ガラス繊維強化 中・長鎖ポリアミド 剛性と耐衝撃性のバランスに優れ軽量化に寄与します 温度環境と引張強度 特に、PA1010における機械特性への効果 は顕著です。 例えば30%添加する場合、非強化の引張 強度:50MPaに対し、172%増の136MPa まで高めることが可能です。引張弾性率 も、1500MPaからほぼ5倍の7400MPaへと 大きく剛性が増強されます。 低密度 ガラス繊維を30%添加したPA1010は、同 20%添加したPBTと同等レベルの機械特 性を有しますが、密度が1.27と10%以上 の軽量化が可能です。 また、PA610とPA1010では50%以上のガ ラス繊維を添加したグレードを開発して います。比重の低いプラスチックで高い 剛性を達成することで、軽量化を図るこ とができます。 耐熱性 ほとんどのポリアミドのガラス転移点は 50℃付近にあるため、室温と比較して 80℃の機械強度は大きく低下します(グラ フ①)。 その中でも、PA1010は特性の変化が少な く、安定した強度を発揮します。 耐衝撃性 一般的に剛性を高くすると「硬いが脆 い」という特性を示す傾向にあります。 しかし、中・長鎖PAの場合はグラフ② に示すように、優れた耐衝撃性を示し ます。例えば20%ガラス繊維強化PBTで は、ノッチ付き衝撃強度が10kJ/m2を超え ることは稀です。 -30℃での衝撃強度も高く(背面物性表)、 剛性と耐衝撃性のバランスに優れていま す。 特にPA1010は、高い耐衝撃強度を有して います。 引張破断強度 (MPa) 結晶性を有する中・長鎖ポリアミドにガ ラス繊維を添加することにより、剛性を 高めることができます。 吸湿と湿熱劣化特性 85℃、湿度85%の高温高湿試験では(グ ラフ③)、PA6やPA66の強度変化の大き さが顕著ですが、オレンジ色のラインの PA1010は、比較的安定した引張弾性率を 保持しています。 弾性率が低くなると、同じ負荷に対する 変形量が大きくなってしまいます。 PA6やPA66は吸湿量が大きいため、弾性 率の変化が大きく、寸法も大きく変化し ます。 ガラス繊維を添加することで相対的に樹 脂量が少なくなるため、吸湿量は少なく なりますが、もともと吸湿量が少ない長 鎖PAでは、さらに吸湿による影響を少な くすることができます。 PA610 GF30 PA612 GF30 PA1010 GF30 PA12 GF30 PA6 GF30 PA66 GF30 200 150 100 50 0 -50 16 0 54 50 測定温度 ℃ 100 150 温度(℃) グラフ①:環境温度と引張強度 室温における衝撃強度 (kJ/m2)2) (kJ/m 100 耐薬品性 特に自動車関連用途では、融雪剤の塩化 カルシウムに対して、PA6やPA66が冒さ れやすいことが問題となっています。 また、「トタン」などに使用される亜鉛 に海風などによる食塩が付着すると、イ オン交換反応により強い作用を有する塩 化亜鉛が発生します。PA6やPA66は塩化 亜鉛に対して非常に弱く、割れなどの原 因となります。 PA610、PA612、PA1010と炭素鎖が長く なるにしたがって、これらの塩に対する 耐性が大きく向上します。特にPA11は、 良好な耐性を発揮します。 80 60 40 20 0 PA11 PA12 PA610 Unnotched PA612 PA1010 PA1012 Notched グラフ②:シャルピー衝撃強度(23℃) 54 高温高湿試験 ℃、4* 引張弾性率 (MPa) ガラス繊維補強効果が高いPA1010 引張強度(MPa) 250 (MPa) 10000 9000 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 PA610 GF30 PA612 GF30 PA1010 GF30 PA12 GF30 PA6 GF30 PA66 GF30 0 21 200 400 600 処理時間 800 1000 (時間) グラフ③:高温高湿(85℃, 85%RH)環境下における 引張弾性率の時間変化 54 基本物性表 Rilsan® 試験項目 試験法 Rilsamid® Hiprolon® 単位 BZM 30 O TL AZM30 O TLD 70 MNNHL 90 MNNHL 200 MNNHL 400 MNNHL G30 G30 G30 G30 PA 11 PA 12 PA 610 PA 612 PA 1010 PA 1012 密度 ISO 1183 g/cm3 1.25 1.23 1.31 1.28 1.27 1.26 吸湿率 ISO 62相当 % 0.45 0.4 0.8 0.8 0.6 0.5 融点 ISO 11357 ℃ 189 180 222 215 202 189 熱変形温度(HDT) 0.45 MPa 1.80 MPa ISO 75 ℃ ℃ 189 178 181 160 221 210 213 185 195 185 180 175 0.5 1.0 0.4 1.0 0.2 0.7 0.2 0.7 収縮率 流れ方向 垂直方向 ISO 294-4, 2577 % % 引張特性 破断強度 破断伸度 弾性率 ISO 527 MPa % MPa 134 6 7300 120 5 7530 150 5 8300 137 5 7800 136 5 7400 120 5 6500 89 96 24 17 80 90 16 13 90 89 16 10 90 90 20 13 95 95 19 11 86 84 23 12 > 600 > 600 > 600 > 600 シャルピー衝撃強度 23℃ ノッチ無 -30℃ ノッチ無 23℃ ノッチ有 -30℃ ノッチ有 ISO 179/1eU ISO 179/1eU ISO 179/1eA ISO 179/1eA kJ/m2 kJ/m2 kJ/m2 kJ/m2 CTI IEC 60112 - 体積抵抗率 IEC 60093 Ω・m 7×1013* 1013* 1014** 1014** 1015** 1015** ASTM D6866 % > 97 0 > 60 0 > 95 > 43 再生可能資源由来 の炭素比率 * ASTM D257による測定データ ** 23℃、湿度50%の環境で15日間調湿した試験片を使用 ひまし油からの垂直統合生産体制 アルケマは、セバシン酸の全世界生産キャパシティの50%以上を有するCASDA社と中長鎖PA重合メーカーのHipro Polymer社を2012年 に買収し、ひまし油からPA1010やPA610などのプラスチック原料に至るまでの垂直統合生産体制を確立しました。 なかでも、PA1010とPA11は全てのモノマーを「ひまし油」からグループ内で生産しています。 アルケマは、インドの世界的な「ひまし油」メーカーのジャイアント・アグロ社の関連会社に出資し、PA11およびPA1010のモノマ ーの原料となる「ひまし油」の安定的な調達に努力しています。 アルケマ株式会社 本社 〒 100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2富国生命ビル15階 Tel: 03-5251-9900 / Fax: 03-5251-9930 京都テクニカルセンター 〒 600-8815 京都市下京区中堂寺粟田町93京都リサーチパークSCB#3 Tel: 075-326-7431 / Fax: 075-326-7524 arkema.co.jp
© Copyright 2024