229 研究論文 J、Jpn、SOC・ColourMater.,85〔6〕,229-234(2012) 強制薄膜式リアクターを用いた銀銅合金ナノ粒子の作製 前川昌輝*,**,↑・本田大介*・榎村虞一*・酒井秀樹**,***・阿部正彦**,*** *エム・テクニック㈱大阪府和泉市テクノステージ2-2-16(〒594-1144) 掌*東京理科大学大学院理工学研究科千葉県野田市山崎2641(〒278-8510) …東京理科大学総合研究機栂千葉県野田市山崎2641(〒278-8510) ↑ C o r T c s p o m d i n g A u t h o r , E m a i l : m a e k a w a @ m t e c h n i q u e 、 c o j p (2011年11月16日受付;2011年12月31日受理) 要 旨 強制薄膜式リアクターを用いてAgCl1ナノ粒子の作製を検討した。硝酸銀と硝酸銅をAg:Cu=85:15,70:30と50:50(mo1%) でエチレングリコールに溶解きせた溶液に還元剤溶液を加え,AgCu粒子を同時還元析出させる方法を用いた。還元剤溶液には,還元 剤としてヒドラジンー水和物,pH調整剤として水酸化カリウム,保護剤としてポリビニルピロリドン(M=40,000)をエチレングリ コールに溶解させた溶液を用いた。作製した粒子を正M-EDS,STEM-EDS,XRD,ICPおよびDSCを用いて分析した。その結果,10 ∼20,m程度の粒子径で,原料配合組成をもつAgCu合金ナノ粒子が生成することを明らかにした。 キーワード:ナノ粒子,銀,銅,強制薄膜,マイクロリアクター 般的には均一化しづらいと考えられている原子を均一混合する 1.緒論 銀(Ag)ナノ粒子は,低温焼結性・高電導特性により,プリ ンテッドエレクトロニクス材料としての研究・開発が進められ 場合においても,その効果が期待される。本研究では,強制薄 膜式リアクターを用いたAgとCuとの同時湿式化学還元法によ るAgCu合金ナノ粒子の作製について報告する。 ている。しかし,Agはエレクトロマイグレーションを起こしや 2.実験装置および実験方法 すく,実用化に向けて耐エレクトロマイグレーション‘性の改善 が望まれている。また,貴金属であり高価であるため,その代 2.1実験装置 替材料の研究・開発が進められている。銅(Cu)が代替材料の AgCu合金ナノ粒子の作製に用いた強制薄膜式リアクター 一つであるが,ナノ粒子化すると酸化の問題が懸念される。そ (ForcedThinFilmReactor:エム・テクニック製:ULREA‐ こでAgCu合金ナノ粒子が検討されている。AgとCuを合金化 SSll,以降FTFRと略記)のフロー図をFig.1に示す。流体A することで耐酸化性に優れ,かつ耐エレクトロマイグレーショ はタンクから圧縮空気にて反応部に送液され,流体Bはプラン ン性を向上した高電導材料が創製できると考えられている。さ ジャーポンプ(エム・テクニック製)によって反応部に送液さ らに,耐エレクトロマイグレーション性の向上には,AgとCu とが原子レベルで均質に混ざり合うことでより性能向上が期待 されることから,固溶体化したAgCu合金ナノ粒子が待望され れる。本実験では,流体Aが金属源溶液,流体Bが還元剤溶液 ている')。しかし,Ag-Cu二成分状態図からは,AgとCuとは 応部の概念図をFig.2に示す。反応部は,下部の回転ディスク と,軸方向には可動であるが回転方向には固定された固定ディ 固溶体を形成しないことがわかる2)。一方,Hume-Rothery則や それらの原子半径などを用いた計算結果からは,準安定相とし て固溶体を形成することが示されている。また,固溶組成の液 相からの急冷凝固やメカニカルアロイング等によって固溶体が とした。また,流体Aおよび流体Bは反応部に導入される直前 に,熱交換器によって所定の温度に調節して送液した。次に反 スクからなる。流体Aは,ディスクの内側からディスク間に送 液される。2枚のディスク面に鏡面加工を施しており,運転停 生成することが知られている3.8)。 の与画凸●ーg■ これまでに筆者らは,湿式化学還元法を用いた金属ナノ粒子 の作製に際して,強制薄膜式リアクターが有用であることを見 いだしてきた9)。強制薄膜式リアクターとは,膜厚が数マイク 胤鷺世/-肖序三盆 ロメートル程度の強制薄膜中において混合・反応を行う装置で ある。この強制薄膜中において液体を混合することにより,急 速な原子・分子レベルでの混合・拡散が起こり,瞬間的な反応 が可能となる。また,通常のバッチ式反応における熱分布や濃 度分布の問題を軽減できる。このようなことから,固相析出を ともなう反応においては,均一な粒子の作製が可能となり,一 I F I 鰐弾 IHeatEXchnnger(B)IIF1uidATnnk(2OUI F i g . 1 S c h e m a t i c d i a g r a m o f F I F R . −1− 当認謝料 画哩ロ ︺.]で唇.の○○・○○一○E’二︷四房四・・J、、︹。︺︵唖つ]巴 目色富の胃画〆己①匡冒①貝巴○○口二三○︸]. 司盲芦。国 シ、壷○屋 国冒﹃国 い函J○ ︻○国 ロ︺畠シ、 壷旨.定元 。︻四宮○口 ” ○具z○︾︶い、 シ、z○︺ 勺く勺 、○]く①ロ﹃ 、○]く⑦国誇 唖勺①①。 弓一篇画○乏 g少 弓宮の酉。芝 ○南国 I [旨oここ [ヨ○三F] [︼ご○一宮嵩門昌さ] 今・い×己山 芦い×]C−か 函い いい×SI︺ ]い×]o山 ヨつ ー 之。 国昌ロシ [召冒] L ノ 1 些卜l-l号『 ■ い○ 両○ 今。○ い③×︸つ’一 ○つ×]Cl一 “酌×己1] J [胃己一一口︺︺胃。L一 mQへ 岸包○○ 涙○○つ ]○○ 胃。ローいい ︵函岬○︶ いい×ろ!︼ い、い×己山 い○ い○ 吟勇g奉升︵雪沫嵩鵜耀︾遇.Cま︶壁謡通行計。ヰノパs弾滞 奔︾謙耀酔爺苛玲汽通ぐ︾汁。 ”・の跨鳴屋斗巡茸州S寺耀 票諦純s猪zo哩代9︵z○い︶い・畠哩○庁郎m2n言沖︾訓祷誌轄 催淫高率難蕪︵旧腸・叩、Ⅲ唾、耀醍の届シ”冨貝︶吋迩ラバ 砺覇吠咋計。ns緋淘気赫善吋郭喜シトF八謹言計。廉削聖萌 蕎庁F八割離郷s函富国口冨ン回汽○函保勺く勺郎mQ−n諒雲吠 痔計。ns廊削選疏慧畔誹童畠庁行く題言汁。、苦いS誹言少 庁誹童畠庁味弓勇一、庶善r灘室感憲暑酬読小・河房吠倖汁。 哉参嫌拙零淋奪略弓号]のこい洲で汁。 ”準斗、詳州S誹噸叶爵針肝竪判宮牛Vu亭S帯耀 国男時雪昇圧肱苦汁借g命緋十﹄詳割今琴蕎壁墜弐謹占︶マ ローメ半卿I靴︵画卦弘訓へ登寺キミH超弧潅配へ郷帯、魂串 牌−型︾字画牟料純菖台g︶一n堂〆r群淫盈燕窪呉一、諏蹄 呼停八裁潅蹄載0時。裁潅露s牢琴善畔糸一︶叫刊y刈へ、ロ、 胃漬.画の屍③言宮○烏詞弓詞丙. 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30およびEX3でAg:Cu=50:50(mo1%)の仕込み比率に し,FTFRで作製したAgCu合金ナノ粒子のTEM写真をFig.3に したナノ粒子はAgCu合金を形成していることが想定された。 そこで本研究で得られたAgCu合金ナノ粒子の結晶構造評価 を試みた。まず,Fig.5にFTFRで作製した粒子および300℃で 示した。左側の写真はスケールバーが50,mのものであり,右 の熱処理後のXRD測定結果を示した。なお,比較のためにAg 最初に,EX1でAg:Cu=85:15,EX2でAg:Cu=70: 側の写真はそれの10倍に拡大したスケールバーが5,mのもの である。いずれの場合も,粒子内の格子像から5,m程度の結晶 子によって10∼20,mの粒子が形成していることが観察され 籍 た。また,生成した粒子は凝集せず,独立に存在していること EX1HAADFiImage 鴬 EX1AgmappIng EX1CumappIng 顎画』 がわかった。 霧 寺 そこでTEM-EDSを用いて独立した粒子50個についてのAg: Cuモル比率の平均値およびICP測定結果をTable2に示した。 舗撫鵠砂 TEM-EDS計測結果とICP測定の結果から,それらの分析値は A解84.2(、。1%) 仕込みモル比率にほぼ一致していることを明らかにした。 畠 Cu:15.8(IIloi兜)、'1 . 2 伽 、 訂エ■釦 EXZAgmnlppmg 鶴……‘ EX2CumHpping 男軍ャ 色 i 堀 " 』 ‘ 皿 ・・・・蘇弾, ・・少. ● 爵 ■I Ag867o9(mo1%)‐‘Ⅲ‘。. m麺.10,1%)‘ 錨,【甥j蝿 F i g . 4 .BmPI タエ且屋同、 HAADFimagesandSTEMmaplpingSofAgCUnano particlesmanufacturedbyFTFRundeI・EX,landEX、2 c o n d i t i o n w i t h r e s u l l s o f q u a n t i t a t i v e a n a l y s i s b y S T E M ‐ E D S [ B l u e l e t t e l ・ i n d i c a t e s a r e s u l t o f q u a n t i t a t i v e a n a l y s i s a t b l u e S q u a l ・ e a r e a ・ W h i t e l e t t e l ・ s i I 1 d i c a t e r e s u l t s o f q u a n t i t a t i v e a n a l y s i s f b r w h o l e m a p p i n g a r e a s . ] . EX3zl1mmlGdtO300℃ EXgLannenIedto3u垣 芦程画塵①︾屋目 EX,IzlmenIedto300℃ 酔一恥 Fig.3TEMmicrographsofAgCunanoparticlesmanufactured byFTFR. EX、2 [ m o 1 % ] 85.514.5 70.030.0 69.930.1 50.949.1 50349.7 I 僻野心●4四 [ m o 1 % ] 85.514.5 〃”抽岬 1CP 7電一Fでr eA r I 唾恥一唖一醒一恥 TEM−EDS ラ z 喧 一 r a r 鵬に l f日 Table2ResultsofelementalanalysesofTEM−EDSandlCP‘ 『飽 3 0 4 0 5 0 6 0 7 0 8 0 2 0 1 C l Fig.5XRDpattemsofreference(AgandCu)andAgCunamo particlesmanufacturedbyFTFRandannealcdsamples. −3− 鵬52 J、Jpn、SOC、ColourMate1..,85〔6〕(2012) 研 究 論 文 T a b l e 3 L a t t i c e p a r a m e t e r , c r y s t a l l i t e s i z e a n d c r y s l a l s l r a i n o f A g C u n a n o p a r t i c l e s m a n u m a c t u r e d b y F T F R a n d a n n e a l e d s a m p l e s q▲ 匪恥 Latticeparameter aImealedto300℃ as prepared Cu Ag ■ C r y s t a l s t r a i n annealedto300℃ aS annealedlo300℃ prepare A g C u prepare A 2 C u [ n m ] “|茄一迦 10︽一︻ノ﹄|﹁公一 [ n m ] 0.4083(1)0.3620(1) 0.4084(1)0.3618(1) 0.4084(1)0.3618(1) 0 . 4 1 1 2 ( 2 ) 0 . 4 1 0 1 ( 1 ) 0 . 4 0 9 4 ( 1 ) 0.4100 C r y s t a l l i l e s i z e as [ % ] 21.74.4 2 . 1 0.50.6 13.413,7 1 . 1 0.60.7 9.414.5 11 0.80.7 ■ 唾 uZ QI 5 0 . 6 ( m 0 1 % ) A g :: IⅨ C u :: 4 9 . 4 ( m o 1 % ) 0.4000 ● A 』 9 ︻﹄や︲万 ■ ZO 0.3900 ■ 0.3800 −Vegard1slaw 』 ■ ワ 孔 ○口一mu ● ■FTFR ’ 1 1 1 3 1414 、 [ 虻 0.3700 ‘ En9rUYp才VH 色 pRapidquenching AC 一員昌一ぢぢ巨肩消再︹﹃②呂担毎日 ( b ) 1 ( a ) : 6 4 . 0 ( m 0 1 % ) Cu:52.5(m01%) 鋲 唇凹Ⅱ 0.3600 : 3 6 . 0 ( m 0 1 % ) ビ ロ、 0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 目[ Cu[mo1%l m l j I I l L 肌…l Ⅲ オ 4 4 6 , 、稚#”8mV Fig.6DiagramofcompaI・isonofIatticepal・ame1eI・svsCu (mo1%).Theclosedsquaresrepresentdataobtained付om p r e s e n t x r a y a n a l y s i s ・ T h e o p e n s q u a l ・ e s l ・ e p I ・ e s e n t d a t a obtainedfi・omlatticepammelersinrapidlyquenched s a m p l e s ( r e f L 8 ) . T h e s o l i d l i n e l ・ e p r e s e l l t s d a t a o b t a i n e d 【例や垂J、毎冊 回 ( c ) i ま f i ・ o m V e g a r d , s l a w . ( b ) 3 罵畦嗣哩 : 脳 茎 : : : 鰯 │ 些 A g : 4 7 . 5 ( m 0 1 % ) ざP b ▲ 島 巳目 −5rhm L ● 可 仙 華 一 二 畠 廿 − 8 m 。 ■ & とCuの試料の回折線も合わせて示した。FTFRで作製した AgCu合金ナノ粒子の回折線は,広幅化していることが観察さ F i g . 7 れた。また,いずれも比較試料として用いたAgの回折位置に 近いことがわかった'2)。このことは,AgCu合金ナノ粒子は非 常に微細な粒子で構成され,その母構造はAgの結晶格子に由 HRTEMandSTEM−EDSresultsofAgCunanoparticles manufaclul・edbyFTFRunderEX3condition[(a) HRTEMimage,(b)EDSchartwithresultofquanIjtalive analysis,(c)HAADFimage,GI・eensquareindicatesa mappingarea.(。)Agmapping,(e)Cumappingl 来することを示唆した。 一方,これらを300℃で熱処理することで得られた試料の回 さらにAgCu合金の格子定数の変化について詳細に検討する 折線は鋭くなり,またFCC構造のCuと一致する回折ピークを ため,Vegard則から求めた格子定数と急冷凝固にて作製された 含んだAgとの混合体へと分離したように観察された。さらに Cuと一致する回折ピークは,Cuの仕込み比率が増加するにと AgCu固溶体の格子定数についてCu比率に対する変化であらわ もない(Exlから3の順に),その相対強度が強くなった。 次にFTFRで作製したAgCu合金ナノ粒子の結晶構造を詳細 に解析するために,Rietvelt解析およびWilliamson-Hall法を用 いて求めた格子定数,結晶子サイズおよび格子歪みをTable3に まとめた。また,これらの試料について300℃での熱処理後の 試料についても同様に算出した結果を示した。なお,熱処理した 試料については,AgとCuとの二相として解析した。FTFRで作 した図をFig.6に示し比較した8)。FTFRで作製したAgCu合金 ナノ粒子の格子定数の変化は,Vegard則から求めた格子定数の 変化および急冷凝固にて作製されたAgCu固溶体の格子定数の 変化とは明らかに異なることがわかった。このことは,FTFR で作製したAgCu合金ナノ粒子は,Ag結晶格子中のAgとCuと の置換型固溶体では説明できないことを示唆した。また,FTFR で得られたAgCu合金ナノ粒子の格子定数は母構造のAg結晶格 子よりも大きくなることもわかった。これは結晶格子に,より 製した粒子は,いずれについてもAgの格子定数(0.408611m)8) と比較して格子定数は大きくなっていることがわかった。また, 大きな格子歪みが生じ,それによって格子が膨張していること 原子半径の小さなCuの仕込み比率の増加とともに格子定数も そこで一つの粒子内の組成を詳細に調べるためにHRTEMお 小さくなる傾向が示唆された。結晶子サイズは5∼6,m程度で よびSTEM-EDSを用い,EX3[Ag:Cu=50:50(mo1%)] で作製した粒子のHAADF像とマッピング結果に加えて,高分 も考えられた。 あり,Fig.3に示したTEM観察結果の一次粒子の大きさに一致 した。また,AgCu合金ナノ粒子には格子歪みを含んでいるこ 解能TEM像とEDSチャートを合わせてFig.7に示した。EDSチ ャートは,高分解能TEM写真[(a)]で示した粒子全体[(b)-1] とが示唆された。 −4− 湧粥 強制薄膜式リアクターを用いた銀銅合金ナノ粒子の作製 Table4ResultsofquantitativeanalysisofaImealedsamplesbyXRD. EX、3afterannealed i m o l 9 6 I 哩一蕊一抑 士 図 i T A 2 郷一恋一皿 蝋引剥﹃︵・弓園︶誇る屠蔦の西 EX・NC 3 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 Temp1℃1 Fig.8DSCtracesofAgCunanoparticlesmanufactul・edby FrFRandalmealedsample. とスポット[(b)-2=point①,(b)-3=point②]分析の結果を 示した。粒子全体のEDS測定結果から仕込み比率とほぼ一致し ていることを確認した。また,マッピング像からAgとCuとは 共存して粒子を形成していることがわかったが,(b)-2および (b)-3に示したように,一つの粒子内部では,Ag:Cu分布の差 異が確認された。このような一つの粒子内部で元素分布の濃度 Fig.9TEMmicrographofaImealedsample(EX3) 差異が生じることによって格子歪みが多く生じていることも想 定され,Table3に示したようにAgCu合金ナノ粒子の格子歪み の増大の要因とも考えられる。 FTFRで作製したAg結晶格子の格子間位置にCuが侵入した侵入 型固溶体は準安定相として生成し,その大きな格子歪みのエネル 以上のことを総合的に検討した結果,本研究のFTFRで得ら ギーを解放するために,200∼350℃の熱的刺激により,固溶体 れたAgCu合金ナノ粒子は,FCC構造のAg結晶格子の格子間位 の分解とAgとCuとの二相の結晶化による反応がDSCに発熱ピ 置にCuが存在する侵入型固溶体を形成し,その格子歪みを増 ークとして生成したものと想定した。さらにはTable3に示した 大させているものと考えた。 ようにこの現象によって格子歪みの低下の要因を裏付けた7,'1)。 一方,熱処理後の試料の格子定数の値は,すでに示した 一方,これらのDSCの結果を換言すれば,FTFRで作製した Table3の加熱処理前のそれとはまったく異なり,AgとCu (0.361511m)s)のそれぞれの単一相の格子定数とほぼ一致した。 侵入型固溶体であるAgCu合金ナノ粒子は,少なくとも約 200℃までは熱的に安定に存在するとも言える。 また,熱処理後の試料のXRD回折線から求められる結晶子サ そこで熱処理後の結果を用いてAgとCuの定量分析を行った イズはAg:Cuモル比率の仕込み比率の変化とともに大きくな 結果をTable4に示した。熱処理後の試料の分析値も仕込みの り,逆にそれらの格子歪みは小さくなることがわかった。この Ag:Cuモル比率とほぼ一致する値が得られた。また,Fig.9に ことは,FrFRで得られた侵入型固溶体であるAgCu合金ナノ粒 代表例としてEX3の熱処理後の粒子のTEM観察結果を示した。 子は,この侵入型固溶体が準安定相として存在していること, 写真から明らかなように,熱処理後の試料においても粒子径は また300℃での熱処理によってAgCu固溶体組成からAgとCu 10∼201'm程度であり,熱処理前からの粒子径の変化は見られ との二相に分解し結晶化することで格子歪みを解放しているこ なかった。また,これらの粒子径はTable3に示した熱処理後の とが想定された。 AgおよびCuの結晶子サイズに一致していた。よってFTFRで このように300℃での熱処理によってAgCu固溶体組成から AgとCuとの二相に分解していることから,FTFRで得られた AgCu合金ナノ粒子についてDSC測定による熱的評価を行った。 作製した粒子は,300℃の熱処理によって同一粒子内部でAgCu 合金が分解し,結晶化しながらAgとCuとがそれぞれに粒成長 したものと考えられる。 Fig.8にAgCu合金ナノ粒子のDSC測定結果を示す。FIFRで 以上の結果より,FTFRを用いて作製したAgCu合金ナノ粒子 作製した粒子について200∼350℃付近に非常にブロードな発 は,原料調合組成どおりにCuが15∼50(mo1%)程度までAg 熱ピークが確認された。また,この発熱ピークのうち高温側の 250∼350℃のピークはCuの仕込み比率が増加するにともない と混ざりあった10∼20,m程度のAgCU合金ーノ粒子であるこ とがわかった。その合金の結晶構造は,Agの構造中にCuが侵 高温度側にシフトし,ピーク面積は増大する傾向を示した。一 入した侵入型固溶体の形成を明らかにした。 方,最上段に示したように一度熱処理した試料は再測定を行っ 4.まとめ ても発熱などのピークを確認することはできなかった。よって 本研究で作製したAgCuナノ粒子は,Cuが15∼50(mo1%) 熱的に不可逆的な変化が起こっていることがわかった。これは −5− 234 研 究 論 文 程度でAgと混ざりあった10∼20,m程度のAgCu合金ナノ粒子で J・JpnSoc、ColourMater.,85〔6〕(2012) −(2002). あり,その合金組成は仕込み比率で調整できることを明らかに 3)S、Xiong,W、Qi,B,Hua、9,M.Wang:CAem.PAys・Chel".,12, した。また,その合金構造は,Ag結晶格子の格子間位置にCuが 4 ) M 、 S i n g h , L S i n h a , R , K ・ M a n d a l : M a r e l 。 . L e " . , 6 3 , 2 2 4 3 ( 2 0 0 9 ) . 5 ) H 、 J i a 、 9 , K . M o o n , C P 、 W o n g : “ 1 0 t h l n t e r n a t i o n a l s y m p o s i u m o n 侵入した侵入型固溶体の形成をXRD測定・解析,DSC測定等 1317(2011). から明らかにした。AgCu合金ナノ粒子は粒子同士の凝集性も A d v a m c e d P a c k a g i n g M a t e r i a 1 s , , , p 、 1 7 3 , P r o p e r t i e s a n d l n t e r f a c e , なく,200℃程度の耐熱性も有することから,今後のプリンテ 6)S,Zgha1,M.』・Hytch,』.-P,Chevalier,R,Twesten,RWu,P・ ( 2 0 0 5 ) . ッド配線材料開発において有用な知見を与えるものと考える。 Bellon:AC、ノVarer.,50,4695(2002). 本報告から,FTFRは原子レベルで混合した合金金属粒子の 作製において有用であることが示唆された。また,FIFRは今 7)H、W、She、9,G.Wi】。e,EMa:AaaMarer・’50,475(2002). 8 ) R , K ・ L i n d e : “ I n P a r t i a l F u l f i l l m e n t o f t h e R e q u i r e m e n t s F o r t h e D e g r e e o f D o c t o r o f P h i l o s o p h y , , , C a l i f b m i a l n s t i t u t e o f T e c h n o l o g y , 後の新規複合材料の研究・開発において非常に強力なツールで ( 1 9 6 4 ) . 9)前川昌輝,荒木加永子,青柳志保,荒木和也,榎村興一,酒井 あると考えられる。 秀樹,阿部正彦:〃α膨riaI死ch"olIogy,28(6),(2011). 10)L、W,Finger,,.E,COX,A、P,Jephcoat:』.A”1.Oysr.,27,892 文 献 ( 1 9 9 4 ) . 1 1 ) T 、 K l a s s e n , U H e r r , R 、 S 、 A v e r b a c k : A a a A f Z I 花 ' . . , 4 9 , 4 5 3 ( 1 9 9 7 ) . 12)草田康平,山内美穂,小林浩和,北川宏:lPO30,分子科学 討論会予稿集(2008)07. l)谷口彰敏:“導電性材料ノウハウ集",情報機構(2007). 2)長崎誠三,平林漠:“二元合金状態図集,,,アグネ技術センタ FabricationofSilver-C0pperc0mpositi0nNan0particlesbyForcedThinFilmReact⑪r MasakiMAEKAwA*,**,↑,DaisukeHoNDA*,MasakazuENoMuRA*, HidekiSAKAI**,***andMagahikoABE**,*** 率M-たcノmi9I4eCb.,L極,2-2-I671gch"osmge,上”"i,O”“5”-ノノ“,、ノヒw〃 聯*G、血α花SchcoノqfScjelzcgα"α母18伽eer航9,7bAyoU"jl'e応jlyq/Scje"Ce,2“ノynmqznkj,ノVり”,αl肋α278-85ノ0,J”” ***ReseaJ℃h伽s”re/brSciellceα"d形ch"oノogy,Tbbo酌zive応jjyq/・Scjg"“,2“ノyt1mazaAj,ノVb血,Cハルα278-85ノ0,J“α〃 fCb向穆spo"伽9A”AC脇E-F”ルノ7meAzzwq@m-だch抑j9Ⅲe、cpJp (ReceivedNovemberl6,2011;AcceptedDecember31,2011) Abstract l n t h i s p a p e r , w e r e p o r t a p 1 ℃ p a r a t i o n o f S i l v e r ( A g ) C o p p e r ( C u ) c o m p o s i t i o n m e t a l n a n o p a r t i c I e s b y F b r c e d T h i n F i l m R e a c t o l ・ ( F r F R ) . W i t h F T F R , p a r t i c l e s w e r e a b l e t o p 肥 p a r e d b y l i q u i d p h a s e c o 唾 d u c t i o n o f s i l v e r n i t r a t e a n d c o p p e r n i t r a t e w i t h h y d m z i n e 、 I n w h i c h s i l v e r nitrateandcoppemitmte[Ag(NO3)andCu(NO3)2.3H20inethyleneglycol,Ag:Cu=85:15,70:30,50:50(mo1%respectively)]were s o l v e d w i t h e t h y l e n e g l y c o l , a n d t h e 1 ℃ d u c t a n t s o l u t i o n w e r e p r e p a r c d b y m i x i n g o f h y d r a z i n e m o n o h y d r a t e a s a r e d u c t i o n r c a g e n t , p o t a s s i u m h y d r o x i d e ( K O H ) a s a p H a d j u s t i n g に a g e n t a n d p o l y v i n y l p y I T o l i d o n e ( M = 4 0 , 0 0 0 ) a s a p r o t e c t i v e r e a g e n t f b r t h e A g C u c o m p o s i t i o n m e t a l n a n o p a r t i c l e s ・ A g C u c o m p o s i t i o n m e t a l n a n o p a r t i c l e s w e I e c h a r a c t e r i z e d b y t m n s m i s s i o n e I e c t m n m i c r o s c o p y e n e r g y d i s p e r s i v e s p e c t m s c o p y ( T 屯 M E D S ) , s c a n n i n g t r a n s m i s s i o n e l e c t r o n m i c r o s c o p y e n e l g y d i s p e J s i v e s p e c t r o s c o p y ( S T E M E D S ) , X r a y d i f f r a c t i o n ( X R D ) , i n d u c t i v e l y c o u p l e d p l a s m a s p e c t r o s c o p y ( I C P ) a n d d i f f e r e n t i a l s c a n n i n g c a l o r i m e t r y ( D S C ) . T h e s e r e s u l t s s h o w e d t h a t A g C u c o m p o s i t i o n m e t a l n a n o p a r t i c l e s m a n u f a c t u 泥 d b y F I F R ( a b o u t l O ∼ 2 0 , m ) c o n s i s t w i t h c o m p o s i t i o n o f A g : C u ( m o 1 % ) i n a c c o I d a n c e w i t h e x p e r i m e n t a I c o n d i t i o n s . Key・momdSJMz"o宮pα"jc“Siんe脇“”“Fb1℃巳。”"ガノ腕,Mjcroreacmr −6−
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