426 慢 性 前 立 腺 炎 に お け るChlamydia trachomatisの ― 前 立 腺 分 泌 液 中 抗Chlamydia Westernblotting法 関 与 の研 究 trachomatis IgAの に よ る 反 応 バ ン ドの 分 析 ― 札幌医科大学医学部泌尿器科 小六 幹夫 熊本 悦明 広瀬 崇興 (平成6年12月9日 受付) (平成7年2月14日 受理) Key words: chronic heat prostatitis, shock 要 Chlamydia trachomatisが Chlarnydia trachornatis, protein 旨 慢 性 前 立 腺 炎 の 起 炎 微 生 物 で あ るか 否 か に つ い て は 未 だ 賛 否 両 論 が あ る . そ こ で 今 回,慢 性 前 立 腺 炎 様 症 状 を有 す る92症 例 を 含 む169例 に お い て,前 立 腺 分 泌 液 中 の 白血 球 数 別 の 抗C.trachomatis IgA陽 性 率 をEnzyme そ の 陽 性 所 見 を 確 認 し た.さ KDa) IgAの immuno を 用 い て 検 討 し,Westernblotting法 有 無 を 確 認 し,慢 性 前 立 腺 炎 に お け るC.trachomatisの 前 立 腺 分 泌 液 中 の 抗CtrachomatisIgA陽 中 の 白 血 球 数 別 で は10WBC/hpf以 WBC/hpf未 assay法 ら に 前 立 腺 分 泌 液 中 の 抗C.trachomatis あ っ た.前 序 文 占 め,ま .09)は な か っ 性 率 は,Western- 満 の群 で は0%(0/12) 高 か っ た. 上 の 慢 性 前 立 腺 炎 の29.0%(20/69)にC.trachomatis 慢 性 前 立 腺 炎 の 起 炎 微 生 物 に な り得 る と考 え られ た . 慢性 前立腺炎 は昨年 の当科外来男 性患者 の 5.6%(52/926)を IgA陽 立 腺 分 泌 液 中 の 白血 球 数 別 で は,10WBC/hpf で あ り,局 所 の 炎 症 程 度 が 強 い ほ ど陽 性 率 は有 意(p=0.013)に の 関 与 が 示 唆 さ れ,C.trachomatisが た他 の 報 告1)で は6.8% C.trachomatisは 性感染症 の主要病 原微生物 の 一つ で あ るが ,男 女 と もに そ の 感 染 症 が 潜 在 的 に 流 行 して い る2)3).そ して女 性 でC.trachomatis性 を 占 め る,比 較 的 頻 度 の 高 い 疾 患 で あ る.慢 性 前 子 宮 頸 管 炎 か ら骨 盤 内 炎 症 性 疾 患(PID)に 立 腺 炎 は起 炎 微 生 物 の検 出 の 有 無 に よ り細 菌 性 と る よ う に,男 性 で はC.trachomatis性 非 細 菌 性 に分 類 され る が,一 般 細 菌 以 外 の 起 炎 微 C.trachomatis性 生 物 とし てChlamdia い と考 えて い る. chomatis)の trachomatis(以 下C.tra- 存 在 が 最 近 注 目 され る よ う に な っ て い る. 幌 市 中 央 区南1条 西16丁 目 札 幌 医 科 大学 泌 尿 器 科 小六 幹夫 波及 す 尿 道炎 か ら 前立腺炎 に波及す る可能性が高 そ のC.trachomatisは で あ る た め,検 別 刷請 求 先:(〒060)札 60 群 で37 .9%(11/29),5 群 で11.1%(1/9),5WBC/hpf未 立 腺 分 泌 液 中 白血 球 数10WBC/hpf以 (HSP: あ っ た .前 立 腺 分 泌 液 (20/69),5∼9WBC/hpfの あ り,局 所 の 炎 症 程 度 と陽 性 率 に 有 意 差(p=0 以 上 の 群 で38.5%(5/13),5∼9WBC/hpfの により Protein 起 炎 性 に つ い て 検 討 した . 上 で の 陽 性 率 が 高 か っ た .一 方,前 立 腺 分 泌 液 中 の 抗HSP blotting法 施 行 可 能34例 で は17 .6%(6/34)で 従 っ て,前 Shock 性 率 は 全 体 で は26.0%(44/169)で 上 の 群 で29.0% 満 の 群 で は18.3%(13/71)で た が,5WBC/hpf以 Heat 細 胞 内偏 性 寄生 微 生 物 出 に は感 染 局 所 の 粘 膜 上 皮 を採 取 す る必 要 が あ るが,前 立腺分泌 腺粘膜 の直接採取 は臨 床 上 容 易 で は な く,研 究 的 に現 在 まで に前 立 感染症学雑誌 第69巻 第4号 慢 性 前 立 腺 炎 に お け るC.trachomatisの 427 関与 腺 生 検 に よ り 慢 性 前 立 腺 炎 組 織 か らC.tra- の 指 標 とな る前 立 腺 分 泌 液 中 白血 球 数 とC.tra- chomatisの chomatis抗 検 出 を試 み た 報 告 は少 な か ら ず あ る が4)∼7)C.trachomatisの 起炎 性 につ いて未 だ一 定 体 保 有 率 との 関 係 を み る対 象 と し て 適 切 な 症 例 群 で あ る と考 え検 討 対 象 に加 えた. な お,慢 性 前 立 腺 炎 様症 状 を有 す る症 例 と男 子 の 見 解 が 得 ら れ て い な い8). と こ ろ でC.trachomatis感 染 症 は粘 膜 感 染 症 不 妊 症 症 例 を合 わ せ た169症 例 の うち,前 立 腺 分 泌 で あ る た め,感 染 局 所 の 分 泌 液 中 に 分 泌 型IgAが 液 中 の 白血 球 数 が10WBC/hpf以 排 泄 さ れ る こ とが 推 察 さ れ る.そ と した92症 例 に つ い て は,前 立 腺 分 泌 液 また は前 こで 我 々 は慢 性 前 立 腺 炎 症 例 の 前 立 腺 分 泌 液(Expressed tate Secretion: をEnzyme EPS)中C. immuno し,約20%の chomatis Pros- trachomatis特 assay(以 異IgA 下EIA法)で 存 在 を 確 認 し て お り9)10),そ れ ら の 症 例 で はC.trachomatisに よる慢性 前 立 腺 炎 EIA法 は,ど IgAの 検 出 に用 い る の キ ッ ト を使 用 し た 場 合 で も特 異 性 が 充 分 で は な い と の 報 告 も あ る11)∼13).そ こ で 今 回,抗C.trachomatis IgAの 症 例 で は精 液 中 の 白血 球 数 の検 討 も行 っ た. trachomatis HSPに す る た め,EIA法 で のIgA陽 で 確 認 試 験 を 行 っ た.さ 性 検 体 に つ い て Westernblotting法 で の 反 応 バ ン ド を 検 討 し,特 う ち,感 対 す るIgAの 清 に つ い て も同 時 に検 討 した. な お,検 討 した 症 例 は全 て 初 診 時 の未 治 療 例 で あ る. (方法) らに 1.抗 体 測 定 法 1)検 体 の 採 取 法 前 立 腺 分 泌 液 は肛 門 か らの 示 指 に よ るマ ツサ ー 染局所 にお ける ジ圧 出 後,尿 道 か らピペ ッ トに て採 取 後 チ ュー ブ 強 い 炎 症 の 誘 因 と な る こ と が 推 察 さ れ て い るC に 入 れ-20℃ trachomatisの60KDa熱 は 綿 棒 に て 吸収 採 取 し(綿 棒1本 shock protein; シ ョ ツ ク 蛋 白(Heat 以 下HSP)14)∼17)に 存 在 を 分 析 し た.そ 局 所 の 炎 症 程 度 と の 関 連 性 を 分 析 し,慢 にTrisバ IgAと 性前 立腺 関 与 を よ り明 確 に い た.ま あた り約50μl相 ッ フ ァー750μlに て16倍 に 希 釈 し て 用 で凍結保存 した もの を室 温 解 凍 して 用 い た. EIA法 材 料 と方 法 道分泌液 で 凍 結 保 存 し測 定 時 た,血 清 は遠 心 分 離 後-20℃ 2)抗C.trachomatis 検 討 し 得 た の で そ の 成 績 を 報 告 す る. IgA, IgG抗 体 価 測 定 法 の 一 つ で,最 近 開 発 さ れC.trachomatis に対 す る 特 異 性 が か な り高 い と さ れ る (対 象) 札 幌 医大 前 立 腺 炎研 究 会 の 泌 尿 器 科 施 設 を受 診 し,前 で 凍 結 保 存 した.一 方,尿 当),小 チ ュ ー ブ に入 れ-20℃ 対 す るIgAの し て 抗C.trachomatis 炎 に お け るC.trachomatisの 陽性 率 を,急 性 疾 患 に お け る そ れ と比 較 す る 目 的 で 急 性 のC. 特 異 性 を よ り確 実 に Westernblotting法 に 前 立 腺 分 泌 液 中IgAの 子不妊症 trachomatis性 男 子 尿 道 炎20例 の 尿 道 分 泌 液 と血 の 可 能 性 が あ る と推 測 し て い る. し か し 抗C.trachomatis の細 菌 学 的 検 討 も行 った.男 また,慢 性 疾 患 で あ る慢 性 前 立 腺 炎 にお け るC. 症 例 で 前 立 腺 分 泌 液 中 抗CtraIgAの 立 腺 マ ッサ ー ジ後 初 尿(first voided bladder urine 3: VB3)中 測定 上 の症 例 を 中 心 立 腺 分 泌 液 お よ び血 清 の 採 取 が 可 能 で あ っ HITAZYME(R)(日 た.判 立 化 成)13)18)を用 い て 測 定 し 定 は陰 性 コ ン トロール の 平 均 吸 光 度 に た 慢 性 前 立 腺 炎 様 症 状 を 有 す る92症 例 と男 子 不 妊 0.15 症77症 0.15 (IgG)の 吸 光 度 を カ ッ トオ フ値 と して 判 定 し 例 に つ い て 検 討 を 行 っ た.こ れ ら全 症 例 は 初 尿 に よ るIDEIAク ラ ミ ジ ア(R)(協 和 発 酵)に りC.trachomatis性 尿 道 炎 の ない こ とを確認 し て い る.男 よ 子 不 妊 症 症 例 は前 立 腺 炎 症 例 と同様 の 性 活 動 を 有 す る 年 齢 層 で あ り,し か も症 状 を 有 さ な い に も拘 らず 前 立 腺 分 泌 液 中 に 白 血 球 を 有 す る 症 例 が 半 数 以 上 で あ る こ と か ら,局 平 成7年4月20日 所 の炎症程度 (IgA), 0.12 (IgG)を 加 え,0.2 (IgA), た. 2.Westernblotting法 に よる前 立 腺 分 泌 液 お よ び 尿 道 分 泌 液 中IgAのC.trachomatis特 異性 の確認 C.trachomatis特 キ ッ トもEIA法 異 性 が 高 い と さ れ る今 回 の で あ るた め,他 のChlamydia属 小六 428 Fig. (1) 1 Immunoblotting Purification Fig. 2 assay of elementary 幹夫 他 HSP (60KDa) separation method for C. trachomatis bodies (EBs) Purified EB Preparation of purified EBs by sodlum dodecyl sulfate (SDS) ↓ (2) SDS-polyacrylamide gel electrophoresis of purified EBs ↓ (3) Electrophoretic transfer of EB nitrocellulose membrane protein to ↓ (4) Immune reaction of structual polypeptides of C.trachomatis with IgA antibodies in samples と の 交 差 反 応 に よ り偽 陽 性 と な る 可 能 性 は 否 定 で き な い.そ こ でHITAZYME(R)で 前立腺分泌液 お よ び 尿 道 分 泌 液 中 抗C.trachomatis 例 に つ い てWesternblotting法 IgA陽 性 症 を用 い て確 認 試 験 を 施 行 し た. 方 法 の 詳 細 は 当 教 室 の 林 の 報 告10)に 準 じ た が, 簡 略 化 す る とFig.1の 如 くで あ る.前 立 腺 分 泌 液 の 検 体 量 が 充 分 で な い 症 例 も一 部 に あ りWesternblotting法 が 可 能 で あ っ た 症 例 は,前 立 腺 分 泌 液 中 抗C.trachomatis あ っ た.尿 ting法 IgA陽 道 分 泌 液 は15例 で 対 す るIgAの Elementary body 白 に はHSPとouter OMP-2)の2種 に よ るC.trachomatis (以 下EB)蛋 membrane の 反 応 バ ン ド に はOMP-2お 白 中 の60KDa蛋 た バ ン ドが 混 在 す る の で,EB全 画 に はOMP-2が 有 の 手 順 はFig. Triton-X 超 遠 心 分 離 を 行 う.可 溶 分 画 に 含 む ポ リペ プ チ ド,不 含 ま れ る.可 可溶 分 溶 分 画 はTriton-X 4.2次 抗 体(抗 IgA,ま た は不 応 バ ン ドは 抗OMP-2 ヒ トIgA(α)ヤ EB Fig.1の polypeptideを ギ 血 清)中 に 認 識 す るIgA 要 領 で 作 製 され たEB polypeptideの 転 写 され た ニ トロ セ ル ロ ー ス膜 と,2次 て の抗 ヒ トIgA させ,反 抗体 とし (α)ヤ ギ血 清 を室 温 で30分 間 反 応 応 バ ン ド形 成 の 有 無 を確 認 した.反 応 バ ン ド無 形 成 の場 合,交 (界 加 え37℃ で60分 間 放 置 後,4QCで60 分 間100,000×gで はHSP(60KDa)を 反 応 し 述 す る と以 下 の 如 く で あ る. 希 釈 し た 精 製EBに0.5% で出現 が 存 在 す るか 否 か の検 討 に よ る60KDa を 施 行 し た.そ 応 バ ン ドは抗HSP 可 溶 分 画 にお け る60KDa反 C.trachomatis 有 分 画 に 分 離 し,各 分 画 を 用 い て 2に 示 し た が,詳 面 活 性 剤)を 2 (以 下, 蛋 白 をHSP含 間 超 遠 心 分 離 し,上 清 を捨 て た. 1gAと 判 定 した. の た めEB全 よ びHSPに Bio-Rad)で 可 溶 分 画 は,洗 浄 ッフ ァー に て 洗 浄 し た 後4。Cで60分 した60KDa反 体 で あ る protein 結 乾 燥 した.不 可 溶 分 画 を用 い て のWesternblotting法 検討 蛋 白 を 用 い たWesternblotting法 Westernblotting法 処 理 した後,凍 100,000×gで 類 が 存 在 す る19).そ 分 画 とOMP-2含 除 去 用 カ ラム(バ イ オ ビ ー ズSM2, 用Trisバ 全 例 でWesternblot- 感 染 性 を 有 す るC.trachomatis菌 PBSで 中34例 が 可 能 で あ っ た. 3.Westernblotting法 HSPに 性 検 体44例 差 反 応 な し と判 定 した. 5.前 立 腺 分 泌 液 の細 菌 学 的 検 討 前 立 腺 に お け る細 菌 感 染 の 有 無 を検 討 す る た め,前 立 腺 分 泌 液 の 一 般 細 菌 培 養 を行 った.前 腺 分 泌 液 量 が 不 十 分 な 症 例 で はVB3を 立 検 体 とし た.前 立 腺 分 泌 液 で は シ ー ドス ワ ブ2号(栄 感染症学雑誌 第69巻 研), 第4号 慢 性 前 立 腺 炎 に お け るC.trachomatisの VB3で 関与 429 は ウ リカル トTMを 用 い て菌 数 定 量 し,そ の 成 1.抗C.trachomatis 後 分 離 菌 を 同定 した. グ ラ ム 陰 性 桿 菌(GNR)数 が103cfu/ml以 上, ま た グ ラム 陽 性 球 菌(GPC)数 が104cfu/ml以 上同 液,血 検 討 し た169症 性 前 立 腺 炎 と した20). をFig.3に IgAの あ る因 子 の 有 意 差 検 定 に はKruskal-Wallis法 用 い た.有 意 水 準 はp<0.05と Fig. 3 serum 169),血 を Comparison of the positive rate of anti-C. of chronic IgA 示 し た. 清 で20.1%(34/169)で trachomatis IgA 27.0% (44/169) Positive rate in EPS: 20.1% (34/169) Positive rate in serum: and IgG in 3.6% (6/169) 20.1% (34/169) Positive rate of anti-C. trachomatis IgA in the serum -according to leukocyte count in EPS- and EPS the groups for either the serum EPS 平 成7年4月20日 お,前 IgG Positive rate in serum: Serum あ り,前 prostatitis significant differences were seen between 性 率 の成 績 陽 性 率 は 前 立 腺 分 泌 液 で27.0%(44/ Positive rate in EPS: # No IgG陽 血 清 と も に 陽 性 に12.4%(21/169),前 and in EPS in the cases Fig. 4 IgA, 泌 液 中 陽 性 率 が 高 か っ た.な し た. 前立 腺 分 泌 例 の 前 立 腺 分 泌 液 お よ び血 清 に お け る 抗C.trachomatis 2群 間 の 有 意 差 検 定 に はX2検 定 を 用 い,順 位 の IgGの 清 別 の 陽 性 率 の比 較 定 さ れ た 症 例 を細 菌 感 染 あ り と判 定 し,細 菌 性 慢 6.統 計 学 的 検 討 法 績 IgA, EPS or 立腺分 立 腺 分 泌 液, 立腺分泌液 小六 430 陽 性,血 清 陰 性 は13.6% 陰 性,血 一 方 清 陽 性 は7.7%(13/169)で ,IgGの 169),血 (23/169),前 あ っ た. 群 の 血 清 中 抗C. IgA陽 性 た.な に群 別 群 の 前 立 腺 分 泌 液 中 抗C.trachomatis 陽 性 率 を 検 討 し た が,成 お,前 績 をFig.4の 立 腺 分 泌 液 中 白血 球 数 け て 検 討 し た.前 「0WBC/hpf 上 の 群 」: (3/20),「 中WBC (-)」: 群 」: 27.6% 群 」: 15.6% (-)/精 液 中WBC 0% (0/6)で (-)/精 あ っ た.白 4.前 立 腺 分 泌 液 中 抗C. 「5∼9WBC/hpfの WBC/hpfの 中WBC(-)/ 群 」: 37.9% 群 」: 22.2% 0%(0/6)で (-)/精 あ っ た.白 に 有 意 差(p=0.09)は 5WBC/hpf以 (10/45),「 精 液 中WBC(+)」: 「前 立 腺 分 泌 液 中WBC (20/69), (11/29),「1∼4 を 検 討 し た が,成 績 をFig.5の 液 中WBC 5.血 (-)」: rate Serum 清 中 抗C. trachomatis 血 清 中 抗C.trachomatis た と こ ろ,成 績 をFig.5の 上 で の 陽 性 率 が 高 か っ た. IgG陽 of anti-C. 性 率 右 に示 す 様 に 白血 IgGと 認 め 前立 腺分泌 IgG陽 性 率 を検 討 し 左 に 示 す 様 に,白 数 別 の 群 間 で 陽 性 率 に 有 意 差(p=0.004)が -according 前 液 中 白血 球 数 との 関 連 性 認 め ら れ な か っ た が, Positive IgGと ら れ な か っ た. (3/20), 血 球 数 別 の群 間 で 陽 性 率 Fig. 5 血球 数 球 数 別 の 群 間 で 陽 性 率 に 有 意 差(p=0.14)は 前立腺 分泌液 15.0% 液 認 め られ trachomatis 前 立 腺 分 泌 液 中 抗C.trachomatis 上 の 群 」: 29.0% (+)」: 前 立 腺 分 泌 液 中WBC 立 腺 分 泌 液 中 白血 球 数 との 関 連 性 た. 「10WBC/hpf以 (7/45), な か っ た. 立 腺 に炎 症 が な く て も精 嚢 腺 に は 炎 症 が 存 在 す る 症 例 と判 断 し 15.0% 症例 性 率 はFig. 別 の 群 間 で 陽 性 率 に 有 意 差 (p=0.15)は 立 腺 分 泌 液 に は 白血 球 を認 め ず 精 液 中 に 白 血 球 を 認 め る 場 合,前 IgA陽 (16/69),「5∼9WBC/hpfの 「前 立 腺 分 泌 液 中WBC 右 に示 し に分 trachomatis (8/29),「1∼4WBC/hpfの IgA の 群 」 は 精 液 中 白 血 球 数 の 有 無 で さ ら に2群 前立腺 分泌 4の 左 の 如 く に な る.「10WBC/hpf以 23.2% 症 例 を 前 立 腺 分 泌 液 の 白 血 球 数 別 に5群 IgAと 前 項 と 同 様 に 症 例 を 群 別 し て 検 討 し た.各 陽 性 率 は 前 立 腺 分 泌 液 で3.6%(6/ 立 腺 分 泌 液 中 抗C.trachomatis 清 中 抗C.trachomatis 液 中 白血 球 数 との 関連 性 率 と前 立 腺 分 泌 液 中 白 血 球 数 と の 関 連 性 し,各 3.血 立腺 分泌液 あ っ た. 清 で20.1%(34/169)で 2.前 幹夫 他 trachornatis to leukocyte IgG in the serum 血球 あっ and EPS count in EPS- EPS 感染症学雑誌 第69巻 第4号 慢 性 前 立 腺 炎 に お け るCtmhomatisの た. 6.Westernblotting法 抗C.trachomatis に よる前 立 腺 分 泌 液 中 IgAの 特 異 性 の確 認 と反 応 バ 関与 431 Fig. 6 Confirmation of the presence/absence of anti HSP IgA in EPS by Westernblotting Examination of a case of chronic prostatitis (WBC in EPS>_10/hpf)— ン ドの 分 析 1)抗C.trachomatislgAの (major outer KDa)に 主 要 外 膜 蛋 白 Inembrane protein:MOMP,40 対 す る反 応 の検 討 Westernblotting法 が 施 行 可 能 で あ っ た34症 例 で は 外 膜 蛋 白 の 大 部 分 を 占 め るMOMP(40KDa) と の 反 応 は 全 例 に 認 め ら れ,今 回 使 用 し たEIA法 に 偽 陽 性 症 例 が な い こ と が 確 認 で き た. 2)抗CtmchomatislgAの60KDaに 対す る反 応 の検 討 Westernblotting法 施 行 の 際 に,MOMPと 応 バ ン ド と と も に 出 現 す る60KDaと ド は44日1%(15/34)に (55.9%:19/34)で の反 の反応 バ ン 認 め ら れ た.残 は60KDaに り の/9例 対 す る反 応 バ ン ド 形 成 は な か っ た. 3)60KDaに 対 す る 反 応 バ ン ドの,よ り詳 細 な 分析 Fig.6に WBC/hpf以 前 立 腺 分 泌 液 中 の 白 血 球 数 が10 上 で 抗HSPIgA陽 Fig. 7 性,抗OMP-2 Positive rate ―according 平 成7年4月20日 of and-MOMP, to leukocyte IgA陰 性 の 慢 性 前 立 腺 炎 症 例 に お け るWesternb- lotting法 の 電 気 泳 動 所 見 を 示 し た.可 溶 分 画 で は 60KDaと の 反 応 バ ン ド を 認 め る が,不 可 溶 分 画 で 60KDaと の 反 応 バ ン ド は 認 め ら れ な い.さ OMP-2, count in HSP EPS― IgA in EPS らに対 小六 432 照 と し てEB全polypeptide分 画 に2次 を 反 応 さ せ た 結 果 を 示 し た が,反 ら れ ず,2次 す るIgAは 幹夫 他 抗体 の み 応 バ ン ドは認 め 抗 体 中 に はEBpolypeptideを 認 識 存 在 し な い こ と が 確 認 さ れ た. 以 上 の 所 見 か ら,こ 高 い こ とが 示 され た. 7.前 立 腺 分 泌 液 の 細 菌 学 的 所 見 と抗CtraL chomatisIgA検 出 との 関連 性 前 立 腺 分 泌 液 中 に 抗Ctmchomatis IgA陽 性 例 が か な りの 頻 度 で検 出 さ れ,CtrachomatiS感 の 症 例 で 認 め ら れ た60KDa の 反 応 バ ン ド は,前 立 腺 分 泌 液 中 のIgAが60KDa 染 の可 能 性 が 考 え られ た が,他 蛋 白 の う ちHSPと の関 連 性 につ い て も検 討 す べ く,前 立 腺 分 泌 液 中 の み 反 応 した た め に 出現 し た も の で あ る こ と が 確 認 さ れ た.こ KDaと の 様 な 方 法 で60 の 反 応 バ ン ド の 分 析 を 行 っ た. Fig.7に こ とが 少 な い た め,10WBC/hpf以 に よ る反 応 バ ン ドの 分 析 成 績 を 示 し た. 上 の 群 」で はMOMPの み との 症 例 は23.1%(3/13),MOMP,OMP-2, 性 群 」で はMOMPの み との 反 検 出状 況 を ま とめ る と,Table2の 2の 症 例 は44.4%(4/9),MOMP,HSPの 症 例 は 11.1%(1/9),で 性 率 は あ っ た.抗HSPIgA陽 Table 細菌性慢 性前立腺 炎 は あ った.ま た,抗CtrachomatiS Bacterial species detected in EPS あ っ た. 「1∼4WBC/hpfの 群 」で はMOMPの み との 反 G N R: Escherichia coli (3), Klebsiella pneumoniae (1) Pseudomonas aeruginosa (1) 応 バ ン ド 形 成 症 例 は80.0%(8/10),MOMP, OMP-2の 1 如 くに 上 の群 」で は細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 は13.1%(8/61),非 86.9%(53/61)で 応 バ ン ド形 成 症 例 は44.4%(4/9),MOMP,OMP- 11.1%(1/9)で IgAの な る.「10WBC/hpf以 あ っ た. 「5∼9WBC/hpfの 症 例 は20.0%(2/10)で Serratia marcescens (1) Acinetobacter calcoaceticus (1) あ っ た.抗HSP NF-GNR (1) IgA陽 性 率 は0%(0/10)で 「OWBC/hpfの あ っ た. 群 」 で は2例 と もMOMPの み G P C: Staphylococcus epidermidis (5) Enterococcus faecalis (2) Streptococcus agalactiae (1) Streptococcus mitis (1) と の 反 応 バ ン ド形 成 症 例 で あ っ た. 以 上 の 所 見 か ら 抗HSPIgA陽 性 率 は前 立 腺 分 Streptococcus equinus (1) Coagulase 泌 液 中 の 白 血 球 数 が 多 い ほ ど 有 意(p=0.0133)に Table 2 Clasification 示 け る一 般 細 菌 と前 立 腺 分 泌 液 中抗CtrachomatiS あ っ た.抗HSPIgA陽 率 は38.5%(5/13)で ら19株 の 一 般 細 菌 が 分 離 同 離 菌 の 菌 種 分 布 をTable1に 前 立 腺 分 泌 液 中 白血 球 数 別 に群 別 し,各 群 に お の 症 例 は15.4%(2/13),MOMP,HSPと の 症 例23.1%(3/13)で 定 さ れ た が,分 例 中15症 す. 反 応 バ ン ド形 成 症 例 は38.4%(5/13),MOMP, HSPと 上 の症例 を主 体 と した92症 例 で の 検 討 とな った.92症 例(16.3%:15/92)か 「10WBC/hpf以 OMP-2の の細 菌 学 的 検 討 を行 った.-一 般 的 に は前 立 腺 分 泌 液 中 の 白血 球 数 が 少 な い症 例 で は培 養 が行 わ れ る 前 立 腺 分 泌 液 中 白 血 球 数 別 の,Wes- ternblotting法 の一般細菌 感染 と of chronic prostatitis depending negative upon causative Staphylococcus (1) organism 感染症学雑誌 第69巻 第4号 慢 性 前 立 腺 炎 に お け るCtrachomatisの 433 関与 IgA陽 性 率 は,細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 で は37.5%(3/ 染 局 所 か らの 菌 体 また は抗 原 の検 出 が 必 要 で あ る 8),非 細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 で は22.6%(12/53)で が,前 立 腺 で は そ の解 剖 学 的 特 徴 か ら非 常 に 困難 で あ る.特 にCtrachomatiSは あ っ た. 「5∼9WBC/hpfの 群 」で は 細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 は22.7%(5/22),非 (17/22)で IgA陽 生 物 で あ るた め,前 立 腺 分 泌 液 中 に はEBが ほと ん ど含 まれ ず,そ れ を検 出す る こ とは 困難 で あ る. 細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 は77.3% あ っ た が,抗C.trachomatis 細胞 内偏性寄生微 性 現 在 ま で,慢 性 前 立 腺 炎 症 例 の 前 立 腺 組 織 か らCえ 症 例 は 非 細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 に の み35.3%(6/17) trachomatiS菌 体 の検 出 を 試 み た 内 外 の 文 献 の う に 認 め ら れ た. ち,検 体 採 取 時 に尿 道 か らのCtrachomatis混 「1∼4WBC/hpfの 群 」で は 細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 入 を否 定 し た 症 例 で の 検 討 を ま と め る とTable3 は25.0%(2/8),非 細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 は75.0% の 如 くで あ るが,CtrachomatiS菌 (6/8)で た,抗CtrachomatislgA陽 る所 見 は様 々 で あ り4)∼7),CtrachomatiSの 前 立 腺 あ っ た.ま 性 率 は,細 8.CtrachomatiS性 け る,尿 IgAの にお け る起 炎性 に つ い て は未 だ賛 否 両 論 が あ る. 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 で は50.0%(1/2), 非 細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 で は33.3%(2/6)で あ っ た. 男 子 急性尿 道 炎症 例 に お 液 中 のIgA陽 尿 道 炎 症 例20例 の,尿 性 率 は75.0%(15/20)で 性 率 は45.0%(9/20)で 道 分 泌 液 中IgA陽 道分泌 あ り,血 あ っ た.そ 性 症 例15例 体 と し て,Westernblotting法 清 の尿 れ て い る.一 3 positive 平成7年4月20日 rate of C. trachomatis of existing chomatislgAは 染 局 所 分 泌 液 中 の 抗Ctra- 感 染 局 所 に お け るC.tra- 存 在 と強 く関 連 す る こ と を 示 唆 す る 所 見 と考 え られ た.こ の所 見 は既 に小 数 例 な が ら, 察 般 に 起 炎 微 生 物 を 同 定 す る 場 合,感 The な ら な か っ た が,感 chomatiSの 治 療 薬 選 択 の 立 場 か ら も注 目 さ "a summary 炎 症 例 で の 尿 道 分 泌 液 中 抗CtrachomatiSIgA で あ っ た.感 染 時 期 に差 が あ るた め 全 例 陽性 に は 近 年,慢 性 前 立 腺 炎 の 起 炎 微 生 物 の 一 つ と し て, Ctrachomatisが 存 在 意 義 を検 討 体 が検 出 され た 尿 道 を 施 行 し た.全 例 に の 反 応 バ ン ド は 全 例 で 認 め ら れ ず, 考 今 回,感 染 局 所 分 泌 液 中IgAの す る た め,CtrachomatiS菌 陽 性 率 を検 討 した が,そ の 陽性 率 は75.0%(15/20) の 反 応 バ ン ドが 認 め ら れ た が,HSPお よ びOMP-2と cases 出 に よ り起 炎 の 尿 道 分 泌 液 を検 慢 性 前 立 腺 炎 と は異 な っ た 成 績 で あ っ た Table 分 泌 液(前 立 腺 分 泌 液)中 のIgA検 加 え て きた9)10). CtmchomatiS性 MOMPと そ こで我 々 は,臨 床 上 可 能 な診 断 法 と して局 所 微 生 物 を推 測 す る こ とが 次 善 の策 と考 え,検 討 を 道 分 泌 液 お よ び 血 清 中 抗CtmchomatiS 検 討 のIgA陽 体 検出 に関す reports" antigen 林10)も報 告 して い るが,こ の所 見 か ら推 定 し て,慢 性 前 立 腺 炎 に お い て も 前 立 腺 分 泌 液 中 の 抗C tmchomatiSIgAの in the prostate gland 存 在 は,前 立 腺 に お け るC of chronic non-bacterial prostatitis 小六 434 Table 4 Comparison of the positive IgG in EPS and in serum according 幹夫 他 rate of anti-C. to different trachomatis IgA and studies txachomatiS菌 体 の 存 在 を 示 唆 す る 所 見 で あ る と 討 す る手 段 と して は極 め て 有 意 義 で あ る と我 々 は 考 え られ る. 考 え て い る. 当 教 室 の 恒 川9)は既 に 慢 性 前 立 腺 炎 症 例 で の 前 立 腺 分 泌 液 中 に 抗Ctmchoma漉 分 泌 型IgAの と こ ろが 抗 体 検 出 の場 合,用 い るEIA法 の特 異 性 が常 に問 題 とな る.今 回 用 い たHITAZYME(R) 存 在 を確 認 して い る.そ の 陽 性 率 は 前 立 腺 分 泌 液 は 前 述 の 恒 川 お よ び 林 ら の 用 い た,indirect- 中 白 血 球 数10WBC/hpf以 immuno 上 の慢性 前立腺 炎症例 で19.0%(25/132),10WBC/hpf未 満 の症 例 で 9.5%(4/42),OWBC/hpfの 症 例 で0%(0/22) peroxidase Diagnostics社 assay(IPAzyme(R):Savyon 製 キ ッ ト)よ り もCtmchomatiS 特 異 性 が 高 い こ とが 証 明 され て い る11)∼13).そ の様 で あ り,前 立 腺 分 泌 液 中 白血 球 数 が 多 い群 で 陽性 な背 景 か ら,今 回 の 慢 性 前 立 腺 炎 に お け る前 立 腺 率 が 高 い こ と を報 告 した.し か も前 立 腺 分 泌 液 中 分 泌 液 中IgAお 抗 体 価 が 血 清 中 抗 体 価 よ り高 い傾 向 も認 め られ, 過 去 の 成 績 と比 較 し た の がTable4で 前 立 腺 分 泌 液 中IgAはC.tmchomatis感 に つ い て は過 去 のIPAzyme(R)で 染 によ よ びIgGの 検 討 成 績 を,当 教 室 の あ る.IgA の検 討 で は 血 清 る感 染 局 所 免 疫 応 答 を反 映 し,慢 性 前 立 腺 炎 の か 中 の 陽 性 率 が 前 立 腺 分 泌 液 中 よ り も高 率 で あ っ た な りの 症 例 にCtxachomatiS感 が,今 染 が 関 与 して い る 可 能 性 が あ る こ とを報 告 した. 陽 性 率 が 血 清 中 よ り も高 か っ た.局 所 で のIgAは さ ら に 当 教 室 の林10)は,少 数 例 で は あ る がC trachomatiS性 尿 道 炎 の 治 療2週 液 中 抗C.trachomatis 目の 前 立 腺 分 泌 IgAが 全 て(5/5)陽 あ る こ とを報 告 し,C.trachomatis性 tmchomatiS性 示 した.ま 慢 性 前 立 腺 炎 に 移 行 す る可 能 性 を Westernblotting法 IgAの 性で 尿 道 炎 がC た,一 部 の症 例 で は あ るが検 出 さ れ た IgAがC.trachomatiSに 回 の キ ッ トで の検 討 で は前 立 腺 分 泌 液 中 の 特異 的で ある ことを で 確 認 した. 産 生 は宿 主 免 疫 応 答 の結 果 で あ り,菌 体 大 部 分 が 分 泌 型 で あ り,血 清 中 よ り前 立 腺 分 泌 液 中 陽性 率 が 高 い 今 回 の成 績 の 方 が 妥 当 な 結 果 で あ る と考 え て い る.ま たIgGに 関 し て は,今 回 の 前 立 腺 分 泌 液 中 の 陽 性 率 は過 去 の 成 績 よ りか な り低 率 で あ り,IgGの 特 性 を考 えた 場 合,今 回 の所 見 の 方 が よ り妥 当 な 結 果 と考 え られ た.そ 血 清 中 のIgG陽 て お り,炎 症 の 程 度 が 強 い ほ ど,血 中 にIgG抗 今 回 の 検 討 に よ る抗C.txachomatis め,前 立 腺 分 泌 液 中IgAの 見 は,よ 標 と断 定 す る こ と は 必 ず し も 妥 当 と は云 え な い が,CtmchomatiSの 慢 性 前 立 腺 炎 へ の 関 与 を検 体 が 持 続 し て い る と推 測 さ れ た.こ れ ら の結 果 か ら, の 消 失 以 後 も一 定 の期 間 は抗 体 産 生 が 持 続 す るた 存 在 を活 動 性 感 染 の 指 れ に対 し, 性 率 は今 回,炎 症 の程 度 と相 関 し IgA,IgG所 り正 確 な もの で あ る と考 え て い る. しか し いず れ のEIA法 にせ よ,い か に特 異 性 が 高 い キ ッ トで あ って も偽 陽性 反 応 が 出 現 す る 可 能 感 染症 学 雑 誌 第69巻 第4号 慢 性 前 立 腺 炎 に お け るCtrachomatisの 性 が あ る.そ こ で 今 回 は,HITAZYME(R)で 症 反 応 を よ り増 強 させ る可 能 性 を示 す所 見 と考 え のIgA 陽性 症 例 の うち 検 体 量 が 充 分 で あ っ た 全 症 例 に つ い て,Westernblotting法 に よ る確 認 試 験 を施 行 し,C.tmchomatiS特 前 立 腺 へ の起 炎 性 を 明 確 に す る た め,C.trachomatis構 成蛋 白の うち 起 炎 性 が 強 い と さ れ るHSP(60KDa)14)∼17)に る 前 立 腺 分 泌 液 中IgAの 法 で 確 認 し,局 EB外 対 す ど で あ り,EB内 部 蛋 白 は ど で あ る.MOMPは 外膜蛋 白 の50%以 上 を 占 め る こ と が 知 ら れ て い る13).こ らEB構 成 蛋 白 の う ち,HSPが 有 す る と考 え ら れ て い る14)17).HSPは 曝 露 時 期 はMOMPに 内部蛋 白で 感 染 し た 場 合,そ の 免 疫 応 答 と し て 以 下 の2つ れ に対 す る宿 主 の が 考 え ら れ る.一 つ に 強 い 抗 原 性 を 発 揮 す る た めHSPの レ セ プ タ ー を 有 す る γ/δT細 胞 を 活 性 化 し,Macrophage chemotactic じ外 膜 蛋 白 で あ るOMP.2(60 の反 応 バ ン ドも認 め られ た が,全 例 で は 関 して は,抗MOMP 同様 に感 染 が 慢 性 化 す る以 前 か ら 出現 す る との 報 告15)もあ る.し か し,今 回 の慢 性 前 立 腺 炎 で factorやIFN-γ い陽 性 率 で あ り,感 染 局 所 に お け る炎 症 反 応 に何 らか の影 響 を及 ぼ して い る こ と も考 え られ た.抗 OMP-31gAに 関 して は,今 回 検 討 し得 なか っ た. 一方 ,急 性 疾 患 で あ るCtxachomatiS性 男子尿 道 炎 症 例 の尿 道 分 泌 液 に は,抗OMP-21gAお び抗HSPIgAは EBや 比 較 し て 遅 れ る が,HSPが 感 染 局 所 に 曝 露 さ れ た 場 合,そ はHSPが れ 最 も強 い 抗 原 性 を あ る た め にC.trachomatiSが ドが 認 め られ た.同 KDa)と の反応バ ン の 検 討 で は,局 所 炎 症 程 度 が 強 い症 例 で 比 較 的 高 MOMP(40KDa),OMP-2(60KDa),OMP-3(15 HSP(60KDa)な は抗HSPIgA以 の検 討 で は全 例 でMOMP(40KDa)と IgAと 所 炎 症 程 度 と の 関 係 も検 討 し た. よ びLPSな な お,前 立 腺 分 泌 液 中IgAに な か っ た.抗OMP-21gAに 存 在 をWesternblotting 膜 の主 な構 成 蛋 白 は シス テ イ ンに富 む KDa)お て い る. 外 に も他 の構 成 蛋 白 に対 る もの も含 まれ る.今 回 異 性 の 確 認 を 試 み た. さ ら に,C.trachomatisの 435 関与 な どの サ イ 全 て陰 性 で あ った.こ よ の こ とは 増 殖 性 を有 す る菌 体 で あ るRB(Reticulate body)の 内 部 蛋 白 で あ るHSPは,感 染 が慢性化 す る こ とに よ り,徐 々 に感 染 局 所 に 曝 露 され,そ れ が 一 定 量 以 上 に な っ た 時 点 で 宿 主 が 認 識 し,抗 HSPIgAが 分 泌 され る こ とが推 測 さ れ る.結 膜 炎 で は,HSPに 対 す るlgAはMOMPに 対す る トカ イ ン を 産 生 さ せ,組 織 に 炎 症 反 応 を 起 こ す21). IgAよ も う一 つ に は,HSPが 今 回 の 急 性 尿 道 炎症 例 に お け る尿 道 分 泌 液 は,抗 非 拘 束 性 にT細 胞 を強 力 に活 性 化 す る こ とが mycobacterium感 染 症 な ど で 報 告22)さ れ て お り, C.txachomatis感 機 序 に よ り,炎 ス ー パ ー 抗 原 と し てMHC 染 症 にお い て も これ ら と同様 な 症 反 応 が 惹 起 さ れ る こ とが推 察 さ りや や 遅 れ て 産 生 さ れ る との 報 告23)もあ り HSPIgAが 産 生 され る前 段 階 の 検 体 で あ っ た こ と も考 え られ た.さ らに,急 性 尿 道 炎 で は感 染 局 所 にC.txachomatis菌 抗HSP-lgAが 体 が 多 量 に存 在 す る た め, 中 和 さ れ,一 見 抗HSPIgAが 陰性 で あ る と判 定 され た 可 能 性 も否 定 で き な い. れ る. ま た,C.trachomatis 関 与 に つ い て は,例 患 者 に 比 べ,局 HSPの 炎 症 の慢 性 化 との え ば 骨 盤 内 炎 症 性 疾 患(PID) 所 の 慢 性 炎 症 反 応 の 強 い と考 え ら れ る 卵 管 閉 塞 患 者 で は,C.txachomatisのHSP いず れ に せ よ,分 泌 液 中 に抗HSPIgAが され る た め に は,C.txachomatiS感 な お,慢 性 前 立 腺 炎 は一 般 細 菌 に よ っ て も発 症 す る こ とか ら,Ctrachomatisと 報 告15)さ れ て お り,HSPが え ら れ る.そ 慢 性 炎 症 の 持 続 に 関与 し た が っ て,今 抗HSPIgA陽 回 の 慢 性 前 立 腺 炎 で の 検 討 で, 性 率 は局 所 炎 症 程 度 が 強 い 症 例 ほ 染 が あ る程 度 以 上 継 続 す る こ とが必 要 で あ る と推 察 さ れ た. に対 す る抗 体 の検 出 率 は有 意 に高 率 で あ る こ とが す る こ とが 示 唆 さ れ て い る. chomatisIgA検 こ で,前 の 混 合 感 染 も考 立 腺 分 泌 液 中 抗Ctra― 討 症例 にお ける前立 腺分 泌 液 中 の 一 般 細 菌 の検 討 も行 っ た.今 回 の検 討 症 例 で は, 細 菌 分 離 率 は16.3%(15/92)と 比 較 的 低 か っ た. ど 有 意 に 高 い と い う 成 績 は,CtxachomatiSの し か し細 菌 性 に お い て も抗C.trachomatislgA HSPが 陽 性 率 は26.7%(4/15)と 上 述 の 機 序 に よ り慢 性 前 立 腺 炎 の 局 所 炎 平成7年4月20日 産生 少 な くな く,混 合 感 染 436 小六 幹夫 他 の 可 能 性 も高 い と考 え ら れ た. ま た,非 Case-control chronic 細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 に お い て も抗C. tmchomatis IgA陽 -331 非 細 菌 性 慢 性 前 立 腺 炎 の 起 炎 菌 と し て重 る.さ ら に,前 立 腺 分 泌 液 中 に 白 血 球 数 が 多 く, A. W. & Reid, ed with chlamydia Urol., 要 な 位 置 を 占 め て い る こ と を 示 す 所 見 と考 え て い 対 す るIgAの matis性 出 現 頻 度 が 高 い 所 見 は,C.tmcho- 慢 性 前 立 腺 炎 の 存 在 を よ り 強 く示 唆 す る 7) 丸 田 直 基: 分 離 方 法 等 の御 指 導 をい た だ いた 川崎 医 科 大学 微 生 物 学教 室 松 本 IgA, 明教 授, らび に電気 泳 動 法 に つ いて 御指 導 いた だ いた札 幌医 科 大 学微 生 物 学教 室 続 佳 代 先 生,HSPに IgG抗 林 謙 治, 熊 本 悦 明: 助 教授 に深 謝 致 します.ま た,検 体採 取 に御 協力 戴 き ま し 11) 茂 先 生,梅 原次 男 先生,生 垣 舜二 先 生,郷 路 勉 先 生,宮 本 慎 一 先生,高 塚 慶 次 先 生,高 木 良雄 先 生, 坂 丈 敏 先 生,辺 見 泉先 生,門 野雅 夫 先 生,青 木 正 治先 生,宮 岸 武 弘 先生),お よび抗 体 測 定 に御 協 力 い た だい た 日 立化 成 研 究 所 川越 清 隆 氏 に深 謝 致 し ます. 昌也, 大技 忠 史, 西村 元 一, 宇 埜 智, 新 Minami, mitted 3) 林 in pregnant diseases. 謙 治, 二 郎, K. Chlamydia women. 21: 329-331, 熊 本 悦 明, 上 野 & Yoshio, study of Chlamydia 了: H.: trachomatis Sexually trans- 1994. 塚 本 泰 司, 広 瀬 崇 興, 田付 無 症 状 の若 年 男 子 に お け る trachomatis感 る ス ク リー ニ ン グ 調 査 一. 染率一初 尿検査 によ 感 染 症 誌, 64: 1447- 1453, 1990. 4) Doble, A., Thomas, B. J., Walker, M. M., Haris, J. R. 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In this study, using enzyme immuno assay, we examined the positive rate of anti-C. trachomatis IgA according to the leukocyte count in expressed prostate secretion (EPS), in a total of 169 patients including 92 patients who showed chronic prostatitislike symptoms. And we confirmed, by westernblotting, the presence or absence of and-heat shock protein (HSP: 60 KDa) IgA in EPS, and we investigated the role of C. trachomatis in chronic prostatitis. The total positive rate of and-C. trachomatis IgA in EPS was 26.0% (44/169). According to the leukocyte count in EPS, the positive rate for the group with more than 10 WBC/hpf was 29.0% (20/69), for the group with 5-9 WBC/hpf was 37.9% (11/29), for the group with less than 5 WBC/hpf was 18.3% (13/71). Accordingly the positive rate of and-C. trachomatis IgA in EPS was not higher in direct correlation to the severity of the inflammation at the infected site (p= 0.09) . But the positive rate for the group with more than 5 WBC/hpf was higher than for the group with less than 5 WBC/hpf. On the other hand, the total positive rate of and-HSP IgA in EPS was 17.6% (6/34), and according to the leukocyte count in EPS, the positive rate for the group with more than 10 WBC/hpf was 38.5% (5/13), for the group with (0/12). Accordingly the positive rate of and-HSP IgA in EPS was higher the severity of the inflammation at the infected site (p=0.013). From this results, it was suggested that C. trachomatis was concerned chronic prostatitis with more than 10 WBC/hpf, and also C. trachomatis is of chronic prostatis. 平 成7年4月20日 5-9 WBC/hpf was 0% in direct correlation to with 29.0% (20/69) of the causative organism
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