水産物の放射性物質検査に係る報告書 (概要) 平成27年4月 水産庁 水産庁報告書の更新版の公表 • 2011年3月の福島第一原子力発電所事故以降、 国、 関係自治体、関係団体が連携して、水産物の安全確 保に取組み。 • 国内外の我が国水産物に対する正確な理解を得るた め、これまでの取組で得られた知見をとりまとめ。 → 平成26年5月、水産庁の報告書を公表 • 事故後4年が経過。水産物中の放射性セシウム濃度 が著しく低下。 • 一部消費者の不安は依然として存在。また、依然とし て輸入規制が継続しており、国内外で水産物に対す る懸念が継続していると考えられる。 → 今般、報告書の更新版を公表 1 Ⅰ 水産物の安全確保に向けた取組 1 2 3 4 5 6 水産物の放射性物質のモニタリング 自治体による検査計画 基準値を超えた際の対応 水産物の検査結果 セシウム以外の核種の検査結果 環境中に放出された放射性物質(海水) 2 1 水産物の放射性物質のモニタリング ○ 原子力災害対策本部が「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除 の考え方」を作成し、適宜見直し。 ○ 主要品目や前年度に50 Bq/kg超となった品目を重点的に検査。 ○ 基準値超過に地域的な広がりが見られる場合、原子力災害対策本部長に より出荷制限。 3 2 自治体による検査計画(海域) (千葉県の例) 4区域及び内水面、 養殖の6区域 内水面区域 銚子九十九里区域 東京湾区域 内房区域 養殖 全般 外房区域 ○ 自治体は、原災本部 の「ガイドライン」に基づ き検査計画を策定。 ○漁業の状況等を踏まえ て区分した海域におい て、検査を実施。 ○ 検査計画に基づき、 各海域で対象品目につ いて検査を実施。 ○ 基準値を超える又は 基準値に近い放射性物 質が検出された場合、 検査頻度を強化。 4 3 基準値を超えた際の対応 ○ 食品衛生法に基づき、基準値を超えた同一ロットの食品を回収。 ○ 調査結果を踏まえ、各自治体による自主的な出荷自粛や、原子 力災害対策本部長(内閣総理大臣)指示による出荷制限を実施。 調査を強化 基準値超え ( >100Bq/kg) 他の地点で は基準値超 えがない 各自治体、漁 業関係団体に よる出荷自粛 措置 各自治体で当 該品目の出荷 制限を関係漁 業団体に要請 調査を強化 し、動向を 把握 複数の場所 で、少なく とも1ヶ月以 上の検査結 果が全て基 準値を安定 的に下回る 出荷制限指 示の解除要 件に準じて、 基準値を安 定的に下回 る 注:自主的な出荷自粛の実施・解除については、各自治体・漁業関係団体が独自に決めており、 ここでは一般的な例を記した。 自粛解除 他の地点で も基準値超 え 原子力災害対 策本部長によ る出荷制限指 示 出荷制限解除 出荷制限又は自主規制措置の実施・解除に至る流れ図(海産魚) 5 4 水産物の検査結果① ○ 事故~平成27年1月末で、累計で約66,500点、約400 魚種以上の放射性セシウム検査を実施。 ○ 生息域・魚種ごとの傾向 表層魚、イカ・タコ:事故直後は高い値が見られたが、その後速や かに低下。 回遊魚:事故直後から基準値を超えたものはほとんどない。 全国 表層魚の例 全国 回遊魚の例 10,000 10,000 イカナゴ(コウナゴ) サンマ カタクチイワシ稚魚(シラス) シロザケ 全国 イカ・タコの例 10,000 ヤリイカ ミズダコ 1,000 1,000 1,000 100 100 100 10 10 10 1 2011/3/1 2012/3/1 2013/3/1 2014/3/1 1 2011/3/1 2012/3/1 2013/3/1 2014/3/1 1 2011/3/1 2012/3/1 2013/3/1 2014/3/1 6 水産物の検査結果② • • 平成26年度は、底層魚を含めて、主要魚種や輸出の多い魚種には、高い値ほと んど見られない。 東日本太平洋の主要魚種であるイワシ類、サバ類については、24年度以降高い 値は見られない。 表層魚 イワシ類 (全国) 100.0% 91.7% (199) 全国イワシ類 (2011.3~2012.3) 全国イワシ類 100.0% 100.0% 全国イワシ類 100.0% (2013.4~2014.3) (260) 100.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 60.0% 60.0% 60.0% 60.0% 40.0% 40.0% 40.0% 20.0% 20.0% 40.0% 2014年の輸出量 20.0% 13,786㌧、1,335百万円 0.0% 輸出先:タイ、ベトナム、マレー シア等 6.0% (13) 0.9% (2) 0.5% (1) 0.9% (2) ~75 ~100 100~ ~50 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ Bq/kg 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ ~25 全国サバ類 100.0% (2012.4~2013.3) (290) 100.0% 100.0% 80.0% 80.0% 60.0% 60.0% 60.0% 60.0% 40.0% 40.0% 40.0% 40.0% 20.0% 4.1% (8) 0.5% (1) 1.5% (3) 20.0% 20.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 Bq/kg ~100 100~ 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 Bq/kg ~100 100~ 100.0%(2014.4~2015.1) (275) 0.0% 0.0% ~25 0.0% 20.0% 0.0% 0.0% ~25 0.0% ~100 100~ 全国サバ類 100.0%(2013.4~2014.3) (310) 80.0% 2014年の輸出量 0.0% 105,906㌧、11,513百万円 輸出先: タイ、エジプト、 ベトナム等 0.0% ~75 Bq/kg 80.0% 7.2% (14) 0.0% ~50 Bq/kg 全国サバ類 100.0% 0.0% 0.0% ~25 Bq/kg 86.7% (169) 100.0% (2014.4~2015.1) (131) 20.0% 0.0% 0.0% ~25 全国サバ類 (2011.3~2012.3) 100.0% 0.0% 0.0% ~25 中層魚 サバ類 (全国) 全国イワシ類 100.0% (2012.4~2013.3) (220) 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~75 ~100 100~ 0.0% ~25 ~50 ~75 Bq/kg ~100 100~ ~25 ~50 Bq/kg 7 水産物の検査結果③ ○底層魚は魚種によって傾向が異なる。事故直後から基準値超過がほぼ見られない魚種もある。 全国スケトウダラ 底層魚 100.0% スケトウダラ (全国) 100.0% 80.0% 60.0% 60.0% 60.0% 60.0% 40.0% 40.0% 40.0% 40.0% 1.0% (2) 0.5% (1) 2.1% (4) ~50 ~75 ~100 100~ 20.0% 0.0% 0.0% 3.8% (11) 1.0% (3) 0.3% (1) ~50 ~75 ~100 100~ 100.0% 62.7% (74) 60.0% 17.8% (21) 100.0% 80.0% ~50 ~75 3.4% (4) 6.8% (8) 93.3% (168) 40.0% 40.0% 20.0% 0.6% (1) 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ ~75 ~100 100~ Bq/kg 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ ~25 80.0% 80.0% 80.0% 60.0% 60.0% 60.0% 40.0% 40.0% 1.1% (1) 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ Bq/kg 0.0% 100.0%(2014.4~2015.1) (96) 20.0% 20.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ 0.0% 0.0% 0.0% ~25 0.0% ~100 100~ 全国マダイ 100.0% 0.0% 0.0% ~75 Bq/kg 100.0% 11.8% (11) 0.0% ~50 0.0% ~25 全国マダイ 0.0% ~50 0.0% 100.0%(2013.4~2014.3) (75) 40.0% 0.0% 100.0%(2014.4~2015.1) (197) Bq/kg 87.1% (81) 20.0% 0.0% ~100 100~ 20.0% 0.0% 0.0% ~25 100.0% 2.7% (1) 100.0% 60.0% 6.1% (11) 0.0% ~75 全国マアジ 100.0%(2013.4~2014.3) (187) 60.0% 20.0% 0.0% ~50 Bq/kg 60.0% 全国マダイ (2012.4~2013.3) 5.4% (2) ~25 80.0% 全国マダイ (2011.3~2012.3) 0.0% ~25 ~100 100~ 80.0% Bq/kg 16.2% (6) ~75 全国マアジ 100.0% Bq/kg 60.0% 20.0% ~50 0.0% 80.0% ~100 100~ 75.7% (28) 40.0% 0.0% 0.0% ~25 全国マアジ (2012.4~2013.3) 0.0% ~25 0.0% Bq/kg 40.0% 9.3% (11) 20.0% 0.4% (1) Bq/kg 全国マアジ (2011.3~2012.3) 40.0% 20.0% 0.0% ~25 Bq/kg 80.0% 0.3% (1) 0.0% ~25 0.0% 2014年の輸出量(活) 1,869㌧、1,311百万円 輸出先:韓国 (輸出品は養殖物が主) 100.0% 80.0% 20.0% タイ(天然) (全国) 100.0% 全国スケトウダラ 100.0%(2014.4~2015.1) (199) 80.0% 100.0% マアジ (全国) (275) 全国スケトウダラ 99.6% (2013.4~2014.3) (280) 80.0% 20.0% 2014年の輸出量 41,445㌧、4,610百万円 輸出先:中国、韓国 ロシア等 全国スケトウダラ 94.5% (2012.4~2013.3) 96.4% (2011.3~2012.3) (185) ~25 Bq/kg ~25 Bq/kg 8 水産物の検査結果④ 底層魚 マダラ (全国) 2014年の輸出量 3,054㌧、658百万円 輸出先:NZ、中国、 香港等 全国マダラ (2011.3~2012.3) 全国マダラ (2012.4~2013.3) 100.0% 80.0% 60.0% 100.0% 80.0% 55.2% (203) 40.0% 100.0% 78.1% (1506) 60.0% 13.9% 12.0% (51) (44) 20.0% 全国マダラ 6.0% (22) 13.0% (48) 0.0% 40.0% 15.3% (295) 20.0% 3.8% (73) 1.6% (31) 1.2% (24) ~50 ~75 ~100 100~ 100.0% 80.0% 80.0% 60.0% 60.0% 40.0% 40.0% 3.8% (76) 20.0% 0.6% (13) 0.2% (5) 0.2% (4) ~25 ~50 Bq/kg ~75 ~25 ~100 100~ 99.2% (2014.4~2015.1) (1275) 20.0% 0.5% (10) 0.0% 0.0% 0.0% ~75 ~100 100~ 0.0% 0.0% 0.0% ~25 全国マダラ 95.1% (2013.4~2014.3) (1904) ~50 ~75 ~25 ~100 100~ ~50 Bq/kg Bq/kg Bq/kg ○H24年度まではマダラは比較的広い範囲で基準値超過が見られたが、25年 度以降全体的に低下。26年度は、福島県沖のものも含め、基準値超過は見 られず、福島沖合のマダラの出荷制限が解除。 福島県ヒラメ (2011.3~2012.3) 福島県ヒラメ (2012.4~2013.3) 100.0% ヒラメ (福島) 80.0% 52.7% (136) 60.0% 40.0% 20.0% 3.1% (8) 14.7% 16.7% 12.8% (43) (38) (33) 0.0% 福島県ヒラメ (2013.4~2014.3) 100.0% 100.0% 80.0% 80.0% 60.0% 40.0% 20.0% 34.1% (132) 23.0% (89) 13.4% (52) ~50 ~75 Bq/kg ~100 100~ 100.0% 78.6% (324) 8.3% (32) 60.0% 40.0% 40.0% 10.4% (43) 20.0% 6.3% (26) 2.9% (12) 1.7% (7) ~50 ~75 Bq/kg ~100 100~ 3.9% (16) 20.0% 0.7% (3) 0.5% (2) ~75 ~100 100~ 0.0% 0.0% 0.0% ~25 (360) 80.0% 60.0% 21.2% (82) 0.0% ~25 福島県ヒラメ (2014.4~2015.1) 94.5% ~25 ~50 ~75 Bq/kg ~100 100~ ~25 ~50 Bq/kg ○福島県のヒラメは平成23年度に52.7%が、平成24年度に21.1%の100 Bq/kg超 が見られたが、平成25年度以降顕著に濃度が低下。平成26年度の検査結果 は、全て100 Bq/kg以下。 9 水産物の検査結果⑤ ○ほとんどの回遊魚は事故直後から高い値は見られない。 回遊魚 100.0% マグロ類 (全国) 92.4% (85) 100.0% 80.0% 60.0% 60.0% 60.0% 60.0% 40.0% 40.0% 40.0% 40.0% 7.6% (7) 20.0% 0.0% 0.0% 20.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~25 ~50 ~75 ~25 ~100 100~ 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ 全国カツオ 0.0% ~25 ~50 ~75 ~100 100~ ~25 全国カツオ 全国カツオ 100.0% 100.0% 80.0% 80.0% 80.0% 60.0% 60.0% 60.0% 60.0% 40.0% 40.0% 40.0% 40.0% 20.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ ~25 ~50 20.0% 1.7% (2) 2.5% (3) 0.0% ~50 ~75 Bq/kg ~100 100~ 0.0% 0.0% 0.0% ~25 ~50 ~75 ~25 ~100 100~ 80.0% 80.0% 80.0% 60.0% 60.0% 60.0% 40.0% 40.0% 40.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 Bq/kg ~50 ~100 100~ ~75 ~100 100~ 100.0%(2014.4~2015.1) (178) 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~75 ~100 100~ Bq/kg 10 0.0% 0.0% ~25 0.0% 20.0% 20.0% 0.0% 0.0% 全国ブリ類 100.0%(2013.4~2014.3) (219) 100.0% 0.7% (2) 0.0% Bq/kg 全国ブリ類 99.3% (2012.4~2013.3) (291) 20.0% 100.0%(2014.4~2015.1) (68) Bq/kg 0.0% ~25 0.0% 100.0% 100.0% 5.8% (7) ~100 100~ 全国ブリ類 74.4% (90) 15.7% (19) ~75 ~100 100~ 0.0% Bq/kg 全国ブリ類 (2011.3~2012.3) 40.0% 0.0% 0.0% Bq/kg 80.0% 0.0% 0.0% ~25 100.0% 0.0% ~75 20.0% 20.0% 0.0% 0.0% 全国カツオ 100.0%(2013.4~2014.3) (159) 100.0% 1.0% (1) 0.0% Bq/kg 80.0% 20.0% ~50 Bq/kg 100.0%(2012.4~2013.3) (221) 0.0% 0.0% Bq/kg 99.0% (2011.3~2012.3) (97) 0.0% 0.0% Bq/kg 100.0% (2014.4~2015.1) (93) 20.0% 0.0% 0.0% 60.0% 2014年の輸出量 6,323㌧、10,012百万円 輸出先:米国、香港、タイ 等 全国マグロ・カジキ類 80.0% 100.0% ブリ類 (全国) 100.0% 100.0% (2013.4~2014.3) (144) 80.0% 20.0% 2014年の輸出量 35,422㌧、5,438百万円 輸出先:タイ、インドネシア、 中国等 100.0% 全国マグロ・カジキ類 100.0%(2012.4~2013.3) (365) 80.0% 2014年の輸出量 0.0% 28,068㌧、10,344百万円 輸出先:タイ、グアム、 ベトナム等 カツオ (全国) 全国マグロ・カジキ類 全国マグロ・カジキ類 (2011.3~2012.3) ~25 ~50 ~75 Bq/kg ~100 100~ ~25 ~50 水産物の検査結果⑥ 全国シロザケ (2011.3~2015.1) 回遊魚 100.0% シロザケ (全国) 100.0% 80.0% 100.0% 40.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ Bq/kg 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~75 ~100 100~ 0.0% ~25 ~50 Bq/kg カキ(全国) 全国マガキ (2011.3~2015.1) 100.0% 100.0% 80.0% 2011.3~2012.3 N=11 2012.4~2013.3 N=56 2013.4~2014.3 N=20 2014.4~2015.1 N=143 合計 N=230 2011.3~2012.3 N=4 2012.4~2013.3 N=3 2013.4~2014.3 N=8 2014.4~2015.1 N=141 合計 N=156 60.0% 40.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ 0.0% Bq/kg 2014年の輸出量 56,012㌧、44,670百万円 輸出先:米国、中国、ベトナム等 100.0% 80.0% 2011.3~2012.3 N=13 2012.4~2013.3 N=26 2013.4~2014.3 N=157 2014.4~2015.1 N=265 合計 N=461 60.0% 40.0% 20.0% 20.0% ~25 20.0% 全国マボヤ (2011.3~2015.1) 100.0% 40.0% 2011.3~2012.3 N=109 2012.4~2013.3 N=131 2013.4~2014.3 N=70 2014.4~2015.1 N=73 合計 N=383 60.0% ホヤ(全国) 全国ホタテ (2011.3~2015.1) 60.0% 80.0% ○東日本太平洋の主要養殖種は常に低い値 ホタテ(全国) 80.0% 2014年の輸出量 9,495㌧、1,183百万円 輸出先:ロシア、中国、タイ 等 0.0% 0.0% ~25 100.0% 40.0% 20.0% 主要養殖種 100.0% サンマ (全国) 2011.3~2012.3 N=191 2012.4~2013.3 N=163 2013.4~2014.3 N=266 2014.4~2015.1 N=277 合計 N=997 60.0% 2014年の輸出量 37,870㌧、11,445百万円 輸出先:中国、タイ ベトナム等 全国サンマ (2011.3~2015.1) 20.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ~50 ~75 ~100 100~ 0.0% ~25 ~50 ~75 ~100 100~ Bq/kg 2014年の輸出量 1552㌧、456百万円 輸出先: 韓国 ~25 Bq/kg 11 水産物の検査結果⑦ ○ 輸出された水産物について、これまで輸出先国の水際検査で 基準値を超過したケースはない。 → 我が国の安全管理体制を裏付け。 • 福島第一原発事故を受けて、諸外国・地域が輸入規制措置を 実施(放射性物質の検査結果等に係る証明書を要求、輸入時 の検査強化等) ○韓国における我が国水産物の検出例 年 2011 2012 2013 2014 2015 合計 不検出 件数 重量㌧ 4,126 15,993 4,729 20,526 5,328 20,543 5,290 18,265 1,424 4,863 20,897 80,190 微量検出 件数 重量㌧ 21 149 101 2704 9 160 - - - - 131 3,013 搬送(送り返し) 件数 重量㌧ - - - - 注1 1 0 注2 4 20 - - 5 20 注1:1Bq/kg、 注2:1Bq/kg、1Bq/kg、3Bq/kg、2Bq/kgの検出 12 5 セシウム以外の核種の検査結果 ○ 水産物については、水産庁によりストロンチウム90、プルトニウム、アメリシウム241の検査を実 施。 ○ これまで放射性ストロンチウム80点、プルトニウム18点、アメリシウム13点について検査を行い、 ほとんどが事故前の範囲内であり、基準値設定の際の仮定(※)よりはるかに小さい。 ※ 海産物は、放射性ストロンチウム等他核種による線量と放射性セシウムによる線量の寄 与が等量であるとの仮定。 水産物中の放射性ストロンチウム等の検査結果(2011.4.11~2014.10.15採取分) 検査 点数 核種 うち検出下限値未満 検出下限値 点数 (Bq/kg) 検出値 (Bq/kg) 備考: Cs134+137 (Bq/kg) 0.016‐1.2 ND‐970 Sr90 80 Pu238 18 5 0.00053‐0.00093 ‐ Pu239+240 18 4 0.00085‐0.00093 0.0011 Am241 13 1 0.0015 Sr90 58 0.0077‐0.04 0.00041‐0.0018 検出下限値未満‐0.26 Bq/kg 検出下限値未満‐0.0016 Bq/kg Pu239+240 検出下限値未満‐0.073 Bq/kg Pu238 Am241 0.00048~0.0046 Bq/kg (文献値) 0.054‐1.23 ND‐1.23 事故前の濃度の範囲:原子力規制 庁「環境放射線データベース」 (2000~2010)より 13 5 セシウム以外の核種の検査結果② ○ CODEXのガイドラインに記載されている放射性核種について、輸出が多く東日本太 平洋を主漁場とする魚種等について調査 (一部の半減期が極端に長い又は短い核種等を除く) 乳児用 食品 Radionuclides 238Pu 239Pu+240Pu 乳児用食 品以外の 食品 GL GL (Bq/kg) (Bq/kg) 10 241Am 90Sr 106Ru 129I 131I 100 100 0.0015 0.0023 検出限界値 測定値 検出限界値 0.00048 ND 0.67 - 0.0014 - 2.3 測定値 検出限界値 測定値 検出限界値 ND 35S 60Co (未測定) Cs134 測定値 検出限界値 測定値 1,000 1,000 144Ce 測定値 検出限界値 (未測定) 192Ir 3H,14C,99Tc 検出限界値 測定値 検出限界値 測定値 検出限界値 測定値 検出限界値 Cs137 1000 10,000 (測定不可) - - 測定値 検出限界値 103Ru ND 0.00049 ND 235U 89Sr グルー (γ線スペクトロメトリ- (全てNDの プの合 場合は検出 のみ測定) 計 限界値) 検出限界値 測定値 (未測定) 測定値 検出限界値 (未測定) 推定MAX値 γ線スペクトロメトリー、Sr、Pu を測定 漁獲日 測定値 1 36検体 8検体 検体 0.0015 (測定不可) 0.0023 ND 1.2 - 2.8 2.8 2.8 検査結果 (2014年11月20日 ~2015年1月5日採取分) 7検体については、241Amを 検出限界値を下げて(0.67‐ 1.1Bq/kg)検査→ 全てND (測定不可) 0.018 - 0.019 0.019 ND ND 1.4 - 4.7 0.51 - 11 2.9 - 6.9 6.9 0.27 - 0.65 11 0.60 - 1.3 1.3 0.41 - 1.10 (測定不可) 1.1 ND ND ND ND 0.26 - 0.72 19 ND ND 0.20 - 0.64 0.067 - 0.17 ND 0.17 ND ND 1.4 - 4.7 0.3 - 0.9 4.7 0.31 - 0.70 0.70 0.34 - 0.70 0.70 2.0 - 4.7 4.7 今回の調査では、各グルー プについて、推定される MAX値の和は、ガイドライン レベルを下回っている。 ND ND 0.14 ND 0.16 - - - 0.47 0.34 0.70 ND ND ND 1.3 - 3.6 12 14 6 環境中に放出された放射性物質(海水) ○ 海水中の放射性物質濃度は事 故直後、原発周辺海域で高い値 を示したが、その後低下。 測定ポイント:T-1 表層 1000000 I-131 Cs-134 Cs-137 100000 10000 1000 100 10 1 0.1 0.01 2011/3/11 2012/3/3 2013/2/24 2014/2/17 2015/2/10 測定ポイントT-2-1(2012年11月までT-2) 表層 1000000 I-131 Cs-134 Cs-137 100000 10000 1000 100 10 1 0.1 0.01 2011/3/11 2012/3/3 2013/2/24 2014/2/17 2015/2/10 15 Ⅱ 調査研究 16 調査研究① ○ 放射性物質の水産生物への移行メカニズムに係る調査研究が 進められ、新しい知見が得られている。 (1)海底土中と餌生物(ベントス)中の放射性 セシウムの濃度の相関は認められない。 (2) ヒラメ、マダラにおいて、 ① 事故後に生まれた級群(2011年以降)の 放射性物セシウムの取り込みは少ない。 ② 2012年冬以降の放射性セシウムの取り 込み量は少ない。 福島沖で採集されたマダラの年級別 放射性セシウム濃度の時系列変化 17 調査研究② ○ 2012年8月に福島第1原発から約20kmの地点で、25,800Bq/kgと高濃度に汚 染されたアイナメが採取された。 ○ 耳石分析の結果、β線の放出の中心が2011年春~夏に相当する位置にあり、 事故初期に汚染されたものと判断された。 ○ 原発周辺海域の汚染状況は改善されているため、港湾内の海洋生物の拡散 を防止が重要であり、東電は海洋生物の駆除や移動を防止するための網の設 置を行っている。 ○ Nature のScientific Reportに掲載。 “Radiocesium contamination of greenlings (Hexagrammos otakii) off the coast of Fukushima” (Scientific Reports 4, Article number: 6851) 福島県沖アイナメの放射性セシウムの濃度 高濃度アイナメの耳石分析 18 調査研究③ ○福島県沖の海底土(68~341Bq/kgを使用 した水槽で、福島県沖の実際の環境に類 似した飼育環境を作り、アオゴカイ、ヒラメ、 クロダイの飼育試験を実施。 ○海底土とアオゴカイの濃度比(アオゴカイ/ 海底土)は、1/20~1/40。 ○海底土からヒラメ・クロメバルへは、ほとん ど移行しない。 ○海水及び餌生物のセシウムの時系列変化 データを用いてヒラメのセシウム濃度推移を シミュレーション ○事故前生まれ(2009、2010YC)は事故後生 まれ(2011,2012YC)に比べて高い濃度。 ○事故直後の高濃度汚染水を経験したもの(A +F)は長期間その影響を引きずる。 ○事故後生まれが漁獲の中心となることで、こ うした個体の漁獲は減少すると予測。 19 調査研究④ モデル分析による4/1時点の100Bq/kgを超える可能性 ○ セシウム濃度が、2015年4月1日現在、 100Bq/kgを超過する可能性について分析 ○ 対象とした68魚種で、確率評価にワイブル 分布を用い、検出限界値を考慮した最尤法 によりパラメータを推定。 ○ 対象とした魚種別・県別データは、セシウム 濃度が急激に減少。 ○ 主要魚種で、100 Bq/kgを超える確率は実 質ゼロとなった。 県名 魚種名 青森 ブリ ホタテガイ マサバ ミズダコ シロザケ スケソウダラ スルメイカ ホタテガイ マボヤ マサバ サンマ シロザケ スケソウダラ スルメイカ ホタテガイ カツオ マボヤ マガキ マサバ メカジキ スケソウダラ ヨシキリザメ マダコ マサバ ミズダコ シロザケ スケソウダラ スルメイカ ヤナギダコ ブリ マダコ マサバ スケソウダラ スルメイカ ヤリイカ ビンナガ ブリ カツオ マサバ サンマ スルメイカ ヤリイカ 岩手 宮城 buri: Iwate 15 5 10 赤丸は137Cs,黒 丸は134Csの測定 値.赤点線と青点 線はモデルによる 平均値の予測. 茨城 千葉 0 Cesium concentration (Bq/kg) 20 福島 0 200 400 600 800 Days 1200 10‐300以下を0とした Pr(134Cs+137Cs > 100) 1.06×10-292 3.00×10-111 0 0 9.36×10-139 2.63×10-160 0 0 0 0 0 0 1.07×10-44 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3.03×10-29 0 7.33×10-122 0 4.18×10-29 6.80×10-97 7.25×10-126 0 0 0 0 0 0 0 0 3.33×10-103 0 0 0 0 20 調査研究⑤ ○ 粘土にセシウムが強く吸着する仕組は、陸上では研究が良く進んでおり、この仕組に新しい報告 ○ セシウムイオンが粘土鉱物の一つであるバーミキュライトに吸着したときに起こる構造変化を、X線 小角散乱法を用いて観察し、解明。 ○ Nature のScientific Report(2014)に掲載。 “Collective Structural Changes in Vermiculite Clay Suspensions Induced by Cesium Ions” (Scientific Reports 4, Article number: 6585) 図1 セシウムイオンが層構造に吸着したときのバーミキュライトの構造変化 ① ② セシウムイオンの吸着はバーミキュライト中の特定の層の間に、 ある程度まとまった集団として取り込まれる(図1a) これが原因で2つの層がはがれる(図1b)。これは、一つのセ シウムイオンが2つの層の間に吸着すると、その隣にもセシウ ムイオンが吸着しやすくなるため、2つの層がはがれやすくな ると考えられている。さらに、はがれた2つの層の表面が新た な吸着サイトになり、バーミキュライトはドミノ倒しのように次々 とセシウムイオンを吸着していく。 本研究は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 福島環境 安全センター・量子ビーム応用研究センターの元川竜平研究副主幹、 矢板毅ユニット長、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究 機構(KEK) 物質構造科学研究所の遠藤仁准教授、一般財団法人電 力中央研究所の横山信吾主任研究員、国立大学法人山形大学工学 部の西辻祥太郎助教による共同研究グループにより行われた。 図2 ドミノ倒し的に吸着するセシウムとバーミキュライト の構造変化 福島の土壌が僅かなセシウムの取り込みにより多量 のセシウムを呼び込むメカニズムを解明-放射性セ シウムが吸着した粘土鉱物のミクロな構造変化- (お知らせ), 日本原子力開発機構(JAEA). 2014.10.31 http://www.jaea.go.jp/02/press2014/p14103101/ 21 Ⅲ 国内外への情報提供 1 生産水域名の表示方法について 2 リスクコミュニケーション・輸入規制の 状況 22 1 生産水域名の表示方法について ○ JAS法に基づく生鮮食品品質表示基準により、生産水域名を記載し、それが 困難な場合には、水揚港名または水揚港が属する都道府県名を水域名の記 載に代えることができる。 ○ 平成23年10月から、東日本太平洋で漁獲された生鮮水産物について、生産 水域の区画及び水域名を明確化に原産地表示を奨励。 ○ サバ、サンマ等県をまたいで回遊する魚種においても、生産水域が明確化。 東日本太平洋における生産水域名の表示方法 表示の取組例 【(1)回遊性魚種】 ネズミザメ、ヨシキリザメ、アオザメ、いわし類、 サケ・マス類、サンマ、ブリ、マアジ、カジキ類、 サバ類、カツオマグロ類、スルメイカ、ヤリイカ、 アカイカ ①北海道・青森県沖太平洋 (北海道青森沖太平洋) (北海道青森太平洋) 本土から200海里の線 青森県岩手県 境界正東線 ②三陸北部沖 岩手県宮城県 境界正東線 ③三陸南部沖 宮城県福島県 境界正東線 ④福島県沖 福島県茨城県 境界正東線 ⑤日立・鹿島沖 茨城県千葉県 境界正東線 ⑥房総沖 千葉県 野島崎正東線 ※ 沿岸性魚種の表示: 「○○県沖」 を基本とする 23 2 リスクコミュニケーション・輸入規制の状況 【国内】 ○ 水産庁では、震災以降、消費者、流通業者や国内外の報道機関等に対する説 明会等を実施。合計68回 ○ 消費者庁等の関係府省、地方自治体及び消費者団体等が連携して食品中の 放射性物質に関するリスクコミュニケーションに取り組んでいる。 【海外】 ○ 福島第一原発事故を受けて、諸外国・地域が輸入規制措置を実施(放射性物 質の検査結果等に係る証明書を要求、一部都県産の水産物の輸入を停止等)。 ○ 13カ国で規制が撤廃(ベトナム(2013年9月)、豪州(2014年1月)等)されるとと もに、その他国・地域についても以下のとおり規制が緩和。 EU:放射性物質検査証明書 福島等10都県産 → 8都県産(2014年4月) タイ:放射性物質検査証明書 福島等8県産 → 3県産( 2014年11月) 等 24 今後の課題 ○ 水産物の安全確保のため十分な取組を 行っている。 ○ 安全な水産物の供給のため、モニタリン グ及び汚染メカニズムの解明等の取組を 継続 ○ 水産物の安全性について国内外へ適切 な情報提供を行い、風評被害の払拭に取 り組むとともに、輸入規制措置の早期撤廃 を働きかけて行く。 25
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