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KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
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慢性前立腺炎に対するセルニルトンの臨床効果
鈴木, 孝憲; 黒川, 公平; 真下, 透; 竹沢, 豊; 小林, 大志朗; 川
島, 清隆; 戸塚, 芳宏; 塩野, 昭彦; 今井, 強一; 山中, 英寿
泌尿器科紀要 (1992), 38(4): 489-494
1992-04
http://hdl.handle.net/2433/117517
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
泌 尿 紀 要38:489-494,1992
489
慢性前 立腺炎 に対 す るセル ニル トンの臨床 効果
群馬大学医学部泌尿器科学 教室(主 任:山 中英 寿教授)
鈴木
孝 憲,黒
川
公 平,真
下
透,竹
沢
豊
小 林 大 志 朗,川
島
清 隆,戸
塚
芳 宏,塩
野
昭彦
今井
強 一,山
中
英寿
CLINICAL
EFFECT
CHRONIC
Takanori
Yutaka
Suzuki,
Takezawa,
Totsuka,
and
CERNILTONK
IN
PROSTATITIS
Kouhei
Daishirou
Yoshihiro
OF
Kurokawa,
Tooru
Kobayashi,
Akihiko
Hidetoshi
Mashimo,
Kiyotaka
Shiono,
Kawashima,
Kyoichi
Imai
Yamanaka
From the Department of Urology, Gunma University School of Medicine
Twenty-five patients with chronic prostatitis were given Cernilton® tablets.
improvement
of
subjective symptoms and objective findings was noted in 96.0% and 76.0% of the cases. Sonographic
findings in the prostate showed 33-100%, improvement
in four objective items. No side effects
were observed in any case after Cernilton® medication.
Cernilton® was judged to be an effective
drug for chronic prostatitis.
(Acta Urol. Jpn. 38: 489-494, 1992)
Key words:
Cernilton®,
Chronic
prostatitis
分 類 で は 慢 性細 菌性 前立 腺 炎(CBP)6例,慢
緒
言
細 菌 性前 立 腺 炎(NBP)19例,既
慢性 前 立 腺 炎 は成 人男 性 に 頻 発 す る性 器疾 患 の1つ
再 発7例,病
歴 期 間 で は1年
性非
往 歴 で は 初 発18例,
末 満21例,1年
以 上4
で,長 期 間 の 治療 に もか か わ らず,症 状 は 一進 一 退 を
例,合 併 症 で は 合 併 症 あ りが8例 で あ った(Table
繰 り返 す 難 治性 疾 患 で あ る.急 性 前 立 腺 炎 の 治療 は,
1).
前 立腺 組 織 へ の移 行 が 良好 な ニ ュ ーキ ノ ロ ン剤 の 出現
薬 剤 の 投 与方 法 は セ ル ニル トン錠(Cernilton⑫,扶
で 良好 な結果 が え られ て きて い るが,慢 性 前 立 腺 炎に
桑 薬 品)を1回2錠,1日3回
対 しては 満 足す べ き効 果 が え られ て い な い の が現 状 で
マ.,サ ー ジは前 立 腺 分 泌液 検 査 を かね,来 院 毎 に 施行
経 口投 与 した.前 立 腺
あ る1).今 回,慢 性 前 立 腺 炎 に 対 しセ ル ニル トンを 使
した.併 用 薬 剤 は 抗 生物 質 の投 与 は 可 と した が,1例
用す る機 会 を えた の で,治 療 効 果 に つ い て,超 音 波 断
に合 併 す る前 立 腺 肥 大 症(BPH)に
層 像を 含 め て 検討 した ので 報 告 す る。
ゲ ン剤 の投 与 が あ った.併 用 薬 剤 の投 与 は15列 に 見 ら
対 し抗 ア ン ドn
れ た(Tablel).
対象 および方法
1989ttFll月 よ り1991年3月
調 査項 目は,自 覚 症状 お よび 前 立腺 触 診,尿,前
まで に 群馬 大 学 医 学 部 附
腺 分 泌液(EPS)の
立
他覚 所 見 と した.今 回 の前 立 腺 超
属病 院 泌 尿器 科 を 受 診 し,慢 性 前立 腺 炎 と診 断 され た
音 波 断 層所 見 は 効 果 判定 よ り除 外 した.自 覚 症 状 の評
症例 を 対象 と した.膀 胱 炎,尿 道 炎 を合 併 して い る症
価 方 法 は城 代 ら2)の 方法 に従 い,昼 間 頻 尿,夜 間 頻 尿
例は 除 外 した.急 性 前 立 腺 炎 よ り慢 性前 立 腺 炎 に 移 行
排 尿 不快 感,会 陰 部 不快 感,排 尿 痛
した 症 例(1症
排 尿 困 難,残 尿 感 に つ い て,4段
例)は 対 象 群 に 含 め た 。
対 象 症例 は25症 例 で あ った.年 齢 は29歳 よ り86歳,
平均53.4歳 で,年 齢 別で は50歳 代8例
と最 も多 か った.
性 器 周 辺 部 痛,
階 で評 価 した.自 覚
症 状 全般 効果 判 定 は,各 項 目を 総 合 して,著 明改 善,
中 等 度 改 善,軽 度 改善,不 変,悪 化 の5段 階 で評 価 した.
490
泌尿 紀 要38巻4号1992年
TableI.症
前 立 腺 触 診 所 見 は,圧 痛,硬 化,腫 大 に つ い て,4
項
段 階 で評 価 した.尿 所 見 は 前 立 腺 マ ッサ ー ジ 後 の 尿
例 の 内訳
目
区
代
30歳
代
40歳
50歳
代
代
60歳
70歳
代
代
見 を え た もの も含 め た.他 覚所 見 全般 効 果 判 定 は,前
80歳
代
立 腺 触 診 所 見,尿 所 見,EPS所
CBP
(VB3)を
使 用 し,400倍 で検 鏡 し,多 核 白血 球 数 を5
段 階 で評 価 した.EPS所
見 も,尿 所 見 と 同様 に 行 っ
た.起 炎菌 の 同定 はVB・
を培 養 し,103/ml以
陽 性 と した が,一 部EPSを
培 養 し,VB3と
上を
年
齢
同様の所
見 を総 合 して,自 覚
分
類
病歴期 間
5段 階 で評 価 した.
副作 用 に つ い ては 発 現 した場 合,症 状,程 度,発 現
合 併 症
日,処 置,経 過,転 帰,薬 剤 の関 連 性 に つ い て調 査 す
併用薬硝
る こ とと した 。
Table2.自
項
尿
間131667/13(53.8)1667/13(53.8)
快
感88008/8(100.0)8008/8(100.0)
排
尿
痛5401
性 器周 辺 部痛4220
排
尿
困
渣)を,セ
検 査(蛋
た.超
血 球,血
小 板,
沈
に 薬 剤投 与 前 後 で 施 行 し
ロ ヵ株
直 腸 よ り前 立 腺 を 診 断 し た.効
果 判 定 基 準 は 後 藤 ら3)の 判 定 基 準 に 従 い,さ
ら か な 管 状,曲
状 の 拡 張,1:軽
張 な し の3段
度 の 拡 張,0:拡
線
階で
判 定 した.
尿不 快 感,性
8
な
し
17
あ
な
り
し
15
1e
終
了
不変
時
軽快率(%)
夜 間 頻 尿,排 尿 困難 の改 善 は や や 不 良 で あ った.排 尿
自覚 症 状 全般 効 果 判 定 で は 著 明 改善3例,中
善11例,軽
上 の 改善 率 は96%で
等 度改
変1例 で 悪 化 例 は見 られ な
度 改善 以
あ った(Table3).
失 率 は27,8∼100%で,改
%で あ った.尿
中(VB3)白
善 率 は 良好 で あ った が,前
善 以 上 の 改 善 率 は44・4∼100
血球,前 立 腺 部 圧 痛 の 改
立 腺 の 硬 化 所 見,腫
大所
の 白血球 所 見 の改 善 は や や 不 良 で あ った
(Table4).
果
他 覚所 見全 般 効 果 判 定 で は 著 明 改善 症 例 は な く,中
器周 辺 部 痛 の 改 善 は 良好 で
等 度 改善7例,軽
%で,軽
られ た.投 与 終 了 時 で の 改善 率 は50∼100%と8週
5).
時
な った.
度 改 善12例,不
変6例 で,悪 化 した
症 例 は 見 られ なか った.中 等 度 改善 以 上 の改 善 率 は28
あ った が,夜 間 頻 尿,排 尿 困難 の改 善 は 約 半数 例 に見
と同 様 で あ った が,残 尿 感 の改 善 率 が100%と
度 改善10例,不
か った.中 等 度 改 善 以 上 の 改善 率 は56%,軽
見EPS中
自覚 症状 に対 す る効果 は8週 の時 点 で は 改善 率50∼
100%で,排
り
他 覚所 見 に 対 す る項 目別効 果 判 定 で は,各 項 目の消
らに 前立
腺 周 囲 無 エ コ ー 領 域 に つ い て2:明
結
4
あ
ble2).
血 反 応,pH,尿
音 波 診 断 装 置 はSSD520,5MHz(ア
使 用 し,経
1年 以上
7
不快 感,残 尿 感は 全例 に 症 状 の 消 失 が 見 られ た(Ta-
レア チ ニ ン,Na,K,
ル ニ ル トソ投 与 前 後 に 可 及 的 に 施 行 し た.
式 会 社)を
21
26/8(75.0)8008/8(1CO.O)
血 球,白
白,糖,潜
前 立 腺 超 音 波 検 査 は10例
1年 未 沸
116/17(94.1)
液 生 化 学 検 査(GOT,GPT,
ビ リ ル ビ ン,ク
C1),CRP,尿
6
19
4/5(80.0>4014/5(80.0)
4/4(100.0)2204/4(100.O)
感851
臨 床 検 査 は 末 梢 血 液 検 査(赤
BUN,A1-P,総
1
難42022/4(50,0)2022/4(50。0)
尿
ヘ マ ト ク リ ッ ト),血
軽快率(%)消
感17133116/17(94.1)160
疹痛
1
18
失 軽快
後
不変
間65105/6(83.3)5105/6(83.3)
会 陰 部 不 快
残
8週
消失 軽快
夜
不
8
7
覚 症 状項 目別 効 果 判 定
昼
頻尿
排
投与
例数
目
2
発
発
初
再
翫 往 歴
判 定 を 総 合 して著 効,有 効,や や 有 効,無 効,悪 化 の
2
4
NBP
症 状 全 般効 果 判 定 と同 様 に5段 階 で評 価 した.
総 合 効果 判定 は,自 覚症 状 お よび 他 覚所 見 全 般 効 果
症例 数
分
20議
度改 善 以 上 の 改 善 率 は76%で
総 合 効果 は著 効1例,有
効12例,や
あ った(Table
や 有 効9例,無
鈴 木,ほ か
慢 性 前 立 腺 炎 ・セル ニ ル トン
Table3.自
著明改善
中等度改善
軽度 改善
3
11
10
覚 症 状 全般 効 果 判 定
不変 悪化
圧
硬
腫
前 立 腺
触診所 見
尿
所
痛
化
大
改 善 率(%)
不変
改善以上
66.7
185310
27.8
90.5
44.4
64.7
17836
47.1
330
0100.0100.0
見(多 核 白 血球)18
中等度 改善
改菩
211452
650.066.7
93
Table5.他
著明改善
消失
消失
見(多 核 白 血球)
EPS所
改 善 率(%)
中等度改善以上 軽度改善以上
覚所 見 項 目別効 果 判 定
投与
例数
目
計
02514/25(56,0)24/25(96.0)
1
Table4.他
項
491
覚所 見全 般 効 果 判 定
軽度改善 不変
悪化
計
改
善 率(%)
中等度改善以上
0
7
12
0257/25(28.0)
6
Table6.総
著
効
有 効
やや有効
無
12
効
計
有
効
目
区
分
著効
率(%)
やや有効以上
32513/25(52.0)22/25(88.0)
9
Table7.層
項
19/25(76.0)
合効果
有効以上
1
軽度改善以上
有効 やや有効
別 総合 効果
無効
悪化
計
有
効 率(%)
有効以上
年
齢
分
類
50歳 未 満02
4
2
5
1
CBPO
3
3
0
NBP1
9
6
3
9
7
2
3
2
1
8
2
1
1
50歳 以上110
既 往 歴
初
再
発0
発1
病歴期聞
1年 未満110
1年 以上02
やや有効以上
082/8(25.0)6/8(75.0)
01711/17(64.7)16/17(94.1)
063/6(50,0)6/6(100.0)
01910/19(52.6)16/19(84.2)
0189/18(50.0)16/18(88.9)
074/7(57.1)6/7(85.7)
02111/21(52.4)19/21(90.4)
042/4(50.0)3/4(75.0)
効3例 で悪 化 例 は 見 られず,有 効 以 上 の 有 効 率52%,
2例,改
やや 有効 以 上 の有 効 率88%で
あ った(Table6).
の不 鮮 明化 は8例 中消 失5例,改
往歴,病 歴 期 間 に 層 別 し
改善 率75%,内
総合 効 果 を 年 齢,分 類,既
て見 る と,50歳
未 満 の青 壮 年 者,病
歴 期 間1年 以上
失4例,改
善3例,不
変5例,改
善 率50%,被
善1例,不
変 】例,改 善 率87,5%,前
周 囲 無 エ コー領 域 は7例 中 消 失2例,改
を比 較す る と,CBPに
2例,改
高 い有 効 率 が見 られ た.初 発
ble7).
セ ル ニル トン投 与 前 後 に お け る 前立 腺 超 音 波 断 層 像
の変 化(Fig.1)を
み る と,断 面 の 腫脹 は10例 中 消 失
変2例,
部 エ コーの び 慢性 反 射 増 強 は8例 中 消
善3例,不
の群 に や や低 い有 効 率 が 観 察 され た.CBPとNBP
例 と再 発 例 の間 に 有 効 率 の 差 は 見 られ なか った(Ta。
膜 エコー
善 率71.4%で
善3例,不
立腺
変
あ った.総 合 効 果 別 で み る と,
有 効 群 とや や 有 効 群 を比 較 す る と,有 効 群 は 被膜 エ コ
ーの不 鮮 明化 ,前 立腺 周 囲 無 エ コ ー領域 の 消 失 お よび
改 善 率 が 良好 で あ った(Table8)・
副 作用 は 全例 に 認 め られ なか った.最 長 投 与 期 間 は
泌尿 紀 要38巻4号1992年
492
ス63mgを
44週 であ った.
臨 床 検 査 の 内,末
CRP試
梢 血 液 検 査,血
含有 し,8種
類 の植 物 の 花 粉 の 混 合 物 を
微生 物 消 化 後,水 で 抽 出 して え た粉 末 エ キ ス と,有 機
液 生 化 学検 査,
溶媒 抽 出の 軟 エキ スを主 成 分 と す る 製 剤 で あ る4),
験 は8例 に 施 行 した が,薬 剤 の 投 与 に よる と
思わ れ る異 常 値 は 見 られ な か った.尿 検 査 も同様 に 全
1960年Ask-Upmark5)に
症 例 に本 薬 剤 投 与 に よる と思 わ れ る異 常 値 は 見 られ な
使 用 され,Jonsson6),Leander7)に
か った.
験 で 有 効性 が報 告 され た.本
ら2・9・10),大
北 ら1D,加
察
考
セ ル ニ ル ト ソ錠 は1錠
よ り初 めて 慢 性 前 立 腺 炎 に
藤 ら12)に よ りセ ル ニ ル トンの
有 効 率 は71.4∼96.7%と
中 に セ ル ニチ ンポ ー レ ンエキ
よ り二 重 盲検 試
邦 で は 大 越 ら8),斎 藤
報 告 され て い る.
慢 性 前立 腺 炎 の病 因 に つ い て は,な ん らか の微 生物
よ る感 染,前 立 腺 液 の うっ滞性 に よる非 感 染 性 病 変 に
よ る もの,さ
、_♂=婁
らに ア レル ギ ー や 自己 免 疫 の 関 与 な ど
が 考 え られ て い るが,結 論 が で て い な い のが 現 状 で あ
蔵1、
る2).診 断 は容 易 で な く,他 覚 所 見 が 少 な いに もかか
∴ ぞ饗
・
\、
r'必
'
、
㌔1、
、 、
わ らず 患者 は い ろ い ろな 症 状 を 訴 え,現 在 で も臨 床的
に 経 験 的 診 断 を行 っ てい る もの が 多 い.
慢 性 前 立腺 炎 に対 す る治 療 は,前 立腺 マ".サ ー ジ,
㌦ ・
局 所 的 加 温,抗 生 物 質 や 消 炎 酵 素 剤 の投 与,さ らに は
精 神 安 定 剤 の投 与 も行わ れ てい る1・2).最 近,漢
確評♂ 鼠
治
療
方製
剤 や 鍼 灸療 法 の有 用性 が 報 告 され た13).慢 性 細 菌 性前
立 腺 炎 に 対 して 前 立腺 組 織 移 行 性 が 高 い ニ ュー キ ノ ロ
ソ系 化 学 療 法 剤 が 開発 され,有 効 性 が 期 待 され てい る
るD.し
前
か し,慢 性 前 立腺 炎 は 難 治性 のた め,相
変わ
らず,泌 尿 器 科 医 を 困 らせ る疾 患 で,現 在 良 い 治療法
を検 討 中 で あ る.
今 回,慢 性 前 立 腺 炎 に対 す る セ ル ニ ル トンの有 効 性
、
の 検討 と,超 音 波 診 断法 を用 い て 治療 前 後 に お け る前
立腺 断層 豫 の変 化 を 併 せ て 検討 した.自 覚 症 状8項 目
の 改 善以上 の改 善 率 は,8週
後 で50∼100%,投
与終
了 時 で50∼100%で
あ った.城 代 ら2)は 自覚 症状 の改
善 率56.5∼100%と
報 告 し,わ れ われ と同様 の 結果 で
ゴ
あ った.本 薬 剤 の治 療 効 果 は8週 間投 与 で 出現 す る と
護
思 わ れ た が,会 陰 部 不 快 感,残 尿 感 は さ らに 長 期投 与
で 症 状 の 消 失 が計4例 に み られ,治 療 効果 が 不 十 分 な
場 合 に治 療 の継 続 が必 要 であ る こ とが 示 唆 され た.夜
治療 後3カ 月
Fig.1.治
間 頻 尿 の改 善 率 が53.8%と
療 前 後 に お け る前 立 腺超 音 波 断 層 像.治 療
後 の超 音 波 断層 像 では 前 立腺 周 囲無 エ コ ー領
の併 用療 法 の必 要 性 が 考 え られ た.自 覚 症 状 全般 効 果
域 の拡 張 は 見 られ ず,被 膜 エ コー の不 鮮 明 化
お よび 内部 エ コー のび 慢 性 反射 増 強 も改 善 し
て い た.
Table8.総
効 果
判定群
不変
有 効 群033677525060202050500
やや 有効 群67330330675050003367
無効群
判 定 で は な ん らか の 改 善 が見 られ た 軽 度 改 善 以 上 の改
善 率 は96%と 高 い 改 善 率 で あ った.
合 効 果 別 前 立腺 超 音 波 断 層 像 の 改 善 率(%)
断面の腫脹
消失 改善
低 か った が,症 状 の不 変 な
症 例 に2例 前 立 腺 肥 大症 を合 併 して お り,他 の薬 剤 と
010001000001000
被 膜 エ コー
不鮮 明 化
消失
改善
不変
内部エコー
ぴ慢性 反射 増 強
消失
改善
前立腺周囲
無 エ コー 領域
不変 消失
改善
不変
鈴 木,ほ か
慢性 前 立 腺 炎 ・セル ニル トン
他覚 所 見 の項 目別 効 果 判 定 で は 改 善 以 上 の 改善 率 は
44.4∼100%で,前
立 腺 の圧 痛 所見,尿
え られ た.
中(VB3)多
結
核 白血 球 の 改 善 が 良好 で あ った.城 代 ら2)の 報告 で は
改善率50∼100%で,わ
れ われ の結 果 とほ ぼ 同 様 で あ
った.前 立 腺 圧 痛 所 見 は患 者 の感 受 性 に 依 存 す る要 素
が多 く2),自 覚 症 状 的 な要 素 が考 え られ,自 覚 症 状 の
改善 率 が 良好 で あ った こ とを裏 付 け て い る もの と思 わ
れた 。 ま た,25例 中14例 に 抗 生物 質 の併 用 療 法 が 見 ら
れ たに もか か わ らず,EPS中
多 核 白lftt球
の改 善 率 が
66.7%と やや 不 良で あ った こ とは,慢 性 前 立 腺 炎 の 診
断を 含め た 治療 の困 難 性 を 示 竣 す る もの と思わ れ た.
他 覚所 見 全般 効果 判 定 では 軽 度 改 善 以 上 の 改善 率 が76
%で,良
493
好 な結 果 で あ った が,自 覚 症状 の 改善 率 に 比
語
慢性 前 立 腺 炎25症 例 に セル ニル トンを 投 与 し,治 療
効果 につ いて 検 討 した.
1。自 覚症 状 に つ い ては,軽 度 以 上 の改 善 率 は96%で
あ った.
2.他 覚所 見 に つ い ては,軽 度 以上 の改 善 率 は76%で
あ った,
3.総 合効 果 は,有 効 率52%,や
や有 効 以 上 の有 効 率
88%で あ った.
4.超 音 波 断 層 像 の変 化 で は,有 効 例 に 被 膜 エ コーの
不 鮮 明 化,前 立 腺 周 囲無 エ コー領 域 の改 善 が 多 く観 察
され た.
較 し,や や 不 良 で あ った.
5.セ ル ニル トンは 慢性 前 立 腺 炎 に対 し有 用 な薬 剤 と
起 炎菌 が 同 定 され た のは6例 で,staphylococcus3
例,streptococcus2例,E.coli1例
で あ った 。 抗
考 え られ た.
菌剤 の投 与 は6例 中3例 に見 られt投 与 後 細 菌 は消 失
文
献
した,起 炎 菌 が 同定 され た 症 例 で は,抗 菌 剤 を併 用 す
1)大
る事 で 治療 効 果 の 改善 が期 待 され た.
森 弘 之1わ
が 国 に お け る 前 立 腺 炎 治 療 の 現 状.
前 立 腺 炎 シ ン ポ ジ ウ ム組 織 委 員 会 財 団 法 人 前 立 腺
層 別総 合 効 果 で は,50歳 未 満 の青 壮 年 層,病 歴期 間
研 究 財 団 編,前
1年 以 上 の症 例 に 治療 効果 の低 下 が 見 られ た.こ の結
果は 諸 家2)の 報 告 と同様 で,慢 性 前 立 腺 炎 の 治療 が長
2)城
代 明 仁,丸
原 出 版,
前 英 司,ほ
か ・慢 性 前 立
の 長 期 使 用 経 験.泌
尿
糸己要34=561-568,1988
目の 改善 率 は33∼IOO%で,総
合効 果 判定 有 効 群 とや や有 効 群 を 比 較 す る と,有 効 群
3)後
藤 健 太 朗,菊
改善 率 が 良好 で あ った.慢 性 前 立 腺 炎 に 対 す る超 音 波
池 敬 夫,橋
本 紳 一,ほ
か:経
直腸
的 エ コ ー に よ る い わ ゆ る 慢 性 前 立 腺 炎 の 検 討.臨
に被 膜 エ コーの 不 鮮 明 化,前 立 腺 周 囲 無 エ コー 領 域 の
泌44:407-410,1990
村 正 康,木
村 郁 子=花
4)木
理 学 的 う ら づ け 一.医
診断 は まだ 確 立 は して い な い が,大 西 且4)に
よれ ば 被膜
エ コー像 の所 見 が 炎 症 の 程 度 を よ く反 映 す る,後
田 直 樹,下
腺 炎 に 対 す るCernilton⑭
期間 に お よぶ こ とを示 唆 して い る と考 え られ た.
超 音波 断 層 所 見4項
立 腺 炎 診 療 マ ニ ュ ア ル,金
東 京,PP.106-ll5,1990
粉 の 薬理 一 排 尿 作 用 の薬
学 と 薬 学15:521-532,
1986
藤
5)Ask-UpmarkE:Onanewtreatmentof
ら3)に よれ ば 前 立 腺 周 囲 無 エ コー領 域 は 前 立 腺 周 囲 の
醗血 を意 味 し,症 状 の 消 失 を 見 な い症 例 の一 原 因 とな
prostatitis.GlanaPal2:115,1960
6)JonssonG:Prostatitisandpollen.swedish
MedJ58:2487,1961
るので は な いか と述 べ られ て い る.ま た,前 立 腺 周 囲
無 エ コ ー領域 は 炎 症 に 関 連 す る場 合(続 発 性)と 炎症
と関 連 しな い特 発 性(原 発性)と
7)LeanderG:Apreliminaryinvestigationon
thetherapeuticeffectofCerniltoninchronic
が存 在 す るの で は な
prostatovesiculitis.SvenskaLakartidn59:
3296,1962
い か と述 べ られ て い る.今 回 検討 した超 音 波 断 層 像 の
被膜 エ コー像,前 立 腺 周 囲 無 エ コー 領域 所 見 は,慢 性
8)大
越 正 秋,河
村 信 夫,長
久 保 一 朗'前
立 腺 炎 に対
前立 腺 炎 に対 す る治 療 効果 判 定 の補 助診 断 と して 有用
す る 花 粉 製 剤 セ ル ニ ル ト ン の 使 用 経 験.臨
であ る と思 わ れ た.
73-77,1967
9)斎
副 作用 は,臨 床 検 査 を 含 め1例 に も認 め られ な か っ
た.最 長 投 与 期 間 は44週 間 で,本 薬 剤 は長 期 投 与 が 可
能で あ る と思 わ れ た.城 代 ら2)も 長 期 投 与 で副 作 用 を
認 め て お らず,セ
藤
1967
11)大
治療 効 果 を 示 し,慢 性 前 立 腺 炎 に 対 し有 用 な薬 剤 と考
北健逸
高 田 元 敬:慢
性 前 立腺 炎 お よび 初 期 前
立 腺 肥 大 症 に お け るt℃ernilton"の
慢 性前 立 腺 炎は 現 在 で も治 療 に 困 難 を き たす 場 合 が
多 い.セ ル ニ ル トンは 安 全 性 の 高 い 薬 剤 で あ り,高 い
性前 立 腺 炎 に対 す る セ ル ニル トンの
使 用 経 験.臨
床 と研 究44:2688-2689,1967
10)斎 藤
泰:慢
性 前 立 腺 炎 の 診 断 と治 療.特
にセル
ニ ル ト ンに よ る 治 療.臨
床 と研 究44:1301-1035,
ル ニ ル トンは 安 全 性 の 高 い薬 剤 で あ
る と思わ れ た.
泰:慢
泌21:
治 療.新
薬
と臨 床17:1361-1364,1968
12)加
か:慢
性 前立
腺 炎 に 対 す る セ ル ニ ル トン の 使 用 知 見,泌
藤 哲 朗,渡
辺
決,高
橋
寿,ほ
尿紀要
494
泌 尿 紀要38巻4号1992年
前立 腺 炎 シ ソポ ジ ウ ム組 織 委 員 一.財 団 法 人前 立
16:192-195,1970
13)西
條 一 止:鍼
委 員 会.財
灸 療 法.前
団 法 人 前 立 腺 研 究 財 団 編,前
療 マ ニ ュ ア ル,金
1990
14)熊
澤 浄 一:新
立 腺 炎 シ ンポ ジ ウ ム組織
原 出 版,東
立 腺 炎診
腺 研 究 財 団編,前 立 腺 炎 診療 マ ニ ュア ル,金 原 出
版,東 京,pp・49-57,1990
京,PP.137-151,
しい 診 断 手 段 と して の エ コ ー 診 断.
(ReceivedonOctober7,1991AcceptedonNovember26,亘99正)
(迅速掲載)