第 25 回記念福岡シンポジウム Poster 発表応募用紙 ジフルオロメチルビニルスルホニウム塩 ジフルオロメチル基含有シクロプロパンの一段階合成 Difluoromethyl vinyl sulfonium salt: a one-pot access to difluoromethyl-containing cyclopropanes 石川卓也、笠井紀貴、山田奏教、花本猛士(佐賀大院工) 少数のフッ素原子が位置選択的に導入された有機化合物には薬理・生理活性化が発現することが 知られている。したがって化合物中に簡便にフッ素原子を導入する方法の開発は非常に重要な課題 となっている。またシクロプロパンをはじめとする三員環化合物は医農薬の部分骨格として多く応 用されておりその簡便な合成法の開発も同時に重要である。 最近我々の研究室からトリフルオロメチル基(CF3)、あるいはモノフルオロ基(F)を化合物中に簡 便に導入することのできるビルディングブロック剤として、それぞれ対応するビニルスルホニウム 塩を報告した。 F3C F SPh2・OTf SPh2・OTf 一方でジフルオロメチル基(CF2H)を有する化合物は CF3 や F を含有する化合物と比べ報告例が 少ない。その最たる理由として簡便な合成法が確立されていないことが挙げられる。そこで今回、 CF2H を化合物中に簡便に導入できるビルディングブロック剤の開発の検討を行った。 F Br F PhSH, NaH F tBuOK 1,4-Dioxane F DMSO SPh 1 Ph2I・OTf Cu powder HF2C 2 99% SPh HF2C DCE reflux SPh2・OTf 3 93% 4 94% まず PhSH を用いて 3-ブロモ-3,3-ジフルオロプロペン 1 に対し SN2’反応を行うことで定量的に アリルスルフィド 2 を合成した。続いて塩基として tBuOK を用いて 2 を異性化させることでビニ ルスルフィド 3 の合成に成功した。最後に 3 とヨードニウム塩の反応で目的の対応するジフルオロ メチルビニルスルホニウム塩 4 を高収率で合成することに成功した。 合成した 4 を塩基性条件下、活性メチレン化合物と反応させることで対応するジフルオロメチル 基を有するシクロプロパン誘導体を高収率かつ選択的に合成することに成功した。 HF2C EWG1 K2CO3 EWG2 Acetone + SPh2・OTf 4 HF2C EWG1 EWG2 5 10 examples up to 98% <参考文献> 1)T. Ishikawa, N. Kasai, Y. Yamada, T. Hanamoto, Tetrahedron, 2015, 71, 1254-1260. 発表者紹介 氏名 石川 卓也(いしかわ たくや) 所属 佐賀大学大学院工学系研究科 循環物質化学専攻 学年 博士前期課程 2 年 研究室 反応化学研究室 (花本研究室)
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