が、じわ
じわと広がっています。膨らみ続ける医療費抑制の切り札として、厚生労働省も普及
を 促 進しており、全 国 的 な 普 及 率は4割 程 度です 。ジェネリックのメリットと課 題 を
押さえながら、さらにシェアを拡 大させるためにはどう すればいいのでしょう 。3人の
有 識 者が語り合いました。 ︵コーディネーターは佐 田 尾 信 作・中 国 新 聞 社 論 説 主 幹 ︶
協会けんぽ座談会
薬 品 を サ イエ
ンス と し て 捉
えるよう 学 生
た ちに指 導 し
ていま す 。
﹁ジ
ェネリックは先
発 品 と 異 なっ
た添 加 物 を 使
用 し ているの
で、問 題 が あ るのでは ﹂と 感 覚
的に思っている学 生 もいるから
です。
ジェネリックが先 発 薬 と同 等
の薬 効・作 用 を 持つことを 証 明
するための試 験が実 施されてい
ることな ど も 、学 生にしっか り
教えています。
ジェネ リックのメリットと
課題は。
向 井 効 果が先 発 品と同 等
でありながら価格が安いという
点が、最 大のメリットです 。慢 性
疾 患の患 者 さんは服 薬 を 続 け
な くてはいけ ないため、経 済 的
な 負 担 が 大 きい。治 療 を 中 断
情報交換 薬剤師と密に
長田
ジェネリックを取り巻く現
状は。
向 井 高 齢 化 とともに医 療
費 が 増 え 続 け 、国 民 皆 保 険の
存 続が危ぶまれていま す 。その
ような現状を踏まえ、
協会けん
ぽ広 島 支 部は2009年から、
全 国で初めて先 発 品とジェネリ
ックとの差 額 を 通 知 するサービ
スを始めました。
この取 り 組 みは 全 国の協 会
け んぽに 広 が り 、協 会 内 での
普 及 率が ・4%から ・9%に
アップ。協 会 全 体の医 療 費 も 約
257億 円 削 減できました。認
知 度 は 年々、上 がってき た と 感
品 質への不 安に対 応 を
向 井 一 誠 さん
前田 泰則 さん
ながた・
しゅんじ 0年呉市生ま
れ。 年東京大薬学部を卒業後、塩
野義製薬に入社。
シオノギクオリカプ
スグループで研究所長、品質保証総
括責任者を兼務。 00 年から現職。
長田 俊治 さん
じていま す 。ジェネリックについ
て 積 極 的 に 尋 ねていた だ け れ
ば、薬 剤 師 も 効 果 的なアドバイ
スができ、普及につながります。
ま た 、残 薬の状 況 な ど を 確 認
し 、医 師 と 連 携 して 調 整 す る
と、薬の無 駄 が あ り ません。そ
のような工夫も地道にしていき
たいです。
向井 医療費の増大で、
協会
けんぽの保 険 料 率 が 年々上 昇
し、広島支部も全国平均の %
を0・03㌽ 上 回っていま す 。事
業 主や 加 入 者 からは負 担 が大
きく、
限界との声もあります。
私たち個 人が現 状を自 覚
し、それぞれが行 動を起こさな
け れば社 会 全 体の危 機 的 な 状
況は変わり ません。
﹁ 誰 かを 頼
る時 代ではない。自 分の身は自
分で守ろう ﹂と、広 島 支 部の加
入者100万人に発信していき
たいと思います。
ありがとうございました。
企画・制作 中国新聞社広告局
むかい・いっせい 年広島市
生まれ。 年慶応義塾大を卒業後、
広島銀行に入行。同行常務取締役、
ひろぎん経済研究所理事長を経て
00 年から現職。
まえだ・やすのり 年呉市生ま
れ。 年近畿大薬学部を卒業後、広島
県医療審議会委員、
日本薬剤師会副
会長などを経て ∼ 年まで県薬剤
師会理事、 年から県薬剤師会会長。
じています。
すると重 症 化して将 来、
さらに
前 田 広 島 県 薬 剤 師 会 は、 医 療 費がかさむ危 険 性 も あ り
基 本 的にはジェネリックをお 薦 ま す 。そ れ を 回 避 す る ために
めしていま す 。医 師が処 方 箋に も、
上手にジェネリックを利用し
﹁ 変 更 可 ﹂と す れば、調 剤 薬 局 てほしいと感じています。
ではジェネリックを 出 せる仕 組 前 田 後 発 品は先 発 品より
みになっていま す 。以 前に比べ、 ﹁ 効 き 目が劣っている﹂というイ
医師の理解も進んでいると感じ メージがあるのが、
これまでの課
ます。欧 米の普 及 率6割には及 題でした。先 発 品に慣れている
びませんが、
日本 も 供 給 体 制が 患 者 さんは抵 抗 感 を 示 すこと
整ってきたと思います。
も あるので、先 発 品 との違いや
長田 大学の薬学部では、医 メリット をよく 説 明 し、多 くの
選 択 肢 を 示 すことが 大 切で
す。
また、最 近ではジェネリックメ
ーカー も 工 夫 を 凝 ら していま
えん げ
す 。嚥 下 障 害の高 齢 者のために
飲みやすいゼリータイプを出 す
な ど 付 加 価 値 を 持った 後 発 品
を出しています。
長 田 ﹁ジェネ リックの普 及
が、新 薬 開 発の停 滞 を 招 くので
は﹂という 指 摘 が あ り ま す が、
それは違います 。世 界 中の製 薬
安価な薬剤で医療費を削減
出 席 者
全国健康保険協会
(協会けんぽ)
広島支部長
向 井 一 誠 さん
公益社団法人広島県薬剤師会 会長
前 田 泰 則 さん
広島国際大薬学部薬学科 教授
長 田 俊 治 さん