対トーゴ共和国 国別援助方針(案) 2015 年 4 月 1. 援助の意義 トーゴは 1990 年代に国内情勢が不安定化し、経済が停滞した。しかし、2007 年に 全野党が参加した国民議会選挙を平和裏に実施するとともに、2010 年には混乱なく 大統領選挙が実施されるなど、国際社会に民主化の進展を印象づけた。今後も、トー ゴにおける民主主義の定着に向け、引き続き支援する必要がある。 トーゴの経済規模は小さいが、ロメ港という水深が深い天然の良港を有し、縦長な 国土がブルキナファソやニジェール、マリといった内陸国へつながる回廊となってい るほか、ロメ空港は近年、民間航空会社により西アフリカ,更に遠隔地を結ぶハブ空 港として活用されつつある。 また、トーゴは、2012 年から 2013 年まで国連安全保障理事会の非常任理事国を務 めるとともに、2011 年から 2013 年まで西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)の議長 国を務めるなど、西アフリカ及び国際社会の平和と発展に積極的な貢献を行ってきて いる。同国に対する協力は西アフリカ地域の政治的・経済的な安定強化に資するもの であり、我が国による支援の意義は大きい。 2. 援助の基本方針(大目標) :トーゴ・ロジスティックス回廊1開発を通じた持続 的経済成長の促進と基礎的社会サービス強化を通じた貧困削減・格差是正 我が国は、トーゴ政府が MDGs の達成及び今後 15~20 年間をかけて中進国入りす ることを目指して作成した第 2 次貧困削減戦略文書(SCAPE2) (2013 年~17 年)に 基づき、大統領が推進する「港湾立国」の実現に向けて、西アフリカ地域の発展を促 進すべく,西アフリカ成長リングを構成するトーゴ・ロジスティックス回廊の強化及 び基礎的社会サービス拡充に資する協力を行い、持続的経済成長の促進及び貧困削 減・格差是正を支援する。 3. 重点分野(中目標) (1) トーゴ・ロジスティックス回廊の活性化 トーゴ・ロジスティックス回廊は、ロメ港を起点にして南北にトーゴを縦断し、国 内の生産・消費活動を先導するとともに、ブルキナファソ、マリ、ニジェールといっ た内陸国へのゲートウェイともなっている。トーゴは同回廊を国土開発及び地域統合 の最重要軸として位置づけていることから、同回廊の活性化に向けた支援を行う。 1 ロメ港からブルキナファソ国との国境シンカセまでの道路、鉄道、橋梁、ドライ ポート、国境の通関を含む 667km 及び同回廊を支える重要な支線、国道 2 号線 2 La Stratégie de Croissance Accélérée et de Promotion de l’Emploi (2) 基礎的社会サービス強化と格差是正への配慮 トーゴでは、2007 年の国民議会選挙実施まで長期間にわたり援助が中断されてい たこともあり、社会セクターは未だ劣悪な状態にある。また、経済成長や回廊開発の 進展次第では国内格差が拡大する可能性もあることから、回廊開発とあわせた社会サ ービスへのアクセス向上を支援する。 4. 留意事項 (1)成長産業への支援策検討 持続的な経済成長、雇用の確保、貧困削減の観点から、SCAPE において重視され ている農業分野を中心とする成長産業への支援についても中長期的な視点で引き続 き検討していく。 (2)援助協調 トーゴ回廊の総合的な開発・整備を進めていくうえでは膨大な資金が必要となるた め、UEMOA や他ドナーと連携を図りつつ、優先事業の選定及び実施を行う。 (3) 治安面への配慮 国内情勢は比較的安定しているとはいえ、マリ情勢を始めとする域内情勢の影響も あることから、案件の形成・実施にあたっては、関係者の安全確保に十分配慮する。 (了) 別紙: 事業展開計画 国別援助方針 別紙 対トーゴ共和国 事業展開計画 2015年 4月 現在 基本方針 (大目標) 重点分野1 (中目標) トーゴ・ロジスティックス回廊開発を通じた持続的経済成長の促進と基礎的社会サービス強化を通じた貧困削減・格差是正 トーゴ・ロジスティックス回廊の活性化 【現状と課題】 ・トーゴ政府は,MDGsの達成及び今後15年~20年をかけた中進国入りを目指して、PRSPとして「トーゴ成長加速 化及び雇用促進戦略」SCAPE2013/17)を策定し、①成長加速分野の開発、②経済インフラ整備、③人材開発・社会 保障・雇用、④ガバナンスの強化、⑤参加型持続可能な開発、の5本柱を掲げ、その実現に取り組んでいる。 ・SCAPEにおいては、これまでの社会開発から経済開発への転換がはかられており、上記①、②の具体的方法とし て1次産業の強化及びトーゴロジスティクス回廊の強化が鍵とされている。 開発課題1-1 (小目標) トーゴ・ロジス ティックス回廊の 活性化 【開発課題への対応方針】 第2次貧困削減戦略文書(SCAPE)(2013年~17年)に基づき、大統領来日の際に我が国 に特に要請のあった「港湾立国」の実現に向けて、トーゴ経済回廊の強化及び基礎的社会 サービス拡充に資する協力を行い、持続的経済成長の促進及び貧困削減・格差是正を支援す る。 実施期間 協力プログラム名 協力プログラム概要 案件名 国土開発及び地域統合の最重要軸であ るトーゴ回廊活性化のため、情報整 デジタル地形図作成プロジェクト 備、計画策定及びインフラ建設等を支 トーゴロジスティ 援する。 クス回廊の活性化 プログラム スキーム 2013 年度 以前 支援額 備考 2014 年度 2015 年度 2016 年度 2017 年度 2018 年度 (億円) 無償 9.80 トーゴロジスティクス回廊開発・整備計画策定調査 無償 19.90 カラ・クモング2橋梁建設計画 無償 29.94 重点分野2 (中目標) 基礎的社会サービス強化と格差是正への配慮 【現状と課題】 ・トーゴ国の一人当たりのGNIは530ドル(2013年世銀)、人間開発指数の順位は186か国中159位(2012年UNDP) に位置している。基礎的社会サービスへのアクセス指標は悪く、安全な水へアクセスできない人口の割合は61% (2012年UNICEF、WHO)、純初等教育就学率86.5%(2013年UNICEF)等となっており、引き続き社会開発の側 面も不可欠である。 【開発課題への対応方針】 2007 年の国民議会選挙実施まで長期にわたり援助が中断されていたこともあり、社会セク ターはいまだ劣悪な状態にある。また、急激な経済成長や回廊開発による国内格差の拡大リ スクにも十分配慮しつつ、教育、保健、水分野を中心とした社会サービスへのアクセス向上 を支援する。 実施期間 支援額 協力プログラム名 協力プログラム概要 案件名 スキーム 備考 2013 年度 以前 2007年の国民議会選挙実施まで長期 間にわたり援助が中断されていたこと もあり、社会セクターは未だ劣悪な状 態にある。また、急激な経済成長や回 廊開発が進められれば、国内格差が拡 大するリスクもある。以上に鑑み、格 差是正にも十分配慮しつつ、教育、保 健、水分野を中心とした社会サービス へのアクセス向上を支援する。 開発課題2-1 (小目標) 2016 年度 2017 年度 2018 年度 無償 4.58 気候変動による自然災害対処能力向上計画 無償 5.00 マリタイム及びサバネス地域村落給水計画 無償 8.99 草の根 0.35 教育,保健,給水,環境保全等(5件) 基礎的社会サービ ス強化と格差是正 への配慮プログラ ム 2015 年度 サバネス、カラ及びマリタイム地域におけるコミュニティ参加を通じた子ど ものための環境整備計画 教育分野(2件)、保健分野(2件)、農林水産分野(1件) 基礎的社会サービ ス強化と格差是正 への配慮 2014 年度 (億円) トーゴ北部の脆弱な子供への現金移転プログラム 課題別研修他 マルチ 2.7百万米ドル 食糧援助(KR) 無償 4.5 ノンプロ無償 無償 11.00 運輸交通,農業・農村開発等(12件) 援助調整 国連児童基金 (UNICEF)連携 世銀社会開発基金 (JSDF) 課題別研修他 個別専門家 アフリカ内陸低湿地における持続的稲作技術実証・普及事業 マルチ 稲作等を通じたアフリカ食料安全保障復興支援・技術実証普及事業 マルチ 農林水産省アフリ カ稲センター拠出 金 (複数国向け) 農林水産省アフリ カ稲センター拠出 金 (複数国向け) 【凡例】 「協準」(=全ての協力準備調査)、「詳細設計」(=詳細設計)、「技プロ」(=技術協力プロジェクト)、「開発計画」(=開発計画調査型技術協力)、「個別専門家」、「個別機材」、「国別研修」、「課題別研修他」(=課題別研修及び青年研修)、「JOCV」(=青年海 外協力隊)、「SV」(=シニア海外ボランティア)、「第三国専門家」、「第三国研修」、「現地国内研修」、「科学技術」(=科学技術協力(技プロ型及び個別専門家型))、「草の根技協」(=草の根技術協力)、「○○省技協」(=外務省・JICA以外の省庁及び独立行政法人等が実 施している技術協力)、「民間提案型技協」(=開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業)、「無償」(=以下に特記するサブスキームを除く全ての無償資金協力)、「ノンプロ」(=ノン・プロジェクト無償及び中小企業ノン・プロジェクト無償資金協力)、「草の根無 償」(=草の根・人間の安全保障無償)、「日本NGO」(=日本NGO連携無償)、「一般文化」(=一般文化無償)、「草の根文化」(=草の根文化無償)、「有償」(=円借款)、「マルチ」(=国際機関等を通じた多国間協力スキーム)、「中小企業支援」(=中小企業製品・技術とO DAのマッチング事業「ニーズ調査」、「案件化調査」および「普及・実証事業」、かつ中小企業連携促進基礎調査)、実線「―――」(=実施期間)、破線「- - - -」(=実施予定期間)、「基礎情報収集」(=基礎情報収集調査) ※この凡例にない略語を使用する場合は凡例に当概略語を記載したうえで使用する。
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