こ遅 延 引き出しを増やそう プロ野球ソフトバンクホークスの松田宣浩選手が一昨年母校である老上小学校に来てくれた時の話で す。体育館での講演の前に、教え子である松田選手に校長室でこんな会話をしたことを覚えています。 私「 『どうしたら松田選手みたいなプロ野球選手になれますか』と必ず質問がでるぞ。その時どう答 えるつもりや」 松田選手「学校の勉強を頑張ること。もう一つは、子どもの頃はいろいろなスポーツに親しむこと。 この 2 つです。 」 折しも、私の息子が大学卒業間際に私に同じようなことを言ったことを思い出しました。 「自分は小学 校に入る前からこれまで 20 年近く、ひたすらサッカーに取り組んできたけれど、もっと他のスポーツも 平行してやっておけば、もっとサッカーが上手くなったと今になって思うわ・・・。 」 先日、ある新聞でこんな内容のコラムが目に入りました。その言葉の主は、とある日本のサッカー関 係者でした。 「子どもたちが目を輝かせて耳を傾ける、サッカー以外の言葉を持った指導者が日本には足らない。 これは単なる講座や研修を受けて身につくものではない。生き方に影響を及ぼすほどの言葉がないと、 厚みと深みのあるたくましい選手は育てられない。 」 以前、やぐら通信でも紹介した、私の尊敬する指導者であるグアルディオラ監督は、音楽や芸術に造 詣が深く、さらには様々な文化人との活発な交流を持っているそうです。また選手時代から本を手放さ ず、ことさら哲学書を愛読していました。こうして、サッカー以外の分野で身に付けた「言葉」でグラ ウディオラ監督は、例え世界で有名な大物選手であっても、その類い希な魅力ある言葉で選手を掌握し ていったと聴いています。アルゼンチンの有名な監督である、ブルーノ・メノッティーは、彼の著書で こんなことを述べています。 「ヒポクラテスによれば、医学しかしらない医者は本当の医者とは言えない。 同じく、サッカーしか知らないものは、サッカーの指導者とは言えないのだ。その点、グラウディオラ は実に多くの教養を身に付けており、サッカー以外のこともよく理解している。 」 子どもたちは将来目標とするものに、全力を挙げて取り組んでいる、その尊い姿や生き様を支え、応 援していくことは親や教師の大きな役割です。しかし、その目標にがむしゃらに突き進むだけでは、夢 は実現出来ません。松田選手が言いたかったことは、 「野球だけをしていてもプロ野球選手には決してな れない。野球以外のことにも積極的に取り組んで、幅広い力を身に付けることが結局は夢を掴む近道だ。 」 ということです。子どもたちには、持っている引き出しの数を、もっともっと増やすために、今まで経 験したことがなかったことにも積極的にチャレンジする気持ちを持って欲しいと思います。 校長 五十嵐 信博
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